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「ゲーム理論」で読み解くAI・働き方・ビットコイン

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2017年12月14日にグランフロント大阪にて開催される、ナレッジキャピタル「木曜サロン」で講演に使用するスライドです。

【講演概要】
ポーカーやチェスといったゲームから着想を得て誕生し、いまや社会・経済を分析する際に欠 かせないツールにまで発展したゲーム理論。
・他人との駆け引きの中でどうやって最善手を見つ け出すか(AI)
・残業のジレンマからどうすれば抜け出せるか(働き方)
・価値の裏付けのな い仮想通貨がなぜ高騰するのか(ビットコイン)
といった気になる時事問題やキーワードを 、ゲーム理論を使って読み解いていきます。ゲーム理論の力で世の中の見方が変わる、かも!?

Published in: Economy & Finance
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「ゲーム理論」で読み解くAI・働き方・ビットコイン

  1. 1. 「ゲーム理論」で読み解く AI・働き方・ビットコイン インセンティブで斬るこれからの社会・経済 安田洋祐 大阪大学 大学院経済学研究科 准教授 Eメール: yasuda@econ.osaka-u.ac.jp ウェブ: https://sites.google.com/site/yosukeyasuda/jp 2017年12月 1
  2. 2. 簡単な自己紹介 1980年東京都生まれ。 2002年東京大学経済学部卒業。(大内 兵衛賞受賞、経済学部卒業生総代) 2007年プリンストン大学よりPh.D. (経済 学)取得。政策研究大学院大学助教授 を経て、2014年4月から現職。 専門は戦略的な状況を分析するゲーム 理論。主な研究テーマは、現実の市場 や制度を設計するマーケットデザイン。 学術研究の傍らマスメディアを通した一 般向けの情報発信や、政府での委員活 動などにも積極的に取り組んでいる。 2017年12月 2安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  3. 3. 著作など 2017年12月 3安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  4. 4. 「欲望の資本主義 ルールが変わる時」 NHK総合 2016年5月28日(土) 「欲望の資本主義2017 ルールが変わる時」 BS1 2017年1月3日(火) → ナビゲーターとして出演。 (2018年も?) 欲望の資本主義 2017年12月 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科 4
  5. 5. 本日の報告の流れ 1. AIは「神の一手」にたどり着くか? 2. 「働き方」改革は簡単? 難しい? 3. なぜビットコインが“価値”を持つのか? 4. 民意の集計はなぜ難しいのか? ← 時間があれば 2017年12月 5安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  6. 6. AIは「神の一手」にたどり着くか? バックワードインダクション 2017年12月 6安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  7. 7. ゲーム理論ってなに? • 「戦略的な状況」を分析する数学の一分野 – 相手との駆け引き・読み合いを数学で表現 • 社会現象を「ゲーム」として定式化 – {プレイヤー、戦略、利得(得点)}を決める – 「TVゲーム」とは関係ない!(よく間違えられる) • 様々な分野に応用されている – 特に経済学では1980年以降に大ブレーク! – 経営学、政治学、社会学、計算機科学、生物学にも → まずは具体的なゲームを見てみよう! 2017年12月 7安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  8. 8. Not 25(25を数え上げたら負け) • 2人のプレイヤーが交互に数字を数え上げる – 各プレイヤーは1~3個の連続した数字を数える – 最後に25の数字を数えたプレーヤーが負け – 「Not ○○」はむかし流行ったゲーム!(のハズ) • 先手もしくは後手に必勝法はあるか? – あるとしたらそれはいったいどんな戦略か? – 他の数字だったらどのように必勝法は変わる? → 実際にプレーしてみると… 2017年12月 8安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  9. 9. Not X(Xを数え上げたら負け) • 2人のプレイヤーが交互に数字を数え上げる – 各プレイヤーは 1~K 個の連続した数字を数える – 最後の数字 X を数えたプレーヤーが負け – さっきの例は X = 25、K = 3 • 「先手必勝」か「後手必勝」か? – 1 → 後手必勝 – 2〜K + 1 → 先手必勝 – K + 2 → 後手必勝 → この法則から一般的な必勝戦略がわかる! 