17.3.2 Vertical integration and long-term contracts as partial deterrence devices
(部分的な抑制装置としての垂直的統合と長期契約)
・主題:排他的取引条項は反競争...
である。(終)
Ⅱ垂直的統合を含むモデル
新規参入企業の費用がわかる前に卸と既存企業が統合し、その後新規参入企業が参入す
る状況を考える(ただし参入費用 e は十分に小さいものとする)。そして、統合された卸の
企業は新規参入企業の費用を知る前に...
以上を踏まえて、長期的契約を通して垂直的統合と同様の配分を達成し、実際それが利潤
最大化の戦略となっていることを確認する。
まず、既存企業が商品を
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THIS IS THE SLIDE THAT I USED IN MY CLASS. IT'S ABOUT SUPPLY CHAIN MANAGEMENT AND ECLUSIVE DEALING. NOTE THAT I WROTE THIS PAPER IN JAPANESE.

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17.3.2vertical integration and long term contracts as partial deterrence devices

  1. 1. 17.3.2 Vertical integration and long-term contracts as partial deterrence devices (部分的な抑制装置としての垂直的統合と長期契約) ・主題:排他的取引条項は反競争的になりえないという一般的な了解について問いを立てる こと ・内容…{ Ⅰ垂直的統合、長期的契約を想定しないモデル Ⅱ垂直的統合のモデル Ⅲ長期的な排他的契約のモデル 垂直的統合は社会的に非効率的な参入を引き起こすこと、長期的な排他的契約は垂直的 統合と同じ効果をもたらすことを示す。 全体の前提としては、消費者の支払意思がみな等しく1であるような市場において、単位 需要:Q(p)=1 を仮定する。既存のメーカーは限界費用Ci = 1 2 、新規参入のメーカーの限界費 用CEは0 ≤ CE ≤ 1を満たす。CI < 𝐶 𝐸のときには既存企業から、CI > 𝐶 𝐸のときには新規参入 企業からバイヤー(卸)が利潤を得られるとき社会的に最適な配分がなされている。しかし、 この時点で既存企業は新規参入企業の費用変数(CE)はわからない。こうした前提のもと各 モデルを検討し、主題の是非を改めて確認する。 Ⅰ長期的契約、垂直的統合の双方とも想定しないモデル(単純な価格競争) 新規参入企業の限界費用は0 ≤ CE ≤ 1を満たし、競争は対称なベルトランモデルに一致する。 均衡価格は p∗ = { 1 2 𝑖𝑓 𝐶𝐼 > 𝐶 𝐸 𝐶 𝐸 𝑖𝑓 𝐶𝐼 < 𝐶 𝐸 したがって既存企業の利潤は ∫ ( 𝐶 𝐸 − 𝐶𝐼) 𝑑𝐶 𝐸 = ∫ 𝐶 𝐸 𝑑𝐶 𝐸 − 1 4 = 1 8 1 1 2 1 𝐶 𝐸 また、新規参入企業の利潤は ∫ ( 𝐶𝐼 − 𝐶 𝐸) 𝑑𝐶 𝐸 = 1 4 − ∫ 𝐶 𝐸 𝑑𝐶 𝐸 = 1 8 1 2 0 𝐶 𝐼 0 期待価格は ∫ max{ 𝐶𝐼,𝐶 𝐸} 𝑑𝐶 𝐸 = 1 4 + 1 2 ∙ 3 4 = 5 8 1 0 卸の総余剰は 1 − 5 8 = 3 8
  2. 2. である。(終) Ⅱ垂直的統合を含むモデル 新規参入企業の費用がわかる前に卸と既存企業が統合し、その後新規参入企業が参入す る状況を考える(ただし参入費用 e は十分に小さいものとする)。そして、統合された卸の 企業は新規参入企業の費用を知る前に新規参入企業に対して売買の提示をする力を持って いる。 統合された卸の企業は商品を仕入れるための期待コストを最小化するような価格を新規 参入企業に提示する。この時、新規参入企業が卸の企業にアクセスすることは困難である。 卸の企業は、統合内部でCI = 1 2 で購入するか新規参入企業に対して価格 p を提示する。これ に対して新規参入企業はp ≥ CEならば受け入れる。また、提示価格 p は商品の仕入れコスト が最小となるように設定されるので、期待価格は 𝑚𝑖𝑛p𝑃𝑟𝑜𝑏{CE ≤ p} + 1 2 𝑃𝑟𝑜𝑏{CE ≥ 𝑝} であらわされる。CEは[0,1]で一様であるので𝑃𝑟𝑜𝑏{CE ≤ p} = p、𝑃𝑟𝑜𝑏{CE ≥ p} = 1 − pとな る。つまり上式は 𝑚𝑖𝑛p2 + 1 2 (1 − 𝑝) p について最大化すると 2p − 1 2 = 0 ↔ 𝑝 = 1 4 上流企業として自前のメーカーを抱える卸の企業は新規参入企業に対して価格p = 1 4 を提示 するが、結果として不十分な参入になってしまう。