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オープン化、ライセンシング、開 
かれた社会 
社会情報学会シンポジウム「オープンデータ 
の社会情報学~開かれた社会を目指して~ 」 
渡辺智暁(国際大学GLOCOM/OKFJ/CCJP) 
2014.09.20
自己紹介 
・国際大学GLOCOM(仕事主幹研究員・准教授・研究部長) 
ICT政策、ICTと社会変動(情報社会論)などの領域で研究 
米国の通信インフラ政策、オープンデータ政策、オープン化、他 
・ボランティア活動 
- Wikipedia日...
1.著作権、データ、ライセンス 
・ライセンスがなければ、他人の作成したデータ 
は無断で利用できないことがある
著作権法 
・他人の著作物の無断利用は原則権利侵害 
著作物:思想や感情の創作的な表現 
利用:コピーや改変や上演等(鑑賞・再生は含 
まれない) 
原則:例外規定がある(引用、教育目的の複製、 
私的使用のための複製、など) 
無断:許諾をも...
著作物 
思想や感情の創作的な表現 
・事実のストレートな記録は著作物ではない 
・事実の取捨選択や配列に思想や感情が反映 
される場合、著作物たりうる 
・データベースの場合、情報の選択や体系的構 
成によって著作物になりうる 
・「創作的」...
政府の著作物 
※政府の作成したものは国民のものなので、許 
諾がなくても誰でも使えるようにすべき、との 
意見もある。 
国家の作成したものを見ると 
・広報資料など:新聞など刊行物にに転載可能 
・政治の演説など:利用可能 
・法令・判例:...
ライセンス 
典型的なもの:相対契約 
ODで用いられるもの:パブリック・ライセンス 
公衆一般に許諾を与える 
その中でも特に「オープンライセンス」と称され 
るようなもの。
どんなライセンスが必要か? 
バランスが要求される世界 
・行政として望まない利用を制限・禁止する 
⇔利用者が自由に使える 
・具体的でわかりやすい 
⇔簡潔で読みやすい 
⇔法的に厳密 
・権利者側の多様なニーズにマッチする多様なライ 
セ...
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス 
特徴: 
・一目見てわかるアイコンでライセンスを表現 
・普通の人にもわかりやすい「サマリー」ページ 
と、厳密な「リーガルコード」を持つ。 
・機械判読可能にするための仕組みも。
CCライセンス(2) 
・世界中で様々なコンテンツに使われている 
(Flickrの2億枚強の写真、ウィキペディアの数 
百万本の記事、など) 
・弁護士・法学者などの専門家の参加による法 
的な効果の担保 
・10年以上の運用の歴史(3回のメ...
CCライセンス(3) 
・ODの世界では、CC-BY と称されるライセンスが 
グローバル・スタンダードになりつつある。 
※CCライセンスは6種の基本形があるが、CC-BY 
はそのひとつ 
・日本、オーストラリアなどで採用 
・イギリス、フ...
別視点からのまとめ 
・ODは、政府機関等の持つデータの流通・利用 
を促進すること 
・それによって、経済効果創出、政府・政策への 
理解、市民による問題解決などをもたらす 
・そのために「流通・利用」を原則違法とするよう 
な著作権法につい...
2.オープン化のマインド 
・ライセンスの採用や、内容の決定についての 
検討・議論 
→オープン化への様々な抵抗・不安がある。 
→ツール(CCライセンス)があっても、文化的理 
由で採用されない 
→オープン化が起こらない
オープン化の限定要因 
・自分の著作物の利用を、不特定多数の他者に許諾す 
る→不安 
- 間違いを指摘されるのでは 
- 誤解を生むのでは 
- 自分の世間的信用を悪用し、詐欺に使われるのでは 
- 犯罪行為にも活用されるのではないか 
- ...
限定要因(2) 
・公平性担保への欲求(自分も正当な利得を得たい) 
→ 
- クレジット表示を求める(評判を得る) 
- 営利利用は許諾しない* 
- 利用者が改変物を作成・公開する時は、それも誰でも自由に使え 
るようにライセンシングを義務...
限定要因(3) 
その他の公開・流通を牽制する規範: 
受け手の保護 
- リスク関連情報:専門性が高いなどの理由により、誤解や 
パニックの被害がある 
- エラーの含まれる情報:警告と共に提供しても、提供する 
行政はある程度責任を負う 
...
限定要因(4) 
その他の公開・流通をけん制する規範: 
第三者の保護 
- プライバシー関連:人には広く知られたくない 
ことがある 
- 地域格差情報など集団に不利益をもたらし、 
あるいは偏見を助長する情報 
- セキュリティ関連:特定少...
