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ライブラリー・リソース・ガイド(LRG) 第6号/2014年 冬号・特集「図書館で学ぶ防災・災害」

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2016年4月に発生した熊本地震を鑑み、オープンアクセスとします。

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ライブラリー・リソース・ガイド(LRG) 第6号/2014年 冬号・特集「図書館で学ぶ防災・災害」

  1. 1. 54 東日本大震災と図書館 ─ 図書館を支援するかたち  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 ★ 1 すでに携帯電話各社は通信制限を行っており、回線がスムースにつながったのはイー・モバ イル社であった。 ★ 2 東日本大震災の地震被害等状況及び避難状況について http://www.pref.miyagi.jp/site/ej- earthquake/km-higaizyoukyou.html[最終アクセス:2014年1月10日] ★ 3 東日本大震災に伴う公立学校等の被害状況等について(調査継続中)http://www.pref.miyagi. jp/uploaded/attachment/235955.pdf [PDF][最終アクセス:2014年1月10日] ★ 4 熊谷慎一郎「東日本大震災からの図書館の復旧・復興支援 宮城県図書館の役割」情報管理 Vol. 54, No. 12(2012)797-807 ★ 5 片山善博[述]学校図書館と知の地域づくり[全国教科用図書卸協同組合][2011] ★ 6 片山善博、津久井進(2007)災害復興とそのミッション:復興と憲法 pp.11-14 [参考資料] 以下は、2014 年 1 月 10 日現在、宮城県図書館の職員が著者として各種報告を発表した図書・雑 誌記事の一覧である。3月までに本稿を含め2本程度の記事が掲載される予定である。 熊谷慎一郎「東日本大震災からの図書館の復旧・復興支援 宮城県図書館の役割」情報管理 Vol. 54, No. 12,(2012)797-807 熊谷慎一郎「宮城県内市町村図書館等に見る東日本大震災からの復興の現状」国立国会図書館月 報(617)2012.8. 11-14 熊谷慎一郎「図書館の復旧と復興のための支援と受援:宮城県図書館の取り組みを通して」図書 館界 / 日本図書館研究会[編]64(2)=365:2012.7. 89-93 熊谷慎一郎、宮川陽子、松岡要、他 . 第 13 回図書館総合展 創業 97 周年記念フォーラム「図書館の ための事業継続計画(BCP)とは何か?:東日本大震災を踏まえて」Lisn : Library & information science news / キハラ株式会社マーケティング部編(151)2012.春. 1-23 熊谷慎一郎「図書館の役割を問い直す:東日本大震災の経験から」日本生涯教育学会年報 / 日本 生涯教育学会年報編集委員会 編(33)2012. 157-168 熊谷慎一郎「東日本大震災からの復旧・復興と宮城県図書館の取組み」情報の科学と技術 / 情報 科学技術協会[編]62(9)2012. 385-390 田中亮 宮城県図書館「東日本大震災文庫」について 日本古書通信 / 日本古書通信社[編]77 (6)=995:2012.6. 2-4 和賀修治「安全・安心な」図書館を目指して:防災の取組み 會報 / 宮城県消防設備協会[編] 35:2013.3. 16-18 特 集 嶋田綾子 図書館で学ぶ防災・災害
  2. 2. 56 図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 57図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 岩手県立図書館では東日本大震災に関する資料を収集し、館内に専用書架を設 け「震災関連資料コーナー」として利用に供している。収集資料は図書、雑誌、新 聞、臨時に出された広報、災害対策本部の情報といった行政資料、復興計画など の非売資料、避難所だより、ボランティアニュース、イベントのチラシの他、各地 における震災報道の様子を知るために、震災後発行された地方新聞(2011 年 3 月 ∼ 5 月までの 44 紙)を収集している。 なお、図書館サイト内に「東日本大震災情報ポータル」を設け、イベント案内、 リンク集、新着資料情報の提供などを行っており、ウェブサイトの OPAC では 「テーマ別検索」として、東日本大震災および地震災害に関する 14 のテーマで所 蔵資料を検索が可能である。 その他、地元紙の震災関連記事索引については、発災以来継続的に収集してい る(採録紙:岩手日報、岩手日日新聞、盛岡タイムス、復興釜石新聞、東海新報)。 2014 年 1 月からは、同コーナーの資料を国立国会図書館東日本大震災アーカイ ブ「ひなぎく」に情報として提供している。 震災関連資料コーナー 岩手県立図書館(岩手県盛岡市) 震災関連資料コーナー 詳細データ ●開始時期 2011年10月21日(プレオープン) 2012年4月1日(本オープン) ●収集点数(2014年1月4日現在) 図書…2,545冊 雑誌…843タイトル(6,157冊)  一枚もの…8,960点(震災関連のポスター、チラシなど) ●運用体制 1. 収集の呼び掛け ◎館内および県内図書館でのポスター掲出とチラシ配布 、ウェブ(ホームページ、Twitter公 式アカウント、メールマガジン)での呼び掛け◎イベントでのチラシ配布 、出版社などの資 料刊行元への寄贈依頼(電話、メール、直接訪問)◎報道機関や公的機関に対しては年に2度、 震災関連資料の提供依頼文書を発送 ◎県内市町村役場や社会福祉協議会などを直接訪問 2. 館内、館外での提供方法 館内に専用書架を設置 図書館サイトで公開 ●コレクションのポイント 1. 収集内容の特色 市販の図書や雑誌の他に震災関連のチラシやポスターも収集対象としており、発災後約 3 ヶ 月分の各種雑誌および全国地方紙、被災当時の航空写真なども所蔵している。 2. 収集にあたって心掛けていること 震災関連資料については、可能な限り3部収集する ●収集資料の活用事例 *下記の映画会・写真展・講演会で、震災関連資料の展示を一緒に行った(直近の10件のみを抜粋) 展 示 郷土教育資料に描かれた岩手のことば̶̶沿岸被災地を中心に̶̶ 2013年12年28日∼2014月3月24日 展 示 「1097歩」∼3年目の市町村∼ 2013年12年28日∼2014年3月24日 展 示 わたしたちの使命∼赤十字の事業∼ 2013年10月1日∼12月26日 企画展 企画展「津波を伝える記録と文学」 2013年8月1日∼9月23日 講演会 読み聞かせと講演会「東本大震災を伝える魂̶̶手づくり絵本の活用を通して̶̶」 2013年8月10日 展 示 写真展「3・11以前̶̶美しい東北を永遠に残そう̶̶」 2013年8月1日∼9月23日 映画会 夏の特別映画会「3・11メモリアルフィルム ひとつ」 2013年8月3日 展 示 特別展示「震災復興ポスター展」 2013年6月1日∼7月30日 講演会 復興釜石新聞編集長が語る東日本大震災∼災害時における地域紙の役割∼ 2013年4月20日 展 示 報道写真展示「記憶忘れてはいけないこと」 2013年4月1日∼5月30日 岩手県立図書館 岩手県盛岡市盛岡駅西通 1-7-1 https://www.library.pref.iwate.jp/ Tel:019-606-1730 Fax:019-606-1731 震災関連資料コーナー 提供:岩手県立図書館
  3. 3. 58 図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 59図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 東松島市図書館の「ICT 地域の絆保存プロジェクト[東日本大震災を語り継 ぐ]」は、図書館振興財団の助成金約 760 万円を受けて、2012 年 6 月から 2013 年 3 月まで行われたプロジェクトである。プロジェクトの活動内容は、幅広く震災 に関連する資料を収集する他、「語り手募集」を市民に呼び掛けて震災体験の取材 協力を募ると同時に、同図書館のスタッフが被災地に赴き、仮設住宅などで暮ら す被災体験者にインタビューした動画や音声、テキストを発信している。インタ ビューの収録数は約 110 名で、体験談投稿者は 33 名である(『平成 24 年度(2012 年度)事業実施概要』より)。体験談は PDF 化・映像化(承諾者のみ撮影)し、図 書館サイトではダイジェスト版を、館内では iPad で完全版を公開している。 「ICT 地域の絆保存プロジェクト」は、震災の記憶を風化させることなく、一日 でも早く被災された方が普段の生活を取り戻すこと、防災教育やまちづくりに役 立ててもらうこと、今後の自然災害から生活を守ることなどを目的にしており、 財団からの助成が終了した今も続いている。 ICT地域の絆保存プロジェクト[東日本大震災を語り継ぐ] 東松島市図書館(宮城県東松島市) ICT地域の絆保存プロジェクト[東日本大震災を語り継ぐ] 詳細データ ●開始時期 2012年6月(本格的に活動を開始) ●収集点数 震災関連図書…1,000 点(「学校たより」などの月毎発行資料は年度毎にまとめ 、1 点とし て収集。 これをきっかけに定期的に収集できるようになった) 伝統芸能などの映像(大曲浜獅子舞・東名塩田カルタ・統合する学校関係資料〈エジプトダン ス・校歌など〉など…10 点 震災関連新聞記事の見出しなどの目録データ(整理済み)…3,000 件以上 地元紙・中央紙・他県から支援を得て収集した新聞…17 紙 震災体験談…市民約 110 名、体験談投稿者 …33 名 震災関連…写真 4,000 枚以上、動画 3 点(本市の秘書広報班、市民が提供したもの。整理で き次第公開)   ●運用体制 1. 収集方法 図書館サイト、新聞、TV、市報などによる市民への呼び掛け 2. 館内、館外での提供方法 館内に特設コーナーを設置(紙媒体資料。体験談の動画などは、館内の視聴用タブレットで) 図書館サイトで公開(震災時の写真や体験談動画、新聞記事の見出し検索などが可能) ●コレクションのポイント 1. 収集資料の特色 市民の震災体験談や写真を収集する他、震災の記録を残すワークショップなども開催している。 2. 収集にあたって心掛けていること 避難所・仮設住宅の住民に向けたミニコミ紙やチラシなどの他、時間と共に風化する記憶(生 の資料)を「消えていく資料」と捉え、積極的に早期に収集・整理・保存活動に取り組んでいる。 ●活用事例 震災関連の講演会にて資料のパネル展示などを行い、来場者への意識啓発・推進を行っている。 県外では、震災の体験談を使った防災の意識啓発や支援の理解や促進を狙いとした上映会を開 催している。 東松島市図書館 宮城県東松島市矢本字大溜 1-1 http://www.lib-city-hm.jp/ Tel:0225-82-1120 Fax:0225-82-1121 「3.11震災の記憶」コーナー 提供:東松島市図書館 みんなで印そう!津波の高さMAP 提供:東松島市図書館
