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労働環境セミナービットグルーヴ様スライド

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2018年11月17日開催の「ゲーム業界労働環境セミナー」で登壇くださったビットグルーヴ様のお話内容です

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労働環境セミナービットグルーヴ様スライド

  1. 1. 2018/11/17 労働環境セミナー「ゲーム・ワーク・ライフ・バランス」 株式会社ビットグルーヴ 代表取締役 村田幸史 ビットグルーヴで やっていること、考えていること の おはなし
  2. 2. 今年の6月ごろ、 京都IGSの川中さんから、 「ゲーム系の企画があるので、 セミナーで何か話してほしい」 と依頼がありました。 イラスト by いらすとや
  3. 3. えっ? ゲームの話はたぶん無理… (作るのは好きだけど、プレイは苦手で、 人に語れるほどゲームしてない)
  4. 4. 「内容は、ゲーム企業の労働環境につい てです」 「会社説明会で話された内容が、他社さ んと全然違っていたそうなので」 (ゲームの話はしなくて良いんですよね…) しかーし、まさか他社さんと 全然違うとは…
  5. 5. うちの会社説明会のスライドを見直して どこが違うのか考えてみました…
  6. 6. 思い当たること • 「若い会社だけど、決してベンチャーではないので、売 り上げ目標○○億とかは、考えてないです」「会社は ゆっくり成長させたいです」 • 「選考では、スキルとかセンスとかも見ますが、うちの 会社にマッチするかを重視しています」(本当にそうし ています) • 「裁量労働制なので、眠い時は居眠りしてもいいです」 「実際に寝てる人がいます」「僕もよく寝ています」 • 「おやつ食べ放題です」「映画の日は会社が入場料を 出します」
  7. 7. たぶん、会社説明会で、 こういうことを言っているのが、 他社さんと違ったのだろうと思います。
  8. 8. なので、今日はそんな話を 混ぜていきます
  9. 9. もくじ • ざっくり自己紹介(バックボーンとか) • 各年代の労働環境、ゲーム業界を取り巻く環 境の考察 • ビットグルーヴという会社で、やっていること、 考えていること • 今後の課題
  10. 10. ざっくり自己紹介 • 56歳男性、妻子あり。犬派。 • ゲーム業界に入った当時は、サウンドのアル バイト。その後、プログラマーに転向(27歳頃、 遅すぎたかも)。 • ビットグルーヴの創業者で代表取締役。今も まだコード書いてます(最近は、php、javascript)
  11. 11. 犬紹介(特に意味はありません) フラン♀ 推定6歳 元・尼崎港付近在住 レオ♂ 推定15歳 元・大阪城公園在住
  12. 12. リーマン ショック 2008年 自己紹介② • サウンドのアルバイト (1986年) – ここは、のちにゲーム業界最大級の開発会 社に – FC「燃えろ!!プロ野球」、FC「プロゴルファー 猿 影のトーナメント」 • とあるゲームメーカー (1987年) – ファミコンの複数タイトルのサウンドを担当 • ある企業のゲーム部門立上げに参加 (1989年) – 途中離脱 • 初めてのフリーランス、プログラマーに転 身 (1990年) – PCエンジンのサウンドドライバーなど • ゲーム開発会社 (1990年) – AC「スーパーバレー ‘91」、GB「ロックマン ワールド3」「バイオニックコマンドー」など • 2度目のフリーランス (1993年) – GB「ロックマンワールド4」、AC 「SLAM DUNK スーパースラムズ」 • 前職の会社を設立(共同代表) (1995年) – ゲームボーイやワンダースワン向け ゲームなど多数 – メンタル系の病気+リーマンショック の余波で退職 • 3度目のフリーランス(屋号がビット グルーヴ) (2010年) – 電子玩具の開発 • 法人化 (2011年) – 当初はゲーム以外の開発も – iOS「太鼓の達人プラス、 iOS/Android 「キングダム ハーツ ユ ニオン クロス」 色んなところで働いていました。
  13. 13. 私的なバックボーン • アルバイト、 フリーランス、 会社員(制作会社、ゲーム メーカー)、 役員など、いろんなポジションを経験 • 正社員時代にパワハラを体験 • 「これが出来るまで家に帰れると思うなよ」的な圧力 まだ「パワハラ」という言葉すらない時代です • メンタルをやられて復帰に4年掛かった • これはパワハラとは別で、もっと後の話 • 長時間労働+過度のストレスが原因(たぶん) メンタル以外にも、ストレスが原因の病気を多数経験
