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G084 八城真里・伊藤武彦・井上孝代 (2008). 児童養護施設職員のニーズと職務継続意思に関する研究:Text Mining Studio2.2.1によるテキストマイニング 日本応用心理学会第95回大会発表論文集, 95.

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G084 八城真里・伊藤武彦・井上孝代 (2008). 児童養護施設職員のニーズと職務継続意思に関する研究:Text Mining Studio2.2.1によるテキストマイニング 日本応用心理学会第95回大会発表論文集, 95.

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G084 八城真里・伊藤武彦・井上孝代 (2008). 児童養護施設職員のニーズと職務継続意思に関する研究:Text Mining Studio2.2.1によるテキストマイニング 日本応用心理学会第95回大会発表論文集, 95.

  1. 1. 児童養護施設職員のニーズと職務 継続意思に関する研究 Text Mining Studio2.2.1によるテキストマイニング 八城真里(明治学院大学大学院) 伊藤武彦(和光大学) 井上孝代(明治学院大学) 日本応用心理学会第95回大会 1
  2. 2. 問題意識 家庭や社会の多様化 家庭での養育が困難なため保護 親の社会的不安や情緒的未成熟による を必要とする子どもの増加(保坂, 虐待の増加 2004) 認知の広まりによる通報件数の増加 施設の不足,収容定員を超える収 容,処遇の困難なケースの増加 (厚生労働省,2005 など) 児童福祉施設の職員 ・子どもとの“関わりの難しさ”(滝川ら,2001;大場,2001) より高い専門性 ・生活環境の治療的空間としての重要性(森田,2001) が求められている 職員の身体的・精神的負担の加速化 職員の職場定着率の低さ,それに伴う人員の入れ替わりの激しさを危惧 ・養護施設職員の勤務年数 ⇒ 5年未満50%超,10年以上26%ほど (全社協養護施設協議会,1993) ・民間の場合,3,4年で養育者が変わっていく (浅倉ら,1996) ⇒職員の離職は,離職する当事者だけでなく,一緒に働いてきた同 僚にも,入所している子どもたちにも影響(岡本,2000)を与える 問題である。 2
  3. 3. 本研究の目的 本研究では,児童養護施設職員を対象に職務継続意 思に影響を与える諸要因を明らかにすることを目的とし た。 【分析1】:郵送質問紙調査の統計的分析 職員の職務継続意思に関して,物理的・環境的要因に 加え,ネガティブ/ポジティブな心理的要因の両側面か らの影響要因について探索的に検討した。 【分析2】:テキストマイニングによる自由記述の分析 質問紙の自由記述を量的・質的に分析することにより, 職員を長く続けたいと思っている職員とそうでない職員 との特徴を明らかにした。 3
  4. 4. 本研究の方法 1)対象:児童養護施設で直接処遇に従事する職員 2)期間:2007年8月下旬~9月中旬 3)形式:質問紙調査 4)内容:①対象者の労働条件(性別,年代,経験年数,労働時 間,7日以上の連続勤務の有無,有給休暇消化率,職場の人間 関係,労働条件満足度 etc.)②専門家の生活の質(バーン アウト;10項目,二次的外傷性ストレス;10項目,共感満足10 項目)③ソーシャル・サポート(定期的スーパービジョンの 有無,頻度,満足度,上司のサポート,同僚のサポート14項 目)④職務継続意思(3項目) 5)具体的な調査方法:【倫理的配慮を十分に考慮した】 全国の児童養護施設557箇所に往復はがきにて調査協力依 頼し,協力許可を得た施設の担当者宛に人数分送付し,配 布を依頼した。回収は,無記名による回答後,各々密封の 上,施設ごとに収集,投函を依頼した。 4
  5. 5. 【分析1】:分析方法 ▼回答の得られた1024名のうち,有効回答 874名(85%),うち,男性269名(30.8%),女性 605名(69.2%)に対してSPSS12.0j for Windows を用いて分析を行なった。 ▼基本集計を行なった後に,職務継続意思との 関係についてt検定および分散分析を行ない, 最終的に有意差(p<.05)の見られた変数につ いて重回帰分析を行なった。 5
