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暗唱、朗読、スピーチ指導ー自分の体験から学んだ指導方法ー  

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神戸市外国語大学名誉教授
佐藤晴彦

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暗唱、朗読、スピーチ指導ー自分の体験から学んだ指導方法ー  

  1. 1. 暗唱、朗読、スピーチ指導 ー自分の体験から学んだ指導方法ー 1 神戸市外国語大学名誉教授 佐藤晴彦
  2. 2. 神戸外大受験前後 • 遊び呆けていた高校時代ー大学受験全滅 →浪人へ。やむなく勉強。徐々に勉強の面白さを実感 →大学に入ったら何かやろうという気持ちが芽生える • 予備校の進路指導ー神戸外大中国学科☓ 予備校の期待を裏切り神戸外大中国学科〇 • 諦めていたことが実現→さらにやる気をかきたてられる • 新しい外国語を学ぶのにどうすればいいのか?自問する ①母語はどのように習得したか?②英語はなぜダメだったか →反復練習あるのみと悟る • そんなことをぼんやり考えて教室に臨む →坂本一郎先生の授業がまさに反復練習を体現していた 2
  3. 3. 一年生の頃 • 若い先生から、「捲舌音は舌を捲け」と教わる ー舌を捲いて発音。どうも中国人の音と違う ー試行錯誤の後、舌はそらすだけと悟る ー被害者:クラスでよくできた女子学生。先生の 教えを鵜呑みにし、舌を捲いた発音が定着 ・暫くした後、件の若い先生曰く「捲舌音って、舌捲 けへんねんな?!」と大発見したかのように語る ・後日談:尾崎實先生「ホルモン屋へ行ってタン を見てみ。こうやない、こないなっとる」 3
  4. 4. 一年時の語劇の衝撃 • 一年時の語劇ー『年青的一代』 ー四年生の先輩とともに字幕を担当ー本番でセリフが跳ぶ ーある先生がたまたま上海話劇団上演録音を入手 ー録音を聞いて衝撃ー就中ナレーターの中国語 ー「こんな中国語を話したい」と思い真似をし始めた ー充分真似ができたと思い、自分の声を録音する ー自分の発音を聞き、模範朗読とのあまりの差に愕然 ー「チクショー!」と思って、再度真似に挑戦 ー真似ー録音ー愕然ー真似ー録音ー愕然…を繰り返す ーこの工程を繰り返すうち、全文を暗記してしまった ー自分の声を録音する重要性を悟る 4
  5. 5. 二年生の頃 • 歌舞団の公演に行き、“报幕员”の中国語を聞く ー脳天をぶち抜かれたような衝撃を受ける ー「中国語ってこんなに美しいのか!こんな美しい言葉を 話したい」という気持ちが更に強くなる ・ そんな美しい中国語を習得したかった(日本人の先生の 発音はダメと思っていた) ・ 師と仰ぐべきは“播音员”の発音と考えた ー“播音员”の最高のレベルを真似したとしても、それよ り下にしかならない。低いレベルに照準を合わせると、 むろんそれ以下になる。日本人を範とするのは問題外と 考えていた 5
  6. 6. ある先輩、『現代中国語朗読編』 • 二年生の語研(中国語研究会)の合宿 • 先輩の一人が“猴王和西瓜”を暗誦した ー“故事”がめちゃくちゃ面白かったので虜になる ー録音をダビングさせてもらい、徹底して真似る ーこの時も真似ー録音ー愕然ー真似ー録音ー愕然 ー真似ー録音ー愕然…の工程を繰り返す ーこの工程を繰り返しているうち、暗誦してしまう • 『現代中国語朗読編』の数篇も同様に暗誦 • 模範朗読を真似し、録音する重要性を再認識 6
  7. 7. なぜ録音が大事なのかー対象化 • 自分の表情を見るには鏡に映さねばならない • 自分の発音を聞くには録音せねばならない ー要するに「対象化」するということ ー自分が書いた文章、論文を一週間後、一ヶ月後 に読むと、誤りや不足の点に気付く それは文章や論文が対象化されたから • こういう対象化が大事 • 録音した自分の発音を聞いて、初めて客観的な 判断ができる。暗誦、朗読、スピーチ練習で一番 大事なポイントだと思う 7