というのも、CE ∈ ( 1 4 , 1 2 )のとき社会的に は効率的であるにも関わらず新規参入が発生しないのである。 Ⅲ長期的な排他的契約を含むモデル 契約の打診から交渉締結まで以下の段階のように進めるものとする: t=1…メーカーが卸の企業に排他的契約を持ちかける t=2…卸の企業が契約の成否を決定する t=3…新規参入企業がそのコストを見て参入するか否かを決定する t=4…t=2 で契約を拒否する⇒メーカー間での価格競争 t=2 で契約を受け入れる⇒約定価格に沿って新規参入企業もその価格をつける 卸の企業と既存のメーカーの垂直的統合により社会的な配分は非効率になる。統合され た卸の企業は外部のメーカーに対してあまりにも低い価格を提示することにより市場支 配力を高めることができるためである。
  3. 3. 以上を踏まえて、長期的契約を通して垂直的統合と同様の配分を達成し、実際それが利潤 最大化の戦略となっていることを確認する。 まず、既存企業が商品を 3 4 で提供し、また卸の企業が排他的契約に違反した場合ペナルテ ィーとして 1 2 を与えるような性質の契約を考える。卸の企業がこの契約を受け入れるとする と、この卸の企業が契約を締結することについては条件が付くので新規参入企業の戦略に ついて考察することができる。新規参入企業が取引の提示をすると、卸の企業は約定損害賠 償を差し引いて契約を尊重する場合支払いをしなければならない限りこの提示を受け入れ ることになる。このとき価格: p ≤ 3 4 − 1 2 = 1 4 を満たす値 p で受け入れる。これは t=4(交渉の成否の結果)で新規参入企業がそのコスト をカバーできる場合p = 1 4 をつけることを表す。またコストがこれ以下ならば t=3(新規企業 の参入の可否)で新規参入企業の活動は活発になる。つまり垂直的統合の時と配分は等しく なるのである。 次に、卸の企業が契約をするインセンティヴについて考える。もし卸の企業が打診された 契約を破棄して新規企業が参入する場合、メーカー間で価格の競争(ベルトラン競争)にな ると思われる。このとき、費用についてはCE ≤ 1 2 の場合に限定される。競争が発生する状況 下では新規参入企業はCI = 1 2 で販売するか、またはCE > 1 2 で参入が起こらないかのどちらか である。もし参入が生じなければ既存企業の独占状況により最大の余剰を上回ることがで きる。このことは卸によりメーカーに支払われる期待価格が「確率×価格」より 𝑃𝑟𝑜𝑏 {CE ≤ 1 2 } ∙ 1 2 + 𝑃𝑟𝑜𝑏 {CE > 1 2 } ∙ 1 = 1 2 ∙ 1 2 + 1 2 ∙ 1 = 3 4 であることを意味している。この期待価格は契約がなされた場合も同様に 3 4 となる。つまり 卸の企業に契約を拒否するインセンティヴはない、つまり契約を受け入れるのである。垂直 的統合のもとでは既存企業と卸の企業の余剰は最大化され、また新規参入企業の利潤も垂 直的統合と排他的契約の場合では同様になるので、契約を結ぶことにより既存企業の利潤 が最大化される。既存企業の期待利得は (p − CI) 𝑃𝑟𝑜𝑏 (CE ≥ 1 4 ) + 𝑝𝑒𝑛𝑎𝑙𝑡𝑦 × 𝑃𝑟𝑜𝑏 (CE < 1 4 ) = ( 3 4 − 1 2 ) ∙ 3 4 + 1 2 ∙ 1 4 = 5 16 ただし契約には新規参入企業がローコストを実現した場合を想定し、契約不履行となるな らば既存企業の利潤が契約不履行を想定しない場合よりも利潤が大きくなるという性質が あり、期待利得の計算にも第二項に含まれて表現されている。 また、そもそも t=1(交渉の打診)において契約を打診しないとするならば、既存企業は CI ≤ 𝐶 𝐸である限りCEで販売し、利潤は ∫ ( 𝐶 𝐸 − 1 2 ) 𝑑𝐶 𝐸 = [ 1 2 𝐶 𝐸 2]− 1 2 = ( 1 2 − 1 8 ) − 1 2 = 1 8 1 1 2
  4. 4. となるが、これは明らかに 5 16 > 1 8 であり有益ではない。つまり既存企業にとっては契約を 打診するほうが有利に作用する。 以上のことをまとめると、新規参入企業のコストが不明瞭なモデル(本稿CEが変数であ る状況)においては卸の企業により結ばれる新規参入より以前に既存企業が排他的契約を 提示する。この契約により垂直的統合により配分が達成され参入障壁を形成する。より一般 には、排他的取引は反競争的な性質のものとなる。 不完全競争のもとでは、新規参入が生じるより以前に結ばれた排他的取引契約が参入障 壁を形成する可能性を持つ。実際には、福祉の観点からすると新規参入というのは殆ど起 こらない。

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