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東アジアの貿易体制下における中国産業構造の変化
〜付加価値貿易統計から見る分析〜
獨協大学経済学部全載旭研究会
2016/10/29
全載旭研究会 15 期
飯貝亮
大木梨名
小松未優
陳家豊
内藤真子
沼尻華穂
橋口さら
松橋多聞
獨協大学経済学部
全載旭研究会
2016.10.29
2
3
はじめに
第一章 東アジアの牽引役としての中国
第一節 東アジア貿易体制
(1)世界貿易に占める東アジア貿易の位置
(2)東アジアの貿易寄与度
第二節 TiVA(付加価値貿易)の基本的概念
(1)iPhone から見る付加価値
(2)付加価値貿易とは何か
第三節 TiVA から見る東アジアの貿易体制の変化
(1)世界貿易に占める東アジアの付加価値貿易の割合
(2)東アジアの付加価値貿易における中国の台頭
(3)東アジアへの中国の影響
小括
第二章 中国貿易の構造変化
第一節 総額統計・付加価値貿易統計との比較
(1)貿易額の推移
(2)国内付加価値比率
(3)産業別貿易収支
(4)産業別国内輸出比率
小括
第三章 付加価値貿易統計からみた中国製造業の競争力
第一節 東アジアの比較優位の変化
(1)中国製造業の成長
(2)中日韓 ASEAN の主要製造業の比較優位の推移
第二節 GVC 下における中国の位置
(1) GVC の発展段階
(2)中国製造業の課題
小括
おわりに
参考文献
付録
獨協大学経済学部
全載旭研究会
2016.10.29
4
はじめに
今日、世界的規模で進行している生産工程の細分化・工程内分業・地理的分
散という国際分業は、世界貿易に新たな局面を生み出した。この生産工程によ
って国際価値連鎖(Global Value Chains)の考えが生まれ、その下において誕
生した付加価値貿易(Trade in Value Added)という新しい貿易統計が近年注目
を集めている。
国際価値連鎖は特に東アジアで発展しており、現在その牽引役は中国、
ASEAN である。1980 年代、東アジア貿易の牽引役は日本であったが、1990 年
代後半からその役割は中国が担っている。しかし、その中国は 2009 年頃から世
界経済の停滞を受け GDP 成長率が鈍化。結果として、その影響を多くの東アジ
ア諸国が受けやすくなっており、東アジア貿易におけるこれまでの相互依存関
係及び競争関係が変化する可能性が考えられる。
通常の貿易統計ではそうした関係を把握することが難しいため、先行研究を
基としながら、GVC を通じた工程間分業の実態を把握できる付加価値貿易統計
TiVA を用いて分析する。まず東アジア貿易構造の変化を通常貿易統計と付加価
値貿易統計の双方から概観し、中国の台頭、東アジア諸国への影響力を見てい
く。次に中国貿易構造をグロスベースと付加価値ベースの貿易統計で比較分析
し、中国貿易の特徴を明らかにする。最後に付加価値貿易統計からみた中国の
競争力を分析し、GVC のなかでの中国の発展段階を明らかにする。また中国の
製造業がどのような課題を抱えているのかを検討する。
5
第一章 東アジア貿易体制の牽引役としての中国
第一節 東アジアの貿易体制
(1) 世界貿易に占める東アジア貿易の台頭
*GVC とは
・国際価値連鎖:今日の生産体系は地理的分散、内容の細分化、工程内分業と
して世界的に展開されており、各生産者がサプライチェーンに沿って順次価値
を付加していくという構造
・東アジア貿易の発展は GVC による域内貿易が起因している
*東アジア貿易の特徴
・ASEAN を中心とした多くの二国間地域の経済連携協定、自由貿易協定が存在
・地域を包摂する自由貿易協定は存在しないが域内貿易を中心に世界貿易を牽
引している
図 1-1 世界輸出に占める各地域のシェア
(資料)IMF(DOT)より作成
0%
5%
10%
15%
20%
25%
30%
35%
40%
45%
世界輸出に占める割合 EAST ASIA 世界輸出に占める割合 NAFTA
世界輸出に占める割合EU
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6
・世界に占める東アジア貿易の輸出シェアは 1998 年アジア通貨危機の影響を受
け落ち込むがその後上昇
・NAFTA のそれは 2000 年の 19%、EU のそれは 1990 年の 45%をピークに断
続的に低下している
・東アジア貿易輸出シェアは 1983 年に NAFTA のそれを超える
・2014 年の各地域の輸出シェアは EU31%、NAFTA14%、東アジア 29%とな
っている
図 1-2 域内貿易の割合
(資料)図1に同じ。
*域内輸出の割合
・東アジアの域内貿易の割合は’86〜’95 にかけて急増し、’09 には 48.9%で
NAFTA のそれを上回っている
・2015 年の各地域の域内貿易の割合は EU63%、NAFTA47%、東アジア 48%
・域内貿易の割合は’08 まで世界輸出に占める割合と同様の軌道を描いて上昇
⇒域内輸出は東アジアの輸出を牽引する役割を果たしていると言える
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
東アジア NAFTA EU28
7
⑵貿易寄与度
表 1-1 世界輸出マトリックスと輸出増加に対する国・地域別の寄与度
(資料)IMF,DOT より作成。
(注)寄与度が 10%を超える部分に網掛けを施した。
・世界輸出額:’95 年に 5 兆ドル→’14 年 18.7 兆ドル(3.5 倍)に増加
・寄与度1:東アジア(88.6%)、EU(80.0%)、その他(54.7%)、NAFTA(32.3%)
の順であり、東アジアの寄与度は大きい
・東アジアにおける寄与度:中国(43.2%)、ASEAN(21.7%)が牽引役として台頭
1各国・地域の増加分/世界輸出総額の増加分
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8
・東アジアの輸出先として ASEAN 向けが増加している
・東アジア域内輸出の寄与度は 46.5%⇒EU の域内輸出(48.9%)に匹敵
・EU は域内貿易を基本としつつ輸入先は東アジアである
・EU、NAFTA 双方において東アジア、とりわけ中国からの輸入が増加
・NAFTA は域外輸入指向性が高いため赤字を計上
・米国は域内貿易においても赤字を計上
