Successfully reported this slideshow.
Your SlideShare is downloading. ×

空気中に存在する生物派生物の捕捉による特定生物の存在確認

空気中に存在する生物派生物の捕捉による特定生物の存在確認

Download to read offline

空気中には、生物から脱落した、細胞片(デブリ)が空気中に漂っています。その大きさは、100~500ナノメータです。これらは目には見えません。このデブリを特殊な濾紙で捕捉し、このデブリからDNAを抽出して、それを基にPCRを行います。感度としては、解析サンプルに一分子あれば、検出することが出来ます。今回は、シロアリ、トコジラミを始めい色々の生物種を特異的に検出し、環境にどの程度いるのかを推察するシステムを開発しましたので、ご紹介します。

空気中には、生物から脱落した、細胞片(デブリ)が空気中に漂っています。その大きさは、100~500ナノメータです。これらは目には見えません。このデブリを特殊な濾紙で捕捉し、このデブリからDNAを抽出して、それを基にPCRを行います。感度としては、解析サンプルに一分子あれば、検出することが出来ます。今回は、シロアリ、トコジラミを始めい色々の生物種を特異的に検出し、環境にどの程度いるのかを推察するシステムを開発しましたので、ご紹介します。

More Related Content

Related Books

Free with a 30 day trial from Scribd

See all

Related Audiobooks

Free with a 30 day trial from Scribd

See all

空気中に存在する生物派生物の捕捉による特定生物の存在確認

  1. 1. 空気中に存在する生物派生物の捕捉に よる特定生物の存在確認 2020/11/20 つくば遺伝子研究所 1 つくば遺伝子研究所
  2. 2. 空気濾過装置 空気中に漂う生物派生物をフィルターに捕集 フィルターに付着した生物派生物から DNAを抽出 特定生物が環境中に生息しいてるかをPCRで解析
  3. 3. チャック付きビニール袋 シリカゲルを入れて、チャックを閉める マスクを チャック付き 袋の中へ 冷蔵庫に保管 2020/11/20 つくば遺伝子研究所 3
  4. 4. DNA抽出 PCR アガロース電気泳動 Positive control sample 2020/11/20 つくば遺伝子研究所 4
  5. 5. 1匹 3匹 10匹 30匹 7日 7日 7日 7日 試料採取: 各飼育最終日(7日目)の午前中に1時間吸引により、空気浮遊物を採取、採取後フィルターは チャック付きビニール袋に入れ、さらに、シリカゲルも入れてDNA調製まで室温保存する。 実験1 1 3 10 30 飼育室の体積: 6.3m3 飼育室の温度: 18~22℃ 飼育室の湿度: 40~70% マウス 2020/11/20 つくば遺伝子研究所 5
  6. 6. M 0 1 3 10 30 M: 分子量マーカー 0: マウス0匹 1: マウス1匹 3: マウス3匹 10: マウス10匹 30: マウス30匹 : マウスの存在を示すシグナル マウス一匹でも、マウスのシグナルが検出されている。10匹の実験区では、検出出来なかったが、 その理由は、DNAの抽出に問題があるかもしれません。 そこで、再度抽出しも且つPCRサイクル数を増やして、検討して見ました。 PCR: 40cycles マウス 2020/11/20 つくば遺伝子研究所 6
  7. 7. 結果: 1, 3, 10, 30匹で明確なバンド として検出された。しかし、バンド の濃淡がないことから、PCR回数を 多いため、プラトウに達したと思わ れる。 今後、バンドに濃淡が出る程度に PCRの回数を調整する必要がある。 マウス 2020/11/20 つくば遺伝子研究所 7
  8. 8. 30匹 0匹 7日 7日 7日 7日 飼育室の体積: 6.3m3 飼育室の温度: 18~22℃ 飼育室の湿度: 40~70% 試料採取: 飼育最終日(7日目)の午前中に1時間吸引により、空気浮遊物を採取、採取後フィルターは チャック付きビニール袋に入れ、さらに、シリカゲルも入れてDNA調製まで室温保存する。 その後、マウス0匹を維持しながら、7日ごとに、計3回、同様にフィルターで浮遊物を集め、同様に保 存する。 実験2 0 week 1 week 2 weeks 3 weeks マウス 2020/11/20 つくば遺伝子研究所 8
  9. 9. 0 1 2 3 C M 0: 0 week 1: 1 week 2: 2 weeks 3: 3 weeks C: control (no mouse) M: Molecular marker PCR fragment from mouse 結論: マウスがいる間はマウスのシグナルが検出される。マウスがいなくなっても、その後、少なくとも一 週間は、マウスシグナルが検出される。その理由は、マウス由来物が浮遊しているためと考えられる。し かし、マウスがいなくなって、2週間以上たつと、マウスのシグナルは検出されなくなる。 PCR: 40cycles マウス 2020/11/20 つくば遺伝子研究所 9
