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ビジュアル・ファシリテーションの
カウンセリングへの導入と効果
~コンフリクト解決のシングル・セッション事例をもとに~
井上孝代 いとうたけひこ
(明治学院大学) (和光大学)
日本カウンセリング学会第51回大会
ポスター発表 PA-15
20...
【問題】(1)ビジュアル・ファシリテーション
• ビジュアル・ファシリテーション(以
下:VF)やグラフィック・ファシリテー
ション、ビジュアル・ミーティングが
会議や教育などでの議論の進行を
促進するために活用されている。
• カウンセリング...
【問題】(2)カウンセリングにおける
PAC分析の効果
井上(1998)はカウンセリングにおけるPAC分析
の効果として、3つの機能分野にまとめ、
(1)精神間機能分野:“いま、ここで”の信頼関係
形成と対話の機能、
(2)精神内機能分野:問題...
表1-1 PAC
分析のカウ
ンセリングへ
の効果
機能分野と機能 .
(1)直接的精神間機能分野
[1a.導入促進機能]
[1b. 自己開示促進機能]
[1c. 信頼形成機能]
[1d. 対話発展機能]
(2)精神内機能分野
[2a.共有知識...
【目的】 ビジュアル・ファシリテーション
の機能とプロセスの検討
• ビジュアル・ファシリテーションをカウンセリング
場面に導入したコンフリクト解決の事例につい
て本人の了解のもとに、
• その効果について、PAC分析の効果(井上,
1998)...
【方法】シングルセッション事例研究
・クライエント(以下、CL):A(女性、35歳、医師)
・主訴:アンガー(怒り)コントロールを学びたい。
・セッションの内容:
今まで攻撃的とは言われてこなかったのに最近若いス
タッフに「患者をもっとしっかり...
図1 コンフリクトの図
(X軸は研究、Y軸は臨床)
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【結果】(1)布置図での対話
• CLは「コンフリクト解決」の撤退地点に配偶者と両親を貼
り「臨床」軸にそって恩師や職場スタッフのシールを布置
した。一方、「研究」軸にはシールが貼られなかった。
• 一方、真ん中の「臨床」も「研究」も大事にする...
【結果】(2)PAC分析と同様の多面的効果
• プロセスをふりかえり、VFの可能性について検
討した。その概要を表1-2に示す。
• 表1によりVFのカウンセリングへの導入は、PAC
分析と同様多面的な効果があることが明らか
になった。
9
表1-2
ビジュアルファシ
リテーションの
カウンセリングへ
の効果
機能分野と機能 VFの可能性
(1)直接的精神間機能分野
[1a.導入促進機能] ◎
[1b. 自己開示促進機能] ◎
[1c. 信頼形成機能] ◎
[1d. 対話発展機能]...
【考察】(1)藤原(2011)との比較
• 藤原(2011)は教室や研究会場面における
ファシリテーション・グラフィックの10の機能
を以下のように述べている。
• (1)議論を活性化する(触発機能)として、
①思考促進機能、②分類整理機能③構...
【考察】(2)コンフリクト解決3つの
プロセスレベル(ミンデル:プロセスワーク)
①Consensus Reality(コンセンサス・リアリティー)
合意上の現実:現実の世界・社会性が発揮され、防衛など
も働いているところ。数学の仕組み、慎重・...
【考察】(3)3つのレベルの共有が必要
●CR(Consensus Reality):① 気づき
●DR(Dream-Land):② それを十分に経験し
●E(Essence):③ 自分自身の身体の声や場か
らなどのインスピレーションを得る
今...
【文献】
• 藤原友和 2011 教師が変わる!授
業が変わる!「ファシリテーション・グ
ラフィック」入門 明治図書
• 井上孝代(1998) カウンセリングにお
けるPAC(個人別態度構造)分析の効
果 心理学研究, 69, 295-303....
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G295井上孝代・いとうたけひこ (2018, 9月)ビジュアル・ファシリテーションのカウンセリングへの導入と効果: コンフリクト解決のシングル・セッション事例をもとに 日本カウンセリング学会第51回大会(2018) 9/16-17 松本大学 →『マクロ・カウンセリング研究』

