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地磁気データへのDOI付与・引用と国際的取り組み

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@ JSS 2018

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地磁気データへのDOI付与・引用と国際的取り組み

  1. 1. 地磁気データへのDOI付与・引用と 国際取り組み 能勢正仁1、村山泰啓2、木下武也3、小山幸伸4、 西岡未知5、石井守5、國武学2、今井弘二2、 家森俊彦1、渡辺 堯6 1 京都大学理学研究科・地磁気世界資料センター 2 情報通信研究機構・ 統合データシステム研究開発室 3 海洋研究開発機構 4 大分工業高校専門学校 5 情報通信研究機構・電離層宇宙天気資料センター 6 情報通信研究機構・世界資料システム国際プログラムオフィス 2018/06/18 JOSS2018 1
  2. 2. 学術論文へのDOI識別子の付与 2
  3. 3. DOI (Digital Object Identifier) • 識別子を、オブジェクトが存在するURLに変換するサービス – doi:10.1029/2012SW000785  http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1029/2012SW000785/abstract – 変換されたURLページでは、論文のアブストラクトやPDFファイルなどを取得できる。 • International DOI Foundation (IDF, 国際DOI財団)が運営している。 3 doi:10.1029/ 2012SW000785 http://onlinelibrary.wiley. com/doi/10.1029/2012S W000785/abstract DOI URL http://doi.org/ 10.1029/2012SW000785 URIとしてのDOI www.doi.orgで入力
  4. 4. DOIシステムのデータベースへの展開 • DOIシステムは、もともと出版社により開始された。 • DOIは1990年代後半から出版物に付与されはじめ、現在では5000以上の団体 (出版社・データセンター・映画作成会社)が参加している。 • その後、データに対してDOIを付与すること(DOI minting)の重要性が議論されはじ め、すでに実際に付与・公開が行われている。 • 地球科学分野においては、以下のようなデータセンターがデータへのDOI付与を 行っている。 – NASA/Earth Science Data and Information System, PANGAEA, NOAA/NGDC 4 Coin Minting die coin data DOI DOI Minting Courtesy: Royal Australian Mint (http://www.ramint.gov.au/)
  5. 5. 科学データにDOIを付与するメリット データユーザーにとってのメリット • 論文に使われているデータやそのメタデータへのアクセスが簡単になる。 • 論文の結論を再検討しやすくなる。(研究活動のトレーサビリティの向上) • これまでに存在を知らなかった有用なデータセットを発見しやすくなる。 5 DOI
  6. 6. データ提供者やデータセンターにとってのメリット • DOIに対応するURLページ(ランディングページ)に、データに関連した情報(メタ データ)を表示しておける。ユーザーからの問い合わせに対するコストが減少する。 • 従来の論文出版数と同様に、データをどのくらい公開したのかの「データ出版数」 が客観的に評価できる。 • 従来の論文被引用数と同様に、公開したデータがどれくらい利用されたかの 「データ被引用数」が客観的に評価できる。  データ出版数やデータ被引用数に応じた報奨・表彰などにつながる。 科学データにDOIを付与するメリット 6 DOI DOI
  7. 7. 太陽地球系科学分野のデータセンターにおけるデータへのDOI付与 • データベースにDOIを付与する重要性・メリットを踏まえ、太陽地球系科学分野で データセンターとして活動してきた関係機関で、科学データへのDOI付与について 2013年8月より話し合いを行ってきた。 – 戦略的プログラムオフィス (情報通信研究機構) – World Data Center for Aurora (国立極地研究所) – World Data Center for Geomagnetism (京都大学) – World Data Center for Ionosphere and Space Weather (情報通信研究機構) – World Data Center for Space Science Satellites (航空宇宙開発研究機構) 7 オーロラ全天カメラデータ (WDC for Aurora) イオノグラムデータ (WDC for Ionosphere and Space Weather) マグネトグラムデータ (WDC for Geomagnetism) 人工衛星粒子データ (WDC for Space Science Satellite)
  8. 8. • DOIの登録は、IDFから認定を受けたRegistry Agency (RA)に対して申請する。 • Japan Link Center (JaLC)は、日本における唯一のRAであり、国内の学術コンテン ツ(書誌情報・科学データ)を扱っている。 • JaLCが2014年10月より1年間の期限付きで行った「研究データへのDOI登録実験 プロジェクト」に参加。 • DOI prefixはJaLCが割り当てる。DOI suffixは各データセンターが与える。 doi:10.17593/14515-74000 • 各データセンターは、DOI-URL対応情報を含めたメタデータの作成と登録・管理を 行う。JaLCとのデータのやり取りは、独自開発の共通登録サーバーを介する。 Registration Agencyを通してのDOI付与 8 Assignment of DOI prefix Registration of DOI-URL mapping 共通登録サーバー 太陽地球系科学分野のデータセンター RAは現在 10機関。 各々の得 意分野が ある。 DOI suffix & metadata
