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複合システムネットワーク論を読む(公開版)

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複合システムネットワーク論を読む(公開版)

  1. 1. 藤澤 等(1997)「複合システムネットワーク論」 を読む 山口大学教育学部 小杉考司
  2. 2. はじめに• このスライド(ノート)は山口大学教育学部におい て平成22年度、24年度に開講された「集団心理 学」の講義においてもちいられたものです。• この講義は、藤澤等著「複合システムネットワー ク論」(北大路書房)を読み解きながら、集団力 学に迫ろうとするものです。• このノートは、本書の補助資料として提示しまし た。重要箇所は赤で、小杉による補足は青で記 されています。
  3. 3. 序章:個人と社会の複合システム・ネットワーク
  4. 4. P-1 もくろみ• 従来の社会心理学的手法: 1.現象の分類,2.構成概念の設定,3.因果的法則の解 明 – この方法だと,構成概念を無制限に積み重ねること になる→結果,初期の理論と矛盾するか,特異な場 合を列記するにとどまる• 解決法1:複雑な現象を複雑なまま扱う ☆「複雑系」の発想• 解決法2:より抽象的なモデルの複雑な振る舞 いとして現象を理解する ☆二次帰納概念
  5. 5. P-1 もくろみ• システムの取りあえずの定義 「相互作用する要素からなる全体」=系• システム論:自己組織系,複雑系,生命系• 本書のねらいは「システム」+「ネットワーク」 著者の提唱する「ソシオン理論」 social(社会) + -on(単位) の理論的背景,哲学,展望を示すこと。
  6. 6. P-1 もくろみ• 社会心理学で扱われる「人間関係」 →人間関係 personal relationships 生物学的個人,個人の意識を離れた「関係」 →対人関係 inter-personal relationships 個人を中心とした意識-行動的側面 ここのハイフンは「≒」の意味。 社会心理学では態度の研究が盛んであり,態 度とは行動の準備状態,と定義される。• 本書の社会関係:「関係」を中心として「関係」ネッ トワークの比較的定常的な様態を指す
  7. 7. P-2 複雑な社会関係ネットワーク• 補遺)システムにとって,作用の「ループ」が あるとその振る舞いは複雑になる。 →p.44,1-3-2 自己組織系参照 例)Xt+1=Xt+e• 社会関係は3つのループによって形成される →p.81 図2-21参照• 補遺)社会心理学は一次帰納的でしかない ので,筆者が本書において扱う社会心理学 は「社会-心理学」と表記される。
  8. 8. P-2 複雑な社会関係ネットワーク• 社会関係には2つのモードが存在する ・現実の社会ネットワーク p.10 図P-4参照 ・心の中の社会関係ネットワーク• 後者は当の個人にしかわからない。かつ,個 人はこの社会関係しか知り得ない。
  9. 9. P-2 複雑な社会関係ネットワーク• 観察者と被観察者の問題=認識論 古くはカントからの哲学の問題 システム論にとっての「観察者問題」 AIにとっての「フレーム問題」• 実態と実在の接点をどこに求めるか? – 集団,組織,神,事件,スクリプト,なりゆき,会議,平 和etc…物理的対象ではないが日常の中心的問題 – 個人(ひと),社会(びと),物質(もの),事柄(こと)す べてが本書の対象になる – 心理学においても,民俗的研究,他己,物質的自己, モノ依存,ナラティブなど関与してきたところは多い
  10. 10. P-3 システム論の歴史的一瞥• アメリカ戦時研究グループ – ノイマン:情報・数学<コンピュータ,ゲーム論> – ウィーナー:情報・数学<サイバネティクス> – ローゼンブリュート:心理学 • マカロックとピッツの<ニューラルネットワーク・モデル>• その他文系 p.64 図2-7参照 – レヴィン:グループダイナミックス – モルゲンシュタイン:経済学<ゲーム論> – ベイトソン:コミュニケーション論 – レヴィ・ストロース:文化人類学<構造主義> – ソシュール:<言語学>の祖 – ルーマン:社会学,オートポイエーシスの応用
  11. 11. P-3 システム論の歴史的一瞥• 理系,特にコンピュータ関係 – チューリング:ノイマンと共にコンピュータの基礎 – ニューウェル,ショー,サイモン:一般問題解決機 (General Problem Solver),人工知能の祖 – ミンスキー:人工知能,エージェントシステム – ヒントン:ニューラルネットワーク・モデル P.62 2-2参照 – コホネン:自己組織化マップ – ウラム:ライフゲイム,複雑系 並列分散処理 – ウォルフラム:セル・オートマタ,複雑系
  12. 12. P-3 システム論の歴史的一瞥• 理系その他(生物,化学,神経科学) – ベルタランフィ:生物,一般システム理論 – プリゴジン:化学,散逸構造論 – マツラーナとヴァレラ:神経科学,オートポイエー シス – この三者に限っては,河本英夫「オートポイエー シス」青土社の解説が詳しい。システム論の歴史 的展開でもある。
  13. 13. P-4 ネットワークはシステムか• 「ネットワーク」は暗黙の内に紐帯となる相互 作用の普遍性が仮定されている ノード,結節点 タイ,紐帯(ちゅうたい)• 補遺)マルチメディア革命はデータ構造の一 次元化が重要なポイントであった• システムが複雑になればなるほど相互作用 の様式は普遍的で単純になる。
  14. 14. P-4 ネットワークはシステムか• 境界の不在:システムには境界がある。ネット ワークはどこまでも広がっていく。• システムをネットワークとして表現する→○• ネットワークをシステムとする→ו 補遺)境界がネットワークからどのようにして 生まれてくるのか,が本書の,そして本講義 のポイントの一つ。
  15. 15. P-5 システムの分類• 河本英夫「オートポイエーシス」では時間軸に 沿って三段階に分類(既述)• 本書では構造的側面から三段階に分ける – 入出力システム – ネットワーク・システム – 複合システム – 複合システムネットワークシステムへ
  16. 16. 第一章 入出力システム 1,動的平衡系
  17. 17. 1-1-1 ホメオスタシス• 生物の恒常性を保つ性質について (外界情報の) (制御情報の) 理想点 出力 入力 ホルモン,神 経情報等• 最終的に落ち着く先が定性的(性質として あって),アプリオリに(事前に)決定されてい るシステム
  18. 18. 1-1-2 サイバネティクス• ホメオスタシスの一般化が目的• <時間> – ニュートン流の可逆的等質的時間:微分・積分が できるような連続体上の時間概念。しかも等間隔 に区分することが可能なものとしての時間。 – 「事象の生起する統計的な確率密度」としての時 間,別名ベルグソン時間:離散的であるイベント からイベントまでの順序性だけを単位にする時間。 心理時間に近い概念。
  19. 19. 1-1-2 サイバネティクス• <理想点>:与件(=アプリオリ)ではなく,適 切なフィードバックによる自己組織化 フィードバック・ループ• システムが安定点をとりうる許容範囲を関数 で表現(一般化)
