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「スライムの化学」を利用した第5のがん治療法 記者説明会資料

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東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所の西山伸宏教授、野本貴大助教らは、第5のがん治療法として期待されているホウ素中性子捕捉療法(BNCT)にポリビニルアルコール(PVA)を組み合わせることで、抗腫瘍効果が劇的に向上することを見出した。BNCT用の化合物ボロノフェニルアラニン(BPA)とPVAを水中で混ぜ、高分子の薬剤(PVA-BPA)を作成したところ、長期間がん細胞内に留まり、高い抗腫瘍効果を示し、次世代のがん治療薬として期待される。

「スライムの化学」西山教授と野本助教が記者説明会を開催
https://www.titech.ac.jp/news/2020/046337.html

「スライムの化学」を利用した第5のがん治療法
https://www.titech.ac.jp/news/2020/046060.html

Published in: Technology
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「スライムの化学」を利用した第5のがん治療法 記者説明会資料

  1. 1. 「スライムの化学」を利用した 第5のがん治療法 -液体のりの主成分でホウ素中性子捕捉療法の効果を劇的に向上- 東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所 助教 野本 貴大 教授 西山 伸宏 令和2年1月22日 記者説明会 報道解禁日時:令和2年1月23日(木) 04時00分 東京工業大学・京都大学・ナノ医療イノベーションセンター(iCONM)・ ステラファーマ株式会社・日本医療研究開発機構(AMED)
  2. 2. ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の概要 B10 B10 B10 B10 B10 熱中性子 a線 Li原子核 細胞殺傷 1. ホウ素(10B)薬剤の注射 2. 中性子の疾患部への照射 BNCTの原理 B10 B10 B10 B10 3. 腫瘍内に集積したホウ素と中性子の核反応により産 生したa線とLi原子核による細胞殺傷 日本の叡智が拓くがん治療の新たなる地平BNCT (BNCT研究会)より引用 日本発・世界に輸出可能な医療技術 [2]
  3. 3. 現在最も臨床研究が進められているホウ素化合物 (BPA) p-Boronophenylalanine (BPA) ボロノフェニルアラニン B OH OH HOOC NH2 必須アミノ酸の フェニルアラニン [3] BPA グルタミン LAT1 細胞膜 細胞質 再発耳下腺がん(大阪大学症例) 悪性黒色腫(川崎医科大学症例) がん細胞で過剰発現している アミノ酸トランスポーターLAT1に 効率よく取り込まれる • 腫瘍に選択的に集積する理想的なホウ素化合物 • ステラファーマ株式会社がBPAのsorbitol製剤の臨 床試験を実施(承認申請中) • 腫瘍に長期的にとどまることができない • 滞留性を向上できれば治療効果も上がるはず 日本の叡智が拓くがん治療の新たなる地 平BNCT(BNCT研究会)より引用 BNCT前 BNCT後
  4. 4. * O O B- NH2 COOH * OH OH m nHO OH B NH2 COOH BPAの細胞内取込みと細胞外排出 Radiat. Res. 153, 173-180 (2000). Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 110, 5480-5485 (2013) ポリビニルアルコール (PVA) PVA-BPA BPA • 液体のりの主成分 • 生体適合性が高い材料 • 多数のジオール基 水中で混ぜるだけ フェニル アラニン構造 BPAの代謝 本研究の発明 BPA グルタミン チロシン BPA LAT1 細胞膜 細胞質 細胞外BPA濃度が高いとき 細胞外BPA濃度が低いとき 複数のBPAを高分子に結合 高分子 BPA LAT1介在型 エンドサイトーシス エンドソーム・ リソソーム BPAをエンドソーム・リソソームに局在させれば細 胞内滞留性が向上するのでは? * * OH 2m+n [4] Nomoto T., Inoue Y., et al., Science Advances
