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【1210あかりんアワー】
教員が研究の楽しさを語る第65回
行政訴訟ってなんだろう
-市民・行政・司法の関係を探る-
平成26年5月13日(火)
千葉大学 法政経学部
准教授 横田明美
akemi@chiba-u.jp
自己紹介
横田明美 (@akmykt)
行政法Ⅰと環境法を担当
法学部→法科大学院→博士課程
研究者としての専門分野:
義務付け訴訟
行政に「~して!」と要求する訴訟
©YOKOTA Akemi 2014 p.2
趣味としてtwitterやブログをやっています
大学生からの質問に答える連載をやっています
©YOKOTA Akemi 2014 p.3
匿名(ハンドルネーム)の
アカウント @kfpause も
もっています
詳しくは「横田明美研究室」のページからどうぞ
http://akmykt.net/ 「横田明美」で検索でOK
©YOKOTA Akemi 2014 p.4
本日の目次
Ⅰ はじめに
Ⅱ 「犬も歩けば行政法にあたる」
Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却
<ここから「ちょっと本気に」>
Ⅳ 義務付け訴訟の機能
Ⅴ 行政訴訟のこれから
©YOKOTA Akemi 2014 p.5
本日の目次
Ⅰ はじめに
Ⅱ 「犬も歩けば行政法にあたる」
Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却
<ここから「ちょっと本気に」>
Ⅳ 義務付け訴訟の機能
Ⅴ 行政訴訟のこれから
©YOKOTA Akemi 2014 p.6
Ⅰ はじめに 「ちょっと本気に」
なんで研究テーマに
「義務付け訴訟」を選んだのか?
2004年(平成16年)
学部3年生(20歳)のときに
授業ノートにつけたはてなマークを
ちっとも解消できなかったから
©YOKOTA Akemi 2014 ...
Ⅰ はじめに 授業ノートのはてなマーク
©YOKOTA Akemi 2014 p.8
授業ノートのはてなマーク
行政事件訴訟法37条の3第6項の
「迅速な争訟の解決に資すると認めるとき」
って、
実際のところは
誰が どうやって 決めているんだ...
Ⅰ はじめに 行訴法37条の3第6項
©YOKOTA Akemi 2014 p.9
第四項の規定にかかわらず、裁判所は、審理の
状況その他の事情を考慮して、第三項各号に定
める訴えについてのみ終局判決をすることがより
迅速な争訟の解決に資すると...
Ⅰ はじめに
©YOKOTA Akemi 2014 p.10
行訴法37条の3第6項の意義
取消訴訟と申請型義務付け訴訟の関係
原則は結びつける(第4項)が
場合によっては切り離す(第6項)
「結局誰がいつ決めるの?」
本日の目次
Ⅰ はじめに
Ⅱ 「犬も歩けば行政法にあたる」
Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却
<ここから「ちょっと本気に」>
Ⅳ 義務付け訴訟の機能
Ⅴ 行政訴訟のこれから
©YOKOTA Akemi 2014 p.11
Ⅱ 犬も歩けば行政法にあたる
1 「犬も歩けば行政法にあたる」
• 台風が来れば「避難勧告」「気象庁」
• 引っ越せば「宅建業法」「住民基本台帳法」
• ゴミを捨てれば「廃棄物処理法」
• 喫茶店で珈琲を飲めば「食品衛生法」
・・・朝起きてから...
Ⅱ 犬も歩けば行政法にあたる
「行政法」って名前の法律はない
日本にあるほとんどの法律は
行政に関連する法律=行政法
行政機関は法律に基づいて活動する
分野いっぱい、たくさんつくられる
©YOKOTA Akemi 2014 p.13
Ⅱ 犬も歩けば行政法にあたる
2 2面関係から多面関係へ
公共団体と市民との関係は色々、
大きく分けて3つ
①二面関係:侵害・規制のしくみ
②二面関係:給付のしくみ
③多面関係
→書画カメラへ
©YOKOTA Akemi 2014 p.14
Ⅱ 犬も歩けば行政法にあたる
①二面関係:侵害・規制のしくみ
例)タクシーの運賃認可、営業停止命令
②二面関係:給付のしくみ
例)障害者の介護給付決定
③多面関係
例)原発の原子炉設置許可と周辺住民
©YOKOTA Akemi 2014 p.15
Ⅱ 犬も歩けば行政法にあたる
• 行政法総論
– 行政組織法:誰が行うか
– 行政作用法:どのようなことをどのように行うか
– 行政救済法:行政活動での被害の救済を求めるには
どうするか
• 行政争訟
• 国家補償
• 行政法各論(個別法・「参...
