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2000年代前半の女性誌における政治広告の分析序論

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2019年12月14日の2019年度社会情報学会第1回中国・四国支部研究発表会での西田報告「2000年代前半の女性誌における政治広告の分析序論」のスライドです。最近関心を持っている政治広告研究の端緒です。

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2000年代前半の女性誌における政治広告の分析序論

  1. 1. 2000年代前半の女性誌における 政治広告の分析序論 ――分析の課題とマガジンハウス『an・an』を中心に 2019年12月14日 @ 2019 年度社会情報学会第1回中国・四国支部研究発表会 西田亮介 東京工業大学リーダーシップ教育院/リベラルアーツ研究教育院 /環境・社会理工学院准教授 ryosukenishida@gmail.com
  2. 2. 目次 • 目的 • 背景 • 方法 • 試行的分析と結論 • 課題と展望 • 参考文献 2
  3. 3. 目的 • 本報告では、先行研究で言及される2000年代前 半の女性誌(マガジンハウス社『an・an』)におけ る政治広告を「発見」するとともに、その乏しさを 指摘する。 • 同時に、女性誌における雑誌全般における政治 広告研究の遂行上の課題を参加者と共有し、解 決作を模索したい。 3
  4. 4. 背景①-1 • 2010年代後半、政治キャンペーンや行政キャンペーンにおいても SNSを活用した新しい手法が様々な形で模索されている。 • 政治や行政のキャンペーンにおけるネットの活用も模索されてい るが、近年の新しいトレンドは従来型手法との高度な融合である (西田 2019)。 • それは例えばプレゼントや屋外広告、イベント、マスメディアにおけ る広告等と連関させる手法であり、戦略の高度化である。 • 2019年の「#自民党2019」などはその代表的事例といえる。 • これらを理解するためにはSNSと伝統的な媒体におけるキャン ペーンの比較が必要。 • そのため女性誌における雑誌広告研究に着手。 4
  5. 5. 背景①-2 「#自民党2019」 • 自民党が始めたSNSを活用する民間水準の総合的政治キャンペーン。 – プロジェクト特設サイト FILM:#自民党2019 – 「新時代」 アート広告:#自民党2019 – 「新時代の幕開け」 ビジュアル展開:インスタグラム開設・グッズリニューアル – ファッション展開:「NEW GENERATION」"ViVi girl"メッセージTシャツ • プロモーションメディア広告、オンラインキャンペーン、部分的にマスコミを利用する、対象セグメントを 明確にしたアプローチを遂行。 • 自民党にとって極めて合目的的な手法。 – 若年層の政府、自民党支持傾向と年長世代の低支持率。年少世代の投票率が向上し、年長世代低投票率が 好ましい。 – 将来世代、ライト支持層の開拓、投資という意味でも合理的。 5
  6. 6. 背景①-3 「#自民党2019」 6
  7. 7. 7
  8. 8. 8『グノシーQ スペシャルウィーク 日本政治王決定戦』 ( https://live.gunosy.com/programs/31/664/より引用)
  9. 9. • ■『グノシーQ スペシャルウィーク 日本政治王決定戦』について「グノシーQ」は情報キュレーショ ンアプリ「グノシー」内で、毎日21:30からライブ配信しているトリビアクイズ番組です。6/10(月)か らの1週間は「グノシーQ」の配信終了後の22:00~22:30に、特別番組『グノシーQ スペシャル ウィーク 日本政治王決定戦』としてライブ配信されます。1日5問の一般知識、雑学など政治に関 わるクイズが出題されます。7日間の合計35問の中で最も正解数の多かったユーザー1名様には 政治王の称号と安倍総裁からのお祝いビデオレターをプレゼントします。7日間を通じて参加した 皆勤ユーザーには抽選による賞品プレゼントも予定しています。 本期間中はFacebook、Twitterにてハッシュタグ「#自民党2019」をつけた、政治関連の疑問質問を ユーザーから受け付け、選ばれたいくつかの質問に対する回答を後日「グノシー」の記事としても 配信します。また番組最終日の放送では、番組MCの他、特別ゲストにタレントの東国原英夫さん をお招きし、クイズに一緒にご参加いただきます。 9 自民党( https://www.jimin.jp/news/activities/139679.html より引用)