悩ましい事例 
・デンマークでは学校の成績についてのデータ公 
開をとりやめた。理由は、格差を解消できる見込 
みが乏しいから。 
・カリフォルニアでは、担任の先生別に、生徒の学 
力テストの伸びを、新聞が報じた。これが原因と 
見られる教師の...
どこまでオープン化できるのか? 
・受け手の自己責任にしてよいのはどこまでか。 
・事実を伝える効果を持つ情報には、特定集団 
に不利益をもたらしつつ、公益を促進する効 
果もある。バランスを考えればよい? 
※ハザードマップの公開は肯定されて...
境界事例に関する手引き 
※政府ではなく誰か他の主体が決めるべき 
か? 
- 個々の当事者の自己決定(個人情報的)(当 
事者の連絡先がわかるとは限らない) 
- 専門家の討議(医療倫理的) 
- マルチステークホルダーの討議(インターネッ ...
まとめ 
・他者をおそれない 
・贈与をいとわない 
・発信者の責任が軽い 
・事実を直視できる(恥・建前にこだわらない) 
・境界事例の判断に役立つ、規範的な手引きがあ 
る 
→データのオープン化が進む 
※日本が他国に比べよりオープンな社...
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  1. 1. オープン化、ライセンシング、開 かれた社会 社会情報学会シンポジウム「オープンデータ の社会情報学~開かれた社会を目指して~ 」 渡辺智暁(国際大学GLOCOM/OKFJ/CCJP) 2014.09.20
  2. 2. 自己紹介 ・国際大学GLOCOM(仕事主幹研究員・准教授・研究部長) ICT政策、ICTと社会変動(情報社会論)などの領域で研究 米国の通信インフラ政策、オープンデータ政策、オープン化、他 ・ボランティア活動 - Wikipedia日本語版(2000年代中盤) イニシエーション - CCJP(2007-)(2013年に法人名はコモンスフィアに改称常務理事) ライセンスを深堀り、多分野に展開 - OKFJ(2012-)(2013年に法人化副理事長) オープンデータを深堀り ・政府委員 - 電子行政オープンデータ実務者会議(2012-)構成員 同普及・ルールWG (2012-)主査代理 ※本発表は個人の見解に基づくもので所属先などの公式見解とは一致しない場合 があります。
  3. 3. 1.著作権、データ、ライセンス ・ライセンスがなければ、他人の作成したデータ は無断で利用できないことがある
  4. 4. 著作権法 ・他人の著作物の無断利用は原則権利侵害 著作物:思想や感情の創作的な表現 利用:コピーや改変や上演等(鑑賞・再生は含 まれない) 原則:例外規定がある(引用、教育目的の複製、 私的使用のための複製、など) 無断:許諾をもらえばよい
  5. 5. 著作物 思想や感情の創作的な表現 ・事実のストレートな記録は著作物ではない ・事実の取捨選択や配列に思想や感情が反映 される場合、著作物たりうる ・データベースの場合、情報の選択や体系的構 成によって著作物になりうる ・「創作的」の基準はかなり緩い
  6. 6. 政府の著作物 ※政府の作成したものは国民のものなので、許 諾がなくても誰でも使えるようにすべき、との 意見もある。 国家の作成したものを見ると ・広報資料など:新聞など刊行物にに転載可能 ・政治の演説など:利用可能 ・法令・判例:著作権保護の対象外
  7. 7. ライセンス 典型的なもの:相対契約 ODで用いられるもの:パブリック・ライセンス 公衆一般に許諾を与える その中でも特に「オープンライセンス」と称され るようなもの。
  8. 8. どんなライセンスが必要か? バランスが要求される世界 ・行政として望まない利用を制限・禁止する ⇔利用者が自由に使える ・具体的でわかりやすい ⇔簡潔で読みやすい ⇔法的に厳密 ・権利者側の多様なニーズにマッチする多様なライ センス ⇔ライセンスのバリエーションが限定されており、 組み合わせ利用などが容易
  9. 9. クリエイティブ・コモンズ・ライセンス 特徴: ・一目見てわかるアイコンでライセンスを表現 ・普通の人にもわかりやすい「サマリー」ページ と、厳密な「リーガルコード」を持つ。 ・機械判読可能にするための仕組みも。
  10. 10. CCライセンス(2) ・世界中で様々なコンテンツに使われている (Flickrの2億枚強の写真、ウィキペディアの数 百万本の記事、など) ・弁護士・法学者などの専門家の参加による法 的な効果の担保 ・10年以上の運用の歴史(3回のメジャーな バージョンアップ)