  4. 4. 60 図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 61図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 東日本大震災を受けて、2012 年の 4 月 28 日に開設した「東日本大震災福島県 復興ライブラリー」は、原発事故や放射線除染の関連資料の収集に力を入れてい る他、地震、津波、震災体験記、復興、防災などのテーマ別の資料を配置し、具体 的には 雑誌、記録集、写真集、映像、画像、広報誌、フリーペーパー、手記、文集、 ルポ、調査報告書、計画書、説明会、相談会での配布資料など、東日本大震災に関 連する資料を幅広く収集している。 このライブラリーで特徴的なのが、職員が作成するライブラリーのブックガイ ドだ。コレクションする震災資料を職員が読んで、その概要に解題を添えて紹介 するもので、同館ではこのブックガイドと資料を並べて展示するコーナーも設 けており、よく利用されている。ブックガイドの発行は 2013 年 2 月から開始さ れ、不定期ながら 2014 年 1 月までに 7 号が発行されている。大震災から 3 年、そ の関連資料を収集するだけでも膨大な作業でありながら、同館のこのような試み は、震災復興にかける職員の切実な思いを感じることができる。 な お 同 館 の 司 書、鈴 木 史 穂 さ ん が 作 成 し た ポ ス タ ー「The Librarians of Fukushima」は、震災直後から復興に向かっていく様子を時間軸で捉え、未曾有の 震災に直面した被災地で活動する図書館員たちのさまざまな試行を似顔絵と一緒 に紹介したもので、2013 年世界図書館情報会議(WLIC)・国際図書館連盟(IFLA) 年次大会において、ベストポスター賞を受賞した。 東日本大震災福島県復興ライブラリー 福島県立図書館(福島県福島市) 東日本大震災福島県復興ライブラリー 詳細データ ●開始時期 2012年4月28日 ●収集点数 5,539タイトル(2013年9月11日現在)   ●運用体制 1. 収集方法 寄贈についてのチラシ・ポスターを館内に掲示する他、図書館サイトへの掲載、市町村図書 館への配布。 収集するものが特定する場合は、発行元へ直接依頼 2. 館内、館外での提供方法 特設の書架を設置 図書館サイトで公開(年に2回作成している同ライブラリーの「資料一覧」など) ●コレクションのポイント 震災・復興関連資料の中でも、特に福島県に関係する資料については網羅的な収集を目指して いる。福島第一原発事故を経験している図書館の責務として、原発問題、放射線、エネルギー問 題の資料も収集対象としているのが特徴である。 ●活用事例 他の図書館での震災関連展示に活用してもらうよう、「出張展示」の制度がある 福島県立図書館 福島県福島市森合字西養山 1 http://www.library.fks.ed.jp/ Tel:024-535-3218 Fax:024-536-4787 東日本大震災福島県復興ライブラリー 提供:福島県立図書館
  5. 5. 62 図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 63図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 東日本大震災での被災から 2 ヶ月後の 2011 年 5 月、同館では図書館の再開に 合わせて、震災関連の資料を展示するコーナーを開設している。開設当初は「東 日本大震災関連資料」という名前だったが、2012 年 2 月にリニューアルして「3.11 震災文庫」になった。 収集対象は CD や DVD など視聴覚資料を含む記録集や写真集の他、団体・個 人の手記や体験記、広報誌、ミニコミ、パンフ、チラシ、避難所や仮設住宅に配布 された資料や壁新聞、イベント、講演会、講座などで使用されたポスターや配布 資料など、震災に関するあらゆるものが対象となっており、震災の記録を残すと ともに、資料を収集・公開することで、復興や生活再建を支援する情報提供を行っ ている。 なお、仙台市民図書館が入る複合文化施設「せんだいメディアテーク」の管理 運営業務は、別組織の公益財団法人仙台市市民文化事業団が行っている。図書館 機能は独自に管理しているが、所蔵する図書や映像音響ライブラリーの中には、 施設内の事業で制作されたもの(CD や DVD を含む)、目や耳が不自由な方向け のサービスや学校教育・社会教育向けの教材ライブラリーも含まれている。 また、例年 3 月初めに行う図書館とメディアテークが共催で企画するイベント 「としょかん・メディアテークフェスティバル」では、メディアテーク1階のオー プンスクエアにブースを設け、3.11 震災文庫から一部資料の展示を行っている。 3.11震災文庫 仙台市民図書館(宮城県仙台市) 3.11震災文庫 詳細データ ●開始時期 2011年5月(トピックコーナーに展示・貸出) 2011年6月23日(常設コーナー設置) ●収集点数 2,823点(2012年度末時点)   ●運用体制 1. 収集の方法 図書館サイト・チラシによる寄贈の依頼 2. 館内、館外での提供方法 館内に常設コーナー「3.11震災文庫」を設置 図書館サイトで公開(「3.11 震災文庫」のバナーを設け、震災関連資料検索から「書誌一覧」 を表示可能) ●コレクションのポイント 1. 収集内容の特色 民間の広報誌・自主出版物も収集対象としている。被災地域住宅地図、被災地の震災前後の 航空写真も収集。 2. 収集にあたって心掛けていること 関連本は漏れなく収集するようにしている ●活用事例 「としょかん・メディアテークフェスティバル」での一部資料の展示など 仙台市民図書館 宮城県仙台市青葉区春日町 2-1(せんだいメディアテーク内) https://lib-www.smt.city.sendai.jp/ Tel:022-261-1585 Fax:022-213-3524 E-mail:tosyokan@smt.city.sendai.jp 3.11震災文庫 提供:仙台市民図書館 関連情報 としょかん・メディアテークフェスティバル http://www.smt.jp/toplus/?cat=1
  6. 6. 64 図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 65図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 福島大学附属図書館は、2011 年 4 月に同大学が設置した「うつくしまふくしま 未来支援センター」と協働して、約 1,400 点の東日本大震災の関連資料を収集し、 2012 年 4 月より「震災関連資料コーナー」を館内に設置して資料を提供している。 なおこのコーナーは、震災発生後、間もない 2011 年 5 月 25 日に約 100 冊の特設 コーナー「今、知りたいこと」として 開始された展示のリニューアルである。 収集内容は市販されている図書の他に、震災関係の研究における成果論考、調 査研究資料、被災地への学生ボランティアの派遣といった活動記録などであり、 知の拠点である大学が震災に対してどのような活動をしたのかを後世に伝える資 料群ともなっている。 なお、収集した所属教職員の成果物資料のうち、許諾を得たものは同大学の機 関リポジトリ「FUKURO」で電子公開している。 震災関連資料コーナー 福島大学附属図書館(福島県福島市) 震災関連資料コーナー 詳細コーナー ●開始時期 2012年4月 ●収集点数 約3,100点(2014年1月現在)   ●運用体制 1. 収集方法 図書館サイトで呼び掛け 館報による周知 所属教職員には成果物(被災時の記録、出版物、報告書など)の寄贈を文書で依頼 うつくしまふくしま未来支援センターに継続して購入経費措置、出版物などの協力を依頼 2. 館内、館外での提供方法 開架閲覧室1階にコーナーを配置(学内外の利用者が自由に閲覧できる状態となっている) ●コレクションのポイント 1. 収集資料の特色 出版された資料を中心に、所属教員のプロジェクト報告書、教員が関わった団体の記録など を収集する。 2. 収集にあたって心掛けていること 同学での学習教育活動、福島で生活していく方々が活用できるよう、震災、原発、ボランティ アのテーマに留まらず、郷土、教育、科学、防災、産業などさまざまなテーマの資料群となる よう心掛けている。今後は被災時の記録、同大学の学生が関わった活動記録なども充実して いく予定。 福島大学附属図書館 福島県福島市金谷川1 http://www.lib.fukushima-u.ac.jp/ Tel:024-548-8083 Fax:024-548-2377 E-mail:kanri@lib.fukushima-u.ac.jp 震災関連資料コーナー 提供:福島大学附属図書館
  7. 7. 66 図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 67図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 東日本大震災で被災したゆうき図書館は、震災直後から館内の被災状況をウェ ブアルバムサービス Picasa で公開し、日々復旧していく様子を記録した。写真は 震災当日の 2011 年 3 月 11 日から 4 月 9 日まで、ほぼ毎日の様子を写し出し、大 量の図書が書架から崩れ落ちて足の踏み場のない様子や、それらが図書館員の手 で書架に戻されていく様子の他、館の入り口に貼り出された開館予定日や臨時休 館を知らせる掲示などを伝えている。本アルバムは、現在も公開されている。 同館は、被災による復旧作業で約 3 週間、閉館を余儀なくされた。そのとき、職 員たちは利用者に公共図書館サービス(人・場所・資料など)を提供することが できず、申し訳ない思いをしたのだという。そうしたなか、せめてもの思いで、被 災と復旧作業の状況を利用者に公開する責任を感じ、撮影し、収集したのがこの 取り組みだったが、開館した際には、アルバムを見ていた人から好意的な意見が 多く寄せられたという。 なお同館では、被災により仮設暮らしを経験した東北の図書館員を招き、被災 時に読んで心に残った本を選定してもらい棚の展示を行うなど、被災後、毎年 3 月になると、東日本大震災にまつわる企画を行っている。 写真アルバムによる被災・復旧状況の発信 ゆうき図書館(茨城県結城市) ゆうき図書館の取り組みに関するデータ ●実施時期 2011年3月11日∼4月9日 ●収集点数 写真…127点   ●館内、館外での提供方法   図書館サイトでのみ提供 ●活用事例 被災の翌月(2011 年4月)の月例で行う企画展示(イベント棚)を「災害と対策」に変更し、タ イトルバックの写真に被災状況の写真を採用。耐震や液状化現象対策、サバイバルブックや応 急手当、放射線や原子力発電など91点の資料を展示した。 ゆうき図書館 茨城県結城市国府町 1-1-1 http://lib-yuki.city.yuki.lg.jp/ Tel:0296-34-0150 Fax:0296-34-0120 E-mail:lib-yuki@city.yuki.lg.jp ゆうき図書館の復旧状況(書架を下げながらの排架) 提供:ゆうき図書館 ゆうき図書館の被害状況(書架からの資料崩落) 提供:ゆうき図書館  資料・写真の活用事例(「災害と対策」展示) 提供:ゆうき図書館  ゆうき図書館の被害状況(新川和江コレクションガラスケースの 崩壊) 提供:ゆうき図書館  参考情報 ゆうき図書館のイベント棚 平成 23 年 4 月 災害と対策(ブクログ) http://booklog.jp/users/lib-yuki_event?display=front&category_id=1533141&status=0&rank=0 &sort=sort_desc
