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「憲法について考える前提」を
考えてみる。
そして、ひとつの提案
大塚英志
予告したようにこの番組ではコメン
トを「敢えて」表示できなくします。
憲法について今日は、
1 ひとりになる
2 考えてからことばにするまでに時間をおいて
みる
という、シンプルな提案です。
今日のテーマです。
「一等むつかしい宿題」(「明治大正史世相篇」)
我々は公民として病み
且つ貧しいのであった。
(柳田國男「明治大正史世相篇」)
いろいろと質問します。
心の中で答えて下さい。
アンケートでも多数派を決める投票
でもないです。
Q1 国政、地方自治体問わず、一番最近の選
挙にあなたは行きましたか。
1 行った
2 行かない
「行った」ひとはどういう根拠で投票しましたか。
「行かない」ひとは何故ですか。
柳田國男の普通選挙批判
→「群れ」として行動した選挙民への怒り。
あの選挙区なら何の某を抱き込むと大よそ何百票だけは得ら
れるといふことは、顔で投票を集められるやうな親分が、そこ
に居ることを意味して居た。(中略)個々の投票の売買ばかり
を戒め...
Q2 「公」とはどう定義されるべきか。
1 個人間の意見の交渉によって形成される合
意
2 公権力及び公権力の定める規範
あなたはどちらの「公」を憲法にもとめますか?
Q3 あなたは憲法前文をじっくりと(「じっくり」
の定義は各自に委ねるとして)読んだことがあ
りますか。
1 ある
2 ない
Q4 あなたが改憲に同意するか否かは別とし
て、憲法を仮に変えるとすれば、その理由は何
か考えられますか。一般に「改憲」の中に出てく
る理由をいったん挙げるので、YESかNOで答
えて下さい。
Q4-1 日本語として美しくないから。
1 YES
2 NO
→芥川賞作家に無差別に依頼してみました。
2001年のことです。
「悪文説」の主張者、石原慎太郎さんにも。
池澤夏樹さんだけが応えてくれました。
今でも文庫で買えます。
ちなみに憲法草稿が英文で書かれたことは
知っていましたか?(正直に)
1 YES
2 NO
Q4-2 日本人が書いてないから。
1 YES
2 NO
では、「前文」くらい、書いてみよう。
大塚英志編・監修
『私たちが書く憲法前文』(2002年、角川書店)
大塚英志編・著『読む。書く。護る。「憲法前文」のつくり方』
(2004年、角川書店)
Q4-3 出来て半世紀以上、耐用年数が尽きた
から。
1 YES
2 NO
Q4-4 現状に合わせて変えていくべきだから。
1 YES
2 NO
Q4-5 新しい国民の権利を追加すべきだから。
1 YES
2 NO
Q4-6 新しい国民の義務を追加すべきだから。
1 YES
2 NO
Q5 憲法と国民・国の関係をどう定義しますか。
1 憲法は国の行動を国民が規定するものであ
る(国を縛る)。
2 憲法は国が国民の行動を規定するものであ
る(国民を縛る)。
Q6 次の憲法は誰が「つくる」べきだとかんが
えますか。
1 できることなら、あなたも参画したい。
2 あなた以外の専門家に委ねたい。
Q7 憲法解釈を内閣総理大臣が行うことに納
得がいきますか。
1 いく
2 いかない
Q8 立法府・行政府の憲法違反を誰が判断す
べきだと思いますか。
1 司法
2 時の政権
実は、一度、憲法判断を司法に
求めてみたことがあります。
川口創・大塚英志『「自衛隊のイラク派兵差止訴訟」判決文を読む』
(2009年、角川書店)
自衛隊のイラク派兵差止等
請求控訴事件
名古屋高裁判決
平成20年4月17日判決
同5月2日確定
事案の概要
1本件は、非控訴人がイラク特措法に基づきイラク
及びその周辺地域に自衛隊を派遣したこと(以下
「本件派遣」という。また、以下、イラク共和国及び
その周辺地域のことを単に「イラク」ということがあ
る。)は違憲であるとする控訴人らが、本...
前提事実
(4)陸上自衛隊は、平成18年7月17日、サマワ
から完全撤退した。しかし、航空自衛隊は、そ
の後、クウェートからイラクの首都バグダッド等
へ物資・人員の空輸活動を継続している(平成
18年8月に基本計画の一部変更を閣議決定)。
(5...
