ユニバーサルサービス制度について―利用者目線からの再構築―

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次世代のユニバーサルサービス制度に関する提案

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ユニバーサルサービス制度について―利用者目線からの再構築―

  1. 1. ユニバーサルサービス制度につい て ―利用者目線からの再構築― 九州大学大学院経済学研究院 実積寿也
  2. 2. そもそもユニバーサルサービスとは何だったのか? 出典:http://www.thewriterscoin.com/wp-content/uploads/2012/04/starting-over.jpg GLOCOM講演会(2014/2/13)
  3. 3. ユニバーサルサービス維持の本質的な問題 • ナショナルミニマムの維持という経済学の観点から現在のユ ニバーサルサービスを考えると、代替的な通話サービス間、 企業間での競争が進展した結果、どのサービスも供給されな いような地域が発生した場合、その地域のサービス維持をど うするかという点が、ユニバーサルサービス維持の本質的な 問題だと想定される。(寺田・中村 2013, p.21) 出典:寺田一薫・中村彰宏(2013)『通信と交通のユニバーサルサービス』勁草書 GLOCOM講演会(2014/2/13)
  4. 4. ユニバーサルサービス(US)≒ナショナルミニマム • ユニバーサルサービスの基本三要件 1. 地域間格差なくどこでも利用可能:availability • 国内であればどこからでも利用可能 2. 国民生活に不可欠なサービス:essentiality • 加入電話と同等の信頼性 • 信頼性、局給電機能 • 接続番号の範囲(緊急通報など) 3. 誰もが利用可能な料金:affordability • 加入電話の料金水準が一応の目安 出典:「ブロードバンドサービスが全国に普及するまでの移行期におけるユニバーサルサービス制度の在り方 答申」(平成22年 12月14日) GLOCOM講演会(2014/2/13)
  5. 5. 日本での法的定義? 【公衆電気通信法(法律第97号(昭28・7・31))第1条(目的)】 この法律は、日本電信電話公社及び国際電信電話株式会社が迅速且つ確実な公 衆電気通信役務を合理的な料金で、あまねく、且つ、公平に提供することを図 ることによつて、公共の福祉を増進することを目的とする。 【日本電信電話株式会社法(法律第85号(昭59・12・25))第2条(責務)】 会社は、前条の事業を営むに当たつては、常に経営が適正かつ効率的に行われ るように配意し、国民生活に不可欠な電話の役務を適切な条件で公平に提供す ることにより、当該役務のあまねく日本全国における安定的な供給の確保に寄 与するとともに、今後の社会経済の進展に果たすべき電気通信の役割の重要性 にかんがみ、電気通信技術に関する実用化研究及び基礎的研究の推進並びにそ の成果の普及を通じて我が国の電気通信の創意ある向上発展に寄与し、もつて 公共の福祉の増進に資するよう努めなければならない。 GLOCOM講演会(2014/2/13)
  6. 6. OECDの四条件 • OECDレポート(1991)では以下の四条件を ベースに定義 • Universal geographical access • 全国どこに住んでいても利用できること • Universal affordable access • 誰でもが経済的に利用できること • 普及率100%への経済的障害がないこと • Universal service quality • 均質サービスが受けられること • Universal tariffs • 提供条件について差別的取り扱いがないこと GLOCOM講演会(2014/2/13)
  7. 7. ユニバーサルサービスの維持 • 電気通信事業については自然独占性という前提条件の下で次善 の効率性達成を目指し、平均費用に基づく料金規制が指向され てきた。 • 企業体としては収支均等 • ただし、実際の事業エリアには収益性の 違いが存在するなかで、affordabilityを 考慮した低料金で、全国津々浦々に同品 質のサービスを提供することが求められ る。 内部相互補助/企業間補助が前提の制度設計 GLOCOM講演会(2014/2/13) 出典:http://www.comparebroadband.com.au/images/Pictures/Picture_899.jpg
  8. 8. USの具体メニュー(&提供方法)を決定するのは 政府 【電気通信事業法第7条】 基礎的電気通信役務(国民生活に不可欠であるためあまねく日本全国にお ける提供が確保されるべきものとして総務省令で定める電気通信役務をい う。以下同じ。)を提供する電気通信事業者は、その適切、公平かつ安定 的な提供に努めなければならない。 【電気通信事業法施行規則第14条】 法第7条の総務省令で定める電気通信役務は、次に掲げる電気通信役務 (卸電気通信役務を含む。)とする。 一 アナログ電話用設備を設置して提供する音声伝送役務 二 第一種公衆電話機を設置して提供する音声伝送役務 三 インターネットプロトコル電話用設備を設置して提供する音声伝送 役務 GLOCOM講演会(2014/2/13)