2017年12月 9安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  10. 10. ツェルメロの定理と“必勝法” 2017年12月 10 • どのような動学的な2人ゲームにおいても 1. 結果が「勝ち」か「負け」しかなく 2. プレイヤーが交互に行動を選択し 3. 過去のプレーをすべて観察することができ 4. 偶然の要素による影響が全くなく 5. 必ず有限回の手番でゲームが終わる のであれば、どちらかのプレイヤーに必ず必勝戦略がある – 【必勝戦略】 相手がどんなプレーをしてきても、必ず自分が最 終的に勝利できるような(動学的な)戦略 • 上の条件を満たせば必勝法は必ず存在する! – オセロ、チェス、将棋、囲碁には必ず必勝戦略がある! 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  11. 11. ツェルメロの定理の注意点 2017年12月 11 • 結果が「勝ち」「負け」「引き分け」の場合には… 1. 先手に必勝戦略がある 2. 後手に必勝戦略がある 3. どちらのプレーヤーにも「最低でも引き分けに持ち込むこ とができる」ような戦略がある (例: 三目並べ) のいずれかが必ず成り立つ • 必勝戦略の求め方については何も教えてくれない – 複雑なゲームで必勝戦略を求めるのはほぼ不可能 – 「必ず必勝法がある」と「必勝法が見つかる」は違う – オセロ(8×8)ですら、まだ先手・後手必勝どちらかは不明 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  12. 12. AI・IoTの進展:国内での影響 AIの進展により、ロボットが人間の代わりをするようになる時代がくる! 人口減少、少子高齢化を他国に先駆けて迎える日本にとってチャンス!  労働代替型のニーズが高い。 例: 農業従事者、建設・物流、介護、廃炉、熟練工の後継者、etc  ロボット工学が強い (研究者が多い)  ロボットに対する潜在意識が米国とは異なり、世代を超えた理解がある。  日本: 人とテクノロジーが共存する。(アトム、ドラエモンなど)  米国: 人とロボットが闘う (ターミネーターなど) 。 人工知能による「ものづくり」の復権へ 日本は 人口減少 2017年12月 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科 12
  13. 13. 「働き方改革」は簡単? 難しい? 複数均衡 2017年12月 13安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  14. 14. 日本の低い労働生産性 2017年12月 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科 14 2015年の日本の労働生産性(就業1時間当たり)は、42.1 ドル。OECD加盟35か国の 中では、第20位。 1970年以来、主要先進7か国の中では最下位の状況が続いている。 米国の約6割 米国 日本
  15. 15. サービス産業の品質では日本>米国 調査対象の28分野すべてで、日本のサービス品質が米国よりもよく、10~20% 上回っているという。日本のサービス産業の労働生産性は米国の約半分とされるが、 日本の高いサービス品質が価格や生産性に十分反映されていないとし、同本部では 「サービスを『見える化』して、価格に転嫁すべき」としている。 宅急便、タクシー、コンビニエンスストア ⇒ 15~20%上回っている  米国人:設備の性能・見栄え重視  日本人:迅速なサービスを重視 日本生産性本部、日本と米国のサービス産業の品質比較を発表(2017年7月12日) 2017年12月 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科 15
  16. 16. 失われた20年・・・生産性低迷の悪循環? 低賃金 (安い労働力) 資本投資減少 (機械より人) 労働の限界生 産性も減少 更なる賃下げ (徐々に人不足) 【需要面】 投資需要低迷 => 金利低下 【供給面】 技術革新低迷 => 生産性低下 (日本版)ルイスの 転換点は来る? 2017年12月 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科 16
  17. 17. 働き方改革の壁 - QWERTYの罠 QWERTY型のキー配列は実はタイプに向いていない ↓ なぜ使われ続けているのだろうか? (コーディネーションの失敗) ゲーム理論で考えよう! 2017年12月 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科 17