  8. 8. 68 図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 69図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 現代の防災・災害対策を後世に伝え残すこと̶̶東北学院大学図書館は、被災 地における大学の使命をこのように捉え、幼稚園から大学院まで、学校法人東北 学院が設置する全ての学校内で作成、生産された東日本大震災に関わる資料を、 教職員などに呼び掛けて収集している。収集した資料は永久保存し、広く社会に 提供するために電子化し、学校法人東北学院デジタルアーカイブ「東日本大震災 の記録 Remembering 3.11」として公開している。収集対象期間は 2011 年 3 月 11 日から 2012 年 3 月 11 日までの 1 年間で、アーカイブの内容は手書きメモを含む 資料や復旧作業記録、会議記録、各部署の連絡メールの本文など、公式な報告書 などではカバーできない「生きた情報」も含む。またテキストの他に写真、動画も 含まれ、利用者はその資料をキーワード検索や時系列で検索することができる。 なお同学院はデジタルアーカイブを構築するにあたり、学校法人東北学院 東日 本大震災アーカイブプロジェクト委員会を設置し、依頼・収集の作業にひと工夫 している。提供を呼び掛ける資料の内容やキーワード、テーマを依頼先の部署ご とに記載する他、提供された資料を受け取る際に、資料の内容がひと目で分かる チェックリストを依頼書につけて、マッチングの精度を高め、整理の簡略化をは かっているのだ。また、同学院はこのアーカイブを生かした学術誌『震災学』や『東 日本大震災 東北学院 1 年の記録』などを刊行する他、専門的知識を活かして研究 や助言を行っている。 東日本大震災の記録 Remembering 3.11 東北学院大学図書館(宮城県仙台市) 東日本大震災の記録 Remembering 3.11 関連情報データ ●開始時期 2013年5月15日 ●収集点数(2013年12月末現在) 12,485件(うち公開可能は8,795件)(2014年1月27日現在) 内訳は下記の通り アナログ(紙ベース)データ…674件(うち公開可能は174件)※全てPDFファイルに変換 ボーンデジタルデータ…825件(うち公開可能は501件)※全てPDFファイルに変換 写真データ…10,977件(うち公開可能は8,111件)※全てJPEGファイルに変換 動画データ…9件(うち公開可能は9件) ● 運用体制 1. 収集方法 「学校法人東北学院 東日本大震災アーカイブプロジェクト委員会」より、法人設置学校全て に対し資料の提出を依頼(資料提出先・デジタルアーカイブ構築作業は大学図書館にて担当) 大学:全学会議(部長会)を通じ、全教職員へ呼び掛け その他学校:校長・園長を通じ所属教職員へ呼び掛け 関連諸機関:責任者を通じ構成員へ呼び掛け 2. 館内、館外での提供方法 【デジタル化データ(公開データ)】 下記の条件をクリアするものは全てウェブで公開(http://archive311.tohoku-gakuin.jp/) 個人情報・機密事項が含まれていないもの 提供部署から特別に公開否の要望がなかったもの 個人情報が含まれているが、マスキングにより公開に耐えうるもの 【デジタル化データ(非公開データ)】 デジタルアーカイブ用ハードディスクに保管 【原本】 デジタル化作業終了後、図書館事務室内専用キャビネットで保管。個人情報の関係から現時点 では図書館資料としての所蔵登録は実施していない。 ●コレクションのポイント 1. 収集対象校 【学校法人東北学院 】 法人事務局 東北学院大学図書館 宮城県仙台市青葉区土樋 1-3-1 http://www.lib.tohoku-gakuin.ac.jp/ Tel:022-264-6493 Fax:022-264-6489 E-mail:lib-query@staff.tohoku-gakuin.ac.jp 東日本大震災コーナー 提供:東北学院大学図書館
  9. 9. 70 図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 71図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 【学校法人東北学院設置学校】 東北学院大学 ・土樋キャンパス(仙台市青葉区) ・泉キャンパス(仙台市泉区) ・多賀城キャンパス(多賀城市) 東北学院中学校・高等学校(仙台市宮城野区) 東北学院榴ケ岡高等学校(仙台市泉区) 東北学院幼稚園(多賀城市・大学多賀城キャンパス内) 【関係諸機関】 東北学院大学教職員組合 東北学院中学校・高等学校教職員組合 東北学院榴ケ岡高等学校教職員組合 東北学院大学生活協同組合 2. 収集対象資料 【2011年3月11日∼2012年3月11日に学内で作成された下記の資料(原本)】 ・写真類(被災状況、復旧状況) ・動画類(被災状況、復旧状況、各種活動記録、メディア放映情報) ・文書類(会議記録、報告書、周知文、各種連絡文書、連絡メール本文/プレスリリース/震災に 係る本学関連新聞記事/手書きメモ) ・発災当時のウェブサイトデータ 【個人記憶収集フォーム(臨時・派遣・委託職員含む全教職員対象)】 ・発災当時の個人ベースの行動記録(主に業務に関すること)を各自記入 ●活用事例 国立国会図書館東日本大震災アーカイブ「ひなぎく」とメタデータ連携を行い、ファインダビリ ティの向上につなげている(2013年8月)。 構築したデジタルアーカイブを学内における災害資料データベースとして位置づけ、収録され たデータを活用し学校法人としての震災記録集を作成中(2014 年3 月発行、発売予定)。記録集 には非公開データについても編集を加えたかたちで利用している。 2013 年 3 月 7 日に公開された「国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(ひな ぎく)」は、東日本大震災関係の関連資料のアーカイブを一元的に検索するポータ ルサイトである。東日本大震災に関する資料は、過去のどの災害においても例に みられないほど全国規模で情報収集が行われているが、それぞれが独自に行って いるため、一元的に情報が収集できる仕組みが求められていた。ひなぎくはこう したニーズに応えるもので、現在、全国の図書館や自治体、民間企業や各種団体 など、29 のアーカイブを一括で検索することができる。 ひなぎくは、東日本大震災から学ぶあらゆる教訓を次世代に伝え、被災地の復 旧・復興事業から今後の防災・減災に役立てることを目的とし、音声、動画、ウェ ブの情報などを包括的に検索することができる。 同ポータルサイトは国立国会図書館と総務省が共同開発し、2013 年度からは 国立国会図書館が全ての保守、運用を行っている。ひなぎくは、全国のさまざま な機関が収集した東日本大震災関係のアーカイブデータを一元的に検索できるの が特徴的で、そのほとんどが国会図書館以外の機関が収集したデータからなる。 国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(ひなぎく) 国立国会図書館(東京都千代田区) 国立国会図書館 東京都千代田区永田町 1-10-1 http://www.ndl.go.jp/ Tel:03-3581-2331(代表) E-mail:hinagiku@ndl.go.jp 参考情報 国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(ひなぎく) http://kn.ndl.go.jp/
  10. 10. 72 図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 73図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 2001 年に開館したせんだいメディアテークは 、生涯学習のための施設で、図 書館や映像音響ライブラリーを中心に、ギャラリー、シアター、イベントを行う 広場、スタジオなどがある複合的な文化施設である。 市民活動の拠点となるスタジオでは、震災前からデジタルメディア機器を市民 の活動に生かすためのサポートをし、市民が制作した青果物をメディアテークに 納めてもらうことで、市民の手によるライブラリーをまた別の市民に還元してい くという、スタジオを軸にした一連の市民協働のスキームがあった。東日本大震 災後、このスキームを生かしたプロジェクトが「3 がつ 11 にちをわすれないため にセンター」(通称:わすれン!)である。 「わすれン!」は、東日本大震災への復旧・復興のプロセスを、市民、専門家、 スタッフが協働して独自に発信、記録保存し、東日本大震災に対しともに向き合 い考え、復興への長い道のりを歩き出すことを目的に活動が開始された。発足の 動機には、阪神大震災を経験した「わすれン!」のスタッフが、当時「当事者の視 点」のないマスメディアの報道に違和感を覚えたことが一つの引き金になってい るという。 また、「わすれン!」が、他の東日本大震災のアーカイブの試みと異なるのは、 多くの団体が震災の記録を収集、保存することが活動の目的であるのに対し、震 災を記録することが学び(生涯学習)につながると考え、記録をしたい活動者の サポートをするプロジェクトであるということだ。そのため、「わすれン!」で参 加者が記録するものは、地震・津波・原発事故など災害の種類や被災度合いに関 わらず全く自由で、東日本大震災に対し向き合う記録であれば、撮影する場所も、 限定していないという。つまり、記録する内容は参加者の判断に委ねられ、スタッ フが何か指示するような仕組みを取り入れてはいないのだ。その分「わすれン!」 では、制作過程や、記録されたものの上映機会などを通して人が集まり、語り、交 流するさまざまな場づくりに注力し、参加者の活動の活性を促している。 3がつ11にちをわすれないためにセンター せんだいメディアテーク(宮城県仙台市) 3がつ11にちをわすれないためにセンター 詳細データ ●開始時期 2011年5月3日 ●収集点数 映像…659件 写真…37,536枚 音声…18件 ※映像と音声は受入件数。1件の中には、複数の映像と音声が入っている場合がある。   ●運用体制 1. 参加者募集の呼び掛け 開設から一貫して、記録をしたい活動者(市民・専門家など)を募集。 市民からセンターへ寄贈の希望がある場合は受入。ただし「記録物の収集」は広報していない (下記の場合を除く)。 2. 写真の共同募集 センターの参加者である「NPO 法人20 世紀アーカイブ仙台」とは、写真の共同募集を2011 年から継続的に実施している。ただし共同募集は募集期間を限定しており、常時行っているわ けではない。 ※最近の写真共同募集事例(http://recorder311.smt.jp/information/33974/) 3. 手記の募集 センターの参加者である「レインボーアーカイブ東北」(多様な性の当事者たちの震災体験を 集積・記録・発信する団体)とは、同団体のメンバーが東北各地の当事者に直接連絡を取り、 少しずつ手記と写真が集まりつつある。 ※レインボーアーカイブ東北について(http://recorder311.smt.jp/information/33307/) ●館内、館外での提供方法 ウェブサイトで公開 日本語サイト(2011年6月末開設)で公開済のもの(http://recorder311.smt.jp/) 映像…438本 写真:1,230枚 音声:36本 ※2014年1月末現在 英語サイト(2012年7月開設)に翻訳公開済みのもの(http://recorder311-e.smt.jp/) 映像…150本 写真…395枚 音声…22本 ※2014年1月末現在 DVD配架・貸出…15本(2013年12月末現在) ※現在配架しているDVDは、2011年度に参加者が制作したもの。来年度4月には2012年度に せんだいメディアテーク 宮城県仙台市青葉区春日町 2-1 http://www.smt.jp/ Tel:022-713-4483 Fax:022-713-4482 E-mail:office@smt.city.sendai.jp