  10. 10. PCR反応 Primer: [F-1] sus Tag L5/ 10spe-R2 (ブタ) 95C 9min, 95C 30sec 68C 30sec (40 cycles) 95C 9min, 95C 30sec 68C 30sec (50 cycles) 2.5%アガロースゲル 40 cycles M Dw1 1 2 3 500bp Dw1: 水 Dw2: 水 1: 8.60ng, ブタゲノム 2: 2.85ng, ブタゲノム 3: 0.95ng, ブタゲノム 50 cycles M Dw1 Dw2 2 3 Component Reaction mix (ml) 2x QIAGEN Multiplex PCR Master Mix 10.0 primer F [2pmol/ml] 4pmol/20ml 2.0 primer R [2pmol/ml] 4pmol/20ml 2.0 DW (ml) DW4(0515) 1.0 Temp (ml) DNA solution 5.0 total 20.0 ブタ/イノシシ 2020/11/20 つくば遺伝子研究所 10
  11. 11. PCR反応 Primer: [F-7] rat Tag L3/ 10spe-R2 (ブタ) 95C 9min, 95C 30sec 68C 30sec (40 cycles) 95C 9min, 95C 30sec 68C 30sec (50 cycles) 2.5%アガロースゲル 40 cycles M Dw 1 2 3 500bp Dw: 水 1: 9.15ng, ラットゲノム 2: 3.05ng, ラットゲノム 3: 1.00ng, ラットゲノム 50 cycles M Dw 2 3 Component Reaction mix (ml) 2x QIAGEN Multiplex PCR Master Mix 10.0 primer F [2pmol/ml] 4pmol/20ml 2.0 primer R [2pmol/ml] 4pmol/20ml 2.0 DW (ml) DW4(0515) 1.0 Temp (ml) DNA solution 5.0 total 20.0 ラット 2020/11/20 つくば遺伝子研究所 11
  12. 12. ブタ/イノシシ: HEPAを用いて、野外での実証試験 420m 養豚場 60分間空気濾過 濾過量は530リットル 2020/11/20 つくば遺伝子研究所 12
  13. 13. PCR反応 Primer: [F-1] sus Tag L5/ 10spe-R2 (ブタ) Primer: [F-7] rat Tag L3/ 10spe-R2 (ラット) 95C 9min, 95C 30sec 68C 30sec (45 cycles) 2.5%アガロースゲル Dw: 水 1: 養豚場付近、抽出1 2: 養豚場付近、抽出2 4: 1.0ng, ラットゲノム Component Reaction mix (ml) 2x QIAGEN Multiplex PCR Master Mix 10.0 primer F [2pmol/ml] 4pmol/20ml 2.0 primer R [2pmol/ml] 4pmol/20ml 2.0 DW (ml) DW 1.0 Temp (ml) DNA solution 5.0 total 20.0 ブタのみならず、ラットも検出された 500bp ブタプライマー 2020/11/20 つくば遺伝子研究所 13
  14. 14. 土浦市イノシシマップ 東城寺 黄色基点から東を望む (風の来る方向) 濾過フィルターは371(HEPA) 2020/11/20 つくば遺伝子研究所 14
  15. 15. ラットプライマー イノシシプライマー 結論: イノシシのDNAは検出された。また、量的には 少ないが、ラットのDNAも検出された。 イノシシもラットもこの領域にいると考えられる 2020/11/20 つくば遺伝子研究所 15
  16. 16. 検出量の数値化(サンプル当たりのゲノム数) ブタ/イノシシ
  17. 17. 食堂 ラット等 食堂で、HEPAで60分間空気を530リットル 濾過 2020/11/20 つくば遺伝子研究所 17
  18. 18. PCR反応 Primer: [F-7] rat Tag L3/ 10spe-R2 (ラット) 95C 9min, 95C 30sec 68C 30sec (55 cycles) 2.5%アガロースゲル 500bp Dw: 水 1: 食堂、反応1 2: 食堂、反応2 3: 東城寺、反応1 4: 東城寺、反応2 5: 1.00ng, ラットゲノム Component Reaction mix (ml) 2x QIAGEN Multiplex PCR Master Mix 10.0 primer F [2pmol/ml] 4pmol/20ml 2.0 primer R [2pmol/ml] 4pmol/20ml 2.0 DW (ml) DW 1.0 Temp (ml) DNA solution 5.0 total 20.0 55 cycles M Dw 1 2 3 4 5 結果 ・食堂、東城寺とも2連の反応で行った。 (各サンプルとも抽出は1本、反応は2本で行った。) どちらも、2本中1本(#2, #4)にシグナルを検出した。 →食堂、東城寺ともラットは存在するが、極めて少ない。 食堂: 1分子/20ml 2分子/40ml 12分子/530リットル空気 東城寺: 2分子/20ml 4分子/40ml 24分子/530リットル空気 ラットDNAの検出 2回目のトライアル