本件派兵の違憲性について
認定事実
(ウ)空輸活動についての多国籍軍との連携
航空自衛隊は、C─130H輸送機3機の空輸活
動にあたり、中東一帯の空輸調整を行うカター
ル国(以下「カタール」という。)のアメリカ中央
軍司令部に空輸計画部を設置し...
(エ)平成18年7月頃(陸上自衛隊のサマワ撤退時)まで
の空輸状況
航空自衛隊のC─130H輸送機は、平成16年3月2日か
ら物資人員の輸送を行っているところ、クウェートのア
リ・アルサレム空港からイラク南部のタリルまで、週に4
回前後、物資の...
(オ)平成18年7月から現在までの空輸状況
航空自衛隊のイラク派遣当初は、首都バグダッドは安全が確保され
ないとの理由で、バグダッドへは物資人員の輸送は行われなかった
が、陸上自衛隊のサマワ徹底を機に、アメリカからの強い要請により、
航空自衛隊...
(カ)政府の情報不開示と政府答弁
a政府は、国会において、航空自衛隊の輸送内
容について、多国籍軍や国連からの要請により、
これを明らかにすることができないとしており
(平成19年5月11日、同日14日の衆議院イラク
特別委員会における久間防衛...
b他方で、久間防衛大臣は、国会において、「実は
結構危険で工夫して飛んでいる」(平成19年5月14
日衆議院イラク特別委員会)、「刃の上で仕事をし
ているようなもの」(同年6月5日衆議院外交防衛
委員会)、「バグダッド空港の中であっても、外から...
違憲性・違法性
(4)よって、現在イラクにおいて行われている
航空自衛隊の空輸活動は、政府と同じ憲法解
釈に立ち、イラク特措法を合憲とした場合で
あっても、武力行使を禁止したイラク特措法2条
2項、活動地域を非戦闘地域に限定した同条3
項に違反...
平和的生存権
このような平和的生存権は、現代において憲法の
保障する基本的人権が平和の基盤なしには存立
し得ないことからして、全ての基本的人権の基礎
にあってその享有を可能ならしめる基底的権利で
あるということができ、単に憲法の基本的誠心や
理...
そして、この平和的生存権は、局面に応じて自由権的、
社会権的又は参政権的な態様をもって表れる複合的な
権利ということができ、裁判所に対してその保護・救済を
求め法的強制措置の発動を請求し得るという意味にお
ける具体的権利性が肯定される場合がある...
判決のポイント
1 航空自衛隊は紛争地域で武装した多国籍
軍兵士の輸送をする後方支援を行なった。
2 これは違憲であるばかりでなく武力行使と一
体化した後方支援、非戦闘地域外での活動を
行なった点で「イラク特措法」違反
3 憲法全文、9条は「平...
一番のポイントは「司法」に有権者が「裁判」と
いう形で憲法解釈・判断を求め司法がこれに応
えた、ということです。
Q9 憲法は変えやすい憲法か、変えにくい憲
法か、どちらが理想か。
1 変えやすい憲法
2 変えにくい憲法
Q10 憲法は目の前の問題を解決する手段な
のか、長いスパンの将来を設計するものなのか。
1 今の問題
2 将来の設計
Q11 あなたは「責任」ということばを日頃、ど
ちらの形でより多く使うか。
1 他人の責任を追及する。
2 自分の責任を果たす。
Q12 今の日本は憲法が定める義務(納税、
労働、教育を受けさせる)の3つを国民が果たし
うる社会として、あると思いますか。
1 YES
2 NO
Q13 あなたは責任を以て選挙や国民投票に
一票を投じる有権者である自信はいまのところ
ありますか。
1 YES
2 NO
ということで、一つの提案
覚悟を決めて、ちゃんと「公民」つまり「有権者」
になってきませんか?
『護憲派の語る「改憲論」』
2007年、角川書店
これから12年かけて(つまり教育が一回り循
環する12年間)、次世代の有権者を育てる実
践をみんなでしてみる。
※「妥協案」として6年。
そのためには憲法を自分たちで創れるように、
有権者に自らがなり、自らが育てられる状況を
つくる必要がある。
法律で最低限、決めること。
1 12年後(もしくは6年後)の憲法改定案の国
民投票実施を法律で定める。
2 その間、憲法教育の自由や、それに伴う言
論、学問の自由を徹底して保障する。
普通選挙と教育
普通選挙には条件がある。今でこそ六年・三年の義務教育
であるけれど、当時は六年間で、ふつうの人間は世の中に
出ていって、それからせいぜい勉強したところで、九年になら
ない間に世の中に出ていって、それですっかり一国の政治を
理解し...
