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インラインリンクと著作権・著作者人格権侵害~知財高裁平成30年4月25日判決を題材として~

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2018年12月2日知財学会「インラインリンクと著作権・著作者人格権侵害」の発表資料

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インラインリンクと著作権・著作者人格権侵害~知財高裁平成30年4月25日判決を題材として~

  1. 1. 弁 護 士・弁理士 北 岡 弘 章 2018年12月02日 日本弁理士会著作権委員会
  2. 2. 事案の概要  登場人物  X:写真家、本件写真を撮影  X1、X2:本件写真を使用してツイート  X3~X5:本件ツイートをリツイート  リツイート行為  第三者のツイートについて自己のタイムラインに表 示させたり自己のフォロワーにリツイートをしたと 知らせたりすることによって、当該第三者のツイー トを紹介ないし引用すること  リツイート行為の際には、インラインリンクにより、 本件写真の画像が表示される 2
  3. 3. 問題の所在  インラインリンク  ユーザーの操作を介することなく、リンク元のウェブペー ジが立ち上がった時に、自動的にリンク先のウェブサイト の画面又はこれを構成するファイルが当該ユーザーの端末 に送信されて、リンク先のウェブサイトがユーザーの端末 上に自動表示されるように設定されたリンクをいう  通常のリンク  <a ref="https://note.mu/kitaoka/n/n3224914fc09d">アンカー テキスト</a>  インラインリンク(次スライド写真参照)  <span class="tco-ellipsis"></span><span class="invisible">https://</span><span class="js-display- url">note.mu/kitaoka/n/n322</span><span class="invisible">4914fc09d</span><span class="tco- ellipsis"><span class="invisible">&nbsp;</span>…</span> 3
  4. 4. 地裁判決の概要  リツイート行為について  公衆送信権侵害×  著作者人格権侵害× 人格権侵害については、特に詳細な検討なし 4
  5. 5. 知財高裁判決の概要  公衆送信権侵害→×  公衆送信権侵害の主体はリツイート者ではない  幇助→×  本件リツイート行為自体は、自動公衆送信自体を容易にしていない  同一性保持権侵害→◯  タイムラインにおいて、表示されている画像が改変されている。  改変の主体は、ユーザではなく、リツイート者  やむを得ない改変に当たらない  氏名表示権侵害→◯  タイムラインにおいて、氏名が表示されていない  改変の主体についての言及なし  現在上告中 5
  6. 6. 公衆送信権侵害  まねきTV事件、最高裁判決の規範を援用  公衆送信権侵害に関する判旨  自動公衆送信の主体は、当該装置が受信者からの求めに応じ、 情報を自動的に送信できる状態を作り出す行為を行う者と解 されるところ(最高裁平成23年1月18日判決・民集65巻1号121 頁参照まねきTV最判)、本件写真のデータは、流通情報2(2) のデータのみが送信されていることからすると、その自動公 衆送信の主体は、流通情報2(2)のURLの開設者であって、本件 リツイート者らではないというべきである。著作権侵害行為 の主体が誰であるかは、行為の対象、方法、行為への関与の 内容、程度等の諸般の事情を総合的に考慮して、規範的に解 釈すべきであり、カラオケ法理と呼ばれるものも、その適用 の一場面であると解される(最高裁平成23年1月20日判決・民 集65巻1号399頁参照)が、本件において、本件リツイート者ら を自動公衆送信の主体というべき事情は認め難い。  最高裁平成23年1月20日判決の補足意見も援用 6
  7. 7. 幇助者は誰か  幇助に関する判旨  本件リツイート行為が上記の自動公衆送信行為自 体を容易にしたとはいい難いから、本件リツイー ト者らを幇助者と認めることはできず、その他、 本件リツイート者らを幇助者というべき事情は認 められない。  幇助については、画像自体の自動公衆送信自体に ついて、容易か否かを判断 7