  19. 19. ラットの検量線 プライマー 4pmole プライマー 8pmole
  20. 20. シロアリの検出 2020/11/20 つくば遺伝子研究所 20
  21. 21. シロアリの種類と被害 • イエシロアリは水を運ぶ能力があり、松材を好み、屋根裏まで 被害が及んでいる場合があります • ヤマトシロアリは、雨漏りがある場合は屋根裏部分まで被害が 及ぶことがあります。柱の背割れに蟻道を形成して、2階部が 被害を受けることがあります。 • アメリカカンザイシロアリは、湿気とは関係なく、直接、2階 部分に侵入し被害を及ぼすことがあります。 • ダイコクシロアリは、乾燥にきわめて強く、水がなくても生活 ができるので、乾燥状態の木材でも生息が可能です。
  22. 22. シロアリの分布 ダイコクシロアリ https://www.hakutaikyo.or.jp/faq/1813.html https://www.e-c-c.co.jp/gaichu/shiroari/daikokushiroari.html
  23. 23. 中古住宅売買に関するシロアリ問題 https://smtrc.jp/useful/knowledge/sellbuy-law/2019_06.html 空気濾過装置による、非破壊検査システムをシロアリの生息の確認に利用出来るのでは・・・
  24. 24. ヤマトシロアリ Reticulitermes speratus kyushuensis https://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/1219676367 イエシロアリ Coptotermes formosanus https://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/NC_015800.1 アメリカカンザイシロアリ Incisitermes minor https://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/NC_037511.1 ダイコクシロアリ Cryptotermes domesticus 配列情報なし 2020/11/20 つくば遺伝子研究所 24 シロアリのミトコンドリアDNA配列情報
  25. 25. シロアリの検出 日本に生息するシロアリ4種(イエシロアリ、ヤマトシロアリ、アメリカカンザイシロアリ、ダイコクシロアリ) をそれぞれ特異的に検出することが可能となった。
  26. 26. 家屋内の空気を集めてシロアリの痕跡を調べる 家屋換気図: http://dannetsujyutaku.com/serial/architect/1_index/2_2 空気濾過装置
  27. 27. 現場 現場1: イエシロアリの駆除 はほぼ完了している場所 現場2:イエシロアリの駆除は進 行中の場所
  28. 28. DNA抽出 1.フィルターをDNA抽出液に入れる。 2.プロテネースK、56Cで1時間処理する。 3.フェノール・クロロフォルム液を加え、上層を取得する。 4.クロロフォルムで洗浄後、イソプロパノール沈殿をする。 5.沈殿をDWに溶解する。 PCR反応 Primer: Cfor-F/Cfor-R (イエシロアリ) 95C 9min (1cycle), 95C 20sec 66C 20sec 72C 30sec (45cycles), 72C 5min (1cycle) 2.5%アガロースゲル Dw: 水 Ma60: 吉村先生の飼育室で60分吸引したマスクで 回収したDNA Ge1: 現場1で60分吸引したマスクで回収したDNA Ge2: 現場2で60分吸引したマスクで回収したDNA
  29. 29. 4 pmole primer 縦バーは標準偏差 イエシロアリ
  30. 30. アメリカカンザイシロアリ 4 pmole primer
  31. 31. ダイコクシロアリ 4 pmole primer
  32. 32. A邸 経過年 シロアリゲノム数 0 10 1 15 2 10 3 100 4 300 5 15 シロアリ駆除
  33. 33. チャタテムシの検出 https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000005189.html https://kurapita.com/chrysomelid-extermination/