  9. 9. 細かい技術的仕様も法定事項 • 音声伝送役務(電気通信事業法施行規則第2条2項1) • おおむね四キロヘルツ帯域の音声その他の音響を伝送交換する機能を有する電気通信設備を他人の通信の 用に供する電気通信役務であつてデータ伝送役務以外のもの • アナログ電話用設備(事業用電気通信設備規則第3条2項4) • 事業用電気通信回線設備及び法第四十一条第二項 に規定する電気通信設備のうち、端末設備又は自営電気 通信設備(以下「端末設備等」という。)を接続する点においてアナログ信号を入出力するものであつ て、主として音声の伝送交換を目的とする電気通信役務の提供の用に供するもの • 第一種公衆電話機(電気通信事業法施行規則第14条1項) • 社会生活上の安全及び戸外での最低限の通信手段を確保する観点から市街地(最近の国勢調査の結果によ る人口集中地区をいう。)においてはおおむね五百メートル四方に一台、それ以外の地域(世帯又は事業 所が存在する地域に限る。)においてはおおむね一キロメートル四方に一台の基準により設置される公衆 電話機 • インターネットプロトコル電話用設備(事業用電気通信設備規則第3条2項6) • 事業用電気通信回線設備及び法第四十一条第二項 に規定する電気通信設備のうち、端末設備等をインター ネットプロトコルを使用してパケット交換網に接続するもの(次号に規定するものを除く。)であつて、 音声伝送役務の提供の用に供するもの GLOCOM講演会(2014/2/13)
  10. 10. サービス水準を決定するのは政府 【電気通信事業法第25条】 基礎的電気通信役務を提供する電気通信事業者は、正当な理由がなければ、その業務区域 における基礎的電気通信役務の提供を拒んではならない。 【電気通信事業法第41条2項】 基礎的電気通信役務を提供する電気通信事業者は、その基礎的電気通信役務を提供する電 気通信事業の用に供する電気通信設備を総務省令で定める技術基準に適合するように維持 しなければならない。 【事業用電気通信設備規則第1条】 この規則は、電気通信事業法第四十一条第一項及び第二項の規定に基づく技術基準を定めること を目的とする。 【電気通信事業法第十九条】 基礎的電気通信役務を提供する電気通信事業者は、その提供する基礎的電気通信役務に関 する料金その他の提供条件について契約約款を定め、総務省令で定めるところにより、そ の実施前に、総務大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様 とする。 GLOCOM講演会(2014/2/13)
  11. 11. 補助スキームももちろん国が決定 【電気通信事業法第107条】 支援機関は、次に掲げる業務を行うものとする。 一 次条第一項の規定により指定された適格電気通信事業者に対し、当該指定 に係る基礎的電気通信役務の提供に要する費用の額が当該指定に係る基礎 的電気通信役務の提供により生ずる収益の額を上回ると見込まれる場合に おいて、当該上回ると見込まれる額の費用の一部に充てるための交付金を 交付すること。 二 前号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。 GLOCOM講演会(2014/2/13)
  12. 12. 結果として利用者には受益感なき負担感だけが残る 出典:http://www.tca.or.jp/universalservice/ GLOCOM講演会(2014/2/13)
  13. 13. 暗黙の前提 GLOCOM講演会(2014/2/13) 出典:http://www.i-heart-god.com/images/get%20off%20your%20assumptions.jpg
  14. 14. 暗黙裡に想定されている前提条件1 • ユニバーサルサービスの確保に おいては、「どういった通信メ ディアが提供されるか」が重要 GLOCOM講演会(2014/2/13)
  15. 15. 暗黙裡に想定されている前提条件2 • ユニバーサルサービスとして確 保されるべき具体的な通信メ ディアは政策担当者がもっとも 適切に決定できる。 GLOCOM講演会(2014/2/13) 出典:http://marcstevens.net/NSPmedia/Images/Photographs/bureaucrat.jpg
  16. 16. 暗黙裡に想定されている前提条件3 • アナログのイエ電話を超える サービスは贅沢品であり、政策 的に担保する対象とはなりえな い。 GLOCOM講演会(2014/2/13) 出典:http://www.vertu.com/
