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2000年代女性誌における野党の政治広告の研究序論――『an・an』を中心に

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2020年2月16日社会情報学会関東支部2019年度研究発表会報告資料です。
「2000年代女性誌における野党の政治広告の研究序論――『an・an』を中心に」

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2000年代女性誌における野党の政治広告の研究序論――『an・an』を中心に

  1. 1. 2000 年代女性誌における野党の 政治広告の研究序論 ―― 『an・an』を中心に 2020/02/16 @ 社会情報学会関東支部2019 年度研究発表会 西田亮介 東京工業大学リーダーシップ教育院/リベラルアーツ研究教育院 /環境・社会理工学院准教授 ryosukenishida@gmail.com
  2. 2. 概要と目的 • 本報告では、先行する拙報告(西田 2019b)に引き続き、既存の先行研 究で言及された2000年代(2000年1月〜2009年12月)の女性誌(マガジン ハウス社『an・an』)における政治広告を「発見」するとともに、まずはその 「乏しさ」等を指摘し、日本の女性誌における政治広告研究の端緒とする。 • 本報告では、野党の政治広告を対象とする。 • 同時に、女性誌における雑誌全般における政治広告研究の遂行上の課 題を本研究会参加者と共有するとともに、解決策を模索し、雑誌分野の 政治広告研究とその手法を検討する。 2
  3. 3. 背景①-1 • 2010年代後半、政治キャンペーンや行政キャンペーンにおいても SNSを活用した新しい手法が様々な形で模索されている。 • 政治や行政のキャンペーンにおけるネットの活用も模索されてい るが、近年の新しいトレンドは従来型手法との高度な融合である (西田 2018, 2019a)。 • それは例えばプレゼントや屋外広告、イベント、マスメディアにおけ る広告等と連関させる手法であり、戦略の高度化である。 • 2019年の「#自民党2019」などはその代表的事例といえる。 • これらを位置づけ、理解するためにはSNSと既存の伝統的な媒体 (マスメディア等)における政党によるキャンペーンや広告等との比 較が必要。 • 新聞、テレビの政党広告研究は存在。しかし雑誌は乏しい。 • 女性誌における政党の政治広告研究に着手(詳細後述)。 3
  4. 4. 4 『読売新聞』「自民党研究 政党を問う」(2019 年12月18日朝刊より引用) 『読売新聞』「自民党研究 政党を問う」(2019 年12月24日朝刊より引用)
  5. 5. 背景①-2 「#自民党2019」 • 自民党が始めたSNSを活用する民間水準の総合的政治キャンペーン。 – プロジェクト特設サイト FILM:#自民党2019 – 「新時代」 アート広告:#自民党2019 – 「新時代の幕開け」 ビジュアル展開:インスタグラム開設・グッズリニューアル – ファッション展開:「NEW GENERATION」"ViVi girl"メッセージTシャツ • プロモーションメディア広告、オンラインキャンペーン、部分的にマスコミを利用する、 訴求対象を明確にした手法といえる。 • 企画する自民党にとっては合目的的な手法。 – 若年層の政府、自民党支持傾向と年長世代の低支持率。年少世代の投票率向上し、年長世代 低投票率は少なくとも動員の論理でいえば自民党にとって好ましくない事態とはいえない。 – 将来世代、ライト支持層の開拓、投資という意味でも合目的的。 5
  6. 6. 背景①-3 「#自民党2019」 6
  7. 7. 7 『#自民党2019』( https://jimin2019.com/#page03 より引用)
  8. 8. 8『グノシーQ スペシャルウィーク 日本政治王決定戦』 ( https://live.gunosy.com/programs/31/664/より引用)
  9. 9. 背景② • ネット、なかでも多様なSNSが登場、普及する まで、雑誌はメディアとして相当な存在感と影 響力を有しており、なかでも女性誌ファッション 誌はそうであった。 – 同時に女性、とくに若年世代女性は自民党が苦手 としてきた対象でもあった。そのため訴求する方法 が模索された。 – 「#自民党2019」でも良くも悪くも女性ファッション誌 『ViVi』との「コラボレーション」が高い関心を集めた。 9
  10. 10. 背景②−2 • 実証研究に限ると、新聞、テレビにおける政治広告に関する研究こそあ れど、国内の雑誌を対象とした政治広告研究はほとんど見当たらない。 – 日米比較を中心にしながら、草創期の日本の選挙キャンペーンを新聞、テレ ビを中心に概観(河村 2001)。 • 「1960 年代後半、選挙区人口がマス化し、政治に無関心ないし浮動層化していく有権 者からの支持を獲得するために、新しいコミュニケーション手段を用いて説得技術を駆 使しなくてはならなくなった。そして、キャンペーンに選挙コンサルタント、広告代理店の 関与が必要となってきた。 1960 年後半からの我が国のキャンペーンは、アメリカ直輸 入型のスタイルであったといえる。 しかし、我が国の場合、選挙での政党・候補者と有 権者とのコミュニケーション手段である政治広告に関して『公職選挙法』の法規がある ため、比較的自由なアメリカのキャンペーン・スタイルとはかなり異なる。しかし、枠内の 中で『抜け穴』を見つけだし、アメリカで展開されているようなスタイルが展開された」(河 村 2001:14)より引用 – 新聞とテレビを総合的に検討(李 2011) – 2010年代前半まで、新聞、テレビ、ネットの政治広告を検討(李 2014) 10