本日の目次
Ⅰ はじめに
Ⅱ 「犬も歩けば行政法にあたる」
Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却
<ここから「ちょっと本気に」>
Ⅳ 義務付け訴訟の機能
Ⅴ 行政訴訟のこれから
©YOKOTA Akemi 2014 p.17
Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却
1 行政訴訟って?
• 国家補償:受けた損害を金銭で解決する仕組み
• 行政争訟:行政活動によって変化した権利利益
(法状態)そのものを変更する仕組み
– 行政機関に:行政不服審査
– 裁判所に:行政訴訟(...
Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却
2 行政訴訟と法律
• 行政事件訴訟法
– 民事訴訟の枠組みに加えて特別なルールを決めて
いる法律
– 略して「行訴法」と呼ぶことが多い
• 民事訴訟法
• 各事件で問題になっている法律(個別法)
– 例)...
Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却
3 訴訟のハードル
民事訴訟にはいくつかハードルがある
同じ『原告敗訴判決』でも、2種類ある
訴え却下(門前払い!)と請求棄却
©YOKOTA Akemi 2014 p.20
Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却
訴訟要件とは
• 訴えそれ自体が裁判所に審理してもらうため
の形式的な要件を満たしている必要がある
→満たしていないと「訴え却下」となる
(「訴えそれ自体が不適法」)
これはある意味「門前払い判決」
(参照...
Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却
• 本案勝訴要件とは
訴えが正式に取り上げられた後に争われる要件
例)この処分は違法だ!という違法性
→コレが認められない負け方は「請求棄却」という
(普通の民事訴訟での「原告敗訴判決」はほとんど
はこっち...
Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却
• 2004年までの行政訴訟
取消訴訟が主なメニュー
取消訴訟:行政庁がした公権力の行使
(「処分」)を取り消すことを求める訴訟
©YOKOTA Akemi 2014 p.23
Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却
2004年以前の行政訴訟は大きなハードルが沢山
• 処分性
– これがないと「抗告訴訟」の枠組みに載らない
• 原告適格
– 誰が訴える事ができるか
– 「法律上の利益を有する者」(行訴法9条1項)
• 出...
Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却
4 2004年(平成16年)行訴法改正
1)いままでの訴訟を使いやすく
2)取消訴訟以外のメニュー(訴訟類型)
を用意した
+
ちょうどその頃に判例の動きも変化が
©YOKOTA Akemi 2014 p....
Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却
1)使いやすく~訴訟要件を緩和
• 原告適格(行訴法9条2項の追加)
• 出訴期間を3ヶ月から6ヶ月に延長
• (なお、判例の動きで処分性が拡大)
©YOKOTA Akemi 2014 p.26
Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却
2)取消訴訟以外の新しい訴訟類型
• 義務付け訴訟
– 申請型:申請拒否を取り消すだけではなく、義務
付けも加える
– 非申請型:権限を発動してもらう
• 差止訴訟
– 行政が何か処分をしようとしているとき...
Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却
書画カメラで補足
・(取消訴訟+)申請型義務付け訴訟
障害者介護給付訴訟
・非申請型義務付け訴訟
原発規制の発動を求める訴訟
・差止訴訟
タクシー営業停止命令差止訴訟
©YOKOTA Akemi 2014 ...
本日の目次
Ⅰ はじめに
Ⅱ 「犬も歩けば行政法にあたる」
Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却
<ここから「ちょっと本気に」>
Ⅳ 義務付け訴訟の機能
Ⅴ 行政訴訟のこれから
©YOKOTA Akemi 2014 p.29
ちょっと本気に
2004年当時(学部3年生)の疑問
©YOKOTA Akemi 2014 p.30
行訴法37条の3第6項の意義
取消訴訟と申請型義務付け訴訟の関係を
原則は結びつける(第4項)が
場合によっては切り離す(第6項)
「迅速な争訟...
