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[土曜会]ソーカル事件について

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2016年1月23日に催された勉強会「土曜会」での発表内容です。

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[土曜会]ソーカル事件について

  1. 1. ソーカル事件 2016/01/26土曜会 発表者:じょいとも
  2. 2. ポストモダン哲学を 知っていますか?
  3. 3. ポストモダン哲学とは? • 20世紀中盤からフランスを中心に興った思想 • 近代的な唯物主義を批判した構造主義を基盤とする • ニーチェ、フロイト、ハイデガーらの流れを む
  4. 4. 代表的なポストモダン哲学者 • ジャック・ラカン • ジル・ドゥルーズ • フェリックス・ガタリ • ジャック・デリダ • ジャン・ボードリヤール • ロラン・バルト
  5. 5. • 1970年代から90年代にかけて西洋の哲学界を席巻 • デリダ派と呼ばれる熱心な支持者も各地に登場 • 日本においては柄谷行人(文芸評論家)、浅田彰(京都 造形大学院教授)、東浩紀(思想家)らに影響を与え、 東京大学をはじめとした一流大学で研究される
  6. 6. 国内の論文検索でもたくさん出てきます。
  7. 7. 具体的には どんな思想なのか?
  8. 8. 例文を読んでみましょう。
  9. 9. アインシュタインの定数は、定数ではなく、中心でも ありません。それは、可変性の概念そのものであり、 終局的にはゲームの概念なのです。言い換えれば、そ れは何ものかの ー そこから出発した観測者が場を修 得することのできる中心の ー 概念ではなく、ゲーム 概念そのものなのです。 ジャック・デリダ 1970
  10. 10. 最近の巨大都市(メキシコシティー、東京、…)への超 集中はそれ自体が経済的交換の速さの増大の結果であ るので、加速と減速(物理学者たちが正および負の速 度と呼ぶものである)の概念の重要さについて再考す る必要があると思われる。 ポール・ヴィリリオ 1995
  11. 11. フロイトの仕事の中で人間の主体=患者の自己同一性 は分裂(Spaltung)によって定義されているが、この言 葉は核分裂をも意味する。ニーチェも自らの自我を爆 発の危険にさらされている原子核のように感知してい た。アインシュタインに関していえば、私の見るとこ ろ主要な問題は、電磁的再均衡化をともなわぬ加速に 関して彼が興味を持っていた以上、彼はわれわれに彼 の神を受け入れる以外のどんな可能性も残さないとい うことだ。 リュス・イリガライ 1974
  12. 12. 難しそうな物理学とかを 参照しているし、 すごく高尚な感じ・・・
  13. 13. そう思って僕も学生の頃は デリダとか読んでました。
  14. 14. 読んでみた感想: 難しくてよく分からん
  15. 15. 今はよく分からないけど、 何度も精読してちゃんと勉強すれば、 得られるものがあるかもしれない。
  16. 16.
  17. 17. …本当に?
  18. 18. 本当に、 あれは役に立つ文章なのか?
  19. 19. 本当は、 あれは高尚で難しい文章じゃなくて、 単に意味のない文章なんじゃないか?