  18. 18. 残業問題も「コーディネーションの失敗」 2017年12月 18 • 社員たちが自分だけ定時に帰ることができるか – どちらの社員にとっても、みんな定時帰宅するのがベスト – 自分だけ「定時退社」すると人事で不利益を被る – みんなが安全に「残業」をすると働き方改革は進まない… 社員2 社員1 定時退社 残業 定時退社 2 2 1 -10 残業 -10 1 0 0 良い均衡 悪い均衡 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  19. 19. 実は「いじめ問題」も同じ構造 2017年12月 19 • クラスの生徒たちがいじめに立ち向かえるか – どちらの生徒にとっても、いじめが解決するのがベスト – 自分だけ「立ち向かう」といじめの標的になる危険がある – みんなが安全に「見ないフリ」をするといじめは無くならない… 生徒2 生徒1 立ち向かう 見ないフリ 立ち向かう 2 2 1 -10 見ないフリ -10 1 0 0 良い均衡 悪い均衡 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  20. 20. インセンティブ報酬とモラルハザード 2017年12月 20 『ミクロ経済学の力』(神取道宏)より引用 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  21. 21. 様々なモラルハザード問題 2017年12月 21 依頼人は代理人の行動を観察することができない => モラルハザード(隠された行動)の問題 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  22. 22. マルチタスクの落とし穴 2017年12月 22安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  23. 23. なぜビットコインは“価値” を持つの か? 繰り返しゲーム 2017年12月 23安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  24. 24. そもそもお金が“価値”を持つのはなぜ? • 貨幣商品説 vs. 貨幣法制説 – 自己循環論法(岩井克人『貨幣論』) • 欲求の二重の一致 – サーチ理論、ゲーム理論(清滝=ライト論文) • 未来からの贈り物 – 世代重複モデル • 世界の終わりが予想されると? – バックワードインダクション – 繰り返しゲーム理論:有限回 vs. 無限回 2017年12月 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科 24 Kiyotaki, Nobuhiro, and Randall Wright. "On Money as a Medium of Exchange." Journal of Political Economy 97, 1989.
  25. 25. 物々交換 vs. 貨幣経済 • K種類の財 – 各人はどれか一つを受け取る → K通り – 別の特定の財と交換したい → K-1通り • 物々交換 – K (K-1) 回 • 貨幣経済 – K+K = 2K 回 2017年12月 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科 25 K > 3 で、物々交換が 貨幣経済を上回る(平 均的な)取引回数に!
  26. 26. 世代重複モデル 2017年12月 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科 26 Champ, Freeman and Haslag “Modeling Monetary Economies” Figure 1.1 より抜粋
  27. 27. 物々交換の罠 • 第1世代 – 1期の財の代わりに2期の財が欲しい • 第2世代 – 2期の財の代わりに3期の財が欲しい • 第t世代 – t期の財の代わりにt+1期の財が欲しい • ×欲求の二重の一致 → 取引不能! 2017年12月 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科 27
  28. 28. 世界の終わりでお金は紙くずに? 2017年12月 28 もしも世界がT期後に終わるとすると… 1.T期 → 次の期が無いので誰もお金を受け取らない 2.T-1期 → お金を受け取っても来期は絶対使えない – 実質的に今期が最終期 → 誰もお金を受け取らない 3.T-2期 → お金を受け取っても将来に使うことは無理 – やはり誰もお金を受け取ろうとしない – 以下、1期にさかのぼるまでこの議論は続く… 4.世界の終わりが分かった瞬間に紙幣は紙くずに!? 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  29. 29. バックワードインダクションの罠 2017年12月 29 • Tはどんなに大きい数でも構わない – いつかこの世界(人類の歴史)は終わる → Tは有限 – 疑問) だとすると、今すぐお金が使えなくなるのでは? • 「有限の長さでゲームが終わる」のと「T期でゲームが終わる ことが確実に分かっている」のは全く異なる状況 – ゲームを後ろから解くためには、プレーヤーたちがいつゲームが終わ るのかをお互いに正確に知っている必要がある – 知らない場合には、常に将来の可能性を考慮するはず! • 例) 今期裏切ったら、将来お仕置きされるかもしれない… • (可能性として)「無限に続くゲーム」と見る方が適切! 