Ⅳ 義務付け訴訟の機能
研究の姿勢:新しい制度を率直に見つめる
• きちんと動いているのか?
• 動いていないとしたら、何が問題なのか?
• 解決するにはどうしたら良いのか?
→「できる/できない」の時代は終わったので
「できる」のその先へ進む...
Ⅳ 義務付け訴訟の機能
博士論文(現在、『国家学会雑誌』連載中)
「義務付け訴訟の機能
-時間の観点から見た行政と司法の役割論」
このタイトルに込めた意味
©YOKOTA Akemi 2014 p.32
Ⅳ 義務付け訴訟の機能
• 行政過程→司法過程→再度の行政過程
©YOKOTA Akemi 2014 p.33
Ⅳ 義務付け訴訟の機能
このキャッチボールのような行政過程観は
近年よく言われるように
しかし、「義務付け訴訟」についてはまだ誰も
「再度の行政過程」を
見据えた議論をしていなかった
©YOKOTA Akemi 2014 p.34
Ⅳ 義務付け訴訟の機能
検討の手法
• 「できる/できない」の時代ではなく、「できる」
のその先へ
• 先人の業績を踏まえて改めてドイツ法を検討
• 改正後の下級審裁判例をつぶさに見る
©YOKOTA Akemi 2014 p.35
Ⅳ 義務付け訴訟の機能
見えてきたこと
• 下級審裁判例での工夫が多数存在する
– 例)障害者介護訴訟での「幅のある判決」
• 日本とドイツの考え方の違い
– ドイツは一回的解決の考えが強い
– 日本の改正法は参考にしたはずのドイツの仕組
みと...
Ⅳ 義務付け訴訟の機能
自説の骨子
• 義務付け訴訟の機能
– 義務付け訴訟は終局解決ではない
– 方向付け・嚮導機能が重要
– 「これからどうするの?」に裁判所が答えるべき
• 時間についての考え方
– 今までの「違法性判断の基準時論」はおか...
Ⅳ 義務付け訴訟の機能
©YOKOTA Akemi 2014 p.38
義務付け訴訟の嚮導機能と違法性判断の基準時論
Ⅳ 義務付け訴訟の機能
©YOKOTA Akemi 2014 p.39
©YOKOTA Akemi 2014 40
本日の目次
Ⅰ はじめに
Ⅱ 「犬も歩けば行政法にあたる」
Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却
<ここから「ちょっと本気に」>
Ⅳ 義務付け訴訟の機能
Ⅴ 行政訴訟のこれから
©YOKOTA Akemi 2014 p.41
V 行政訴訟のこれから
• 行訴法の再改正?
– 自説の意義:「検証委員会」で見落とされた問題
• 原発訴訟はどうなるのか
– これまでの原発訴訟~門前払い、その後も厳しい
– 原子力関連法制度の大幅な変更
– 「裁判所の常識」なるものは変わっ...
謝辞
ご静聴ありがとうございました。
横田明美 http://akmykt.net
akemi@chiba-u.jp
©2014 Akemi YOKOTA p.43
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1210あかりんアワー「行政訴訟ってなんだろう?」

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1210あかりんアワー「行政訴訟ってなんだろう?」

  1. 1. 【1210あかりんアワー】 教員が研究の楽しさを語る第65回 行政訴訟ってなんだろう -市民・行政・司法の関係を探る- 平成26年5月13日(火) 千葉大学 法政経学部 准教授 横田明美 akemi@chiba-u.jp
  2. 2. 自己紹介 横田明美 (@akmykt) 行政法Ⅰと環境法を担当 法学部→法科大学院→博士課程 研究者としての専門分野: 義務付け訴訟 行政に「~して!」と要求する訴訟 ©YOKOTA Akemi 2014 p.2
  3. 3. 趣味としてtwitterやブログをやっています 大学生からの質問に答える連載をやっています ©YOKOTA Akemi 2014 p.3 匿名(ハンドルネーム)の アカウント @kfpause も もっています
  4. 4. 詳しくは「横田明美研究室」のページからどうぞ http://akmykt.net/ 「横田明美」で検索でOK ©YOKOTA Akemi 2014 p.4
  5. 5. 本日の目次 Ⅰ はじめに Ⅱ 「犬も歩けば行政法にあたる」 Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却 <ここから「ちょっと本気に」> Ⅳ 義務付け訴訟の機能 Ⅴ 行政訴訟のこれから ©YOKOTA Akemi 2014 p.5
  6. 6. 本日の目次 Ⅰ はじめに Ⅱ 「犬も歩けば行政法にあたる」 Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却 <ここから「ちょっと本気に」> Ⅳ 義務付け訴訟の機能 Ⅴ 行政訴訟のこれから ©YOKOTA Akemi 2014 p.6
  7. 7. Ⅰ はじめに 「ちょっと本気に」 なんで研究テーマに 「義務付け訴訟」を選んだのか? 2004年(平成16年) 学部3年生(20歳)のときに 授業ノートにつけたはてなマークを ちっとも解消できなかったから ©YOKOTA Akemi 2014 p.7
  8. 8. Ⅰ はじめに 授業ノートのはてなマーク ©YOKOTA Akemi 2014 p.8 授業ノートのはてなマーク 行政事件訴訟法37条の3第6項の 「迅速な争訟の解決に資すると認めるとき」 って、 実際のところは 誰が どうやって 決めているんだろう・・・?