・東アジアは域外に対しての輸出指向性が高いため域外貿易では黒字を計上
・東アジア域内輸出の内訳⇒
中国:12.1%、ASEAN:14.4%、域外輸出から域内輸出へとシェアが
移行していることから東アジアが最終需要地として台頭していると考え
られる
⇒東アジアの輸出先は域外から域内に移行しつつあり、域内貿易視点から見る
と NAFTA を上回る水準である。牽引役は中国、ASEAN である。
第二節 付加価値貿易統計の概念
⑴iPhone からみる付加価値
*付加価値貿易統計:製品やサービスが出来上がるまでにどこでどれだけ価
値が付加されたのかを分析する貿易統計
*米アップル社の GVC の仕組みを例に解説2
・アップル社は自社工場を持たない→電子機器受託製造サービス(EMS)委託
・デザイン等(高付加価値)は米→東アジアから部品の輸入→中国にて最終組み
立て(低付加価値)→世界輸出
・iPhone3G 価格$500:内米国企業$331、日韓独$162、中国$7の付加価値
を生産
・先進国は国際価値連鎖を通して、大きな利益を確保している
・途上国は利益増加傾向にあるもの依然として先進国には及ばない
・国際価値連鎖上における先進国と途上国の位置関係を表したものがスマイ
ルカーブ(図 1-3)
・先進国は発展途上国へのアウトソーシングやオフショアリングを実施し製
造工程コストを安く抑えながら付加価値の高いスマイルカーブの両端に特
化している
2 米アップル社の GVC の仕組みを明らかにした先行研究 Dedrick et al. (2008)に依拠する
9
図 1-3 アップル社の例に基づくスマイルカーブ
(資料)猪俣哲生(2015)「東アジアの付加価値貿易」8 ページ。
・最終需要地である米国に向けて中国が低付加価値大量生産を行う($7/1 個)
⇔しかし中国から米国への輸出は$180 近い完成品である
↓つまり
・統計上では現実に中国で生産されたものとかなり乖離した金額が中国の対
米輸出額として計上される(製品が国際分業体制のもと生産されている事実
を考慮していない)
⑵TiVA(Trade in ValueAdded)
・製品を生産工程ごとに分解し各工程において付加された価値の流れを問う
・主要国の産業連関表を世界規模で組み合わせて付加価値部分を把握する
・上記の多重計上、過大評価問題の解消が可能である
表 1-2 従来の貿易統計と付加価値貿易の比較
従来の貿易統計3 付加価値貿易統計
①日本→マレーシア 160 160
②マレーシア→タイ 200(160+40) 40
③タイ→米国 300(160+40+100) 100
④世界貿易量 160+200+300=660 100+160+40=300
3 グロスベース
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10
(資料) 猪俣哲生(2015)「東アジアの付加価値貿易」参照。
⇒付加価値貿易アプローチでは貿易収支のバイアスと多重計上の問題が回避
され、より国際分業の現状に即した情報提供が可能となる
第三節 付加価値貿易統計からみた東アジア貿易体制の変化
⑴ 世界貿易に占める東アジアの付加価値貿易の割合
図 1-4 国内付加価値比率4
(資料)OECD TiVA - October 2015 , IMF Data base より作成。
・時系列的にアジア通貨危機、リーマンショックを挟んだ、経済危機等
で貿易が低迷→輸出に占める国内付加価値部分が上昇する傾向にある
・付加価値比率は平均七割ほどに低下している
・地域別に見ると東アジアと ASEAN の低下が EU、NAFTA に比べて顕著
・二国間で垂直分業が進むとグロスベースと付加価値ベースとの乖離が拡大
→付加価値比率が地域毎の GVC の発展度合い、どの程度組み込まれて
いるかを示す
⇒東アジア、ASEAN の付加価値比率の低下はその地域の GVC の発展を示し
4 全輸出に占める国内付加価値/総輸出額=付加価値輸出比率
東アジ
ア
日本 韓国 中国 台湾 香港 EU
ASEA
N
NAFT
A
1995 84.01% 94.38% 77.69% 66.65% 69.35% 78.44% 80.95% 72.25% 88.46%
2005 72.08% 88.91% 67.04% 62.63% 62.60% 82.47% 75.75% 63.99% 87.05%
2011 69.95% 85.35% 58.37% 67.89% 56.48% 79.59% 71.97% 67.12% 85.01%
平均 75.21% 89.71% 66.85% 65.61% 62.91% 80.98% 75.81% 66.79% 86.85%
0.00%
10.00%
20.00%
30.00%
40.00%
50.00%
60.00%
70.00%
80.00%
90.00%
100.00%
11
ていると考えられる
表 1-3 世界の付加価値貿総額に占める各国・地域のシェア(単位:100 万ドル)
(資料)表 1-2 に同じ。
・世界の付加価値額に占める東アジア貿易の付加価値額シェアは 2010 年頃か
ら EU・NAFTA のそれと同水準である
・東アジア付加価値シェアの増加の牽引役は日本から中国へ移行している
⑵東アジアの付加価値貿易における中国の台頭
図 1-5 主要貿易相手国の変化
日本
0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0%
中
米
ASEAN
韓
台
グロスベース(輸出)
1995年 2011年
0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0%
米
中
ASE…
韓
台
付 加価値ベース(輸出)
1995年 2011年
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12
中国
韓国
0.0% 10.0% 20.0% 30.0%
中
ASEAN
米
豪
サウジ
グ ロスベース(輸入)
1995年 2011年
0.0% 10.0% 20.0% 30.0%
中
米
ASEAN
サウジ
豪
付 加価値ベース(輸入)
1995年 2011年
0.0% 10.0% 20.0% 30.0%
米
日
ASEAN
韓
独
グ ロスベース(輸出)
1995年 2011年
0.0% 10.0% 20.0% 30.0%
日
ASE…
韓
米
台
付 加価値ベース(輸出)
1995年 2011年
0.0% 20.0% 40.0%