  11. 11. 背景②-3 • 日本の雑誌における政治広告に関する研究は乏しい が、存在する(稲葉 2003) 。 – 「自民党は五月中旬から毎週調査をおこない、広告出稿の タイミングを決めるとともに、ターゲットとなる有権者層を選 択した。調査から二〇パーセントを超える有権者が投票日 前日か当日朝に投票行動を決めることがわかった。そこで、 このような有権者層に訴えかけるために、投票日当日に読 売新聞に見開きのカラー印刷で、巨大な小泉首相の顔写真 と「今日。さあ!あたらしい自民党へ」と書かれた広告を掲 載した。また、首相の支持層を細かく調査分析した結果、核 となっている女性層のうち二〇ー三〇代の支持が弱いこと から、雑誌『アンアン』に「政治家って意外に庶民的!? 議員 のプライベートライフ」と題する広告を掲載し、自民党の若手 代議士がおすすめするお店を紹介した」 (稲葉 2003: 76)よ り引用 – ただしこの記述と参考文献リスト中には当該雑誌の巻号が 記載されていなかったため、当該広告の所在が明らかでは なかった。 – 西田(2019a)を通じて、特定。同誌1276号、p.87-89所収. (右写真) 11
  12. 12. 方法 • 暫定的目標として、2000年1月1日〜2009年12月31日ま での『an・an』の総ページを学生アルバイトを活用して、 総当りし、そこにあるとされる自民党の政治広告を発見 する探索的アプローチ。 • 前述拙報告と同様の手法。だが2005年までとしていた全 報告と比べて探索期間を延長し、 • なぜ『an・an』か – 前述の先行研究を通じて政治広告の存在が実際に確認。 – 女性ファッション誌におけるライフスタイルマガジンとしての 特異な地位。 12
  13. 13. 背景②-1: 2010年女性ヤングアダルト誌・ 女性ミドルエイジ誌の販売部数 13 2010年1月〜3月 女性ヤングアダルト誌 with 講談社 446,667 MORE 集英社 440,000 AneCan 小学館 275,000 Oggi 小学館 225,000 an・an マガジンハウス 203,347 女性ミドルエイジ誌 VERY 光文社 252,000 LEE 集英社 296,667 STORY 光文社 235,000 (日本雑誌協会 https://www.j-magazine.or.jp/magdata.htmlより筆者作成)
  14. 14. 野党の政治広告に関する試行的分析と 暫定的結論 ーーマガジンハウス『an・an』を中心に 14 • 1572号(2007年8月1日号 p.121)に、所収されていたこと が判明(右写真)。 • 出稿元は当時の民主党。 • 前述拙報告とあわせて、2000 年代(2000年〜2009年)中に同 誌における政党出稿の政治広 告は2件(自民党1、民主党1) であることがわかった。 • とくに2005年の「郵政選挙」を 挟んで、2000年代前半は多く の新しいマーケティング手法や 広告手法が試されたが(西田 2015, 2018)、少なくとも同誌で は政治広告が量的に多かった とはいえない。 – 他誌、他の次期ではどうか?
  15. 15. 課題と展望 • 雑誌における政治広告研究の課題。 – 検索タグの不在(国会図書館と大宅壮一文庫)。おそらくそれによる検索利便性の低さが、 雑誌における政治広告研究が乏しい理由ではないか。 – データベースやアーカイブの乏しさ。 • 方法論的課題 – 発行部数の多い雑誌(女性誌)から総当り法を継続しているが、実際、政治広告はほとんど 見当たらない・・・ – 数少ない政治広告の分析視角等のアイディア – 版元や政党広報から過去の掲載、出稿情報をもらえないか。前者は期待薄? – さしあたり(辛うじて)本報告はファクトファインディング型アプローチだが、サンプル数が増え ないことには比較や掘り下げた分析のしようがない・・・ ※ そもそも雑誌は政治広告にあまり活用されていない? ※※ 良いアイディア(人件費?)を求めています。 15
  16. 16. 参考文献 • 稲葉哲郎,2003,「戦略的世論調査の技法」津金澤聡廣・佐藤卓己編『広 報・広告・プロパガンダ』ミネルヴァ書房,75-97. • 河村直幸,2001,「現代日本の選挙キャンペーン広告史――草創期」『現代 社会文化研究』21: 1-18. • 李津娥,2011,『政治広告の研究――アピール戦略と受容過程』 新曜社. • ーーーー,2014,「多様化するメディア環境と政治広告」『マス・コミュニケー ション研究』85: 25-41. • 西田亮介,2015,『メディアと自民党』角川書店. • ーーーー,2018,『情報武装する政治』KADOKAWA. • ーーーー ,2019a,「ネット社会における選挙とメディアーー促進されるイメー ジ政治にどう対抗するか」『新聞研究』818: 58-61. • ーーーー,2019b,「2000年代前半の女性誌における政治広告の分析序論 ――分析の課題とマガジンハウス『an・an』を中心に」(2019年12月14日@ 2019 年度社会情報学会第1回中国・四国支部研究発表会) ( https://www.slideshare.net/NishidaRyosuke/2000-220564703 ). 16

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