【目的】新人教員が、実習指導の場面において抱えている困難感を把握する。【方法】全国の看護系大学の助教を対象に、自作質問紙による調査を実施した。質問紙の選択項目は、統計解析ソフトIBM SPSS Statistics 24を用い、自由記述内容はText Mining Studio 4.2にて分析した。<倫理的配慮>本研究は、所属大学倫理審査委員会の承認を得た。【結果】全国の看護系大学250校のうち、研究承諾の得られた64校の対象者136名に質問紙を配布し 、74名(54%)より回答が得られた。対象者が抱えている困難は、「A自分の能力に関すること」62名(83.8%)、「E上司・業務に関すること」52名(70.3%)、「B看護学生に関すること」51名(68.9%)、「C実習環境に関すること」35名(47.3%)、「D臨床指導者に関すること」23名(31.1%)の順に多く、<臨地実習特有の内容(C、D)>よりも<学内業務においても抱く内容(A、B、E)>に関連する困難が多かった。各困難に対し属性とのχ2検定の結果、「性別」や「臨床経験年数」、「教員となるきっかけ」との間に有意差が認められた。困難の程度に基づき、クラスタ分析と分散分析によって対象者を分類したところ、(1)困難低群(18名)、(2)困難中群(22名)、(3) 困難高群(44名)の3群が抽出された。困難高群は学生に対する困難を全く抱かない反面、環境調整の困難を抱きやすいサブグループと、学生や臨地実習の対応に関する困難を抱きやすいサブグループが包括された。臨床経験年数が16年以上20年以下の対象者は困難低群に多く、困難高群に少なく、困難C、Dも抱いていなかった。【考察】新人教員は困難の程度で3つのタイプに分けることができた。困難低群・中群では抱えている困難が教員自身の能力や学生についてであり、困難感の解消には自助努力の必要性が考えられた。そのためには、実習指導及び、研究・研修するための時間的保障が重要である。また、困難高群では、臨地実習現場に対する困難が多く、個人では対応できない困難でもあるため、上司からのサポートに加え、教員同士のチームワークの形成など組織的な介入の必要性が示唆された。