  9. 9. 日本初の「データDOI」登録とプロジェクトのその後 • DOI登録を2015年6月19日に行い、 データDOIを日本で初めて生成した。 – doi:10.17591/55838dbd6c0ad – データのコンテンツは、Mesospheric wind velocity data (30min. mean) observed with MF radar at Poker Flat, Alaska • 1年間の期限付きプロジェクトが終了 した後、JaLCはDOI登録サービスを継 続している。 • 太陽地球系科学分野のデータセン ター側もDOIの登録を続けている。 9 日本発の「データDOI」のランディングページ  Title of database Description of database Example of data citation Information of observatory Information of observations Link to digital data
  10. 10. 10 日本における太陽地球系科学分野データベースのデータDOI Name of Database DOI Date of Minting Profiles of neutral atmosphere winds 30min average with MF radar at Poker Flat, Alaska 10.17591/55838dbd6c0ad 2015/06/19 Dst Index 10.17593/14515-74000 2015/12/30 Ionogram at Kokubunji, Japan 10.17594/567ce8e9d3a52 2016/04/01 Manually scaled parameters of Ionogram at Kokugunji, Japan 10.17594/567ced454d15b 2016/04/04 Automatically scaled parameters of Ionogram at Kokugunji, Japan 10.17594/567ced0bbccf9 2016/04/04 Ionogram at Wakkanai, Japan 10.17594/5704b5259137a 2016/04/06 Manually scaled parameters of Ionogram at Wakkanai, Japan 10.17594/5704641f8b11d 2016/04/06 Automatically scaled parameters of Ionogram at Wakkanai, Japan 10.17594/5704b5444c661 2016/04/06 Ionogram at Yamagawa, Japan 10.17594/5704b78099ac0 2016/04/06 Manually scaled parameters of Ionogram at Yamagawa, Japan 10.17594/5704b7b16d387 2016/04/06 Automatically scaled parameters of Ionogram at Yamagawa, Japan 10.17594/5704b79d253fd 2016/04/06 Ionogram at Okinawa, Japan 10.17594/5704b8b1d8dbc 2016/04/06 Manually scaled parameters of Ionogram at Okinawa, Japan 10.17594/5704b8e3a7ffa 2016/04/06 Automatically scaled parameters of Ionogram at Okinawa, Japan 10.17594/5704b8ce63d3b 2016/04/06 Wp index 10.17593/13437-46800 2016/08/10 Wind Profiler at NICT Tokyo (1993-2003) 10.17591/14791-10297 2017/01/25 Magnetotelluric Data at Muroto, Japan 10.17593/13882-05900 2017/02/14 AE index 10.17593/15031-54800 2017/08/20
  11. 11. DOI付与の粒度 (1) • 太陽地球系科学分野におけるデータは、時系列データであることが多く、観測を 継続している場合は、新たなデータが時々刻々と追加されていく。 • DOI付与の粒度としては、「1種類のデータセットについては、データが追加されて も1つのDOIを付与する」ことにした。 実例1: Dst指数(地磁気の擾乱度合いを表す指数)  Dst指数は1957年から現在まで連続して算出されている。  最新の値はリアルタイムで自動的に算出されている。その後、データの品質 チェックなどを経て、以下のように更新されていく。 realtime value(リアルタイム値)provisional value(暫定値)final value(確定値)  Dst指数全体に対して、doi:10.17593/14515-74000を付与する。 11 Jan. 1957 Feb. 1957 Mar. 1957 Nov. 2014 Dec. 2014 Jan. 2015 Feb. 2015 Nov. 2016 Dec. 2016 Jan. 2017 Feb. 2017 May 2018 Jun. 2018 ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ → Final values Provisional values Realtime values Dst指数のデータファイル doi:10.17593/14515-74000 2018年6月時点
  12. 12. DOI付与の粒度 (2) 実例2: イオノグラム(MHz帯電波の電離層での反射・透過を図示したもの)  イオノグラムは、1950年代から現在に至るまで、国分寺、稚内、山川、沖縄で データ取得が継続されている。  各観測所毎に、一連のイオノグラムデータに対して、一つのDOIを付与する。 12 Present ▪ ▪ ▪ ▪ → イオノグラム(15分間隔データ) 国分寺 doi:10.17594/567ce8e9d3a52 Dec. 14,1950 Present ▪ ▪ ▪ ▪ →稚内 doi:10.17594/5704b5259137a Jul. 14, 1951 Present ▪ ▪ ▪ ▪ →山川 doi:10.17594/5704b78099ac0 Sep. 11, 1951 Present ▪ ▪ ▪ ▪ →沖縄 doi:10.17594/5704b8b1d8dbc Jul. 1, 1957 2018年6月時点