教育の現場では何をすべきか?
具体的にそれぞれの「教科」の中で先生が自分
で考える。
①史心の訓練
②思い方、話し方の訓練
「自分の考え」が言える国語教育
戦時下の柳田の国語論
正しく言ひたいのは「めいめいの思ふことを」な
のである。それをわざわざ教へてくれる人は、
教育者以外には有らう筈が無い。永い間に覚
え込んだ沢山の言葉を、自在に組合わせてこ
そ自分思つたこと...
「思い方・言い方」の訓練
今で所謂軍国主義を、悪く言はねばらぬ理由は幾つでも有るだろう
が、たゞ我々の挙国一致を以て、悉く言論抑圧の結果なりと、見るこ
とだけは事実に反して居る。独り利害の念に絆されやすかつた社会
人だけでは無く、純情にして死を...
大学では?
「社会」について設計しうる学問をいかにとり戻
すのか考え、それを次世代の有権者に提供で
きるように実践する(「無駄な学問」はない)。
短期的なマネタリングや「実用性」ではなく。
「人文科学」「教員養成」の重要性をここで示せ
なければ...
民俗学は?
「公民の民俗学」を再検証し、有権者教育につ
いて、柳田が何を考え、どう実践に、何故失敗
したのか、考え、発信する。
柳田民俗学と社会科
大きくなつて選挙民になつた時に、はてなと考
える資料をずいぶん六年の間に与えることがで
きると私は思う。
(昭和22年4月9日「社会科の新構想」『柳田国
男教育論集』1983年、新泉社)
→自分で歴史を判断できる能力「史心」...
国会・議会
意見の言い方、議論の仕方、合意形成の仕方
の模範となる。
公務員・議員・首長
パブリックサーバント(全体の奉仕者)として自
覚を持つ。
「運動」をする人、そうでない人も
それぞれの立場で憲法草案をつくる。
護憲派は現状の憲法が自分たちの「草案」足り
得るか、一条一条、検討して下さい。
「リベラルな改憲派」が出てくることも必要でしょ
う。
憲法学者とそうでない人たち
「見直しの憲法学」の構築
・「戦後憲法」を戦後社会はまともに使ってきた
のか?
・「戦後憲法」が戦後社会にもたらしたメリットと
デメリットはなにか。
司法に対して
有権者が憲法判断の訴訟を起こして憲法が機
能しているか、憲法はどう解釈されうるか問うた
とき、正面から司法が答えるか見て行く。
選挙の時に渡されるもう一枚の投票用紙の意
味を取り戻す。
大人全般
子供たちに憲法のあり方、つまり社会やこの
国の将来を彼らのために「考えられる」大人に
なる。
18歳未満
自分で材料を集め分析し考え、意見を表明し、
意見に耳を傾け、合意を形成する、というこの
国の近代の大人たちができなかったことを最初
に出来る人になる。
大変だけど。
まなぶとおぼえるとはちがふ。
(中略)
自分でしらべ、知らうとすると、人のいふことも
わかる。〉
(昭和27年頃「民俗学教本」草稿、昭和柳田為
正/千葉徳爾/藤井隆至編『柳田国男談話
稿』1987年、法政大学出版局)
企業
自分たちの従業員が「教育の義務」を全う出来
る雇用環境を用意できているか。
有権者
6−12年、選挙で「考えて」投票し、その結果選
んだ議員や首長の行なった政治に責任をもつ。
他人事の様に批判せず、自分の投票行動が妥
当だったのか検証する。
そういう環境を自ら作る。
ナベタくんの選挙、の「その後」。
・・・・・と、
立場ごとにやるべきこと、役割があるはずです。
Web企業も
自分たちは「民主主義のインフラなんだ」と自覚
と責任を持つ。
特に、カドカワ、ドワンゴ。
言論の自由の根幹としての「誰でも」
言論の自由、誰でも思つた事を思つた通りに言へるとい
ふ世の中を、うれしいものだと悦ぼうとするには、先ず最
初に「誰でも」といふ点に、力を入れて考へなければなら
ない。もしも沢山の民衆の中に、よく口の利ける少し...
民主主義のインフラはある
・・・しかしリテラシーがない
1 自分で観察・分析・意見の発信と議論・合意
の形成が「誰でも」できるツールがある(インフ
ラ)がそのためには使われていない。
2 そのための訓練を私もあなたも受けていな
い(教育やリテラ...