  14. 14. では、自分の過去と重ねて、 年代別にどうだったかを 思い出してみます (このあたり、ベテランの方には おそらく懐かしい話)
  15. 15. 各年代の労働環境(経験から) • 1980年代(ファミコン時代) – やりがい偏重 – 徹夜・泊まり込みは当たり前 – 仮眠室・夜食を用意する企業も • ひとり2交代勤務とか、1ヶ月帰れないとか • 差し入れは栄養ドリンク • 1990年代(スーファミ⇒プレステ) – ゲーム業界の上場企業が徐々に増え、 クリーン化の兆し? – 全般的には相変わらず長時間労働 • 死人が出た噂や、プログラマーが逃げた話を聞くことも… ※赤文字は体験談
  16. 16. 各年代の労働環境(経験から) • 2000年代 – 上場企業増加 – クリーンな企業と、相変わらずな企業の 二極化? • この頃にメンタルをやられました • 2010年代(特に後半) – 「ブラック企業」がやり玉に – ゲーム業界中小も、クリーン化の流れへ • 人材難・採用難の影響か? • ITベンチャー系企業のゲーム業界参入も関係? ※赤文字は体験談 2000年頃までの主要ゲーム 会社の東証一部上場時期 1983 任天堂 1988 コナミ 1990 セガ 1991 ナムコ 1999 エニックス 2000 カプコン、コーエー、スク ウェア 2001 テクモ (社名は略称)
  17. 17. 次に、 労働環境を左右する要因を 考えてみます (村田説)
  18. 18. 労働環境を左右する要因の考察 • 多人数開発 – 組織化されたチーム開発 – 属人性は排除の方向へ • ネットワークゲーム – 特にリリース後は安定運営重視 • コンプライアンス重視、 SNSでの炎上回避 • 少人数開発 – 職人芸に由来する属人性 • 楽観的な事前計画 • 仕様変更 • “モンスタークライアント” • ROM化 – マスター前の追込み ブラック要因 ホワイト要因 要因になりやすいというだけで 必ずそうなる訳ではありません
  19. 19. 労働環境を左右する要因の考察② • 仕様が明確 • どこに向かえば良いかが分かる • スケジュールに沿った業務進行 • 仕様が、変更に次ぐ変更 • 「出来たものを見て考える」 • スケジュールが立たない、無い • やってもやってもゴールが遠のく ブラック要因 ホワイト要因 ゴールが 不明確な 仕事 ゴールが 明確な 仕事
  20. 20. 労働環境を左右する要因の考察② • ゲーム開発の場合、こっち の方がクリエイティブだった り面白かったりすることもあ るので、たちが悪い ブラック要因 ホワイト要因 ゴールが 不明確な 仕事 ゴールが 明確な 仕事
  21. 21. では、 具体例のひとつとして、 当社の取り組みについて お話しします
  22. 22. ビットグルーヴの設立時 • 設立は2011年 – 設立直前は4名。全員PG。全員男性。30代~40代。 – みんな、それなりにブラックな時代を引きずっていました。 • 受託開発会社 – 「どうやって食べていく?」が出発点(当初の志は低め) • 初期メンバーは、仕事が無くなったフリーランスと、リストラ社員 – なので、決してベンチャーではありません • 過去の経験から、「とにかく働きやすい会社にしたい」 – 多様性を許容、各自がやりたいように出来る環境 • スタッフに無理をさせたくない⇒プレッシャーで義務的に働かせるの は止める – 「非ブラック」という考えは、特に強くなかった リーマン ショック 2008年
  23. 23. 設立から3年ぐらいの状況 • 失注の恐怖 – とにかく仕事が欲しい ⇒下限ギリギリの見積もり – 普通に仕様変更とかあるので、スケジュールは延びる – 結果、原価割れになりがち ⇒資金繰りに苦しむ • 来た仕事は全部受けるスタイル – スマホアプリ以外に、 CG制作、組込み系、Web系、教育系など – スタッフ数 < 案件数(10人で12案件とかw) – 仕事のすき間を、いかに詰めるに四苦八苦 • 無駄が出る、配慮が行き届かない • 孫請け、ひ孫請けは当たり前、ひひ孫請けも – (某アプリは、B社⇒U社⇒M社⇒Q社⇒当社) • 結果:なんかダメな感じ(前述のブラック要因が複数) – 当初の「働きやすい会社にしたい」が実現できない
  24. 24. 3年目にして デススパイラル
