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メタ・アナリシスの入門

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大分と前に発表した内容ですが、公開いたします。内容は、介入研究のメタ・アナリシスの入門的な内容です。なお、コクランのハンドブックに準拠した内容になっています。

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メタ・アナリシスの入門

  1. 1. 「メタ・アナリシス」の入門 -研究統合のための統計手法- 専修大学人間科学部心理学科 国里愛彦 (発表当時は、早稲田大学人間科学学術院に所属) 臨床疫学研究における報告の質向上のための統計学の研究会 第7回 メタ・アナリシス (2012/8/25)
  2. 2. メタ分析とは 過去の研究を系統的・批判的に検討し, 量的・統計的に統合する方法。 適当なメタ分析は,エビデンスとして価 値がなく有害! →メタ分析は実験・調査の片手間にできる ものではない!!!
  3. 3. メタ分析の手順 ①問題の定式化 ②文献検索 ③研究の選択・データベース化 ④個々の研究のバイアス評価 ⑤結果の統合 ⑥バイアスの検討 ⑦メタ分析の質の評価と解釈
  4. 4. 問題の定式化 ①PICOを用いて問題を定式化する Patient = 対象患者 Intervention = 介入方法 Comparison = 対照群の設定 Outcome = 効果指標 ②簡潔なタイトルで問題をまとめる [対象者のタイプ,疾病 or 問題,状況]における[健康問題 orアウトカム]に対する[介入 or 比較] 例)思春期うつ病における(P)希死念慮に対する(O)集団 認知行動療法の効果(IC)
  5. 5. PICO: Patient • 標準的な診断基準で定義し,その後,関心の あるサンプル・状況について定義する。 疾患や条件についてどう定義している? 対象患者で最も重要な特徴は何? など PICO: Interventions/Comparisons • 関心のある介入法を定義し,どんな対照群と 比較するのか定義する。 関心のある介入と対照条件はなに? 介入には変動性があるか(投与量,頻度)? など
  6. 6. PICO: Outcome • 効果指標を定義する(標準的なものがない場合 は,リストにして検討)。副作用も考慮する。  メインアウトカム:意志決定において必須なもの。患者にとって 重要な結果(最大7個)  プライマリーアウトカム:メインアウトカムから最大3個選ばれる (少なくとも1個の効果,1個の副作用)。介入効果を結論づける  セカンダリーアウトカム:プライマリーアウトカム以外の結果であ る。効果の説明に有効な追加的なアウトカム  アウトカム指標の種類・測定時期・期間を考慮する
  7. 7. 問題の定式化をもとに適格基準作成 1. 対象患者 2. 介入方法(類似した治療の許容範囲) 3. 効果指標 4. 副作用 5. 研究デザイン(無作為化試験に限定?) 6. 出版形式・研究の時期 7. 言語や地域について 8. 未公表データを加えるか? 9. サンプル数,介入期間
  8. 8. メタ分析の手順 ①問題の定式化 ②文献検索 ③研究の選択・データベース化 ④個々の研究のバイアス評価 ⑤結果の統合 ⑥バイアスの検討 ⑦メタ分析の質の評価と解釈
  9. 9. 文献を探す手段 • 電子データベース検索 ※CENTRAL, MEDLINE, EMBASEなど包括的なデータベース+問 題に沿ったデータベースも使う(心理系ならPsycINFO) ※検索には複数のデータベースを使用し,それぞれに最適化し た検索タームを使う。 • 検索用語付与・引用サービス検索(Web of Science など) • ハンドサーチ(手作業で論文を探す) • 灰色文献の調査(公的機関や製薬会社の未公表 データ) • 研究登録記録を用いて,未公表データや実施 中のデータにも注意する Wu et al., Clinical Psychology Review, 32, 553-557,2012
  10. 10. 電子データベースの文献検索 • 検索式を作る ①基本はP+I(患者+介入) ※必要に応じてアウトカム ②デザインの指定 ※基本はRCTを指定 Search filterも活用する(使用には批判的吟味 が必要)。 検索過程が再現できるように記録を残す。
