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日本オオカミの生存の痕跡を求めて Ver3

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19世紀までは東北地方から九州まで広く分布していたが、1905年(明治38年)1月23日、奈良県吉野郡小川村鷲家口(現東吉野村鷲家口)で捕獲された若いオス(標本として現存)が確実な最後の生息情報である。環境省のレッドリストでは、「過去50年間生存の確認がなされない場合、その種は絶滅した」とされるため、ニホンオオカミは絶滅種となっています。しかし、オオカミゲノムか100%保存されている個体はなくても、かなりのゲノムが保存されている個体(犬?)がいるかもしれません。それを環境DNAの解析(eDNAir)の技術で、日本オオカミの生存の痕跡を追いかけます。

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日本オオカミの生存の痕跡を求めて Ver3

  1. 1. 日本オオカミ 生存の痕跡を求めて ver.3 つくば遺伝子研究所 2021/12/23
  2. 2. https://japan-wolf.org/wolf-about/ 日本オオカミ協会によりますと、「日本にはかつて、本州以南にニホンオオカミが、北 海道、択捉島、国後島にはエゾオオカミが生息していました。両方ともハイイロオオカ ミの亜種です。ニホンオオカミを固有種と考える学者もかつてはいましたが、オオカミ の進化の歴史はあまりに浅いため、ハイイロオオカミの亜種と分類するのが適切である との考えが現在の主流になっています」 https://onl.tw/uVpagjR (フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』) ニホンオオカミ(日本狼、英: Japanese wolf、学名:Canis lupus hodophilax)は、日 本の本州、四国、九州に生息していたオオカミの1亜種。 19世紀までは東北地方から九州まで広く分布していたが、1905年(明治38年)1月23日、 奈良県吉野郡小川村鷲家口(現東吉野村鷲家口)で捕獲された若いオス(標本として現 存)が確実な最後の生息情報である。環境省のレッドリストでは、「過去50年間生存の 確認がなされない場合、その種は絶滅した」とされるため、ニホンオオカミは絶滅種と なっている。
  3. 3. 空気に浮遊する生物デブリの中にあるDNAの解析例 動物遺伝育種学会2021で発表 600リットルの空気を濾過 クマの生息地域から、10キロ離れた、広島大学で もクマのDNAを検出 茨城県のつくば遺伝子研究 所では検出されず クマでの解析例
  4. 4. 空気に浮遊する生物デブリを集めて、その中にあるDNAを解析し、日本オオカミの生存の 痕跡を探します 日本オオカミのミトコンドリアの配列情報 >AB480736.1 Canis lupus hodophilax mitochondrial DNA, D-loop region, partial sequence, haplotype: Jw229ACACCCCTACATTCATATATTGAATCACCCCTGCTGTGCTATGTCAGTATCTCCAGGTAAACCCTCCTCCCCTCCCCCTAT GTACGTCGTGCATTAGTGGTTTGCCCCATGCATATAAGCATGTACATAATATTATATCCTTACATAGGACATACTAACTCAATCTC ATAGCTCACTGATCTATCAACAGTAATCAAATGCATATCACTT・・・・・ イヌのミトコンドリアの配列情報 >NC_002008.4 Canis lupus familiaris mitochondrion, complete genome GTTAATGTAGCTTAATTAATAAAGCAAGGCACTGAAAATGCCAAGATGAGTCGCACGACTCCATAAACATAAAGGTTTGGTCCTA GCCTTCCTATTAGTTTTTAGTAGACTTACACATGCAAGCCTCCACGCCCCAGTGAGAATGCCCTTAAAATCACCAGTGATCTAAA GGAGCAGGTATCAAGCACACTCTTAAGTAGCTCATAACAC・・・・・
  5. 5. 日本オオカミとイヌの相同性検索
  6. 6. 日本オオカミ検出用プライマーセット Jwol-F5 TTTGCCCCATGCATATAAGCATGTAC 26mer Jwol-R1 ATATGCATTTGATTACTGTTGATAGATCAGTGTGC 35mer この3塩基がイヌの配列と相同性がない 予想通りイヌではPCR産物が⇒ の位置に検出されなかった。 オオカミ配列(OS)を鋳型にPCR ⇒に産物を検出 M D D OS OS DはイヌゲノムDNA(50ng, ミトコンドリアDNA20万分 子)でduplicateでPCRを行っている。片側には、検出され ていないこと、加えて、検出されている断片が、オオカミ のものより、小さいこと、更には、下図にあるように、オ オカミ由来の断片とは異なったmelting curveをしめすこ とら、この断片はartifactであると判断。 結論として、このプライマーセットは、イヌとは反応せ ず、オオカミのDNAと反応して、それを検出出来る事が 判った。 考察
  7. 7. 抽出した動物DNA単位量あたりのミトコンドリアゲノム数 細胞当たりの塩基数 動物ゲノム 3x109 x2 = 6x109 ミトコンドリア 1.6x104 x103=1.6x107 塩基数全体のミトコンドリア塩基数の占める割合 1.6x107/ 6x109+ 1.6x107 = 1.6x107/6.016x109=0.00266 動物DNA 25ngに含まれるミトコンドリアDNA量 0.0665ng 動物DNA 25ngに含まれるミトコンドリアDNA分子数 6.65x10-11/(660x1.6x104) x 6x1023=1.05 x105 分子
