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資本主義とお金の未来[補足資料]

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2018年11月24日(土)にアカデミーヒルズにて行われる同名の集中講義で参照予定の補足資料です。
https://www.academyhills.com/library/calendar/181124.html

Published in: Economy & Finance
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資本主義とお金の未来[補足資料]

  1. 1. 資本主義とお金の未来 【補足資料】 安田洋祐 大阪大学 大学院経済学研究科 准教授 Eメール: yasuda@econ.osaka-u.ac.jp ウェブ: https://sites.google.com/site/yosukeyasuda/jp 2018年11月 1
  2. 2. 簡単な自己紹介 • 1980年 東京都生まれ • 2002年 東京大学経済学部卒業 (大内兵衛賞、経済学部卒業生総代) • 2007年 プリンストン大学Ph.D. • 2007年 政策研究大学院大学助教授 • 2014年 大阪大学経済学部准教授 • 研究領域 – 経済理論、ゲーム理論、インセンティブ設計 • 学術研究の傍らマスメディアを通した一 般向けの情報発信や、政府等での委員 活動にも積極的に取り組んでいる。 2018年11月 2安田洋祐|大阪大学
  3. 3. 著作など 2018年11月 3安田洋祐|大阪大学
  4. 4. TVメディア • レギュラー・準レギュラー – フジテレビ「とくダネ!」 – 関西テレビ「報道ランナー」 – 読売テレビ「情報ライブ ミヤネ屋」 – テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」 ← New! • 特別番組など – NHK BS1「欲望の資本主義2017」 「欲望の資本主義2018」 – NHK Eテレ「ニッポンのジレンマ」 – NHK 総合「NHKスペシャル マネーワールド」 – NHK 総合「欲望の資本主義」 2018年11月 4安田洋祐|大阪大学
  5. 5. 講義の流れ(メインテーマ) 1. 資本主義 2. お金 3. 格差 4. デジタル経済 2018年11月 5安田洋祐|大阪大学
  6. 6. 経済学が見落としがちな点(裏テーマ) 1. 時間 2. 収穫逓増 3. 消費以外の欲望 4. 市場の“限界” 2018年11月 6安田洋祐|大阪大学
  7. 7. グラフ1:世界経済 2018年11月 7安田洋祐|大阪大学
  8. 8. グラフ1:世界経済 2018年11月 8安田洋祐|大阪大学 & 資 本 主 義
  9. 9. サピエンス全史 [1]; Money [2] 2018年11月 9安田洋祐|大阪大学
  10. 10. “資本”主義とは? Wealth (死蔵) Capital (再投資) 生産利益 2018年11月 10安田洋祐|大阪大学 生産利益 「資本主義」の定義(by ハラリ [2]) → 利益は生産活動に(再)投資される“べき”
  11. 11. 『サピエンス全史』と産業革命 [1] • 人類の「三大革命」 1. 認知革命 → お金・貨幣  交換の促進 → 商業革命  将来の期待 → 信用革命 2. 農業革命 → 余剰労働 3. 科学革命 → 技術革新 ⇒ 三大革命が産業革命を生んだ!? 2018年11月 11安田洋祐|大阪大学
  12. 12. 新美南吉 童話『手袋を買いに』 • 手袋のお使いのため、母狐は子狐の片手を 人間の手に変え、町に送り出す。 – 狐だとバレると手袋が買えない!(差別) • 子狐は店で間違って狐の手で白銅貨を差し 出すが、店の主人は手袋を売ってくれる。 • なぜ? 主人が親切だった?? – お金がホンモノだった!→ 貨幣の下の平等 – 市場の匿名性が鍵? • ネットとSNSが高める実名性の危険性… 2018年11月 12安田洋祐|大阪大学
  13. 13. お金がもたらす「疎外」問題 • 賃金によって労働はモノと同一化され、労働が有す る支払い不能な尊厳を、価値のうちに覆い隠してし まい、人間の労働とサービスは、モノと同じように商 業的価値をもつものとみなされてしまう。 • 人間はその能力を貨幣によって評価され、経済的シ ステムへと統合され、経済的発展のさまざまな段階 において値段をつけられる存在になってしまう。 – エマニュエル・レヴィナス『貨幣の哲学』 • 「悪魔のひき臼」(カール・ポラニー『大転換』) 2018年11月 13安田洋祐|大阪大学
  14. 14. 14 「市場経済」のアップデート • バッテンで決まる価格 – 資本市場 → 利子 – 労働市場 → 賃金  縦軸は常に“価格” • お金とは別の価格? – 待ち行列 → 時間 – 評価経済 → いいね! – ESG投資? – クラウドファンディング? 2018年11月 同じアイテムでも異なる価格 → マッチング “お金”以外で価格が決まる → 多次元評価 安田洋祐|大阪大学
  15. 15. 起業家のジレンマ [1] 2018年11月 15 ベーカリー を開けない ケーキを焼 けない お金を稼げ ない 建設業者 を雇えない 安田洋祐|大阪大学