  11. 11. 74 図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 75図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 上映した参加者の記録映像 17 本がさらに配架される予定。これらの映像は、後述する上映 会を行ったものの中から権利関係がクリアになっているもので、このほとんどはウェブサイ トで公開していない。DVD は 2 階の映像音響ライブラリーに配架しており、館内視聴は 2 階 のライブラリーだけではなく、7階のプロジェクトルームでも可能。 【関連サイト】 わすれん! DVDが館内視聴できます(http://recorder311.smt.jp/information/26341/) ●収集内容の特色 一個人が記録する点が特色である。「わすれン!」の参加者は、仙台市内だけでなく県外の人も 含まれている。例えば、瓦礫を撤去している工事業者、NPO スタッフ、アーティストなどさま ざまな人々が「わすれン!」に「参加者」として所属している。これらの参加者=記録者のそれ ぞれの思いや狙い、メッセージが埋め込まれた記録、つまり「アノニマス(匿名)ではない記録」 であることが特色の一つだと考える。寄せられた映像としては、津波の被害を受けた沿岸部の 風景や、瓦礫撤去の作業風景など。また地震・津波の体験や放射能被害などについてのインタ ビュー映像、神楽の様子や木舟を制作している大工の作業風景など震災前からその土地にあっ た文化の復興記録もある。 ●収集にあたって心掛けていること 参加者による自由な記録を心掛けているが、ウェブサイトにどの映像を掲載するかは、スタッ フが内容や公開する時期を検討し、独自に責任を持って判断している。 また、写真を共同募集する際は寄贈者にできるだけヒアリングを実施し、写真に込められた心 情などを記録することも心掛けている。 ヒアリングした文章は写真とあわせてウェブサイト などで公開する。 ●活用事例 写真、映像を用い、人々の対話の機会となるような下記の場を 2012 年から現在まで定期的に 行っている。 【3.11定点観測写真アーカイブ・プロジェクト公開サロン】 仙台にある「NPO 法人 20 世紀アーカイブ仙台」と一緒に行っている。この場には、撮影者本人 に来てもらい、自分の言葉で震災時の生活の様子を映した写真を紹介してもらう。 関連サイト:これまでのイベント告知とそこで語られた記録の紹介記事(http://recorder311. smt.jp/series/teiten/) 【こえシネマ】 来場者とともに参加者本人による編集途中の映像を囲み、撮影するきっかけや経緯、撮影時に 感じたことなどを語って過ごす。市民グループ「映像サーベイヤーズ」と協働して行っている。 関連サイト:2012年∼ 2013年度の告知記事(http://recorder311.smt.jp/?s=こえシネマ) 2012年度のレポート(http://table.smt.jp/?p=4119) これら写真と映像の利活用の場では、撮影者(参加者)自身が感じている以上の意味や価値観を イベントの来場者が発見し、語ることもある。 これらのプロジェクトはメディアテークが発行しているフリーペーパーへの掲載や、ウェブサ イトで情報発信することで、館内外の人に対話の内容を紹介。参加者の映像は、毎年 3 月にシ アターで上映する。 【関連サイト】 2013年度の上映会の内容(http://recorder311.smt.jp/information/34106/) ※「わすれン!」参加者が、一人ひとりの想い、言葉、変わっていく地域の姿など、個々のまな ざしで記録した映像を上映している。 【学校との連携】 震災を体験していない次の世代に震災を伝えるために、「わすれン!」では仙台市内の小学校の 先生と震災教育の現状についてヒアリングを行い、授業で活用する試作 DVD を提供している。 また小学生自身が地域の大人の震災体験をインタビューする際に映像の技術的なサポートや小 学校内の記録展示室への記録提供、仙台の学校で行われている防災教育との連携を模索してい る。 3がつ11にちをわすれないためにセンター 提供:せんだいメディアテーク
  12. 12. 76 図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 77図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 震災後、被災地の図書館が連携して行う事例の一つに「震災記録を図書館に」 キャンペーンがある。これは、東日本大震災に関連する資料の図書館への寄贈を 募る全国キャンペーンで、連携している図書館は、公共図書館が岩手県立図書館、 宮城県図書館、福島県立図書館 、仙台市民図書館の 4 館、大学図書館が岩手大学 情報メディアセンター図書館、東北大学附属図書館、福島大学附属図書館、神戸 大学附属図書館の 4 館である。キャンペーンに参加している図書館サイトには、 共通のバナーが張られており、図書館のこうした取り組みを大々的にアピールす る他、キャンペーンポスターは全国の図書館や自治体に配布され、各地の図書館 で貼られている。なお、半年に一度程度のペースで、呼び掛け団体となっている図 書館などの担当者が集まり、資料の収集、公開に関わる事項について情報交換会を 開催している。 「震災記録を図書館に」キャンペーン 東北大学附属図書館(宮城県仙台市)他 ●運用体制 1. 収集の呼び掛け 各館でそれぞれ下記のような方法で実施している。 県内市町村役場を訪問して取り組みについて説明。図書館サイトでの寄贈依頼。チラシによる 寄贈依頼。資料刊行元への訪問依頼、電話・メールなどによる依頼。県内公立学校の校長会で の説明。学協会にメールへの添付文書による依頼。定例記者会見で、学外からの資料提供の呼 び掛け。学内教員へメールでの呼び掛け。学内経営協議会、教育研究評議会などでの説明。 2. 館内、館外での公開状況 ●コレクションのポイント 1. 活用事例 活用を促進するための取り組みとして、各館で下記のようなことを行っている 震災資料のうち何冊かをピックアップして簡単に紹介したブックガイドの作成 東日本大震災の関連資料を探すためのパスファインダーの作成 資料、新聞、写真パネルなどの展示会 講演会、ギャラリートーク、DVDの上映会 震災関連資料コーナー紹介のパンフレット作成 他館へ震災関連の本・パネル・パスファインダーなどを組みにした出張展示セットの貸出 東北大学附属図書館 宮城県仙台市青葉区川内 27-1 http://tul.library.tohoku.ac.jp/ Tel:022-795-5943 E-mail:main-counter@library.tohoku.ac.jp 参考情報 震災記録を図書館に http://www.library.tohoku.ac.jp/shinsaikiroku/ 「震災記録を図書館に」キャンペーン 詳細データ ※各館により事情が異なる。半年に一度程度で開催している情報交換会の提出資料などから内容をまとめた。 ●開始時期 2012 年 1 月 12 日(仙台国際センターで開催した「東日本大震災アーカイブ国際ワークショッ プ(図書館連携)」で共同キャンペーンの実施を提案 2012 年 3 月…キャンペーンポスターを、全国の自治体、公共図書館、国立大学図書館、東北地 区の大学図書館などに配布。ウェブサイトを作成し呼び掛け、団体各館の活動内容を紹介。 ●収集点数 第 5 回の情報交換会(2013 年 10 月 23 日開催)時点での資料点数は下記の通り。ただし、震災 資料コーナーのみの数字の館、複本を含んでいる館、同じ資料を雑誌、パンフレットなど異な る資料種別として計上する館など、計上の基準や基準日がそれぞれ異なる。 図書館名 収集資料 岩手県立図書館 図書2,385冊、雑誌6,146冊(842タイトル)、チラシなど7,503点、全国地方新聞 44紙(2011年3月∼ 5月分)など 宮城県図書館 図書2,192冊、雑誌883冊、チラシなど1,621点、新聞27紙、CD、DVD15点など 福島県立図書館 図書5,839冊、雑誌2,470冊(チラシなども図書、雑誌のなかに数を含んでいる)。 未整理のチラシ類多数あり 仙台市民図書館 図書3,281冊、雑誌250冊、チラシなど150点、航空写真など 岩手大学情報メディア センター図書館 図書1,500冊、雑誌80冊、その他チラシなど1,080点、電子ファイル126点など 福島大学附属図書館 図書2,870冊、雑誌74冊など 東北大学附属図書館 図書2,378冊、雑誌650冊、その他チラシなど約2,000点 図書館名 震災資料コーナーの名称 備考 岩手県立図書館 震災関連資料コーナー 宮城県図書館 東日本大震災文庫 福島県立図書館 東日本大震災福島県復興ライブラリー 仙台市民図書館 3.11震災文庫 岩手大学情報メディアセ ンター図書館 自然災害関連資料コーナー 自然災害一般を扱う。オンラインで公開している 資料がある。 福島大学附属図書館 震災関連資料コーナー 東北大学附属図書館 震災ライブラリー オンラインで公開している資料がある。