  11. 11. メタ分析の手順 ①問題の定式化 ②文献検索 ③研究の選択・データベース化 ④個々の研究のバイアス評価 ⑤結果の統合 ⑥バイアスの検討 ⑦メタ分析の質の評価と解釈
  12. 12. 研究統合に使う研究を評価・選択する ①文献管理ソフトで管理し,重複論文の削除 ②タイトル・アブストから関連しない論文を削除 ③関連する研究の全文を手に入れる ④同じ研究から出た複数の報告を結合する ⑤適格基準に合うかどうか全文で検討する ⑥必要に応じて,適格基準に合致するか確認 するために著者に連絡をとる ※適格基準は10~12本の論文で試して決定する。
  13. 13. 研究の選択は妥当か? • 複数評定者での一致率(Kappa)を算出する ※評定は,専門家と当該領域の非専門家で実施 評定者1 含める 除外 不明 合計 評定者2 含める a b c I1 除外 d e f E1 不明 g h i U1 合計 I2 E2 U2 K Kappa = a+e+i K - I1 *I2 + E1 *E2 +U1 *U2 K2 1- I1 *I2 + E1 *E2 +U1 *U2 K2 Kappa=0.4~0.59:中程度 Kappa=0.6~0.74:良い Kappa=0.75~:とても良い
  14. 14. データ収集とデータベース化 • メタ分析で必要な情報をデータベース化する • 必要な情報:①効果量を算出するのに必要な 統計量(平均,SD,サンプルサイズなど。変 化量も準備),②論文識別情報(著者名,発 表年,IDなど),③患者・介入方法・質・アウト カムなど • 情報をExcel,File Maker,Accessなどでデータ ベース化する(コクランではRevManが推奨)
  15. 15. メタ分析の手順 ①問題の定式化 ②文献検索 ③研究の選択・データベース化 ④個々の研究のバイアス評価 ⑤結果の統合 ⑥バイアスの検討 ⑦メタ分析の質の評価と解釈
  16. 16. バイアスをアセスメントする6つの基準 (コクラン推奨) 領域 判断(YES, NO, Unclear) ①割り付けの順番の作成 割り付けの順番は適切に作成されている か? ②割り付けの隠蔽 割り付けの隠蔽は適切にできているか? ③参加者,職員,効果評 価者の盲検 研究実施中に,割り付けられた介入が分 からないようできていたか? ④不完全なアウトカム データ 不完全なアウトカムデータがちゃんと記 述されているか? ⑤選択的なアウトカムの 報告 選択的なアウトカムの報告が示唆される ようなことはないか? ⑥その他のバイアス その他のバイアスのリスクはないか?
  17. 17. ①割り付けの順番の作成は適切か? YESの基準:割り付け順がランダムに作成された 例)乱数表,乱数生成ソフト,コイントスなど NOの基準:割り付け順は,ランダムに作成されて いない。もしくは,臨床的判断などランダム割り付 けを阻害する要因がある。 例)奇数や参加日による割り付け,臨床的判断や参加 者の好みによる割り付け Unclearの基準:YESかNOか判断するだけの情報 がない
  18. 18. ②割り付けの隠蔽はできているか? YESの基準:割り付けの隠蔽によって,参加者や 登録担当研究者が割り付けを予見できない 例)割り付けする者が別にいて分からないようにしてい る(Central allocation)など NOの基準:参加者や登録担当研究者が割り付 けを予見できてしまい,選択バイアスが生じる 例)隠蔽の操作がない,割り付けがオープンになって いるなど Unclearの基準:YESかNOか判断するだけの情 報がない。
  19. 19. ③参加者,職員,効果評価者の盲検は できているか? YESの基準:盲検してないが,それが結果や測 定に影響されない。参加者と職員を盲検した。 参加者か職員は盲検してないが,評価者は盲 検している。 NOの基準:盲検してないか不十分であり,それ が結果や測定に影響する。参加者と職員を盲 検したが,失敗した。参加者か職員を盲検して おらず,他の要因(評価者など)を盲検してない ためにバイアスが生じる。 Unclearの基準:YESかNOか判断するだけの情 報がない
  20. 20. ④不完全なアウトカムデータは適切に 記載されているか? YESの基準:効果データの脱落はない。生存分 析のように脱落が前提のデータ。群間で脱落 データがバランス化されている。脱落理由が群 間で同じ。脱落データの存在が効果評価に影 響ない。脱落データが適切な方法を用いて代 入されている。 NOの基準:効果データの脱落理由が真の効果 に影響する。脱落データの存在が効果評価に 影響ある。代入方法が不適切。 Unclearの基準:YESかNOか判断するだけの情 報がない