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抄録

問題と目的
ビジュアル・ファシリテーション(以下:VF)やググラフィック・ファシリテーション、ビジュアル・ミーティングが会議や教育などでの議論の進行を促進するために活用されている。カウンセリング場面では、描画活動などを媒介としたビジュアル・ナラティブが提唱され、開発されてきている(やまだ、2018)。VFのカウンセリング場面への導入が有効と考えられる。
井上(1998)はカウンセリングにおけるPAC分析の効果として、3つの機能分野、(1)精神間機能分野:“いま、ここで”の信頼関係形成と対話の機能、(2)精神内機能分野:問題への認識と自己理解を深める機能、(3)間接的精神間機能分野:第3者との共有の機能、の3分野に基づき11の機能において検討した(表1の項目参照)。
 本研究の目的はVFをカウンセリング場面に導入したコンフリクト解決の事例について本人の了解のもとに、その効果について、PAC分析の効果(井上,1998)である11の機能に準じて検討することである。
事例の概要
・クライエント(以下、CL):A(女性、35歳)
・主訴:アンガー(怒り)コントロールを学びたい。
・シングル・セッションの内容:今まで攻撃的とは言われてこなかったのに最近若いスタッフに「患者をもっとしっかり見なさい」と強い調子で叱責したりし、上司からパワハラの懸念を注意されたり自分でも困っている。アセスメントからは、「怒り」の内容がCLの臨床活動を重視していくか、研究活動を重視していくかのコンフリクトと関連することが示された。そこで、「臨床」を縦軸、「研究」を横軸として、関係があると思われる「人名」を記したシールを貼ってもらい(図1)、各々の関係性の語りを聴いていった。
結果
CLは「コンフリクト解決」の撤退地点に配偶者と両親を貼り「臨床」軸にそって恩師や職場スタッフのシールを布置した。一方、「研究」軸にはシールが貼られなかった。一方、真ん中の「臨床」も「研究」も大事にする斜め軸に尊敬する同僚名のシールが貼られていることは、CL自身およびカウンセラーにとっても大きな気づきを与えた。CLは自己の「怒り」が、自分自身の今後の「臨床」か「研究」かの方向性へのコンフリクトが臨床を大事にしてないと感じる若いスタッフに投射されたものだと納得した。また家族が撤退地点に位置するのは、年齢的に出産への配慮があるのではないかと今後のその点も含めたキャリアのあり方を家族と相談したいと述べ、面談を一応の終了とした。プロセスをふりかえりVFの可能性について検討した。その概要を表1に示す。

図1 コンフリクトの図(X軸は研究、Y軸は臨床)

 表1 カウンセリングへの効果       
機能分野と機能         VFの可能性 
(1)直接的精神間機能分野
[1a.導入促進機能] ◎
[1b. 自己開示促進機能] ◎
[1c. 信頼形成機能] ◎
[1d. 対話発展機能] ◎
(2)精神内機能分野
[2a.共有知識的理解機能] ◎
[2b. 明確化機能] ◎
[2c. 自己理解促進機能] ◎
[2d. カウンセラー気づき機能] ◎
(3)間接的精神館機能分野
[3a.記述記録機能] ○
[3b. 実務説明機能] ○
[3c. 調査査定機能] ○
※ ◎は確実に作用する、○は可能性を表す
考察
表1によりVFのカウンセリングへの導入は、PAC分析と同様多面的な効果があることが明らかになった。
藤原(2011)は教室や研究会場面におけるファシリテーション・グラフィックの10の機能を以下のように述べている。まず、(1)議論を活性化する(触発機能)として、①思考促進機能、②分類整理機能③構造把握機能、(2)議論への参画を促す(対話機能)として④対立緩衝機能、⑥論点明示機能、⑥視点転換機能、⑦比較検討機能、(3)議論を残しておいて活用する(記録機能)、⑧保持記録機能、⑨再現分析機能、⑩系時俯瞰機能を挙げている。比較すると本報告ではカウンセリング場面での気付き機能の独自な有用性を示した。
文献
藤原友和 2011 教師が変わる!授業が変わる!「ファシリテーション・グラフィック」入門 明治図書
井上孝代(1998) カウンセリングにおけるPAC(個人別態度構造)分析の効果 心理学研究, 69, 295-303.
キーワード:ビジュアル、ファシリテーション, グラフィック       (いのうえたかよ、伊藤武彦)