  8. 8. 三年生の頃 • 坂本一郎先生の語特(語学特殊講義)を履修 ー先生が読まれた《人民日报》の記事を切り抜き教室へ ーその記事を先生が読み上げ、学生が“听写”する ー当てられて“不明白。”と言うと、身を乗り出してこられ、 “不明白吗!?”と何とも言えない悲しそうな表情に ー「坂本先生のあの悲しそうな表情は見たくない」と思い、 短波放送がよく聞けるSONYのラジオを購入。必死で “中央人民广播电台”の放送を“听写”する -最初は1語、2語しか書けなかったが、1年後には書け ないところが1語、2語になる。これは自信になった ・ 徹底して“耳音”を鍛える、これが第二のポイント 8
  9. 9. 音が耳にこびりつく • 何度も何度も聞くため、音が耳にこびりつく ー今でも耳に残っている音がある ーDà yŏu hēiyún yā chéng chéng yù cuī zhī shì ー何度聞いても分からない。 ー 一ヶ月後船便で届いた《人民日报》を確認 早速“社论”を見る。なんと唐詩の一節 • 聴覚映像の活用が重要と悟るー①音声なしで文 字を見ながら暗誦する②音声を聞きながら、そ の真似をして暗誦する。この差は歴然としている 9
  10. 10. 朝日新聞主催中国語弁論大会 • 1967年3月坂本一郎先生が神戸外大から関大へ ーこの年、関西大学は東洋文学から中国文学へ改編 ー文学では増田渉先生、語学では坂本一郎先生を招聘 • 1967年10月中国語学研究会(日本中国語学会の前身)が 前夜祭として弁論大会開催(北九大。審査委員長:藤堂明 保。坂本一郎先生も一審査員(関大教授として)) • 同年12月、朝日新聞が「国連公用語で弁論大会がないの は中国語だけ」という理由から、中国語弁論大会を開催。 ー第一回、第二回は神戸外大の学生が優勝 ー第三回は坂本先生の薫陶を得た関大生が優勝。赴任後 僅か3年で関大生を優勝させた坂本先生の凄さを再認識 10
  11. 11. 神戸外大卒業後 • 1968年神戸外大修士、1970年大阪市大博士 • 1970年坂本先生の推薦で追手門大学非常勤講師に ー大学の教壇に立つからには中国をこの眼で見たい ー学生友好訪中団「斉了会」に参加、中国へ。120名 • 1973年大阪市大助手に採用 • 坂本一郎先生が去られた後の神戸外大の凋落ぶり ーある在校生の言葉:「中国語を話せる学生なんか、 いないですよ」の言葉に愕然とする • 神戸外大をなんとかしなければという思い強まる • 自分は文学部には合わないという気持ちが募る 11
  12. 12. 1982年神戸外大着任 • 赴任するにあたり、二つのことを密かに決意 ①坂本時代を再現するー使える中国語教育を実践 ー使える中国語教育の象徴=スピーチコンテスト優勝 ー神戸外大をスピーチコンテストの常勝軍に育てたい ー最大の目標にしたのは朝日新聞での優勝奪回 ーこれはすぐに実現できると考えていた。現実は甘くは なく、厳しかった。結局12年かかった ②太田辰夫の学問を継承するー中国語の歴史的研究 ー太田辰夫の存在があまりに大きく、実現できないこと は分かっていた。ただ、夢は大きく持とうと思った 12
  13. 13. 入門期の発音指導のコツ ー畏友日下恒夫君の影響大 ・声調の教え方ー大阪弁の応用 ー第一声:気つけて行きや、第二声:樹(き) ー第三声:樹(き)がある、第四声:車のキー ・有気音、無気音の教え方 ー「息を出す」と教えると大抵きばって力が入る ー「むきになるとゆうきにならへんで」 ー力を抜くのがコツ。囁かせてみる(タカコスキ) ・そり舌音の教え方ーラ行音を発音させる。「舌を伸ばして ラ行音発音してみ。」「り」の濁音を発音。riの近似音 ー 身近なことを例に取り上げるのがコツ。“yu”“e”が課題 ・電車の中ヒマやろ?舌を動かす練習しとき。但し口を閉じて な。口開けてやったら「外大生アホばっかり」と思われる 13
