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LiBRA 08.2019 / デジタルとイノベーション

Masanori Saito
Masanori Saito
Masanori Saito代表取締役 at ネットコマース

https://libra.netcommerce.co.jp/

LiBRA 08.2019 / デジタルとイノベーション

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テクノロジーな未来は
私たちを
幸せにしてくれるのだろうか?
デジタルに包み込まれる世界で「イノベーション」に求められるもの
ネットコマース株式会社
斎藤昌義
2019.07.10
何を解決しようとしているのか?その手段は何か?
盒馬鮮生 : 買い物における圧倒的な自由
Easy Ride : 移動における制約からの解放
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解決しようとしていること/目的
解決するため方法/手段
デジタル/オンラインとアナログ/オフラインを
区別することなく、ひとつの仕組みとして実現し
圧倒的な利便性とスピード、自由を実現すること
イノベーションとは何か
馬車の客車と蒸気機関の新しい組合せ
鉄道というイノベーションが生まれた
オーストリア・ハンガリー帝国(後のチェコ)モラヴィア生まれの経済学者
「経済発展の理論,1912」の中で、イノベーションのことを「新結合(neue
Kombination)」という言葉を使って説明している。
ヨーゼフ・アロイス・シュンペーター
Joseph Alois Schumpeter、1883年2月8日 - 1950年1月8日
馬車をたくさん並べても鉄道にはならない
「イノベーション」と「インベンション」の違い
イノベーション
Innovation
これまでにはなかった
新しい組合せを見つけ
新たな価値を産み出すこと
インベンション
Invention(発明)
これまでにはなかった
新しい「もの/こと」を創り
新たな価値を産み出すこと
イノベーションとは何か
オーストリア・ハンガリー帝国(後のチェコ)モラヴィア生まれの経済学者
「経済発展の理論,1912」の中で、イノベーションのことを「新結合(neue
Kombination)」という言葉を使って説明している。
ヨーゼフ・アロイス・シュンペーター
Joseph Alois Schumpeter、1883年2月8日 - 1950年1月8日
新しい財貨の生産 :プロダクト・イノベーション
新しい生産方法の導入 :プロセス・イノベーション
新しい販売先の開拓 :マーケティング・イノベーション
新しい仕入先の獲得 :サプライチェーン・イノベーション
新しい組織の実現 :組織のイノベーション
新しい体験の創出 :感性のイノベーション
デジタルとフィジカル (1)
スピード
複 製
組合せ・変更
遅い
劣化する
困難
早い
劣化しない
容易
フィジカル
Physical
デジタル
Digital
規模の拡大が
容易で早い
状況を即座に
把握し即応できる
エコシステムが容易に形成
イノベーションが加速する
IoT
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Editor's Notes

