東大大学院知識創出方法論講義メモ

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過去のファイルを整理しているときに発見。院生時代に受けた講義で2番目に面白かった講義のメモ・まとめをアップします。今読んでも我ながら気づきがあります。

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東大大学院知識創出方法論講義メモ

  1. 1. 知識創出方法論 ポイント集 β版 東京大学大学院 講義 教官 Yoshihiro Kimura yoshik@yoshik.biz© KIMURA, Yoshihiro 1
  2. 2. 01 知識創出方法論 1-1 知識と学問について 人間の営み 知識の獲得方法 信じる 宗教 信を求める営み 1. 神仏に祈る 感じる 芸術 美を求める営み 2. 権威者に尋ねる 知る 学問 知を求める営み 3. 直感や勘 4. 常識を使う(common sense) 経営学と経済学 5. 学問の方法を使う 市場 学問の方法 労働力,賃金 商品,金銭 演繹法 帰納法経 家営 政 定義 観察学 学の の 公理 記録視 視点 点 推論 推論 経済学の視点 定理 法則 経営学と経済学は視点が違う. 理論的仮説 経験的仮説 経営学は企業側から市場を見る. 論理的整合性 経験的整合性 経済学はマクロな視点から全体を俯瞰. *家計側に視点を置く場合は家政学 検証可能 実証可能 検証可能 実証可能© KIMURA, Yoshihiro 2
  3. 3. 01 知識創出方法論 1-2 学問 学問の分類 科学的思考 1. 一般的分類 科学的思考・活動~3つのR~ 自然科学 社会科学 人文科学 Reductionism 2. 川喜田二郎の分類 細かく要素に分解する(分析). 書斎科学 デスク,文献による 要素が分かれば全体が分かるという世界観. 実験科学 実験室での実験による Repeatability 野外科学 フィールドワークによる 同じ条件であれば,いつ,どこで,誰がやろうとも 3. アリストテレス・高橋潤二郎の分類 同じ結果がでるはずである(結果の保証). ⇒公的知識の確立 了解 Sophia(哲学) Refutation Theoria(観照) 実証しているだけでは確かではない.反証可能な 表現であらわす. 体得 Piesis(制作) Praxis(実践) 会得 Techne(技術) Phronesis(思慮)© KIMURA, Yoshihiro 3
  4. 4. 01 知識創出方法論 1-3 科学の限界とシステム思考の誕生 科学の限界 システム思考の誕生 ■ 各科学の複雑性 【システムの定義】 各科学は下位の諸科学より複雑である. A set of interrelated elements. 社会科学 A set of ordered functions. 心理学 A set of interaction activities. 生物学 化学 【システムの3要素】 物理学 創発性(Emergence) 下位科学の法則に還元し得ない独自の法則を 階層性(Hierarchy) 持つ. コミュニケーション&コントロール ■ 社会「科学」の問題点 (Communication & Control) 社会現象の特殊性 ● 様々な解釈 【考え方】 ● 予測不可能性 それぞれの要素がある関係性を持つ. ● 相互作用の存在 関係性を持つことによって,意味が変わる. ● 実験対象にできない ● 複雑性 科学的方法論の適用が難しい. 1つをクローズアップして分析しても意味がない. システムとして考える それぞれの要素が関与⇒システム システム© KIMURA, Yoshihiro 4
  5. 5. 01 知識創出方法論 1-4 ハードシステム思考 ハードシステム思考 システム工学(Systems Engineering) システム工学のアプローチ 例:Operations Research ホールの問題解決プロセス 軍事作戦を効率的・効果的にする方策に数量 計量分析を適用.Logisticsにも応用. 問題定義 要求の明確化 人間の要求が複雑化するにつれて,工学者が扱う 目標選択 実現可能性の明確化 問題も複雑性が増大して,システム思考の必要性 が認識された. システム合成 代替案の結合 但し システム分析 合成したシステムを評価 システム工学は 「ある明確化されたニーズに最適解を与える」 システム選択 最適な代替案の選択 ような設計である. 今までの経験則をシステマティックに行うことが主 システム開発 プロトタイプ 目的である. コンカレント モニタリング・修正・設計へ システム工学:工程の効率化 エンジニアリング のフィードバック システム分析:コストの評価 ⇒合理的に順序だてて設計し,問題を「定式化」 システム分析?⇒矛盾 つまり「目標設定は外部より与えられるもの」© KIMURA, Yoshihiro 5