  20. 20. そこで登場するのがアラン・ソーカル
  21. 21. 本講義では、 1990年代前半に世界の哲学界を激震させた、 アラン・ソーカルが仕掛けた一つの「いたずら」 そしてその影響について紹介していきます。
  22. 22. 本講義の流れ • ソーカル事件の流れ • ソーカルの批判 • 反論に対する反論 • ソーカル事件の影響
  23. 23. 本講義の流れ • ソーカル事件の流れ • ソーカルの批判 • 反論に対する反論 • ソーカル事件の影響
  24. 24. 当時最も人気のあった ポストモダン系評論雑誌 「SocialText」にある論文 が掲載された。 タイトルは 「境界を侵犯すること:  量子重力の変換解釈学に  向けて」 寄稿者は、 UCL/ニューヨーク大学教授 アラン・ソーカルといった。
  25. 25. 論文を掲載後、 ソーカルはその論文が 意味のない文章を繋げた パロディー論文であること を発表。 これにより、一流紙の編集 者ですら論文とパロディー 論文の見分けがつけられな い状況を看破。 ニューヨークタイムズの一面 を飾るなど、大センセーショ ンを巻き起こした。
  26. 26. 続いてソーカルは 数学者ジャン・ブリグモン とともに「知的詐欺(邦題: 知の欺瞞)」を発表。 ラカン、クリステヴァ、 イリガライ、ラトゥール、 ボードリヤール、ドゥルーズ、 ガタリ、ヴィリリオ といった、 ポストモダンの著名人を 批判した。
  27. 27. 本講義の流れ • ソーカル事件の流れ • ソーカルの批判 • 反論に対する反論 • ソーカル事件の影響
  28. 28. アラン・ソーカル 1955年生まれ UCL数学教授 ニューヨーク大学物理学教授 統計力学と組合せ数学を専門と する。
  29. 29. ソーカルが批判した ポストモダンにおける科学の濫用 • どう見ても漠然としか理解していない科学の理論を長々 とあげつらうこと • 自然科学の概念を、概念的なあるいは経験的な正当化を すこしも行わずに、人文科学や社会科学に持ち込むこと • まったく無関係な文脈に、恥もなく専門用語を投入して、 皮相な博識ぶりを誇示すること • 実際にはまったく意味のない文章をもてあそぶこと
  30. 30. 冒頭に挙げた例を もう一度見てみましょう。
  31. 31. アインシュタインの定数は、定数ではなく、中心でも ありません。それは、可変性の概念そのものであり、 終局的にはゲームの概念なのです。言い換えれば、そ れは何ものかの ー そこから出発した観測者が場を修 得することのできる中心の ー 概念ではなく、ゲーム 概念そのものなのです。 ジャック・デリダ 1970
  32. 32. アインシュタインの定数は、定数ではなく、中心でも ありません。それは、可変性の概念そのものであり、 終局的にはゲームの概念なのです。言い換えれば、そ れは何ものかの ー そこから出発した観測者が場を修 得することのできる中心の ー 概念ではなく、ゲーム 概念そのものなのです。 ジャック・デリダ 1970 一向に意味が分からない。 明らかに、デリダ自身も分かっていない。
  33. 33. 最近の巨大都市(メキシコシティー、東京、…)への超 集中はそれ自体が経済的交換の速さの増大の結果であ るので、加速と減速(物理学者たちが正および負の速 度と呼ぶものである)の概念の重要さについて再考す る必要があると思われる。 ポール・ヴィリリオ 1995
  34. 34. 最近の巨大都市(メキシコシティー、東京、…)への超 集中はそれ自体が経済的交換の速さの増大の結果であ るので、加速と減速(物理学者たちが正および負の速 度と呼ぶものである)の概念の重要さについて再考す る必要があると思われる。 ポール・ヴィリリオ 1995 彼が用いる物理と社会問題のアナロジーは、 想像しうる限りでたらめなものである。
  35. 35. 最近の巨大都市(メキシコシティー、東京、…)への超 集中はそれ自体が経済的交換の速さの増大の結果であ るので、加速と減速(物理学者たちが正および負の速 度と呼ぶものである)の概念の重要さについて再考す る必要があると思われる。 ポール・ヴィリリオ 1995 速度と加速度という物理学の基本的な概念を混同している。
  36. 36. フロイトの仕事の中で人間の主体=患者の自己同一性 は分裂(Spaltung)によって定義されているが、この言 葉は核分裂をも意味する。ニーチェも自らの自我を爆 発の危険にさらされている原子核のように感知してい た。アインシュタインに関していえば、私の見るとこ ろ主要な問題は、電磁的再均衡化をともなわぬ加速に 関して彼が興味を持っていた以上、彼はわれわれに彼 の神を受け入れる以外のどんな可能性も残さないとい うことだ。 リュス・イリガライ 1974
  37. 37. フロイトの仕事の中で人間の主体=患者の自己同一性 は分裂(Spaltung)によって定義されているが、この言 葉は核分裂をも意味する。ニーチェも自らの自我を爆 発の危険にさらされている原子核のように感知してい た。アインシュタインに関していえば、私の見るとこ ろ主要な問題は、電磁的再均衡化をともなわぬ加速に 関して彼が興味を持っていた以上、彼はわれわれに彼 の神を受け入れる以外のどんな可能性も残さないとい うことだ。 リュス・イリガライ 1974 「分裂」という言葉のうわべだけの一致が、 議論の材料になると本気で思っているのか?