  5. 5. PVA-BPAの効果 [5] BPAの細胞内取込みと細胞外排出 本研究の発明 BPA グルタミン チロシン BPA LAT1 細胞膜 細胞質 細胞外BPA濃度が高いとき 細胞外BPA濃度が低いとき 複数のBPAを高分子に結合 PVA BPA LAT1介在型 エンドサイトーシス エンドソーム・ リソソーム 従来のBPA 今回開発したPVA-BPA エンドソーム・リソソーム BPA PVA 0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 従来の BPA PVA- BPA 0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 細胞外 BPA濃度 高い 低い 2.9倍 3.6倍細胞内ホウ素量 細胞内ホウ素量 LAT1 阻害 エンドソーム内の PVA-BPA 従来のBPA PVA-BPA
  6. 6. 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 0 3 6 腫瘍への集積量%Dose/gtumor 注射後の時間 Fructose-BPA PVA-BPA 腫瘍への集積性と滞留性が大幅に向上 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 0 3 6 腫瘍への集積量%Dose/gtumor 注射後の時間 Fructose-BPA PVA-BPA 5倍 4倍 大腸がん皮下腫瘍モデル: マウスの大腸がん細胞をマウスの 皮下に移植したモデル 膵臓がん皮下腫瘍モデル: ヒトの膵臓がん細胞をマウスの 皮下に移植したモデル [6] 血管 血管周辺の細胞 PVA-BPA 膵臓がんモデル 大腸がんモデル 腫瘍にPVA-BPAが浸透している様子
  7. 7. BNCTの効果を劇的に向上 [7] 0 40 80 120 160 0 10 20 30 相対腫瘍体積 日数 熱中性子のみ Fructose-BPA (従来のBPA) 今回開発した PVA-BPA •化合物を注射 •3時間後に熱中 性子を照射 根治に近い結果 が得られた 従来のBPA溶液 または 今回開発したPVA-BPA の尾静脈注射 大腸がん皮下腫瘍モデル: マウスの大腸がん細胞をマウスの 皮下に移植したモデル 3時間 熱中性子の照射 (50分間) 腫瘍サイズの経時変化を追跡
  8. 8. 本研究成果のまとめ [8] • PVAを加えるだけでBPAの治療効果を劇的に向上 • 治療効果は根治が可能なレベル • 掲載誌:Science Advances • 論文タイトル:Poly(vinyl alcohol) Boosting Therapeutic Potential of p-Boronophenylalanine in Neutron Capture Therapy by Modulating Metabolism • 著者:Takahiro Nomoto#*, Yukiya Inoue#, Ying Yao, Minoru Suzuki, Kaito Kanamori, Hiroyasu Takemoto, Makoto Matsui, Keishiro Tomoda, Nobuhiro Nishiyama* • DOI:10.1126/sciadv.aaz1722 • 独立行政法人 日本学術振興会(JSPS) • 科学研究費助成事業(課題番号18K18383, 18H04163, 15H04635) • 国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST) • センターオブイノベーション(COI)プログラム • 国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED): • 橋渡し研究戦略的推進プログラム補助事業(拠点名:筑波大学、研究開発代表者: 東京工業大学 野本貴大) 「シーズA17-89超低侵襲中性子捕捉療法を実現する代謝制御型ホウ素送達システム」 • 革新的バイオ医薬品創出基盤技術開発事業(研究開発代表者: 東京工業大学 西山伸宏)「高分子ナノテクノロ ジーを基盤とした革新的核酸医薬シーズ送達システムの創出」 • 次世代がん医療創生研究事業(研究開発代表者: 東京工業大学 西山伸宏)「DDS技術を基盤とした革新的がん 治療法の開発」 • 筑波大学つくば臨床医学研究開発機構(T-CReDO) • 文部科学省 • ダイナミック・アライアンス
  9. 9. 今後の展開 [9] 本研究成果の展開 • 加速器型中性子線源の応用範囲 を拡大できると期待 • 非臨床試験に向けた組成最適化 • ステラファーマ株式会社の協力 を得て研究を推進する予定 • 原子炉を使った治療装置 • 今までの主流 • 煩雑な管理 • 原子炉規制法の規制 • 病院との併設が困難 • 加速器を使った治療装置 • 安全かつ簡便 • コンパクト • 病院内に設置可能 現状の加速器型中性子線源から得られる熱中性子量は原 子炉のそれよりも少なく、適応範囲は浅い部位のがんに 限定されると考えられている。 http://bnct.kek.jp/apparatus.html 医療用中性子線源としては今後、加速器型中性子線源が主流となる。

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