  21. 21. ⑤選択的なアウトカム報告が疑われない か? YESの基準:研究プロトコルが入手でき,アウト カムデータが前もって決められている。研究プ ロトコルは入手できないが,全ての想定される アウトカムデータが報告されている NOの基準:プライマリーアウトカムが事前に決 められてない。プライマリーアウトカムが事前に 決められてない測定・解析・に使用されている。 含められていると予想できるアウトカムが含ま れてない Unclearの基準:YESかNOか判断するだけの情 報がない
  22. 22. ⑥バイアスのリスクを引き起こす他の問 題はないか? YESの基準:その他のバイアスはない NOの基準:使用した研究デザインに関連したバ イアスがある。データに依存して研究が中止し ている。ベースラインが大きく異なる。不正が あったと主張されている。何か他の問題がある Unclearの基準:YESかNOか判断するだけの情 報がない
  23. 23. バイアスのリスクアセスメントのまとめ • 個々の研究の各領域 のリスクアセスメントが できたらそれを表にま とめたり、グラフにする バイスのリスク 個々の研究の基準 複数の研究の基準 解釈 Low risk of bias 全ての領域で、low risk評価 ほとんどの情報がlow riskの研究から バイアスで結果が大きく 歪む可能性は低い Unclear risk of bias 1つかそれ以上の領 域で、Unclear risk評 価 ほとんどの情報がlow かUnclear riskの研究か ら 結果について、いくつか 疑いがある High risk of bias 1つかそれ以上の領 域で、High risk評価 High riskな研究からから の情報の割合が結果の 解釈に影響する 結果の信頼性に重大な 問題がある。 • 研究全体の評価は、以下の基準が使える。
  24. 24. 評価後の研究の扱い • 個々の研究(RCT)の質やバイアスを評価して ①質の低い一次研究(適格基準外)は除外する ②感度分析(sensitivity analysis)をする ※質の低い研究を含む・含まないを比較 ③一次研究の質に応じてweightをかける ※①は質の低い精神科領域ではきつい②が一番多い③ はスタンダードがなくまだ少ない(コクランも非推奨) ※バイアスの評価は著者やジャーナルをブラインドして行 う(Lancetだから大丈夫ではない!)
  25. 25. メタ分析の手順 ①問題の定式化 ②文献検索 ③研究 の選択・データベース化 ④個々の研究のバイアス評価 ⑤結果の統合 ⑥バイアスの検討 ⑦メタ分析の質の評価と解釈
  26. 26. 研究結果を量的に統合する シンプルに考えれば,データを合計・平均して統合する 研究A うつ発症 未発症 % 虐待なし 10 90 10 虐待あり 30 170 15 研究B うつ発症 未発症 % 虐待なし 170 30 85 虐待あり 90 10 90 研究A+B うつ発症 未発症 % 虐待なし 180 120 60 虐待あり 120 180 40 しかし,単純に統合すると逆 の結果になる(シンプソンの パラドックス) 研究Aも研究Bも虐待があると慢性うつ病を発症しやすい メタ分析では,各研究の効果量に重み付けをした平均を用 いる
  27. 27. メタ分析で使用する質的データの効果量 ①リスク差=介入群の比率-統制群の比率 ②NNT(Number needed to treat)=1/|リスク差| ③リスク比=介入群の比率/統制群の比率 ④オッズ比=[介入群の比率/(1-介入群の比率)]/[統制 群の比率/(1-統制群の比率)] ※リスク比とオッズ比の混同に注意する ※メタ分析では,リスク比とオッズ比(相対リスク)を用 いるが,結果の解釈ではリスク差やNNT(絶対リスク)に 変換する
  28. 28. メタ分析で使用する量的データの効果量 ①平均値差=介入群の平均値-統制群の平均値 ②標準化平均値差=(介入群の平均値-統制群の平 均値)/プールされた標準偏差 ※Cochrane reviewでは、Hedges’ gが使用される (unbiasedが推奨) dbiased = M1 - M2 (nA -1)SDA 2 -(nB -1)SDB 2 nA +nB -2 dunbiased = d 1- 3 4 n1 +n2 -2( )-1 æ è çç ö ø ÷÷
