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2012.03.26 物理学会原発事故シンポ 押川講演

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日本物理学会 第67回年次大会@関西学院大学
物理と社会シンポジウム「福島原発事故と物理学者の社会的責任」
全講演のスライドはこちら→ http://scisochumanity.wordpress.com/2012/03/28/slide-files/

2012.03.26 物理学会原発事故シンポ 押川講演

  1. 1. 2012/3/26 日本物理学会年会@関西学院大学 物理と社会シンポジウム「福島原発事故と物理学者の社会的責任」  原発事故のリスク を考える 東京大学物性研究所・ 東京大学原発災害支援フォーラム(TGF) 押川正毅 ※講演時に利用したスライドと内容は基本的に同じですが、 公開にあたり若干編集・補足を行いました
  2. 2. 「3.11」以前の私 や、たぶん皆さんの多く 原発: よく知らない そんなに関心ない 原子核物理:学部の時習ったけど、かなり忘れた 放射線防護:全然知らない 物理学会に来ても「物理と社会」関係のシンポ ジウムには出席したことない
  3. 3. 「3.11」以降 物理に携わる人間として、 何かするべき? 発言すべき? 何ができる?
  4. 4. 「冷静かつ科学的な情報発信」? 2011.3.11 水野先生と早野先生
  5. 5. 実際には、初期に1、2、3号機がメルトダウンして いたことが(5月になって)確定
  6. 6. 有志による翻訳 2011.3.19公開 http://ribf.riken.jp/~koji/jishin/zhen_zai.html しかし、私(押川)の見解では、このスライドの 内容にはかなりの問題があった
  7. 7. 注:3/15
  8. 8. 文科省・航空機 モニタリングマップ (2011.9)
  9. 9. 福島とチェルノブイリ事故による汚染比較(群馬大・早川氏)  チェルノブイリと「比較の対象になる」広範な汚染
  10. 10. 現状でもかなりの汚染だが、これでも かなり幸運に救われている面も いわゆる「最悪シナリオ」
  11. 11. 現状よりも更に大規模な汚染の可能性もあっ たことを考えても、多くの物理学者の事故当 初の見解はかなり楽観的に過ぎた
  12. 12. 物理学者からの情報発信 ・全体的に楽観的な方向に誤っていたように見える    何故? 念のため: ここで挙げた批判対象の方々は、研究者として尊敬 しており、だからこその疑問です。人格に問題があ るとか意図的なデマという主張では全くないです。 余談: 普段、本業の物理の研究では、結構フランク に相互批判を行なっているのでは?原発問題では (たぶん私も含めて)感情的になりがち? 何故?
  13. 13. 考えられる要因 ・災害時の正常性バイアス 2003.2.18 韓国地下鉄放火事件 煙の充満する中、じっと座って待機する乗客 「冷静」≠ 適切 ・今では原子力と物理研究は「別物」だが、歴史的 には物理学の「成果」である 被害が小さくあって 欲しいという心理的バイアス? ・原子力との研究予算等での関係(比較的少ないとは 言え私にもある) 心理的バイアス? (自覚がなくても利害関係等によるバイアスはあり得る!)
  14. 14. 一番大きな原因? 原子力の「専門家」のミスリードに影響された          (責任転嫁かもしれないが…)
  15. 15. 専門家は何を語ってきたか 原子炉格納容器が壊れる確率は、1億年に1回    大橋弘忠 東大教授 (2005.12.25 佐賀県プルサーマル公開討論会) (「核分裂反応を止めても炉心の温度上昇は続く」との石橋 教授の指摘について、静岡県への回答)※岩波書店「科学」2011年7月号収録 燃料棒は常に水の中にあるべきである 万一の事故に備えて、緊急炉心冷却装置を備えてお り…ウランが溶けないようにしている 班目春樹 東大教授・静岡県アドバイザー(当時)        現・原子力安全委員長
  16. 16. 実はわかってたけど利害関係のために真実を述べて/ 伝えていなかったのか? 自分でも「神話」を信じこ んでいたのか? ・・・両方あるようだ わかっていて(社会一般に)伝えなかった例: 近藤原子力委員長の「最悪シナリオ」 自身も「安全神話」に洗脳されてしまっていた (と思われる)例: (日経 2012.2.27 民間事故調報告記事)
  17. 17. 「専門家」の誤った言説 問題は「3.11」以前の発言に限るものではない 事故が起きたあとも、原発の状況や放射能汚染 の規模についての過小評価が、「専門家」(+ その他の科学者、行政、マスコミ…)によって くり返されてきた
  18. 18. 「AERA」2011.3.19発売号 「パニック・風評被害を る」と批判 を受けたが… 実際に首都圏にまで「放 射能はきた」