  20. 20. 1-1-2 サイバネティクス• <ゲシュタルト>:形態を意味するドイツ語。全 体性,連合性などプレグナンツの法則にあうもの が心理学では重要と考える。• 補遺)ゲシュタルト性は対象の全体性を強調す る=何を持って全体とするか=境界設定の問題, と大いに関連する。• <マッハ効果>:縁辺対比による効果(次スライ ド)のこと。網膜第四層にある抑制性神経回路網 が境界の切り出しを行うことに起因する。
  21. 21. 1-1-2 サイバネティクス• マッハ効果 ここの境界が際だって見えること• メカニズム 明るい 暗い 視覚細胞 (手前の層) 視覚細胞 (奥の層) 伝達の際に隣に抑制をかける
  22. 22. 1-1-2 サイバネティクス• 側抑制によって得られるエッジング 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 1 1 1 1 1 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 -0.30 1.30 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.4 1.2X(n)=1.6Y(n)-0.3Y(n-1)-0.3Y(n+1) 1 0.8 0.6 系列1 0.4 系列2 0.2 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 -0.2 -0.4
  23. 23. 1-1-3 動的平衡系• <一般システム論>:各種システムの振る舞 いをシステム一般の特徴として捉える – 一般化の方法としての数学(連立微分方程式) • 複数の要素 • 相互作用を連立微分方程式に 一般的に解ける (要素Qは何でも良い) • 解を求める • (非明示的な限界として)nは有限,固定的 – 補遺)杉万(1992)は全体の挙動Gを連立方程式 の中に入れる「かや理論」を提唱した
  24. 24. 1-1-3 動的平衡系• 開放系と閉鎖系Open and Closed System – 生物は本来開放系のハズだが,統合する目的の ために「閉鎖系」の前提を置かなくてはならなかっ た。• その結果無視されたモノ – 複雑な目的/自己増殖/自己修復/自己創出 – 困難であるが可能ではあるとされた連続変量に よる連立微分方程式を選んだ(p25,L1)
  25. 25. 1-1-4 社会心理学における平衡状態 の構造• <家族システム論>:家族をシステムとして 捉え,成員の異常行動は成員自身に原因が ないとする臨床的アプローチ・哲学• <認知均衡理論群>:Heiderのバランス理論 にはじまり,Festingerの認知的不協和の理論 を含む「頭の中の構成要素の安定」を考える モデル。三項関係におけるバランス状態を定 義する。
  26. 26. 1-1-4 社会心理学における平衡状態 の構造• <多変量解析>:因子分析や主成分分析に 代表される,多くの変数を要約する手法。 – 構造は明らかになるが,途中で変数が増えること, 関係が(質量共に)変わることなどが想定されてい ない=静的な要素間関係としての構造• レヴィンの考えた集団力学は動的挙動の中 にある秩序であり,因子分析的アプローチで 解明し得ないものであることは間違いない。
  27. 27. 第一章 入出力システム 2,記号論理系
  28. 28. 記号論理系?• 補遺)普通これを「系」と呼ぶことはない。• 冒頭「我々は記号を記憶し,記号を想起し, 記号を操作することで思考する動物である。 したがって,人間を思考機械だと見なす限り, それは記号を入出力する記号操作システム だと考えることができる」
  29. 29. 1-2-1 チューリングマシーン• チューリングマシーンは実態を持たない架空 の,数学的理想上のコンピュータ。• 数学者アラン・チューリングの功績は,「アル ゴリズム」という概念を確立したこと。• アルゴリズム=計算手続き• 計算可能(記号操作可能)であれば,どのよう な問題でも解くことが出来る
  30. 30. 1-2-1 チューリングマシーン• 「機械」は様々な,しかし有限個の内部状態を取り得る。 – 心は様々な,しかし有限個の状態になりうる。喜,怒,哀,楽, 愛,寂,辛,幸….• 操作するアルゴリズムは複雑であるが,これもまた有限 である。 – 心は様々な働きかけをするが,これも有限である。接近,回 避,比較,投影,防衛,卑下,懇み…• 計算結果はテープに書き込み,読み出したりすることが 出来る。 – 心のはたらきを日記に書き込むことが出来る• テープが無限にあれば,あらゆる計算をすることが出来 ることを数学的に証明した。 – 無限の時間とノートがあれば,あらゆる心の状態を形成,再 現することができる
  31. 31. 1-2-1 チューリングマシーン• 余談)現在のパソコンはチューリングマシーン (アルゴリズムで動く)であり,テープとアルゴ リズムのいずれもメモリ上で動かすというノイ マンのアイディアとあわせて顕現化された。• チューリングマシーンの限界 1. 記号しか扱えない 2. 操作自体を操作することが出来ない 3. 自らを停止させることが出来ない 全てシステム論の中心問題である/になる
  32. 32. 1-2-2 知識システム• 膨大な知識と操作があれば,コンピュータを 人間のように振る舞わせることが可能なので はないか?というところからスタート。 – 知識システムは「もしAならBしろ(If A then B)」とい うつながりを無限につなげていけば人間になる, と考えている。 • 心理学における行動主義と同じであることに留意 • S→R連合
  33. 33. 1-2-3 人工知能システム• 知識をリスト化し,if-thenルールだけでもちっ とも人間っぽくならない。なんでか? – ソシュールによる言語学:言語の恣意性 • シニフィアンとシニフィエのつながりに根拠はない – キリアンによるネットワーク表現:名辞から連結へ • P33.図1-9のa→bの違いを見よ – Tree構造,ネットワーク構造による知識の表現, 巨大な知識データベースによるエキスパートシス テムなど,本質的な解決が得られない
  34. 34. 1-2-3 人工知能システム• 「人間っぽくない」ことから逆にわかること(p.34) – 直線的因果関係だけではない – システムの要素は固定的ではない – システムの作動は流れ図的論理(フローチャート的 アルゴリズム)だけではない – システムの目的は第三者が設定するものではない
  35. 35. 1-2-4 エージェント・システム• これまでの人工知能の考え方は,一個の統 合された「知能」「意識」にこだわっている• ミンスキーは「複数の小さな心の単位」を考え, エージェントと呼ばれるそれの社会が心なの だと考えた。(ミンスキー著「心の社会」)• P36.l.5 ミンスキー自身が限界を示したパー セプトロン云々については,ニューラルネット ワークのところで改めて触れる
  36. 36. 1-2-5 心理学と記号論理系• 心理学における機能主義(S-R連合)の要件: – 法則は時間的に可逆でなければならない • A→BであればB→Aと推論できなければならない – 同じ刺激に対しては同じ反応が常に得られること を保障する • S-Rの対が固定化されている – TOTE: Test – Operate – Test – Exit – PDCA: Plan – Do – Check – Act 人間はそんなもんか?