  10. 10. 背景② • SNSが登場、普及するまで、雑誌はメディアと して相当な存在感と影響力を有していたし、と くに女性誌ファッション誌はそうであった。 – 同時に女性、とくに若年世代女性は自民党が苦 手としてきた対象でもあった。そのため訴求する 方法が模索された。 – 「#自民党2019」でも良くも悪くも女性ファッション 誌『ViVi』との「コラボレーション」が高い関心を集 めた。 10
  11. 11. 背景②-1: 2010年女性ヤングアダルト誌・ 女性ミドルエイジ誌の販売部数 11 2010年1月〜3月 女性ヤングアダルト誌 with 講談社 446,667 MORE 集英社 440,000 AneCan 小学館 275,000 Oggi 小学館 225,000 an・an マガジンハウス 203,347 女性ミドルエイジ誌 VERY 光文社 252,000 LEE 集英社 296,667 STORY 光文社 235,000 (日本雑誌協会 https://www.j-magazine.or.jp/magdata.htmlより筆者作成)
  12. 12. 背景②-1: 2010年女性ヤングアダルト誌・ 女性ミドルエイジ誌の販売部数 12 2010年1月〜3月 女性ヤングアダルト誌 with 講談社 446,667 MORE 集英社 440,000 AneCan 小学館 275,000 Oggi 小学館 225,000 an・an マガジンハウス 203,347 女性ミドルエイジ誌 VERY 光文社 252,000 LEE 集英社 296,667 STORY 光文社 235,000 (日本雑誌協会 https://www.j-magazine.or.jp/magdata.htmlより筆者作成)
  13. 13. 背景②−2 • 実証研究に限ると、新聞、テレビにおける政治広告に関する研究こそあ れど、国内の雑誌を対象とした政治広告研究はほとんど見当たらない。 – 日米比較を中心にしながら、草創期の日本の選挙キャンペーンを新聞、テレ ビを中心に概観(河村 2001)。 • 「1960 年代後半、選挙区人口がマス化し、政治に無関心ないし浮動層化していく有権 者からの支持を獲得するために、新しいコミュニケーション手段を用いて説得技術を駆 使しなくてはならなくなった。そして、キャンペーンに選挙コンサルタント、広告代理店の 関与が必要となってきた。 1960 年後半からの我が国のキャンペーンは、アメリカ直輸 入型のスタイルであったといえる。 しかし、我が国の場合、選挙での政党・候補者と有 権者とのコミュニケーション手段である政治広告に関して「公職選挙法」の法規がある ため、比較的自由なアメリカのキャンペーン・スタイルとはかなり異なる。しかし、枠内の 中で「抜け穴」を見つけだし、アメリカで展開されているようなスタイルが展開された」(河 村 2001:14)より引用 – 新聞とテレビを総合的に検討(李 2011) – 2010年代前半まで、新聞、テレビ、ネットの政治広告を検討(李 2014) 13
  14. 14. 背景②-3 • 日本の雑誌における政治広告に関する研究は乏しいが、存在する(稲葉 2003) 。 – 「自民党は五月中旬から毎週調査をおこない、広告出稿のタイミングを決め るとともに、ターゲットとなる有権者層を選択した。調査から二〇パーセントを 超える有権者が投票日前日か当日朝に投票行動を決めることがわかった。 そこで、このような有権者層に訴えかけるために、投票日当日に読売新聞に 見開きのカラー印刷で、巨大な小泉首相の顔写真と「今日。さあ!あたらし い自民党へ」と書かれた広告を掲載した。また、首相の支持層を細かく調査 分析した結果、核となっている女性層のうち二〇ー三〇代の支持が弱いこと から、雑誌『アンアン』に「政治家って意外に庶民的!? 議員のプライベートライ フ」と題する広告を掲載し、自民党の若手代議士がおすすめするお店を紹介 した」 (稲葉 2003: 76)より引用 – ただし、この記述には当該雑誌の巻号が記載されていなかったため、当該広 告を見つけるのが容易ではなかった。 14