  13. 13. 「1種類の観測データセット=1DOI」の利点と欠点 • 利点  データユーザーにとって、データ引用が容易。  新しい観測データの追加やデータの更新があってもDOIは変わらないので、 管理が容易。  データ被引用数を検索する際に、一つのDOIに対して調べるだけでよい。 • 欠点  研究再現性(reproducibility)の保証が困難。 13 研究 再現性 データ 引用 目的 データ被引用数に応じた、 適切な報奨・表彰など。
  14. 14. 「Journal of Geophysical Research」誌におけるデータ引用 • 太陽地球系科学分野におい て、国際的に評価の高い 「Journal of Geophysical Research」誌(Wiley)では、既 にデータ引用を受け付けて いる。 • Nosé et al. [2017]においては、 室戸で取得された地磁気 データがDOI(doi:10.17593/ 13882-05900)を用いて実際 に引用できた。 14 Text References Nosé et al. [2017]
  15. 15. 「Solar Physics」誌におけるデータ引用 15 • 「Solar Physics」誌(Springer Nature)においても、既にデータ 引用が可能になっている。 • 最近出版されたBocchialini et al. [2018]の論文においては、地磁 気Dst指数(doi:10.17593/14515- 74000)が引用されている。 Bocchialini et al. [2018] References
  16. 16. 国際的な取り組み 16
  17. 17. 地磁気観測とデータDOI • 地磁気観測は世界中で行われている。(政府関係機関では100か所以上) • IAGAおよびINTERMAGNETと呼ばれる国際学術団体・コンソーシアムでは、地磁気 データへのDOI付与に対する関心が急速に高まりつつある。 IAGA・・・International Association of Geomagnetism and Aeronomy (国際地磁気・超高層物理学連合) INTERMAGNET・・・International Real-time Magnetic Observatory Network (国際リアルタイム交換地磁気観測ネットワーク) 17
  18. 18. 地磁気分野におけるデータDOIに関する国際的取り組み (1) • IAGA(国際地磁気・超高層物理学連合)においては、観測者・データセンター関係 者が、各自の観測データへのDOI付与について議論を開始している。 • “Data DOI”タスクフォースが2013年に形成された。 • タスクフォースのメンバーは約15名で、フランス、ドイツ、インド、日本、ロシア、イ ギリス、アメリカなどから参加している。 • 2017年に、各国のデータDOI付与状況を調査し、レポートを公開した。 18 DOI-minting in Russia by Natalia Sergeyeva TF Report
  19. 19. タスクフォースによる各国のデータDOI付与状況レポート • レポートは以下のサイトから公開されている。 – https://ngdc.noaa.gov/IAGA/vdat/TaskForce/doi.html • フランス – フランス地磁気中央局(Bureau Central de Magnétisme terrestre)では、17か所の地磁 気観測所の確定値データの全てを一つのDOI (doi:10.18715/BCMT.MAG.DEF)で指定し ている。 • ドイツ – セントヘレナ観測所のデータにDOI (doi:10.5880/GFZ.2.3.2016.001)を付与した。この DOIはJournal of Geophysical Research誌の論文で引用されている。 • ロシア – ロシア科学アカデミー・地球物理学センターでは、ロシア国内の地磁気観測データに 30個のDOIを付与した。 • 日本 – 室戸における磁場・地電位データ: 10.17593/13882-05900 – Dst指数:10.17593/14515‐74000 – AE指数:10.17593/15031‐54800 – Wp指数:10.17593/13437‐46800 19
  20. 20. 地磁気分野におけるデータDOIに関する国際的取り組み (2) • 2017年8月に開催されたIAGA国際会議において、地磁気観測関係者が中心と なって、“The referencing of geophysical data products: The role of DOIs“という特 別セッションが設けられた。 • 日本、ロシア、フランス、データ関係機関におけるデータDOIの状況が紹介された。 20 日本 ロシア フランス ISGI INTERMAGNET (海洋分野) (観測者評価)
  21. 21. 地磁気分野におけるデータDOIに関する国際的取り組み (3) • 2019年7月に開催されるIUGG会議において、同様の特別セッションが開催される。 今回は、地磁気だけでなく、地球物理学全体の分野を対象とする予定。 IUGG・・・International Union of Geodesy and Geophysics (国際測地学・地球物理学連合) • セッション名は“Geoscience data licensing, producing, publication and citation“と なっており、データDOI以外にもデータライセンスなどの話題も取り上げられる。 