2033年からみた精神疾患
Evidence basedからScience basedへ
Evidence based Medicineの穴 利益相反
エビデンスを提供するために,RCTの重要度が増加
→RCTを行うには,製薬会社の資金援助が不可欠
製薬会社による商業主義の歪み
製薬会社の資金援助を受けたRCTの約72%が製薬会社に...
A障害患者はXというという遺伝子を持ってい
る!
→AのリスクファクターはX!
遺伝子学における精神疾患研究
B障害患者はXというという遺伝子を持ってい
る!
→BのリスクファクターはX!
臨床心理学でも同じ事が起きてませんか?
例えば・・ネガ...
DSMにおける障害という考え方
中核症状を持ち,併発するとされる症状リストのうち,
N個以上当てはまるとA障害と診断される
A障害患者には特定の薬,B障害には特定の
薬・・もしくは
A障害に対する認知行動療法,B障害に対する認知行動療法・・
こ...
例えば・・
喉がイガイガして,咳が出
ます。
リンパ節も腫れているんで
す。
あと,熱っぽい気もします
(8つの喉頭がんの症状の
うち4つを満たしている
な・・)
あなたは喉頭がんですから,
抗がん剤を飲んでみましょ
う。
もちろんありえない話...
その後はおそら
く・・
血液検査・レントゲンの結果→異常なし
処置:咳止め薬と解熱剤を処方。「しばらく安静にしてください」
症状に対応した治療の提供
DSMに基づく診断や研究で
何が治療されるのか,何が明らかになるのか
A障害患者はXというという遺伝子を持ってい
る!
→AのリスクファクターはX!
遺伝子学における精神疾患研究(再考)
B障害患者はXというという遺伝子を持ってい
る!
→BのリスクファクターはX!
遺伝子Xは障害A,Bに共通する症状のリスクファ...
RDoCとDSM
2013年のDSM-5公刊にあたり,NIMHとAPAが論争
NIMHの声明(2013/4/29)
・DSMは臨床医が同じ用語を
同じ意味で使用できるように
した信頼性は高いが妥当性は
ない
・DSMは辞書(ラベルづけ)
である...
Research Domain Criteria(RDoC: 研究領域分類基準【増山訳】)
5つの分類から症状を遺伝子,神経伝達物質,脳機能や行動面などから
発生機序を理解
あくまで症状の分類であり,診断基準ではない
3つの仮説に基づいてNIM...
Domain: Negative Valence System
Construct: Loss
Genes Molecules Cells Circuits Physiology Behavior Self-
Reports
Paradigm
...
NIMH Insel所長の主張
2022年には,精神疾患の症状のメカニズムをブレインサイエン
スの観点から把握し,薬物療法ではなく,認知バイアス修正訓
練(Cognitive Bias Modification)や認知制御トレーニング(Cogn...
タイトルに戻りまして・・
2033年からみた精神疾患
私達も2033年には40代半ばです。
どんな研究がこれからの世界に必要なのでしょうか?
症状ごとの要因を検討する上で,RDoCはScience based に有効な
示唆を与える
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  1. 1. 2033年からみた精神疾患 Evidence basedからScience basedへ
  2. 2. Evidence based Medicineの穴 利益相反 エビデンスを提供するために,RCTの重要度が増加 →RCTを行うには,製薬会社の資金援助が不可欠 製薬会社による商業主義の歪み 製薬会社の資金援助を受けたRCTの約72%が製薬会社に 有利な結果 一方で,製薬会社の資金援助を受けていないRCTは約40% が製薬会社に有利な結果(Bekelman et al., 2003) Evidence basedからScience basedへ みなさんの記憶にも新しい京都府立医科大のバルサルタン事件がありましたしね・・
  3. 3. A障害患者はXというという遺伝子を持ってい る! →AのリスクファクターはX! 遺伝子学における精神疾患研究 B障害患者はXというという遺伝子を持ってい る! →BのリスクファクターはX! 臨床心理学でも同じ事が起きてませんか? 例えば・・ネガティブな考え方は 全般性不安障害やうつ病のリスクファクター ? ※ちなみに上の例は統合失調症と双極性障害です
  4. 4. DSMにおける障害という考え方 中核症状を持ち,併発するとされる症状リストのうち, N個以上当てはまるとA障害と診断される A障害患者には特定の薬,B障害には特定の 薬・・もしくは A障害に対する認知行動療法,B障害に対する認知行動療法・・ これって正しいと思いますか? ちなみに,DSM-IV-TRの大うつ病性障害と診断されるパターンは226 通り! これらを1つの大うつ病性障害としていいのでしょうか?