  8. 8. 本解析には、イヌゲノムDNAを25ng入れた。つまり、ミ トコンドリアゲノム数では、1.05 x105 分子を1サンプルに 入れた。3サンプルの解析を行ったが、2サンプルにはシグ ナルは検出されなかった。残り1サンプルには、シグナルが、 Ct値37で検出されたが、メルティングカーブが異なる事と、 投入したミトコンドリアゲノム数を考えると、この日本オオ カミ用プライマーセットでは、イヌミトコンドリアDNAと は反応せず、日本オオカミのDNAとのみ反応することが明 らかとなった。 以上のことから、日本オオカミを検出するプライマーセッ トとして、用いることが出来る。
  9. 9. プライマーのblastn(NCBI Standard Nucleotide BLAST) Wolf-R1 ATATGCATTTGATTACTGTTGATAGATCAGTGTGC 登録された配列で相同性の高い順に示された250種類の配列を調べた結果、プライマーセッ トはCanis lupus hodophilax (日本オオカミ)として登録されている10種類の内9種類の み反応すると判定した。(Canis lupus hodophilaxのJw255は一塩基異なる)。
  10. 10. The mystery of Japanese Wolves Called Ookami or Yamainu in the Siebold Collection Naotaka ISHIGURO1), 2), Shuichi MATSUMURA2), Yohey TERAI1) and Hitomi HONGO1) 1) Graduate University for Advanced Studies, Hayama, 240-0193, Japan 2) Faculty of Applied Biological Sciences, Gifu University, 1-1 Yanagido, Gifu, 501-1193, Japan (2020 年8 月25 日受付・2020 年11 月27 日受理) オオカミやヤマイヌと呼ばれたシーボルトが残したニホンオオカミ標本の謎 Homology解析 1.日本オオカミの配列は、上記論文の13種中12種をダウンロードした。 Jw229, Jw237, Jw239, Jw240, Jw255, Jw257, Jw258, Jw271, Jw275, Jw292 Jentinc c, Jentinc b 2.プライマー「Jwol-F5」及び「Jwol-R1」で上記12種の配列と相同性があるかを解析した。
  11. 11. 12種中9種 Identity: 34 / 35 (97%) Similarity: 34 / 35 (97%) Strand: Plus / Minus Query 1 ATATGCATTTGATTACTGTTGATAGATCAGTGTGC 35 |||||||||||||||||||||||||||||||| || Sbjct 15665 ATATGCATTTGATTACTGTTGATAGATCAGTGAGC 15631 LC520089:Jw255 Identity: 33 / 34 (97%) Similarity: 33 / 34 (97%) Strand: Plus / Minus Query 1 ATATGCATTTGATTACTGTTGATAGATCAGTGTG 34 |||||||||||||||||||||||||||||||| | Sbjct 15665 ATATGCATTTGATTACTGTTGATAGATCAGTGAG 15632 AB499823:Jw240 Identity: 33 / 35 (94%) Similarity: 33 / 35 (94%) Strand: Plus / Minus Query 1 ATATGCATTTGATTACTGTTGATAGATCAGTGTGC 35 ||||||||| |||||||||||||||||||||| || Sbjct 15665 ATATGCATTCGATTACTGTTGATAGATCAGTGAGC 15631 LC520091:Jw275 Similarity: 33 / 35 (94%) Strand: Plus / Minus Query 1 ATATGCATTTGATTACTGTTGATAGATCAGTGTGC 35 ||||||||||||||||||||||||| |||||| || Sbjct 15659 ATATGCATTTGATTACTGTTGATAGGTCAGTGAGC 15625 Jwol-R1とのホモロジー解析 結果 プライマー「Jwol-F5」 12種すべての配列を認識する。 プライマー「Jwol-R1」 12種中11種の配列を認識する。 1種は認識しない。
  12. 12. https://doi.org/10.1101/2021.10.10.463851
  13. 13. 我々が設計したプライマーは、紀州犬、シベリアンハスキーのミトコンドリアDNAを増幅することが判っ た。紀州犬 >AB499816.1 シベリアンハスキー>DQ480499.1、>AB499817.1 そこで、フィールドから得たサンプルで、もし、PCR産物が得られた場合、紀州犬或いは、シベリアンハ スキー由来かを判定することが必要。 紀州犬プライマーCGTACGTACACGTGCGCACGCGCGTAA シベリアンハスキー TGCTATGTCAGTATCTCCAGGTAAACCCTTCTCCCCTCCCC 紀州犬 シベリアン ハスキー シベリアン ハスキー