  16. 16. 近代経済の魔法の循環 [1] 2018年11月 16 将来を信頼 する 信用が発生 する 建設業者に 支払う 新しいベーカ リーを開く ケーキを焼い てローン返済 安田洋祐|大阪大学
  17. 17. 信用と経済成長 [1] 近代以前の経済 将来を信 頼しない 信用がほ とんど発 生しない 経済成長 が遅い 近代の経済 将来を信 頼する 信用が 盛んに 発生する 経済成 長が速 い 2018年11月 17安田洋祐|大阪大学
  18. 18. グラフ2:富の格差 2018年11月 18安田洋祐|大阪大学
  19. 19. グラフ2:富の格差 2018年11月 19安田洋祐|大阪大学 最上位1%の資産 >ほか99%の資産
  20. 20. 21世紀の貨幣論 [3]; 資本の世界史 [4] 2018年11月 20安田洋祐|大阪大学
  21. 21. ローレンス・サマーズの“告白” [3] • 元財務長官、元ハーバード大学学長 – 近年では「長期停滞論」を提唱 • ブレトンウッズのコンファレンス(2011年4月) – 第二次世界大戦以降、正当派経済理論の「膨大 な体系」が構築されてきたが、危機対応において は、まるで役に立たなかった。 – なぜ経済が急降下しているのか、どうすればそれ を止められるのか、その答えを経済学は全くと言 っていいほど示していなかった。 2018年11月 安田洋祐|大阪大学 21
  22. 22. サマーズが注目した4人の経済学者 [3] 2018年11月 22安田洋祐|大阪大学
  23. 23. マービン・キングの“憂い” [3] • 元イングランド銀行総裁 – 経済学はマネーを研究する学問だとほとんどの 人が考えているが、実際はまったくちがう。 – マクロ経済学者同士の会話には、『マネー』という 単語はめったに出てこない。 – マクロ経済学者が使う標準的なモデルにマネー が組み込まれていないため、将来、問題が起きる のではないかと、私は考えている。 – マネーは今後、経済学者同士の会話にたくさん 登場するようになるだろう。 2018年11月 安田洋祐|大阪大学 23
  24. 24. セイの法則 『政治経済学概論』 [3] • 古典派マクロ経済学の根幹となる基本原理 – 「生産物の販路を開くのは生産である」 – 買い手が生産品を買う十分なお金を持っていな いということは、売るための財を十分に生産して いないということでしかない。 – 供給が需要を生み出すのだから、総供給が減っ てはじめて、総需要が減るのである。 – 結果として経済の総生産が減少し、不況になる。 • 一般均衡理論 → DSGE + 新ケインズ派 2018年11月 安田洋祐|大阪大学 24
  25. 25. 貯蓄のパラドックス [4] • ケインズが正しく見て取ったように… – 資産のある人は収入の大部分を貯蓄する傾向が あります。でも、貯蓄は危険なのです。 – 誰もが将来のために貯蓄をしたがりますが、社会 全体としてはお金を積み上げることで将来の備え をするということはできません。 – ほんとうの富は、明日もっと多くのモノとサービス を生み出せるように今日行う投資によって生まれ ます。 2018年11月 安田洋祐|大阪大学 25
  26. 26. 賃金と消費 [4] • 高い賃金というのはエンジン、すなわち成長 を生み出す生産性の進歩の推進力です。 – そもそも市場に投入する製品に関心を向けさせ、 需要を喚起するのは賃金なのです。 – 近代的な資本主義は、下層階級が必要不可欠な 食料品以外のものを買えるようになってようやく 生まれました。 – 工業化がイングランドで始まったのは、その地の 実質賃金がほかのヨーロッパ地域より2倍も高か ったからです。 2018年11月 安田洋祐|大阪大学 26
  27. 27. 物欲無き“欲望”が支配する新たな時代? 経済学の大前提 人々は「トレードオフ」に直面している リンゴの消費 ⇔ みかんの消費 今日の消費 ⇔ 将来の消費(貯蓄) 経済学が見逃している(?)点 (物質的な)トレードオフに直面していない人もいる トップ1%の富裕層 --- お金はあっても使えない 彼らの富は世界の半分(以上)! モノが売れずに資産バブルが起こる理由? 富裕層の金融資産は 増え続けている…
  28. 28. グラフ3:“象”の曲線 2018年11月 28安田洋祐|大阪大学
  29. 29. グラフ3:“象”の曲線 2018年11月 29安田洋祐|大阪大学 グローバル中間層 (中国・インドなど) 最貧困層 先進国 の中間層 所得が突き抜ける グローバル・リッチ
  30. 30. 日本経済がハマったマクロ・ミクロの罠 • マクロ(経済全体):負のスパイラル – 投資が減ると労働者がどんどん買い叩かれる – 働き方改革のカギは設備投資にアリ! • ミクロ(組織内部):ブラック均衡 – 従業員は制度ではなく期待・空気に反応する – 制度の導入は改革のゴールではなくスタート 2018年11月 安田洋祐|大阪大学 30
  31. 31. 失われた20年の「負のスパイラル」 低賃金 (安い労働力) 資本投資減少 (機械より人) 労働の限界生産 性も減少 更なる賃下げ (徐々に人不足) 【需要面】 投資需要低迷 => 金利低下 【供給面】 技術革新低迷 => TFP低下 (日本版の) ルイスの転換点? 長時間労働 労働分配率低下 2018年11月 安田洋祐|大阪大学 31 消費需要 低迷?
