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標準化について

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品質管理の第一ステップである標準化についての教育資料
クレイン」テクノ コンサルティング
http://crane-techno.com/

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標準化について

  1. 1. 標準化について 2014年12月24日 ク コンサルティングクレイン テクノ コンサルティング Crane techno Consulting. サイト URL:http://crane-techno.com/
  2. 2. 標準化 標準は組織においてくり返し共通に行われる仕事のやり方を規定するもので ある.標準を適切に定めることにより,組織活動を確実で効率のよいものとす ることができる.一方,改善は標準を改定することによって実現するが,これ が確実に行われるには改定された標準が守られなければならない.標準と改善 は相補的な関係があり,標準が徹底しない組織では改善も徹底しない.
  3. 3. 1.くり返される活動について われわれの活動は1回かぎりで終わるものは少なく,多くのものはくり返し おこなわれる.ここでいうくり返しとは必ずしも活動全体の単純なくり返しだけで はない具体的な活動内容は異なっていても,同じ要素作業,同じ手順,同じ じ人,同じ原理が用いられている場合には,それらがくり返されていると考える。 たとえば家の建築では同じ家が何軒も建てられることはあまりなく,さまざま な家が建てられる.しかし「家」が建てられるのであるから,そこには多く の共通要素があり,これらについてはくり返しがある.設計の原理は共通であ り使用材料,部品の多くは共通である.作業面でも配管,溶接などは物は違 っていても作業方法は同じである.
  4. 4. 同じ活動がくり返される場合,そのつど計画を立てたり,具体的な指示を行 うことは面倒であり,非能率である.活動を行うのによい方法があれぱ,それ 規則として定め,その規則にしたがって活動を進めることにすれぱ,計画を 立てたり,指示をする手問を省くことができるだけでなく,作業の洩れ,手順 間違いがなくなり,作業が確実になる.くり返し行われる活動について,そ の方法を定めたものを標準という. ISOGUIDE2(第7版1996年)3.2において標準は次のように定義されている. 標準: 与えられた状況のもとで,最適な秩序を獲得することを目的として, 共通かつ、くり返し使用されるために定めた活動またはその結果の為 の規則・指針または特徴を述べた文書で,合意によって確立され,認められた 組織によって承認されたもの.
  5. 5. 2 標準化について 標準は人々の経験と知識の結晶として作られるものである.工業生産の効率 はよい標準をいかに多く設定し,活用するかによって定まるといっても過言で はない. しかし,少なからぬ人達が標準に関して誤解をしている.その誤解のおもな ものは次の2つで, ①標準はものごとを固定するものであり,進歩を阻害する。 ②人問の活動は自由であるべきであり,標準によって制約すべきでない。 というものである.しかし,以下にのべるように標準化が適切に行われれば標 準によって進歩が促進し,大勢の人が関与する活動では標準によってそれらの 人たちの活動の自由度が拡大するのである。
  6. 6. 2つの標準: 標準には自然に定まるものと,定めなければならないものがある.前者は自 然科学法則にもとづくもので,後者は社会的あるいは経営的約束にもとづくも のである。 工業生産の基本的要請は,顧客の要求に合致する製品をできるだけ廉価に生 産することである.コストを下げる手段として材料を安く購入すること,安い 人件費を利用することなどがあるが,これらは経営的な手段ではあっても技術 的な手段ではない。 技術的には材料原単位を向上すること,1人あたりの付加価値生産性を上げる ことでなくてはならない。技術的に生産性を向上することは根本的には生産過程で 自然科学法則を利用することである.近代工業は科学の進歩をべ一スに発展した。 科学法則を生産に積極的に利用することによってそれまでには考えられなかった の製品が大量に生産されるようになったのである。
  7. 7. 力学、熱力学、材料力学、電磁気学・金属学・化学・生物など,いろいろな方面 で発見された自然科学法則を縦横に組み合わせて工業生産が営まれている .ある目的に対していかにこれらの法則をうまく組み合わせて用いるかによって 生産の効率が定まる.現在可能ないくつかの方法の中でもっとも効率的な方法を 選び出して定めたものが技術標準である。 我々がくり返し行う活動の例として通学を考えてみよう.道順,利用する交通機 関(徒歩,バス,電車,場合によっては車)には多くの組合わせがある.しかし, 現在の時点でもっとも適当な方法が,学生には標準として意識されていないか もしれないが実質的に標準とて通学に利用されているのである。 これは自然に定まる標準の例である。
  8. 8. 技術標準はより効率的な新しい方法が見出されればそれにとって替わられるが それまでは現在知られている多くの方法の中で一番良い方法が標準として定められ ている。 標準どうり行わなくても作業ができないわけではない. しかし,標準以外の作業では効率が低下するか,効率を維持しようとすれば 品質に悪い影響が出てくる.要求品質を最高の能率で達成する方法として標準は 定められなければならず,作業はそれに従って行われなければならない.