  37. 37. 1-2-5 心理学と記号論理系• If-then思考に隠された仮定1. 対象が明確な個物であるか,その延長とし ての記号であること:心は有限か?2. 比較的少数の論理操作と可逆的時間に支 えられていること:時間は無限で直線的か?3. 入力と出力が独立であること:フィードバック いずれも社会-心理学には当てはまらない
  38. 38. 第一章 入出力システム 3,自己組織系
  39. 39. 補遺)1-3を始めるに当たって• P.15の図にあるように,自己組織系は入出力 システムの一部としても考えられるし,ネット ワーク系の一部としても考えられる。• 時系列的には,入出力系から一歩進んだ第 二世代システムとして考えられることが多い (河本) 動的 記号 自己 セル ニュ 複雑 人工 自己 平衡 論理 組織 系 ーロ 系 生命 創出 系 系 系 系 系 系
  40. 40. 1-3-1 5つの接近• 補遺)この節は読みにくい• システム論的発想が行き渡りつつ,新たな問題 意識が提起され始めた頃の話。• システムの(簡単な)定義は「相互作用する要素 からなる全体」であるが, – 要素同士の結びつき=相互作用のありかたは誰が どのように決めるのか – 相互作用した結果「全体」が現れてくるのはどこから かという問題意識の発展がその根底にある。そのアプローチの仕方が5方向からなる,ということ。
  41. 41. 1-3-1 5つの接近• 全体主義的で関係的な科学論 – 要素還元主義のアンチテーゼが全体還元主義に なると,それはオカルトチックになりがちである• 分岐問題を扱う応用数学 – くだらないたとえとして「男と女のすべてのことは 数学でわかる」柳谷晃(著)をあげておく – 本気で気になる人は,「カオス入門」山口昌哉 (著)をどうぞ – 三体問題のシミュレーションも見てみよう
  42. 42. 1-3-1 5つの接近• 分岐問題を扱う応用数学 – ポイントは「状態が突然変異すること」を数学的に 説明する,というアプローチから来ている。 – 突然変異のキーとなるのは,自己参照にある。• 化学の動的非平衡系 – 部分的には安定しないけど全体的に安定してい る「散逸構造」by I.プリゴジン – BZ反応を見てみよう
  43. 43. 1-3-1 5つの接近• 生物学• 並列分散処理←このあとN.N.の話で出てくる• これらがもたらした新しい観点 – 均質なユニットからなるネットワーク – 自己参照と平均場を含む円環性 – ゆらぎ,カオスなどによる予測不可能性 – 多安定,周期解,局所安定,ストレンジアトラクタ • 解のパターンが四種類あること!
  44. 44. 1-3-1 5つの接近• 複雑なものには二種類ある(ウィーバー) – 非組織的複雑:ランダムネス。全く規則性がない – 組織的な複雑: カオス:規則性はあるんだろうけどわからない フラクタル:図形の部分と全体が自己相似になっている
  45. 45. 1-3-2 自己組織系• コンピュータの発展→離散数学の発展 =微分方程式→差分方程式• (補遺)微分と差分の違い 微分可能であるには,関数が連続体上になけ ればならない。時間が連続であれば微分可 能。「整数」のように非連続であれば微分でき ないし,最初の小さな違いが大きく拡大され て分岐していくという問題が生じる。 例)ロジスティック写像
  46. 46. 1-3-3 散逸構造系• 以下の3つのポイントに絞って読もう• P.46 11行目:自らの状態と周囲の(分子の)状 態によって次の状態が決定されることで,全体と しての構造が決定される,という化学現象がある• P.47 3行目:要素の状態はダイナミックに変化す るが,全体としての構造は安定均衡する場合が ある• 6行目:システムに全体と部分という明確な階層 構造を持ち込むことになった
  47. 47. 1-3-4 カオス複雑系• 1行目: 自己参照を含む平均場補遺)平均場のイメージ 場:力の及ぶ範囲 周囲の平均(加算) として自らの状態を決める• P.48 8行目:自己回帰関数では,初期の微小 な性拡大され,全く異なった状態を生み出す 例)バタフライ効果
  48. 48. 第一章 入出力システム 1-4,入出力システムの論理
  49. 49. 1-4.入出力システムの論理• 1章のまとめとなる節です。ポイントは,p.49の 2行目です。 – 入出力システム=機械に代表される • 物理的 • 機能単位なので操作可能 • 工学的目的のためには有用 – それゆえにシステム自身に制限や限界を設ける ことになりやすい。
  50. 50. 1-4-1 ブラックボックスと機能等価性• 補遺・巻末注より)サールの中国人の部屋 中国語ネイティブ 中国語が全くわか らないが辞書で会 話できる人の間 翻訳の結果からは 違いがわからない
  51. 51. 1-4-1 ブラックボックスと機能等価性• 機能的に等価であれば同一のシステムだと 見なされる(考え方である)。 入力 ? 出力 「人間」を考えるときにこれでよいのか?と筆者は問う• 成立条件:観察者とシステムの独立性• システムの機能は外部の操作者によってア プリオリに(事前に)仮定されている
  52. 52. 1-4-1 ブラックボックスと機能等価性1. 入力から出力への単純な一対一対応を求 める単一系2. 出力の一部を入力に再帰させることで,自 律的安定を求めるフィードバック系3. 複数の入力に対する複数の出力をシステム 内部の自己回帰に求める自己組織系• 予想外の作動=操作不能;知識システムの 限界に如実に表れている
  53. 53. 1-4-1 ブラックボックスと機能等価性• 安定の形も様々;自己組織系は「カオス」や 「ストレンジアトラクタ」のような予測不可能な 形にするのではなく,何らかの形で定常解, あるいは少なくとも数種類の周期解に持ち 込む必要が生じた。• 我々には「固定」「定常」「均衡」「平衡」「単純 周期」しか理解できない。• このアプローチによる行動科学の限界
  54. 54. 1-4-2 複合要素単一系• 一つの機能単位についてのシステム論で あった。 – 記号論理系は「扱いうるものは全て安定した記 号」に限定。力技。 – 自己組織系は「どこかで安定していてくれ」とい う操作軽減の方略• P.52,2行目:暗黙の内に入出力システムとシ ステム操作者という2つのシステムを仮定さ れている
  55. 55. 第二章 ネットワーク・システム ネット=網=構造 ワーク=はたらき=機能 構造の挙動の学
  56. 56. 第二章 ネットワーク・システム 1,セル・ネットワーク
  57. 57. 2-1.セル・ネットワーク• 補遺)セル・ネットワークは作者の造語• セル=細胞 一次元セルオートマトン 二次元セルオートマトン一般的なネットワークの図: セル・ネットワークの図:要素間のつながりだけが重 要素が整然と並んでいる&つながりが周辺に要で,距離は関係ないため 限定。に自由に位置を取る いずれもノードが等質(等機能)であることが前提
  58. 58. 2-1-1.ノイマンの夢• セル・ネットワーク前史の話• 補遺)オートマトン=自動機械 – 単数形;Automata ジョン・フォン・ノイマン – 複数形;Automaton (1903-1957) 数学・物理学・工学・経済 – 生き物のような機械 学・計算機科学・気象学・心 • 自律 理学・政治学に影響を与え た。第二次世界大戦中の原 • 自己修復 子爆弾開発や、その後の核 政策への関与でも知られる。 • 自己複製 • 自己増殖
  59. 59. 2-1-2.セル・オートマタ• ノイマンのセル・オートマタは二次元。• 各セルは29の状態をもち,周囲の4セルと10 種類のコミュニケーションをする。• P55.最後の行から – 均質なユニットの組み合わせ – セル→器官→全体(万能機械) – 万能=チューリングマシン 二次元セルオートマトン
  60. 60. 2-1-3.ライフ・ゲーム• ノイマンの4セル29状態に比べて,かなり簡 素化されたモデル• ライフ・ゲームは8セル2状態• これで万能機械になることが数学的に証明 された(タッカー)• 経緯とルールを以下簡単に。 ライフ・ゲームの 近傍(ムーア近傍)
  61. 61. 2-1-3.ライフ・ゲーム• ライフゲームは,1970年代、ジョン・コンウェイが開 発したもので、簡単なルールながら生き物がうごめ いているような世界を作り出すことに成功。• ライフという命名のとおり、これは生物の集団が生 まれ増殖して繁栄し、やがて過密で衰退していく様 を、極度に単純化したモデルともいえる。• 8bit時代のパソコンゲームとして愛された。
  62. 62. 補遺)ライフ・ゲームのルール• カバーストーリーで理解しよう – 各セルは、人が生きている(オン)か死んでいるか (オフ)、のどちらかの状態(2状態)。 – 人口が過密でも過疎でも生き残れない。ちょうどよ い密度のときに子供がうまれ、繁栄する。 – ある人が生きているとき、その周囲8つのセルに、 2人または3人いれば生き残る。 – セルが死んでいるとき、周りにちょうど3人いれば、 次のターンで生まれる。
  63. 63. 補遺)ライフゲームのルール過密だと死んでしまう。
  64. 64. 補遺)ライフゲームのルール過疎でも死んでしまう。
  65. 65. 補遺)ライフゲームのルール三人いると生まれる。 デモを見てみよう!