  17. 17. 暗黙裡に想定されている前提条件4 • 政策としては平均的な消費者の みを対象としていれば十分であ り、個人のニーズに付き合う必 要はない。 • 身障者向け、あるいは低所得者向 けのサービスは別スキームで考慮 出典:http://www.donchaka.com/img/childcare/childcare_img91.gif GLOCOM講演会(2014/2/13)
  18. 18. 暗黙裡に想定されている前提条件5 • 目的とするサービスは枯れてい るため、実現する技術は固定的 出典:http://www.foodwewant.org/var/ezwebin_site/storage/images/news/global-hunger-index2012-launched/10119-1-eng-GB/Global-Hunger-Index-2012-Launched_article_full_l.jpg GLOCOM講演会(2014/2/13)
  19. 19. 暗黙裡に想定されている前提条件6 • 利用者への直接給付はコスト高 GLOCOM講演会(2014/2/13) 出典:http://1.bp.blogspot.com/-YbGAvSxktaU/UDu6_zJ_9YI/AAAAAAAAEdE/PpKl112qRM/s1600/2012+Lunch+Bunch+Back+Pack+Day+waiting+2.jpg
  20. 20. 暗黙裡に想定されている前提条件7 • 政策担当者は予測される外部効 果の大きさを十分正確に予測で きる。 出典:http://i.zemanta.com/130915909_80_80.jpg GLOCOM講演会(2014/2/13)
  21. 21. 暗黙裡に想定されている前提条件8 • 「税金」の水準が低ければ、利 用者は文句をいうことはない。 出典:http://lego.cooperman.net/wp-content/uploads/2011/10/Boston-Tea-Party-16.jpg GLOCOM講演会(2014/2/13)
  22. 22. 暗黙裡に想定されている前提条件9 • 外部性の内部化が困難であるた め市場メカニズムによる解決は 望みがたい。 • 市場の中核は旧国営事業体が公 的使命をもって確実に担ってい るので、公共的責務は信頼して 任せることが可能。 GLOCOM講演会(2014/2/13) 出典: http://d3515qaf3aty6m.cloudfront.net/ebe09aa671d16e741cef21e34cc67f32/news/1363737871supply-and-demand-01-resized-600.png-scaled.jpg
  23. 23. 前提としていた市場環境の変化 出典:http://www.socialistrevolution.org/wp-content/uploads/2010/07/climate-change_1509200c.jpg GLOCOM講演会(2014/2/13)
  24. 24. 市場環境の変化1 • コミュニケーション需要の多様化 情報通信端末の世帯保有率の推移 GLOCOM講演会(2014/2/13) 家庭内・家庭外からのインターネット利用の機能・サービス(個 出典:平成25年版 情報通信白書
  25. 25. 市場環境の変化2 • イエ電話に依存しない層の出現 世帯主年齢別固定電話保有率 100% 80% 60% 40% 20% 0% 全体 20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~64歳 65~69歳 70~79歳 2008年調査 GLOCOM講演会(2014/2/13) 2009年調査 2010年調査 2011年調査 2012年調査 80歳以上 通信利用動向調査より作成
  26. 26. 市場環境の変化3 • 平均的な情報通信リテラシーの向上 出典:http://www.geocities.jp/hyuga_kujira/07.jpg GLOCOM講演会(2014/2/13) 出典: http://www.aletheia.ac.jp/s/note/assets_c/2013/01/3%E5% B9%B4%E3%83%91%E3%82%BD%E3%82%B3%E3%83%B3-thumb600x401-6050.jpg
  27. 27. 市場環境の変化4 • 技術的な選択肢の増大 GLOCOM講演会(2014/2/13) 出典:http://img.youtube.com/vi/YwtUsuRaUPE/0.jpgなど
  28. 28. 市場環境の変化5 • 文系中心の官僚システムには 追いつけない急速な技術進歩 出典: http://interpolblacklist.files.wordpress.com/2011/11/cloudcomputing.jpg%3Fw%3D300%26h%3D225 GLOCOM講演会(2014/2/13) 出典:http://www.zetta.net/blog/wpcontent/uploads/2013/05/Cloud-Storage-Evolution.jpg