日
ASE…
韓
独
米
グ ロスベース(輸入)
1995年 2011年
0.0% 10.0% 20.0% 30.0%
日
ASEAN
米
韓
独
付加価値ベース(輸入)
1995年 2011年
0.0% 20.0% 40.0%
中
米
ASEAN
日
台
グ ロスベース(輸出)
1995年 2011年
0.0% 10.0% 20.0% 30.0%
中
米
日
ASEAN
独
付 加価値ベース(輸出)
1995年 2011年
13
ASEAN8
(資料)JRI レビュー 2016 Vol.3, No.33 参照。
<日本>
・グロスベースでは中国から輸入、中国へ輸出
・付加価値ベースにおいては中国から輸入、アメリカへ輸出
・輸入はグロス、付加価値双方で中国の台頭が目立つ
<中国>
・グロスベースではアメリカが最大だが付加価値ベースでは日本が最大の輸
出先である
・輸入においては双方日本が最大ではあるが ASEAN の割合が高まっている
0.0% 10.0% 20.0% 30.0%
中
日
米
ASEAN
サウジ
グ ロスベース(輸入)
1995年 2011年
0.0% 10.0% 20.0% 30.0%
中
米
日
ASEAN
サウジ
付 加価値ベース(輸入)
1995年 2011年
0.0% 10.0% 20.0% 30.0%
ASE…
中
日
米
韓
グ ロスベース(輸出)
1995年 2011年
0.0% 10.0% 20.0% 30.0%
米
中
ASEAN
日
印
付 加価値ベース(輸出)
1995年 2011年
0.0% 10.0% 20.0% 30.0%
ASEAN
中
日
米
韓
グ ロスベース(輸入)
1995年 2011年
0.0% 10.0% 20.0% 30.0%
ASEAN
中
日
米
サウジ
付 加価値ベース(輸入)
1995年 2011年
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14
<韓国>
・グロスベースと付加価値ベース、輸出入いずれも中国の割合が高い
<ASEAN>
・グロスベースでは域内輸出の割合が高い
・付加価値ベースではアメリカが最大の輸出相手国
・輸入においてはいずれも日本とアメリカの割合が低下する一方、中国の
割合は高まっている
⇒・輸出入いずれにおいてもグロス、付加価値双方において東アジア諸国が台
頭しており、東アジアが最終需要地として成長していることが確認できる
・東アジア付加価値貿易において日本、韓国、ASEAN における中国の割合が
上昇、中国においては ASEAN の割合が上昇している
⑶東アジア諸国への中国の影響
・付加価値は二国間の相互依存関係を付加価値ベースでとらえている
⇒中国の経済成長減速の各国への影響を検証するのに適している
・付加価値ベースでみた中国の輸入額の大きさ≠中国の経済減速の影響
↓
・付加価値ベースでみた各国の対中輸出額をそれぞれの GDP と対比する
図 1-6 対中付加価値輸出 GDP 比の上位 20 か国 (単位:%)
(資料)JRI レビュー 2016 Vol.3,No.33 参照。
0
2
4
6
8
10
12
香港
台湾
マレーシア
サウジアラ…
シンガポール
韓国
ブルネイ
ベトナム
タイ
チリ
オーストラ…
フィリピン
南アフリカ
インドネシア
ニュージー…
日本
スロバキア
コスタリカ
ロシア
スイス
1995
2005
2011
15
・各国の対中依存度は過去 15 年間で飛躍的に伸びている
・日本は中国への対中輸出入額がグロスベース、付加価値ベースともに台頭
しているものの、他の東アジア諸国より比率が少ない
・上昇の幅が広くその水準が高い国は東アジアに集中している
→東アジア、ASEAN 諸国は中国の経済成長減速によって大きな影響を受け
ている
・中国の経済減速は対中輸出の減速という一次的影響に留まらない
→国際分業の発展により成長している東アジア貿易は、各国の対中輸出の
減少が二次的影響5を生み出し、それが連鎖的に広まっていく
ex) 韓国の対中輸出が減少→韓国の輸入減少→ベトナムの韓国向け輸出減少
⇒中国の経済成長の減速はこうした連鎖により東アジアを中心に世界に拡
散すると思われる
小括
東アジア貿易は GVC によってより複雑化され、それにより、域内貿易を中心
に世界貿易を牽引する役割を果たしており、中国の台頭がさらに東アジア貿易
の発展を促していることが確認された。さらに近年注目を集める付加価値貿易
統計においても中国のシェアは高く、東アジアにおける GVC のなかで大きな位
置を占めていることが確認された。また GDP に占める対中付加価値輸出の上位
に東アジア諸国が集中していることから、中国の経済成長減速が東アジアに大
きく影響すると考えられる。
5 IMF によれば中国の財サービスが 10%減少した場合、一次的な波及効果は上位 30カ国の GDP
の 3.6%に、第二から第四次までの波及効果は同 3.5%である。
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16
第二章 中国貿易の構造変化
第一節 総額統計・付加価値貿易統計との比較
(1) 貿易額の推移
図 2-1 貿易額の推移(単位:100 万ドル)
<グロスベース> <付加価値ベース>
(資料) OECD TiVA_October2015 より作成。
*特徴
・付加価値輸出である国内付加価値額と付加価値輸入となる国外付加価値額は
輸出入額よりも少ない
・その差は中間財の貿易部分である
*グロスベース
・1990 年代初頭まで黒字と赤字を行き来する状態にあった
・1992 年の南巡講和による改革開放政策の加速以後、貿易収支の黒字は大幅な
0
500000
1000000
1500000
2000000
2500000
1995
2000
2005
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
輸出 輸入 貿易収支
0
200000
400000
600000
800000
1000000
1200000
1400000
1995
2000
2005
2008
2009
2010
2011
輸出
輸入
付加価値貿易収支
17
増加傾向を辿る
・2001 年の WTO 加盟により輸出入が急増
・2008 年の貿易黒字は 3488 億 3600 万ドルを計上
・リーマンショック以後輸入の増加もあり、黒字額は 2000 億ドルで推移
・2011 年以降輸入額の増加が減速
