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数学はアートを創るか?―Processingによる実践

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Processing Community Day Tokyo 2019

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数学はアートを創るか?―Processingによる実践

  1. 1. 数学はアートを創るか? Processingによる実践 巴山竜来 Tatsuki Hayama Processing Community Day Tokyo Feb 2, 2019
  2. 2. 巴山竜来 『数学から創るジェネラティブアート ―Processingで学ぶかたちのデザイン』 技術評論社 2019年4月17日発売予定 https://www.amazon.co.jp/dp/4297104636
  3. 3. 1.数学とプログラミング
  4. 4. プログラミングで使う数学 •AI •機械学習 •データサイエンス …
  5. 5. プログラミングで使う数学 •AI •機械学習 •データサイエンス … 応用数学
  6. 6. プログラミングで使う数学 •AI •機械学習 •データサイエンス … 応用数学 「純粋」数学
  7. 7. プログラミングで使う数学 •AI •機械学習 •データサイエンス … 応用数学 ・「役に立つ」 ・実装しやすい 「純粋」数学 ・「役に立たない」 ・実装しにくい
  8. 8. 社会との接点 純粋 応用
  9. 9. 純粋 応用
  10. 10. 情報技術は境界を拡張する 純粋 応用
  11. 11. 一番伝えたいこと 純粋数学はアイデアの宝庫 整数論,圏論,トポロジーなどの純粋数学的なアイデア はどんどん応用されている
  12. 12. 純粋数学の難しさ ・「何を」やってるのか,「なぜ」それが面白いか,の理解が難 しい
  13. 13. 純粋数学の難しさ ・「何を」やってるのか,「なぜ」それが面白いか,の理解が難 しい ホッジ予想(現代数学の重要問題の1つ) 複素射影多様体のホッジ類は代数的
  14. 14. 純粋数学の難しさ ・「何を」やってるのか,「なぜ」それが面白いか,の理解が難しい ・コンピュータに実装するのが難しい ・無限に関する問題 ・次元と空間の問題 ・許容誤差(tolerance)の問題 ホッジ予想(現代数学の重要問題の1つ) 複素射影多様体のホッジ類は代数的
  15. 15. 数値処理の許容誤差 println(1.0 / 3); 0.33333334 println(sqrt(2)); 1.4142135
  16. 16. 数値処理の許容誤差 println(1.0 / 3); 0.33333334 ≠ 1 3 println(sqrt(2)); 1.4142135 ≠ 2
  17. 17. 数値処理の許容誤差 println(1.0 / 3); 0.33333334 ≠ 1 3 3x − 1 = 0 の解 println(sqrt(2)); 1.4142135 ≠ 2 x2 − 2 = 0 の解
  18. 18. 数値処理の許容誤差 println(1.0 / 3); 0.33333334 ≠ 1 3 3x − 1 = 0 の解 println(sqrt(2)); 1.4142135 ≠ 2 x2 − 2 = 0 の解 float値よりも,それを定義する数式自体が重要 →そこまでの数学的厳密さが必要とされるのか?
  19. 19. 2.黄金数は美しいのか?
  20. 20. 黄金数𝜙 = 1+ 5 2 println((1.0+sqrt(5))/2); 1.618034
  21. 21. 黄金数𝜙 = 1+ 5 2 println((1.0+sqrt(5))/2); 1.618034 通説「黄金数は芸術作品や自然現象に表れる比率だから美しい」
  22. 22. 黄金数𝜙 = 1+ 5 2 println((1.0+sqrt(5))/2); 1.618034 通説「黄金数は芸術作品や自然現象に表れる比率だから美しい」 ・美の根拠はどこにある? ・統計的に正しいのか? ・本当に「ちょうど𝜙」なのか?
  23. 23. 数式から見える黄金数𝜙の構造 黄金数𝜙は𝑥2 − 𝑥 − 1 = 0の解⇒𝜙2 = 𝜙 + 1
  24. 24. 数式から見える黄金数𝜙の構造 黄金数𝜙は𝑥2 − 𝑥 − 1 = 0の解⇒𝜙2 = 𝜙 + 1 float PHI = (1 + sqrt(5)) / 2; println(PHI * PHI); //2.6180341 println(1.0 + PHI); //2.618034