  29. 29. 市場環境の変化6 • 情報通信技術を利用した取引費用の低廉化 出典:http://pds2.exblog.jp/pds/1/200811/13/37/e0137837_13463878.jpg GLOCOM講演会(2014/2/13)
  30. 30. 市場環境の変化7 • 規制メカニズムの非効率性や「政府の失敗」の顕在化により、 選択の自由の下での自己責任論の興隆 出典: http://userdisk.webry.bigl obe.ne.jp/012/985/88/N00 0/000/001/izu-8.jpg GLOCOM講演会(2014/2/13) 出典: http://lakecomoheart.com/wpcontent/uploads/2012/11/images3.jpg 出典:http://cdnak.f.sthatena.com/images/fot olife/s/satochan8/2011 0226/20110226221104.j pg
  31. 31. 市場環境の変化8 • OTT主導のエコシステムの登場 • ダムパイプ化が進み、今のままでは、既存キャリアは外部経済を内部 化するポジションを占めることができず、ユニバーサルサービスを支 えきれない? Q: How concerned are you about Internet upstarts like Google, MSN, Vonage, and others? A: How do you think they're going to get to customers? Through a broadband pipe. Cable companies have them. We have them. Now what they would like to do is use my pipes free, but I ain't going to let them do that because we have spent this capital and we have to have a return on it. So there's going to have to be some mechanism for these people who use these pipes to pay for the portion they're using. Why should they be allowed to use my pipes? Nov. 6, 2005, BusinessWeek GLOCOM講演会(2014/2/13)
  32. 32. 収益源は既にOTT(あるいは端末販売)に移行 ROE for Sept. 30, 2013 Google 16.48% Apple 29.49% Amazon 1.57% Comcast 13.09% Time Warner 12.97% AT&T 8.25% Verizon 6.36% 出典:http://ycharts.com/より作成 出典:平成24年版情報通信白書より作成 GLOCOM講演会(2014/2/13)
  33. 33. あらためて考え直してみるとすれば… 出典:http://img.talkandroid.com/uploads/2013/10/Reset-button.jpg GLOCOM講演会(2014/2/13)
  34. 34. ユニバーサルサービスの品質とは? • 「基本的な通信ニーズに応えるもの」であるべき • 技術中立性の確保 • どういったシステムで実現されるべきかは経済合理性に基づいて決 定されるべき問題 • 競争中立性の観点も必須 • 多様性への対応 • National minimumとして最低限確保しなくてはならないサービス水 準は本来、個人個人によって異なるcommunication experienceに対 して定義されるべき 日本国憲法第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有 する。 2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び 増進に努めなければならない。 GLOCOM講演会(2014/2/13)
  35. 35. 性能発注と仕様発注の比較 • 性能発注では,発注者が要求性 能,その検証・照査方法を示し, 受注者がそれを達成するための技 術提案および施工を行う。 • 性能実現プロセスは発注者側で規定 しない。 • 仕様発注は,構造物の形状,構 造,寸法,精度,工法等を具体的 に明示する。 • 目標性能が示されていない場合が多 い GLOCOM講演会(2014/2/13) 出典:松井健一 『性能発注方式について』建設マネジメント技術, 2010年10月, pp.4-7.