  6. 6. 01 知識創出方法論 1-5 ハードシステム思考の限界 ハードシステム思考の限界 ある問題に対して最適解を与えるのが ハードシステム思考(システム工学やOR). ニーズ・目標設定は外部より与えられるもの. ⇒目標与件・問題所与の妥当性については言及 せず!! ハーバート・サイモン “It’s not our business.” 最適化志向 Howに特化したが, “What”と”Why”は? 問題自身を問い直せ!© KIMURA, Yoshihiro 6
  7. 7. 01 知識創出方法論 1-6 Quiz ホテルのエレベータ K氏は大手ホテルチェーンの支配人.ビジネスホテ ルで,かなり開けた繁華街で駅にも近い. ホテルは12階建てで,200室.12階がレストラン でB1がカフェ.1階は受付. Kが着任早々,お客様からクレームが!! 意欲に燃えて着任し,自分のアイディアも実行した かったのだが,クレーム対応に追われ,頭を抱える 毎日であった.振り返ってみると,クレームのほぼ すべてが「エレベーターで待たされる,どうにかして くれ」というものであった. そこでKは・・・コンサルタントA氏に相談した. A氏はさっそくチームを作ってこの問題解決に当 たった・・・ Q1 自分がコンサルタントだったらどんな提案をし ますか?© KIMURA, Yoshihiro 7
  8. 8. 01 知識創出方法論 1-6 Quiz ホテルのエレベータ コンサルタントAチームは? 【一般的な回答】 1. エレベータの混み具合の調査分析 エレベータを増設する. ⇒ORの問題 エスカレーターに変える. 2. クレーム解析・他社の動向調査 エレベーターを奇数階だけ停める. ⇒マーケティングリサーチ 会談利用者を優遇する. 3. 財務的な設備投資可能性 アスレチックホテルにする. ⇒財務分析 レストランを地下に移動する. 4. ホテル改造の可能性調査 エレベータを外付けにする. ⇒建築設計施工の問題 お詫びの張り紙をあらかじめつけておく. クレーム対応係を雇う. 【教訓】 など 問題は分解して最適解を求めよ! 【A氏の結論】 エレベータの増設,予算2億円. ・・・ けどKは・・・ 別のコンサルタントX氏に相談しなおした・・・ コンサルタントX氏は半日観察したあと,驚くべ き解決法を!そして解決!その解決法とは?© KIMURA, Yoshihiro 8
  9. 9. 01 知識創出方法論 1-6 Quiz ホテルのエレベータ 【コンサルタントX氏の解決法】 エレベーターの前に鏡を置く. 予算200万円. (テレビなんかでもよい) 鏡を置くことで,エレベーターの待ち客は,身だし なみをチェックしたり,鏡を見るようになり,暇をも てあますことがなくなった・・・ *実話らしいです.© KIMURA, Yoshihiro 9
  10. 10. 01 知識創出方法論 1-6 Quiz 我々が学ぶべきこと 何を問題と見るか? このQuizは単純に「発想を転換せよ」という教訓 だけか? 状況は1つだが,視点によって問題が変わる. つまり解決策も変わる. もっと我々は学べないか? どういう問題としてとらえるかによって,状況自体 ちょっと待て. が変わっていく. A氏は解決できなかったのか? いや,A氏の案でも解決できたはず・・・ 我々が学ぶべきは,発想の転換だけではなく, 「問題そのものを吟味せよ」 A氏とX氏・・・何が違うのか? ということ. ⇒そもそも見てる問題が違う!! そしてこの考え方こそが,ハードシステム思考をの A氏:エレベーターが顧客数に対応していない 先にあるソフトシステム思考 ことが問題. X氏:顧客が待たされていると感じることが問題.© KIMURA, Yoshihiro 10
  11. 11. 01 知識創出方法論 1-7 モノの見方 モノの見方は3つ モノの見方 左の図は何に見えますか? 右の図は何に見えますか? 左の図は何に見えますか? 図の角度θは何度? θ© KIMURA, Yoshihiro 11