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G295井上孝代・いとうたけひこ (2018, 9月)ビジュアル・ファシリテーションのカウンセリングへの導入と効果: コンフリクト解決のシングル・セッション事例をもとに 日本カウンセリング学会第51回大会(2018) 9/16-17 松本大学 →『マクロ・カウンセリング研究』

  1. 1. ビジュアル・ファシリテーションの カウンセリングへの導入と効果 ~コンフリクト解決のシングル・セッション事例をもとに~ 井上孝代 いとうたけひこ (明治学院大学) (和光大学) 日本カウンセリング学会第51回大会 ポスター発表 PA-15 2018年9月16日10時-12時 松本大学511教室 1
  2. 2. 【問題】(1)ビジュアル・ファシリテーション • ビジュアル・ファシリテーション(以 下:VF)やグラフィック・ファシリテー ション、ビジュアル・ミーティングが 会議や教育などでの議論の進行を 促進するために活用されている。 • カウンセリング場面では、描画活動 などを媒介としたビジュアル・ナラ ティブが提唱され、開発されてきて いる(やまだ、2018)。VFのカウンセリ ング場面への導入が有効と考えら れる。 2
  3. 3. 【問題】(2)カウンセリングにおける PAC分析の効果 井上(1998)はカウンセリングにおけるPAC分析 の効果として、3つの機能分野にまとめ、 (1)精神間機能分野:“いま、ここで”の信頼関係 形成と対話の機能、 (2)精神内機能分野:問題への認識と自己理解を 深める機能、 (3)間接的精神間機能分野:第3者との共有の機能、 の3分野に基づき11の機能において検討した (表1-1)。 井上孝代 1998 カウンセリングにおけるPAC分析の効果 心研, 69,pp.295-303 3
  4. 4. 表1-1 PAC 分析のカウ ンセリングへ の効果 機能分野と機能 . (1)直接的精神間機能分野 [1a.導入促進機能] [1b. 自己開示促進機能] [1c. 信頼形成機能] [1d. 対話発展機能] (2)精神内機能分野 [2a.共有知識的理解機能] [2b. 明確化機能] [2c. 自己理解促進機能] [2d. カウンセラー気づき機能] . (3)間接的精神館機能分野 [3a.記述記録機能] [3b. 実務説明機能] [3c. 調査査定機能] . 4
  5. 5. 【目的】 ビジュアル・ファシリテーション の機能とプロセスの検討 • ビジュアル・ファシリテーションをカウンセリング 場面に導入したコンフリクト解決の事例につい て本人の了解のもとに、 • その効果について、PAC分析の効果(井上, 1998)である11の機能に準じて検討すること、 あわせて、そのプロセスを検討することである。 5
  6. 6. 【方法】シングルセッション事例研究 ・クライエント(以下、CL):A(女性、35歳、医師) ・主訴:アンガー(怒り)コントロールを学びたい。 ・セッションの内容: 今まで攻撃的とは言われてこなかったのに最近若いス タッフに「患者をもっとしっかり見なさい」と強い調子で叱 責したりし、上司からパワハラの懸念を注意されたり自 分でも困っている。アセスメントからは、「怒り」の内容が CLの臨床活動を重視していくか、研究活動を重視してい くかのコンフリクトと関連することが示された。そこで、「臨 床」を縦軸、「研究」を横軸として、関係があると思われる 「人名」を記したシールを貼ってもらい(図1)、各々の関 係性の語りを聴いていった。 6
  7. 7. 図1 コンフリクトの図 (X軸は研究、Y軸は臨床) 7
