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歯の発生、進化のシミュレーション
Adaptive dynamics under
development-based
genotype–phenotype maps
Isaac Salazar-Ciudad& Miquel Marin-Riera
全体の流れ
• 歯についての前提知識
• 発生のモデル
• 進化のシミュレーション
歯のevo-devo
歯は硬く、化石になりやすい→古生物学的知見
が豊富
食性や系統ごとに大きな違いがある(特に哺乳
類)→比較しやすい
哺乳類の歯のdiversity
肉食 雑食 草食
哺
乳
類
魚
類
爬
虫
類 シンプルな
形状
複雑
哺乳類の歯の進化
Cusp=先端
噛み切り すりつぶし
真上から
見た図
6
歯の発生
Epithelium(白)が陥入
epitheliumと接する部分の
Mesenchyme(紫)が凝集しdental
mesenchyme(青)に
dental epithelia(赤)との細胞間コミ
ュニケーションによる形態形成...
ワモンアザラシの歯
(形態が)種内変異に
富む
「歯の形態が系統を見
分けるのに役立たな
い」ことを示す例として
先行研究有り
10
ワモンアザラシの歯
三次元的には比較
的シンプルな構造 モデルが作りやすい
全体の流れ
• 歯についての前提知識
• 発生のモデル
• 進化のシミュレーション
12
12年前の比較的シン
プルなモデル
Inhibitorとactivator
のみ
分子生物学的知見
がほとんどなかった
ので、できる限りシ
ンプルな仮定からス
タート
シミュレーションと実
際の観察とをすり合
わせる
13
12年前の比較的
シンプルなモデル
ルール
• Epitheliumは一定の速度で増殖
• 同時に一定の速度でactivatorを分
泌
• Acvtivatorを受け取ったepitheliumは
さらにactivatorを分泌
• Ac...
Epitheliumがactivatorを分泌i
形態形成の大まかな仕組み
Activatorがepitheliumのgrowthを促進
Activatorの濃度が一定を超えると
epitheliumがknot cell(エナメル結節)
へと分...
4年前の比較的発展したモデル
おおまかな仕組みはそのままに、様々な可変パラメータを設定
細胞の力学的シミュレーション
基本はボロノイ図
↓
細胞を点として捉える
ボロノイ図とは
ある距離空間上の任意の位置に配置され
た複数個の母点(この場合は細胞)に対し
て、同一距離空間上の他の点がどの母点
に近いかによって領域分けされた図
可変パラメーターの一覧
• cellの硬さ (Rep)
• adhesionの強さ (Adh)
• 細胞内張力 (Ntr)
• 上皮細胞の初期growth速度(Egr)
• 分泌因子が上皮細胞のgrowth速度に影響を
与える度合い(Dff)
...
細胞が近づくにつれて反発力を生じる
で表される
ここで
Krepは反発係数(事前に指定)
Pi、Pjは細胞中心の座標
Poは1ステップ前の細胞間の距離
||は絶対値を示す
2つの細胞ij間の反発力(iに対して働く)は
ここがマイナスになる
(細...
細胞間接着のシミュレーション
細胞間の距離が離れる場合、つまり
Po<//Pj-Pi// の場合adhesionが生じる
※上皮細胞間にのみ働く
つまり…
離れすぎると
adhision
くっつきすぎると
repulsion
適度な距離を保つ
細胞iの移動ベクトルは、隣接するすべての細
胞とのfの合計から得られる
張力のシミュレーション(おまけ)
細胞内に貼る’糸’のイメージ
(主に中間径フィラメントが担う)
今回は細胞の中心点と細胞膜間に働く力
細胞を丸くする
つまり…
• 隣接する細胞の位
置座標(赤)の平均
に向かって細胞
(黄)が動く
上皮細胞の成長のシミュレーション
細胞中心点同士が遠ざけ合う力として捉える
ある細胞iが周囲の細胞jの成長によって被る移動ベクトルの式
kEgrが固有パラメータ、
ujiはjからiへの作用ベクトル(不変)
diは分泌因子の濃度によって変動する(...