  12. 12. 01 知識創出方法論 1-7 モノの見方 モノの見方は3つ モノの見方 左の図は何に見えますか? 右の図は何に見えますか? 「つぼ」と「見つめ合う人」 白と黒をどちらをGround 見方によって (地)と見るか. 「老婆」と見れたり, 「そっぽを向いている若い女性」 ⇒視点(焦点) に見える. 左の図は何に見えますか? 「かかし」,「麦わら帽を被っ これも教訓はモノの見方を変えてみよう. た自転車をこいでる人」など どこから見ているかによって しかし,もう一つ学ぶべきことがある. 違う. ⇒視座 これを「知っている人」は「あぁ老婆と若い女性だ ろ?知ってるよ.」という. 図の角度θは何度? 平面そのままで見るなら つまり,人は「知っている」と認識した瞬間に, 120度.立方体の一部と見 思考停止 θ るなら90度. に陥る. どの範囲で見るか? ⇒視野© KIMURA, Yoshihiro 12
  13. 13. 01 知識創出方法論 1-8 コンセプト コンセプトは機能に先ず. 「刑務所」って何? ・ 懲罰システム ・ 再教育システム ・ 更正システム ・ 犯罪者の監禁システム ・ 犯罪者間のリクルーティングシステム ・ 犯罪技術の技術継承システム ・ ・ ・ 見方によってシステムの機能も変わる. 見方を変えれば,どのようなコンセプトが必要かわ かる. コンセプトが違えば,必要とするシステムの機能や 構造が変わる. 機能と構造はコンセプトに従う.© KIMURA, Yoshihiro 13
  14. 14. 01 知識創出方法論 1-9 妹尾式SWOT分析 実践的SWOT分析 実践的なSWOT分析を行いましょう! <手順> 【要因抽出】 1. 自社の内部を観察して,特徴を「要因」として列挙し,その要因 強み 特徴 弱み が強みとしてどう表れるか,弱みとしてどう表れるか,両方の側面 内 から吟味する. ~ 特徴1 ~ 2. 自社をとりまく環境として,環境を列挙し,その環境が機会とし 部 てどう表れるか,脅威としてどう表れるか,両方の側面から吟味す 要 特徴2 る. 因 【シナリオライティング】 ・・・ 3. 強みと機会に注目し,どの強みとどの機会が組み合わさると最 大限効果を発揮するか(相乗)のシナリオを検討する. 機会 環境 脅威 4. 弱みと脅威に注目し,どの弱みとどの脅威が組み合わさると最 悪のシナリオとなるか(負の相乗)のシナリオを検討する. 外 環境a 5. 強みと脅威に注目し,ある強みに対してどの脅威が足を引っ張 部 るか,及びある脅威に対してどの強みがカバーできるかを検討する. 要 環境b 6. 弱みと機会に注目し,ある弱みに対してどの機会によってカバー 因 できるか,及びある機会に対してどの弱みが足を引っ張るかを検討 する. ・・・ 7. 「強み×機会」を実現できるプラン,「弱み×脅威」への対策を立 案する. 8. 「強み→脅威↓」のプラン,「脅威→強み↓」の対策,「弱み→機 会↓」の対策,「機会→弱み↓」のプランを立案する. *競合他社に対しても同じSWOT分析をすると,次の戦略が見え てくる.© KIMURA, Yoshihiro 14
  15. 15. 02 その他 幸せな勘違い コンセプトが違ったことで成功 【品質管理】 ■ アメリカの品質管理:不良品を排除するシステム.よってコストがあがる. ■ 日本の品質管理:良品を作りこむシステム.よって検査がいらずコストがさがる. 発想 無から有は生み出せない. 有と有の組み合わせで新たな有が生まれる. 発想とは有と有の組み合わせの仕方にある. そのために組み合わせ方である「考え方」と有である「教養」を身につけなければならない. MethodとMethodology Method:誰がやっても同じ結果.User Independent, Methodology:同じ答えが保証されない.User Dependent. 客観なんてあるの? 間主観性.結局,客観というものは,多くの人間の主観の共通部分でしかない.© KIMURA, Yoshihiro 15
  16. 16. は, 2005 、木村義弘が学生時代に受講した講義のポイントを まとめたものです。 必ずしも教官の指導趣旨や現在の状況を汲み取っているとは限りません。 の の 、 い。© KIMURA, Yoshihiro 16

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