  25. 25. 当時開発していた商品 明かせないのも含め 色々あります 18禁 ソフトの オマケ 発売前 ソフトを 体験版に する どれも少人数開発でした 学習 アプリ 電子式 学習機 の中身 企業の キャンペーン アプリ ストリーミング ラジオアプリ ひひ孫 請け 有名RPGの スピンオフ 企画 お腹を ブルブル させるだけで 痩せる機械の ソフト
  26. 26. その頃考えたこと • スタッフ総動員でひとつのゲームを作りたい – スタッフ数<案件数、 の反動? – 次の案件までの、隙間を埋める労力や無駄が減るのでは? (マスターアップ前には、次の営業をしてました) • 会社のポジションを、発注経路の下流から上流に移したい • 会社のレベルアップは? ⇒ ひとりひとりの価値の最大化 – 少しずつ各自がレベルアップすれば、会社全体のパワーが増すはず • 色んな仕事で、様々なノウハウが身についた実感はある • その人の力が最大限に出せるように、会社側が配慮 – その人に合う仕事スタイル+労働環境の整備
  27. 27. 設立4年目の変化 • きわどいタイミングの融資で、資金繰りが上向き に • スマホ向けオンラインRPGの受注(開発+運営) – スタッフ総動員での取り組み – ゲームメーカーからの直接発注 • リリース後の運営フェーズで、安定運営を目指す ⇒ 労働環境のクリーン化、担当者の疲弊減少 もうちょっと 詳しく
  28. 28. 設立4年目の変化② • 開発体制の整備・立て直し – オンラインRPGで安定運営重視 ⇒ 現実的なスケジュール – 加えて、資金繰りが安定し、余裕のある開発体制へ ↓ ↓ – 就業規則の整備(それまでは就業規則なし) – 福利厚生の充実(たまに思い付きでやってたのを整理・継続) これらは、一度に出来たわけでは無く、手探りで少しずつ整えました • 個人の尊重と多様性の許容、自発的モチベーションへの誘導 (無意識にやっていたのを意識的に) ⇒ひとりひとりの価値の最大化へ • 会社としてやりたかったことが、少しずつ実現
  29. 29. 少し飛躍しているところもありますが、整理したらこんな感じ 安定運営 クライアントの理解 無理のない スケジュール 余裕のある 開発体制 労働環境の整備 福利厚生の充実 開発担当者が 疲弊しない 価値の最大化
  30. 30. そしてどうなったかというと…
  31. 31. ビットグルーヴの現在 • 現在のスタッフ数 – 全部合わせて30名(創業時の7.5倍) • 正社員23名 • アルバイト3名(インターン含む) • 派遣社員2名 • 協力会社からの出向2名 • 定着率高め – 契約社員、アルバイトを除くと、7年間で退職者は1人 だけ (これはたまたま? 今後どうなるかは分からない) (苦しい時期に辞めずに頑張ってくれたスタッフに感謝です)
  32. 32. 現在の労働環境 • 裁量労働制(たぶん本来の裁量労働に近い) – 出社時間は10時~19時推奨(休憩1時間) • 実際には11時ごろ出社する人が多い。午後にならないと来ない人も。 – 長時間労働は極力避ける、仕事が早く片付いたら早く帰る • 6~7時間で帰る人も • 上司や同僚の理解が必要 – 居眠りは容認 • 眠気をこらえて仕事をしても意味がないし、成果のクオリティが下がる • 堂々と寝て、目覚めたらまた頑張ればいい • 月あたり平均の所定外労働:約16時間 • 1か月20日稼働とすると、1日1時間未満 • (当然ながら波はあります) もちろん忙しい 時期もあります
  33. 33. 関連してやっていること(福利厚生面) 【映画の日制度】 • 概要 – ファーストデーの入場料を会社が負担 – 観賞中は勤務扱い(実際には退社後に行 く人が多い)、ただし時間は自分で作る • 始めた理由 – ゲーム以外の娯楽から刺激を受けて欲し い – 業務の効率化を自分でも考えて欲しい • 実施した結果 – 「何を観るか、観たか」でスタッフ間のコ ミュニケーションが増加 – コスト:月あたり1人 ¥1100ぐらい(利用経 験あり6割程度、平均利用率20%ぐらい ※ 上映されている映画により変動) ※どこか忘れましたが、他社さんのパクリです 【おやつ食べ放題】 • 概要 – 開発室におやつテーブルを設置 – いつでも好きなだけ食べていい(お持ち帰り は禁止) – 不定期アンケートで、リクエストに応じる • 始めた理由 – 社内コミュニケーションの促進(特に業務で 絡まない人同士) – KLabさんの「おやつ駆動開発」の話を聞いて (なので、これもパクリですね) • 実施した結果 – おやつを囲んでのコミュニケーション増加 – コスト:スタッフ30人で、月¥15,000ぐらい ※少し前から無料コーヒーも始めました
