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論文の書き方入門 2017

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鷲崎弘宜, "論文の書き方入門 2017", SQiP研究会 ミニ講座, 2017年10月13日, 東京.

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論文の書き方入門 2017

  1. 1. 論文の書き方 入門 2017 鷲崎 弘宜 早稲田大学グローバルソフトウェアエンジニアリン グ研究所 / 国立情報学研究所 / システム情報 @Hiro_Washi washizaki@waseda.jp SQiP研究会 ミニ講座 2017年10月13日
  2. 2. 復習: 研究のデザイン • 研究とは「仮説の検証」である。仮説とそれに応じ た研究課題が重要。 • 何かをする前にゴール・仮説・研究課題・回答方法 を検討しておくこと。 • 研究の早い段階から論文を書き始める • 論文を書こう。自分、自組織、学問・社会。 • 論文は報告・作文とは異なる • 文章作法に従おう • 典型的な論文構成を抑えよう • 読み手に届けて貢献しよう • 査読者の労力に報いて貢献しよう 2 ※本日の主題
  3. 3. 文章作法に沿う [千葉] • トピックセンテンス(段落の主張)を各段落の 先頭に持ってくる • 結論を先に書き、理由、例を続ける – NG: ~である。すると・・・なので、従って○○であ る。 – OK: ○○である。なぜならば・・・である。例えば~ 。 • 論理的な繋がりを心掛ける – 論理の飛躍のないように • 図表、例を中心に説明を進める 3
  4. 4. 典型的な論文構成 0. タイトル 1. 概要 2. はじめに(導入) 3. 背景 4. 提案 5. 実験(評価): 議論、妥当性への脅威を含む 6. 関連研究 7. おわりに(結論と展望) 8. 参考文献 4
  5. 5. 0. タイトル • 概要をさらに要約した結果 – 問題解決やアイディアが際立つように – 読者は、ここで惹きつけられて入り、以降の具体化を期待 • NG 『効果的なレビューのプロセスについて』 • OK 『品質特性を観点とした欠陥発見効率の高いレビュー』 5 タイトル 概要 論文本体 はじめに(導入) 具体化 抽象化
  6. 6. 1. 概要 • 背景、問題、解決、根拠の大切な部分に絞って 要約 – ここがNGだと、全てNG – 読者のココロを掴むこと • NG 超スマート社会の実現が叫ばれている・・・。○○は重 要である。しかし・・・。そこで我々は~を検討する。 • OK ○○について・・・という問題がある。その解決のため我 々は~を提案する。実験により×××を確認した。 6
  7. 7. 2. はじめに(導入) • ミニ論文として独立して成り立つ+以降のポインタ – 背景、問題提起、研究課題、関連研究、解決のアイディア、実 験結果、貢献、以降の構成 – 読者は、情報社会全体を語ってもらおうとは思っていない。絞 ること。 • NG 近年、情報社会の発展に伴い○○が普及しつつある。その中で ウンヌン。しかし・・・。そこで我々は~を試みた。その結果を報 告する。 • OK ○○について・・・という問題がある。 その解決のため我々は~を提案する。 実験により×××を確認した。 本論文の貢献は次の通りである。 • AAA • BBB 本論文の以降の構成は次の通りである。 7
  8. 8. 3. 背景、扱う問題 • 問題提起型 – 動機づけの例の明示 Motivating Example – 読者は、問題の重大さを知りたい • 問題解決型 – 関連研究および未解決問題明示(例があるとなおよい) – 読者は、これまでの延長線上の差分を知りたい • NG – 品質とは・・・。レビューとは・・・。 – だらだらと教科書にあるような一般技術の説明に終始 • OK – 3.1 関連する特定の専門技術や領域説明 – 3.2 動機づけの例 8
  9. 9. 4. 提案 • 焦点を絞りアイディアの要点と制限を正確に – 提案手法やシステムの名前付け、例中心 – 読者は苦労話など聞きたくない。「なるほど!真似して みよう」 • NG – 我々は2ヶ月の開発により〇〇を実現した。○○はA, B,Cから構成される。Aは・・・ • OK – 我々は・・・を実現する手法 WashizakiMethod(WM)を 提案する。WMは・・・という場合において~に対して・・ ・を実現する。WMの技術的要点はα、β、γである。 – αは・・・。例えば図Xにおいて・・・ 9
  10. 10. 5. 実験(評価) • 答える研究課題を最初に掲げ、最後に妥当性への 脅威(あるいは制限) – 定量化にこだわり、条件、結果、回答の議論 – 読者は、何を評価したのか、その制限を知りたい。実際 にはあらゆる側面・状況を評価できているわけではない [千葉] • NG – 提案手法を・・・に適用した。その結果~ • OK – 本論文が答えようとする研究課題は以下である。 • RQ1. ・・・ – 5.1 実験内容 – 5.2 実験結果 – 5.3 議論 – 5.4 妥当性への脅威 10
  11. 11. 研究課題 Research Questions • 仮説に応じ、検証できるよう小分けにした問い – どのような方法をとればよいか? – どのように評価すればよいか? – どの程度、良いか? – 他の状況でも通用するか、 現実に使えるか? • NG – 観点を設定したレビューは有効か? • OK – レビューにおいて(どのような)観点を設定できるか? – 観点を設定した場合としない場合とではレビューにおける時 間あたりの指摘問題数(あるいは重大さ)は異なるか? – 現実の開発において観点を設定したレビューを実施できるか ? 11
