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教育情報化「教具論」からの脱却 ~学習者中心の情報化とは何か~

OECDのPISA/TALIS調査で暴露されたように,日本の学校教育でのICT利活用度は加盟国の中でもきわめて低く,その著しい遅滞は「失われた20年」と言われている.2015年には高校生のスマートフォン所有率がほぼ100%に届く状況なのに,いまだ勉学には無用なものとされ,大半の児童生徒は学校で電子メールもSNSも満足に使えない.学校教育がデジタル・デバイドの対岸に取り残された背景には,授業研究と教具的活用への囚われがある.ICTは授業の一技法であるから指導スキル養成が喫緊の課題とされてきたが,機器トラブルリスクや教員側の負担増を嫌って,現場の授業活用は遅々として進まない.こうした状態のブレイクスルーとして期待されるのは,180度視点を転換した学習者中心の文具的活用である.諸外国では日常的やりとりや学習に関わる知的生産のために1人1台の情報端末が普及し,家庭から学校へ機材を持ち込むBYODの事例もある.本講演では,ICT利活用における教具論と文具論を比較しつつ,将来への展望を明らかにする.

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教育情報化「教具論」からの脱却 ~学習者中心の情報化とは何か~

  1. 1. GLOCOM 教育情報化「教具論」からの脱却 ~学習者中心の情報化とは何か~ 国際大学GLOCOM 豊福晋平
  2. 2. GLOCOM デジタルシフトと学習観 教育情報化 失われた20年 学習者中心の情報化とは
  3. 3. GLOCOM デジタルシフトと学習観
  4. 4. GLOCOM デジタルシフトとは?
  5. 5. GLOCOM 日常がデジタルシフトした 個人所有のデジタルデバイスに  メディアが統合され  日常で扱える情報量はかつての数十倍 生活とは切り離せないキーデバイスに
  6. 6. GLOCOM デジタルシフトと学習観の変化 主にインターネットによって  学習材の遍在化  どこでも・いつでも・だれでも  希少価値の変化  知識そのものから学習経験の品質へ  知識を独占提供してきた学校は、 より充実した学習経験を提案する役割へ
  7. 7. GLOCOM 新しい学習観の模索 P21による21世紀型スキル 2002  Information and communication skills  情報・メディアリテラシー、コミュニケーション力  Thinking and Problem-solving skills  分析力、問題発見・解決力、創造力  Interpersonal and self-directional skills  協働力、自己規律力、責任感・協調性、社会的責任 P21 Partnership for 21st Century Learning http://www.p21.org/ 7
  8. 8. GLOCOM 教育情報化失われた20年課題
  9. 9. GLOCOM 文科省統計では… 文部科学省(2015) 平成26年度 学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(概要)
  10. 10. GLOCOM 学校外で宿題のために インターネットを使う頻度(PISA2012) 0% 20% 40% 60% 80% 100% Australia Denmark Finland Korea Sweden Japan OECD Average Never or hardly ever Once or twice a month Once or twice a week Almost every day Every day n/a
  11. 11. GLOCOM プロジェクトや教室作業で 生徒がICTを利用する年間頻度(TALIS2013) 0% 20% 40% 60% 80% 100% Australia Denmark Finland Japan Korea Sweden total Never or almost never Occasionally Frequently In all or nearly all lessons
  12. 12. GLOCOM なぜ日本の教育情報化が遅れるのか
  13. 13. GLOCOM 初等中等の現象として “教員指示に逐一したがって 全員が同時に同じことを同じように操作する”  一斉授業・知識獲得中心  視聴覚機材的扱い  特定単元・授業での限定的利用  手遊びの抑制・もっぱら短時間の単純作業のみ  教員の高負担感・忌避傾向・効果への疑問  学校生活からの徹底したICT排除
  14. 14. GLOCOM 学習者中心の情報化とは
  15. 15. GLOCOM あえて言い切ると ICT教具論(教員主導型)の 構造的課題に囚われている
  16. 16. GLOCOM ICT教具論(教員主導型)とは  知識理解中心  注入主義:授業統制への執着と 授業外要素の捨象  知識の独占的提供  学習者側の主体性・構成能力の剥奪  ICTに対する短時間魔法的効果の期待
  17. 17. GLOCOM ICT文具論(学習者中心型)とは  知的生産中心  構成主義:生活と学習文脈との結合  知識・学習材の遍在が前提  学習者の主体性・自己調整能力の重視  持続的ICTスキル養成と学習活動の高度化
  18. 18. GLOCOM 学習観と学習方法のマッチング 認 知 プ ロ セ ス 創造 個性化 協働化 社会化 評価 分析 応用 理解 個別化 記憶 事実 概念 処理 メタ 認知 学習方略の 最適化 知識内容 従前の 学習観 Bloom 1956, Anderson1999のタキソノミーを展開 21世紀型 学習観
  19. 19. GLOCOM ICTは教具から文具へ 教具論(教員主導) 文具論(学習者中心)  学校仕様 シングルデバイスの 厳重管理  授業とカリキュラムの ためのコンテンツ提供 と学習者制御  LMS・授業支援システム  学習者側 マルチデバイスとBYOD への柔軟対応  情報を持ち運び共有す るためコミュニケーシ ョン手段と汎用クラウ ド環境  基礎的なメール/SNS/ クラウドサービス
  20. 20. GLOCOM まとめ 日常にデジタルシフトが起こっている 学習材の遍在化と知識→学習経験の重視 教育情報化の遅れはICT教具論への囚われ 教員主導(知識の独占提供と授業制御) ICTは教具から文具へ 学習者中心(主体性・自己調整能力の重視) マルチデバイス・コミュニケーション・クラウド

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