→GDP 成長率の低下、部品生産の現地化といった GVC の変容等も考えられ
るが、経済のサービス化、過剰生産能力の調整といった中国経済の構造変
化の影響が大きいと思われる
*付加価値ベース
・2011 年以降グロスベースで見ると緩やかな減少が続いているため減少傾向に
あると予測される
(2) 国内付加価値比率
図 2-2 付加価値輸出入比率の推移(単位:100 万ドル)
<国内付加価値輸出比率> <国外付加価値輸入比率>
(資料)図 2-1 に同じ。
50%
55%
60%
65%
70%
0
500000
1000000
1500000
2000000
1995
2000
2005
2008
2009
2010
2011
輸出
付加価値輸出額
国内付加価値率
50%
55%
60%
65%
70%
0
500000
1000000
1500000
2000000
1995
2000
2005
2008
2009
2010
2011
輸入
輸入に占める付加価値額
国外付加価値率
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18
・経済危機等で貿易額が低迷すると輸出に占める国内付加価値が上昇する傾
向にあるが、中国は国内付加価値比率が他の東アジア諸国に比べて低い
→それは国際分業の進展によるものと思われる
・国外付加価値比率は 2005 年を境に急増している
→それは中国国内で部品生産が可能になったためと思われる
(3) 産業別貿易収支
図 2-3 グロスベースの産業別貿易収支 (単位:100 万ドル)
図 2-4 付加価値ベースの産業別貿易収支 (単位:100 万ドル)
(資料))図 2-1 に同じ。
-50000
0
50000
100000
150000
200000
1995 2000 2005 2011
-10000
0
10000
20000
30000
40000
50000
60000
70000
1995 2000 2005 2011
19
・繊維は付加価値貿易黒字への貢献が大きい
・化学では、グロスベースで赤字、付加価値ベースでは黒字を計上している
・電機光学では、グロスベースで大幅な黒字となっているが、付加価値ベース
のそれは低水準で留まっている
→それは世界分業が発達した産業であることから生じており、中間財を輸入
し完成品を再輸出するというビジネスモデルが構築されているためである
・化学、機械、金属、電機光学はグロスと付加価値ベースの乖離幅が大きい
→それはこれらの産業が国際分業に大きく参入しているためだと考えられる
(4) 産業別付加価値輸出比率
図 2-5 対東アジアの付加価値輸出比率 (単位:100 万ドル)
0.0%
10.0%
20.0%
30.0%
40.0%
0
10000
20000
30000
40000
50000
衣料品・革製品
輸出
付加価値輸出
付加価値輸出比率
0.0%
20.0%
40.0%
60.0%
80.0%
0
20000
40000
60000
化学・非金属
輸出
付加価値輸出
付加価値輸出比率
0.0%
20.0%
40.0%
60.0%
0
10000
20000
30000
40000
50000
基礎金属・金属製品
輸出
付加価値輸出
付加価値輸出比率
0.0%
20.0%
40.0%
60.0%
80.0%
0
10000
20000
30000
機械設備
輸出
付加価値輸出
付加価値輸出比率
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20
(資料))図 2-1 に同じ。
・中国の付加価値輸出比率平均は 65.61%である
・産業別収支のグロスベースと付加価値ベースとの乖離幅が広がるに連れ
て付加価値輸出比率が下がる傾向がある
・基礎金属・金属製品、化学・非金属製品の平均はそれぞれ 62.0%、66.0%
であり、中国の付加価値輸出比率と同水準である
・また他の産業と比べて比率が高い傾向にあったが、2011 年時点では、
それぞれ 42.1%、43.2%となり、その比率が低下している
・電機・光学は平均 22.5%、2011 年時点で 16.4%と他産業に比べて極端に
その比率が低い
→それは、この産業における中国の GVC の発展を意味している
・いずれの産業も輸出額の増加に伴い国内付加価値輸出比率は年々低下傾
向にある
小括
GVC のもとで台頭している中国の輸出についてグロスベースと付加価値ベ
ースの観点から比較分析を行った結果、輸出入ともにグロスベースと付加価値
ベースは同じ傾向であることが確認され、付加価値ベースの輸出入額も 2011 年
以降、低下傾向にあると予測される。また、産業別付加価値輸出比率の変化で
は、中国はいずれの産業においても年々付加価値輸出比率が低下している傾向
にあり中国製造業全体、特に電機・光学において、GVC に大きく参入している
ことが確認された。
0.0%
10.0%
20.0%
30.0%
40.0%
0
50000
100000
150000
電機・光学
輸出
付加価値輸出
付加価値輸出比率
0.0%
20.0%
40.0%
60.0%
80.0%
0
5000
10000
15000
輸送機器
輸出
付加価値輸出
付加価値輸出比率
21
第三章 付加価値貿易統計からみた中国製造業の競争力
第一節 東アジアの比較優位の変化
・ここでは世界のサービス業を含む付加価値輸出の全体を把握した上で、製
造業に焦点を当て、中国、日本、韓国、ASEAN の比較優位がどのように
変化したかを検証する
(1) 中国製造業の成長
図 3-1 主要製造業における世界付加価値輸出に占める東アジアの割合6
6 EU は先進国で構成される巨大な共通市場であるため、域内貿易の割合が高く、必然的に世界
の付加価値貿易に占める割合が高くなるため除いている。
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0%
5%
10%
15%
20%
25%
30%
1995 2000 2005 2008 2009 2010 2011
衣料品・革製品
日本 中国
韓国 ASEAN
0%
5%
10%
15%
20%
25%
30%
化学・非金属製品
日本 中国
韓国 ASEAN
0%
5%
10%
15%
20%
25%
30%
1995200020052008200920102011
基礎金属・金属製品
日本 中国
韓国 ASEAN
0%
5%
10%
15%
20%
25%
30%