  12. 12. 妥当性への脅威 Threats to Validity • 内的妥当性への脅威(Threats to Internal Validity) – 因果関係の確かさに影響を与える事柄を議論 – OK: 実験において~なので、・・・が~に影響した可能性がある 。今後、・・・により影響の有無を確認したい。 • 外的妥当性への脅威(Threats to External Validity) – 一般化の可能性に影響を与える事柄を議論 – OK: 実験は一つの企業における一つの・・・ドメインに限定して 実施したものであり、これは外的妥当性への脅威である。今後、 ・・・により他のドメインや企業における有効性を検証したい。 • 他にも様々な妥当性への脅威 – 構成概念妥当性(Construct Validity): 測定や検証する結果が本 来知りたい事柄(概念)を適切に反映している – 基準関連妥当性(Criterion-related Validity): 外部の確立された 基準と比較して測定や検証の結果が一致・相関している – 内容的妥当性(Content Validity):全体を偏りなく測定・検証して いる 12
  13. 13. 6. 関連研究 • 論文誌や学位論文では、しばしば冒頭に置 いて当該研究を位置づける – 当該研究との関係を説明する [Orso]: 競合、補間 、重複 – 読者は、「何が」関連しているのかではなく、「ど のように」関連しているのかを知りたい • NG 関連する手法として、〇〇や××がある。 • OK 〇〇は・・・の点で提案手法と共通するが、~が異 なり、・・・の点について提案手法が優れる。 13
  14. 14. 7. おわりに(結論と展望) • 全体の要約と展望 – 結果と貢献を強調 – 読者は言い訳よりも、今後の発展可能性を知りたい • NG 〇〇を提案した。××ができていないため今後の課題 である。 • OK 〇〇を提案し、・・・の実験により~を確認した。〇〇は ~に役立てられることが期待できる。今後は・・・により ~における適用可能性を明らかとする予定である。 14
  15. 15. 8. 参考文献 • “Look Bibliography First” -- 鷲崎 – 学術的に評価された論文が含まれ、記述が一貫していること – 投稿先の他の論文を含めること • NG – 〇〇『できる ソフトウェアレビュー!』民明書房刊, 1979 – △△(1990)“ソフトウェア品質の全て” – http://abc...xyz.com/ • OK – T. Baum, O. Liskin, K. Niklas and K. Schneider, “Factors Influencing Code Review Processes in Industry,” 24th ACM SIGSOFT International Symposium on Foundations of Software Engineering (FSE), pp.85-96, ACM, 2016. – 戸田航史, 亀井靖高, 吉田則裕, “コードレビュー分析における データクレンジングの影響調査”, 情報処理学会論文誌, Vol.58, No.4, pp.845-854, 情報処理学会, 2017. – H. Washizaki, “Pitfalls and Countermeasures in Software Quality Measurements and Evaluations,” Advances in Computers, Vol. 107, pp.1-22, Elsevier, 2017. 15
  16. 16. 学問は Peer Reviewで成り立っている • 論文1本につき匿名の査読者3-4名が通常 – 査読コメントを論文原稿に組み入れて、はじめて 匿名者の貢献が学問に還元される – あなたが論文を1本投稿するならば、あなたは他 者の論文を3本査読しなければならない • 論文がいきなり権威ある論文誌や会議に採 択されることはマレ – “不採録コメントに学ぶ” – 鵜林 – 査読コメントを活かした着想、着実な進展と学問 への貢献 16
  17. 17. まとめ • 文章作法に従おう – 論文は論理的に納得できて、主張が明快で、読み やすいこと • 典型的な論文構成を抑えよう – 長い歴史の中で醸成された必然の構成 • 読み手に届けよう – 「論文は人類への手紙である -- ウンベルト・エコ」 • 査読者の労力に報いよう – 学問は Peer Reviewで成り立っている 17
  18. 18. 既存の良い資料 • [鵜林] 鵜林尚靖、"世界を目指す論文の書き方 ~ 不採録 コメントに学ぶ ~"、SES2011チュートリアル http://ws.cs.kobe-u.ac.jp/~masa- n/ses2011/ses2011_tutorial2.pdf • [Orso] Alex Orso, How to Get My Paper Accepted at Top Software Engineering Conferences, http://www.slideshare.net/alexorso/how-to-get-my-paper- accepted-at-top-software-engineering-conferences • [千葉] 千葉滋, “論文の書き方” http://www.csg.is.titech.ac.jp/~chiba/writing/ • [Shaw] Mary Shaw, "Writing Good Software Engineering Research Papers," ICSE'03, mini tutorial http://www.cs.cmu.edu/~Compose/shaw-icse03.pdf • [浦野] 浦野研, “「よい研究」の条件と種類”,日本コミュニケ ーション学会(CAJ)第18 回北海道支部研究大会, http://www.urano-ken.com/research/caj2009_handout.pdf 18

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