  13. 13. 78 図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 79図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 同館では、2012 年 3 月 12 日より「震災ライブラリー」を開設し、震災の記録を 役立て後世に引き継ぐ取り組みをしている。「震災ライブラリー」は約 600 冊の図 書や雑誌をそろえてスタートし、現在は「震災記録を図書館に」のキャンペーン とも連携し 5,130 点を収集している。収集した資料は館内の特設コーナーで公開 する他、2013 年 3 月 18 日から「震災ライブラリーオンライン版」で、インターネッ トでの公開許諾を得た資料の公開を開始し、現在 1,370 件が公開されている。 大学図書館なので、学術的な資料は通常どおり購入、寄贈受入をしている。加 えて写真集や絵本など、普段は選定対象にならない資料についても可能な範囲で 収集しているという。また収集にあたっては、震災直後の刊行資料はどの資料も 重要度が高いという考えもあり、可能な範囲で広く資料収集を行ってきたが、震 災から 3 年を迎えるにあたり、今後は、資料が日常的に活用され、大学での日々 の学びや研究に震災の経験が生かされるよう、大学の授業カリキュラムや研究の 内容を見据えたうえで、資料収集に取り組むという。 震災ライブラリー 東北大学附属図書館(宮城県仙台市) 震災ライブラリー 詳細データ ●開始時期 資料収集の明確な開始時期はないが、2011年6月から7月頃にかけて、震災関連資料の購入・ 寄贈受入の動きが本格化。 ●収集点数(2013年12月現在) 図書…約2,400冊 雑誌…約660冊 CD、DVD…約70点  チラシ、パンフレット類…約2,000点(うち約3,200点を公開)   ●運用体制 1. 収集方法 販売されている資料は、通常資料と同様に館内の収書委員会、ワーキンググループで選定、購入。 非売品資料は、約270 の国内学協会に資料寄贈をメールで依頼。また、個別に資料を特定し、 刊行元に寄贈依頼。 ウェブサイトを見た方からの寄贈(数は少ない)。 みちのく震録伝の「みちのく・いまを伝え隊」の活動で収集したチラシ・パンフレット類の受入。 2. 館内、館外での提供方法 本館に特設コーナーを設置(2013年12月現在、約3,200点を公開) 「震災ライブラリーオンライン版」で、インターネットでの公開許諾を得た資料の公開を開始 (2013年12月現在、1,370点を公開) ●コレクションのポイント 1. 収集内容の特色 大学図書館なので、学術的な資料は通常通り購入、寄贈受入をしている。加えて、写真集や絵本 など、普段は選定対象にならない資料についても可能な範囲で収集している。 ●活用事例 通常の利用の他、館内における展示での利用 東北大学附属図書館 宮城県仙台市青葉区川内 27-1 http://tul.library.tohoku.ac.jp/ Tel:022-795-5943 E-mail:main-counter@library.tohoku.ac.jp 参考情報 震災ライブラリー オンライン版 http://dbr.library.tohoku.ac.jp/infolib/meta_pub/G0000002shinsai 震災ライブラリー 提供:東北大学附属図書館
  14. 14. 80 図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 81図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 東北大学の「みちのく震録伝」は、東日本大震災に関するあらゆる記憶、記録、 事例、知見を収集するだけではなく、東北地方の過去・未来の災害についてもアー カイブする。収集した資料は、東日本大震災の実態解明と復興に関する知見の提 供、低頻度巨大災害への対策管理を進展させ、今後、発生が懸念される東海・東 南海・南海地震の防災など、分野横断的な研究に役立てられている。この取り組 みは、2007 年に設立された東北大学防災科学研究拠点(現・東北大学災害科学国 際研究所。東日本大震災を機に 2012 年 4 月に現組織へ移行)が文部科学省や日 本アイ・ビー・エム株式会社などの産官学と連携し、災害アーカイブのグローバ ルスタンダードを目指して、2011 年 6 月頃より開始した(正式リリースは 2011 年 9 月)。協力・賛同機関は、2013 年 9 月時点で 110 機関を超える。資料の収集 は「震災資料を図書館に」キャンペーンを通じて、附属図書館で収集を呼び掛け ている。 同アーカイブはすでに存在する情報を収集するだけではなく、本取り組みを行 う災害科学国際研究所が各自治体、賛同協力機関、新聞社などのメディア関連企 業と協力して情報を収集や整理を行う他、現地の方を雇用してフィールド調査を 行う「みちのく・いまをつたえ隊」を 2012 年 1 月から始めている。宮城県沿岸の 15 自治体に 16 名が派遣され、活動内容は、地域住民への聞き取り、被災地の現 状を撮影する他、現地の人が保有しているさまざまな震災資料の収集をしている。 「みちのく・いまをつたえ隊」が収集したチラシ、パンフレットなど約 800 点は 東北大学附属図書館に提供され、同館が整理、公開する予定である。また同館は、 それら資料を電子化もしており、「みちのく震録伝」としてウェブ上で公開してい る。 みちのく震録伝 東北大学附属図書館(宮城県仙台市) みちのく震録伝(主に図書館と連携している部分についてのみの情報) 1.開始時期 2011年9月12日(本格始動のプレスリリースを開始) (http://www.dcrc.tohoku.ac.jp/surveys/20110311/docs/tohokuuniv-press20110912. pdf) ●収集点数 「みちのく・いまをつたえ隊」の活動により収集したチラシ、パンフレットなど約800点。 現在データベース上で公開されている資料としては、研究者が撮影した写真や「みちのく・い まをつたえ隊」が撮影した写真などが多数を占めている。図書館電子化作業分のチラシ、パンフ レット類は、600 点程度を「みちのく震録伝」でも公開中(「震災ライブラリーオンライン版」で は、この600点を含む1,370点を公開中)。 ●運用体制 1. 収集方法 「みちのく・いまをつたえ隊」の活動では、沿岸被災地でインタビューや写真撮影といった記 録の作成作業を実施しているが、その際、現地で配布されているチラシやパンフレット類の 収集をあわせて行っている。 2. 館内、館外での提供方法 「みちのく・いまをつたえ隊」の活動により収集したチラシ、パンフレット類の原本は、図書 館で整理・公開する予定だがまだ未整理で非公開。インターネット公開の許諾を得た資料は、 東北大学附属図書館の「震災ライブラリーオンライン版」で公開している他、あわせて「みち のく震録伝」でもインターネット公開する運用をしている。 東北大学附属図書館 宮城県仙台市青葉区川内 27-1 http://tul.library.tohoku.ac.jp/ Tel:022-795-5943 E-mail:main-counter@library.tohoku.ac.jp 関連情報 みちのく震録伝 http://shinrokuden.irides.tohoku.ac.jp/
  15. 15. 82 図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 83図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 同館は岩手大学地域防災研究センターと連携し、所蔵している岩手県の自然災 害および、東日本大震災に関する資料が検索できる「岩手県の自然災害と東日本 大震災に関する資料リポジトリ」を設置している。図書館が所蔵する資料は、館 内の「自然災害関連資料コーナー」に置かれ、閲覧・貸出ができる。また地域研究 資料センターの資料は、図書館で手続きをとれば閲覧のみ可能。レポジトリの収 録件数は図書 1,626 点、雑誌 96 点、一枚ものやパンフレットなどの報告書が約 1,100 点、電子で保存されているものが 26 点、写真が 2,000 点超となっている。 岩手県は、地震・津波・洪水・土砂災害・火山・冷害など、自然災害が多い地 域のため、同大には火山や土砂災害の専門家も多い。それを踏まえ、収集対象は 東日本大震災に限らず、「自然災害全般に関する資料」としているのが特徴である。 なお岩手大学地域防災センターは、工学部自然災害の研究や減災システムの開 発、小・中学校での防災教育の支援を行っていたが、2013 年 4 月、東日本大震災 を受けて岩手大学の管轄に置かれ、文理融合型の全学組織として再スタートした 機関である。 岩手県の自然災害と東日本大震災に関する資料リポジトリ 岩手大学情報メディアセンター図書館(岩手県盛岡市) 岩手県の自然災害と東日本大震災に関する資料リポジトリ 詳細データ ●開始時期 2012年1月(収集開始)*図書に関しては、2011年4月から 2013年4月(サイト公開) ●収集点数(2014年1月23日現在) 図書…1,626点(内2011年4月以降受入分1,410点) 雑誌…96点  パンフレット・報告書など…約1,100点 電子資料(写真を除く)…26点  電子資料(写真)…2,000点超   ●運用体制 1. 収集方法 本学教員には学内メールおよび、グループウェアで定期的に依頼 学外へは提供依頼の広報は行っていないが、各種情報をもとに個別に依頼 2. 館内、館外での提供方法 図書館所蔵の図書・雑誌・パンフレット・報告書などは、館内に特設書架を設けて公開している。 パンフレット・報告書などのうち、電子公開許諾の取れたものは電子公開を進めている(点数 は少ない)。 ●コレクションのポイント 1. 収集資料の特色 岩手は、地震・津波・洪水・土砂災害・火山・冷害など、自然災害が多い地域のため、本学には 火山や土砂災害の専門家も多い。それを踏まえ、収集対象は東日大震災に限らず、「自然災害全 般に関する資料」している。 2013 年4 月に学内に設置された「地域防災研究センター」と連携し、研究者が被災地で収集 した資料を図書館で整理する他、地域防災研究センター既所蔵の資料の整理も行っており、将 来的には岩手大学自然災害資料サイト(http://rndd.iwate-u.ac.jp/)で、図書館所蔵資料とと もに、地域防災研究センター所蔵資料も検索できる予定である。 2. 収集にあたって心掛けていること 学内教員に定期的に依頼するほか、SNS も含めた各種メディアをもとに幅広くチェックし、 個別に依頼している。 岩手大学情報メディアセンター図書館 岩手県盛岡市上田 3-18-8 http://www.lib.iwate-u.ac.jp/ Tel:019-621-6082 Fax:019-621-6088 関連情報 岩手県の自然災害と東日本大震災に関する資料リポジトリ http://rndd.iwate-u.ac.jp/ 自然災害関連資料コーナー 提供:岩手大学情報メディアセンター図書館
  16. 16. 84 図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 85図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 宮城県図書館は、東日本大震災に関連する資料を 2012 年度より収集し、収集 した資料を「震災文庫」と名付け、2012 年 7 月から館内に「東日本大震災関連本 コーナー」を設けて展示している。収集点数は 2013 年の 12 月末時点で図書が 2,286 点。 防災対策や震災復興に役立てることを目的として、現在も図書館サイトで収集 を呼び掛けており、収集対象は記録集、写真集、録画などの映像資料、調査報告書、 論文、救助、復旧活動などの活動書、避難所だより、壁新聞などである。相談会や イベントなど配布資料、手記、体験記録、文集、儀式での式辞や答辞、誓いの言葉、 復旧活動の報告書、セミナーのチラシ、体験記録、フリーペーパー、学校だより、 会報や広報誌など、あらゆる震災関係資料を収集している。 同館では関係資料の収集・保存と同時に、震災前からのネットワークを生かし て、直接的・間接的に県内の図書館からの情報を集め、県内の被災図書館の支援 に力を入れており、全国的な復興支援の動きと被災図書館の仲介を担っている。 東日本大震災文庫 宮城県図書館(宮城県仙台市) 東日本大震災文庫 詳細データ ●開始時期 2012年7月 ●収集点数(2013年12月末現在) 図書…2,286冊 雑誌…905冊 視聴覚資料…20点 新聞…27点 チラシ類(チラシ・ポスター・写真など)…1,677点  ●運用体制 1. 収集方法 寄贈依頼のポスターを館内に掲示 各カウンターなどにチラシやパンフレットを設置 ポスター、チラシを県内公共図書館、学校、企業などの各種団体や宮城県社会福祉協議会を通 じて県内市町村社会福祉協議会に配布。 災害ボランティア団体の会議や、県内小中学校長会、県立学校長会、各種団体や企業などに出 向き、震災資料について説明し、寄贈依頼。 2. 館内、館外での公開状況 既存の開架書架を使ってコーナー化して資料を配架。「東日本大震災文庫」資料は館内利用に 限定しているため、資料を複数部収集し、館外貸出用資料を別書架に配架している。 ●コレクションのポイント 1. 収集内容の特色 非売図書・雑誌やチラシ、ポスター類を積極的に収集し、整理を行っている 2. 収集にあたって心掛けていること 現地でのみ入手可能な資料は、出向いて収集を行うなど、宮城県内での震災に関わる記録を網 羅的に収集するよう心掛けている。 ●活用事例 国土地理院が撮影した震災直後からの宮城県内沿岸部空中写真を展示。 今年度(2013 年秋開催)の「みやぎ県民大学」にて、『災害資料と図書館』と題して、担当職員が講 義を行った。 宮城県図書館 宮城県仙台市泉区紫山 1-1-1 http://www.library.pref.miyagi.jp/ Tel:022-377-8441(代表) Fax:022-377-8484 E-mail:kikaku@library.pref.miyagi.jp 震災文庫 提供:宮城県図書館