  36. 36. ユニバーサルサービスを支えるメカニズム候補 基金方式 税金による公的補助方式 GLOCOM講演会(2014/2/13) 接続料金方式 クーポン方式
  37. 37. 基金方式の優越性は? 税方式 基金方式 接続料金方式 クーポン方式 概要 一般財源による税金で 事業者を直接補助 第三者機関が運営する 基金を通じて費用を分 担 NTT自身が接続料金に 上乗せして費用を回収 条件不利地域の消費者 に直接補助 透明性 (検証可能 性) 〇 〇 × 〇 競争中立性 △ △ △ 〇 技術中立性 △ ○ △ ○ 〇 受益者負担性 △ × 原資調達方法に依存 運営費用 (簡素性) ×× 〇 ◎ ×× 利用者負担 〇 〇 〇 × GLOCOM講演会(2014/2/13)
  38. 38. 基金方式の優越性は? 税方式 基金方式 接続料金方式 クーポン方式 概要 一般財源による税金で 事業者を直接補助 第三者機関が運営する 基金を通じて費用を分 担 NTT自身が接続料金に 上乗せして費用を回収 条件不利地域の消費者 に直接補助 透明性 (検証可能 性) 〇 〇 × 〇 競争中立性 × × × 〇 技術中立性 × ○ × ○ 〇 受益者負担性 × × 原資調達方法に依存 運営費用 (簡素性) ×× 〇 ◎ ○ 〇 多様性 ×× GLOCOM講演会(2014/2/13) 〇 × 〇 × ○ ○ 利用者負担
  39. 39. 提案 出典:http://www.seanogle.com/wp-content/uploads/2013/11/Inspiration1-600x300.jpg GLOCOM講演会(2014/2/13)
  40. 40. ユニバーサルサービス制度の目標の再定義 • 「国内居住者に最低限保証される べき通信環境」に対する三条件の 具体的には 何を求めているの か? 確保 • Essentiality • Affordability • Availability 出典:http://www.markblinder.com/wp-content/uploads/2009/06/83900397.jpg GLOCOM講演会(2014/2/13)
  41. 41. ちなみにOECD(1991)でも回答は与えられていな い c) Universal service quality Quality of service indicators could be agreed with the operator and agreed targets could be required and monitored, with failure to meet targets being subject to penalty, such as rebates to customers. Whether within a universal basic quality of service it was appropriate or feasible to have different levels of quality at different prices could then be considered and transparently administered. 出典:OECD (1991) Universal Service and Rate Restructuring in Telecommunications, p.84. GLOCOM講演会(2014/2/13)
  42. 42. 日本での議論は半歩先を進んでいた 「マルチメディア時代のユニバーサルサービス・料金に関する研究会」報告書 (郵政省 1996年5月31日) • 情報を知的資源として高度に活用する社会に おいて、情報を「持つ者」と「持たざる者」 の発生を防ぎ、結果として生じる社会的不公 平を最小限にとどめることがマルチメディア 時代におけるユニバーサルサービスの意義。 • 高度な電気通信サービスは国民生活に不可欠 なサービスとして、ユニバーサルサービスと して位置づけるべき。 • マルチメディア・アクセスについては、 技術革新の進展やサービスの普及度合い を踏まえ、段階的にユニバーサルサービ スとして位置づける。 • マルチメディア・サービスについても、 段階的にユニバーサルサービスの対象に 加える方向で検討すべき。 GLOCOM講演会(2014/2/13)