  14. 14. 入門期に適している先生は 日本人?中国人? • 一般の人:中国人に習えば間違いない • 中国人は中国語を空気と同じ感覚で習得 ー声調はどうすればマスターできるか ーそり舌音はどうすればマスターできるか ーどうすれば、有気、無気の弁別ができるか • こういうことを獲得する苦労が分からない • 日本人は入門期の発音の難しさを体験済み • どこが難しいかをよく理解している • 従って、入門期を教えるのに適している先生は日本人 • 上級になれば、日本人教師は無理 14
  15. 15. 暗唱、朗読、スピーチ指導 • 暗唱、朗読:必ず模範朗読を手本とすべし • スピーチは模範朗読の音声がない。不本意なが ら、自分で録音せざるを得ない • 指導のポイント: ①力を抜かせること。慣れない時、どうしても力 が入る。力が抜けさえすれば、かなり自然になる ②感情を移入させること。①ができれば、②も達 成しやすくなる ③学生が原稿の文章を自分の言葉とすることが できればOK 15
  16. 16. 私のスピーチ指導 ・1人、練習3回の原則 ー1回目:原稿を見て録音し、自宅学習させる 日本人の発音を真似させるのは不本意だが、どういう話し 方をすればいいかのイメージを与えるため、やむを得ない ー2回目:練習してきたのを聞き、欠点を指摘 ー3回目:その欠点克服度をチェックー終了 その間一週間、学生が咀嚼、納得することが大事 スパルタ教育では効果上がらず ・目標:①如何に感情を表現させるか? ②学生の、その時点での最高のレベルにもっていくこと 原稿の中国語を如何に自分の言葉にするか? 最後は「思いっきり楽しんでおいで」と送り出す 16
  17. 17. 佐藤道場 • スピーチコンテストに出場する学生の99%が 佐藤道場へ練習に来た • 中には卒業した後でも、練習に来た学生が いた • 今でも強烈な印象として残っている学生 • 唯一、佐藤道場に来ず、しかも何度も一位を 取った学生が一人いた。これは見上げたもの • なぜ来なかったのか、確認してみたい 17
  18. 18. 高校スピーチコンテスト会場での経験 • 出場者が課題を丸暗記ー“死记硬背”を目撃 • まさに苦行僧が念仏を唱えるがごとく • これは最悪の学習法ー我流の発音しか身につかぬ 日本人の“腔调”になってしまう • 言葉に重要な感情表現が習得できない • 自分の方法で高校生の発音指導をやってみたい ー高校の先生に依頼、高校生の発音指導を試みる ー外大の兼修中国語の学生の発音指導も試みる ー週のコマ数の少なさを痛感。専攻生のようにはいか ない。普段の訓練が重要と悟る 18
  19. 19. 授業の中から生まれた 『長文読解の秘訣』 • 自分自身、一年生から二年生に進級した時のギャップ ー 短文から長文になった時の難しさを体験 • 授業を担当するー専攻中国語の二年生、第二外国語の 二年生の前に立ちはだかる「長文」という壁。一年生は ほぼ単文ばかり、二年生になったら長文。このギャップを 何とかできないか?どうすれば長文に慣れるか? ①長文ができる大きな原因は修飾語。修飾語を省けば、 基本構造が見えてくる→“的”を探せ ②次に述語はどれか?→“了、着、过”を探せ ーこれを授業で試してみる。学生は「ああ」と言って即理解 ーこんな考えを抱いていた時、毛丹青老師から依頼される 19
  20. 20. おわりにー私の好きな“俗语” • 虚心使人进步,骄傲使人落后。 • 活到老,学到老;学无止境。 • 学如逆水行舟,不进则退。 • 路遥知马力,日久见人心。 • 不怕慢,只怕站。 • 瘪谷子的头高。 20

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