  25. 25. 数式から見える黄金数𝜙の構造 𝜙2 = 𝜙 + 1⇒𝜙 = 1 + 1 𝜙
  26. 26. 数式から見える黄金数𝜙の構造 𝜙2 = 𝜙 + 1⇒𝜙 = 1 + 1 𝜙 自分の定義に自分が入っている = 再帰性
  27. 27. 連分数としての黄金数𝜙 𝜙 = 1 + 1 𝜙
  28. 28. 連分数としての黄金数𝜙 𝜙 = 1 + 1 𝜙 = 1 + 1 1+ 1 1+ 1 1+⋯
  29. 29. 黄金数𝜙がつくるかたち 黄金長方形(短辺:長辺= 1: 𝜙)の分割 https://www.openprocessing.org/sketch/611169 ratio = (1 + sqrt(5)) / 2
  30. 30. 黄金長方形(短辺:長辺= 1: 𝜙)の分割
  31. 31. 黄金長方形(短辺:長辺= 1: 𝜙)の分割
  32. 32. 黄金長方形(短辺:長辺= 1: 𝜙)の分割
  33. 33. 黄金長方形(短辺:長辺= 1: 𝜙)の分割
  34. 34. 再帰性 → 自己相似性
  35. 35. 黄金数𝜙がつくるかたち フェルマーらせん https://www.openprocessing.org/sketch/611609 drawFermatSpiral((1 + sqrt(5)) / 2)
  36. 36. ひまわりに似たかたち
  37. 37. 黄金数𝜙がつくるかたち 黄金三角形(短辺:長辺= 1: 𝜙)の分割 (第14章準周期タイリング)
  38. 38. 再帰的分割
  39. 39. ペンローズタイリング
  40. 40. 3.秩序的なものは美しいか?
  41. 41. 機械が描いた絵 / 人間が描いた絵
  42. 42. ジェネラティブアート 方法論を「ジェネラティブ」と呼ぶには、まず最初の鉄則として 自律性が必ず含まれていなければなりません。アーティストは通 常、まずランダムあるいはセミランダムな要素を含んでいる基本 のルールや定式を作ります。そしてそれから、作品を作るための 自律したプロセスを開始します。システムは、完全にアーティス トの制御下にあるわけではありません。さもなければ、アーティ スト自身が唯一のジェネラティブな要素です。第二の鉄則は、し たがって、ある程度の予測不可能性がなければならないというこ とです。アーティスト自身が、他の誰かと同じように、その結果 に驚くようでなければなりません。 (マット・ピアソン著『ジェネラティブ・アート』より)
  43. 43. 「予想不可能性」の設計
  44. 44. 「予想不可能性」の設計
  45. 45. https://www.openprocessing.org/sketch/611596 黄金分割の再帰条件にランダム性を加えた分割
  46. 46. ランダムに模様付けしたタイルのペンローズタイリング
  47. 47. 「自律性」の設計 • セルオートマトン https://www.openprocessing.org/sketch/611709
  48. 48. Rule110 (class 4) Rule30 (class 3)
  49. 49. 4.ジェネラティブアートはアート なのか?(問題提起)
  50. 50. 幾何学図形はアートなのか? 仙厓義梵 ○△□図(1819〜1828)
  51. 51. アートとしての成立可能性 …「インパクト、コンセプト、レイヤーが、現代アートの3大要素」という ことになる。2大要素ではなく、「視覚的にある強いもの」「思考的な要 素」「重層的」の3つと数えたい。重層的なのは必ずしも思考的な要素に限 らず、後述するようにレイヤーを作品理解の手がかりとしたいからだ。また、 杉本は写真を主なメディアとする作家なので「視覚的」と言っているが、現 代アートには音、食、匂いなど、視覚以外に訴えかけるジャンルもあるから 「感覚的なインパクト」と言い換えたい。つまり、強烈な感覚的インパクト と高度に知的なコンセプトを単数あるいは複数含み持ち、観客をコンセプト へ導くための仕掛けを重層的に備えた作品が優れた現代アートである。 (小崎哲哉著『現代アートとは何か』より)
  52. 52. ジェネラティブアートはアートか? ⇒インパクトの強いかたちにコンセプトと多層 的なレイヤーを組み込めることができるか?
  53. 53. ジェネラティブアートの課題 • そのパラメータ値を選ぶ根拠は? • 結局,ランダム関数・ノイズ関数頼みなんじゃないの? • 結局,解像度頼みなんじゃないの? • 結局,お金と人足がものを言うんじゃないの?
  54. 54. 数学はかたちのコンセプトをつくる

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