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  30. 30. “合理的” 群衆行動とバブル 2017年12月 30 • どちらのレストランを選ぶか? – 個々の客は店に関する不確実な情報を受け取る – 自分の情報と混み具合を見てお店を決定! – 果たして美味しいお店に行列はできるのか? おいしい 和食処 俺の ザ・和食 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  31. 31. Bitcoin相場の乱高下 2017年12月 31 • “買い”か“売り”か? – 個々の投資家は不確実な情報を受け取る – 自分の情報と取引状況を見て売買を決定! – 群衆行動がバブルを生み出す!? 上昇! 下落… 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  32. 32. 民意の集計はなぜ難しいのか? 社会的選択理論 2017年12月 32安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  33. 33. 投票のパラドックス - 意見の“集約”はすごく難しい • 有権者の好みから多数決で社会全体の好みを求めると… – XとYを比べると → Xの勝ち(2対1) – YとZを比べると → Yの勝ち(2対1) – ZとXを比べると → Zの勝ち(2対1) • 社会全体で首尾一貫した好みが求まらない 2017年12月 33 有権者1 有権者2 有権者3 1位 X Y Z 2位 Y Z X 3位 Z X Y 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  34. 34. 多数決を疑う - 「ペア敗者」を選ぶ危険性 • 単純多数決で1位を選ぶと「A」に – AとBを比べると → Bの勝ち(8対13) – AとCを比べると → Cの勝ち(8対13) – BとCによる票の割れがなければAは勝てなかった… • ペアごとの多数決で最も弱い者を選んでしまう 2017年12月 34 3人 5人 7人 6人 1位 A A B C 2位 B C C B 3位 C B A A 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  35. 35. ボルダルール - 票の割れに強い! • 1位に3点、2位に2点、3位に1点で合計点を計算 – Aの得点 → 37点(3×8 + 1×13) – Bの得点 → 44点(3×7 + 2×9 + 1×5) – Cの得点 → 45点(3×6 + 2×12 + 1×3) • 「ペア敗者」ではないCが選ばれる! 2017年12月 35 3人 5人 7人 6人 1位 A A B C 2位 B C C B 3位 C B A A 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  36. 36. 決選投票付き多数決 - “死票”が無くなる? • 多数決で残った1位と2位で再び決選投票を行う – 多数決 → 1位:A(8票)、2位:B(7票)、3位:C(6票) – 決戦投票 → B(13票) > A(8票) – BとCを比べると → Cの勝ち(11対10) • 「ペア勝者」ではないBが選ばれる! 2017年12月 36 3人 5人 7人 6人 1位 A A B C 2位 B C C B 3位 C B A A 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  37. 37. ボルダルールの落とし穴 - 「ペア勝者」が負ける危険性 • 1位に3点、2位に2点、3位に1点で合計点を計算 – Aの得点 → 19点(3×3+2×4+1×2) – Bの得点 → 20点(3×4+2×3+1×2) – Cの得点 → 15点(3×2+2×2+1×5) • 「ペア勝者」はA → 決選投票付き多数決ではAが当選 2017年12月 37 3人 2人 2人 2人 1位 A C B B 2位 B A A C 3位 C B C A 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  38. 38. オストロゴルスキーのパラドックス - 代表(間接)民主制の限界 有権者 財政 外交 環境 支持政党 1 X X Y X 2 X Y X X 3 Y X X X 4 Y Y Y Y 5 Y Y Y Y 多数決 Y Y Y X 2017年12月 38安田洋祐|大阪大学 経済学研究科
  39. 39. 参考文献 (1) - ゲーム理論の代表的テキスト 2017年12月 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科 39
  40. 40. 参考文献 (2) - 社会選択理論の代表的テキスト 2017年12月 安田洋祐|大阪大学 経済学研究科 40

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