神奈川大学 経営学総論 A
ミクロ組織論 I
(個人行動と集団行動) : (4/15)
原泰史
教室変更のお知らせ (4/30 講義より)
•前期
水曜2限 10-42 → 7-14
水曜3限 10-42 → 3-B103
•後期
水曜2限 10-42 → 3-B103 (予
定)
今日のポイント
• ヒトの考え方や行動を理論化するというのは(とても)難しい
ということを知る
• それでも、なんとか形にしようとしていくつもの理論モデルが
あることを把握する
前回のおさらい
• 企業を知るには
• ヒト、モノ、カネ、情報、新技術、経営理念などといった要素にそれ
ぞれ分けて分析すると、尐しだけ解りやすくなる
• 組織と戦略
• 組織 : 人同士を上手く組み合わせて、戦略を実現するための方法
• 戦略 : 組織にもとづき、企業が最適な生産性や効率性を実現するため
の方法
→ このふたつは深くリンクしているので、「同時に」考える必要がある
講義スケジュール (前期, 前半)
(1) 4/9 イントロダクション: 「経営」ってなんだろう? 授業計画、
評価方法について
(2) 4/16 「経営学」とは? 経営学と経済学の違い
(3) 4/23 「組織」と「戦略」: ヒト、モノ、カネ、情報で読み解く企業
[以上、教科書第一章]
(4) 4/30 組織 (1) : 個人行動と集団行動
(5) 5/7 組織 (2) : リーダーシップ
[以上、教科書第二章]
(6) 5/14 組織 (3) : 組織構造
(7) 5/21 組織 (4) : 組織のデザイン
[以上、教科書第三章]
(8) 5/28 中間テスト
講義スケジュール (前期, 後半)
(9) 6/4 戦略 (1) : 資源戦略
(10) 6/11 戦略 (2) : 競争戦略
(11) 6/18 戦略 (3) : ドメイン戦略
[以上、教科書第四章]
(12) 6/25 組織と戦略 : 組織論と戦略論の変遷
(教科書下巻 pp.137-151)
(13) 7/2 組織と戦略 : イノベーションと企業組織、戦略
(『イノベーション・マネジメント』, 配布資料)
(14) 7/9 企業倫理/コーポレート・ガバナンス
(配布資料)
(15) 7/16 期末試験
• 公式な試験日は7/30 ですが、国際学会@ドイツ に出席する必要があるため講
義内に期末試験を行います.
プレイスメントテスト (第一回の結果)
8.52
8.25
8.43
7.83
7.4
7.6
7.8
8
8.2
8.4
8.6
1 2 3 4
学年 平均得点
1 8.52
2 8.25
3 8.43
4 7.83
総計 8.43
プレイスメントテストのおさらい (問15.-
17.)
• Q15. Which of the following does a production
possibilities schedule best illustrate?
1. The concept of a medium of exchange
2. The elimination of scarcity
3. The concept of an exchange rate
4. The concept of an opportunity cost
5. The concept of a good
• Opportunity Cost = 機会費用
• ある生産資源を想定している用途
と代替的な関係にある他の用途に
用いた場合に得られる最大の収入
• 例. 大学にいかずに4年間働いたら
得られる収入
• テレビとコンピュータを生産す
る場合の機会費用について検討
• コンピューター/テレビを生産する
代わりにテレビ/コンピュータを生
産するときのコストを検討 (答え
は 4.)
combination computers tv sets
A 0 6
B 15 5
C 25 4
D 33 3
E 39 2
F 42 1
G 43 0
Production Possibilities for
Computers and TV Sets
プレイスメントテストのおさらい (問15.-
17.)
• Q16. Refer to the above table. The opportunity cost of
producing the first television set is
1. 43 units of computers
2. 42 units of computers
3. 15 units of computers
4. 5 units of computers
5. 1 unit of computers
• Q17. Refer to the above table. This numerical example refers
to a situation
1. of increasing opportunity cost
2. of decreasing opportunity cost
3. of constant opportunity cost
4. where resources are equally able to produce either computers or
television sets
5. where the opportunity cost is zero
• A16
• 一台目のテレビを生産するために
は、コンピューターの生産数を1 減ら
す必要がある -> 最初のテレビを生産
する機会費用は 1. (答えは5.)
• A17
• テレビを生産する機会費用を考えて
みる.