1995200020052008200920102011
機械・設備
日本 中国
韓国 ASEAN
23
(資料)OECD TiVA_October2015 より作成。
・中国は輸送機器を除くすべての業種において日本と拮抗、もしくは上回
り、東アジアのトップに立っている
→それが 2008 年を境に停滞している傾向にある
・韓国と ASEAN については衣料品・革製品以外で緩やかな上昇が
みられるものの、中国に比べると勢いに欠けている
・中国の付加価値輸出には中国で生産された付加価値に加えて、直接投資
で進出した外国企業の付加価値輸出も含まれている
→これが大幅な成長要因だと考えられる
・衣料品・革製品のシェアは他の産業と比較して圧倒的な高さがあり
中国がこの産業で際立った競争力を有していることは間違いない
・電機・光学においては、国内付加価値比率は他の産業に比べ極めて低い
水準であったが、世界における付加価値輸出シェアでは東アジアのトッ
プである
→それは低付加価値製品の大量輸出によるものだと思われる
・輸送機器においては中国と韓国は同水準である
(2) 中国、日本、韓国、ASEAN の主要製造業の比較優位の推移
・顕示比較優位指数(RCA)7:一国の比較優位の変化を見るために広く用い
7 ある国のある部門に注目して,当該部門の輸出がその国の輸出全体に占める割合と、当該部門
0%
5%
10%
15%
20%
25%
30%
1995200020052008200920102011
電機・光学機器
日本 中国
韓国 ASEAN
0%
5%
10%
15%
20%
25%
30%
1995200020052008200920102011
輸送機器
日本 中国
韓国 ASEAN
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られるが、輸出構造が異なる複数の国を比較するには適さない
→付加価値輸出は輸入された付加価値分が差し引かれているため、「A 国
の i 財の比較優位は対象国・地域の i 財の輸入にしめる A 国の割合」と
いう形で示すことができる
・NRCA 8(Normalized Revealed Competitiveness Advantage)
:RCA を標準化したもので、0 を基準にデータのばらつきを
−1<NRCA<1 に抑えて標準し、各国の競争力を比較できる
(RCA は比較優位でも劣位でもない状態を 1 としながら、
0<RCA<∞になる)
・NRCA はその国の輸出全体に占める当該製造業の割合が世界全体の輸
出に占める当該製造業の割合より低ければ比較優位が低下し、高けれ
ば上昇する
図 3-2 主要製造業の NRCA 指数の推移
衣料品・革製品
の世界輸出が世界全体の輸出総額に占める割合との比率をとった指標。
8 (RCA-1)/(RCA+1)
25
・中国が圧倒的比較優位を持っている
化学・非金属製品
・東アジアにおける化学・非金属の比較優位はグロスベースでは韓国、付
加価値ベースでは中国が比較劣位であるが、東アジア全体において比較
優位はみられない
基礎金属・金属製品
-0.8
-0.6
-0.4
-0.2
0
0.2
0.4
0.6
0.8
グロスベース
日本 中国
韓国 ASEAN
-0.8
-0.6
-0.4
-0.2
0
0.2
0.4
0.6
0.8
付加価値ベース
日本 中国
韓国 ASEAN
-0.8
-0.6
-0.4
-0.2
0
0.2
0.4
0.6
0.8
グロスベース
日本 中国
韓国 ASEAN
-0.8
-0.6
-0.4
-0.2
0
0.2
0.4
0.6
0.8
付加価値ベース
日本 中国
韓国 ASEAN
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・付加価値ベースにおいて中国の比較優位は 2008 年より低下し、日本、
韓国を下回る
機械・設備
・日本に比較優位があり、中国と韓国は 2005 年に比較劣位から優位に転
換しているものの、日本のそれを下回る
-0.8
-0.6
-0.4
-0.2
0
0.2
0.4
0.6
0.8
グロスベース
日本 中国
韓国 ASEAN
-0.8
-0.6
-0.4
-0.2
0
0.2
0.4
0.6
0.8
付加価値ベース
日本 中国
韓国 ASEAN
-0.8
-0.6
-0.4
-0.2
0
0.2
0.4
0.6
0.8
グロスベース
日本 中国
韓国 ASEAN
-0.8
-0.6
-0.4
-0.2
0
0.2
0.4
0.6
0.8
付加価値ベース
日本 中国
韓国 ASEAN
27
電機・光学機器
・グロスベースでみた比較優位が付加価値ベースよりも低くなっている
・各国・地域とも比較優位を持っており、グロスベースとの乖離があるこ
とから、GVC が最も発展していると考えられる
輸送機器
(資料)図 3-1 に同じ。
-0.8
-0.6
-0.4
-0.2
0
0.2
0.4
0.6
0.8
グロスベース
日本 中国
韓国 ASEAN
-0.8
-0.6
-0.4
-0.2
0
0.2
0.4
0.6
0.8
付加価値ベース
日本 中国
韓国 ASEAN
-0.8
-0.6
-0.4
-0.2
0
0.2
0.4
0.6
0.8
グロスベース
日本 中国
韓国 ASEAN
-0.8
-0.6
-0.4
-0.2
0
0.2
0.4
0.6
0.8
付加価値ベース
日本 中国
韓国 ASEAN
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・シェアにおいて韓国と肩を並べていた中国の輸送機器は比較劣位である
→中国に進出した各自動車メーカーとも国内のシェア争いが最重要課題
となっており、輸出全体に占める自動車の割合が低いためであると考
えられる
第二節 GVC 下における中国の位置
(1) GVC の発展段階
・“NRCA と世界の付加価値輸出に占める割合”、“世界の付加価値輸出に占
める割合と付加価値比率”の二つの観点から中日韓がそれぞれ異なる発
展段階にあることを示す
・NRCA はその国の輸出全体に占める当該製造業の割合が世界全体の輸
出に占める当該製造業の割合より低ければ比較優位が低下し、高けれ
ば上昇することになる
→しかし、付加価値貿易統計を利用しても、競争力を測る手段として世界
の付加価値輸出に占める割合、あるいは、NRCA による比較優位、劣位
のどちらを判断材料とすべきか疑問が残る為、以下では両方を一つの図