  17. 17. 86 図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 87図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 兵庫県立図書館では、1995 年 1 月 17 日の阪神・淡路大震災の発生を受けて、 この震災に関連するあらゆる資料の収集を開始し、同年11月には「フェニックス・ ライブラリー」として、館内に特設コーナーを設けた。コーナーでは、図書資料を 中心に、生々しい爪痕を報じた新聞の号外や、当時の避難所で配布されたミニコ ミ誌、チラシなどを公開している。被災地の県立図書館として、県民が経験した この災害の記憶を後世に伝え継ぐことが目的である。収集は図書館の復旧作業の かたわら、職員が地道に行ったという 。 震災後2年で、収集した震災関連資料は約 6,000 点を超え、同館ではこれらの 資料のさらなる活用を促すため、1997 年 3 月に『阪神・淡路大震災関連資料目録』 (兵庫県立図書館編)を刊行している。また震災から 10 年目にあたる 2005 年1月、 同館が作成した記事名、執筆者、雑誌名での検索が可能なデータベース「フェニッ クス・ライブラリー震災関連雑誌記事索引」を図書館サイト上で公開し、5,365 件 を採録した。 資料のデジタル化については「フェニックス・ライブラリー」図書書誌データ とリンクさせることで、これまで以上に震災関連図書の活用の促進が図られると 考えられることから、2013 年度中の公開を目指して、現在、許諾などの作業が進 められているという。しかし、許諾依頼先が不明になっているもの、個人情報な どの問題のため、計画どおりには進んでいない状態とのことである。 なお、神戸大学附属図書館の「震災文庫」が構築している「震災資料横断検索シ ステム」に、同館が収蔵する図書資料の情報を 2012 年 3 月より提供しており、震 災関係の資料を一括して検索できるようになっている。 フェニックス・ライブラリー 兵庫県立図書館(兵庫県明石市)  フェニックス・ライブラリー 詳細データ ●開始時期 1995年1月(収集は、図書館復旧と並行して開始) 1995年11月(郷土資料室内に「フェニックス・ライブラリー」と名付けて公開開始) ●収集点数(2013年3月31日現在) 図書…約2,700点(うち304点はデジタル化しているが公開はせず) 雑誌…約400点 チラシ・パンフレット類…約4,900点  その他(ポスター・地図・空中写真・ビデオテープ他)…約1,000点  ●運用体制 1. 収集方法 職員の他、ボランティア団体による収集や、ライブラリー開設のマスコミの報道を見た方からの 寄贈。 兵庫県立図書館 兵庫県明石市明石公園 1-27 http://www.library.pref.hyogo.jp/ Tel:078-918-3366(代表) Fax :078-913-9229 フェニックス・ライブラリー 提供:兵庫県立図書館 
  18. 18. 88 図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 89図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 ●コレクションのポイント 1. 収集対象 収集対象は図書、雑誌、新聞、ビラ、チラシ、パンフレット、ミニコミ誌、ボランティア情報、避難 所だより、手記、文集、地図、空中写真、視聴覚資料など刊行されたあらゆる震災関連資料。 ●活用事例 『阪神・淡路大震災関連資料目録』(兵庫県立図書館編、1999年3月)の刊行 毎年1月に、震災関連企画講座を開催 調べ学習や教材研究などに活用できるように教科、分野ごとにテーマを決め、30 冊程度のセッ トを用意し、主に県内高等学校へ団体貸出。 徳島県立図書館、鳥取県立図書館など県域を越えたネットワークを生かし、資料を県外で展示 する他、東日本大震災の被災地の図書館との交換展示。 東日本大震災の被災地に居住している方に「フェニックス・ライブラリー震災関連雑誌記事索 引」データベースを利用した雑誌記事の提供。 2004 年 10 月 23 日に発生した新潟県中越地震で、新潟県中越地方に位置する 小千谷市は震度 6 強の多大な被害を受けた。小千谷市立図書館では、震災の記憶 を長く語り継ぐために、新潟県中越地震の関連資料を収集・公開し、一部の資料 は貸出も行っている。 震災資料は図書約が 440 冊の他、パンフレットや報道の録画など視聴覚資料、 雑誌の記事、震災復旧を知らせる地元スーパーのチラシなど多岐にわたる。収集 した資料は「中越大震災資料コーナー」として特設コーナーを館内に設置し、図 書館サイト上では「中越大震災関連資料」として PDF でリストを公開、OPAC か らは「震災資料」でテーマ別検索ができるようにもなっている。同館では、震災か ら 10 年が経過する現在でも関連資料の収集を市民に募っている。また、2011 年 11 月には、震源となった現地をツアー応募者とめぐる『被災地まるごとバスツ アー』を公益社団法人中越防災安全推進機構との連携で企画実施するなど、震災 関係の展示を多角的に行っている。 中越大震災資料コーナー 小千谷市立図書館(新潟県小千谷市) 小千谷市立図書館 新潟県小千谷市土川 1-3-7 http://www.city.ojiya.niigata.jp/site/library/ Tel:0258-82-2724 Fax:0258-82-8915
  19. 19. 90 図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 91図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 神戸市立中央図書館は 1995 年の阪神・淡路大震災の発災後、震災関連資料要 網を定め、この震災に関連する資料の収集を行っている。中央図書館神戸ふるさ と文庫内に「阪神・淡路大震災関連資料(1.17 文庫)」を配架し、震災後建て替え た 2 号館に「震災関連資料室」を開設した。また 2000 年 1 月には『神戸市立中央 図書館所蔵震災関連資料目録(1.17 文庫)』を刊行している。 収集された資料には図書と現物資料があり、図書資料は中央図書館 2 階の特設 コーナー「1.17 文庫」で、現物資料(止まったままの時計など)は同館 2 号館の震 災関連資料室で展示をしている。 また東日本大震災後、被災した利用者から、阪神・淡路大震災の教訓から学べ る情報についての問い合わせがあったため、図書館サイトで公開していた 1.17 文庫のブックリストを、被災者の生活や支援に関連するキーワード(食事、備蓄、 トイレ、避難所、ミニコミ誌、広報誌など、救援物質、県外避難者など)から検索 できるように整理し、公開している。阪神・淡路大震災のような未曾有な震災の 現場に居合わせ、さまざまな形で関わった人々の試行錯誤は、のちの震災で生か されるべき教訓でもあるのだ。 1.17文庫 神戸市立中央図書館(兵庫県神戸市) 1.17文庫 詳細データ ●開始時期 1997年6月(中央図書館神戸ふるさと文庫内に配架) ●収集点数(2013年12月現在) 約3,500冊 ●運用体制 1. 収集方法 自費出版などは直接寄贈をお願いしている 2. 館内、館外での提供方法 館内の専用書架に配架(一部閉架資料あり) 図書館サイトに「震災関連資料リスト」を掲載 ●収集にあたって心掛けていること 震災直後から週刊誌などの収集を開始。網羅的に収集、保存することを目標とし、出版情報など の収集に努めている。 ●活用事例 東日本大震災後に、被災地の図書館からの見学受け入れ 神戸市立中央図書館 兵庫県神戸市中央区楠町 7-2-1 http://www.city.kobe.lg.jp/information/institution/institution/library/top/ Tel:078-371-3351 Fax:078-371-5046 1.17文庫 提供:神戸市立中央図書館  1.17文庫 提供:神戸市立中央図書館
  20. 20. 92 図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 93図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 同館にある文書資料室は、新潟県中越地震に対し「歴史的資料の救済」と「震災 関連資料の収集」の二本柱で対応し、災害対応、災害関係の資料を収集する取り 組み「災害アーカイブ」を行っている。収集内容は新潟県中越地震の他、新潟県 と福島県で起こった豪雨災害(2004 年 7 月 13 日)、新潟県中越沖地震の関連資料、 長岡市に関わる東日本大震災の資料が中心である。 文書資料室自体は、1998 年 4 月に長岡市史編さん室の業務、資料を継承して開 設し、災害の記憶と風化を防ぎ、次の世代に伝えることを目的の一つとしている。 資料は現在も継続して収集しており、市民にも提供を呼び掛けている。また、資 料の整理にはボランティアも募り、市民と協力して活動を行っている。 同室では、『新潟中越大震災と史料保存(1)長岡市立中央図書館文書資料室の 試み』や『新潟県中越大震災と史料保存(2)被災資料が地域を語る 1 刈羽郡桐沢 村青柳家文書』などの資料も刊行している。 災害アーカイブ 長岡市立中央図書館文書資料室(新潟県長岡市) 長岡市立中央図書館文書資料室 新潟県長岡市坂之上町 3-1-20(互尊文庫 2 階) https://www.lib.city.nagaoka.niigata.jp/ Tel:0258-36-7832 Fax:0258-37-3754 E-mail:monjo@nct9.ne.jp 新潟歴史資料救済ネットワークによる避難所資料の整理作業 提供:長岡市立中央図書館文書資料室  新潟県中越大震災時の長岡市立中央図書館避難所の掲示物 提供:長岡市立中央図書館文書資料室 