  9. 9. 人間は自然科学法則を利用することはできても,それを創造したり,変更し することはできない.したがって,法則を利用することは,別の見方に立 てば法則に合わせて生産することである.法則を無視した作業は必ず弊害をも たらすのである. どのように偉大な建築家でも重力の法則を無視して建築を建てることはできない. 所与の商品の生産方法はよりよい品質とよりよい効率を追及する過程を通じて必然 的に定まってくる.その定まった到着点が標準であり,設計,生産技術,製造に関する 標準の多くはこれである。 自然科学法則にもとづく技術的標準は品質と効率を追究する過程を経て自然 に定まってくるのに対し,人間が積極的に約束ごととして定める標準がある.
  10. 10. これはそう決めなければならないという必然性はないのであるが,決めておくこと が社会的、経営的に便利であるからである。たとえぱ,車での通行におい て右側通行にするか左側通行にするかといった問題はどちらでもよさそうである. 実際、右側通行を行っている国もあるし,左側通行を行っている国もある. しかし,どちらでもよいというのでは困る.右か左かいずれか一方に決めなけ れぱならない.大事なことは右か左かではなく,どちらかに決めることである. 度量衡の単位についてもメートル法,ヤード・ポンド法,尺貫法などがある がこれも世界が1つの方式でまとまっている方が便利であり,最近はほとん どの国がメートル法を採用するようになった.電力について電圧,周波数など も世界的に統一されている方が便利である.ソケットの形状・寸法も統一され ることが望ましい。
  11. 11. 社会的あるいは経営的規約として標準が定められるのは,その標準が存在す る方が便利,安全であるからである.この標準はその内容に応じて国家、業界 企業,部門などで設定されるが,自然科学法則にもとづく標準のような必然性 はなく,何をどう定めるかについて恣意性がある.その標準の妥当性は,もし その標準がなければ社会的にどのような不都合が発生するかで検証される. もしその標準が存在しなくても問題が何も起こらないのであればその標準は、 意味のない拘束にすぎず,廃止するのがよい.
  12. 12. 3.標準・規格・規程の例 (a)標準が適用される範囲による区分 国際規格(ISO観格,IEC規格) 国際的な条約・協定にもとづいて加盟各国の協力・同意のもとに制定されるもの .国際規格は国際標準化機構(Intemational Organizationfor Standardization,略称ISO) および国際電気標準会議(IntemationalElectrotechnical Commission,略称 IEC) によって制定される。.IECはその名前の示すとおり,電子電機分野の事項を 取扱い,ISOはその他の分野を広く所掌している. いずれも専門別に設置された数多くの専門委員会(Technical Committee,略TC) その下部機構の分科会(Sub committee,略称SC)で構成されている. 国際的標準化は,物・サービスの国際的交換を容易にし,技術的・経済的活 動おける各国相互の協力を発展させるためのものであるが,規格の各国間で の不一致にもとづく貿易障害(非関税障壁の1つ)を取り除くため,国際的標準 化の活動は活発になってきている.