  66. 66. 2-1-3.ライフ・ゲーム• ライフゲームは「面白い」「なんか変」。• 特に変なパターンはグライダー• 他にも様々なおもしろパターンがある• 詳しくはW.パウンドストーン「ライフゲイムの宇宙」を 参照。• 広大な領域が必要とされるものの,グライダーのパ ターンでAND/OR/NOTを実現=チューリングマシン
  67. 67. 2-1-4.アダム・ループ• ラングトンのアダム・ループを見てみよう• ラングトンは,パターンが自ら自己組織的に 自己増殖することを目的としてセルの振る舞 いを考えたのである。• アダム・ループはパターンのシステム• <<重要>>パターンは,システムか?
  68. 68. 2-1-4.アダム・ループ• コンウェイ,ラングトンのやり方は「ある推移 規則の時はパターンが生まれる」という考え• ウォルフラムはどんな推移規則なら,(複雑 な)パターンが生まれうるか?と考えた。• →一次元セル・オートマタに単純化する 一次元セルオートマトン 近傍は左右の2つだけ。 自分をいれても23=8パタン 8パタンから次の一手が決まる(0/1)ので,28=256 通りで全部の規則を検証することになる。
  69. 69. 2-1-4.アダム・ループ• 実際に見てみよう。>ルール30,90,214他• 4パターンにわかれる – すぐにパターンが消滅する(固定) – 同じパターンの繰り返しになる(パターン) – 不規則なパターンになる(カオス) – 複雑なパターンになる(複雑)• カオスの淵The edge of Chaosにこそ生命現象 のバランスがあるのでは,という考えに。
  70. 70. 2-1-5 個人と社会への連絡橋• セル・ネットワーク系の制限 – 1~3次元の空間に限定されていること – 近傍をアプリオリに固定していること – セルの取りうる値も多くは2値 – 近傍との結合強度が1に固定 人間関係と比較せよ• 個々のセル=個人,全体のパターン=社会と考 えると,セルの推移規則は個人の態度変容に, 形成されるパターンは集団の比喩となる
  71. 71. 第二章 ネットワーク・システム 2,ニューラル・ネットワーク
  72. 72. 2-2-1.ニューラル・システム• 補遺)元になったの は神経回路網。 ニューロン→シナプス↓
  73. 73. 2-2-1.ニューラル・システム 神経回路網のうまいしくみ 1. 軸索の隙間を(電気)信号 が飛び移る!(跳躍伝導) 2. 全無法則で電気のロスを なくす! 3. 学習はシナプスにおける 伝達効率の変化(デジタ ルとアナログの融合!)
  74. 74. 2-2-1.ニューラル・システム• マッカロとピッツのモデル• P.64まで,シグモイドモデル,ボルツマンマシーン, アダラインモデルなど複数のモデルがあるが筆 者はこれを平均場モデルと呼んでいる。
  75. 75. 2-2-1.ニューラル・システム• 補遺)平均場モデル,というのも著者の造語• 平均場モデルの特徴は, – 複数のユニットと結合し, – ネットワークを形成し, – 全体としてシステムを構成する – 各ユニットは結合している周囲の平均的状態を 取ることを目的としている こと。• 逆平均場モデル(造語)については後ほど。
  76. 76. 2-2-1.ニューラル・システム• これらのシステムの前提:結合強度は個別的 で変化(=学習)しうる。• 入出力システムとの違い 1. ユニットが複数で,相互に連結している 2. すべてのユニットが均質である 3. 情報がネットワーク全体で閉じている• いずれも神経回路網の驚くべき特徴
  77. 77. 2-2-2.パーセプトロン,アソシアトロン, コグニトロン• 補遺) – Perception;知覚 – Association;連合 – Cognition;認知• パーセプトロンはマッカロ・ピッツのモデルを そのままモデル化したもの 重みを学習によって調整 入力層 出力層 ・・・ →学習が済むと,正しい反応をするように なる。=外部入力を理解する!
  78. 78. 2-2-2.パーセプトロン,アソシアトロン, コグニトロン• 補遺)パーセプトロンの考え方と多変量解析 – 多入力,1or少出力という意味では同値 – 異なるのは,学習によって結合強度を変えるとこ ろ。多変量解析は代数的に解を出すので,再現 可能だが,パーセプトロンは重みを再現しない – どういう学習であれ,結果が出れば良い,という 考え方でもある。
  79. 79. 2-2-2.パーセプトロン,アソシアトロン, コグニトロン• 補遺)第一次N.N.ブームの終焉• M.ミンスキーがパーセプトロンでは線形非分 離な問題が解けないことを指摘 ←解ける。線形分離可能。 解けない。線形分離不可能。→
  80. 80. 2-2-2.パーセプトロン,アソシアトロン, コグニトロン• 補遺)N.N.ブームの復興• 中間層を置けば,先程の問題は解ける! ・・・ ・・・ 出力層 中間層 入力層• 多変量解析における,多相データの分析と同じ
  81. 81. 2-2-2.パーセプトロン,アソシアトロン, コグニトロン• アソシアトロン,コグニトロンも基本的に同じ マッカロ・ピッツモデルの応用• アソシアトロンはパーセプトロンの相互結合 型モデルだと考えればよい。次のホップフィー ルドネットワークと似ている• コグニトロンのポイントは,階層性+側抑制。 抑制することでエッジを効かせる。
  82. 82. 2-2-2.パーセプトロン,アソシアトロン, コグニトロン• 補遺)アソシアトロンやホップフィールドネット ワークの「連想」 ある入力ベクトル(x1~x4) x1 の情報から,ある出力パ ターン(y1~y3)をみちびく x2 ように重み付けを学習させ る=連想する x3 x4 連想したものから,さらに 連想を重ねることも可能。 アソシアトロンはユニットを 相互に結合させて実現 y1 y2 y3
  83. 83. 2-2-3.ホップフィールドネットワーク• 補遺)アソシアトロン同様,パターンを学習さ せる→連想,というモデル。• 細かいことなので覚える必要はないが,その 特徴は – 相互対称結合 – 非同期更新 – Hebb則による学習 など。
  84. 84. 2-2-3.ホップフィールドネットワーク• P.68最終行;したがって,ホップフィールドネットワーク は入力パターンベクトルの固有値を中間層が獲得し, 出力層に固有ベクトルを出力する機械である云々• →ニューラルネットワークと多変量解析は等価である。実際 に,線形な統計モデルが組みにくいときに,N.N.で解析する 統計手法がデータマイニングの業界で利用され初めている• ボルツマンマシン,PDPモデル(parallel distributed processing model,並列分散処理モデル)も基本的に は同じ• 興味がある人は,守一雄(著)「やさしいPDPモデルの 話」北大路書房を参照