  34. 34. 関連してやっていること② 【近距離奨励手当】 • 概要 – 1カ月の交通費が1万円以下の人に手当 を支給 • 始めた理由 – 中~遠距離の人を近隣へ誘導したい • 労働時間が短縮出来ても、通勤で疲れる – 自転車・バイク通勤者の不公平感を緩和 • 実施した結果 – 大阪、奈良、兵庫からの採用が微増(入 社タイミングでの引っ越しを後押し) – 既存スタッフも近隣に引っ越す人がちら ほら – 当社では月 ¥5,000支給 ※サイバーエージェントさん他多数のパクリ です 【フルーツの日】※試験運用中 • 概要 – 月1回、宅配フルーツを入荷(もちろん 会社負担) – とりあえず、食べたい人が食べる • 始めた理由 – おやつばかり食べると不健康になりそ う – ひとり暮らしの人の食生活を考えて(フ ルーツ買うのは億劫では?) – 社内アンケートでも要望あり • 実施した結果 – 効果を見極め中、社内の評判は悪くな い感じ ※スクウェア・エニックスさんのパクリで す
  35. 35. ※大体パクってます
  36. 36. 他にやっていること • 割と普通のことだと思いますが、一応ピックアップして みました – 22時以降の残業、休日出勤は、許可制 • セクションリーダーの許可が必要 • 休日出勤分の代休は、申請時に決めて、1カ月以内に取得する 結果:22時過ぎると誰もいなくなる(※出社は11時とか昼とかです) – 全社ミーティングは、なるべく午前に設定 • 午後にしか来ない人も、たまには早めに来てもらう – カギ当番(1週ごと交代) • 当番の週は、朝10時までに出勤 • 代わりに、その週は残業なし(19時退社)
  37. 37. 現場サイドの取り組み • 属人性を出来るだけ減らす(かなり重要) – 「○○の業務はAさんにしかできない」を減らす • 以前は属人性が高かったので、取り組み当初は大変でした – 代わりがいない・手伝えない業務は、それなりに 忙しくなる • それ以外の業務を軽減して、バランスを取っている • 属人性が完全になくなると、ひとりひとりの「やりがい」 が薄くなる懸念は持っている 属人性:業務が特定の人の スキルに依存してしまうこと
  38. 38. 色々やってみて思ったこと
  39. 39. 労働環境の改善に必要なこと • 資金繰りの安定(必須) – 無理な受注をしないで済む • 計画的な開発(必須) – 無駄作業の削減 ⇒ 休暇や時短 • クライアントの理解(必須) – 時短、休日出勤減少など • 会社の経営陣、上司、同僚の理解(必須) – 多様性の許容、労働時間短縮 • 業務の属人性を減らす(必須) – 「休めない」「特定の人に業務が集中」を緩和 全部必須!
  40. 40. 他にも大事だと思うこと • 良好な人間関係をどう作るか、どう維持するか – 職場の人間関係は、労働環境の一部と考えるべき • 数値化できないので、取り組みも成果も、不明確で難しい – 個人攻撃をしない、皮肉や陰口を言わない • まずは、上司やリーダーから – 怒らない・叱らない(もちろん注意はします) – 早めに帰る人にも笑顔で • 「もう帰るの?」とか絶対に言わない – 社風に合う人しか採用しない • (たぶんこれが一番重要)(でも特に中小の場合は難しい)
  41. 41. 今後の課題 • 人数増加による、当事者意識の低下 – 15人を超えたぐらいから徐々に始まっている – そろそろ組織をしっかり組み立てないと、 単にふわっとしてるだけの会社になりそう • 現在は比較的フラットな組織 • 採用がどんどん厳しくなっている あとは普通に、資金繰りとか、売上げ維持とか、利 益確保とか…
  42. 42. まとめ
  43. 43. まとめ • ゲーム業界の労働環境は、徐々に良くなってきています • 業務管理面では、ゴールを明確にすることが、労働環境の 改善につながります • 開発現場では、なるべく属人性を排除して、代われる人を 作るべきです • 結局のところ、資金繰りが安定しないと、色々と悪循環にな りやすいです(身も蓋もない話) • やっぱり人間関係は大事です
  44. 44. 今回話せなかったこと • どのようにして属人性を軽減させたのか • 「ひとりひとりの価値の最大化」って、具体的に はどういうことなのか、またその方法 • 当社の採用や選考のやりかた
  45. 45. さいごに • ゲーム開発は、夢や楽しさを作る仕事です • 開発者が楽しんで作れる環境を目指しましょ う(これからも目指していきます) • それがゲーム業界のイメージアップにつな がって、結果的に、いい人材がゲーム業界に 集まって欲しいですね
  46. 46. 以上です ありがとうございました!

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