さて、コメントの表示が出来る様にして、ぼくは
帰ります。
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ニコ生憲法パワポ

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6/23に放送された大塚英志によるニコニコ生放送番組、「集団的自衛権をめぐる喧噪の中で、何気に国立大から文化学部・教員養成学部が失くなるかもしれなかったり、18歳に投票権が与えられたりする状況で、憲法について一人で静かに考えてみる番組」にて使用された資料です。

Published in: News & Politics
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ニコ生憲法パワポ

  1. 1. 「憲法について考える前提」を 考えてみる。 そして、ひとつの提案 大塚英志
  2. 2. 予告したようにこの番組ではコメン トを「敢えて」表示できなくします。
  3. 3. 憲法について今日は、 1 ひとりになる 2 考えてからことばにするまでに時間をおいて みる という、シンプルな提案です。
  4. 4. 今日のテーマです。 「一等むつかしい宿題」(「明治大正史世相篇」)
  5. 5. 我々は公民として病み 且つ貧しいのであった。 (柳田國男「明治大正史世相篇」)
  6. 6. いろいろと質問します。 心の中で答えて下さい。 アンケートでも多数派を決める投票 でもないです。
  7. 7. Q1 国政、地方自治体問わず、一番最近の選 挙にあなたは行きましたか。 1 行った 2 行かない 「行った」ひとはどういう根拠で投票しましたか。 「行かない」ひとは何故ですか。
  8. 8. 柳田國男の普通選挙批判 →「群れ」として行動した選挙民への怒り。 あの選挙区なら何の某を抱き込むと大よそ何百票だけは得ら れるといふことは、顔で投票を集められるやうな親分が、そこ に居ることを意味して居た。(中略)個々の投票の売買ばかり を戒めても、まだまだ選挙が自由に行はれて居るものと、推 断することの出来ない理由は、斯ういふ大小の幾つと無き選 挙群が、単に一個の中心人物の気まぐれに従つて右に左に も動かし得たからであつた。 (柳田國男『明治大正史 第四巻 世相篇』昭和6年、朝日新 聞社)
  9. 9. Q2 「公」とはどう定義されるべきか。 1 個人間の意見の交渉によって形成される合 意 2 公権力及び公権力の定める規範
  10. 10. あなたはどちらの「公」を憲法にもとめますか?
  11. 11. Q3 あなたは憲法前文をじっくりと(「じっくり」 の定義は各自に委ねるとして)読んだことがあ りますか。 1 ある 2 ない
  12. 12. Q4 あなたが改憲に同意するか否かは別とし て、憲法を仮に変えるとすれば、その理由は何 か考えられますか。一般に「改憲」の中に出てく る理由をいったん挙げるので、YESかNOで答 えて下さい。
  13. 13. Q4-1 日本語として美しくないから。 1 YES 2 NO
  14. 14. →芥川賞作家に無差別に依頼してみました。 2001年のことです。 「悪文説」の主張者、石原慎太郎さんにも。
  15. 15. 池澤夏樹さんだけが応えてくれました。 今でも文庫で買えます。
  16. 16. ちなみに憲法草稿が英文で書かれたことは 知っていましたか?(正直に) 1 YES 2 NO
  17. 17. Q4-2 日本人が書いてないから。 1 YES 2 NO
  18. 18. では、「前文」くらい、書いてみよう。
  19. 19. 大塚英志編・監修 『私たちが書く憲法前文』(2002年、角川書店)
  20. 20. 大塚英志編・著『読む。書く。護る。「憲法前文」のつくり方』 (2004年、角川書店)
  21. 21. Q4-3 出来て半世紀以上、耐用年数が尽きた から。 1 YES 2 NO
  22. 22. Q4-4 現状に合わせて変えていくべきだから。 1 YES 2 NO
  23. 23. Q4-5 新しい国民の権利を追加すべきだから。 1 YES 2 NO
  24. 24. Q4-6 新しい国民の義務を追加すべきだから。 1 YES 2 NO