  85. 85. 2-2-3.ホップフィールドネットワーク• P.70三段落目;ホップフィールドネットワークの 功績は大きい。認識されるパターンがユニット 間の結合強度の付置(パターン)によって決定 されるということは,記号の意味や概念を,内 包でもなく(事物そのもの,実体),外延でもな い(内包同士の組み合わせによって形成され る複合体),関係として把握できることを示し たからである。
  86. 86. 2-2-4.コホーネンネットワーク• 補遺)別名,自己組織化マップ,自己組織化 ネット,Self-Organization Mapping, SOM.• 出来ることは「分類」。複数の対象を適切に位 置づけることが可能。• ペンフィールドの「ホムンクルス」のイメージ。 脳は外界からの情報をきれいに並べてマッピ ングしている。自己組織的に。
  87. 87. 2-2-4.コホーネンネットワーク• 補遺)これまでのN.N.とは逆に,該当するセ ルが周囲を変形させていく=逆平均場• 統計モデルとしても利用される。 – 複雑なデータを少ない次元にマッピング – 新しいデータのマッピング(プロファイリング) – 新しいニッチの発見(マーケティング)
  88. 88. 2-2-5.カオス・ネットワーク• 補遺)目的は不明• ただ,現実世界はカオス的であり,カオス的な データを分析するにはカオスを許容するモデル を作っておこう,というところか。• CAの話のように,どうすればカオスになるか,な らないでいられるかが相図として描かれる。• P.72二段落目;個々のユニットが自己回帰的で ありながら,全体として自己組織化も達成すると いう,二重の振る舞いを許容する
  89. 89. 2-2-5.カオス・ネットワーク• カオス・ネットワークをはじめとする複雑自己 組織系が提唱した問題(P.74) 1. 部分と全体の相互関係(micro-macro dynamics) 2. 主観ー客観についての新たな枠組み 3. 直接的因果関係による説明不可能性 4. 自己組織性と自律性,及び,散逸構造• 著者の中でもまとめ方が不十分だと思われ る。複雑系の研究全体からも,同様の印象 を受ける。
  90. 90. 第二章 ネットワーク・システム 3.社会関係ネットワーク
  91. 91. 2-3-1.「場」理論• 補遺)集団力学の父,K.Lewin• 「社会科学における場の理論」(Lewin著)• 「場(Field)」=力の及ぶ範囲• 集団は、人間の影響力が及ぶ範囲のこと• トポロジー心理学:人間関係は連綿と繋がっている A AからBへ、力のかかる 向きはいくらでもある B 力の及ぶ範囲=場 特に「生活空間Life Space」という 91
  92. 92. 2-3-1.「場」理論• 補遺)場理論の考え方• 特定の個人の特定の行動は、ある時点で、 生活空間の中に存在する心理的事実、(行動 に影響を与えるものや人の状態と条件)の総 体から説明される。• 生活空間~グラフ表現~ネットワークの発想• P.75 生活空間のネットワークの結節は認識 対象であり,紐帯は相互依存性である 92
  93. 93. 2-3-1.「場」理論• P.75 レヴィンは個人の生活空間にとどまらず, 個人間=集団の生活空間ネットワークにも言 及し,社会的場も個人的場と同様に考えてい ることに注目しなければならない。つまり,個 人の生活空間も集団の社会的場も同じ相互 依存ネットワークとして取り扱えるということで ある。 • 個人と社会を同一のネットワークにおける別の様相と とらえるアイディアの萌芽
  94. 94. 2-3-2.対人(認知)的均衡理論• 補遺)認知均衡理論とよばれる一連の考え バランス状態 + + - - + - - + + + - - (a) (b) (c) (d) インバランス状態 + + - + + - - - - + + - (e) (f) (g) (h) 図1.バランス状態とインバランス状態
  95. 95. 2-3-2.対人(認知)均衡理論• 補遺)バランス理論の系譜 – Heider(1946)のPOXモデル – Newcomb(1953)のABXモデル – Osgood and Tannenbaum(1957)のPSCモデル – Festinger(1957)の認知的不協和理論• いずれもネットワークの観点から考えれば,平衡 状態に向けた推移規則の論理であるといえる• P.76最終行 しかし(中略),個人を主眼において いるため,ネットワーク全体のパターンを問題とし なかった。 95
  96. 96. 2-3-3 対人関係論とANOVA理論• 対人関係論はゲーム理論で用いられる利得 行列を社会心理学的に考察したもの• 利得行列の例)囚人のジレンマゲーム プレイヤーA 協力(C) 裏切り(D) 8点 12点 協力(C) 8点 0点 プレイヤーB 0点 4点 裏切り(D) 12点 4点
  97. 97. 2-3-3 対人関係論とANOVA理論 2 -6 -2 -2 4 -4 0 0 = + + 6 -2 2 2 4 -4 0 0 BRC=-2 MFC=4 MBC=0 8 128 0 0 412 4 BRC=-2 MFC=4 MBC=0 2 6 -2 2 4 4 0 0 = + + -6 -2 -2 2 -4 -4 0 0
  98. 98. 2-3-3 対人関係論とANOVA理論• ANOVA理論は原因帰属の理論である – 「Kくんが小杉の授業中寝ている」 • Kくんはほかのどの授業でも寝ている→人 • 小杉の授業を受けた人はすべて泣いている→事柄 • 部屋の温度など?→状況 – これを検証することによって,人は原因帰属する• 筆者は,ネットワークの観点から,この原因帰 属モデルと対人関係論を融合した,状況が推 移していくゲーム論が考えられる,という提案 をしている。
  99. 99. 第二章 ネットワーク・システム 4. ネットワークの論理
  100. 100. 2-4-1.グラフ理論と2-4-2.ネットワーク構造 • 補遺)2章に対するまとめの節。 • グラフ理論というネットワークの数学的基盤 理論の紹介など。 • ノード,パス,クリーク,構造同値などのキー ワードを押さえておこう。 • グラフ理論は「静的構造を扱っている」ので, 変化するグラフを扱えない,という欠点がある
  101. 101. 2-4-2.ネットワーク構造• P.81 「ネットワーク」と呼べるためには,その 中に少なくともひとつ以上のループがなくては ならない。 – 自己回帰ループ;広がらない – 1次元的連結;自己回帰ネットワークは続かない – 自己帰還;1次元セルオートマトン型 – 自己環流;n次元セルオートマトン – 階層的自己環流;人工生命などで見られる
  102. 102. 2-4-3.ネットワークの機能• P.82 第二段落;ネットワークが持っている特 徴は,その部分となるユニットにあるというよ りネットワークの全体的特徴であり,全体とし ての機能であるということが重要 データの 出力,あるいはネット 入力 ワークの状態変化 ネットワークの工学的利用 「パターン認識」「マッピング」 システムとしては閉じている
