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191029_イデオロギーと権力 主体をめぐる問いと実践に向けて

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「『Jounral of Lingusitic Anthropology』 vol. 9, Issue 1‐2」における「Ideology」と「Power」のキーワード解説を輪読した上での、ミニプレゼン資料。

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191029_イデオロギーと権力 主体をめぐる問いと実践に向けて

  1. 1. イデオロギーと権⼒ 主体をめぐる問いと実践に向けて 2019年10月29日、ことばと文化ゼミ、発表スライド 筑波大学大学院国際日本研究専攻博士前期課程1年 青山俊之
  2. 2. 人文学の基本 「権力」に対する相対的なまなざし、態度を養うこと 2019/11/6 ことばと文化ゼミ、「イデオロギーと権力 主体をめぐる問いと実践に向けて」 2
  3. 3. イデオロギー、権力について 研究することの意味と意義 「人間」が作り上げてきた「今ここ(≒近代)」を問い(外 在的批判)、「人々」自身の「足場」を見つめ(内在的批 判)、「人類」の変容可能性に向けた「実践(読み替え、 編み直し)」を為していくこと(創造的批判)。 ↑ 「主体」をめぐる問いと実践(≒政治哲学) 2019/11/6 ことばと文化ゼミ、「イデオロギーと権力 主体をめぐる問いと実践に向けて」 3
  4. 4. パース記号論 の基本 対称(Objects:O) 記号(Sign:S) 解釈(Interpretant:I) ※ 記号論の特徴としての 「メタ理論」 2019/11/6 ことばと文化ゼミ、「イデオロギーと権力 主体をめぐる問いと実践に向けて」 4 「記号とは、対象に対する何らかの「指⽰関係 (significative effect of a sign)」が解釈される こと、すなわち「解釈項」を介して初めて、認識 可能な記号的存在として成⽴する。」 浅井 (2017: 51) 『儀礼のセミオティクス メラネシア・フィジーにおける神話/ 詩的テクストの言語人類学的研究』
  5. 5. パース記号論の体系簡易まとめ図 2019/11/6 ことばと文化ゼミ、「イデオロギーと権力 主体をめぐる問いと実践に向けて」 5 第二次性:対象との関係における記号 Ø 類像、指標、象徴
  6. 6. パース記号論の第二次性 指標性:SとOの連続的関係性を示す記号作用 類像性:SとOの類似的関係性を示す記号作用 象徴性:SとOの恣意的関係性を示す記号作用 2019/11/6 ことばと文化ゼミ、「イデオロギーと権力 主体をめぐる問いと実践に向けて」 6 指標性、類像性の残余範疇としての象徴性 Ø連続性や類似性のいずれの経験的根拠を欠く にも関わらず指示関係が成立する記号 小山亘 (2011) 『コミュニケーション論のまなざし』
  7. 7. 平易なイデオロギー理解 二つのイデオロギー観 1. 中立的なイデオロギー観 Ø信念体系、世界観 2. 否定的なイデオロギー観 Ø正当化、自然化 2019/11/6 ことばと文化ゼミ、「イデオロギーと権力 主体をめぐる問いと実践に向けて」 7 イデオロギー ≒(集合的)意識、信念、価値観 言語人類学 • 「文化」研究 批判的談話研究 • 「政治」的研究 ※ 中立的イデオロギー > 否定的イデオロギー
  8. 8. 広義のイデオロギー論 テリー・イーグルトン(1999)『イデオロギーとは何か』 1. イデオロギーとは、社会生活において観念や信念や価値観を生 産する全般的な物質的プロセスである 2. 社会的に意味ぶかい特定の集団もしくは階級に固有の状況や生 活経験に対し、象徴的意味をあたえるような観念や信念(その真 偽のいかんにかかわらず) 3. 社会集団が、それと敵対する社会集団の利益に対抗して、みず からの利益を<促進>し<正当化>すること 4. 党派的利害関係の促進と正当化を依然強調しつづけることにな るが、強調点を支配的な社会権力の活動だけにかぎるものであ る 5. イデオロギーによって記号化される観念や信念は、支配的な集 団もしくは階級の利益の正当化に役だつのだが、その場合、とり わけ歪曲と捏造の操作が大きくものをいう 6. 虚偽的あるいは欺瞞的な信念の存在だが、ここではそのような 信念を、支配階級の利益からではなく社会全体の物質的構造か ら生ずるものとみる 2019/11/6 ことばと文化ゼミ、「イデオロギーと権力 主体をめぐる問いと実践に向けて」 8 言 語 人 類 学 批 判 的 談 話 研 究