分泌因子による影響の強さ
Secが分泌因子
antero-posterior軸でのバイアス
(Bgr)
低 高
細胞の
細胞の成長速度
ここの傾きを変化
上皮細胞の下向きへの成長
(Dgr)
• 端の細胞だけ
等方向的
にではなく
下方向に強く成長
成長パラメータ
をxyzに分割
↓
zだけkDgr(パ
ラメータ)依存
的にいじる
※多分間違った式
mesenchymeの浮力
epitheliumとmesenchymeとの間に働くベクトル(n)
のみパラメーター依存的に大きくなる
3種の分泌因子
• 細胞膜上から
分泌し、普通
の拡散方程式
に従って細胞
膜上を拡散
分泌因子の相互作用
昔のモデルでのinhibitorがinhibitor(Inh)とsecondary signal(Sec)に分かれている
InhはActivatorを抑え、SecはMsenchymeのGrowthを促進する
①
②
epitheliumの細胞表面の濃度変化
Actによる自己の発現促進①
とInhによる制御②
分解による減少(一定割合)
拡散
※mesenchyme、knot cell
では赤がなくなる
knot cellへの分化後
ここが付け加わる
パラメータを様々にいじる
→実際の歯との差を見る
このように複雑な発生のシュミレーションの場合、少しづつパラメーターを変
えていっても、いきなり表現型が大きく変化する場合がある(中立的変異)
↓
中立的変異は進化能の獲得に重要な役割を果たす
全体の流れ
• 歯についての前提知識
• 発生のモデル
• 進化のシミュレーション
複数の視点からの適応度評価
ここまでの説明
これからの説明
ここからは去年の論文
1.最高の適応度を持つ形態を設定
2.それとは違うパラメーターからシミュレーションスタート
3.少しづつランダムにパラメーターを変えていく
4.適応度を評価し、淘汰して、進化させる
5.最高の適応度を持つ形態にどれだけ近づくかを見る
おおまかな...
3つの評価基準
その1
Euclidean morphological
distance (EMD) criterion
目標形態と被評価形態を重ね、被評
価形態の全細胞(中心)について、そ
こから最も近い目標形態の細胞(中
心)との距離を測り...
3つの評価基準
その2
The landmark-based
selection criteria
2つの形態において最も高い点を重
ねあわせ、その他の頂点部位の位置
の相違を図る。
距離の合計が小さいほど適応度が高
い
図る頂点部位の数は可変
3つの評価基準
その3
orientation patch count
(OPC) selection criterion
出来上がった形態の上皮細胞間を
結び、面の向いている方角を測定
その後、塗り分けられた領域がいく
つあるかを見る。その数...
色々条件を変えて、最終的な形態がどこまで理
想に近づくかを見る
たとえば
• 最初の形態が、どれだけ目標から遠いか
• どれだけ厳しく選択するか(ポピュレーション
の何%を淘汰するか)
• ポピュレーションのサイズ
など
集団のサイズが大きいほど、最終的な適応度は高い
●がOPC、▼がEMD
最初の形態が目標から遠いほど、理想に遠い
ところで進化が止まる
□はlandmark-based selection criteria(many traits)
EMDは複雑になるほど適応しにくい
●がOPC、▼がEMD
Degenerativeな評価方法ほど最終的な適応度
が高い傾向に
Degenerativeとは…
一つの適応度に対して多数
の遺伝型を持つ(≒中立変異
に幅がある)ような評価形態
丸は最後に進化が止まった
ところ
三角はそこから更に5世代経
...