  13. 13. 地域規格 ヨーロッパは経済統合を進めるために,多くの努力を行っているが,その1つがヨーロッパ各国の規格を統合し, ヨーロッパ規格(EN規格)を制定する活動である.現在多くの分野でEN規格が制定されてきているが,ここで制定 された規格はISO規格,IEC規格になるケースが多い. 団体規格 一つの学会・協会・業界団体などで,それらの団体に属する会員の協力と同意のもとに定められた規格.国際規格 がないものについては団体規格,たとえばアメリカ材料試験協会(ASTM)の規格などがある. 団体規格として定められた規格が,国際規格や各国の規格の原案になっていのも多数ある. 国家規格(JIS;日本,ANSI;アメリカ,BS;イギリス,DIN;ドイツなど) 一国のなかの,生産者・販売者・購入者・使用者・研究者・行政官など関係者の協力・同意のもとに制定され る.わが国は1921年に工業品質規格統一調査会が政府に設置され,日本標準規格(JES)が制定されるようになった. 現在は純然たる国家規格と称せられるものとして,工業標準化法による日本工業規格(Japanese Industrial Standard,略称JIS)と農林物資の標準化品質表示の合理化に関する法律にもとづく目本農林規格(Japanese Agricultural Standard,略称JAS)とがある 。 JISは,通商産業大臣・運輸大臣・厚生大臣・建設大臣など各所管大臣(主務大臣という)によって制定されるが,主 務大臣がJISを制定しようとする場合には,あらかじめ日本工業標準調査会の議を経ることが必要である.技術し 進歩や経済事情の変化に即応させるため,少なくとも3年ごとに見直すことになっている.
  14. 14. 官公庁規格(MIL規格;米軍,防衛庁規格) 官公庁が物・サービスの調達に関連して定めている規格.これは官公庁が防 衛,公共事業など自らの目的を達成するために定めているもので,一国の産業 界全体または国民全体を相手にしている国家標準とはおもむきを異にしている. 社内規格 1つの企業の内部で定められる規格.企業がその製品やサービスを設計,製 造,販売する際にその品質および活動の基準となる規格. その他(UL観格,ロイド規格) UL(Underwriters’ Laboratories Inc.)はアメリカの非営利民間の機関で, 安全に関する調査,規格の開発を行っている.ULは1894年に火災保険会杜へ の情報提供を目的として設立されたが,その事業は大きく発展し,電気製品, 電機設備,火災予防,化学的な危険防止,その他の広い分野で安全に関する規 格を開発し,ここで開発された規格の多くはアメリカの代表的な安全規格にな っている.アメリカ国内で保険会杜が保険を引受ける場合,保険対象物がこの 規格を満たすことを要求する.わが国からアメリカに製品を輸出する場合, UL規格を満たしていないと保険がかけられないために,事実上輸出ができな いことがある.船舶保険で用いられるロイド規格もこれと同じで,イギリスの 保険会杜であるロイド(Lloyd)杜の開発した規格である.ロイド杜が船舶の保 険を引受ける場合は,前もってその船舶がロイド規格を満たしているかどうか の審査を行う.