  9. 9. 言語人類学におけるイデオロギー観 1. イデオロギーとは、社会生活において観念や信念や価値観を生産する全般的 な物質的プロセスである 2. 社会的に意味ぶかい特定の集団もしくは階級に固有の状況や生活経験に対し、 象徴的意味をあたえるような観念や信念(その真偽のいかんにかかわらず) 2019/11/6 ことばと文化ゼミ、「イデオロギーと権力 主体をめぐる問いと実践に向けて」 9
  10. 10. (広義の) イデオロギー観 に関する研究例 n活字メディアを媒介にした国家観の形成:想像の共同体(近代社会) ◦ メディア権力 ◦ 大衆社会、消費社会 n研究、研究者自身の政治的基盤の露呈:他者表象(ポストコロニア ル) ◦ 「ライティング・カルチャー」批判 ◦ エスノグラフィックな研究における調査者の政治性(恣意性、解釈 性) n狭義の政治的イデオロギー対立:資本主義 vs 社会主義→新資本主 義(ヘゲモニー) ◦ マルクス主義 n「主体」をめぐる闘争:アイデンティティ・ポリティクス(ジェンダー、クィ ア研究) ◦ ポストマルクス主義 ◦ ポストヒューマン 2019/11/6 ことばと文化ゼミ、「イデオロギーと権力 主体をめぐる問いと実践に向けて」 10
  11. 11. (狭義の) イデオロギー論 言語相対論≒言語イデオロギー ◦ 認識的「ズレ」 ◦ 「言語(コミュニケーション)」に対する意識化 の度合い 「間に入る」言語イデオロギー ◦ 言語関係 ⇆ <言語イデオロギー> ⇆ 社会関 係・アイデンティティ ◦ 「女性語」 ⇆ ジェンダー権力関係や文脈にお ける言語実践、言語イデオロギーなどのメタコ ミュニケーション ⇄ ジェンダー関係・アイデン ティティ 2019/11/6 ことばと文化ゼミ、「イデオロギーと権力 主体をめぐる問いと実践に向けて」 11 小山亘 (2011) 『近代言語イデオロギー論 記号の地政とメタ・コミュニケーションの 社会史』 宮崎あゆみ(2016)「日本の中学生のジェンダー一人称を巡るメタ語用的解釈 : 変容 するジェンダー言語イデオロギー」
  12. 12. 「権力(≒Power)」:影響力 2019/11/6 ことばと文化ゼミ、「イデオロギーと権力 主体をめぐる問いと実践に向けて」 12
  13. 13. 平易な権力理解 支配力(暴力、 威嚇、報酬) 影響力(作用) 説得力(取引、 交渉) 2019/11/6 ことばと文化ゼミ、「イデオロギーと権力 主体をめぐる問いと実践に向けて」 13
  14. 14. 権力資源と権力関係 権力資源 ◦個人や集団がもつ多様 な能力や資質、属性 (P25) ◦ 例:富、知識、技能、尊敬、愛 情、徳、軍事力、経済力、文化 (ソフトパワー) 権力の条件:関係的発露 ◦権力資源が「権力」として 機能する上での条件が ある ◦単なる「支配」や「強制」 だけが権力ではない 2019/11/6 ことばと文化ゼミ、「イデオロギーと権力 主体をめぐる問いと実践に向けて」 14
  15. 15. 非対称的権力観と共同的権力観 非対称的権力観 ≒ゼロサム的権力観 ◦ 当事者間の対立の状況を前提と した権力の見方 共同的権力観 ≒非ゼロサム的権力観 ① 権力の機能への着目(パーソ ンズ) ◦ 会社組織、国 ② 権力の生成・創出への着目 (アーレント) ◦ 集団の成員の協力によって創出する集団 としての権力(↔暴力的権力観) ◦ 例:組織や集団の指導者 2019/11/6 ことばと文化ゼミ、「イデオロギーと権力 主体をめぐる問いと実践に向けて」 15
  16. 16. 構造的暴力 構造的暴力:階級や構造によって制約される「格差」や「不平等」 ◦ ハーバーマス:権力の行使や獲得・維持については非対称的・ゼロサム的な 見方の方が妥当(P30) ◦ ゼロサム的な権力把握は、法・ルール・文化などの共有や利害の共通性といった、社会におけるコ ンセンサスに対して異議を申し立て、社会の非対称的な側面を強調するときに大きな役割を果たす ◦ 不平等や抑圧を見つけ出し、批判する上で重要 「誰にとって」の利益になるような「同意」が作られているのか? ◦ 同意の妥当性、権力の「正統性」への問い 2019/11/6 ことばと文化ゼミ、「イデオロギーと権力 主体をめぐる問いと実践に向けて」 16 権力の「類型」ではなく、どの「側面」から権力を捉えるのかの違い