表に組み入れ、その動きに注目したい
29
図 3-4 中日韓の主要製造業の世界の付加価値に占める割合と NRCA 指数
(資料)図 3-1 に同じ
1995
2011
1995 2011
1995
2011
-0.8
-0.6
-0.4
-0.2
0
0.2
0.4
0.6
0.8
0% 10% 20% 30%
衣料品・革製品・履物
日本 中国 韓国
1995
2011
1995 2011
1995
2011
-0.15
-0.1
-0.05
0
0.05
0.1
0% 2% 4% 6% 8%
化学・非金属
日本 中国 韓国
1995
2011
1995
2011
1995
2011
-0.05
0
0.05
0.1
0.15
0.2
0.25
0.3
0.35
0% 5% 10%
基礎金属・金属製品
日本 中国 韓国
1995
2011
1995
2011
1995
2011
-0.4
-0.3
-0.2
-0.1
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0% 5% 10% 15% 20%
機械・設備
日本 中国 韓国
1995
2011
1995
2011
1995
2011
-0.1
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0% 10% 20% 30%
電機・光学機器
日本 中国 韓国
1995
2011
1995
2011
1995
2011
-0.8
-0.6
-0.4
-0.2
0
0.2
0.4
0.6
0% 5% 10% 15% 20%
輸送機器
日本 中国 韓国
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・世界輸出に占める割合を高めながら、NRCA が上昇していれば競争力
が高まっている(右上への移動)
→その逆は、競争力の低下を意味する
・中国と韓国については、韓国の衣料品・革製品を除いて、すべての産業
において右上に移動しており、競争力が高まったと言える
・日本については、基礎金属・金属製品を除いて、すべての産業で左上方
向へ移動しており、比較優位を高めながらも世界輸出に占める割合が低
下している傾向にある
・こうした日本の動きは、GVC の展開を通じて付加価値の高い工程の選
択と集中を高めた結果と捉えることができる
→日本の場合は GVC の展開を通じて、より付加価値の高い分野に特化す
ることで競争力を維持している(GVC 下の産業の発展段階という点か
らみればその先頭を走っているといえる)
(2) 中国製造業の課題
・中国の経済成長の停滞状況において中国製造業が今後どのように発展し
てゆくのかを GVC の発展における中日韓の位置の変化によって明らかに
する
図 3-5 GVC における中日韓国の位置変化
(資料)OECD TiVA_October2015 および IMF より作成。
1995
2000
2005201119952000
2005
2011
199520002005
2011
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1
付加価値輸出額/GDP
付加価値輸出比率
GVCにおける中日韓の位置の変化
日本
中国
韓国
31
・先進国では、高い付加価値を国内で賄うことができるため付加価値輸
出率は高くなる一方、付加価値の低い工程は海外に移転されるため、
GDP との対比でみた付加価値輸出額は低くなる
・開発途上国では、外資が主体となり付加価値の低い工程を集中的に
担うことで、GDP に対する付加価値輸出の比率が高くなる一方、国内で
調達できる付加価値は限られるため、付加価値輸出比率は低くなる
<日本>
・日本は、付加価値比率は低下したものの GDP に占める付加価値額は上昇
し、この先大きく位置が変化する可能性は少ない
→つまり、新しい高付加価値輸出産業を育てる必要がある
<韓国>
・韓国は付加価値輸出比率が大幅に低下している
→’95 に 0.65 あった化学・非金属製品の付加価値輸出比率が大幅に低下
していることが要因だと考えられる
・また同国は、輸出入ともに中国を最大の貿易相手国としているため、中
国の成長減速と輸出産業の海外進出によって輸出停滞期を迎えると予測
される
・前図 3-4 から、ほとんどの製造業で世界の付加価値輸出に占める割合と
NRCA は上昇している傾向にあったが、2011 年以降の輸出鈍化から見る
と、日本と同様に世界の付加価値に占める割合が低下する局面に移行し
た可能性が大きい
→高付加価値を国内に残して NRCA を高めることが必要
<中国>
・中国は、2011 年に 1995 年と同じ位置に戻る特異な動きを見せている
→「世界の工場」と称されながらも、産業の高付加価値化(国内で調達可
能な付加価値が増えたかどうか)においてはほとんど進展がなかった
ことを意味する
・ASEAN 経済共同体(AEC)や TPP の影響を受け、中国の製造業がこれま
で担ってきた労働集約的な工程の一部が ASEAN に移転する可能性が考
えられる
⇒中国は貿易構造の転換、産業の高付加価値化が課題であると思われる
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小括
中国の製造業の世界輸出に占める付加価値輸出シェアは、日本と同水準か
それを上回ることが確認されたが、NRCA 指数の推移で見ると GVC が最も
発展している電機・光学以外にグロスベースと付加価値ベースとの大きな差
は確認されなかった。
さらに GVC における中国製造業の発展段階を、付加価値輸出額/GDP と
付加価値輸出比率の二点から分析した結果、日本、韓国と比べて位置の変化
は起きておらず、産業の高付加価値化は起きていないと考えられる。よって
中国の製造業の競争力は労働集約的生産工程で維持していると考えられ、今
後資本集約的生産工程に移行し、産業の高付加価値化をいかに実現させてゆ
くかが課題であるが、中国製造業は付加価値比率と GDP に対する付加価値輸
出比率がこれまでのように上昇しない時期を迎えると予測される。
33
おわりに
東アジア貿易は中国、ASEAN の GVC への参入よってさらに成長し、いま
や世界貿易の成長の 8 割に寄与している。しかし牽引役である中国は 2009
年頃から新常態を迎えており、中国の輸入減速が、東アジアに影響を与えて
いることが確認された。
そこで、本論文では中国の輸出についてグロスベースと付加価値ベースの