  15. 15. (b)製造業において用いられる社内標準の例 わが国においてStandardsに対応する用語として標準、規格、規定あるいは 規程などの言葉が用いられている.これらの用語の使い分けは必ずしも一意的 でないが,標準のうち品物.サービスに直接関係する技術事項こついて定め ものを規格、作業方法に関する事項については標準,組織の業務の内容・手 順・手続き・方法に関する事項について定めたものを規程または規定という用 語がもちいられることが多いようである.これらの一例を以下に示す。 ①技術規格(technical standards) 製品規格,材料規格,部品規格,荷造・包装規格 ②品質管理に関係のある規程・管理標準(managerial standards) 1新製品開発規程、研究・開発規程,発明・考案処理規程,設計標準・設計事例 集・設計マニュアル、,生産管理規程,購買規程,試験標準,製造標準(技術標 順作業標準,QC工程表,設備運転標準),検査標準(受入検査規程,工程検査 規程、出荷検査規程),計測管理規程,設備管理規程,クレーム処理規程
  16. 16. 4.標準の効用 (a)標準の技術的効用 互換性 標準化のメリットのもっとも大きなものは互換性にある.システムの一部が 欠けた時,システム全体を取り替えずに欠けた部分のみ補充すればすむという ことはきわめて経済的なことである.標準化することによって分業が可能になる。 はめ合いの寸法が定まっているので電球メー力一は電球だけを,ソケット メーカーはソケットだけを独立に製造することができる.互換性のメリット はたんに物の互換性だけではない.設計標準,作業標準などにしたがって作 業われる場合,誰がやっても結果は同じということになるので,人が変わ っても組織としてはその影響を受けにくい.強烈な個性の発露としての芸術的 創造と経済済的工業生産とでは生産の目的が異なっており,工業生産においては 個人的に標準を破ることは許されない.鉄道車両のメー力一はレール幅の規格 の研究をしなければならないし,CDプレーヤはコンパクト・ディスクの規格 を無視して生産はできないのである。
  17. 17. 情報伝達 数学,物理で用いる公式は標準の一種である.力学の公式を知っておれば, それがもたらされた力学の原理を知らなくても答えを求めることができる. 標準製図法が決められておれぱ,どのように図を書くかを考えなくてよい.標準 部品を使用すれぱ,部品の信頼性はテストを行わずに知ることができる.多く の設計開発の仕事が省略でき,設計者は従来使用されなかった新部品およひ新 部品と標準品のインターフェイスに注意を払うだけで信頼度の高い製品を生み 出すことができる.さらに標準部品に関しては,それを図に書き表す必要はな く,部品番号を指定するだけでよい. 設計マニュアルは先輩の残した技術のエッセンスであり,個々には個人では 一生かかっても尽くせない技術的経験が含まれている.
  18. 18. 信頼性 高信頼性という見地からみれぱ新製品,新方法に多くの問題が発生する.頭 の中で万全をつくしても,1回の実験に及ばないことがある.標準化された部 品,方法はそれなりに過去の実績を積んでおり,旧態依然としているようでも 間違いは少ないのである. 標準化された部品,方法の採用が多ければ新しい部分がそれだけ少なくなり, 信頼性テストはその部分を中心に克明に実施でき,全体として信頼性の高い 製品を開発することができる.
  19. 19. (b)標準の経営的効用 組織活動では標準を制定し,作業担当者にそれを守ることを要求する.その 目的は標準作業によって作業の品質と効率を獲得することにある.標準によっ て一般的に以下にのべる3つの活動が行われる. ①組織活動の構築 組織活動は仕事の手順,各手順を構成する要素作業を定め,文書化し,各人 の果たすべき役割を明確にすることにより構築される. 組織で行う活動、プロセスの目的,方法を定め,これを文書に記述すること は人々がどこにいて,何を行っているかを客観的に明らかにする.各作業と 組織全体の関係が明確になり,それぞれの活動の目的が全体的な観点から把握 される。複雑な組織の運営においては仕事の遂行に必要な手順や作業を標準と して定め,それによって組織の運営を行うことは不可欠の事柄である.