  9. 9. Ⅰ はじめに 行訴法37条の3第6項 ©YOKOTA Akemi 2014 p.9 第四項の規定にかかわらず、裁判所は、審理の 状況その他の事情を考慮して、第三項各号に定 める訴えについてのみ終局判決をすることがより 迅速な争訟の解決に資すると認めるときは、 当該訴えについてのみ終局判決をすることができ る。 この場合において、裁判所は、当該訴えについて のみ終局判決をしたときは、当事者の意見を聴い て、当該訴えに係る訴訟手続が完結するまでの間、 義務付けの訴えに係る訴訟手続を中止することが できる。
  10. 10. Ⅰ はじめに ©YOKOTA Akemi 2014 p.10 行訴法37条の3第6項の意義 取消訴訟と申請型義務付け訴訟の関係 原則は結びつける(第4項)が 場合によっては切り離す(第6項) 「結局誰がいつ決めるの?」
  11. 11. 本日の目次 Ⅰ はじめに Ⅱ 「犬も歩けば行政法にあたる」 Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却 <ここから「ちょっと本気に」> Ⅳ 義務付け訴訟の機能 Ⅴ 行政訴訟のこれから ©YOKOTA Akemi 2014 p.11
  12. 12. Ⅱ 犬も歩けば行政法にあたる 1 「犬も歩けば行政法にあたる」 • 台風が来れば「避難勧告」「気象庁」 • 引っ越せば「宅建業法」「住民基本台帳法」 • ゴミを捨てれば「廃棄物処理法」 • 喫茶店で珈琲を飲めば「食品衛生法」 ・・・朝起きてから寝るまでずっとどこかに ©YOKOTA Akemi 2014 p.12
  13. 13. Ⅱ 犬も歩けば行政法にあたる 「行政法」って名前の法律はない 日本にあるほとんどの法律は 行政に関連する法律=行政法 行政機関は法律に基づいて活動する 分野いっぱい、たくさんつくられる ©YOKOTA Akemi 2014 p.13
  14. 14. Ⅱ 犬も歩けば行政法にあたる 2 2面関係から多面関係へ 公共団体と市民との関係は色々、 大きく分けて3つ ①二面関係:侵害・規制のしくみ ②二面関係:給付のしくみ ③多面関係 →書画カメラへ ©YOKOTA Akemi 2014 p.14
  15. 15. Ⅱ 犬も歩けば行政法にあたる ①二面関係:侵害・規制のしくみ 例)タクシーの運賃認可、営業停止命令 ②二面関係:給付のしくみ 例)障害者の介護給付決定 ③多面関係 例)原発の原子炉設置許可と周辺住民 ©YOKOTA Akemi 2014 p.15
  16. 16. Ⅱ 犬も歩けば行政法にあたる • 行政法総論 – 行政組織法:誰が行うか – 行政作用法:どのようなことをどのように行うか – 行政救済法:行政活動での被害の救済を求めるには どうするか • 行政争訟 • 国家補償 • 行政法各論(個別法・「参照領域」) – 租税法 /社会保障法/環境法/都市法(土地法) – 警察法 ・・・ ©YOKOTA Akemi 2014 p.16
  17. 17. 本日の目次 Ⅰ はじめに Ⅱ 「犬も歩けば行政法にあたる」 Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却 <ここから「ちょっと本気に」> Ⅳ 義務付け訴訟の機能 Ⅴ 行政訴訟のこれから ©YOKOTA Akemi 2014 p.17
  18. 18. Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却 1 行政訴訟って? • 国家補償:受けた損害を金銭で解決する仕組み • 行政争訟:行政活動によって変化した権利利益 (法状態)そのものを変更する仕組み – 行政機関に:行政不服審査 – 裁判所に:行政訴訟(行政事件訴訟) そのほかに:「行政が訴える(民事)訴訟」も ©YOKOTA Akemi 2014 p.18
  19. 19. Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却 2 行政訴訟と法律 • 行政事件訴訟法 – 民事訴訟の枠組みに加えて特別なルールを決めて いる法律 – 略して「行訴法」と呼ぶことが多い • 民事訴訟法 • 各事件で問題になっている法律(個別法) – 例)道路運送法~タクシー – 例)障害者自立支援法 ~介護 – 例)原子炉等規制法 ~原発 ©YOKOTA Akemi 2014 p.19