  6. 6. 【分析1】結果:t検定,分散分析の結果 有意差の見られた項目 ・年代 ・施設形態 ・現施設勤務年数 ・児童養護施設職員経験年数 ・通勤形態 ・一日の平均実労働時間 ・7日以上の連続勤務 ・長期休暇取得 ・給与満足度 ・労働条件満足度 ・働く中での喜び・充実感 ・職場の人間関係 ・施設内他専門職との関係 ・施設外他専門職との関係 ・共感満足 ・バーンアウト ・二次的外傷性ストレス ・定期的な指導を受ける機会 ・主な指導者 ・指導の満足感 ・ソーシャル・サポート 計21項目 6
  7. 7. 【分析1】結果:重回帰分析(13要因) Table.1 職務継続意思得点に影響を及ぼす要因 非標準化係数 標準化係数 t値 有意確率 B ベータ 共感満足 .176 .484 15.550*** .000 バーンアウト -.119 -.205 -4.410*** .000 給与満足度 .367 .104 3.354*** .001 ソーシャル・サポート .038 .096 2.851** .004 二次的外傷性ストレス .030 .074 1.758 .079 年代 .018 .065 2.212* .027 通勤形態 .155 .051 1.720 .086 施設形態 -.060 -.042 -1.434 .152 長期休暇取得の有無 .162 .024 .786 .432 休暇なしでの7日以上の連続勤務 .080 .017 .561 .575 宿直・夜勤月回数 .011 .011 .349 .727 職場の人間関係 .043 .010 .320 .749 一日の平均実労働時間 -.007 -.006 -.188 .851 決定係数(R2 ) .407 従属変数: 職務継続意思得点7
  8. 8. 【分析2】分析データ基本情報 【分析2-1】:「どのような時に喜びや充実感を感じますか?」 *回答のあった814名のうち,有効回答806名(99%)を使用 男性・・・245名(30%), 女性・・・561名(70%) 高群(職務継続意思の強い群;10点以上)・・・447名(55%) 低群(職務継続意志の弱い群; 9点以下)・・・359名(45%) 【分析2-2】: 「あなたは児童養護施設の現状をさらに良くしていく ためには何が必要だと思われますか?」 *回答のあった826名のうち,有効回答818名(99%)を使用 男性・・・270名(33%), 女性548名・・・(67%) 高群(職務継続意思の強い群;10点以上) ・・・413名(50%) 低群(職務継続意志の弱い群; 9点以下) ・・・405名(50%) 8
  9. 9. 【分析2-1】結果:職員の喜び・充実感 9 係り受け 係り受け 子ども-遊ぶ 6.09 * 子ども-見る 5.20 * 充実感-感じる 5.32 * 子ども-関係 4.11 * 感謝-気持ち 3.04 子ども-嬉しい 3.97 * 笑顔-見せる 3.04 学校-頑張る 3.97 * 子ども-一緒 2.28 子ども-取れる 3.97 * 子ども-可愛い 2.28 試合-勝つ 3.97 * 子ども-見せる 2.28 担当児童-関係 3.97 * 子ども-信頼関係 2.28 目標-達成 3.97 * 自分-慕う 2.28 成長-見える 3.33 手紙-もらう 2.28 担当-子ども 3.33 笑顔-楽しい 2.28 Table.3 【分析2-1】特徴表現抽出 職務継続意思得点別[話題一般/χ二乗値] χ二乗値 低群 χ二乗値 (df=1,χ2>3.84p<.05*,χ2>6.63p<.01 **) 高群 単語 単語 充実感 5.16 * 関係 7.40 ** 感謝 4.71 * 見る+できる 6.25 * 場面 4.53 * 気づく 5.33 * 手紙 3.77 勝つ 5.33 * 毎日 3.77 コミュニケーション 4.01 * 見せる 3.40 つながる 3.99 * 寝る 3.02 一面 3.99 * 伝える 3.02 他職員 3.99 * 味わう+できる 3.02 納得 3.99 * 力 3.02 反抗的 3.99 * 職員 2.63 取れる 3.37 来る 2.63 退る 3.37 (df=1,χ2>3.84p<.05*,χ2>6.63p<.01 **) 高群 χ二乗値 低群 χ二乗値 Table.2 【分析2-1】特徴語抽出 職務継続意思得点別[χ二乗値]