  15. 15. 方法 • 暫定的目標として、2000年1月1日〜2005年12月31日までの『an・an』を総当りし、そこにあるとされる 自民党の政治広告を発見する探索的アプローチ。 – 『an・an』(Wikipediaの項目より引用) – 『an・an』(アンアン)は、マガジンハウス(旧・平凡出版)が毎週水曜日に発行する女性週刊誌・ファッション雑誌。 (中略)若年層をメインに中年層にも購読されるいわゆるファッション雑誌。話題提供の発信源として認知され、 「デザイナーズブランド」「カラス族」「刈り上げヘア」「ハウスマヌカン」などというファッション系の流行語を数多く 生んだ。1980年代には「スタイリスト」という職業に初めてスポットを当て、また、1990年代には男性や女性のヘ アヌード写真を掲載して話題を呼んだ。女性がファッション・メイク、恋愛・セックス、ダイエット、映画、占い、マ ナーなど、20代の女性に関連する多くのテーマを扱い、また、グラビア誌として、旬の俳優・アイドル・タレント・ス ポーツ選手などを男女問わずに特集している。商業誌の性格上、さまざまなジャンルにおいて購買意欲を向上さ せる記事が多いため、ファッションを評釈するための、いわゆる被服系モード誌とは異なる。女性が興味を持つ ことならばなんでも取り上げる「雑食系」の総合週刊誌に成長している。 – パイロット版である『平凡パンチ』女性版を経て[5]、1970年3月に、フランスの女性向けファッション誌『ELLE』の日 本語版『an・an ELLE JAPON(アンアン エルジャポン)』として創刊[3]。最盛期には約60万部を売り上げた。創刊当 時の編集室は六本木に置かれたが、2年足らずで銀座の平凡出版本社に移転した。1971年に集英社が『non- no』を創刊すると部数は低下したが、女性向け情報誌としては高い人気を誇った。両誌による街や観光地特集 や反響を呼び、雑誌片手に各地に押し寄せる読者たちは「アンノン族」と呼ばれ多くのファッションの流行を生ん だ。1982年に平凡出版は新たに『ELLE』日本語版として『ELLE JAPON(エルジャポン)』を創刊し、『an・an』は独立し たファッション雑誌となった。創刊時の発行回数は月2回だったが、1979年5月に月3回へ変更。さらに1981年8月 には週刊化し、当初は金曜日発売だったが2001年8月22日発売の1279号から水曜日に変更、現在に至る。 • 『an・an』、その他の政治広告の出現程度、内容を明らかにする。 – 学生アルバイトを活用し、週刊(!)の同誌のすべてのページを総当りし、当該広告を「発見」するとともに、同誌 における政治広告の出現頻度や傾向を明らかにする。 15
  16. 16. 16 (『an・an』2019年12月25日号と同12月18日号表紙から引用)
  17. 17. 試行的分析と暫定的結論 ーーマガジンハウス『an・an』を中心に 17 • 1276号(2001年8月3日号 p.87-89)に、所収されてい たことが判明。出稿もとは 自民党。 • ただし、その後、2005年 12月迄のなかに政治広 告は見当たらない(政府 広報は多数)。 • 政党広報や与野党ともに 政治マーケティングに注 力した、2005年郵政選挙 (第44回衆議院議員総選 挙)を挟むが少なくとも同 誌には政治広告を見つけ られなかった。
  18. 18. 課題と展望 • 雑誌における政治広告研究の課題。 – 検索タグの不在(国会図書館と大宅壮一文庫)。おそらくそれによる検索利便性の低さが、 雑誌における政治広告研究が乏しい理由ではないか。 – データベースやアーカイブの見当たらなさ。 • 方法論的課題 – 発行部数の多い雑誌(女性誌)から総当り法を継続しているが、実際、政治広告はほとんど 見当たらない・・・ – 版元や政党広報から過去の掲載、出稿情報をもらえないか。前者は期待薄? – さしあたり(辛うじて)本報告はファクトファインディング型アプローチだが、サンプル数が増え ないことには比較や掘り下げた分析のしようがない・・・ ※ そもそも雑誌は政治広告にあまり活用されていない? ※※ 良いアイディア(人件費)を求めています。 18
  19. 19. 参考文献 • 稲葉哲郎,2003,「戦略的世論調査の技法」津金澤聡廣・佐 藤卓己編『広報・広告・プロパガンダ』ミネルヴァ書房,75-97. • 河村直幸,2001,「現代日本の選挙キャンペーン広告史―― 草創期」『現代社会文化研究』21: 1-18. • 李津娥,2011,『政治広告の研究――アピール戦略と受容過 程』 新曜社. • ーーーー,2014,「多様化するメディア環境と政治広告」『マ ス・コミュニケーション研究』85: 25-41. • 西田亮介,2015,『メディアと自民党』角川書店. • ーーーー,2018a,『情報武装する政治』KADOKAWA. • ーーーー ,2019,「ネット社会における選挙とメディアーー促 進されるイメージ政治にどう対抗するか」『新聞研究』818: 58- 61. 19

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