  20. 20. ②組織活動の管理 組織の管理には ・組織が達成すべき成果の目標・規準とそれを評価する方法が定められていること ・組織を運営する標準があり,それが組織の構造に合わせて展開されていること ・展開された個々の任務の達成状況を測定することができること ・現在の達成状況が規準と比較され,規準からの逸脱が大きい場合にそれを是 正する処置がとられること. が必要である。 組織管理の管理が効果的に行われるためには,活動の状態が目に見える(vis- ible)ものになっていなければならない.「目に見える」とはもたらされた結果 と、それをもたらした過程(プロセス)が把握されている状態である、プロセス はそれが標準化され,運営がその標準に従って行われている場合に目に見える。
  21. 21. ③組織活動の改善 これはしばしばしば標準化において見過ごされている.活動の結果が不満足なも であったとき,その原因が明らかになるということは再発防止,レベルの向 上という見地からきわめて大切なことである.標準化という面からみると不具 合の原因は ・標準が決められていなかった. ・標準が決められていたが,適切でなかった. ・標準は適切であったが,標準どおりやられなかった. のいずれかに分類できる.標準どおり作業が進められたにもかかわらず,不具合 が発生するということは標準が悪いということである.悪さの原因を除去し. 標準を改訂することにより,いっそうレベルの高い標準を得ることができる. 組織の技術を維持するものは組織が擁する技術者と技術標準であるが,組織と しての技術は標準に蓄積される.個々の失敗が不良の手直しだけにとどまった り,技術者の個人的体験で終わってしまっては組織としての技術的進歩はない. 失敗を通して標準が改訂されることによって改善が進み,技術レベルの向上が 行われる.
  22. 22. トラブルが発生した場合,その原因は上に示した3つのどれに該当するかを 分析しその原因を除去することが必要である.このプロセスを図で表すと下図 のようになる.標準を基準とし,標準どおり作業を行うこと,不適切な標準 は改訂することによってトラブルを予防し,再発防止を確実に行うことは組織 の管理者の重要な仕事の1つである.常に標準に立ち戻って考えていくこと, これが標準によるマネージメントである.
  23. 23. SDCAのサイクル 標準を設定し(Standardize),実施し(Do),その結果をチェックし(Check). 問題があれぱ是正処置をとって(Act)再発を防止する.この活動はくり返し行 われ,サイクルを形成するのでSDCAのサイクルあるいはSDCAのループと よぱれる.このループが回されること,サイクルがくり返されることによって 作業は確実で効果的なものになっていく. 標準によるマネージネントが行われない組織ではトラブル発生した時には 「何が」原因かではなく「誰が」やったかが問題になり,トラブルを起こした人 間が叱責される.この経験は組織に蓄積されないばかりではなく,部下からの 歪んだものになり,管理者の現状の把握が不正確になり,判断を誤り, 問題がまた次の問題を生み出すにいたるのである
  24. 24. 5.標準のマネージメント 標準によるマネージメントは組織活動を確実なものにし,その改善を行う場 合の基礎である.標準によるマネージメントを有効なものとするためには標準 のマネージメントが行われなければならない. ①標準は標準書として文書化されなければならない。 定められた標準は文書化され登録されなければならない。標準書を作る作業は たんに定められたことを文書化するだけの、あまり価値のない仕事と思われ がちである。しかし文書化された標準は仕事の管理、改善、改善の維持の ベースを構築するもので組織における仕事の管理、改善のための不可欠な道 具である。標準書によって工程が定義され作業方法が正式なものとなり必要な 変更がマネージネントの管理下において行われ改善が蓄積されていくのである。 文書化されていない組織活動は継続しない.人の異動によってこれまでの方法 が忘れられてしまう。たとえ良い方法が開発されてもそれが文書化されてな ければ担当者がいなくなればその方法は消滅してしまう。
  25. 25. ②標準が守られるためには教育訓練が必要である 標準化の効果は,それが守られてはじめて現れる.標準が守られるためには そのための教育訓練が確実に行われなければならない.関係者にどういう標準 かをまず知らせなければならない. われわれは社会生活を営むにあたって多くの法律に囲まれているが,社会生活 における法律と企業における標準とは同じものではない。 社会生活における法律はそれに低触すれば罰せられるが常識的に 振舞っているかぎりすべての法律を知らなくても処罰されることはま ずないのである.それに対し,技術標準はそれから外れると必ず問題になると いえるほど厳しいのである。 .何人も熱力学の法則を無視してエンジンの設計はできないし, 応用力学の法則を知らずしてビルディングを建てることはできない. 社会生活における法律と,技術における標準は,それにかなう範囲の幅が 大きく異なることを知らなければならない.法律を知らずして社会生活を営め ても,技術標準を知らずして設計はできない.すべての設計者,作業者が自己 の業務に関する標準を良く知っていることが品質管理の基本である.