同じデータを濃度で示したもの
2種のdegenerative
適応度-表現型間と
表現型-遺伝型間
どちらかがあればok
適応度A
表現型a 表現型b 表現型c 表現型d
遺伝型a 遺伝型b 遺伝型c 遺伝型d
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歯の発生によるEvo-Devoのシミュレーション

学部生時代に発表した資料です。

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歯の発生によるEvo-Devoのシミュレーション

  1. 1. 歯の発生、進化のシミュレーション Adaptive dynamics under development-based genotype–phenotype maps Isaac Salazar-Ciudad& Miquel Marin-Riera
  2. 2. 全体の流れ • 歯についての前提知識 • 発生のモデル • 進化のシミュレーション
  3. 3. 歯のevo-devo 歯は硬く、化石になりやすい→古生物学的知見 が豊富 食性や系統ごとに大きな違いがある(特に哺乳 類)→比較しやすい
  4. 4. 哺乳類の歯のdiversity 肉食 雑食 草食 哺 乳 類 魚 類 爬 虫 類 シンプルな 形状 複雑
  5. 5. 哺乳類の歯の進化 Cusp=先端 噛み切り すりつぶし 真上から 見た図
  6. 6. 6 歯の発生 Epithelium(白)が陥入 epitheliumと接する部分の Mesenchyme(紫)が凝集しdental mesenchyme(青)に dental epithelia(赤)との細胞間コミ ュニケーションによる形態形成後、 eruption ここがバリエーションに富む
  7. 7. ワモンアザラシの歯 (形態が)種内変異に 富む 「歯の形態が系統を見 分けるのに役立たな い」ことを示す例として 先行研究有り
  8. 8. 10 ワモンアザラシの歯 三次元的には比較 的シンプルな構造 モデルが作りやすい
  9. 9. 全体の流れ • 歯についての前提知識 • 発生のモデル • 進化のシミュレーション
  10. 10. 12 12年前の比較的シン プルなモデル Inhibitorとactivator のみ 分子生物学的知見 がほとんどなかった ので、できる限りシ ンプルな仮定からス タート シミュレーションと実 際の観察とをすり合 わせる
  11. 11. 13 12年前の比較的 シンプルなモデル ルール • Epitheliumは一定の速度で増殖 • 同時に一定の速度でactivatorを分 泌 • Acvtivatorを受け取ったepitheliumは さらにactivatorを分泌 • Activatorの濃度が一定を超えると epitheliumはknotに分化し、周囲の activatorと同濃度のinhibitorを分泌 • Inhibitorはmesenchymeの成長を促 進
  12. 12. Epitheliumがactivatorを分泌i 形態形成の大まかな仕組み Activatorがepitheliumのgrowthを促進 Activatorの濃度が一定を超えると epitheliumがknot cell(エナメル結節) へと分化し、inhibitorを放出 Inhibitorはactivatorの分泌を抑えつつ、 mesenchymeの増殖を促し、 押しのけられたepitheliumが新たな knotを形成 Epithelium mesenchyme mesenchyme Epithelium mesenchyme Knot cell
  13. 13. 4年前の比較的発展したモデル おおまかな仕組みはそのままに、様々な可変パラメータを設定
  14. 14. 細胞の力学的シミュレーション 基本はボロノイ図 ↓ 細胞を点として捉える ボロノイ図とは ある距離空間上の任意の位置に配置され た複数個の母点(この場合は細胞)に対し て、同一距離空間上の他の点がどの母点 に近いかによって領域分けされた図
  15. 15. 可変パラメーターの一覧 • cellの硬さ (Rep) • adhesionの強さ (Adh) • 細胞内張力 (Ntr) • 上皮細胞の初期growth速度(Egr) • 分泌因子が上皮細胞のgrowth速度に影響を 与える度合い(Dff) • 細胞の成長速度にかかる位置バイアス(Bgr) • 端の細胞の下向きへの成長度合い(Dgr) • mecenchymeの浮力(Boy) • 分泌因子の相互作用の強さ(Act,Inh,Sec) • 分泌因子の減少率(Deg) • 分泌因子の拡散速度(Da,Di,Ds)
  16. 16. 細胞が近づくにつれて反発力を生じる で表される ここで Krepは反発係数(事前に指定) Pi、Pjは細胞中心の座標 Poは1ステップ前の細胞間の距離 ||は絶対値を示す 2つの細胞ij間の反発力(iに対して働く)は ここがマイナスになる (細胞同士が近づく)と 離れる
  17. 17. 細胞間接着のシミュレーション 細胞間の距離が離れる場合、つまり Po<//Pj-Pi// の場合adhesionが生じる ※上皮細胞間にのみ働く
  18. 18. つまり… 離れすぎると adhision くっつきすぎると repulsion 適度な距離を保つ
  19. 19. 細胞iの移動ベクトルは、隣接するすべての細 胞とのfの合計から得られる
  20. 20. 張力のシミュレーション(おまけ) 細胞内に貼る’糸’のイメージ (主に中間径フィラメントが担う) 今回は細胞の中心点と細胞膜間に働く力 細胞を丸くする