  103. 103. 2-4-4.自己というパターン• 一体何が複製されるのか? – グライダーというパターンの複製 – 入力情報⇔出力情報という複製• パターンとは観察者にとってのパターンで あって,ユニットにとってのパターンではない• システム概念はこのままでよいのか? – グライダーには要素があり配置=位置関係があ り,何度かの変換の後に元に戻る変換群をもつ =システムとはパターンのことではないか。
  104. 104. 2-4-4.自己というパターン• 補遺)パターンpattern – 【名】〔装飾の〕模様、文様、図案 – 〔自然や偶然にできる〕模様、繰り返す形 – 〔原型として使う〕ひな形、模型 – 〔物を作るときに使う〕鋳型、型紙、元版 – 〔1着の洋服を作る〕服地 – 〔手本とすべき優れた〕模範、見本 – 〔生地などの〕見本、サンプル – 〔思考や行動などの〕パターン、様式、決まったやり方
  105. 105. 2-4-4.自己というパターン• P.84 最終段落;ノイマンが考えたネットワーク はセル・オートマトン(ユニット)もシステムであ り,それからなる「セル・オートマタ(ネットワー ク)に出現するパターンもシステムである」• ユニット=1個人の生命,ネットワーク=社会と 考えよ。• ネットワーク上に生まれるパターン(あるやり方 の繰り返し)はシステムであり,それは自己修 復し,自己複製し,自己増殖する「生命」である
  106. 106. 第三章 複合システム
  107. 107. 3章 複合システム• 補遺)これまでのシステムが単一のシステムを 扱っていたのに対し,複数の合わさったシステム として全体を見る視点。この言葉にすでに,部分 は部分としてシステムであり,全体は全体として (別の)システムである,という階層構造が含ま れていることに注意する。• 歴史的には,階層性にこだわったシステム観と いうのはなく,筆者独自の視点といえるが「なぜ 階層性が必要なのか」についての答え方には繊 細な注意を払ってみていく必要がある。
  108. 108. 3-1.人工生命• 補遺)レイア,という言葉• Layer(レイア)は層,という意味。レベル,フェイ ズ,とも近い。筆者は物理的なレイアと位相 的・心理的・抽象的なレイアとの区別をする• 人工生命の研究で,初めて物理レイアとパ ターンレイア(≒位相レイア)との関係性が考 えられるようになった• P.87にあるように,この限界は「生命のようで あるという感想」に依拠しているところ。
  109. 109. 3-1.人工生命• 読んでおいてください – 3-1-1.人工生命とは – 3-1-2.自己増殖過程 – 3-1-3.GA(遺伝的アルゴリズム) – 3-1-4.適応地図と階層 – 3-1-5.NK問題;近傍と全体のサイズの問題
  110. 110. 3-1.人工生命• 3-1-1.省略• 3-1-2.GA(遺伝的アルゴリズム) – プログラムを遺伝子として書き換え(遺伝子バイ ト),様々な遺伝子を持つ個体が競争,交配し, 生き残った遺伝子が拡散する(自然淘汰)ような 世界をコンピュータ上でつくる – 最終的に生き残り,広まった種は,その環境に最 も適したプログラムになっている。
  111. 111. 3-1.人工生命• 3-1-2.GA(遺伝的アルゴリズム) – GAは人工生命に自己組織関数の変更が外から 与えられることを示した。 – 外から与えられる=自然淘汰と突然変異• 3-1-4.省略• 3-1-5.N/K問題 – 近傍数Kと全体のセルの数Nの比率を考える
  112. 112. 3-1.人工生命• 3-1-5.N/K問題 – ライフゲームの近傍は8 – グライダーは25セル以上 の空間で飛ぶ ボルボックスは1個体が周囲5個体と接触し,16個体 でユードラとなる• 3-1-6. 省略• 本セクションはいずれも示唆的ではあるが,本質的な言 及ではない(それが人工生命研究の特徴と言えば特徴である)
  113. 113. 3-2.複雑系• 補遺)複雑系とは• 20世紀末に流行した考え方で,基本は局所 的相互作用,並列分散処理による複雑な全 体像の現れ,についての科学的アプローチ。• サンタフェ研究所には様々な分野の研究者 が集まっていた。ラングトンやウォルフラムも ここに滞在したことがある。• 詳しくはM.ワルドロップ「複雑系」を参照。
  114. 114. 3-3.自己創出系• 補遺)自己創出系(オートポイエーシス)• 自己組織→自己修復→自己複製• ・・・自己って何?• 自己を生み出すシステム,という意味で,正面 から生命・自己をとらえようとする考え方であ り,それだけに難解かつ抽象的な理論ではあ る。発端は,神経生理学者のマツラーナと ヴァレラ。
  115. 115. 3-3-1.オートポイエーシス• 補遺)オートポイエーシスとは• 次の四つの特徴を持つ「生命」を捉える新し いシステム論 1. 自律性 2. 個体性 3. 境界の自己設定 4. 入出力の不在• 「なぜ自動車は生きていると言えないのか」
  116. 116. 3-3-1.オートポイエーシス• P.100 オートポイエーシスをベルタランフィ流 に書けば, 1. システムは作動プロセスであり,要素は作動に よって生成される 2. 要素間の関係は循環的である 3. システムの境界は自らが設定する 4. システム全体の目的関数はシステムを創出す ることであるということになる
  117. 117. 3-3-1.オートポイエーシス• 補遺)理解する際のポイント• オートポイエーシスはプロセスのシステムで ある,ということ。すなわち,物理的実体がな い。位相レベルのパターンがシステムである と考える。• 言い換えれば,これまでのシステム論が構造 を主,機能を従としたのに対し,生命は機能 が主で構造が従,としたところが新しい。
  118. 118. 3-3-1.オートポイエーシス• 補遺)生命の最も身近な例,自己(自分)で考 えてみよう• P.100 個人というシステムは閉じており,内部 観察者である認識主体にとっては彼の認識 世界が全てであり,それ以外のものは観察で きないのである。• このよく考えれば当たり前である切ない事実 (≒独我論)をどのように乗り越えるかを考え よう
  119. 119. 3-3-1.オートポイエーシス• 補遺)P.101 部分ー全体の階層構造とシステ ム間の関係• 一段階下のシステムもオートポイエーシス, 高次のシステムもオートポイエーシスと考え れば良い(by河本)• 下位システムを個人,上位システムを社会と 考える→ルーマンの社会システム論
  120. 120. 3-3-1.オートポイエーシス• オートポイエーシスが新たに提起した問題 1. 要素を規定せずにシステム単体をどのようにし て分離するのか 2. システムは自らの境界をどのようにして決定す るのか 3. 要素間関係の質は誰が決定するのか 4. 部分ー全体の階層関係をどのように規定するの か →システムとは何か?
