過疎地域脱却への取り組み
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都道府県 市 町村 計 比率
島根県 4/8 11/11 15/19 78.9%
鹿児島県 9/19 24/24 33/43 76.7%
北海道 15/35 121/144 136/179 76.0%
高知県 5/11 19/23 24/34 70.6%
都道府県 市 町村 計 比率
埼玉県 0/39 1/24 1/63 1.6%
茨城県 0/32 1/12 1/44 2.3%
栃木県 0/14 1/12 1/26 3.8%
愛知県 0/38 3/16 3/54 5.6%
出展:全国過疎地域自立促進連盟kaso-net
過疎地域のデータバンク(都道府県別)過疎市町村の数
平成24年4月1日現在
Editor's Notes
- それでは、過疎の対策として何をしていくべきなのでしょうか?
若者に町に住んでもらう、空き地を有効活用する・・・いろいろあるでしょうが、
- 現在、多くの過疎地域が国からの支援を受けていますが、それだけではなかなか現状が改善されるとまではいっていません。
過疎地域に限った話ではありませんが、住民、市町村、国がその地域を変えようと考えなければ変わっていかないのです。
お互いに支えあい、協力していく自助努力がなされる必要があるのです。
- そこで今回は、実際に自助努力をすることによって、少子化を食い止めた「奇跡の村」と呼ばれる村を紹介します。それは、長野県下条村です。
- 現在、長野県下条村の人口は約4100人。1991年に人口減少が底を打って出生率は高水準を維持し、過疎地域から脱却しました。人口構成では60代と50代の次に10代が多いです。
- 下条村は、過疎地域からの脱却を図るために、どのようにして財源を捻出したのでしょうか?
- そこには伊藤村長を先頭とした、改革があります。伊藤村長はガソリンスタンド経営などの経験をもとに、まず職員の意識改革に着手しました。
- 一方、財源を確保するため、下條村では経費の削減も徹底しました。
役場の職員数を見直し、59人を39人へ。コスト意識を徹底させて職員数を大幅に削減しました。
年間1億4千万円の人件費削減につなげました。
伊藤喜平村長は「行政のムダをトコトン削れば、投資的経費に充てるカネは捻出できます」と、内情を明かす。そして、「これは別に机上の話ではなく、下條村が実際にやってきたことです」と、NHKの取材に対して答えています。
- 次に、資材支給事業に取り組みました。これは、村道・農道・水路整備などに住民自らが額に汗して工事を施工する。村はその資材を支給するというものです。生活道路など業者に委託していたインフラの補修を、村民みずからに委ねることにしました。当初は反対する声も少なくありませんでしたが、今では村民一人一人が、子どもを増やすことの大切さを認識するようになったと言います。
伊藤村長は、市町村だけが町づくりをするのではなく、町全体で町をつくっていきたいという思いを持っていたそうです。
必要な経費は村が負担しますが、人件費はゼロ。
以前に比べると、年間4000万円の削減に成功しています。
この事業の結果、住民の結束は強くなり、地域みんなで子育てしようという機運も高まったといいます。
これらの改革の結果、下条村は過疎化脱却のために様々な政策をとることができました。
NHKが行った取材をもとに実際の町民の声を聴いてみたいと思います。
- こちらは5年前、隣の市から下條村に引っ越してきた、本島貴子さん(33)です。
2歳の長男 瑚都くん、今年2月に生まれたばかりの長女 更紗ちゃん、そして夫の4人家族です。
- 本島さんが暮らす村営住宅は、2LDK。
駐車場2台分がついて、家賃は3万4千円です。
本島さんは、
「前に住んでいたところは、ここより一部屋少なくて3万円高かった。値段的にはものすごい安い」と言います。
「子供がいる/結婚の予定がある」などの入居条件を課し、2LDK(20坪)で家賃は3万3000円。 「集合住宅タイプ124戸を整備し、2012年度からは戸建ての建設費の10%を補助する事業(45歳未満が対象。上限100万円)を実施しています」(下條村総務課)
下條村は1997年度から、若者向けの村営住宅の建設を開始しました。国の補助金をあえて使わず、村の単独事業として実施した。入居条件をつけるためだ。家賃を格安(2LDKで3万3000円)にし、子持ちか結婚予定者、さらには村の行事への参加と消防団加入も条件とし、入居者を募いました。
- 下條村の子育て支援は、生活のあらゆる面に及びます。
長男の瑚都くんが乗っているこのチャイルドシートは、費用の半額が村の補助。
ことくんが読んでいるこの絵本も、村から無料でプレゼントされたものです。
若者定住促進住宅は現在、178戸に達し、元気な下條村の土台となっています。また、2012年度からは新増改築への補助制度なども新設した。
- 同時に子育て環境の整備も進め、子どもの医療費無料化(2010年度からは高校卒業まで無料に拡充)や保育料の引き下げ(国基準の半分以下)、子育て応援基金の創設など創意工夫を凝らしました。
下條村では、医療費は高校を卒業するまで全額免除されています。
下條村の子育て支援策は、保育料や給食費、3人目以降の出産祝金など、今や30万円を超えています。
- また義務教育の給食費40%補助などを実施。同村での出産・育児を望む入居者が集まった結果、年少人口(0~14歳)の比率16.8%は県トップとなった(2010年)。「子供を育てられる環境」があれば、産みたいと思う若者は少なくないことが証明されました。
日本の合計特殊出生率は1.41
その長年にわたる子育て支援策が成果を上げ、国内から注目を集めています。
- 本島さんは、
「子どもは二人いれば十分と思っていたが、もう一人産んでもよいかなという気持ちになった。下條村でなければそんなふうに思わなかった」と話します。
これらの取り組みの結果、平成17年度に、人口が35年ぶりに4200人を突破しました。
- これらの取り組みの結果、平成17年度に、長野県の下条村は人口が35年ぶりに4200人を突破しました。
- 長野県下條村が奇跡の村と呼ばれる所以としては、やはりほとんど国からの支援を頼ることをしなかったからです。
市町村だけで、過疎地域を解決するということはやはり難しいものです。
多くの過疎地域が国からの支援をもとに、地域活性化をめざしています。
- 実際には・・・
国や地域が一体となって、事業が行われ過疎地域脱却のために努力がなされています。
ほかにもごらんになりたい方は総務省のホームページからご覧になれます。
- 過疎地域が増えていくということは、それだけ日本国内の財産が減っていくことを意味します。
他人事の問題ではありません。私たちは、この先の未来を担うものとして、この問題を考える必要があります。
ご清聴ありがとうございました。