  21. 21. つまり… • 隣接する細胞の位 置座標(赤)の平均 に向かって細胞 (黄)が動く
  22. 22. 上皮細胞の成長のシミュレーション 細胞中心点同士が遠ざけ合う力として捉える ある細胞iが周囲の細胞jの成長によって被る移動ベクトルの式 kEgrが固有パラメータ、 ujiはjからiへの作用ベクトル(不変) diは分泌因子の濃度によって変動する(後述
  23. 23. 分泌因子による影響の強さ Secが分泌因子
  24. 24. antero-posterior軸でのバイアス (Bgr) 低 高 細胞の 細胞の成長速度 ここの傾きを変化
  25. 25. 上皮細胞の下向きへの成長 (Dgr) • 端の細胞だけ 等方向的 にではなく 下方向に強く成長
  26. 26. 成長パラメータ をxyzに分割 ↓ zだけkDgr(パ ラメータ)依存 的にいじる ※多分間違った式
  27. 27. mesenchymeの浮力 epitheliumとmesenchymeとの間に働くベクトル(n) のみパラメーター依存的に大きくなる
  28. 28. 3種の分泌因子 • 細胞膜上から 分泌し、普通 の拡散方程式 に従って細胞 膜上を拡散
  29. 29. 分泌因子の相互作用 昔のモデルでのinhibitorがinhibitor(Inh)とsecondary signal(Sec)に分かれている InhはActivatorを抑え、SecはMsenchymeのGrowthを促進する ① ②
  30. 30. epitheliumの細胞表面の濃度変化 Actによる自己の発現促進① とInhによる制御② 分解による減少(一定割合) 拡散 ※mesenchyme、knot cell では赤がなくなる
  31. 31. knot cellへの分化後 ここが付け加わる
  32. 32. パラメータを様々にいじる →実際の歯との差を見る
  33. 33. このように複雑な発生のシュミレーションの場合、少しづつパラメーターを変 えていっても、いきなり表現型が大きく変化する場合がある(中立的変異) ↓ 中立的変異は進化能の獲得に重要な役割を果たす
  34. 34. 全体の流れ • 歯についての前提知識 • 発生のモデル • 進化のシミュレーション
  35. 35. 複数の視点からの適応度評価 ここまでの説明 これからの説明 ここからは去年の論文
  36. 36. 1.最高の適応度を持つ形態を設定 2.それとは違うパラメーターからシミュレーションスタート 3.少しづつランダムにパラメーターを変えていく 4.適応度を評価し、淘汰して、進化させる 5.最高の適応度を持つ形態にどれだけ近づくかを見る おおまかな流れ ※実際の生物の歯に似せるのは、一旦諦めたみたいです ここの基準が複数
  37. 37. 3つの評価基準 その1 Euclidean morphological distance (EMD) criterion 目標形態と被評価形態を重ね、被評 価形態の全細胞(中心)について、そ こから最も近い目標形態の細胞(中 心)との距離を測り、合計する。 合計が小さいほど適応度が高い。
  38. 38. 3つの評価基準 その2 The landmark-based selection criteria 2つの形態において最も高い点を重 ねあわせ、その他の頂点部位の位置 の相違を図る。 距離の合計が小さいほど適応度が高 い 図る頂点部位の数は可変
  39. 39. 3つの評価基準 その3 orientation patch count (OPC) selection criterion 出来上がった形態の上皮細胞間を 結び、面の向いている方角を測定 その後、塗り分けられた領域がいく つあるかを見る。その数が目標と近 いほど適応度が高い 実際の歯の形態評価に使われる手 法で、形の単純さを見る 肉食は小さく、草食は高い
  40. 40. 色々条件を変えて、最終的な形態がどこまで理 想に近づくかを見る たとえば • 最初の形態が、どれだけ目標から遠いか • どれだけ厳しく選択するか(ポピュレーション の何%を淘汰するか) • ポピュレーションのサイズ など
  41. 41. 集団のサイズが大きいほど、最終的な適応度は高い ●がOPC、▼がEMD
  42. 42. 最初の形態が目標から遠いほど、理想に遠い ところで進化が止まる □はlandmark-based selection criteria(many traits)
  43. 43. EMDは複雑になるほど適応しにくい ●がOPC、▼がEMD
  44. 44. Degenerativeな評価方法ほど最終的な適応度 が高い傾向に Degenerativeとは… 一つの適応度に対して多数 の遺伝型を持つ(≒中立変異 に幅がある)ような評価形態 丸は最後に進化が止まった ところ 三角はそこから更に5世代経 過したもの この図だと横長にばらついて いるものがDegenerative E EMD OPC landmark-based selection (左:many traits,右:few traits)
  45. 45. 同じデータを濃度で示したもの
  46. 46. 2種のdegenerative 適応度-表現型間と 表現型-遺伝型間 どちらかがあればok 適応度A 表現型a 表現型b 表現型c 表現型d 遺伝型a 遺伝型b 遺伝型c 遺伝型d

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