  19. 19. 政府は、実は3/21(首都圏の主要な汚染が起きた日)前日 から首都圏の雨に伴う放射能汚染を予見していた、 らしい SPEEDI結果が公開されてい れば避けられた被曝は多 かった、はず
  20. 20. 2011.05.16 読売新聞 「チェーンメールで放射線のデマ拡大」 千葉県の柏、(略)の計4市で、飛び地のように放射線の観測数 値が高くなる「ホットスポット」が発生しているといううわ さが… 文部科学省(略)は「千葉と埼玉で測 定されている数値は平常時と変わら ない」 「公的機関や報道機関などの根拠の ある情報を…」 状況の把握と分析のため、デマなど のメール転送を… と、いう大新聞の報道が「デマ」だった!
  21. 21. 松戸市ホームページ Q&A (2011/6/15時点→2011/6/16削除) [2011年5月時点] 東大環境放射線対策プロジェクト(責任者・田中知 原子力国際専攻 教授)     [原子力学会会長でもある]
  22. 22. 天然石のせいで も地質のせいで もない! (2011.11.24掲載)
  23. 23. 放射能汚染を矮小化 現代のような厳しい時代に立ち向かう東京大学の役割を、私 は、「知の公共性」という言葉で示しておきたいと思います。     - 東京大学 濱田総長 H21年度大学院入学式 式辞 意図的→ とっても問題 意図的でない→ 科学的判断力の欠如 とっても問題 教員有志要請で    一部修正
  24. 24. 放射能汚染に関す る同様の矮小化 は、東大に限らず 「専門家」によっ て盛んに行われた ? 中村尚司氏: 放射線審議会前会長、放射線量等布マップの作成等に係る 検討会主査 … 専門家中の専門家、のはず
  25. 25. http://twitpic.com/4wy6hm 2011.5 押川編集 福島県(双葉郡) 2011.3月間降下量 334万Bq/m2 2011.12.14 文科省追加発表
  26. 26. 物理学会 第61回年次大会 2006年3月@松山大 ※このとき、私(押川)は学会自体参加せず
  27. 27. 田崎さんによる「ニセ科学」の定義 (シンポジウム講演スライドより)
  28. 28. 原子力専門家の言説=ニセ科学? 田崎さんの「ニセ科学」定義を採用すれば、 しばしば該当するように見える 「ニセ科学」として議論されてきた例との違い:     被害がより大きい     大学や学会等の「権威」に支えられている (さらに悪質と言う意味で)通常の「ニセ科学」 と区別して「ダメ科学」と呼ぶことを提案
  29. 29. 物理学者とダメ科学 ・(権威に支えられた)「ダメ科学」は「ニセ科 学」より深刻な問題! ・物理学者が「ニセ科学」に厳しく「ダメ科学」 に甘いことが数々あるように見えるのは何故か?(む しろ逆であるべきではないか?) 一つの理由:物理学の世界に問題がないわけではな いが、さすがにそこまで「権威」が間違っているこ とはあまりないので、想像力が働かない   …僕達の知らない世界もある!
  30. 30. 物理は何故比較的マトモ? ・物理学者の人格が他分野に比べ高潔である
  31. 31. 物理は何故比較的マトモ? ・物理学者の人格が他分野に比べ高潔である ー ということはたぶん無くて ・理学的研究は(比較的)利害関係のしがらみ が小さい ・物理は(比較的)実験やシミュレーションに よる検証がしやすい ・単に自分が物理屋なのでそう思ってるだけ (正常性バイアス)?
  32. 32. まとめ ・原発事故のリスクは、事故の前後を通じて専門家に 何重にも過小評価されてきた 「ダメ科学」問題 ・放射線の健康影響評価(本講演では議論できず)に も、同様の問題がある可能性が高い ・直接の当事者ではなく「中立」であり得る筈の物理 学者も、専門家に引きずられてリスクを過小評価 ・リスクを過小評価する構造的問題?→これ自体が原 発(事故)のリスクの一部??
  33. 33. 物理学者はどうするべき? 権威に縛られず、本質を捉えるのが物理学者の (自己満足を多分に含むにせよ)特質だったはずでは? 今こそ、そういう能力を発揮すべきでは? 牧野さん@東工大: 3/18の時点で事故の規模を チェルノブイリの1/5程度とほぼ正しく予測 別に難しいことはやっていない・「簡単」なオーダー評価
  34. 34. ¥税金 ¥研究費、給与 国民 政府 科学者 専門的知見、研究成果 一応このスキームが成立しているのは、科学・科学者 への信頼がそれなりにある、からのはず 「ダメ科学」の存在はこれを根底から覆しうる 専門家集団が信頼できないのであれば、社会が科学 研究を支えることの正当化も困難に 「専門」でない科学者にとっても他人事ではない、はず ※このスライドは物理学会講演では未使用ですが、質疑の際の議論に関係あるので掲載

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