  17. 17. 正統性(「正しさ」の問い) 「支配」が安定したものになるための服従者による「正統性への信 仰(内面的支持)」が必要 マックス・ウェーバーによる支配の三類型 ① 合法的支配(例:官僚的支配) ② 伝統的支配(例:家父長的支配) ③ カリスマ的支配 2019/11/6 ことばと文化ゼミ、「イデオロギーと権力 主体をめぐる問いと実践に向けて」 17 ウェーバーの正統性論のポイント:あくまでも被支配者・服従者側の支持で「正統性」が成り立つ
  18. 18. 権力と意図 2019/11/6 ことばと文化ゼミ、「イデオロギーと権力 主体をめぐる問いと実践に向けて」 18 一次元的権力観 • 顕在化した争点に関する決定において、誰の意見が採 用されたかという決定過程に着目することで確認できる 二次元的権力観 • 争点の顕在化そのものを阻むように隠蔽されながら決 定がなされていく「非決定の決定」がある 三次元的権力観 • 当事者同士の対立への自覚を前提にするのではなく、 相手方の意図や欲求や認識それ自体を変えさせる権力 曖昧な「権力」の 存在をどうすれ ば確認できるの か(P35-37)
  19. 19. 構造としての権力 個々人の意図を超えた構造(メカニズム)が、ある社会関係におか れた人の利害を、その人の認識のいかんにかかわらず規定すると いう考え方 ◦ 例:マルクス主義 ◦ 生産関係における階級対立と階級支配が、政治のあり方をも決定づけていると考える ◦ 「個々の行為者たちは、それぞれの意図をもって自由に行為する「主体」であるよりも、あるいは当人 はそういう自己認識をもっているとしても、資本主義社会の構造に規定されているのである(P40)」 2019/11/6 ことばと文化ゼミ、「イデオロギーと権力 主体をめぐる問いと実践に向けて」 19 それぞれの意図をもった行為者たちの関係ではなく、むしろこうし た行為者たちの行為や思考を背後から規定する構造としての権力
  20. 20. フーコーの権力論 規律権力(例:パノプティコン) ◦ 監視と指導を通じて、人々に「正しい」行為の規範をその精神と身体に植え 付け、内面化・身体化させ、自発的に「規律正しい」ふるまいができる人間を つくることを目指す(→集団の統制) 近代社会 ◦ 監視と規律化が社会全体に行き渡った社会(軍隊、学校、病院、工場) ◦ 生-権力:生を与える権力(↔死の権力)→<装置>セクシャリティ 自律的な「主体」も権力による産物なのだとしたら権力から「自由」 になることや、外部から批判することさえ難しくなる 2019/11/6 ことばと文化ゼミ、「イデオロギーと権力 主体をめぐる問いと実践に向けて」 20 →社会構成主義における「主体」の問題
  21. 21. 「主体」あるいは「公共性」の問題 •公共性… •監視社会… •間メディア社会(における権力と主体)… •二層構造の時代(下半身的欲望:上半身的理性↔市民:国家) •家族の哲学… •ポストヒューマン… •主体の生成変化、自己組織化… 2019/11/6 ことばと文化ゼミ、「イデオロギーと権力 主体をめぐる問いと実践に向けて」 21
  22. 22. 参考文献 テリー・イーグルトン(1999)『イデオロギーとは何か』 小山亘(2011)『近代言語イデオロギー論 記号の地政とメタ・コミュニケー ションの社会史』 川崎修、杉田敦 [編]『現代政治理論』 浜本満(2007)「イデオロギー論についての覚書」 松木啓子(1999)「ナラティブアプローチの可能性と限界をめぐって 異文 化理解の詩学と政治学」 松木啓子(2007)「アカデミックライティングの社会記号論」 河野清志(2015)「翻訳学におけるイデオロギー研究の潮流の社会記号論 による分析」 2019/11/6 ことばと文化ゼミ、「イデオロギーと権力 主体をめぐる問いと実践に向けて」 22

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