  25. 25. Q5 憲法と国民・国の関係をどう定義しますか。 1 憲法は国の行動を国民が規定するものであ る(国を縛る)。 2 憲法は国が国民の行動を規定するものであ る(国民を縛る)。
  26. 26. Q6 次の憲法は誰が「つくる」べきだとかんが えますか。 1 できることなら、あなたも参画したい。 2 あなた以外の専門家に委ねたい。
  27. 27. Q7 憲法解釈を内閣総理大臣が行うことに納 得がいきますか。 1 いく 2 いかない
  28. 28. Q8 立法府・行政府の憲法違反を誰が判断す べきだと思いますか。 1 司法 2 時の政権
  29. 29. 実は、一度、憲法判断を司法に 求めてみたことがあります。
  30. 30. 川口創・大塚英志『「自衛隊のイラク派兵差止訴訟」判決文を読む』 (2009年、角川書店)
  31. 31. 自衛隊のイラク派兵差止等 請求控訴事件 名古屋高裁判決 平成20年4月17日判決 同5月2日確定
  32. 32. 事案の概要 1本件は、非控訴人がイラク特措法に基づきイラク 及びその周辺地域に自衛隊を派遣したこと(以下 「本件派遣」という。また、以下、イラク共和国及び その周辺地域のことを単に「イラク」ということがあ る。)は違憲であるとする控訴人らが、本件派遣に よって平和的生存権ないしその一内容としての「戦 争や武力行使をしない日本に生存する権利」等 (以下、一括して「平和的生存権等」ということがあ る。)を侵害されたとして、国家賠償法1条1項に基 づき、各自それぞれ1万円の損害賠償を請求する とともに(以下「本件損害賠償請求」という。)、控訴 人池住らにおいて、本件派遣をしてはならないこと (以下「本件差止請求」という。)及び本件派遣が憲 法9条に反し違憲であることの確認(以下「本件違 憲確認請求」という。)を求めた事案である。
  33. 33. 前提事実 (4)陸上自衛隊は、平成18年7月17日、サマワ から完全撤退した。しかし、航空自衛隊は、そ の後、クウェートからイラクの首都バグダッド等 へ物資・人員の空輸活動を継続している(平成 18年8月に基本計画の一部変更を閣議決定)。 (5)平成19年6月20日、第166回国会におい て、イラクへの自衛隊派遣を2年延長することを 内容とする改正イラク特措法(平成19年法律第 101号)が可決成立し、現在も航空自衛隊の空 輸活動が行われている。
  34. 34. 本件派兵の違憲性について 認定事実 (ウ)空輸活動についての多国籍軍との連携 航空自衛隊は、C─130H輸送機3機の空輸活 動にあたり、中東一帯の空輸調整を行うカター ル国(以下「カタール」という。)のアメリカ中央 軍司令部に空輸計画部を設置し、アメリカ軍や 英国軍と機体のやりくりを調整して飛行計画を 立て、クウェートのアリ・アルサレム空港(アメリ カ空軍基地)を拠点とする上記3機に任務を指 示している。
  35. 35. (エ)平成18年7月頃(陸上自衛隊のサマワ撤退時)まで の空輸状況 航空自衛隊のC─130H輸送機は、平成16年3月2日か ら物資人員の輸送を行っているところ、クウェートのア リ・アルサレム空港からイラク南部のタリルまで、週に4 回前後、物資のほかアメリカ軍を中心とする多国籍軍の 兵員を輸送した。その数量は、平成17年3月14日までに、 輸送回数129回、輸送物資の総量230トン、平成18年 5月末までに、輸送回数322回で、輸送物資の総量44 9・2トン、同年8月4日までに、輸送回数352回、輸送 物資の総量479・4トンとなる。従って、輸送の対象のほ とんどは、人道復興支援のための物資ではなく、多国籍 軍の兵員であった。 (甲B10(平成17年3月14日参議院予算委員会における 大野防衛庁長官の答弁)、43、62の9、78(平成18年8月 11日衆議院特別委員会に於ける山崎政府参考人の答 弁)、118)