  34. 34. DNAデータベース未登録の生物種検出の試み 標的生物種について、DNAデータベースを用いて、プライマーを設計し、PCRを行うが、PCR産物が検出され なかった場合、通常の方法では、この段階で断念せざるを得ない。(その生物種のゲノム配列情報がない。) 生物には、一般に、DNAとしては、核ゲノムとミトコンドリアゲノムがある。生物を検出す るには、細胞当たり、コピー数を多い配列(ミトコンドリア、反復配列)を用いることにより、 高感度に検出することが出来る。また、生物種に特異的でなくてはならない。 新規考案方法 ①標的生物から、DNAを高純度に精製する ②NGSでランダムにシークエンス解析する。目標40億塩基 ③アッセンブルを行う。 出力例 > 245361 594 1580 ATCTGGTCGCGCTCGGCATCGCTATGGCGCGCATCGAAATGGATCAC...... Id番号 長さ Kmerのマップ数 KMERS is the number of KMERS that mapped to the sequence during assembly ④コピー数の多い配列を選択するため、Kmerのマップ数/長さ の大きいものを選 択し、且つ、アセンブルされた配列の長さが500塩基以上のものを抽出する。 そして、そこからプイラマーを作成する。
  35. 35. 新規方法を用いてプライマーを設計し、それを検証 結論:新規方法により、目的のチャタテム シを検出するシステムが完成した。 本新規方法により、配列が登録されてい ない生物であっても、検出システムを構 築することが出来る事が判った。
  36. 36. 環境中に検出されたチャタテムシ(ゲノム)量の推定
  37. 37. A工場 チャタテムシ駆除 経過年 チャタテムシゲノム数 0 10 1 15 2 10 3 100 4 300 5 15
  38. 38. トコジラミの検出 2020/11/20 つくば遺伝子研究所 38
  39. 39. トコジラミについて • トコジラミ(床虱、学名:Cimex lectularius、英語: Bed bug) とは、吸血性の寄生昆虫である。「シラミ」と命名されている が、シラミ目ではなく、カメムシ目トコジラミ科の昆虫で捕食 性のカメムシであるマキバサシガメ科などに近縁である。トコ ジラミ科の昆虫は全て吸血性であるが、そのほとんどは主に鳥 類やコウモリ類を宿主とする[1]。一方で本種および近縁種のタ イワントコジラミ(台湾床虱。学名:Cimex hemipterus。別 名、ネッタイトコジラミ、ネッタイナンキンムシ、熱帯南京 虫)のみが、ヒトを主な吸血源とする。 2020/11/20 つくば遺伝子研究所 39
  40. 40. Cimex lectularius/Cimex hemipterus Cimex lectularius 登録されている配列は2種類 Cimex hemipterus 登録されている配列は52種類 これらの配列を基に、それぞれの種を区別し、同種内では、全ての亜 種を検出するプライマーセットを作成 中国/米国 米国 2020/11/20 つくば遺伝子研究所 40
  41. 41. インドネシア トコジラミ サンプル 2020/11/20 つくば遺伝子研究所 41
  42. 42. PCR条件 Primer: Cime-HF22/Cime-HR22(熱帯トコジラミ) Cime-LF25/Cime-LR25(日本トコジラミ) Template Dw 10倍希釈To (x10), Yo (x10), Ne (x10), Am (x10), Ma (x10), Ku (x100) 95C 9min (1cycle), 95C 20sec 66C 20sec 72C 30sec (35cycles), 72C 5min (1cycle) 2.5%アガロースゲル M Dw To Yo Ne Am Ma Ku M 500bp M:マーカー Dw: 水 To: 東京の一般住宅で採取したトコジラミのDNA Yo: 実験室トコジラミのDNA Ne: 熱帯トコジラミのDNA Am: アメリカで採取したトコジラミのDNA Ma: マルカメムシのDNA Ku: クサギカメムシのDNA M Dw To Yo Ne Am Ma Ku M Cime-HF22/Cime-HR22 Cime-LF25/Cime-LR25 124bp 156bp
  43. 43. 考察 • PCRサイクル数を50にして行ったが、35サイクルと結果は変わらなかっ た。このことから言えることは、確実に、①トコジラミ用プライマーと熱 帯トコジラミ用プイラマーは、それぞれを区別することが出来る。②トコ ジラミプイラマー群は、マルカメムシ、クサギカメムシのDNAとは反応 しない。 • トコジラミプライマーセットは、中国/米国でのトコジラミの配列を基に、 作成しているので、米国で採取したトコジラミを検出できないとは考えら れない。その結果、サンプルの損壊等により、DNAが回収出来なかった と判断した。
  44. 44. サンプル内の トコジラミ(日 本)ゲノム数を 数値化
  45. 45. サンプル内の 熱帯トコジラ ミのゲノム数 を数値化
  46. 46. Aホテル 経過月 トコジラミの検出ゲノム数 0 10 1 15 2 10 3 100 4 300 5 0 駆除

×