21 JA7- Geoscience data licensing, producing, publication and citation A number of national and international geoscience research infrastructures have been created in recent years, including EPOS (the European Plate Observing System), IUGONET (the Inter-university upper atmosphere global observation network), EarthCube (the ‘system of systems’ infrastructure for geosciences) and AuScope (the Autralian geoscience and geospatial infrastructure). At the same time the World Data System is evolving and certification of data repositories (ICSU-WDS, CoreTrustSeal) is becoming an important concern. Together these initiatives make it possible for users to easily access huge archives of disparate geoscience data and metadata in a secure and reliable manner, a task that was complex and time consuming before these initiatives were available. Clear licensing of geoscience data gives users clarity over how they can use and share the data, protects the rights of data providers and promotes integrated research. Data publication and citation will benefit data suppliers by giving them proper credit, professional recognition and rewards for their works, in a similar manner to the way that publication of scientific results benefits scientific researchers. Licensing, publication and citation of data are becoming a requirement for contribution to geoscience infrastructures such as EPOS, IUGONET, EarthCube and AuScope. The system of licensing, producing, publishing, and citing of geoscience data is a structure for persistent intellectual content identification and management as well as for connection of users with content suppliers. This session solicits contributions presenting actual practices and future plans of data licensing, producing, publication, and citation of scientific data, and possible related topics.
  22. 22. DOIに加えて・・・ • 地磁気分野においては、Licensingへの興味が、特にヨーロッパを中心に高まりつ つある。 • EPOS (European Plate Observing System)・・・Horizon 2020のプロジェクト – 広い範囲の地球観測データを統合的に扱うプラットホームの作成。 – 現在構築途上で、2020年よりサービス開始。 – データの利用形態の可否を示すために、Machine-ReadableなLicenseを必要としている。 – Horizon 2020 research and innovation programme・・・-7年間(2014-2020年)にわたる総額800億ユーロの資金助成 • 地磁気分野では、Creative Commons Licenseをベースに、どのようなライセンス表 示を採用するかの議論が行われている。 – CC:BY (Attribution)・・・作品のクレジットを表示すること  〇 – CC:NC (Non-commercial) ・・・営利目的での利用をしないこと  〇 – CC:ND (No Derivative Works) ・・・元の作品を改変しないこと 〇?、×? – データの値をユーザーが変更することは、改変になるので、CC:NDを示したい。 – フランスおよびEUの弁護士によると、ある地磁気データを使って地磁気モデルの論文 を書いたとき、その論文は「派生物」とみなされてNDに抵触するという見解になる。 22
  23. 23. まとめ • データへのDOI付与、データ出版、データ引用は、観測者・データセンターに大き なメリットをもたらす。 • 太陽地球系科学分野においてデータセンターとして活動してきた関係機関で、 2013年夏から、科学データへのDOI付与について活動を継続している。 • 2014年10月より、Japan Link CenterをRegistration Agencyとして、研究データへの DOI付与を行っている。 – 共通登録サーバーを独自開発し、各センターからDOIを登録する手順を確立した。 – 2015年6月19日に日本で初めてのデータDOIを生成した。 • 2018年6月時点で、18個のデータセットにDOIを付与できた。 • データ引用やデータ被引用数調査の容易さを優先して、「1種類の観測データセッ ト=1DOI」の方針。 • データ引用は主要な学術誌で可能となっており、実例も出てきている。 • 国際的には、特に地磁気観測所やデータセンターの関係者の間でデータDOIへ の関心が非常に高まっている。 • IAGA(国際地磁気・超高層物理学連合)においては、 1. “Data DOI”タスクフォースが設置され、各国のDOI付与状況のレポートがまとめられた。 2. 2017年には、データDOIについての特別セッションが開かれた。2019年は、分野やテー マ(Licensingを含む)を広げて、同様のセッションを開くことになっている。 23

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