  20. 20. Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却 3 訴訟のハードル 民事訴訟にはいくつかハードルがある 同じ『原告敗訴判決』でも、2種類ある 訴え却下(門前払い!)と請求棄却 ©YOKOTA Akemi 2014 p.20
  21. 21. Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却 訴訟要件とは • 訴えそれ自体が裁判所に審理してもらうため の形式的な要件を満たしている必要がある →満たしていないと「訴え却下」となる (「訴えそれ自体が不適法」) これはある意味「門前払い判決」 (参照、藤田(2013)220頁) ©YOKOTA Akemi 2014 p.21
  22. 22. Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却 • 本案勝訴要件とは 訴えが正式に取り上げられた後に争われる要件 例)この処分は違法だ!という違法性 →コレが認められない負け方は「請求棄却」という (普通の民事訴訟での「原告敗訴判決」はほとんど はこっち) ©YOKOTA Akemi 2014 p.22
  23. 23. Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却 • 2004年までの行政訴訟 取消訴訟が主なメニュー 取消訴訟:行政庁がした公権力の行使 (「処分」)を取り消すことを求める訴訟 ©YOKOTA Akemi 2014 p.23
  24. 24. Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却 2004年以前の行政訴訟は大きなハードルが沢山 • 処分性 – これがないと「抗告訴訟」の枠組みに載らない • 原告適格 – 誰が訴える事ができるか – 「法律上の利益を有する者」(行訴法9条1項) • 出訴期間 – 処分があったことを知った日から3ヶ月以内 だった – うかうかしていると過ぎてしまう ©YOKOTA Akemi 2014 p.24
  25. 25. Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却 4 2004年(平成16年)行訴法改正 1)いままでの訴訟を使いやすく 2)取消訴訟以外のメニュー(訴訟類型) を用意した + ちょうどその頃に判例の動きも変化が ©YOKOTA Akemi 2014 p.25
  26. 26. Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却 1)使いやすく~訴訟要件を緩和 • 原告適格(行訴法9条2項の追加) • 出訴期間を3ヶ月から6ヶ月に延長 • (なお、判例の動きで処分性が拡大) ©YOKOTA Akemi 2014 p.26
  27. 27. Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却 2)取消訴訟以外の新しい訴訟類型 • 義務付け訴訟 – 申請型:申請拒否を取り消すだけではなく、義務 付けも加える – 非申請型:権限を発動してもらう • 差止訴訟 – 行政が何か処分をしようとしているときに前もって 食い止める ©YOKOTA Akemi 2014 p.27
  28. 28. Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却 書画カメラで補足 ・(取消訴訟+)申請型義務付け訴訟 障害者介護給付訴訟 ・非申請型義務付け訴訟 原発規制の発動を求める訴訟 ・差止訴訟 タクシー営業停止命令差止訴訟 ©YOKOTA Akemi 2014 p.28
  29. 29. 本日の目次 Ⅰ はじめに Ⅱ 「犬も歩けば行政法にあたる」 Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却 <ここから「ちょっと本気に」> Ⅳ 義務付け訴訟の機能 Ⅴ 行政訴訟のこれから ©YOKOTA Akemi 2014 p.29
  30. 30. ちょっと本気に 2004年当時(学部3年生)の疑問 ©YOKOTA Akemi 2014 p.30 行訴法37条の3第6項の意義 取消訴訟と申請型義務付け訴訟の関係を 原則は結びつける(第4項)が 場合によっては切り離す(第6項) 「迅速な争訟の解決に資する」 結局誰がいつ決めるの?