  43. 43. 平成20年答申「ユニバーサルサービス制度の在り方につい て」 「PSTNからIP網への移行が完了し、利用者がFTTH、4 G等多種多様なブロードバンドサービスを受けることができる環 境においては、サービスの種類に関わりなく、アクセス網を経由 して一定の要件を満たすサービスが利用可能である状況(ユニ バーサルアクセス)を維持するため、不採算地域における当該ア クセス網の維持費用の一部をユニバーサルサービス制度の補てん 対象とするという考え方を採用することが適切であると考えられ る。」 GLOCOM講演会(2014/2/13)
  44. 44. ユニバーサルアクセス • あらゆるパケットの流通の確保 GLOCOM講演会(2014/2/13) 出典:平成20年答申「ユニバーサルサービス制度の在り方について」
  45. 45. Essentiality:「国民生活に不可欠なサービス」? • 尐なくとも、技術仕様ではなく、性能による定義が必須 例えば、保障水準を現在のままにするとしても… • アナログ電話用設備 • 第一種公衆電話機を設置して提供 する音声伝送役務 • インターネットプロトコル電話用 設備を設置して提供する音声伝送 役務 GLOCOM講演会(2014/2/13)
  46. 46. Essentiality水準に関する私案 • 以下のサービスの利用が可 能になるような通信環境を 世帯単位で整備 • 緊急通話 • 音声通話 • 基本的なウェブ閲覧 • 仮にIP網で提供するので あれば、0.5Mbps程度で十 分 • 各機能はアプリで実現 GLOCOM講演会(2014/2/13) 出典:FCC (2010) “National Broadband Plan”
  47. 47. 競争中立性、技術中立性の確保 GLOCOM講演会(2014/2/13)
  48. 48. 供給者の選択は消費者にゆだねる 新し い固定系電話事業者 既存の電話事業者 携帯電話事業者 GLOCOM講演会(2014/2/13) ビッ スト ーム ト リ の提供
  49. 49. Carrier of last resort • 出自と経緯を考えると、最大のイン フラ保持者でもあるNTTが最終的な 責任を負わされることは避けられな い。 • 代替手段として国営ネットワーク公社 (w/電源設備)のようなものはありう る。 • ただし、その場合は国営形態につき ものの非効率性を甘受することに対 する国民的合意と、追加的なモニタ リングシステムの導入が必須 GLOCOM講演会(2014/2/13) 出典: http://previewcf.turbosquid.com/Preview/201 3/12/05__03_00_08/IceHockey_GK_00.jpgd4ef1 a8c-5392-4bb3-86a3-36b8ca6d08e3Large.jpg
  50. 50. Affordability水準に関する私案 • 現状の負担を超えない水準からスタート ユニバーサルサービスた る光IP電話の範囲確定 の際と同種の考慮 • 初年度ベンチマークの設定 • 初年度に標準的なサービスバンドルを想定し、その市場価格を調査 • 直近年度の世帯あたりのユニバーサルサービスの平均負担額を利用 • 次年度以降はプライスキャップ制で運用? GLOCOM講演会(2014/2/13)
  51. 51. 中立性・多様性に最大限に確保した補助システム • 不採算地域の利用者にクーポンを電子的に配 布 • より高額のサービスに充当することは自由 ユニバーサルサービス クーポン • ただし、差額は自己負担 • 電子的に配布することで事務費用を最小化 GLOCOM講演会(2014/2/13) 本クーポンは月額2,000円分 相当の通信料金として利用できま す。別リストにある全てのサービ スに利用できますが、超過分が発 生した場合には個人負担となりま す。 また、本クーポンを他人に譲渡す ることはできません。
  52. 52. 適格事業者の義務 • 不採算地域をカバーし、クーポン受領を希望する事業者(適格 事業者)は、当該地区の利用者(利用世帯)へのサービス提供 義務を負う。 • ユニバーサルサービスとして定められた最低限度の品質を持つサービ スを約款料金+クーポンで提供する。 • 地域内でクリームスキミングが発生する可能性への対処は必須 • 残った利用者は強制的に割り当てる? • クーポンを受け取らずにサービス提供を行うことは自由。その場 合、条件交渉の結果、サービス提供を断る自由を持つ。 • 受け取ったクーポンをユニバーサルサービス支援機関が換金 GLOCOM講演会(2014/2/13)
