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ICANN 49 Business Digest_Japanese
- 2. ビジネスダイジェストを発行する目的
このダイジェストはICANN公開会議の主な内容を振り返り、ICANNの作業成果の影響
を受けるさまざまな業界のステークホルダーや関連業界の方々のためにわかりやすく
ま と め た も の で す 。 ご 意 見 や コ メ ン ト は 、 I C A N N ビ ジ ネ ス 推 進 チ ー ム
(businessengagement@icann.org)までお寄せください。
ICANNの作業、インターネットガバナンス、およびビジネス界からの参加について、関
連する企業に最新情報をお届けするため、このビジネスダイジェストの内容は、2つの
ソーシャルメディアで補完されます。関連するビジネスリーダーが継続的にアイデアを
共有、交換する場であるTwitterフィード@ICANN4bizとLinkedInグループICANN for
Businessをご利用ください。みなさまの積極的なご参加とご意見をお待ちしております。
要約
2014年3月23~27日、シンガポールでICANN 49公開会議が開催されました。オンライン
登録者数2,000名以上、参加者数は1,940名に上り、シンガポールオペレーショナルハブ
を運営するICANNチームにとって大成功のイベントとなりました。
シンガーポールでICANN公開会議が開催されるのは、今回が初めてではありません。実
は、2011年のICANN 41よりも前、記念すべき第1回のICANN会議もシンガポールで開催
されたのです。ただし、今回は、2013年8月にICANNシンガポールハブが設立されて以
来、初めての地元開催です。シンガポールハブは、ICANNのアジア太平洋(APAC)地
域重視を示すものです。スタッフ数は現在市内に8名、地域全体で14名ですが、今後数
年間で確実に増加するもようです。
ICANN 49は歴史に残る公開会議となりました。ICANNがとりまとめているIANA機能の
監督権限をグローバルマルチステークホルダーコミュニティに移管するという計画が米
国政府から発表され、それに対処するための意見と提案をコミュニティから募るプロセ
スがこの会議で開始されました。シンガポール会議の数日後、2014年4月8日にコミュ
ニティからの最初のフィードバックに基づくドラフト版の提案書が、ICANN Webサイ
トに掲載されました。最終的な提案をコミュニティ主導で作成し、幅広い支持を得られ
るように、ICANNは、グローバルステークホルダーコミュニティから意見とフィードバ
ックを集めて盛り込むべく取り組んでいます。意見やフィードバックは、ianatransition
@icann.orgメーリングリストに投稿すればいつでも送ることができます。
以下は、主な議題の内容です。
• ICANN 48でのビジネスプログラムの成功を踏まえ、ビジネス推進チームは、
APAC地域対応チームと緊密に連携して、活気のある当地域のビジネスコミュニ
ティを対象に、ICANNの作業成果とそれがビジネスの成功をどう支えているか
が伝わるように複数のイベントを開催しました。
• 新しい分野別トップレベルドメイン(gTLD)プログラムが実装フェーズに入り、
名前の衝突の問題と、その最後の解決手段であるオークションが議論の中心と
なりました。ICANN 49は、申請者と新規レジストリが新gTLDの発展についてス
タッフと話し合い、レジストリ運営のベストプラクティスについて話を聞く場
となりました。
• ICANN 49は、新gTLDを申請したブランドにとって極めて重要な会議でした。
Specification 13が新gTLDレジストリ契約(RA)に採用され、ICANNで「.Brand
TLD」と認識されたTLDを運営するレジストリオペレータに適用されるように
なったためです。
• インターネットのセキュリティと安定性の問題が、特にIANA機能の監督権限
移管に関連して注目を集めました。検索リスト処理や分散型サービス拒否攻撃
(DDoS)などは、ネットワークの機能に影響を与えるおそれがあるため、特
に企業に関係の深い問題です。
- 3. 略語
APAC – Asia Pacific(アジア太平洋)
BGC – The Boston Consulting Group(ボストンコンサルティンググループ)
BCUC – Business and Commercial Users Constituency(ビジネスおよび商用ユーザー
部会)
ccTLD – Country code Top Level Domain name(国コードトップレベルドメイン名)
CSG - Commercial Stakeholder Group(商用ユーザーステークホルダーグループ)
DDoS – Distributed Denial of Service(分散型サービス拒否)
DNS - Domain Name System(ドメインネームシステム)
DNSSEC – Domain Name System Security Extensions(DNSセキュリティ拡張)