  32. 32. 「正のスパイラル」へと逆転!? 高賃金 (高い労働力) 資本投資増加 (人より機械) 労働の限界生 産性も増加 更なる賃上げ (徐々に人余り) 【需要面】 投資需要増大 => 金利上昇 【供給面】 技術革新促進 => TFP増加 働き方改革 深刻な人手不足 定型化された仕事がAI・ロボット に徐々に置き換わっていく 雇用のミスマッチ解消が課題! 2018年11月 安田洋祐|大阪大学 32
  33. 33. AI・IoTの進展:国内での影響 AIの進展により、ロボットが人間の代わりをするようになる時代がくる! 人口減少、少子高齢化を他国に先駆けて迎える日本にとってチャンス!  労働代替型のニーズが高い(日本は人手不足) 例: 農業従事者、建設・物流、介護、廃炉、熟練工の後継者、etc  ロボット工学が強い (研究者が多い)  ロボットに対する潜在意識が米国とは異なり、世代を超えた理解がある。  日本: 人とテクノロジーが共存する。(アトム、ドラエモンなど)  米国: 人とロボットが闘う (ターミネーターなど) 。 人工知能による「ものづくり」の復権へ 言語データから 行動データ 2018年11月 安田洋祐|大阪大学 33 利便性から 安全性 ヴァーチャル からリアル
  34. 34. 残業問題の原因:「ブラック均衡」 • 自分だけ定時に帰ることができるか? – どちらの社員にとっても、みんな定時退社するのがベスト – 自分だけ「定時退社」すると人事などで不利益を被る – みんながサービス「残業」すると働き方改革は進まない… 社員2 社員1 定時退社 残業 定時退社 2 2 0 -10 残業 -10 0 0 0 ホワイト 均衡 ブラック 均衡 どちらも 安定的な状況 (ナッシュ均衡) まわりがちゃんと定 時退社するという 「期待」が重要 2018年11月 安田洋祐|大阪大学 34
  35. 35. 経済システムや資本主義は変わるのか グローバル社会の人間として、テクノロジーが進歩して、人間が働かなく なっても良くなってしまう社会のことも、この先数十年間議論していくべき。 ロボットが働けば、雇用を奪うだけではなく、近い未来、人は働かなくても 良くなるかもしれない。  そうなったら、これまでの経済、社会の形はどうなるだろうか。  ベーシックインカムを導入する代わりに、技術を活用してモノやサービスを タダで提供する。ベーシックサービス(BS)の時代がくるかもしれない! 2018年11月 安田洋祐|大阪大学 35 テクノロジーによる「社会的共通資本2.0」 宇沢弘文
  36. 36. 関連記事 • 「市場で再分配が可能」という前提を疑え – http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/032900296/ • 次なる資本主義を訪ねて:マクロ編 – https://note.mu/yagena/n/n8721fec86acf • 次なる資本主義を訪ねて:ミクロ編 – https://note.mu/yagena/n/nfdc376b85b4e • マッチング理論に何ができるか<前編> – https://note.mu/yagena/n/nf9c9b87ce4a2 • マッチング理論に何ができるか<後編> – https://note.mu/yagena/n/n26475f9a23ef • ノーベル経済学賞って何だろう? – https://note.mu/yagena/n/nb4119b82726d 2018年11月 安田洋祐|大阪大学 36

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