  53. 53. クーポン換金水準の決定 • 地区単位でクーポン換金水準をめぐる入札を実施 • 入札単位は、オークショニアが提示する換金率の下での最低提 供数 • オークショニアは提供数が当該地区の予想需要数と等しくな るよう換金率を調整 • 限界費用が増大する場合、換金率の増減は、入札数と負の相 関を持ち、オークションの結果、複数の適格事業者が登場す る。 • 規模の経済性が働く場合、換金率の低下が希望供給数の増大 をもたらすため、独占的供給者の地位をめぐる争いになる。 • 全ての地区に関して同時にオークションを実施することで、事 業者による参入地区の裁定を効率的に機能させる。 GLOCOM講演会(2014/2/13)
  54. 54. 効率性の確保 • 落札総額を従前の計算方式で得られた補助総額(A)から差し引 き、残存額を入札者が現れなかった地域にサービスを保証する 立場にある事業者(Carrier of last resort)の補助金額とする。 • Carrier of last resortに換金率低下インセンティブが生まれ、各地区に おいて入札利用者数<地域需要総数となり、オークション不成立とな る事態を最小化するとともに、談合を抑止 • Aについては生産性向上分(X値)を考慮し、各期毎に下げる。 GLOCOM講演会(2014/2/13)
  55. 55. 最終解決としてのBitStream公社 • ネットワーク保有・管理会社を構造分離し、全てのサービスを OTTとして提供する体制に移行すればNTT東西はCarrier of last resortの桎梏から免れ、自由な事業展開が可能になる。 • 「固定通信事業の分離」ではなく、 指定設備管理部門の「構造」分離が 理想 • NTTドコモの携帯網についても完全 なオープン化を実施 • 究極的には構造分離 • 当該事業体への厳重な規制は不可避 • 公社の料金設定はROR規制(あるいはROR の要素を入れたプライスキャップ規制)がベー ス • 運営効率化のためには、ヤードスティック競争 等のインセンティブ規制の導入といった方策を GLOCOM講演会(2014/2/13) 検討 出典:ソフトバンク資料 (http://webcast.softbank.co.jp/ja/pdf/hikari_road/hikari_road_doc.pdf )
  56. 56. BitStream公社のある世界 • 利用者 • 自分たちの望む通信環境を獲得 • サービス競争の果実を満喫 • 事業者 • 制約のない市場競争が可能 • 新技術の導入は自律的に決定 • サービスには必ず相応の対価 • BitStream公社 • 安定的な事業環境を享受 • 政府 • 政策コストの最小化 • 情報の非対称性からの解放 GLOCOM講演会(2014/2/13) 出典:http://www.plumvoice.com/wp-content/uploads/2014/01/happy-employees.gif
  57. 57. BitStream公社のある世界のダークサイド • 利用者 • E2Eを自身で構築するリテラシーが必須 • 事業者 • BitStream公社の存在が新しい事業制約にな る • 基盤インフラとの協働が必要な新サービ スの導入は困難に • Regulatory Takingの問題 • BitStream公社 • 非効率的な官僚体制への堕落 • 政府 • 公社との癒着、第二の国鉄化 • ネットワーク中立性問題への対処 GLOCOM講演会(2014/2/13) 出典:http://www.plumvoice.com/wp-content/uploads/2014/01/happy-employees.gif を修正
  58. 58. 結論 公衆電気通信法以来のユニバーサルサービス制度は、環境変化に より制度疲労を起こしている可能性がある。 • 前提条件にもどった議論をしてみる時期 • ユニバーサルサービスについて利用者自身の選択を許す余地はないか? • 補助メカニズムに関してもICTインフラ活用を検討すべき? • 代替手段のある状況下でナショナルミニマムを確保する手段としては、サービスを 限定する間接補助形式のユニバーサルサービス方式より、ユーザーのサービス選択 に任せるユーザーサイド補助の方が効率的 • 競争中立性、技術中立性の更なる尊重 • オークション活用による効率性確保との両立 • FTTHが究極というのなら….サービス競争への移行も検討可能? GLOCOM講演会(2014/2/13) 出典:http://img04.ti-da.net/usr/soraumiblue/%E5%8E%9F%E7%82%B9%E5%9B%9E%E5%B8%B0.jpgを修正
  59. 59. ユニバーサルサービス制度について ―利用者目線からの再構築― 九州大学大学院経済学研究院 実積寿也

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