GAC – Governmental Advisory Committee(政府諮問委員会)
GDD – Global Domain Division(グローバルドメインディビジョン)
GNSO - Generic Names Supporting Organization(ジェネリックドメイン名支持組織)
gTLD - Generic Top-Level Domain name(分野別トップレベル ドメイン名)
IANA – Internet Assigned Numbers Authority(インターネット割り当て番号局)
IDN – Internationalized Domain Name(国際化ドメイン名)
ISIF – Information Society Innovation Fund(情報社会イノベーション基金)
IPC – Intellectual Property Constituency(知的財産権部会)
ISPCP – Internet Service Providers and Connectivity Providers Constituency(インター
ネットサービスプロバイダおよび接続プロバイダ部会)
RA - Registry Agreement(レジストリ契約)
SSAC - Security and Stability Advisory Committee(セキュリティと安定性に関する諮
問委員会)
このレポートで使用されている略語についての詳細は、ICANN GNSOのAcronym Helper
を参照してください。
- 4. 1
開催地紹介:シンガポールと地域について
シンガポール会議の開会式には、シンガポール政府からシンガポール情報通信開発庁
(IDA)の副長官兼総裁であり、シンガポールネットワーク情報センター(SGNIC)の
会長であるLeong Keng Thai氏とシンガポール通信情報担当大臣であるDr. Yaacob
Ibrahimが出席しました。
両氏より、シンガポールのインターネット統計について興味深い話がありました。
• 2014年のIT支出額は、前年比約4.4%増の200億米国ドル超と予測されています。
• シンガポールの家庭の約84%はブロードバンドにアクセスできます。モバイル
普及率は156%に達し、モバイル加入者の大半は少なくとも3G接続、24%はす
でに4G接続を利用しています。
• シンガポールの企業の80%はブロードバンド接続を利用し、約46%にはWebプ
レゼンスがあります。
• シンガポールの次世代全国ブロードバンドネットワークでは、家庭と企業の
95%以上に最大1GB/秒の超高速ファイバーブロードバンド接続環境が提供さ
れます。
• 小売サービスプロバイダ間の競争により、消費者は月額40米国ドル未満の料金
で1GB/秒の接続を利用できます。
• 企業の場合、高速ファイバー ブロードバンドにより、データセンターの接続
コストが削減され、スループットは増加しています。世界への接続環境が整っ
た結果、シンガポールは7,000社もの多国籍企業の拠点となっており、アジア
での業務をサポートするハブとして機能しています。
• eフリクション(摩擦)スコアが31のシンガポールは、インターネット開発へ
の阻害要素がない国として世界で15位にランクされました。こ
の指標は、ICANNがボストンコンサルティンググループ(BGC)
に委託したレポートで定義されました。BCGレポート「インタ
ーネット経済を円滑に進める」では、国がインターネットの潜
在力をフルに引き出すうえでの4つの阻害要素を、1.インフラ
関連のフリクション、2.業種関連のフリクション、3.個別のフ
リクション、4.情報関連のフリクションとして定義しています。
ICANN APACチームは、特に地域内のステークホルダーに向け、ICANN 49 DNSSECの
事前トレーニング、SME ビジネス会議「インターネットとビジネス」、DNSフォーラ
ム セッション、アジア太平洋地域の開発ITプロジェクトに関する情報社会イノベーシ
ョン基金(ISIF)アジアプレゼンテーション)、アジア太平洋地域におけるICANNの取
り組み – APACハブの推進戦略および活動に関するレポートなど、一連のイベントを
開催しました。
ビジネス推進チームが地域対応チームや地域のステークホルダーと密接に連携し、戦
略的な活動と会議の準備にあたりました。ICANN 49で新たに参加する企業向けに、
ICANN会議の内容と方針策定に積極的に参加している各ビジネスセクター部会につい
て説明する事前ウェビナーは、こちらからご覧いただけます。
- 5. 2
開会式と理事長による開会の挨拶
ICANN 49開会式ではまず、ICANN理事長のDr. Steve Crockerが、前回のシンガポール
開催ICANN会議である2011年7月のICAN 41においてICANN理事会が新gTLDプログラ
ムを正式承認したときの短いビデオを紹介しました。Dr. Crockerはまた、米国政府が
発表したIANA機能の監督権限移管についても触れました。
Dr. Crockerがシンガポール政府から出席したLeong Keng Thai氏とDr. Yaacob Ibrahim