観点から比較分析を行い、中国のグロスベース・付加価値ベースでの国内付
加価値額の増加傾向、国内付加価値輸出比率の低下傾向を確認した。さらに、
産業別付加価値輸出比率の変化を追うことで各産業における付加価値輸出比
率の低下傾向が見受けられたことを加味すると、中国の GVC への参入が年々
大きくなってきていると考えられる。
しかし、NRCA 指数の推移を確認すると、”国内付加価値額の増加・GVC
への参入による付加価値比率の低下”と”中国製造業の高付加価値化・競争力向
上”との相関関係は確認できなかった。また、GVC における中国製造業の発
展段階を分析した結果として多くの産業で高付加価値化が起きていないこと
が確認できたことから、実際は低付加価値生産を労働集約的に進めることで
競争力を維持していることが明らかになった。
今後、中国の製造業は付加価値比率と GDP に対する付加価値輸出比率がこ
れまでのように上昇することは難しいのではないかと思われる。中国政府は
各産業における労働集約的工程を資本集約的工程に移行し、新常態の下に政
策目標として掲げる産業の高付加価値化を実現していくかが課題となってい
る。
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34
(付録)
付録 1 貿易推移金額(単位:100 万ドル)
貿易 付加価値貿易
輸出 輸入 貿易収支 輸出 輸入 貿易収支
1995 年 143428.3 121866.6 21561.7 94856.3 73294.5 21561.8
2000 年 271619 243006.5 28612.5 168877.5 140264.8 28612.7
2005 年 795480.5 669711.7 125768.8 486524.6 360755.8 125768.8
2008 年 1502154 1151820 350334.1 996833.1 646498.9 350334.2
2009 年 1280343 1056265 224077.6 680981 636903.3 224077.7
2010 年 1647718 1424333 223385.2 1085489 862103.4 223385.3
2011 年 1969214 1781533 187681.5 1290695 1103013 187681.7
(資料):OECD TiVA_October2015 より作成
35
付録 2 東アジア各国と ASEAN のグロスベースの貿易収支推移(単位:100 万ドル)
付録 3 東アジア各国と ASEAN の付加価値ベースの貿易収支推移(単位:100 万ドル)
(資料):OECD TiVA_October2015 より作成。
1995 2000 2005 2008 2009 2010 2011
日本 -3260 -1926 6910 22301 19358 38068 20989
韓国 3252.5 1455.4 42621 38789 57708 75031 87704
香港 -5524 -4750 3246.8 168.77 829.12 -2.6 1307.4
台湾 8101.9 15965 52561 66832 58345 80032 86643
ASEAN 2030.2 9861 22750 23626 31427 50431 59769
-20000
0
20000
40000
60000
80000
100000
1995 2000 2005 2008 2009 2010 2011
日本 -5118.4 -4307.5 -2581.5 -8435.6 264.08 14780.9-2836.2
韓国 -260.012071.698243.65-1744.512546.416999.419034.1
香港 -3662.9 -4460.4 738.03 -291.95 527.08 800.6 3306.14
台湾 1024 3737.9512645.313068.117040.721749.523172.6
ASEAN 592.91 4895.266274.471720.7511112.117778.623972.4
-15000-10000-5000050001000015000200002500030000
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36
付録 4 中国の対東アジアの付加価値輸出比率の推移
(資料):OECD TiVA_October2015 より作成。
付録 5 付加価値ベース NRCA 指数
(資料)OECD TiVA_October2015 より作成。
1995 2000 2005 2008 2009 2010 2011
輸出 8494.27 14172.85 21923.6 31248.96 29601.08 33701.68 43190.92
付加価値輸出 2564.19 5193.09 7767.76 10420.83 10181.01 11199.26 14088.84
付加価値輸出比率 30.2% 36.6% 35.4% 33.3% 34.4% 33.2% 32.6%
輸出 3924.64 6368.64 16946.77 33704.28 27947.71 39883.9 54111.84
付加価値輸出 2543.06 3651.16 9187.14 13250.2 14534.1 18624.2 23358.78
付加価値輸出比率 64.8% 57.3% 54.2% 39.3% 52.0% 46.7% 43.2%
輸出 4219.47 4310.21 17360.45 39642.65 18280.62 27837.02 39085.81
付加価値輸出 1997.21 1685.48 6702.45 14953.62 9970.94 12999.6 16472.77
付加価値輸出比率 47.3% 39.1% 38.6% 37.7% 54.5% 46.7% 42.1%
輸出 874.73 2164.18 8153.89 19881.89 17300 21559.23 28466.52
付加価値輸出 644.25 970.14 3278.91 7620.65 6691.53 9425.6 10610.87
付加価値輸出比率 73.7% 44.8% 40.2% 38.3% 38.7% 43.7% 37.3%