  121. 121. 3-3-2.社会システム論• P.102.ルーマンは(中略)コミュニケーションに よるオートポイエーシスを「社会」だと規定した のである。• 「個人」はシステムの要素(コミュニケーション というプロセス)を生み出す「環境」である,と いう考え方。• 個人は別レベルのオートポイエーシスであり, 社会を考えるときに個人を同時に扱うことが できない。
  122. 122. 第三章 複合システム 4.複合システムの論理
  123. 123. 3-4.はじめに• オートポイエーシスは出発点 – 作動と境界が問題の全面に出てきた – 複合システムが明示的に扱われるようになった• しかしその問題点は – 全体の理論構造が完全ではない – 数学的既述がない – 問題の性質が混在している• これらに注意して読み解いていく
  124. 124. 3-4-1.閉システム性• システムには「入力も出力もない」?!• オートポイエーシスは「生命」をテーマにして いるのでこういう考え方になる。従来の工学 的システム論との相違に注意せよ。• 下から2行目;オートポイエーシスは物理的実 体を問題にしているのではなく「作動」と「作動 プロセス」のみを問題としている。• 実体の問題ではなく,実在の問題に変わって いることに注意しないと理解できない。
  125. 125. 3-4-1.閉システム性• P.105,L7;我々は外的物理世界の情報を入力して いるのではなく,心的作動に固有の特徴的プロセ スによって内的な創出作動を行っているにすぎな い。• その下の,「心」についてのとらえ方について,諸 君も一考してみよ。なぜ心理学を学ぶに当たって, 物理学を専攻しなかったのか?• ネットワークシステムには元々入力も出力もなく, ただ個々のユニット状態しかない。→観察者問題
  126. 126. 3-4-1.閉システム性• 観察者問題;システム内観察者にはシステム の外部は観察できない。システム外観察者に はシステム内部については観察し得ない。• 観察者=意識主体,認識主体≒私• 私のことは私しかわからない。あなたのこと は,周りから見ていると因果的に推論できる が,本当のところは決してわからない。• 「研究」というアプローチが可能なのか?→7 章に続く・・・
  127. 127. 3-4-2.再帰的作動• オートポイエーシスでは,要素は作動によっ て再帰的に創出される• 蛙の目には何が見えているか=運動のみ – 人間の目も微振動しながらものを見ている。プリ チャードの静止網膜像の研究参照。• われわれもまた,動いているものしか見えな いし,それを見るための機構が備わっている• 心理学的には実体より実在の方が大事。
  128. 128. 3-4-2.再帰的作動• その上で,実在する「要素」とは何であるかを考 えてみる必要がある。 – マツラーナは詳細について言及していない• 「心」を例に取れば,作動とは思考であり,要素 とは概念や表象だと言うことになる。• そして継続的,循環的な思考によって概念や表 象が生まれるのだ,と解釈せざるを得ない。• オートポイエーシスに沿って考えるとこうなる。 オートポイエーシス論に不備はないか。様々に 思考し検証してみよ。
  129. 129. 3-4-3.構造的カップリング• 補遺)構造的カップリングとは,オートポイエーシ スシステムの中でシステムと外界との関係に言 及したキーワードである。外界と接していること を「構造的にカップリングしている」と表現する。• ただし,入出力がなく,境界を自己設定する中で, 外部環境とどのような関係があるのかについて は,「相互に浸透している」としか言及されていな い。• オートポイエーシス論のなかで最もわかりにくい 概念のひとつ。
  130. 130. 3-4-3.構造的カップリング• 著者の解釈は,「互いが互いに依存し合うこ とによって,互いの一部を取り込んだ形でシ ステムを形成すること」である。• システム=個人,自己,私,心のことだと考え よ。システムが別のシステムと「互いに依存し 合うこと」を想起せよ。どのようにして自己が 成立しうるか。• 自己を「実体」に勝手に限定しないように。
  131. 131. 3-4-3.構造的カップリング• 著者の解釈は,図3-11にあるカップリング。• このように接していれば,矛盾なく解釈できる。• 概念,表象といった要素の上を走る思考(作 動)からなるシステム,としての自己と他者 あなた 私
  132. 132. 3-4-3.構造的カップリング• P.108,下から2行目は階層問題• 個人と個人の間では互いの境界を共有する ことでカップリングが可能であるが,個人と社 会(集団)の間でのカップリングは不可能。包 含関係にはなっても,互いの境界を接するこ とはないから。• 自分自身とのカップリング,要素と全体のカッ プリングがどのようになされるかが,集団心 理学の根本問題である。
  133. 133. 3-4-4.境界問題• 「オートポイエーシスは作動によって自らの境界 を設定する」,というパラドキシカルな定義• 著者の解決策は – 「作動している」レベルと「システムが成立している」レ ベルが異なり,かつ – 「自己」を「自己」としているのは外観察者である と捉えること。• 河本とルーマンの解決策と著者の反論も一読せ よ。マツラーナとヴァレラの解決策である構造的 カップリングについては既述。
  134. 134. 3-4-5.自己創出と自己創発• 自己創出=オートポイエーシス• 自己創発=???• 創発;複雑系のなかでみられる考え方。複雑 系は単純な要素が並列分散的に,局所的相 互作用をすることで,大局的なパターンを「創 発する」。• 筆者は自己創発というこの言葉を,この節の 題にしながら文中で触れていない。
  135. 135. 3-4-5.自己創出と自己創発• しかしながら,P.112の文章を読んでいくと, – 大局的に創発されたパターンができ,中でも – 繰り返し生まれる安定的なパターンが生き残る,ということを「自己創発」と呼んでいるようである。• 補遺)複雑系,創発的に生まれるパターンと してのシステム=自己,パターンを複製する ルール,を自己と社会,個人と集団の問題と して捉えることができる。
  136. 136. 第四章 システム論再考 1.システム論の原理
  137. 137. 4-1-1.用語• ゆっくり読みながら用語をはっきり理解しよう• 適応,進化,発達といった箇所では,他の分 野での用法との差異を味わおう。
  138. 138. 4-1-2.ネットワーク原理とセル・オート マタ• P.117 「1ユニットをセルオートマトンと呼び, 単なる複数形ではなく1機能パターンをセル・ オートマタと呼ぶべき」• パターンはシステムであり,それが一単位• 電球と電光掲示板のように,部分と全体は相 が違うと考える• 「全体は部分の総和以上」というゲシュタルト 原理に対する著者の回答
  139. 139. 4-1-3.コネクショニズムと記号計算論• P.118 ネットワーク原理とは 1. 要素ユニットの機能構造的均質性を仮定する 2. 要素間の関係はネットワークによって不可避的 に自己参照される 3. ネットワークの作動は閉システムを形成している 4. ネットワークの作動が全体パターンを創出する ことがある 5. ネットワークの目的はユニットの安定性ではなく, 全体パターン安定にある
  140. 140. 4-1-3.コネクショニズムと記号計算論• コネクショニズム – 具体例;パーセプトロンやコグニトロン – 強調点;並列分散処理 – 哲学的視点;生得的な知識の原基がある• 記号論理系 – 具体例;意味ネット,エキスパートシステム – 強調点;記号計算 – 哲学的視点;経験によって帰納的に知識を重ねる ことができる
  141. 141. 4-1-3.コネクショニズムと記号計算論• アプローチの違いによる限界と隠された共通 の問題点=「パターンと記号」(図4-4)• コネクショニズムは記号を塊として考えない• 記号論理系は記号の創出を考えない• パターンと処理の位相・階層構造の視点を導 入することで両方の問題がひとつに結実する
  142. 142. 4-1-4.人工生命と進化• 問題点の指摘がP.120下から2つ目の段落• 「突然変異などの外的な変移は生物(界)の 一般的特徴なのかもしれないが,少なくともシ ステムの中心的特徴ではない」• 注;突然変異などの外的錯乱はシステム固有 の特性ではなく,このような外乱がシステムに とって不可欠であるとすることはシステム論 の範疇を超えている。
  143. 143. 4-1-5.複合する階層的ネットワーク• ネットワークの動的な挙動が面白いのは「ある紐 帯が他の紐帯の関数である」とすることで,三種 類の円環構造を持つから。• 人工生命はパターンを参照して自らのパターン を変化させる – 淘汰に生き残った遺伝子(生き残り方パターン)から 次の世代を作り出す• なぜ突然変異が生じ,なぜ適応しようとするのか という疑問をシステム論の範疇で回答する
  144. 144. 4-2-1.要素• セル=ユニット(物理レイア)/状態(パターン レイア)の二層構造に着目し,個人と社会に アプローチする• 個体や社会的行為は物理レイア• 個人やコミュニケーションはパターンレイア• 従来の社会心理学では明確に区別できてい なかったことが問題だったのである!