  38. 38. フロイトの仕事の中で人間の主体=患者の自己同一性 は分裂(Spaltung)によって定義されているが、この言 葉は核分裂をも意味する。ニーチェも自らの自我を爆 発の危険にさらされている原子核のように感知してい た。アインシュタインに関していえば、私の見るとこ ろ主要な問題は、電磁的再均衡化をともなわぬ加速に 関して彼が興味を持っていた以上、彼はわれわれに彼 の神を受け入れる以外のどんな可能性も残さないとい うことだ。 リュス・イリガライ 1974 原子核が発見されたのはニーチェの死後のため、 ニーチェが自らの自我を原子核のように感知していた、 ということはありそうにない。
  39. 39. フロイトの仕事の中で人間の主体=患者の自己同一性 は分裂(Spaltung)によって定義されているが、この言 葉は核分裂をも意味する。ニーチェも自らの自我を爆 発の危険にさらされている原子核のように感知してい た。アインシュタインに関していえば、私の見るとこ ろ主要な問題は、電磁的再均衡化をともなわぬ加速に 関して彼が興味を持っていた以上、彼はわれわれに彼 の神を受け入れる以外のどんな可能性も残さないとい うことだ。 リュス・イリガライ 1974 もしニーチェが実際にそう思っていたとして、 そこから何がわかるのか?
  40. 40. フロイトの仕事の中で人間の主体=患者の自己同一性 は分裂(Spaltung)によって定義されているが、この言 葉は核分裂をも意味する。ニーチェも自らの自我を爆 発の危険にさらされている原子核のように感知してい た。アインシュタインに関していえば、私の見るとこ ろ主要な問題は、電磁的再均衡化をともなわぬ加速に 関して彼が興味を持っていた以上、彼はわれわれに彼 の神を受け入れる以外のどんな可能性も残さないとい うことだ。 リュス・イリガライ 1974 「電磁的再均衡化をともなわぬ加速」という言葉は 物理学の用語に存在しない。よって、 アインシュタインがそれに興味を持っていたはずがない。
  41. 41. 本講義の流れ • ソーカル事件の流れ • ソーカルの批判 • 反論に対する反論 • ソーカル事件の影響
  42. 42. 事件後、ポストモダン陣営からも もっともな反論が噴出した。
  43. 43. Q:ソーカルが指摘したものは   些末なものばかりではないか? A:これらは見過ごすことができるようなものでは
   なく、事実や論理に対する無関心がはっきりと
   現れている。   学生たちが批判的な分析に踏み切るのを時として
   阻んできた、深遠さというオーラを取り除きたい。
  44. 44. Q:内容を理解できていないだけではないか? A:数学や物理学の概念を他の分野の研究に
   応用するのがなぜ有効かを議論されていない。   科学の概念をまともに応用しようとしているなら
   これほどまでに酷い言葉の誤りはないはずだ。
  45. 45. Q:詩的な表現がなされているだけなのでは? A:ここで批判した哲学者たちは、
   まったく大真面目に論じている。   彼らの意図は理論を作ることであり、
   詩的なものだとは考えられない。
  46. 46. Q:メタファーなのでは? A:メタファーはふつう、馴染みのない概念を
   馴染みのある概念で説明するために使う。   彼らは自分自身理解できていない概念を、
   学をひけらかすためだけに使っている。
  47. 47. 本講義の流れ • ソーカル事件の流れ • ソーカルの批判 • 反論に対する反論 • ソーカル事件の影響
  48. 48. その後も様々な関連書が登場し続けている
  49. 49. –ポスト構造主義 - Wikipedia ポスト構造主義を難解にし高度に複雑化させた かに見えたポストモダンの風潮は20世紀終わり ごろまで続くが、1994年のソーカル事件によ り、あっけなく終息することとなる。その後は リチャード・ドーキンスのミームの提唱など、 過去の哲学モデルを踏襲しないパラダイムが注 目されていくことになる。
  50. 50. 現代における第一線の哲学者たち

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