  5. 5. 例えば・・ 喉がイガイガして,咳が出 ます。 リンパ節も腫れているんで す。 あと,熱っぽい気もします (8つの喉頭がんの症状の うち4つを満たしている な・・) あなたは喉頭がんですから, 抗がん剤を飲んでみましょ う。 もちろんありえない話です。 たしかに喉頭がんの疑いはありますが, 血液検査やレントゲンの結果から考えるでしょう。 客観的指標(Science)の重要性
  6. 6. その後はおそら く・・ 血液検査・レントゲンの結果→異常なし 処置:咳止め薬と解熱剤を処方。「しばらく安静にしてください」 症状に対応した治療の提供 DSMに基づく診断や研究で 何が治療されるのか,何が明らかになるのか
  7. 7. A障害患者はXというという遺伝子を持ってい る! →AのリスクファクターはX! 遺伝子学における精神疾患研究(再考) B障害患者はXというという遺伝子を持ってい る! →BのリスクファクターはX! 遺伝子Xは障害A,Bに共通する症状のリスクファクターなので は? 遺伝子Xと関連 A障害の症状群 B障害の症状群 診断名でなく,症状を研究する必要性
  8. 8. RDoCとDSM 2013年のDSM-5公刊にあたり,NIMHとAPAが論争 NIMHの声明(2013/4/29) ・DSMは臨床医が同じ用語を 同じ意味で使用できるように した信頼性は高いが妥当性は ない ・DSMは辞書(ラベルづけ) であるだけで,客観的な指標 ではない ・症状に基づいた診断は他の 医学分野では淘汰されたもの である ・NIMHの今後の研究の方向性 はDSMから切り離したものに なる APAの声明(2013/5/3) ・精神疾患の客観的マーカーの同 定を何十年も待ったが,道はまだ 遠い ・毎日苦しむ患者に対応しなけれ ばならず,患者に「いつの日にか 起こる何か」を約束しても意味が ない ・RDoCは精神疾患の理解に欠か せないが,今現在は役に立たず, DSM-5を代替するものではない その後のNIMH,APAの共同声明(2013/5/13) ・NIMH,APAは今後も精神衛生の問題に取り組み,発展を目指す
  9. 9. Research Domain Criteria(RDoC: 研究領域分類基準【増山訳】) 5つの分類から症状を遺伝子,神経伝達物質,脳機能や行動面などから 発生機序を理解 あくまで症状の分類であり,診断基準ではない 3つの仮説に基づいてNIMHが作成 ・精神疾患は脳の障害である ・神経回路の機能不全は神経科学,電気生理学, fMRIの測定ツール,もしくは新しい手法によって測定できる ・神経科学や遺伝学の知見から,臨床における症状や徴候を 増強できる ・Negative Valence Systems ・Positive Valence Systems ・Cognitive Systems ・System for Social Processes ・Arousal / Regulatory Processes
  10. 10. Domain: Negative Valence System Construct: Loss Genes Molecules Cells Circuits Physiology Behavior Self- Reports Paradigm s MAOA, COMT, DAT1, 5HTTR, 5HTRs Downregula tion of glucocortico id receptors; Upregulatio n of CRH; Estrogens; Androgens; Oxytocin; Vasopressin; Inflammator y molecules Sustained amygdala reactivity; Decreased DLPFC recruitment; Decreased vmPFC (incl. rostral cingulate); Increased insula activation; Increased posterior cingulate activity; Decreased R parietal; PVN; Hippocampus; Orbitofrontal cortex; Habit systems (striatum/ caudate/accumbens); Increased default mode activity; Dysregulated reward circuitry ANS & HPA & neuroimmune dysregulation; Prolonged psychophysiol ogical reactivity Rumination; Withdrawal; Worry; Crying; Sadness; Loss-relevant recall bias; shame; Attentional bias to negative valenced information; Guilt; Morbid Thoughts; Psychomotor retardation; Anhedonia; Increased self-focus; Deficits in executive function (e.g., impaired sustained attention); Loss of drive (sleep, appetite, libido); Amotivation Change in attribution al Style; Hopelessn ess 具体的には・・ RDoC NIMH詳しくは
  11. 11. NIMH Insel所長の主張 2022年には,精神疾患の症状のメカニズムをブレインサイエン スの観点から把握し,薬物療法ではなく,認知バイアス修正訓 練(Cognitive Bias Modification)や認知制御トレーニング(Cognitive Control Training)の治療効果が示され,精神科に行かなくとも,精 神衛生上の問題を各人が予防できるようになっているだろう。 そのために, 今後NIMHはRDoCに基づく研究に資金を援助していく予定であ る。Insel(2012)の発表スライドの要約 詳しくはhttp://www.nimh.nih.gov/about/presentations/rethinking-mental- illness.pdf 2013年の私達が「ロボトミーやECTは古い治療法だ」と思うように, 将来,「カウンセリングや服薬は古い治療法だ」と思う日が来るか もしれません。
  12. 12. タイトルに戻りまして・・ 2033年からみた精神疾患 私達も2033年には40代半ばです。 どんな研究がこれからの世界に必要なのでしょうか? 症状ごとの要因を検討する上で,RDoCはScience based に有効な 示唆を与える 診断名に重きをおいた研究か,症状に重きをおいた研究か Insel所長の主張する2022年から10年後の2033年,「こころの病」は どうなっているのか まとめ 症状群からいくつ当てはまるかという診断基準は研究には 用いるべきではない エビデンスは作られたものであり,より客観的な Science based practiceが推進されている 精神医学においても,症状に対応した治療法の提供を目指すべきであ

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