  145. 145. 4-2-1.要素• P.125 社会心理学が取り扱うべき「個人」は 個体や行為主体なのではなく,様々な他者と の関係の総体なのであって,皮膚に囲まれた 個体はその物理的表現にしかすぎない• パターンレイアこそ心理学的事象であるとい う主張
  146. 146. 4-2-2.関係• 「個人」という要素は「作動」という円環的関係に よって産出される• 「社会(集団,世間,etc)」もまた個人間の円環的 関係によってレベルの異なる作動によって生み 出されるもの• オートポイエーシスの議論を踏まえていることに 注意。 – オートポイエーシスはプロセスのシステム – オートポイエーシスの要素(プロセス)は作動(思考) によって再帰的に再生産される
  147. 147. 4-2-3.目的• システムの「目的」を意図性と捉えないように – 誰の?という話になってしまいがちだから• システムは基本的に「安定」を目的とする – 定常安定だけではなく,周期解,局所安定,微視 的レベルでは不安定でも巨視的レベルでは安定 している散逸構造などの形があることがわかって いる – 相転移することで下位レベルでは安定を放棄して いるように見えることもある。(見える,だけ)
  148. 148. 4-2-3.目的• 個人(下位,微視的),集団(上位,巨視的)と して読もう• 個人が安定を放棄し周囲の他者の平均場に 依存すれば,パターン・システムとしての集団 は安定均衡するかもしれない• もっと知りたいのは「個人」の目的関数であり, (中略)「社会」にも目的というものがあるのだ ろうか,という疑問である。
  149. 149. 4-2-4.境界• 自己の境界をどのように設定するかを問うた のがオートポイエーシスの最大の貢献• これまでは,システムとは何なのかを論じるこ となく,システム論が成立していた• 自己を創出するシステムとしてのオートポイ エーシス
  150. 150. 4-2-4.境界• 物理レイアとパターンレイアは補完しあえる – ハードウェアでソフトウェアをシミュレーションする – ソフトウェアを実現するハードウェアを作れる• 自己の境界を知りうる3つの方法 – 自己の原型がある場合 • DNAによる自己の設計図 – 自分自身を自己として取り込む場合 • 複製によって同一性を作る場合 – 複数の他者によって決められる場合 • 他者の残余としての自己
  151. 151. 4-2-5.階層• 個人(下位),社会(上位)という階層性 – 個人の心;思考プロセスのオートポイエーシス – 社会のはたらき;コミュニケーションのオートポイ エーシス• 個人と社会が階層関係を持っているのだとす れば,そこには同質の要素と同質の作動が 異なる実現型として働いていると考えなけれ ばならない。 – P.130のオートポイエーシスの矛盾が論拠
  152. 152. 4-2-6.定式化• ここでいう定式化とは数学的現象主義的表現 をする(数式で表す)ということ• オートポイエーシス論は数式で書けない – ベルタランフィの一般システムは連立微分方程式 でかける – 散逸構造論も化学式の一般化から数式化も可能 – 自己,円環,階層,複合化を踏まえた数式化は 無理なのかも・・・
  153. 153. 4-3-1.部分-全体論• 前述の「階層関係」に当たる問題意識 – 部分(下位レベル)が位相転換して全体(上位レ ベル)が成立する,と考えれば,従来の部分-全 体論の多くは理解できる – しかし,「全体と部分の同質性」「位相間相互作 用」を考える必要が出てきた,と筆者は言う – 全体から部分へ,という視点の変化
  154. 154. 4-3-2.安定• 安定はシステムの目的であった• 複合システムの場合は,単一システムの安 定ではなく,複数の安定の存在を認めなけれ ばならない(単安定から複合安定へ) – あるシステムの安定が他のシステムの不安定を 招来する結果になることも – ほかシステムの消失や成長や創出を促すことに なったりする(ex.アポトーシス)
  155. 155. 4-3-3.システムと自己• 動的平衡系(ベルタランフィのシステム)はシ ステムが変化しないこと=安定であり,自己 制御系ともいえる• ネットワーク系は物理レイアの安定ではなく パターンレイアの安定を前提している。• 自己制御系の自己や自己組織系の自己は 物理レイアの安定• 自己修復・自己複製・自己創出系の自己は パターンレイアの安定を目的としたもの
  156. 156. 4-3-3.システムと自己• ライフゲームやアダムループに見られる自己 の安定とは,自己と相同なパターンを再生産 することによる自己安定であった – 自己を知るための3つの方法の一つ – 生命系にみられる安定のしかた• 安定の考え方の展開 – 物理レイアの安定→→パターンの安定→パターン の再生産による安定→自己の変化規則の安定
  157. 157. 第六章複合システム・ネットワーク6-1.複合システム・ネットワークの視座
  158. 158. 6-1.システム・ネットワークとは• システムがシステムとして意味を成すには, 複数なければならず,ネットワークを形成して いなければならない。• そこでのシステムはオートポイエティックに産 出され,異なる位相と構造的にカップリングさ れている• 位相間相互作用は,システム全体の中で閉 じている
  159. 159. 6-1-1.システム・ネットワークとは1. 複数システムからなるネットワークであること2. 複数システムによって単位体システムが形成・ 消滅可能であること3. システムは閉じていながら,他システムに開い ていること4. システムの要素がシステム単位体となり得るこ と5. システムは位相の異なる階層構造をもつこと6. 位相階層間の相互作用があること7. 位相階層毎に目的が異なること
  160. 160. 6-1-2.どこから観察するか(モード)• ソシオン理論では社会というネットワークの要 素である個人は,社会を畳み込んで成立する。• 要素としての個人からの視点であれば,当の 個人にとって畳み込んだ社会関係ネットワー クの一部分だけが全てである。• 社会からの視点であれば,個人は社会全体 の一部分でしかなく,しかも多くの場合不正 確で歪められている
  161. 161. 6-1-2.どこから観察するか(モード)• 問題は小集団である。この場合,我々は個人 と集団とを同時並行的に観察する必要があ る。 – 集団や組織はそれ自体でシステムであり,した がって個人は他者と同様に集団を認識すること ができる。• どちらか一方は幻想になる
  162. 162. 6-1-3.何を観察するか(レイア)• ネットワークの物理的側面? – 個人;脳のしくみ,神経回路網 – 社会;コミュニケーションの音声,身振り,視線量• 物理レイアが作る比較的安定したパターン? – 個人;表象,概念,自己,事件,思想 – 社会;集団,組織,制度,歴史• パターンがつくり上げる振る舞いのしくみ? – 個人;情緒,認知,行動,物語 – 社会;役割,勢力,リーダーシップ,規範
  163. 163. 6-1-3.何を観察するか(レイア) 複合システム・ネットワークを 内部-外部観察者という2つのモードから,物理-パターンー機能構造という3つのレイアに 接近しなければならないのである
  164. 164. 了(未完)

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