• テレビ1台目の生産では 1
• テレビ2台目の生産では 3
• テレビ3台目の生産では 6
• テレビ4台目の生産では 8
• テレビ5台目の生産では10
• テレビ6台目の生産では15
コンピュータの生産数を減らす必要が
ある。このようなとき、機会費用は増
加しているといえる。 (答えは 1.)
combination computers tv sets
A 0 6
B 15 5
C 25 4
D 33 3
E 39 2
F 42 1
G 43 0
Production Possibilities for
Computers and TV Sets
教科書
• 榊原清則『経営学入門 上 <第二版
>』[日経文庫]2013
• 榊原清則『経営学入門 下 (第二
版)』
[日経文庫]2013
今日の内容
• (前半)個人行動
• (後半)集団行動
組織論
• ミクロ組織論 = 組織行動論
• 組織を構成するメンバーの行動に直接的に焦点を当てる
• 個人行動と小集団に固有の現象に関心を寄せる
• マクロ組織論 = 組織理論
• 組織全体を特徴付ける構造的要素 (構造次元) を特定する
• 構造次元間にはいかなる関係があるか特定する
• 構造次元ひとつひとつを規定する要因を特定する
• 組織を全体としてデザインする方法
個人行動
モチベーション理論
• モチベーション (motivation) = 動機付け
• 「目標達成のために高レベルの努力を行おうとする個人の意
志」
• 目標
• 個人の目標: 「出世したい」, 「この世の中に名を残したい」, 「自己実
現」, 「なりたい自分」,「TOEIC で700点取りたい」 etc…
• 組織の目標: 企業の売上, 収益性
• 個人の目標=組織の目標
• 高いモチベーションは高い個人の成果に繋がり、高い組織成果に結びつく
古典派と現代理論
• 古典理論
• 欲求階層理論
• X理論-Y理論
• 動機付け衛生理論
• 現代的理論
• ERG理論
• マクレランドの欲求理論
• 公平理論
• 期待理論
1. 欲求階層理論
自己実
現欲求
尊厳欲求
所属及び愛の
欲求
安全欲求ないし安
定性欲求
生理学的欲求
• マズローが提唱
• 下から順番に満たされていく必要
がある
• 低次欲求から高次欲求へと移
行する
• 最高次欲求だけは、重要度は
維持し続けられる
• cf. 「自分探しの旅」は終
わらない….
2. X理論-Y理論
• マクレガー提唱
• X理論
• 低次欲求に依拠する人間の行動モデル
• Y理論
• 高次欲求に依拠する人間の行動モデル
• 高次欲求にもとづいて人間は行動しようとしていると仮定
そもそも自己実現ってなん
だろう, 自己ってなんだっ
け??
Ex. John Lennon
自己実現欲求
尊厳欲求
所属
及び
愛の
欲求
安全欲求ない
し安定性欲求
生理学的欲求
社会的に認められたからといって、個人として幸福になるとは限らない(?)
ビートルズは、ほしいだけの金を儲け、
好きなだけの名声を得て、何も無いことを知った
- ジョン・レノン
The Beatles made it four years ago, stopped touring,
had all the money and fame they wanted, and found out they had nothing.
- John Lennon
3.動機付け衛生理論
• ハーズバーグ提唱
• モチベーションや職務満足の原因
• 「動機付け要因」=モチベーションを高めるのに寄与する
• 仕事の達成, 承認 (いい仕事!と認められる), 仕事自体, 責任 (仕事に要求される責
任感)
• 「衛生要因」=それが不備であると職務不満を発生させるが、それを
整備することにより不満の発生を防止することが可能
• 会社の方針と管理方法, 監督方法, 人間関係, 作業条件, 給与
4. ERG 理論
• マズローの欲求階層説をアルダー
ファーが修正
• (1) あるレベルの欲求の充足は, それ
自体の重要度をさげるとともに、上
位の欲求の重要度を増加させる
• (2) 最高次の欲求 (成長) は, 満足され
てもその重要度は減尐せず逆に増加
する
• (3) 欲求の各次元は逐次的ではな
く, 同時に活性化しうる
• (4) 上位レベルの欲求の満足の欠如
は, 下位レベルの欲求の重要度を増
加させる
• Ex. ) 成長に満足しなければ, とりあえ
ず美味いもん食べて満足しておこうと
する
Motivation
成長
関係
生存
5. マクレランドの欲求理論
• 欲求次元
• 達成欲求、権力欲求、親和欲求
• 次元間の階層性は存在せず
• 実験結果
1. 達成欲求の強い人間は、責任が大きく、フィードバックがあり、中
程度のリスクが生じる仕事状況を選好する
2. 達成欲求の強い人間は、必ずしも理想的なマネージャーにならない
3. 権力欲求と親和欲求の高い人間は、マネージャーとして成功する確
率が高い
4. 達成動機は、研修や教育によって高めることが可能である
6. 公平理論
• 「人間のモチベーションは、個人が認知した不公平 (他人と自
分の生産性の格差) を解消しようとするエネルギーに基づく」
• 仮定1: 人間が不公平を感じると、それを解消しようとするモチベー
ションが生じる
• 仮定2: 不公平の認知が大きいほど、モチベーションの強度は高い
=> 絶対的ではなく、相対的な尺度に基づく
7.期待理論
• 仮定: 「人間が行動をとる際には前もって合理的な利益計算を
行う (= 功利主義的な合理人)」
• 個人の高いモチベーションが生じる条件
• 個人の努力が一定の成果(業績)に結びつく可能性が高いこと
• 業績が何らかの報酬をもたらす可能性が高いこと
• 報酬が自分の目的に照らして望ましいことであること
7. 期待理論 (cont.)