  26. 26. ③標準は改訂されなければならない 先にも、のべたように,標準は自然に定まってくるものと定めなければならな いものがある.ここで自然に定まってくるという意味は,われわれの行動が 経済的に最適化をねらう結果として定まってくるのである.標準はある時点に おいて最適なものであっても,標準を適用すべき対象およびその環境は動いてお り,標準で抑さえている範囲は最適点からずれてくる.使用条件の変化,新用途 途の開発,新材料の出現などによって従来の基準は適切でなくなってくる. たとえば,新しい道路が通り,地下鉄が建設されればこれまでの通学方法は必ず しも最適なものではなくなるかもしれない.技術の進歩,周囲の環境の変化に 常に気を配り,現在において最適な方法が標準となっていなければならない. 標準の見直しと改訂は標準によるマネージメントにとって不可欠な要素である.
  27. 27. 6.計画と標準について 管理とは,標準または計画,実施,チェック,処置のループを回すことである. 管理活動には2つの種類があり,これによって活動の内容が変わってくる. 第1は,部品寸法,締め付けトルク,炉の温度などを管理する場合で,目標が 一定値で,それを上まわることも下回ることも望ましくない場合である.規準 値からのズレをできるだけ小さくすることが管理活動の主体となる.作業にく りかえしがあり,目標を達成するための適切な方法,条件が見つけだされたら, それと同じ方法,同じ条件で作業をくり返すことが基本になる.同じ作業をく り返すことによって,同じ結果が容易に得られるからである.標準を設定し, それしたがって作業が行われる. 第2は,原価低減や売上増大などのように,目標を現在の水準よりよいとこ ろにおき、これを達成するために必要な活動を行っていくものである.現状を 変える、ところにねらいがある.改善の対象となる活動は生産、販売などくり返 し行われる活動であるが,改善活動そのものは1回かぎりである.コスト低減 活動はどの企業においても毎年くり返し行われているけれども,その作業要素 は同じでない.ある活動によつてコスト改善がなされた場合,次のコスト低減 はその結果を踏まえて生まれた新しい現状をさらに変えることになるので, 同じ作業ががくり返されることはない.目標を達成するために作業が試行錯誤的 行われることがあり,目標を達成すればその活動は終了する.
  28. 28. 現状維持の活動の管理において標準の完成度が高い場合は標準が従来の の実積を踏まえてその経験を通じてもっともよい方法、手順として定められ ているので長期的にはともかく短期的には管理の対象はまず実施の段階に 向けられる.標準どおり作業が行われているかどうかが主要な問題となるのであ る しかし、改善あるいは現状打破の管理活動にあっては計画がきわめて重要で ある。計画は将来における未知要素を織り込んで作成されるため,計画そのも のの妥当性が必ずしも十分でないこともあり,実施の段階を経て計画の見直し が必要になることが少なくない. 改善は徒来からやっている活動を,いっそう望ましいやり方に変えていくこ とである.改善の対象になる活動はなんらかの意味でくり返し行われる活動で ある。一回かぎりの活動に対しては改善を行うことはできない.活動がくり返 し行われるとき,そのくり返しを通して改善が積み重ねられると,活動は漸次 正確で能率的に行われるようになってくる.
  29. 29. PDCAのサイクル 改善を行うにはまず計画を策定し(Plan),実施し(Do),その結果をチェック する(Check).チェックの結果,計画または実施上の不具合が見出されれぱ, 是正処置をとる(Act).この結果,当初の計画に手直しが施され,新しい計画 について再び実施,チェック,是正処置が行われる. 品質改善はPlan,Do,Check,Act(PDCA)のサイクルを形成する(図3-2).