  36. 36. (オ)平成18年7月から現在までの空輸状況 航空自衛隊のイラク派遣当初は、首都バグダッドは安全が確保され ないとの理由で、バグダッドへは物資人員の輸送は行われなかった が、陸上自衛隊のサマワ徹底を機に、アメリカからの強い要請により、 航空自衛隊がバグダッドへの空輸活動を行うことになり、平成18年7 月31日、航空自衛隊のC─130H輸送機が、クウェートのアリ・アルサ レム空港からバグダッド空港への輸送を開始した。以後、バグダッド へ2回、うち1回は更に北部のアルビルまで、タリルへは2回、それぞ れ往復して輸送活動をするようになり、その後、週4回から5回、定期 的にアリ・アルサレム空港からバグダッド空港への輸送を行っている。 平成18年7月から平成19年3月末までの輸送回数は150回、輸送物 資の総量は46・5トンであり、そのうち国連関連の輸送支援として行っ たのは、輸送回数が25回で、延べ706人の人員及び2・3トンの事務 所維持関連用品等の物資を輸送しており(平成19年4月24日衆議院 本会議における安倍首相の答弁)、それ以外の大多数は、武装した 多国籍軍(主にアメリカ軍)の兵員であると認められる。 (甲B37、43、62の9、78、123、134、141の1・5)
  37. 37. (カ)政府の情報不開示と政府答弁 a政府は、国会において、航空自衛隊の輸送内 容について、多国籍軍や国連からの要請により、 これを明らかにすることができないとしており (平成19年5月11日、同日14日の衆議院イラク 特別委員会における久間防衛大臣の答弁)、 行政機関の保有する情報の公開に関する法律 により国民からなされた行政文書開示請求に 対しても、顕微鏡・心電図・保育器などの医療 機器を空輸した1件(甲B18の2、1枚目)以外 は、全て黒塗りの文書を開示するのみで、航空 自衛隊の輸送内容を明らかにしない。
  38. 38. b他方で、久間防衛大臣は、国会において、「実は 結構危険で工夫して飛んでいる」(平成19年5月14 日衆議院イラク特別委員会)、「刃の上で仕事をし ているようなもの」(同年6月5日衆議院外交防衛 委員会)、「バグダッド空港の中であっても、外から ロケット砲等が撃たれる、追撃砲等に狙われると いうこともあり、そういう緊張の中で仕事をしてい る」、「クウェートから飛び立ってバグダッド空港で 降りる、バグダッド空港から飛び立つときにも、ロ ケット砲が来る危険性と裏腹にある」(同月7日参 議院外交防衛委員会)、「飛行ルートの下で戦争 が行われているときは上空を含め戦闘地域の場 合もあると思う」(同月19日参議院外交防衛委員 会)、などと答弁している。
  39. 39. 違憲性・違法性 (4)よって、現在イラクにおいて行われている 航空自衛隊の空輸活動は、政府と同じ憲法解 釈に立ち、イラク特措法を合憲とした場合で あっても、武力行使を禁止したイラク特措法2条 2項、活動地域を非戦闘地域に限定した同条3 項に違反し、かつ、憲法9条1項に違反する活 動を含んでいることが認められる。
  40. 40. 平和的生存権 このような平和的生存権は、現代において憲法の 保障する基本的人権が平和の基盤なしには存立 し得ないことからして、全ての基本的人権の基礎 にあってその享有を可能ならしめる基底的権利で あるということができ、単に憲法の基本的誠心や 理念を表明したに留まるものではない。法規範性 を有するというべき憲法前文が上記のとおり「平和 のうちに生存する権利」を明言している上に、憲法 9条が国の行為の側から客観的制度として戦争放 棄や戦力不保持を規定し、さらに、人格権を規定 する憲法13条をはじめ、憲法第3章が個別的な基 本的人権を規定していることからすれば、平和的 生存権は、憲法上の法的な権利として認められる べきである。
  41. 41. そして、この平和的生存権は、局面に応じて自由権的、 社会権的又は参政権的な態様をもって表れる複合的な 権利ということができ、裁判所に対してその保護・救済を 求め法的強制措置の発動を請求し得るという意味にお ける具体的権利性が肯定される場合があるということが できる。例えば、憲法9条に違反する国の行為、すなわ ち戦争の遂行、武力の行使等や、戦争の準備行為等に よって、個人の生命、自由が侵害され又は侵害の危機 にさらされ、あるいは、現実的な戦争等による被害や恐 怖にさらされるような場合、また、憲法9条に違反する戦 争の遂行等への加担・協力を強制されるような場合には、 平和的生存権の主として自由権的な態様の表れとして、 裁判所に対し当該違憲行為の差止請求や損害賠償請 求等の方法により救済を求めることができる場合がある と解することができ、その限りでは平和的生存権に具体 的権利性がある。