E: 個人努
力
P: 仕事の
成果
O: 組織か
らの報酬
G: 個人の
目的
E-P 期待 P-O 期待 報酬誘意性
1. 個人の努力レベルがいかに高くても仕事の成
果が高いとは限らない
2. 仕事の成果がいかに高くても組織からの報酬
が高いとは限らない
3. 組織からの報酬がどんなに大きくても、それ
が当人にとって魅力的であるとは限らない
Intermission
• 中間試験
• マークシート方式
• 期末試験
• 定期試験時にヨーロッパ出張がはいりそうなので、15回目で実施しま
す。
• 講義資料のアップロード先
• Facebook Page
• http://www.facebook.com/businesstheoryk2014
• SlideShare
• http://www.slideshare.net/yasushihara/presentations
• DotCampus
• 講義人数が固まりつつあるので、利用を開始します
集団行動
集団
• 個人と組織の中間
• 公式の集団: 意識的にデザインされたもの
• 非公式の集団: 自然発生した集団
• ソシオメトリー
• 集団内の相関図を把握する
• 社会的ネットワーク
• クラスター
• スター
• リエゾン
• 孤立者
役割, 規範
• 役割 (roles) : 集団内の個々人に付与された特定の行動期待
• 特定の複数の行動があるひとりに割り当てられた結果、役割コンフリ
クト (role conflict) を起こす可能性がある
• 規範 (norms) :
• 集団の構成員が共有している当為としての行動基準
• 特定状況下で何をするべきか、何をなすべきではないかを構成員に教
える
Ex1.) イオン行動規範
Source:
http://www.aeon.info/company/aeon_code_of_conduct/002.html
Ex2.) Peach の安全「理念」
集団凝集性
• 定義: 構成員がどの程度互いを魅力的に思い、集団にとどまろ
うとするか、その意志の程度
• 集団凝集性が高くなる要因
• メンバーが共に過ごす時間
• 参加の困難度
• 集団の小ささ
• 女性が多く含まれる集団
• 外敵脅威の存在
• 過去の成功体験
集団凝集性と生産性
I: 生産性/最高 III: 生産性/中程度
II: 生産性/最低 IV: 生産性/中程度か
低い
成果規範
集団凝集性
高
高
低
低
集団意思決定
• 定義
• 決定のための機会を見出す
• 可能な行為の代替案を列挙する
• 代替案の中から選択し実行する
• 結果を評価する
• 集団のメリット
• より多くの情報と知識を活用で
きる
• 多様なアイデアを活用できる
• 結論の受容可能性が高まる
• 正当性が高まる
• 集団のデメリット
• 時間がかかる
• 同調過剰が発生する可能性があ
る
• 「議論を通じ多数派は社会的圧力
を行使して、自らの意志を強化
し、尐数派のインパクトを滅殺し
ていく。」
• 特定個人 (「声のでかい人」) が
議論を支配する可能性がある
• 責任が曖昧になる可能性がある
同調過剰
「12人の優しい日本人 (1991)」
コミュニケーションの方向
• コミュニケーション: 情報をやり取りし理解をえること
• コミュニケーションの方向
• 垂直方向のコミュニケーション
• 命令や指示は上から下に流れ、それに対するフィードバックは下から上に流れる
• 企業内では、下から上にコミュニケーションすることは難しい (ex. 上司にお伺い
を立てる)
• 水平方向のコミュニケーション
• メンバー間コミュニケーション
• 異なる部門間のコミュニケーション
• 異なる部署間で情報をやり取りするのは難しい
コミュニケーションのフォーマル、イン
フォーマルの区別
チェイン ホイール 全方向
スピード△
正確さ○
メンバーの満足△
スピード○
正確さ◎
メンバーの満足△
スピード×
正確さ○
メンバーの満足○
事例: ヒューレッドパッカードのスキャナー
事業
• 1996年ごろ: 平面スキャナー事業で
確固たる地位を築く
• 携帯スキャナーを社内チームが開発