  30. 30. ①計画(Plan) 計画,実施,チェック,是正処置の中でもっとも重視しなければならないの は計画である.計画さえよければ他はどうでもよいというわけではないが,他 の要素は計画に応じて定まるので,計画が不適切であればそれに続く活動は すべて不適切なものになる.最初の計画が適切であればそれだけ是正処置が少な くてすみ,活動がより効率的なものとなる. 計画の策定にあたっては改善に利用しうる資源,すなわち,人,物,資金に 関する条件,実施期間などの制約条件を明らかにし,その中で可能な方法を検 討する.必要な場合は制約を弛めることも合せて検討する.検討されたいろい ろの案の中でもっともよいと思われる方法を実行計画として決定する. また計画がよかったかどうか,計画どおり実施されたかどうかをチェック および評価する方法を計画の一部として定めておくことが大切である.
  31. 31. ②実施(Do) 計画の策定が完了すれば,その実行に移る. 実施を完全なものにするためには (ⅰ)実施担当者にその仕事の目的とその必要性が十分に認識されていること. (ⅱ)実施担当者に計画の内容が完全に伝達されていること. (ⅲ)実施こ必要な事項の教育・訓練が行われること. (ⅳ)必要な資源が必要な時期に投入されること. が必要である。
  32. 32. ③チェック(Check) 実施結果をチェックし,その評価を行う場合,次の2つは区別して評価しな ければならない.すなわち (ⅰ)計画どおり実施されているかどうか. (ⅱ)計画jがよかったかどうか. 目標が未達の場合その原因は上の2つのいずれか,または両方にあるが,その 区別は明確にしておかなければならない.というのは原因がどちらであるか に よって打つべき是正処置がまったく異なるからである.
  33. 33. ④是正処置(Act) 是正処置をとるにあたっては,現象の除去と原因の除去を明確に区別しなけ ればならない. 不良の手直し、作業の遅れの残業による回復などはいずれも現象に対す ろ処置である.遅れの原因が品質不良にあるならば不良の防止を図らなければ ならない.遅れの原因が設備故障によるものであれば,設備保全の方法を見直 し故障による影響の低減を図らなければならない.目標未達の原因が計画の 不備にある場合は,たんに計画を変更するだけでなく,どうしてそのような不 備な計画が策定されたかの原因を究明し,計画立案の質の向上が図られなけれ ばならない。 着実な前進は現象の除去ではなく,原因の除去によって達成される.
  34. 34. 標準が整備され,それが遵守されている組織は,組織の運営の面からみた き,かなりレペルの高い組織ということができる.しかし,組織が計画的に継続 的に仕事のやり方を改善していくシステムを具備するとき,組織活動はいっ そう確実で効率の高いものになる。 表3.1は組織活動をその運営のやり方からみたときのレベルを示したものである. 組織を効果的に動かすためには維持と改善の2つの活動がバランスよく行わ れることが大切である.標準にもとづく活動は,組織的活動においてはすぺて の活動の基礎となるものであり,これを軽視することはシステムの効率を悪くする .しかし,これのみによる活動は組織の活性化を阻害し,改善はおろか標準 による活動の確実さをも低下させるのである.現状維持を確実にすることは 進歩発展を阻害することではない.現状の中には常に進歩発展の要素が内包さ れており,現状の維持を確実にすることによって,改善すべき事項が明確になり 改善活動が進むのである.改善により新しい局面が生まれると,その局面 での維持活動が始まり,そこで次の改善が行われる.現状維持といっても,現 状は静的なものではなく,常に動いており,この動きを確実に把握することに よって活動の動機が与えられるのである.
  35. 35. 標準化と改善という言葉は相反する言葉のように思われる.しかし,これら は相互に深い連係を持つものである.すなわち図に示すように標準は改善 結果であるとともに,次の改善への出発点である.
  36. 36. ■引用・参考文献■ 1)三浦新・狩野紀昭・津田義和・大橋靖雄「TQC用語辞 典」日本規格協会(1985) 2) 現代工学の基礎『品質管理』
  37. 37. 2014年12月24日 ク コンサルティングクレイン テクノ コンサルティング Crane techno Consulting. サイト URL:http://crane-techno.com/

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