輸出 3607.21 13368.49 57204.55 91509.2 79827.87 97871.21 126603.65
付加価値輸出 1113.77 2966.16 8846.58 14690.39 13165.54 16501.68 20755.29
付加価値輸出比率 30.9% 22.2% 15.5% 16.1% 16.5% 16.9% 16.4%
輸出 535.98 1589.48 3474.78 8408.33 6856.41 8261.7 11683.32
付加価値輸出 359.49 884.69 1709.56 3265.92 3372.88 4665.29 5415.01
付加価値輸出比率 67.1% 55.7% 49.2% 38.8% 49.2% 56.5% 46.3%
基礎金属・金属製品
化学・非金属
衣料品
輸送機器
電機光学
機械設備
37
付録 6 グロスベース NRCA 指数
(資料)OECD TiVA_October2015 より作成。
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38
参考文献
・参考文献
関志雄【2015】『中国「新常態」の経済』日本経済新聞出版社
南亮進・牧野文夫【2012】『中国経済入門』日本評論社
加藤弘之・上原一慶【2011】『現代中国経済論』ミネルヴァ書房
馬成三【2007】『現代中国の対外経済関係』明石書店
深尾光洋【2006】『中国経済のマクロ分析』日本経済新聞社
丸川知雄【2013】『現代中国経済』有斐閣アルマ
・参考論文
三浦有史【2016】「東アジアの相互依存と競争関係はどう変わったのか ―付加
価値統計からみた日中韓の比較優位―」『JRI レビュー2016 Vol.3 No.3』調査部
主任研究員
広田有史【2014】「国際価値連鎖の下における付加価値貿易と中国の影響」『広
島経済大学経済研究論集 第 37 巻第 2 号』広島経済大学経済学部准教授
小山大介【2016】「日中米三か国における付加価値貿易構造~アジアの国際分業
と日中米貿易の位置~」『立命館国際地域研究 第 43 号』 宮崎大学テニュア
トラック推進機構
猪俣哲志【2014】「東アジアの付加価値貿易」『一橋大学学士課程学位論文 一
橋大学機関レポジトリ HERMES-IR』ジェトロ・アジア経済研究所 開発研究
センター 上席主任調査研究員
大橋英夫【2013】「中国における対外経済政策の転換」『JRI レビュー 2013 Vol,3
No.4』専修大学経済学部 教授
・参考資料
ジェトロ世界貿易投資報告【2015】「グローバル・ビジネスの深化に向けた新た
な取り組み」『JETRO』
ジェトロ世界貿易投資報告【2016】「広域経済圏と日本企業の成長戦略」『JETRO』
行政院外匯貿易審議委員会『国際貿易月刊』
39
胡江雲【2011】『中国対外貿易の主な特徴及び将来の展望』内閣府経済社会総合
研究所
日本経済新聞社【2002】『WTO 加盟後の中国経済』日本経済新聞社
・参考 Web
UN Comtrade
http://comtrade.un.org/
(2016/10/15)
OECD (Trade in Value Added (TiVA) – October 2015)
http://stats.oecd.org/
(2016/9/21)
IMF World Economic Outlook Database
http://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2016/02/weodata/index.aspx
(2016/8/25)
関志雄【2014】付加価値から見た中国の対外貿易の実態 RIETI 独立行政法人
経済産業研究所
http://www.rieti.go.jp/users/china-tr/jp/ssqs/140108-2ssqs.html
関志雄【2015】『「製造強国」を目指す「メイド・イン・チャイナ 2025」計画』
RIETI
独立行政法人経済産業研究所
http://www.rieti.go.jp/users/china-tr/jp/150804sangyokigyo.html
田中鮎夢【2014】「付加価値貿易」RIETI 独立行政法人経済産業研究所
http://www.rieti.go.jp/users/tanaka-ayumu/serial/026.html
獨協大学経済学部
全載旭研究会
2016.10.29
40
三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング【2016】『中国経済レポート NO.52「中
所得国のわな」克服に挑む中国~貿易構造から見えてくる産業構造高度化の姿
~』
http://www.murc.jp/thinktank/economy/analysis/china/china_160323.pdf
井上和子【2007】「拡大する中国の貿易黒字と貿易構造転換―進められる加工貿
易の抑制―」
http://mitsui.mgssi.com/issues/report/r0712c_inoue.pdf
RIETI-TID 2014
http://www.rieti-tid.com/
(2016/8/11)
みずほ銀行『【Focus2】「新常態」時代の産業政策‐「中国製造 2025」と社会的
課題解決型ビジネス‐』
http://www.mizuhobank.co.jp/corporate/world/info/cndb/economics/msif/pdf/R
516-0007-XF-0105.pdf
梶原 弘和・荒井 崇「No.122 : 東アジア域内分業の変化 -中間財分業から最終
財分業へ-」富士通総研
http://www.fujitsu.com/jp/group/fri/report/research/2001/report-122.html
中国トランザクションバンキング部【2015】「直近の中国貿易状況~低迷が続く
も「一帯一路」などが期待」中国調査室
https://reports.btmuc.com/File/pdf_file/info001/info001_20150826_001.pdf
三井住友信託銀行【2016】世界貿易の低迷と中国経済の構造変化 『調査月報』
http://www.smtb.jp/others/report/economy/51_2.pdf

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