  29. 29. 効果の統合:メタアナリシス • メタアナリシス:個々の研究から得られた介入 効果を重み付けして平均する分析 • メタ分析の方法にもいくつかあるが,基本的 には重み付け平均 M = WiYi i=1 k å Wi i=1 k å 重み付け平均= (効果×重み付け)の合計 重み付けの合計
  30. 30. 固定効果モデルとランダム効果モデル • 固定効果モデル(fixed-effect model):1つの真の介入効果を 仮定しており,偶然誤差の影響 によって個々の研究結果がばら つくとするモデル • ランダム効果モデル(random- effect model):研究ごとに真の 介入効果を仮定しており,偶然 誤差と研究間の効果の差によっ て,個々の研究結果がばらつく とするモデル
  31. 31. 固定効果モデル General variance-based法による平均値差の検討 ① 各研究への重み付け:各研究の効 果量(Yi)の分散(VYi)の逆数 →分散が小さいほど重み付けが大きくなる ※ちなみに,効果量の分散については,それ ぞれの効果量の種類によって異なる。 Wi = 1 VYi
  32. 32. ランダム効果モデル DerSimonian-Laird法による平均値差の検討 ① 各研究への重み付け:効果量 の分散(VYi)+T2の逆数 ※T2が重み付けに加わった点が 固定効果モデルとは異なる。 Wi = 1 VYi +T2 T2 = Q-(k -1){ } Wiå Wiå( ) 2 - Wi 2 å ※T2には,研究間のバラツキを表す異質性の指標Q が含まれている=T2が加わることで,個々の研究の 分散だけでなく,研究間の効果のバラツキも考慮で きる。
  33. 33. 固定効果・ランダム効果モデル共 通 ②統合された効果:重み付け×効果量の合計 を重み付けの合計で割る ③統合された効果(重み付け平均)の分散: 重み付けの合計の逆数 ④統合された効果の標準誤差:統合された効 果の分散の平方根をとったもの ⑤統合された効果の95%信頼区間:統合され た効果の標準誤差を使って算出する。 95%CI=統合された効果±1.96×統合された 効果の標準誤差 VM = 1 Wi i=1 k å SEM = VM M = Wi Yi i=1 k å Wi i=1 k å
  34. 34. 異質性 (Heterogeneity) • 異質性:メタ分析に含まれる研究の効果の大き さが異なることであり,以下の2つに分けられる。 ①臨床的・方法論的異質性:論文を読み込むこと で明らかとなる質的な異質性 臨床的異質性(患者集団の違い:年齢,性別, 人種,重症度,合併症など) 方法論的異質性(研究デザインの違い:治療, 治療期間,エンドポイント,治療者の経験など) ②統計学的異質性:研究ごとの効果がばらついて いるか検討する統計的な異質性
  35. 35. 統計学的異質性の指標 • Cochrane’s Qを使用(χ2検定によって,Qが大きく,統 計的に有意な場合に異質性あり) • Cochrane’s Qは,研究数が少ないと異質性が検出で きず,多いと検出しすぎてしまうため,I2が推奨* Q = W(T -T)2 å ※Wは重み付け,Tは個々の研究の効 果量,Tは統合された効果量 I2 = (Q-(k -1)) Q *100 I2 解釈 0~40% 異質性は問題でないかも 30~60% 中程度の異質性があるかも 50~90% 実際に異質性があるかも 75~100% 無視できない異質性の大きさ • I2は0~100%の値をとり, 右の基準で解釈 ※kは研究数で,k-1は自由度 *Higgins et al., BMJ, 327,557-560, 2003
  36. 36. 異質性の扱い方 統計学的異質性 ない(同質) ある(異質) 臨 床 ・ 方 法 論 的 異 質 性 ない (同質) 重みづけ平均によるメタ 分析で問題ない 重みづけ平均によるメタ分 析でおそらく問題ない(臨床 的な判断が必要) ある (異質) 重みづけ平均によるメタ 分析でおそらく問題ない (臨床的な判断が必要) 重みづけ平均によるメタ分 析では不適当 →サブグループ分析 →メタ回帰分析 →メタ分析しない  サブグループ分析:異質性を生んでいると思われるサブグルー プ(男女,年齢)に分けて解析  メタ回帰分析:個々の研究の効果量を従属変数,異質な要因 (重症度,合併の有無)を独立変数にいれて,回帰分析する ※両分析はあらかじめ決めて,探索的な検討はしないこと 野口(2009)「はじめてのメタアナリシス」