  21. 21. 94 図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 95図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 7・13 水害(新潟・福島豪雨)、新潟県中越大震災、新潟県中越沖地震、東日本大震災に関す る災害アーカイブであること。 長岡市内に開設された避難所のアーカイブ(掲示物・配布物、避難所本部事務文書、引き継 ぎメモなど)が中核になっていること。 長岡震災アーカイブセンターきおくみらい、新潟大学、神戸大学などの関係機関・大学など と連携して収集・整理を進めていること。 長岡市内に開設された避難所のアーカイブは、長岡市資料整理ボランティア、新潟歴史資料 救済ネットワークと市民協働で整理作業を行っていること。 2.収集にあたって心掛けていること 長岡市の機関として、市施設(学校、コミュニティセンター、市役所など)に集積された災害 記録を積極的に収集すること。 避難所資料の収集にあたっては、運営の妨げにならないように連絡・調整のうえ行うこと。 将来の長岡市史編さんなどで活用できるように、紙媒体の資料を中心に、掲示物・配布物、 事務文書、写真などの一次資料の収集に努めること。 ●活用事例 【主な出版物】  長岡市史双書№ 48『新潟県中越大震災と史料保存(1)長岡市立中央図書館文書資料室の試み』 (2009年) 矢田俊文・長岡市立中央図書館文書資料室編『震災避難所の史料 新潟県中越地震・東日本大 震災』(新潟大学災害・復興科学研究所危機管理・災害復興分野、2013年) 【主な展示会】 災害アーカイブス展「避難所の記録と記憶」 会期 2008年10月19日∼ 11月9日 会場 長岡市立中央図書館2階ホール 中越大震災被災地連携企画 震災アーカイブ展 中越大震災5周年特別企画「復興の軌跡」−おこ す よりそう つたえる つなぐ かんがえる − 会期 2009年10月20日∼ 10月27日 会場 長岡市美術センター(長岡市立中央図書館2階) 【主な講座】 歴史講座「中越大震災∼史料保存の現場から」(連続5回) 第1回 中越大震災の記録と記憶(講師:中央図書館・文書資料室職員) 期日 2009年10月20日 会場 長岡市立中央図書館 災害アーカイブ 詳細データ ●開始時期 2004年10月23日( 新潟県中越大震災発生以降から収集) 2008年8月(一部公開…4,763点)※以降、整理・目録作成が終了した資料を公開。現在、9,651 点を公開。災害アーカイブの概要については、表1のとおり。 ●運用体制 1. 収集方法 災害アーカイブの各資料群の収集方法は表1の通り。その他、チラシ、市政だより、機関紙 「長岡あーかいぶす」「災害アーカイブス通信」などを通じて広報を行い随時収集。 2. 館内、館外での提供方法 「07 図書資料」は文書資料室の閲覧室内の書架に配架。「07 図書資料」以外の公開資料は、 書庫内に保管。目録を閲覧室内に配架し、請求があった場合に閲覧に供している。 ●コレクションのポイント 1.収集内容の主な特色 分類 番号 資料群名 概要 主な収集方法 点数 01 長岡市立中央図書館文書 資料室収集資料 行事のチラシ・ポスターなど、個人・ 企業より寄贈され他に分類できないもの 随時収集・受け入れ 322 02 長岡市内避難所資料 避難所で掲示・配布・作成されたもの 中央図書館は閉鎖時に依頼、呼 びかけ文送付・訪問調査 395 03 長岡市役所資料 市役所各課・施設から提供された災害 対応業務に関するもの 歴史公文書の収集などで呼びか け 2,278 04 長岡市内小・中・高等学校・ 特別支援学校資料 市内の学校から提供された写真・文書・ 刊行物など 事前アンケート・訪問調査 (2006・2007年度) 4,012 05 新聞資料 新聞(原紙) 購入、市内図書館より移管 619 06 行政刊行資料 自治体の刊行物・チラシ・ポスターなど 随時収集・受け入れ 整理中 07 図書資料 図書・雑誌・広報誌・体験談・報告集 など 随時収集・受け入れ、「住民生活 に光をそそぐ交付金」(2010年 度)で購入 429 08 地図資料 災害に関する地図 随時収集・受け入れ 7 09 写真資料 被害状況・復旧作業など写真(個人撮影) 随時収集・受け入れ 整理中 10 長岡市内コミュニティセ ンター資料 市内のコミュニティセンターから提供 された写真・文書・刊行物など 事前アンケート・訪問調査 (2009年度) 1,589 11 長岡市内東日本大震災避 難所資料 避難所で掲示・配布・作成されたもの、 避難所写真 避難所開設・閉鎖時に訪問調査 (2011年度) 整理中 合      計 9,651 表1 文書資料室の災害アーカイブ(2013年1月現在)  ※災害に関する長岡市の非現用文書は歴史公文書として収集・保存しているため除く
  22. 22. 96 図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 97図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 同館では、2004 年に発生した新潟県中越地震、2007 年に発生した新潟県中越 沖地震時における看護問題に関連する図書を重点的に収集している。これは看護 大学に付属する図書館として、収集した資料を自校の活動や学生の学びに役立て るためである。 資料は館内の特設コーナーに常設され、図書館サイト上でも「新潟県中越大震 災特設ページ」として、1「災害看護・地震関係図書リスト」(新潟県立看護大学図 書館所蔵のもの)、2「災害(地震)看護雑誌論文リスト」、3「東日本大震災に関す る文献情報」の文献リスト(医学中央雑誌刊行会作成リストへのリンク)の他、中 越地震や中越沖地震を含む新潟県の災害についての記述が含まれる雑誌の目次情 報の紹介、関連サイトへのリンクなどを行っている。収集した資料は、雑誌や映 像資料も含め約 550 点におよび、現在も継続して収集している『日本災害看護学 会誌』は、創刊号から所蔵している図書館が少ないという事情もあり、全国的に 利用されている。 電気も水もない状況で看護をせざるをえない状況は、先の東日本大震災の発生 時でも起きている。中越での経験をアーカイブした同館の豊富な資料が、その後、 被災に見舞われた地に情報支援として届いているだろうことは想像に難くない。 震災時の「看護」をテーマに情報発信 新潟県立看護大学図書館(新潟県上越市)  新潟県立看護大学図書館の震災への取り組み 詳細データ ●開始時期 2012年11月1日(特設書架を設置) ●収集点数(2014年1月現在) 550点 ●運用体制 1. 収集方法 購入図書は、学内の関係教員へ呼び掛けと図書館員の選書したものを教員による図書委員会 で購入の可否を検討している。 その他、図書館サイトで寄贈を呼び掛け、行政資料・非売品は個別に寄贈依頼 2. 館内、館外での提供方法 館内に特設の書架を設置 図書館サイトで所蔵リストの公開 ※その他、医中誌Webの文献リストを版元の了解を得てサイトに公開 ●コレクションのポイント 1. 収集内容の特色 2004 年新潟県中越地震、2007 年新潟県中越沖地震に関する資料を中心とした新潟県にお ける災害看護資料がメインだが、災害看護に役立つと思われるものは「新潟県」「看護」に関 わらず、国内の災害であれば、福祉や心理学など関連分野も含めて収集している。 2. 収集にあたって心掛けていること 行政資料や非売品など、一般的に流通せず、発行部数も限られている資料を積極的に収集す ること。 公立大学の使命として、学生・教員および、地域の看護職者の看護研究と活動に役立てても らうために、新潟県の災害に関する保健医療福祉資料を意識的に収集すること。 新潟県立看護大学図書館 新潟県上越市新南町 240 http://lib.niigata-cn.ac.jp/ Tel:025-526-1169 Fax:025-526-3607 E-mail:tosyo@niigata-cn.ac.jp 災害看護・地震関係資料コーナー 提供:新潟県立看護大学図書館 
  23. 23. 98 図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 99図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 名古屋市南図書館は南図書館改築時に、日ごとに散逸しがちな伊勢湾台風の被 災資料を一堂に収集し調査研究に役立てるよう、1992 年 3 月、伊勢湾台風資料室 を設置した。収集しているのは、気象、被害状況、救援活動、復旧対策事業、体験 記、手記、文集、社史、行政資料、新聞、雑誌記事の他、市内 12 区の小学校で作成 された災害の記録や体験記、文集など、当時の様子がうかがえる多角的な資料の 他、カメラマンの佐伯義勝さん、名古屋市南区在住の郷土史家・小川金雄さんら が当時撮影した写真の寄贈を受け、保管している。どれも当時の被害のすさまじ さや生々しさが伝わってくる資料で、これらの写真はパネルにして展示、紹介し ている。 資料の多くは開設当時に収集されており、それ以降は蔵書に大きな増加はな かったが、伊勢湾台風襲来 50 周年を迎えた 2009 年とその翌年には関連資料の寄 贈が多数あったようだ。資料は閲覧や貸出(特別貸出)しており、市民だけではな く、研究者やテレビ関係者、映画製作関係者にも利用されている。 伊勢湾台風資料室 名古屋市南図書館(愛知県名古屋市) 伊勢湾台風資料室 詳細データ ●開始時期 1992年3月 ●収集点数(2013年7月現在) 図書(複本含む)…985冊、視聴覚資料…15点(ビデオテープ11点、DVD4点) マイクロフィルム…13点、16ミリフィルム…2点 写真パネル…286点、写真(ネガフィルム)など ●運用体制 1. 収集方法 【図書・雑誌新聞記事】 「愛知県郷土資料総合目録」「名古屋市鶴舞図書館:伊勢湾台風資料目録」「国立国会図書館所 蔵主題別目録」などの文献目録より資料をリストアップし、購入・寄贈・複製により収集。 学校や行政機関・県下の図書館への資料照会、古書店回り 開設時の新聞報道などで開設を知った市民からの寄贈 【映像資料】 ビデオテープ・16ミリフィルム・マイクロフィルムを、それぞれ「建設省中部地方建設局」「愛 知県広報課」「名古屋市鶴舞中央図書館」所蔵の資料から許可を得て複製し、所蔵している。 【その他】 新聞記事クリッピングや写真および写真集は、個人・機関からの寄贈。写真パネルは写真の一 部から作成。 2. 館内、館外での提供方法 館内にある専用の小部屋(閲覧申込制) ※当初は常時開室のオープンな運営方式だったが、管理上の問題から閲覧申込制に変更。 ●収集にあたって心掛けていること 被災経験者、関係者の高齢化が進み、当時の資料収集が困難になっているが、資料室のPR に努め ながら、さらなる資料の収集に努めている。 伊勢湾台風に関する新しい出版物の他、関連する展示会などのイベント資料の収集にも努めて いる。 ●活用事例 南図書館展示コーナーで毎年9月、写真のパネル展示を開催 展示会など、イベントを開催する他、機関や各種団体へ貸出 名古屋市南図書館 愛知県名古屋市南区千竃通 2-10-2 http://www.library.city.nagoya.jp/ Tel:052-821-1732 Fax:052-821-3364 伊勢湾台風資料室 提供:名古屋市南図書館 