• しかし、社内のリソース配分競争に破
れ携帯スキャナー事業に資金は投下さ
れず、権限も与えられなかった
• 多くの場合、新しい技術 (≒イノ
ベーション)が大企業の中で生まれ
ても、事業間の調整が行われず、経
営幹部間の意思決定が綿密に行われ
ない場合、コア部門に資源が集中投
下され新規部門をうまく立ち上げる
ことは難しい
• 企業の意思決定は、経営幹部レベルで
行われるべき
参照: 「コア事業とイノベーション事業を両立させる双面型リーダーの条件」 ハーバード・ビジネス・レビュー 2011年9月号
意思決定の2つのタイプ
• ハブアンドスポークチーム
• CEO が事業部門のリーダーたちに
囲まれる
• 各事業部門のリーダーはCEOに必
要事項を報告するが、リーダー同
士は議論しない
• 各事業部門はリーダーの舵取りに
大きく依存し、CEOはそれらを統
括する
• 具体例: アナログ・デバイセス
• CEO と COO がすべてを統括し、新
規事業を立ち上げる度に事業部を
設立
CEO
メンバーは、共通の戦略に貢献するために各
事業を最適化する必要がある。CEOは数名の
アドバイザーとともに部門間の緊張関係を調
整し、イノベーションが生み出せる環境を作
り出し、部門間のトレードオフを解決する
参照: 「コア事業とイノベーション事業を両立させる双面型リーダーの条件」 ハーバード・ビジネス・レビュー 2011年9月号
意思決定の2つのタイプ
• リングチーム
• CEO が事業部門のリーダー達をサーク
ルに取り込む
• 経営陣が経営資源の分配や現在と未
来のトレードオフに関する意思決定
を行う
• 事業部門のリーダーは個別部門の損
益ではなく、全社業績に基づいて報
酬が決定される
• 短期ではなく、長期的なコミットメ
ント
• 高いレベルの協力関係を構築するた
め、ディスカッションを積み重ねる
• 例: クレイ
• 新規事業を立ち上げるために、部門
横断的に新たな事業チームを構築す
る
CEO
メンバーは、共通の戦略に貢献するために各
事業を最適化する必要がある。CEOは数名の
アドバイザーとともに部門間の緊張関係を調
整し、イノベーションが生み出せる環境を作
り出し、部門間のトレードオフを解決する
参照: 「コア事業とイノベーション事業を両立させる双面型リーダーの条件」 ハーバード・ビジネス・レビュー 2011年9月号
コミュニケーション・チャネル
• コミュニケーションをどのような方法、手段で実行するか?
• 面前 (face-to-face)
• 電話
• メール
• メモや手帳
• 書類
非言語コミュニケーションの意義
• 言葉で伝えていること以外のもの
• 「二者間の対話では、ことばによって伝えられるメッセージ(コミュニ
ケーションの内容)は全体の35% にすぎず、残りの65% は話しぶり、動
作、ジェスチャー、相手との間のとり方など、言葉以外の手段によっ
て伝えられる (ヴァーガス, 1987)」
ゲートキーパー
• マクロの技術情報を組織の内部に導入する役割
• イノベーションの実行には外部情報との接触が重要
• 組織メンバーの中には頻繁に外部に接触するひとと、そうでないひと
がいる
• 内部情報のやりとりでも重要な役割を果たしている
今日のまとめ
• 個人行動
• 個人のモチベーションを測る方法
• 集団行動
• コミュニケーションをどのようにして円滑に実行するか
今月の予定
• 次回 5/7
• リーダーシップ
• 教科書 pp.74-96 を読んでおくこと
• 次々回 5/14
• 組織構造
• 教科書 pp.97-112 を読んでおくこと
連絡方法
• 神奈川大には 10:30-14:30 しかいません
• 非常勤のためオフィスアワーを設定できませんので、以下の手
段でご連絡ください。
• ツイッター @harayasushi
• フェイスブック : https://www.facebook.com/businesstheoryk2014
• LINE : @harayasushi
Thanks.

神奈川大学 経営学総論 A (4/15) ミクロ組織論 I: 個人行動と集団行動