  1. 「デジタル(digital)」とは、本来「離散量(とびとびの値しかない量)」を意味する言葉で、連続量を表すアナログと対をなす概念だ。また、数値、文字、音声、画像などあらゆるアナログな物理的情報をスイッチのオンとオフに対応させた0と1の数字の組み合わせ、つまり「デジタル」として表現することを「デジタル化(digitize)」と言う。コンピュータは、このデジタル化された情報を使って、様々な処理を行っている。 現実世界の「アナログ」な「ものごと」や「できごと」の情報を「デジタル」な情報に移し替えることによって、現実世界はコンピュータで処理できるカタチに変わる。つまり、現実世界の「ものごと」や「できごと」をセンサーやWeb、モバイルなどの様々な接点を介して、現実世界のデジタルなコピーとして、コンピュータは受け取り、現実世界ではできないことを実現することが可能になった。こう考えると「デジタル」とは、アナログな現実世界、つまり「フィジカル(Physical):物理的」な世界と対をなす概念として捉えることができる。 そんな「デジタル」には、「スピードが早い」、「複製しても劣化しない」、「組合せや変更が容易」という3つの特徴がある。 デジタル化された情報はネットワークを介し直ちに送り届けることができるし、コンピュータでの処理も高速で行うことができる。もし、人間や書類、あるいは輸送手段を介する「フィジカル」な世界であったすれば、このスピードは格段に遅い。また、デジタルな情報のカタチで何度複製されても、元の情報を劣化させることはない。これが、「フィジカル」な紙であれば、複製を重ねる毎に劣化するし、人づてを介して口頭で伝えられる情報は、その過程で内容が変質してしまう可能性すらある。また、「デジタル」な情報を組み合わせることや、変更を加えることが容易であり、新しい組合せや付加価値を拡大させることが簡単にできてしまう。これが、物理的な実態、例えば人の組織やハードウェア、紙の書類などの「フィジカル」な情報では難しい。 このような「デジタル」な情報の「早い」と「劣化しない」特性を組み合わせれば、次のことが可能になる。 ビジネス規模の拡大が容易で早い 利益逓増/複製にコストがかからない また、「早い」と「容易」を組み合わせれば、次のことが可能になる。 変化を即座に把握できる 変化への即応力がある さらに、「劣化しない」と「容易」を組み合わせれば、次のようなことができる。 エコシステムが容易に形成できる イノベーションが誘発、加速する 「ビジネスのデジタル化」とはフィジカルなビジネスの仕組みをデジタルな仕組みに置き換えることで、ここに掲げた価値をビジネスに取り込むことを意味している。
  2. 「デジタル(digital)」とは、本来「離散量(とびとびの値しかない量)」を意味する言葉で、連続量を表すアナログと対をなす概念だ。また、数値、文字、音声、画像などあらゆるアナログな物理的情報をスイッチのオンとオフに対応させた0と1の数字の組み合わせ、つまり「デジタル」として表現することを「デジタル化(digitize)」と言う。コンピュータは、このデジタル化された情報を使って、様々な処理を行っている。 現実世界の「アナログ」な「ものごと」や「できごと」の情報を「デジタル」な情報に移し替えることによって、現実世界はコンピュータで処理できるカタチに変わる。つまり、現実世界の「ものごと」や「できごと」をセンサーやWeb、モバイルなどの様々な接点を介して、現実世界のデジタルなコピーとして、コンピュータは受け取り、現実世界ではできないことを実現することが可能になった。こう考えると「デジタル」とは、アナログな現実世界、つまり「フィジカル(Physical):物理的」な世界と対をなす概念として捉えることができる。 そんな「デジタル」には、「スピードが早い」、「複製しても劣化しない」、「組合せや変更が容易」という3つの特徴がある。 デジタル化された情報はネットワークを介し直ちに送り届けることができるし、コンピュータでの処理も高速で行うことができる。もし、人間や書類、あるいは輸送手段を介する「フィジカル」な世界であったすれば、このスピードは格段に遅い。また、デジタルな情報のカタチで何度複製されても、元の情報を劣化させることはない。これが、「フィジカル」な紙であれば、複製を重ねる毎に劣化するし、人づてを介して口頭で伝えられる情報は、その過程で内容が変質してしまう可能性すらある。また、「デジタル」な情報を組み合わせることや、変更を加えることが容易であり、新しい組合せや付加価値を拡大させることが簡単にできてしまう。これが、物理的な実態、例えば人の組織やハードウェア、紙の書類などの「フィジカル」な情報では難しい。 このような「デジタル」な情報の「早い」と「劣化しない」特性を組み合わせれば、次のことが可能になる。 ビジネス規模の拡大が容易で早い 利益逓増/複製にコストがかからない また、「早い」と「容易」を組み合わせれば、次のことが可能になる。 変化を即座に把握できる 変化への即応力がある さらに、「劣化しない」と「容易」を組み合わせれば、次のようなことができる。 エコシステムが容易に形成できる イノベーションが誘発、加速する 「ビジネスのデジタル化」とはフィジカルなビジネスの仕組みをデジタルな仕組みに置き換えることで、ここに掲げた価値をビジネスに取り込むことを意味している。