  24. 24. 100 図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 101図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 同館は、2000 年 10 月に発生した鳥取西部地震を記録した資料コレクションを 所蔵している。この資料は、阪神淡路大震災での教訓をもとに、鳥取県西部地震 の記録を散逸させずに後世に残すべく、鳥取大学工学部の西田良平教授と鳥取県 が収集し、2002 年から公開しているものである。資料は個人が収集整理してきた ものから、行政が作成・収集してきたものなどである。専門家の調査報告書から、 小学生が調べてまとめたものなど、内容は多岐にわたる。 資料コレクションのリストは全てウェブで公開しており、冊子体で収集され た原資料は、特設ではなく閉架で保存されている。なお、この冊子体の原資料は、 CD-ROM にデジタルアーカイブとして保存され、鳥取県立図書館など県内各地 の図書館にも所蔵されている。 また鳥取大学附属図書館では、鳥取県西部地震の記録をもとに 1943 年 3 月の 鳥取地震について調査した『鳥取地震調書』という全 10 冊の私家版も寄贈を受け、 その複製本を同館の郷土資料室で配架している。この原本は、鳥取大地震に関す る県立博物館や市立博物館の展示などで利用された。 鳥取県西部地震記録保存資料一覧表 鳥取大学附属図書館(鳥取県鳥取市) 鳥取県西部地震記録保存資料一覧表 詳細データ ●開始時期 2002年(公開開始) ●収集点数 93点 ●運用体制 1. 収集状況 現在は収集対象ではないが、新しく資料が出版されれば、通常の図書館資料として所蔵する 可能性あり。 2. 館内、館外での提供方法 冊子資料は、館内の閉架書庫で、専用キャビネットに保管 デジタルアーカイブはCD-ROMでの館内閲覧 【参考情報】   平成12年鳥取西部地震(危機管理局の鳥取県の危機管理の鳥取県西部地震関係) http://www.pref.tottori.lg.jp/seibujisin/ ●活用事例 学生の卒論などでの利用 西田良平教授による授業・講座などでの利用 ●活用事例 南図書館展示コーナーで毎年9月、写真のパネル展示を開催 展示会など、イベントを開催する他、機関や各種団体へ貸出 【参考資料】 鳥取県西部地震記録保存資料一覧表(http://www.lib.tottori-u.ac.jp/list/seibu_jishin.htm) 図書館報 No.103 p.8-9(http://www.lib.tottori-u.ac.jp/kanpo/kanpofile/kanpoNo.103.pdf) 鳥取大学附属図書館 鳥取県鳥取市湖山町南 4-101 http://www.lib.tottori-u.ac.jp/ Tel:0857-31-5672 Fax:0857-28-6346 E-mail:ac-shiryousa@adm.tottori-u.ac.jp 参考情報 鳥取県西部地震記録保存資料一覧表 http://www.lib.tottori-u.ac.jp/list/seibu_jishin.htm 「平成12年鳥取県西部地震」記録集配架の様子  提供:鳥取大学附属図書館
  25. 25. 102 図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 103図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 同館では、熊本大学医学部が研究している水俣病関連の資料コレクションの一 部を水俣病公式確認 50 年を期して、2006 年から公開している。公開されたのは、 熊本大学医学部が所蔵する水俣病関係の研究資料などの目録と新聞記事データ ベース。目録に掲載されている研究資料は、熊本大学附属図書館の医学系分館で ほぼ閲覧することができる。原資料については被害者の個人情報に関するものも 多く、公開していないが、特に研究目的などでの利用は、図書館での確認を経て 閲覧・複写が可能である。 新聞記事のデータベースは、熊本日日新聞、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞に掲 載された 1971 年までの水俣病関係の記事からなり、記事の見出しを年代ごとに 整理している。著作権の許諾がとれたものは、サイト上で原文を見ることも可能。 この取り組みは、「水俣病関係学術資料の収集・整理」をテーマの一つに掲げて、 1999 年より活動している熊本大学学術資料研究調査推進室が行っており、現在 も整理が進められている。研究業績の収集とともに、被害者、加害者、医学、行政 などの一次資料を重視して収集が行われており、現在約 90,000 点の資料がある。 水俣病関連の資料コレクション 熊本大学附属図書館(熊本県熊本市) 水俣病関連の資料コレクション 詳細データ ●開始時期 1999年10月(公開は2006年6月) ●収集点数 約90,000点 ●運用体制 1. 収集方法 一般的な呼び掛けはせず、資料の所有者、保有機関などに個別に提供を要請 2. 館内、館外での提供方法 被害者の個人情報に関するものも多いため、原資料の公開はせず 特に研究目的などで必要な場合で、同館にて研究目的、使用状況など確認できる場合には、閲 覧・複写は可能。 被害者のプライバシーに関わるものは複写できないものがある 個人に関わりの少ない歴史的事件史的(チッソ、行政、医学などに関わる)資料はPDF 画像で 提供できるものもある。 通常の公刊図書類は図書館蔵書で扱う ●コレクションのポイント 医学、化学、政治、経済、法、社会など幅広く収集 ●収集にあたって心掛けていること 研究者、学生(院生レベル以上)、教師、関心ある人々への一次資料提供が主で、図書館(熊本大学 学術資料調査研究推進室〈水俣病部門〉)自らの展示、講座などは適宜行うが恒常的ではない。 熊本大学附属図書館 熊本県熊本市黒髪 2-40-1 http://www.lib.kumamoto-u.ac.jp/ Tel:096-342-2272 Fax:096-342-2210
  26. 26. 104 図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 105図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 被爆都市ヒロシマに建つ図書館として、同館は被爆体験の継承と平和意識の 高揚を願い、広島や長崎の被爆文献資料を広く収集している。収集の資料は図 書、逐次刊行物(雑誌、紀要、新聞、同人誌他)などで、資料数は図書・雑誌な ど 33,140 点。所蔵資料は図書館サイトからテーマ別に調べることができる他、 OPAC でも検索可能である。また広島平和記念資料館の平和データベースからも 検索できる。 また同館では、広島市教育センターと広島市の各学校の協力を仰ぎ、それぞれ が保管していた被爆体験談の録画ビデオの収集とデジタル化(DVD 化)を 2008 年に広島市教育委員会と行っている。このビデオは、小中学校の平和教育で取り 組まれている「地域の被爆体験継承事業」で作成されたビデオである。デジタル 化した映像は学校を始め、広く市民へも貸出しており、図書館のサイトでも公開 している。現在サイトで公開されている映像は 21 本である。 被爆文献資料/被爆体験証言ビデオ 広島市立中央図書館(広島県広島市) 被爆文献資料 詳細データ ●開始時期 1961年11月1日(「原爆資料室・郷土資料室」の開設) 1974年10月27日(広島市立中央図書館移転開館「広島資料室」に改称) ●収集点数 33,140冊(2013年3月31日現在) 図書館サイト公開の目録冊数 ●収集内容 広島、長崎市の被爆に関する資料 広島市および、長崎市での被爆の体験記などの文学的資料 広島市・長崎市以外の地域での被爆(被曝)に関する資料 広島市および長崎市での被爆状況を理解するうえで参考となる資料 平和に関する資料(ただし、広島市・長崎市との関連が深いものに限る) その他 ●運用体制 1. 収集方法 購入可能な資料は発行元や個人から購入。非売品については、発行元や個人へ寄贈の依頼。 広島資料室のパンフレットに「地域資料の収集について」を掲載し、市民に寄贈などによる協 力を仰ぐ。 2. 館内、館外での提供方法 広島資料室内に特設書架を設置(地域資料との区別を図るため、独自の分類を与えている。別 置記号を与えた分類 地域資料…H 被爆文献資料…A) 図書館サイトで公開(特別コレクションとして「被爆文献資料」の項目をつくり、テーマごと に一覧で表示) ●コレクションのポイント 1. 収集資料の特色 広島や長崎の被爆による人的・物的被害を記述したあらゆる資料ならびに、関連する多様な 資料と平和に関する資料を積極的に、網羅的に収集。 2. 収集にあたって心掛けていること 収集する資料は、できる限り3部(被爆文献資料用、貸出用、保存用)以上収集すること 書籍の形態だけでなく、新聞(号外や特報など)、パンフレット、絵はがきなど幅広く収集すること 書籍、雑誌の内容の一部に、被爆に関する記事の記載がある資料についても収集すること 広島市立中央図書館 広島県広島市中区基町 3-1 https://www.library.city.hiroshima.jp/ Tel:082-222-5542(代表) Fax:082-222-5545 広島資料室内の被爆文献資料書架 提供:広島市立中央図書館 
  27. 27. 106 図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 107図書館で学ぶ防災・災害  ライブラリー・リソース・ガイド 2014 年 冬号 自費出版で一般に流通しない資料も多くあることから、発行情報の収集に努めること ●活用事例 企画展や講演会の開催(被爆体験継承事業として毎年8月6日を中心に、被爆の実相および広 島市の復興を伝えるとともに、平和意識の高揚を図るため企画展と講演会を開催している)。 【企画展】 「こどもたちの見たヒロシマ」(2013年7月20日∼9月1日) 「ヒロシマと交通−暮らしと復興のなかで−」(2012年7月28日∼8月31日) 「広島とスポーツ−廃墟からの復興−」(2011年7月15日∼8月28日) 「被爆65周年:平和記念公園をめぐって」(2010年8月1日∼8月28日) 「広島市制施行120周年・広島平和記念都市建設法60周年記念:うつりゆく広島 つながる心」 (2009年8月1日∼8月30日) 【講演会】 「次の世代に伝えたいこと」講師:前田耕一郎氏(前広島平和記念資料館館長)(2013年度) 「路面電車が語るヒロシマ」講師:加藤一孝氏(街づくり研究会代表)(2012年度) 「カープ誕生とヒロシマ」講師:長谷部稔氏(広島カープOB会会長)、紙芝居演者:阿部頼繁氏 (劇団花子ちゃんとそのお友だち主宰)(2011年度) 「被爆65周年平和祈念事業 ヒロシマからのメッセージ『原爆で失ったもの』」講師:田邊雅章 氏(平和公園復元映像製作委員会代表・広島修道大学特別客員教授)(2010年度) 「核兵器廃絶のために私たちは今」講師:浅井基文氏(広島平和研究所長)(2009年度) 被爆体験証言ビデオ 詳細データ ●開始時期 2008年(現在は収集していない) ●収集点数 21点 ●コレクションのポイント 1.収集内容の特色 広島市内の学校で被爆者が講演を行った際の証言ビデオをデジタル化したもので、被爆者の 表情と生の声が伝わる貴重な資料となっている。 2.活用事例 広島にゆかりの深い文学者 21 名の図書や自筆原稿などを収集展示している「広島文学資料 室」のサテライト展示「生誕 100 年 栗原貞子−私は広島を証言する−」(2013 年 3 月 1 日∼ 4月29日)の際に、展示会場において同氏の証言DVDを上映した。 サテライト展示…図書館入口近くの展示ホール前で行うミニ展示のこと 被爆体験継承事業での企画展の様子 提供:広島市立中央図書館 

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