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F北欧の電力需給に学ぶ青山巧、岩間壮一朗
- 9. • 「安定供給の確保」や「環境への適合」を達
成してもコストが高くなっては経済活動にも
影響するので、「市場原理の活用」で効率化
を目指さねばならない。
• そこで、日本は持続可能な経済・社会の発
展と、よりよいライフスタイルを築くため、
「安定供給の確保」「環境への適合」「市場
原理の活用」の3つをエネルギー政策の基本
方針としている。
• 国は「新・国家エネルギー戦略」などで達
成すべき目標をかかげているが、目標の達成
は容易ではない
- 10. ノルウェーのエネルギー事情
• 1. ノルウェーは,世界第12位の産油国(234万B/D),世界第5位
の天然ガス産出国(103.5bcm)。EU諸国に対して,ロシアに次
ぐ石油・天然ガス供給国(石油:15%,天然ガスの 27%,2007
年)。EUのエネルギー安全保障上,重要な役割を果たしている。
• 2. GDP の 20%,輸出の 64%を石油・天然ガスに依存。ノル
ウェー大陸棚における石油・ガス生産から生じる政府収入は,「政
府年金基金-グローバル」として積み立てており,ノルウェー経済
への影響を考慮して,専ら国外金融市場で運用。
• 3. 自国域内生産は,推定埋蔵量(約 130 億石油換算立方メート
ル)のうち約 40%を既に生産済み,今世紀半ばに向け緩やかに減
少。
• 4. 国内電力供給の 96%(2009)は,豊富な水資源を利用した水
力発電。
• 5. 海上リグ等の技術から発展した浮体式洋上風力発電施設等、再
生可能エネルギー関連技術にも競争力を発揮。また,CCS(二酸
化炭素回収貯留)を推進。
- 11. 水力発電
• (1) 水力発電量は世界 6 位(2007)。豊富な水資
源を活用した水力発電が国内電力供給の 96%(2009)
を占める。その他,火力発電が 3%,風力発電 1%。
2009 年の総発電量は 132.8TWh(前年比 6.9%減)。
内,水力 127.1 TWh(同 9.6%減),火力 4.7 TWh
(286.0%増),風力1.0 TWh(6.9%増)。2008 年,水
資源を含むエネルギー資源が国民に帰属するものとの
観点から,現在国,地方自治体,民間が実施している
水力発電事業は,一部例外を除き今後段階的に民間撤
退させることを決定。現在水力発電事業を行っている
民間企業は,発電事業の期限終了(ピーク:2057 年)
後,国の水力発電事業会社又は地方自治体に水力発電
施設を返却,若しくは公共資金を得て民間資本を 1/3
以下にする必要がある。
- 12. (2)ガス火力発電
• 2009 年の発電量は 4.7 TWh。国内の電力需
要が高まる中,水力発電による電力不足
と国
内産ガス資源の有効活用の観点から,2007
年国内初のガス火力発電所がコーシュトー
にて営業開始(スタットオイル社とスタッ
トクラフト社の合弁企業運営)。CCS 研究開
発が進まないこと,またガス火力発電所稼
働以降ガスの価格上昇及び降水量増等によ
り,ガス火力発電所の稼働率は低い。
- 13. • (3)風力発電
• 2009 年の発電量は 1.0TWh。今後生産規模
を拡大し,2010 年の総発電量 3TWh とす
る計画。
• ただし,厳しい気候条件下での制約や環
境問題から陸上風力発電開発の限界も見
えており,石油掘削用プラットフォーム
建設等で培った技術を応用した世界初の
浮遊式海上風力発電施設を設置し,海底
ケーブルによる送電を試験的に開始する
等,浮体式風力発電研究開発(Hywind)
を進めている。
- 15. • (6)石炭
• スヴァールバル諸島にて現在稼働中の炭
坑が 2 鉱。ひとつは国営企業運営で主に
地域発
• 電の原材料として活用。もうひとつはロ
シア居留地バレンツブルグでロシア企業
運営,地域発電に活用されると共に主に
欧州に輸出。スヴァールバルには他に採
掘可能な鉱山はあるものの,国際価格,
気候変動問題等のため,現在は 2 鉱以外
採掘されていない。
- 16. • 確かに日本では、ユーザーが直接電力会社
に翌日の需要の計画を提出していない。しか
し、現行の規則体系の下でも、新規参入小売
り会社(PPS)とそのユーザーとの間でそう
した契約を結ぶことは可能で、実際にPPSは
電力会社に翌日の発電と自らの顧客の電力需
要の計画値を提出している。
• もちろん、PPSは必ずしもその計画に沿っ
て発電するわけではなく、当日の自分のユー
ザーの需要が変動すれば、それに合わせて発
電を調整する。それでも全くぴったり発電と
需要が合致す
- 17. 貯水池が巨大な蓄電池
• ノルウェーは電源のほぼ100%が水力であり、北欧
市場全体でも電源構成の半分は水力である。しか
も、貯水池の容量が半端ではなく、北欧全域の年
間消費電力量の約3割に相当する膨大な水を貯め
ることができる。まさに巨大な蓄電池である。こ
れだけ巨大な蓄電池を擁していれば、需要と供給
のバランスを調整するのは容易だ。
• ちなみに、北欧市場には、風力発電のシェアが
20%を超え、風力大国と呼ばれるデンマークも含
まれている。しかし、北欧全体で見れば、デン
マークの風力も2%弱のシェアを占めるに過ぎな
い。大きな蓄電池である水力が豊富なため、風力
固有の出力変動対策も容易になっているのであ
る。
- 18. • 第2は需要の価格弾力性である。北欧地域
は電化率が非常に高い。特にノルウェーの最
終需要端の電化率は45%と、日本のほぼ倍で
ある。
• これは、燃料費がタダの水力発電の電気が
豊富なため、電気を利用した熱源が多いこと
による。他方、渇水になると、利用できる電
気に制約が生じ、電力価格が上昇する。そう
いったときに備えて、石油や薪などほかの燃
料による熱源もスペアで用意されている。通
常、電力需要の価格弾力性は小さいといわれ
るが、こうした熱源切り替えが可能なことに
よって、北欧は電力需要が価格に対して弾力
的になる
- 19. • 第3に、市場のルールを尊重する価値観が
強いのではないだろうか。実は、ノルウェー
はここ10年ほどの間に電気料金が大幅に上昇
している。これは、北欧全体の需要を満たす
ために稼動させるもっとも高い電源、つまり
は火力発電所のコストによって市場価格が決
まるためで、化石燃料の価格上昇が影響して
いる。
• 加えて、ここ数年、欧州大陸で電力取引が
活発化しているので、より価格水準が高い大
陸側に引っ張られているということもあるだ
ろう。次のスライドに推移を示すが、ここ10
年くらいで2~3倍になっている。
- 23. 電力使用のピークの午後6時~7
時の消費をさける
• 料理の中でも特に電気を使うご飯は早め
に炊いておく
• 電子レンジなどの消費電力の高い製品を
この時間帯を外して利用する。
• 暖房の利用もピークを控える
- 24. 電気の使う暖房機器の利用を抑え
る
• エアコンや電気カーペットはなるべく使
わない
• エアコンを使うときは設定温度を夏場な
らば2,3度高く、冬は逆で下げる。そ
の分着ているもので調整する。
• 部屋のドアをしっかり閉めて、暖気を逃
げないようにする。
• 窓から熱が逃げないように厚手のカーテ
ンを使う。