  42. 42. 判決のポイント 1 航空自衛隊は紛争地域で武装した多国籍 軍兵士の輸送をする後方支援を行なった。 2 これは違憲であるばかりでなく武力行使と一 体化した後方支援、非戦闘地域外での活動を 行なった点で「イラク特措法」違反 3 憲法全文、9条は「平和的生存権」という具 体的権利性を持ち、条件を満たせば裁判所に 対し当該違憲行為の差止請求や損害賠償請求 等の方法により救済を求めることができる。
  43. 43. 一番のポイントは「司法」に有権者が「裁判」と いう形で憲法解釈・判断を求め司法がこれに応 えた、ということです。
  44. 44. Q9 憲法は変えやすい憲法か、変えにくい憲 法か、どちらが理想か。 1 変えやすい憲法 2 変えにくい憲法
  45. 45. Q10 憲法は目の前の問題を解決する手段な のか、長いスパンの将来を設計するものなのか。 1 今の問題 2 将来の設計
  46. 46. Q11 あなたは「責任」ということばを日頃、ど ちらの形でより多く使うか。 1 他人の責任を追及する。 2 自分の責任を果たす。
  47. 47. Q12 今の日本は憲法が定める義務(納税、 労働、教育を受けさせる)の3つを国民が果たし うる社会として、あると思いますか。 1 YES 2 NO
  48. 48. Q13 あなたは責任を以て選挙や国民投票に 一票を投じる有権者である自信はいまのところ ありますか。 1 YES 2 NO
  49. 49. ということで、一つの提案
  50. 50. 覚悟を決めて、ちゃんと「公民」つまり「有権者」 になってきませんか?
  51. 51. 『護憲派の語る「改憲論」』 2007年、角川書店
  52. 52. これから12年かけて(つまり教育が一回り循 環する12年間)、次世代の有権者を育てる実 践をみんなでしてみる。 ※「妥協案」として6年。
  53. 53. そのためには憲法を自分たちで創れるように、 有権者に自らがなり、自らが育てられる状況を つくる必要がある。
  54. 54. 法律で最低限、決めること。 1 12年後(もしくは6年後)の憲法改定案の国 民投票実施を法律で定める。 2 その間、憲法教育の自由や、それに伴う言 論、学問の自由を徹底して保障する。
  55. 55. 普通選挙と教育 普通選挙には条件がある。今でこそ六年・三年の義務教育 であるけれど、当時は六年間で、ふつうの人間は世の中に 出ていって、それからせいぜい勉強したところで、九年になら ない間に世の中に出ていって、それですっかり一国の政治を 理解し、かつ、その甲乙の候補者の優劣を、可否を判断する ことはできるものでない。 しかし、そのようなことをいっていたら、きりがない。いつま でも準備がたりないという理由で、普通選挙の実現をのばす ことはできないという意見が有力になって、とにかくやってみ ようということになったのである。 (「話し方教育の方向」『柳田国男教育論集』1983年、新泉 社)
  56. 56. 教育の現場では何をすべきか? 具体的にそれぞれの「教科」の中で先生が自分 で考える。 ①史心の訓練 ②思い方、話し方の訓練
  57. 57. 「自分の考え」が言える国語教育 戦時下の柳田の国語論 正しく言ひたいのは「めいめいの思ふことを」な のである。それをわざわざ教へてくれる人は、 教育者以外には有らう筈が無い。永い間に覚 え込んだ沢山の言葉を、自在に組合わせてこ そ自分思つたことが言へる。文句丸呑みだつた ら鸚鵡ぢゃ無いか。自分の生活とは言へないで は無いか。 (昭和十八年、「教育と国語国策」 )
  58. 58. 「思い方・言い方」の訓練 今で所謂軍国主義を、悪く言はねばらぬ理由は幾つでも有るだろう が、たゞ我々の挙国一致を以て、悉く言論抑圧の結果なりと、見るこ とだけは事実に反して居る。独り利害の念に絆されやすかつた社会 人だけでは無く、純情にして死をだも辞せざる若い人たちまでが、口 を揃へてたゞ一種の言葉だけを唱へ続けて居たのは、勿論強ひられ たのでも欺かれたのでも無い。言はゞ是以外の思ひ方言ひ方を、修 練するやうな機会を与へられなかつたのである。一方には又或少数 者の異なる意見といふものは、国に聴き方の教育が少しも進んで居 ない為に、抑圧せられるまでも無く、最初から発表しようとする者が無 かつたのである。斯ういふ状態がもしもなほ続くならば、どの様な不 健全な挙国一致が、是から後にも現はれて来ぬとは限らず、歴史に 忍び難い悔恨の数十ページを留めることは、必ずしも是をたゞ一度と するわけには行かぬかも知れない。 (昭和21年1月、「喜談日録」)