  8. 8. 同一性保持権侵害  改変  表示されている画像は、表示するに際して、本件リツイート行為の結果として送信 されたHTMLプログラムやCSSプログラム等により、位置や大きさなどが指定され たために、上記のとおり画像が異なっているものであり、流通情報2(2)の画像デー タ自体に改変が加えられているものではない。しかし、…表示するに際して、 HTMLプログラムやCSSプログラム等により、位置や大きさなどを指定されたため に、本件アカウント3~5のタイムラインにおいて表示されている画像は流通目録3 ~5のような画像となったものと認められるから、本件リツイート者らによって改 変されたもので、同一性保持権が侵害されているということができる。  改変の主体  本件リツイート行為の結果として送信されたHTMLプログラムやCSSプログラム等 により位置や大きさなどが指定されたために、改変されたということができるから、 改変の主体は本件リツイート者らであると評価することができるのであって、イン ターネットユーザーを改変の主体と評価することはできない。  やむを得ない改変(著作権法20条4項)  本件リツイート行為は、本件アカウント2において控訴人に無断で本件写真の画像 ファイルを含むツイートが行われたもののリツイート行為であるから、そのような 行為に伴う改変が「やむを得ない」改変に当たると認めることはできない。 8
  9. 9. 氏名表示権侵害(知財高裁)  氏名表示権侵害  本件アカウント3~5のタイムラインにおいて表示さ れている画像には、控訴人の氏名は 表示されていな い。そして、前記⑴のとおり、表示するに際して HTMLプログラムやCSSプログラム等により、位置や 大きさなどが指定されたために、本件アカウント3 ~5のタイムラインにおいて表示されている画像は 流通目録3~5のような画像となり、控訴人の氏名が 表示されなくなったものと認められるから、控訴人 は、本件リツイート者らによって、本件リツイート 行為により、著作物の公衆への提供又は提示に際し、 著作者名を表示する権利を侵害されたということが できる。 9
  10. 10. 公衆送信権侵害は否定され、人 格権侵害が肯定されている理由  本件アカウント3~5の管理者が管理しているも のは何かで判断  画像を基準にするかどうか  同一性保持権  「本件アカウント3~5のタイムラインにおいて表示 されている画像」  公衆送信権  本件アカウント3~5の管理者は,そのホーム画面を 支配している上,ホーム画面閲覧の社会的経済的利 益を得ている  公衆送信権侵害を否定した文脈であるが、人格権侵害 の根拠の一つとも考えられる 10
  11. 11. その他のインラインリンクに関 する判例  著作権侵害の主体であることを認めた事例  札幌地判平成29.6.14平成28年(ワ)第2097号 複製、送信可能化権及び著作者人格権の侵害を認容 発信者情報開示請求訴訟  インラインリンクによる幇助を認めた事例  札幌地判平成30.6.15平成28年(ワ)第2097号 他人による公衆送信権侵害を幇助 発信者情報開示請求訴訟 11
  12. 12. 知財高裁判決の問題点  故意過失がなくとも、差止請求権は認められる  現実的に、プロフィール画像が著作権を侵害するも のであるか否かを確認することは困難  リンク設定サイトへの差止請求を認める必要が あるのか  リンク先の画像が削除されれば、インラインリンク の画像も表示されなくなる  発信者情報開示請求訴訟の特殊性  ツイッター社は適切な反論を行なっているのか  HTMLやCSSプログラムで、画像をどのように表示す るか否かを決定しているのは、ツイッター社では 12
  13. 13. 侵害主体の問題  著作者人格権の侵害主体がリツイート者?  リツイート者とユーザーで違うのか?  ツイッター社では?  ときめきメモリアル事件最高裁判決  ただし、損害賠償請求の事案 13 ときめきメモリアル事件 原告 ソフト 被告 メモリーカード 恋愛シミュレーションゲームのス トーリー改変を目的とした、パラ メータを記録したメモリーカードを 販売 ゲームユーザー ゲームソフトの販売 メモリーカードの使 用によりストーリー を改変
  14. 14. 他者が改変した著作物の利用と 同一性保持権侵害  東京地裁平成15年12月19日判決(記念樹・フジテレ ビ事件)  事案は、氏名表示権侵害とされた楽曲を放送したテレビ局 の責任が問題となったもの  20条は、条文上、改変行為だけを侵害行為としており、改 変された後の著作物の利用については規定されていない。  法113条1項には、同一性保持権侵害とみなされる行為が規 定されているが、そこで列挙されているのは、頒布行為や 頒布目的の所持、輸入などの行為である。・・・支分権の対 象となる行為の中から一定の行為のみを一定の要件を課し て同一性保持権侵害とみなしている・・・公衆送信(放送) 行為・・・は、同一性保持権侵害とはみなされていない  知財高裁判決は、「他者」が改変したものでないと 判断しているが、事案としては類似 14
  15. 15. ご清聴ありがとうございました。 15

2018年12月2日知財学会「インラインリンクと著作権・著作者人格権侵害」の発表資料

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