  3. 2018年1月、トヨタは、ラスベガスで開催された「CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)2018」で、独自のMaaS(Mobility as a Service)である「e-Palette Concept」を発表した。移動する手段である自動車を売るのではなく、移動そのものを売ろうというわけだ。そして、自らを自動車はメーカーから「モビリティ・カンパニー」へ転換する旨を宣言した。 「100年に一度の変革期」と言われるほどに、いま自動車業界は大きな変化の節目に立たされている。それは、CASEの波が押し寄せているからだ。CASEとは、Connected(つながる)、Autonomous(自律走行)、Shared(共有)、Electric(電動)を意味する言葉だ。人と車が、あるいは車同士が、さらには信号機や道路上に設置されたセンサーが繋がり、お互いの情報を共有し、周囲の状況に合わせた自動運転が実現しようとしている。そんな車がインターネットにつながれば、それぞれの稼働状況をリアルタイムで共有することができる。ならば空いている時間をお互いに融通し合えば、いまほど沢山の車はいらず、移動手段として車をスマートフォンから呼び出せば、直ぐにでも迎えに来てくれる。さらに給油は充電へと変わり人手を介する必要がなくなれば、ますます移動をサービスとして提供するコストも下がり、管理も容易になる。つまり車が売れない時代を迎えつつあるのだ。 「移動」はなにも車だけで実現している訳ではない。バスや鉄道などの公共交通機関、さらには、自転車のシェア・サービスなども移動の手段も加わりつつある。MaaSは、これらあらゆる交通手段を統合し、「移動」者にとっての最適な手段の組合せを提供しよういうサービスだ。それは単にスマートフォンで最適な手段の組合せをルート検索するだけではない。手配や予約、支払いも含め、さらには月額定額(サブスクリプション)を支払えば、乗り放題のサービスも提供される。そんな移動体験を総合的に提供するプラットフォーム・サービスがMaaSということになる。 MaaSの先駆的取り組みのひとつがフィンランドのヘルシンキに本社を置くMaaS Global社のサブスクリプション型サービス「Whim(ウィム)」だ。このサービスは、地元ヘルシンキのほか、ベルギーのアントワープ、イギリスのウエストミッドランドで正式にサービスを展開している。Whimの会員数は、MaaS Global本社があるヘルシンキでは、18年9月現在6万人で、ヘルシンキの人口63万人の約1割がWhimユーザーとなっている。Whimアプリ経由のヘルシンキでの移動回数は、18年9月時点で150万回、利用者が選択する交通手段の割合は90%が公共交通で、残りが自転車やクルマなどの他の移動手段になっているそうだ。サービスの普及に伴い、都市部での自家用車の流入が減っているという。これは交通渋滞や大気汚染が解消し移動時間も短縮することにつながると期待されている。 高齢化社会を迎える我が国でも、MaaSが普及すれば移動の手段を持たない高齢者が容易に移動できるようになるだろう。また、過疎化が進み公共の移動手段が大きなコストとなるところでも移動手段を提供できるようになると期待されている。  
  4. 2018年1月、トヨタは、ラスベガスで開催された「CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)2018」で、独自のMaaS(Mobility as a Service)である「e-Palette Concept」を発表した。移動する手段である自動車を売るのではなく、移動そのものを売ろうというわけだ。そして、自らを自動車はメーカーから「モビリティ・カンパニー」へ転換する旨を宣言した。 「100年に一度の変革期」と言われるほどに、いま自動車業界は大きな変化の節目に立たされている。それは、CASEの波が押し寄せているからだ。CASEとは、Connected(つながる)、Autonomous(自律走行)、Shared(共有)、Electric(電動)を意味する言葉だ。人と車が、あるいは車同士が、さらには信号機や道路上に設置されたセンサーが繋がり、お互いの情報を共有し、周囲の状況に合わせた自動運転が実現しようとしている。そんな車がインターネットにつながれば、それぞれの稼働状況をリアルタイムで共有することができる。ならば空いている時間をお互いに融通し合えば、いまほど沢山の車はいらず、移動手段として車をスマートフォンから呼び出せば、直ぐにでも迎えに来てくれる。さらに給油は充電へと変わり人手を介する必要がなくなれば、ますます移動をサービスとして提供するコストも下がり、管理も容易になる。つまり車が売れない時代を迎えつつあるのだ。 「移動」はなにも車だけで実現している訳ではない。バスや鉄道などの公共交通機関、さらには、自転車のシェア・サービスなども移動の手段も加わりつつある。MaaSは、これらあらゆる交通手段を統合し、「移動」者にとっての最適な手段の組合せを提供しよういうサービスだ。それは単にスマートフォンで最適な手段の組合せをルート検索するだけではない。手配や予約、支払いも含め、さらには月額定額(サブスクリプション)を支払えば、乗り放題のサービスも提供される。そんな移動体験を総合的に提供するプラットフォーム・サービスがMaaSということになる。 MaaSの先駆的取り組みのひとつがフィンランドのヘルシンキに本社を置くMaaS Global社のサブスクリプション型サービス「Whim(ウィム)」だ。このサービスは、地元ヘルシンキのほか、ベルギーのアントワープ、イギリスのウエストミッドランドで正式にサービスを展開している。Whimの会員数は、MaaS Global本社があるヘルシンキでは、18年9月現在6万人で、ヘルシンキの人口63万人の約1割がWhimユーザーとなっている。Whimアプリ経由のヘルシンキでの移動回数は、18年9月時点で150万回、利用者が選択する交通手段の割合は90%が公共交通で、残りが自転車やクルマなどの他の移動手段になっているそうだ。サービスの普及に伴い、都市部での自家用車の流入が減っているという。これは交通渋滞や大気汚染が解消し移動時間も短縮することにつながると期待されている。 高齢化社会を迎える我が国でも、MaaSが普及すれば移動の手段を持たない高齢者が容易に移動できるようになるだろう。また、過疎化が進み公共の移動手段が大きなコストとなるところでも移動手段を提供できるようになると期待されている。