  59. 59. 大学では? 「社会」について設計しうる学問をいかにとり戻 すのか考え、それを次世代の有権者に提供で きるように実践する(「無駄な学問」はない)。 短期的なマネタリングや「実用性」ではなく。 「人文科学」「教員養成」の重要性をここで示せ なければあなたたちの負けです。
  60. 60. 民俗学は? 「公民の民俗学」を再検証し、有権者教育につ いて、柳田が何を考え、どう実践に、何故失敗 したのか、考え、発信する。
  61. 61. 柳田民俗学と社会科 大きくなつて選挙民になつた時に、はてなと考 える資料をずいぶん六年の間に与えることがで きると私は思う。 (昭和22年4月9日「社会科の新構想」『柳田国 男教育論集』1983年、新泉社) →自分で歴史を判断できる能力「史心」の育成
  62. 62. 国会・議会 意見の言い方、議論の仕方、合意形成の仕方 の模範となる。
  63. 63. 公務員・議員・首長 パブリックサーバント(全体の奉仕者)として自 覚を持つ。
  64. 64. 「運動」をする人、そうでない人も それぞれの立場で憲法草案をつくる。 護憲派は現状の憲法が自分たちの「草案」足り 得るか、一条一条、検討して下さい。 「リベラルな改憲派」が出てくることも必要でしょ う。
  65. 65. 憲法学者とそうでない人たち 「見直しの憲法学」の構築 ・「戦後憲法」を戦後社会はまともに使ってきた のか? ・「戦後憲法」が戦後社会にもたらしたメリットと デメリットはなにか。
  66. 66. 司法に対して 有権者が憲法判断の訴訟を起こして憲法が機 能しているか、憲法はどう解釈されうるか問うた とき、正面から司法が答えるか見て行く。 選挙の時に渡されるもう一枚の投票用紙の意 味を取り戻す。
  67. 67. 大人全般 子供たちに憲法のあり方、つまり社会やこの 国の将来を彼らのために「考えられる」大人に なる。
  68. 68. 18歳未満 自分で材料を集め分析し考え、意見を表明し、 意見に耳を傾け、合意を形成する、というこの 国の近代の大人たちができなかったことを最初 に出来る人になる。 大変だけど。
  69. 69. まなぶとおぼえるとはちがふ。 (中略) 自分でしらべ、知らうとすると、人のいふことも わかる。〉 (昭和27年頃「民俗学教本」草稿、昭和柳田為 正/千葉徳爾/藤井隆至編『柳田国男談話 稿』1987年、法政大学出版局)
  70. 70. 企業 自分たちの従業員が「教育の義務」を全う出来 る雇用環境を用意できているか。
  71. 71. 有権者 6−12年、選挙で「考えて」投票し、その結果選 んだ議員や首長の行なった政治に責任をもつ。 他人事の様に批判せず、自分の投票行動が妥 当だったのか検証する。 そういう環境を自ら作る。 ナベタくんの選挙、の「その後」。
  72. 72. ・・・・・と、 立場ごとにやるべきこと、役割があるはずです。
  73. 73. Web企業も 自分たちは「民主主義のインフラなんだ」と自覚 と責任を持つ。 特に、カドカワ、ドワンゴ。
  74. 74. 言論の自由の根幹としての「誰でも」 言論の自由、誰でも思つた事を思つた通りに言へるとい ふ世の中を、うれしいものだと悦ぼうとするには、先ず最 初に「誰でも」といふ点に、力を入れて考へなければなら ない。もしも沢山の民衆の中に、よく口の利ける少しの 人と、多くの物が言へない人々とが、入り交つて居たと すればどうなるか。事によると一同が黙りこくつて居た前 の時代よりも、却つて不公平がひどくなることがあるかも 知れない。自由には是非とも均等が伴なはなければな らぬ。故に急いで先づ思ふことの言へる者を出来るだけ 沢山に作り上げる必要がある。 (昭和21年1月、「喜談日録」)
  75. 75. 民主主義のインフラはある ・・・しかしリテラシーがない 1 自分で観察・分析・意見の発信と議論・合意 の形成が「誰でも」できるツールがある(インフ ラ)がそのためには使われていない。 2 そのための訓練を私もあなたも受けていな い(教育やリテラシー)。
  76. 76. さて、コメントの表示が出来る様にして、ぼくは 帰ります。

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