  37. 37. 感度分析(Sensitivity Analysis) 統合に用いた適格基準が適正か検討し,今回の 結果の頑健性を検討する分析 ① 適格基準に基づいた層別比較(例.対象年齢 を変えても差はない?) ②解析するアウトカムデータの比較(例.変化量と 最終的なアウトカムとで差が大きくはないか?) ③分析法の比較(固定効果モデルとランダム効 果モデルで差が大きくはないか?) →結果がこれらの操作で変わらないなら,メ タ分析の結果は頑健と考えられる。
  38. 38. メタ分析の手順 ①問題の定式化 ②文献検索 ③研究の選択・データベース化 ④個々の研究のバイアス評価 ⑤結果の統合 ⑥バイアスの検討 ⑦メタ分析の質の評価と解釈
  39. 39. メタ分析におけるバイアス ①選択バイアス 一次研究の収集過程で何らかの恣意が入ることで 生じるバイアス →事前に論文の適格・除外基準を明確に決める ②出版バイアス ポジティブな結果はネガティブな結果よりも発表され やすい 発表された効果は,全体の効果を代表していない 治療効果を過大評価することがある
  40. 40. 出版バイアスの評価 ①視覚的評価 Funnel plotの 非対称性 縦軸:研究精度(nなど) 横軸:効果量 ②統計学的検定 Rank correlation test(Begg, Biometrics, 50, 1088-1101,1994) Linear regression test (Egger, BMJ, 315, 629-634, 1997) ※Funnel plotの左右対称性を検定する(有意だと対称ではない)。 研究数が10個以下の場合は行わない。 出版バイスなし 出版バイアスあり
  41. 41. 出版バイアスの調整 • フェイル・セーフ数:メタ分析結果が有意でなく なるには,効果のない研究がいくつまで許容 できるか推定する ※問題点も多く,コクランでは非推奨 • 出版バイアスの調整(Trim-fill法):Funnel plot を左右対称にするように調整する方法) Rosenthal, Psychological Bulletin, 86, 638-641,1979 Duval, Biometrics, 56, 455-463, 2000
  42. 42. Watanabe et al., Acta psychiatrica Scandinavica, 116, 84-95, 2007. 出版バイアスの罠:子どものうつに対 する心理療法の効果 • Trim-fill法で調整すると,効果が小さくなるが (黒菱形),統制群よりは効果があるという結果 であった。 →バイアスを検討して調整しないと,出版バイア スによる効果を過大視する可能性がある。 • 子どものうつに対する心 理療法の効果を検討した 臨床試験には出版バイア スがある(右図白丸)
  43. 43. メタ分析の手順 ①問題の定式化 ②文献検索 ③研究の選択・データベース化 ④個々の研究のバイアス評価 ⑤結果の統合 ⑥バイアスの検討 ⑦メタ分析の質の評価と解釈
  44. 44. メタ分析の質の評価 • 総体エビデンス(メタ分析によるエビデンス)の質や推 奨度の評価には,GRADEシステムが有用 ※評価はアウトカムごとに行う。GRADE(Grades of Recommendation, Assessment, Development and Evaluation:http://www.gradeworkinggroup.org/) 質・推奨度 研究デザイン ダウングレード アップグレード High (高い) RCT(RCTのメ タ分析) 1.デザインや実施における限界 2.結果の間接性(比較が間接的・ 限定的な結果) 3.説明できない異質性や結果の 不一致 4.結果の不正確さ(広いCI) 5.出版バイアスの確率が高い 深刻な問題(1ランクダウン) 非常に深刻な問題(2ランクダウン) 1.大きな効果 2.交絡因子のため,効 果が過小評価されてい る 3.用量-反応勾配 状況によって,1〜2ラ ンクアップ Moderate (中程度) ダウングレー ドされたRCT Low (低い) 観察研究 Very Low (非常に低い) ケースレポー トなど
  45. 45. メタ分析の結論 • メタ分析の結論は,(1)患者・臨床家への示唆 と(2)今後の研究への示唆に分けられ,以下の 4つの要因を考慮して行う。 Eddy, JAMA, 263, 441-443, 1990 価値と選好 (患者の価値や治療選好は どうか?) 資源の利用 (その治療は利用可能?) 利益と害のバランス (害やコストはどのくらいで,効 果はどのくらい?) エビデンスの質 (そのエビデンスは信頼で きる?)