  8. 8. 【結果】(1)布置図での対話 • CLは「コンフリクト解決」の撤退地点に配偶者と両親を貼 り「臨床」軸にそって恩師や職場スタッフのシールを布置 した。一方、「研究」軸にはシールが貼られなかった。 • 一方、真ん中の「臨床」も「研究」も大事にする斜め軸に 尊敬する同僚名のシールが貼られていることは、CL自身 およびカウンセラーにとっても大きな気づきを与えた。 • CLは自己の「怒り」が、自分自身の今後の「臨床」か「研 究」かの方向性へのコンフリクトが臨床を大事にしてない と感じる若いスタッフに投射されたものだと納得した。 • 家族が撤退地点に位置するのは、年齢的に出産への配 慮があるのではないかと今後のその点も含めたキャリア のあり方を家族と相談したいと述べ、面談を一応の終了 とした。 8
  9. 9. 【結果】(2)PAC分析と同様の多面的効果 • プロセスをふりかえり、VFの可能性について検 討した。その概要を表1-2に示す。 • 表1によりVFのカウンセリングへの導入は、PAC 分析と同様多面的な効果があることが明らか になった。 9
  10. 10. 表1-2 ビジュアルファシ リテーションの カウンセリングへ の効果 機能分野と機能 VFの可能性 (1)直接的精神間機能分野 [1a.導入促進機能] ◎ [1b. 自己開示促進機能] ◎ [1c. 信頼形成機能] ◎ [1d. 対話発展機能] ◎ . (2)精神内機能分野 [2a.共有知識的理解機能] ◎ [2b. 明確化機能] ◎ [2c. 自己理解促進機能] ◎ [2d. カウンセラー気づき機能] ◎ . (3)間接的精神館機能分野 [3a.記述記録機能] ○ [3b. 実務説明機能] ○ [3c. 調査査定機能] ○ . • ※ ◎は確実に作用する、○は可能性を表す 10
  11. 11. 【考察】(1)藤原(2011)との比較 • 藤原(2011)は教室や研究会場面における ファシリテーション・グラフィックの10の機能 を以下のように述べている。 • (1)議論を活性化する(触発機能)として、 ①思考促進機能、②分類整理機能③構造 把握機能、 • (2)議論への参画を促す(対話機能)とし て④対立緩衝機能、⑥論点明示機能、⑥ 視点転換機能、⑦比較検討機能、 • (3)議論を残しておいて活用する(記録機 能)、⑧保持記録機能、⑨再現分析機能、 ⑩系時俯瞰機能を挙げている。 • 比較すると本報告ではカウンセリング場面 での気付き機能の独自な有用性を示した。 11
  12. 12. 【考察】(2)コンフリクト解決3つの プロセスレベル(ミンデル:プロセスワーク) ①Consensus Reality(コンセンサス・リアリティー) 合意上の現実:現実の世界・社会性が発揮され、防衛など も働いているところ。数学の仕組み、慎重・体重など可視的 ②Dream-Land(ドリームランド) 夢の世界:夢・空想、白昼夢をみる状態。自分の中にある両 極(葛藤)の対話が可能となるレベル。理想、価値、ミッショ ン、気持ち ③Essence(エッセンス) 容易に言葉にしにくい状態。文化、スピリット、雰囲気 時空なども越える、感謝や愛、絆、普遍性、叡智、無、自然、 宇宙などを感じ、繋がるレベル 12
  13. 13. 【考察】(3)3つのレベルの共有が必要 ●CR(Consensus Reality):① 気づき ●DR(Dream-Land):② それを十分に経験し ●E(Essence):③ 自分自身の身体の声や場か らなどのインスピレーションを得る 今回の試みでは、3つのレベルへの深い共有が可 能となった。 ビジュアル・ファシリテーションの効果と言える。 13
  14. 14. 【文献】 • 藤原友和 2011 教師が変わる!授 業が変わる!「ファシリテーション・グ ラフィック」入門 明治図書 • 井上孝代(1998) カウンセリングにお けるPAC(個人別態度構造)分析の効 果 心理学研究, 69, 295-303. • ※井上孝代 takayoinoue@gmail.com 14

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