  31. 31. Ⅳ 義務付け訴訟の機能 研究の姿勢:新しい制度を率直に見つめる • きちんと動いているのか? • 動いていないとしたら、何が問題なのか? • 解決するにはどうしたら良いのか? →「できる/できない」の時代は終わったので 「できる」のその先へ進むための議論をしたい ©YOKOTA Akemi 2014 p.31
  32. 32. Ⅳ 義務付け訴訟の機能 博士論文(現在、『国家学会雑誌』連載中) 「義務付け訴訟の機能 -時間の観点から見た行政と司法の役割論」 このタイトルに込めた意味 ©YOKOTA Akemi 2014 p.32
  33. 33. Ⅳ 義務付け訴訟の機能 • 行政過程→司法過程→再度の行政過程 ©YOKOTA Akemi 2014 p.33
  34. 34. Ⅳ 義務付け訴訟の機能 このキャッチボールのような行政過程観は 近年よく言われるように しかし、「義務付け訴訟」についてはまだ誰も 「再度の行政過程」を 見据えた議論をしていなかった ©YOKOTA Akemi 2014 p.34
  35. 35. Ⅳ 義務付け訴訟の機能 検討の手法 • 「できる/できない」の時代ではなく、「できる」 のその先へ • 先人の業績を踏まえて改めてドイツ法を検討 • 改正後の下級審裁判例をつぶさに見る ©YOKOTA Akemi 2014 p.35
  36. 36. Ⅳ 義務付け訴訟の機能 見えてきたこと • 下級審裁判例での工夫が多数存在する – 例)障害者介護訴訟での「幅のある判決」 • 日本とドイツの考え方の違い – ドイツは一回的解決の考えが強い – 日本の改正法は参考にしたはずのドイツの仕組 みと大きく離れている ©YOKOTA Akemi 2014 p.36
  37. 37. Ⅳ 義務付け訴訟の機能 自説の骨子 • 義務付け訴訟の機能 – 義務付け訴訟は終局解決ではない – 方向付け・嚮導機能が重要 – 「これからどうするの?」に裁判所が答えるべき • 時間についての考え方 – 今までの「違法性判断の基準時論」はおかしい • これからはどう考えるべきか? ©YOKOTA Akemi 2014 p.37
  38. 38. Ⅳ 義務付け訴訟の機能 ©YOKOTA Akemi 2014 p.38 義務付け訴訟の嚮導機能と違法性判断の基準時論
  39. 39. Ⅳ 義務付け訴訟の機能 ©YOKOTA Akemi 2014 p.39
  40. 40. ©YOKOTA Akemi 2014 40
  41. 41. 本日の目次 Ⅰ はじめに Ⅱ 「犬も歩けば行政法にあたる」 Ⅲ 行政訴訟改革~門前払いからの脱却 <ここから「ちょっと本気に」> Ⅳ 義務付け訴訟の機能 Ⅴ 行政訴訟のこれから ©YOKOTA Akemi 2014 p.41
  42. 42. V 行政訴訟のこれから • 行訴法の再改正? – 自説の意義:「検証委員会」で見落とされた問題 • 原発訴訟はどうなるのか – これまでの原発訴訟~門前払い、その後も厳しい – 原子力関連法制度の大幅な変更 – 「裁判所の常識」なるものは変わったか? • 行政訴訟活用の希望 – 「行政訴訟はできる」という意識への転換 – 法科大学院卒の弁護士 – 市民と行政と裁判所・・・敵対から再構築へ ©YOKOTA Akemi 2014 p.42
  43. 43. 謝辞 ご静聴ありがとうございました。 横田明美 http://akmykt.net akemi@chiba-u.jp ©2014 Akemi YOKOTA p.43

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