  46. 46. RevManとRを用いたメタ分析: ソフトの準備 • Rパッケージ:meta • 他のソフト:Review Manager(RevMan) http://ims.cochrane.org/revman/ • 使用データ:Jakobsen et al. (2011). The effects of cognitive therapy versus “no intervention” for major depressive disorder. PloS one, 6(12), e28299. ※コクランレビュウの方法に則っていたので使用
  47. 47. RevManとRによるメタ分析: データの準備 RevManにJakobsen et al.(2011)に記載されているバイア スのアセスメントと介入後の平均値,標準偏差,サンプ ルサイズを入力(BDIをプライマリアウトカムとしている) RevManの入 力画面 個々の研究の情 報や効果などを 入力できる 論文に記載する 内容も枠組みが 作ってあり,便利
  48. 48. RevManとRによるメタ分析: バイアスアセスメントのまとめ RevManによる個々の研究のバイ アスリスクのまとめ→ RevManによる研究全体でのバイ アスリスクのまとめ↓
  49. 49. RevManでの解析 RevManでも解析ができ,コクラ ン推奨形式で結果が表示され る。
  50. 50. Rによるメタ分析:RevManデータの読み込み • RevManでもメタ分析はできるが,メタ回帰分析やTrim- fill法の使用のためにもRも使えた方が良い。 • パッケージmeta内のread.rm5を使用するとRevManで 入力した内容をCSVで保存したものを読み込むことがで きる。 • RevManのCSVエクスポート:「File」→「Export」→「Data and analysis」 ※エクスポートの際,Comparison Number,Outcome Number, Subgroup Numberを選択していないとRでエラーがでる #RevManからcsvにエクスポートしたファイルの読み込み >CT_data<-read.rm5(“ファイル名.csv”)
  51. 51. Rによるメタ分析:メタ分析 • metacrはコクランレビュー用の関数であり,read.rm5 で読みこんだ内容を解析してくれる >CT_result<-metacr(CT_data)
  52. 52. Rによるメタ分析:メタ分析 Metacrのオプション >CT_result2<-metacr(CT_data, comb.fixed=TRUE, comb.random=TRUE, method.tau="DL") comb.fixed:TRUEなら固定効果モデルの結果算出 comb.random:TUREならランダム効果モデルの結果算 出(デフォルト) method.tau:ランダム効果モデルでの解析時のT2の計 算方法を指定できる(DerSimonian-Laird=DL以外も選 択できる)。
  53. 53. Rによるメタ分析:forest plot >forest(CT_result) Study Random effects model Heterogeneity: I-squared=0%, tau-squared=0, p=0.5813 Dozois 2009 Hollon 1992 Miller 1989 Murphy 1984 RoSS 1985 Ross 1985 Scott 1997 Shamsaei 2008 Wong 2008 Total 232 21 25 14 22 27 17 18 40 48 Mean 10.90 12.90 12.50 10.09 16.81 13.82 17.70 19.20 13.10 SD 12.29 12.00 14.22 10.61 10.58 10.27 10.00 5.70 11.10 Total 238 21 57 17 24 11 12 16 40 40 Mean 14.29 14.60 19.20 13.04 22.78 22.78 22.70 23.40 22.40 SD 10.34 12.10 15.26 12.32 7.56 7.89 11.20 4.20 13.30 -15 -10 -5 0 5 10 15 Mean difference MD -4.86 -3.39 -1.70 -6.70 -2.95 -5.97 -8.96 -5.00 -4.20 -9.30 95%-CI [ -6.44; -3.28] [-10.26; 3.48] [ -7.36; 3.96] [-17.10; 3.70] [ -9.58; 3.68] [-11.96; 0.02] [-15.58; -2.34] [-12.17; 2.17] [ -6.39; -2.01] [-14.48; -4.12] W(random) 100% 5.3% 7.8% 2.3% 5.7% 7.0% 5.7% 4.9% 52.0% 9.3%
  54. 54. Rによるメタ分析:funnel plot &対称性の検定 >funnel(CT_result) >metabias(CT_result,k.min=5) Linear regression test of funnel plot asymmetry data: CT_result t = -0.7471, df = 7, p-value = 0.4794 →非対称性が認められる場合は,「trimfill」関数で 調整できる(trimfill(CT_result)) -15 -10 -5 0 5 543210 Mean difference Standarderror
  55. 55. 参考文献 • “Cochrane Handbook for systematic reviews of interventions” Wiley-blackwell, 2008. • “Introduction to Meta-Analysis” WILEY, 2009 • “The handbook of research synthesis and meta analysis 2nd ed” Russell Sage Foundation, 2009
  56. 56. 参考引用文献 • 「はじめてのメタアナリシス」,野口善令著, NPO法人 健康医療評価研究機構,2009 • 「わかりやすい医療統計の報告」,Lang & Secic (大橋・林 訳),中山書店,2011 • 「ここからはじめるメタ・アナリシス:Excelを 使って簡単に」,増井健一著 ,真興交易医学 出版部,2003

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