  14. 14. Canis lupus familiaris (犬)とCanis lupus hodophilax(日本オオカミ)の両方を検出するプライマーを作製 ミトコンドリアDNA配列 日本オオカミ・犬 プライマー 日本オオカミ・犬 プライマー 日本オオカミ プライマー 日本オオカミ・犬 プライマーの検証 検証した結果、日本オオカ ミ・犬 プライマーセットは、 negative controlでは、PCR 産物ができないこと、また、 1分子から検出できることか ら、予定通り、犬・日本オオ カミの検出に使用可能と判断
  15. 15. Canis adustus ヨコスジジャッカル Side-striped jackal GenBank: KP874956.1 Canis anthus アフリカンゴールデンウルフ(暫定名) African golden wolf[5] Reference Sequence: NC_027956.1 Canis aureus キンイロジャッカル Eurasian golden jackal/Golden jackal Reference Sequence: NC_008093.1 Canis latrans コヨーテ Coyote Reference Sequence: NC_008093.1 Canis lupus タイリクオオカミ Wolf Canis mesomelas セグロジャッカル Black-backed jackal 登録なし Canis simensis アビシニアジャッカル Ethiopian wolf GenBank: MK482344.1 青字の種は動物園にいるかもしれないが、それ以外のところではいないので、地域での所在情報の確認は容易 Canis genus イヌ属に属する種は6種 イヌ、オオカミはCanis lupus 種に入る ① 日本オオカミ・犬 プライマーセットは、 Canis anthus、 Canis simensis の配列を増幅 する可能性がある (検出する可能性がある)。 ② 日本オオカミプライマーセットは、日本オオカミ、紀州犬、シベリアンハスキーを検出 他の犬種は検出し ない。Canis adustus、 Canis anthus、 Canis aureus、 Canis latrans、 Canis simensis の配列を増幅しな い (検出しない)。
  16. 16. 日本オオカミの痕跡を探す戦略 日本オオカミ・犬 プライマーセットで検出される範囲 日本オオカミプライマーセットで検出される範囲 (紀州犬とシベリアンハスキーが含まれる) これを排除するために、日本 オオカミ特異的ゲノムSNPで調べる その方法として、9個体の日本オオカミのゲノム配列をdeep sequencingしている論文が公表される予定である。また、こ の論文で、11個体の日本犬についてもゲノム配列をdeep sequencingされているので、その情報が公開されれば、我々が開発 したゲノム変異解析プログラム (PED: Polymorphic edge detection (PED): two efficient methods of polymorphism detection from next-generation sequencing data, BMC Bioinformatics. 2019; 20: 362.)を用いて、オオカミ特異的SNP、挿 入/欠失を染色体ごとに集め、それを 解析する事で、見つかった個体がどの程度、オオカミの遺伝子を保持しているかが判 明すると考えられる。https://doi.org/10.1101/2021.10.10.463851 日本オオ カミ 犬 空気中の生物デブリ ①日本オオカミ・犬 プライマーセット で分子数を推定 ②日本オオカミプライマーセットで分子 数を特定し、どの程度「日本オオカミ」 分子数 (割合)を推定
  17. 17. この時点での結論 • プライマーセットで反応する配列を相同性の高い順に250種類調べたが、日本オオカミ以外はになかった。 • 日本オオカミとして登録されている配列は12個 (12個体)からのものがあった、その内11の配列では、プライマーセットが反応することが判った。 • このことから、もし、日本オオカミとイヌとの交配が起こっているものが生存している場合、雌系が維持されていれば、このプライマーセットで検 出される可能性が高いと判断される。その理由は、①日本オオカミが生存していた段階で、その集団の殆どは、プライマーセットと反応する集団と 考えられる。②「絶滅した」判定されてから、100年なので、その遺伝子が、交配という形で残っているとしたら、この時間経過の中では、塩基 配列は起きてないと考えられる。 • もし、環境中の生物デブリに、上記プライマーセットで反応するDNAが存在したとしたら、次に可能性が考えられる。①純粋な日本オオカミが検索 した領域内に生存している可能性。② 形態はイヌであるが、過去の交配により、日本オオカミの遺伝子を受け継いでいる個体が、検索した領域内 に生存している可能性。 • いずれにしても、どの程度オオカミの遺伝子が維持されているかを調べる必要がある。その方法として、9個体の日本オオカミのゲノム配列を deep sequencingしている論文が公表される予定である。また、この論文で、11個体の日本犬についてもゲノム配列をdeep sequencingされてい るので、その情報が公開されれば、我々が開発したゲノム変異解析プログラム (PED: Polymorphic edge detection (PED): two efficient methods of polymorphism detection from next-generation sequencing data, BMC Bioinformatics. 2019; 20: 362.)を用いて、オオカミ特異的 SNP、挿入/欠失を染色体ごとに集め、それを 解析する事で、見つかった個体がどの程度、オオカミの遺伝子を保持しているかが判明すると考え られる。

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