を紹介し、両氏は、シンガポールがICT分野で非常に有利な位置にあること、シンガポ
ール国内のインターネットインフラを保護し開発を進める計画であることを説明しま
した。
ICANNのアジアステークホルダー対応担当副社長であるYu-Chuang Kuekが登壇し、
ISIF賞を授与しました。ISIFはICTのイノベー
ションへの重要な貢献に対し、以下の4部門
の賞を授与しています。
1. アクセス提供におけるイノベーション
2. 学習とローカリゼーションにおける
イノベーション
3. 公益の規範
4. 権利
ICANNのCEO兼事務総長であるFadi Chehadéも登壇し、2年間の在任期間を振り返り
ながら、現在取り組んでいるトピック、予定されているトピック、今後のフェーズを
円滑に進めるためにICANNが重点を置く領域について説明しました。最初に取り上げ
たのがICANNの中核業務です。
• グローバルドメインディビジョン(GDD)
• グローバルステークホルダー対応(GSE)
• ICANNとIANAのグローバル化
• グローバルインターネットガバナンス
Chehadéは、インターネットエコシステム全体の未来を方向付けるためにいくつかの
重要な点について詳細に説明しました。
ICANNとIANAのグローバル化については、IANAの監督権限がグローバルマルチステ
ークホルダーコミュニティに移管されることと、現在のIANA機能に関するICANNの契
約が2015年に終了した後の将来的なICANNのグローバルな説明責任との違いを明らか
にしました。
グローバルインターネットガバナンスのトピックについては、グローバルなインター
ネット共同運用およびガバナンスに関するハイレベル協議および将来のインターネッ
トガバナンスに関するグローバルマルチステークホルダー会議(NETmundial)の作
業と狙いについて説明しました。
- 7. 1
Specification 13
コミュニティとの数か月に及ぶ共同作業の結果、2014年4月14日にICANNはSpecification
13の対象を認定するプロセスを公開しました。申請フォームをダウンロードできます。
ブランドレジストリグループは、本仕様の定義とドラフト作成において重要な役割を
果たしました。ブランドレジストリグループについての詳細は、Webサイトを参照す
るか、ICANN 49のセッションの記録を参照してください。
Specification 13では、「.Brand TLD」と認められたTLDのレジストリオペレータは条
件が緩和されます。たとえば、.Brand TLDには、レジストラとの関係について他のレ
ジストリと同様の要件を求められません。新gTLD申請全体の実に1/3が.Brand TLDと
して認められる可能性があります。
ICANNは、2013年12月6日、提案されたSpecification 13のドラフト版を「2013年レジ
ストリ契約」に掲載し、パブリックコメントを募集しました。最終ドラフト版は、
ICANN理事会の新gTLDプログラム委員会(NGPC)に検討のために提出され、シンガ
ポールのICANN 49において承認されました。
詳細:Specification 13
• Specification 13に対するパブリックコメントの要約と分析
ICANNのドメインネームシステム(DNS)業界対応担当副社長Cyrus Namaziの
ブログを参照してください。
• Specification 13 FAQ
新gTLDの競合セットのオークション
新gTLDごとの運営レジストリは1つに限定されるため、複数の団体から同じTLDまた
は文字列が申請された場合にはさまざまな方法で解決されます。ICANNは、同じ文字
列で競合するレジストリに、当事者間で競合を解決するように促しています。新gTLD
プログラムオークションは、文字列競合を解決する最終的な手段です。申請者ガイド
ブックに含まれるオークションやその他のプログラム要素を定義するための議論には、
コミュニティが参加しました。
暫定版のオークション規定は2013年11月1日に公開され、その後コミュニティのフィ
ードバックを反映して改訂されました。改訂版のオークション規定は2013年12月に公
開され、ICANN Webサイトでパブリックコメントが募集されました。2014年2月の期
限までに23件のコメントが寄せられ、2014年3月5日にパブリックコメントに関するレ
ポートが公開されました。これらのコメントと、シンガポールのICANN 49期間中に新
TLD申請者グループ(NTAG)から提起された懸念事項を検討し、オークション規定と
入札者契約の最終版が作成されました。新gTLDの申請者は、新gTLDプログラムオー
クションに参加する前に入札者契約を締結し、また、オークション規定を遵守する必
要があります。
詳細:オークション
• 新gTLDオークション Web ページ
オークションに関する最新情報。基本を学んだり、新gTLD申請者向けのオー
クションリソースセクションにアクセスして、オークション規定、入札者契約、
入札者フォーム、オークションスケジュールなどの文書をダウンロードしたり
できます。