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密度汎関数法, Density Fuctional Theory (DFT)の基礎第5回

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密度汎関数法, Density Fuctional Theory (DFT)の基礎第5回

  1. 1. 密度汎関数法(DFT)の基礎 その5TextBook 密度汎関数法の基礎 HPCシステムズ株式会社 (KS物理専門書) 佐藤大介 常田 貴夫 (著) 出版社: 講談社 (2012/4/11) da-sato@hpc.co.jp
  2. 2. 前回までのあらすじhttp://www.hpc.co.jp/gaussian_nyumon.html
  3. 3. はじめに今回から、PDF形式での配信を行うことになりました。
  4. 4. はじめに今回は量子論の核である「ハートリー・フォック法」の物理学的基礎と数式を時間軸に沿って学びます。
  5. 5. はじめにたくさんカタカナが出てきますがこれらはほとんどが人物の名前を冠していますので、人物名には「さん」という呼称を付けて分かりやすく記述します。 Inspired by anan
  6. 6. 多体問題解析的に解けない問題をどう克服するか
  7. 7. 多体問題前回までのように水素原子以外の原子についても同じようにハミルトニアン演算子を設定しシュレディンガー方程式を解けば量子化された電子運動の状態を求めることができます。
  8. 8. 多体問題しかし、実際にシュレディンガー方程式を解こうとすると、解析的には厳密に解けません。
  9. 9. 多体問題この問題を多体問題と呼びます。英語では、「n-body problem」と表記します。
  10. 10. ポワンカレ(Henri Poincaré)さん最小(正確には停留)作用の原理を使って周期解のみ求めるアイデアで古典力学における3体問題を解きました。
  11. 11. ハートリー(Douglas Hartree)さん 複数電子をもつ原子について 多体問題を解くアイデアを提案しました。
  12. 12. ハートリー法複数電子をもつ系の電子状態の計算方法
  13. 13. ハートリー法シュレディンガー方程式が発表された翌々年1928年ハートリーさんは基本的な物理原理のみを使って複数の電子を含む系のシュレディンガー方程式を解く方法であるハートリー法を提案しました。
  14. 14. ヘリウム原子のハミルトニアン
  15. 15. ハミルトニアンの分解ハートリーさんは各電子はまわりの電子の静電ポテンシャルの平均の中を運動すると仮定して、その平均を有効ポテンシャルVeffで近似する独立電子近似を提案しました。この近似により、ハミルトニアン演算子は、以下のように、それぞれの電子に分解することができます。
  16. 16. 波動関数
  17. 17. シュレディンガー方程式軌道の組{φi}に関する変分原理によりこの期待値を停留にする1電子波動関数の組{φi}を求めるシュレディンガー方程式は下記のように求められます。
  18. 18. 全固有エネルギーこの解により与えられるεiはi番目の電子の固有エネルギーと解釈できるので各電子について固有方程式を解けばよいことになります。のちに、この1電子波動関数φiは軌道(orbital)、対応するεiは軌道エネルギーと呼ばれるようになりました。ここで、全固有エネルギーは各種電子運動に対応する軌道エネルギーの和となります。
  19. 19. 有効ポテンシャルここで有効ポテンシャルVeffは以下のように導くことが出来ます。
  20. 20. ちなみにこの方程式は演算子が解に依存する非線形方程式であり見た目より解くことが難しいものです。
  21. 21. のちにハートリー法によるエネルギーの値は化学反応や化学物性の解析に使えるレベルではないことが分かりました。のちに、その原因が電子の交換を考慮していないことにあることが示されました。
  22. 22. ab initio 法半経験的パラメータを含まない直接的な導出法をab initio 法(ラテン語で、「はじめから」の意味)と呼びます。
  23. 23. 分子軌道法分子の電子状態の計算方法
  24. 24. 分子の電子状態複数の原子から構成される「分子」のなかでは電子はどのような運動状態をもつでしょうか?ハートリー法によると、最も単純な水素分子のハミルトニアンは以下のように書けます。
  25. 25. ボルン・オッペンハイマー近似電子運動を考える際に原子核の運動を無視する近似 Max Born J. Robert Oppenheimer
  26. 26. 断熱近似にもとづく ハミルトニアン断熱近似にもとづくとハミルトニアンは以下のように書き直せます。
  27. 27. 分子軌道の概念と普及 molecular orbital 考えた人 広めた人フント(Friedrich Hund) さん マリケン(Robert S. Mulliken) さん
  28. 28. 分子軌道法の誕生 クールソン (Charles A. Coulson)さん
  29. 29. LCAO-MO近似Linear combination of atomic orbitals - molecular orbital approximation
  30. 30. 水素分子の分子軌道「分子の固有関数は原子の固有関数の線形結合で書き表せる」この分子軌道を代入すると、ここで、このεは分子軌道の軌道エネルギーです。このεを極小にする係数について、以下のように表せます。
  31. 31. 水素分子の分子軌道ここから、以下の式が導き出せます。ここで行列式したがって、水素分子の分子軌道エネルギーは以下のように与えられます。
  32. 32. 水素分子の分子軌道これに対応する規格化された分子軌道は以下の通りになります。電子の分子軌道への占有はパウリの排他原理に従います。水素分子の波動関数は以下のように表されます。このときの水素分子の全エネルギーは以下のようになります。
  33. 33. つまりは水素分子の結合エネルギーは軌道エネルギーとして求められます。
  34. 34. しかしながらこのように軌道エネルギーで分子の結合エネルギーを議論できるのは、水素分子のように結合に「2つの軌道しか関与しないごく限られた場合だけ」です。
  35. 35. さらにそれ以外の場合の結合エネルギーを議論するには、他の軌道からのエネルギー寄与を考慮しなくてはいけません。
  36. 36. さらに反応前後の分子の軌道エネルギーを比較し、そのエネルギー的安定性で分子の結合を議論することは一般的にできません。
  37. 37. しかしながらこれは分子軌道図を用いた概念的な反応の議論を否定することではありません。
  38. 38. さらに「分子軌道は計算理論への依存性が比較的低いため ある程度分子が大きくなければおおむね正しい。」 と考えることができます。
  39. 39. さらに分子軌道で与えられる電子分布により分子のなかの反応性の高い部分や反応の形態に関する情報を得ることもある程度可能です。
  40. 40. しかしながら軌道エネルギー自体は計算理論に大きく依存するため特に仮想軌道の軌道エネルギー準位は容易に入れ替わることに注意が必要です。
  41. 41. 今回はハートリー法を学びました。
  42. 42. 次回はハートリー・フォック法

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