  10. 10. 【分析2-2】結果:職員のニーズ 10 係り受け 係り受け 関わる-できる 4.93 * 支援-必要 5.47 * 子ども-接する 3.95 * 子ども-見る 4.06 * 入所-子ども 3.95 * 給料-改善 3.05 交流-深める 2.96 給料-増やす 3.05 考える-必要 2.96 子ども-入所 3.05 子ども-信頼関係 2.96 施設-形態 3.05 子ども-増える 2.96 予算-必要 3.05 子ども-話 2.96 労働条件-見直し 3.05 職員-意識 2.96 スーパーバイザー-存在 2.03 職員同士-協力 2.96 チーム-見る 2.03 深める-必要 2.96 意見-聞く 2.03 知識-向上 2.96 環境-作る+したい 2.03 (df=1,χ2>3.84p<.05*,χ2>6.63p<.01 **) 高群 χ二乗値 低群 χ二乗値 Table.5 【分析2-2】特徴表現抽出 職務継続意思得点別[話題一般/χ二乗値] 単語 単語 接する 6.87 ** 場 6.42 * 個人 5.89 * 勤務 6.12 * 統一 5.89 * 人間関係 6.00 * 関われる 4.91 * チームワーク 5.21 * 考える 4.83 * 強化 5.10 * 大事 4.39 * 整備 5.10 * 外 3.93 * 給料 5.08 * 個別 3.93 * 心 5.08 * 信頼関係 3.93 * 指導員 4.08 * 図る 3.93 * 知る+ない 4.08 * 必要 3.53 法改正 4.08 * 手あつい 3.49 上司 3.72 育成 3.48 見直し 3.69 向上 3.11 環境 3.51 ストレス 3.41 職員一人 3.12 Table.4 【分析2-2】特徴語抽出 職務継続意思得点別[χ二乗値] 高群 低群 χ二乗値 χ二乗値 (df=1,χ2>3.84p<.05*,χ2>6.63p<.01 **)
  11. 11. 総合考察 職員の職務継続意思を高め,離職を防ぐために ①子どもとじっくりと関わる時間の確保 ②“関わり離脱”をきちんと取る必要性 ③職員同士の意識の統一と連携の強化 ④職員一人一人の子ども理解,対応スキルの向上 ⑤対人援助職に見られるストレスの理解と予防対策 ※個々の施設が取り組めることにも限界がある。 ▼職員配置基準の見直し 法制度やシステムの ▼出産休暇・育児休暇制度の整備 見直しによる労働環境 の改善が早急に必要 11
  12. 12. 今後の課題 1.研究について (1)専門職と非専門職との比較 (2)子どもを対象とした施設特有の問題の明確化 (3)離職者へのインタビュー調査による比較 2.研究法について 最近はデータに基づいた研究デザインとしてミックス 法が注目されている(Creswell, 2003)。本研究で行なっ たテキストマイニングは,自由記述回答という質的デー タを量的に裏付ける有効な方法である。このような方法 論的吟味も今後の課題である。 12
  13. 13. 主要参考引用文献 Collins, S. & Long, A. 2003 Working with the psychological effects of trauma: consequences for mental health-care workers – a literature review Journal of Psychiatric and Mental Health Nursing 10. pp.417-424. 藤岡孝志 2004 対人援助職のバーンアウトと二次的トラウマティックストレスに関する研究 日本社 会事業大学社会事業研究所年報 40 pp.13-30. 保坂亨(他) 2004 平成15年度研究報告書 虐待の援助法に関する文献研究(第1報:1970年代ま で)戦後日本社会の「子どもの危機的状況」という視点からの心理社会的分析 子どもの虹情報研 修センター 保坂亨(他) 2006 平成17年度研究報告書 児童虐待の援助法に関する文献研究(第3報:1990年 代まで)戦後日本社会の「子どもの危険的状況」という視点からの心理社会的分析 子どもの虹情 報研修センター 厚生労働省 2005 児童相談所実情調査結果概要 厚生労働省 厚生労働省 2007 児童福祉施設最低基準 最終改正 厚生労働省 厚生労働省 2007 「社会的養護体制の充実を図るための方策について」社会保障審議会児童部会 社会的養護専門委員会報告書 厚生労働省 岡本眞幸 2000 児童養護施設職員の職場定着に関わる施設の労働体制上の問題点-施設最低 基準等の政策レベルの問題と個々の施設レベルの問題に着目して- 横浜女子短期大学研 究紀要 15 pp.1-12. Stamm,B.H.(Ed.) 1999 Secondary Traumatic Stress: Self-Care Issues for Clinicians, Researchers, & Educators. Lutherville, MD : Sidran Press. 山口ら 2001 九州圏内の児童養護施設職員の実態に関する調査研究 純心現代福祉研究 6 pp.51-65. 他 13

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