  11. 11. CCライセンス(3) ・ODの世界では、CC-BY と称されるライセンスが グローバル・スタンダードになりつつある。 ※CCライセンスは6種の基本形があるが、CC-BY はそのひとつ ・日本、オーストラリアなどで採用 ・イギリス、フランスなどは互換性に配慮
  12. 12. 別視点からのまとめ ・ODは、政府機関等の持つデータの流通・利用 を促進すること ・それによって、経済効果創出、政府・政策への 理解、市民による問題解決などをもたらす ・そのために「流通・利用」を原則違法とするよう な著作権法についての手当が必要になる。 ・CCライセンスがその手段として広がりつつある
  13. 13. 2.オープン化のマインド ・ライセンスの採用や、内容の決定についての 検討・議論 →オープン化への様々な抵抗・不安がある。 →ツール(CCライセンス)があっても、文化的理 由で採用されない →オープン化が起こらない
  14. 14. オープン化の限定要因 ・自分の著作物の利用を、不特定多数の他者に許諾す る→不安 - 間違いを指摘されるのでは - 誤解を生むのでは - 自分の世間的信用を悪用し、詐欺に使われるのでは - 犯罪行為にも活用されるのではないか - 変な使い方をされたり、変な輩に使われ、自分のイ メージ・評判が落ちるのでは - 自分の落ち度、弱点、腐敗等を把握されるのでは →改変禁止、犯罪利用禁止、「公序良俗に反する利用」 の禁止など
  15. 15. 限定要因(2) ・公平性担保への欲求(自分も正当な利得を得たい) → - クレジット表示を求める(評判を得る) - 営利利用は許諾しない* - 利用者が改変物を作成・公開する時は、それも誰でも自由に使え るようにライセンシングを義務付ける など *政府の場合には、少し異なる形をとる - 公共の資源を使って私腹を肥やす事業者は不当だ - 米国のITに強い事業者が利用して「一人勝ち」になるから、それを 防ぎたい(欧州での例) - 販売の利益がなくなると財源が減る
  16. 16. 限定要因(3) その他の公開・流通を牽制する規範: 受け手の保護 - リスク関連情報:専門性が高いなどの理由により、誤解や パニックの被害がある - エラーの含まれる情報:警告と共に提供しても、提供する 行政はある程度責任を負う 「受け手の自己責任」には委ねられない ※放射線量に関するデータの公開は、心配・ストレスなどを 引き起こし、その心因性の健康被害が、放射線の物理的 健康被害よりも大きいという説がある。
  17. 17. 限定要因(4) その他の公開・流通をけん制する規範: 第三者の保護 - プライバシー関連:人には広く知られたくない ことがある - 地域格差情報など集団に不利益をもたらし、 あるいは偏見を助長する情報 - セキュリティ関連:特定少数による悪用のリス クがある(テロ行為への活用など)
  18. 18. 悩ましい事例 ・デンマークでは学校の成績についてのデータ公 開をとりやめた。理由は、格差を解消できる見込 みが乏しいから。 ・カリフォルニアでは、担任の先生別に、生徒の学 力テストの伸びを、新聞が報じた。これが原因と 見られる教師の自殺が起きた。 ※公開されれば、地価、居住地の選択などに影響 を与え、市場原理が働く分は、よりよい選択が行 われるようになる。
  19. 19. どこまでオープン化できるのか? ・受け手の自己責任にしてよいのはどこまでか。 ・事実を伝える効果を持つ情報には、特定集団 に不利益をもたらしつつ、公益を促進する効 果もある。バランスを考えればよい? ※ハザードマップの公開は肯定されている。 ※詳細な犯罪分布データは? →境界事例の判断に手引きがあるとよい。
  20. 20. 境界事例に関する手引き ※政府ではなく誰か他の主体が決めるべき か? - 個々の当事者の自己決定(個人情報的)(当 事者の連絡先がわかるとは限らない) - 専門家の討議(医療倫理的) - マルチステークホルダーの討議(インターネッ トガバナンス的)
  21. 21. まとめ ・他者をおそれない ・贈与をいとわない ・発信者の責任が軽い ・事実を直視できる(恥・建前にこだわらない) ・境界事例の判断に役立つ、規範的な手引きがあ る →データのオープン化が進む ※日本が他国に比べよりオープンな社会になれる か、なりたいか、は疑問も残る

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