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第22回 JUCC秋季定例セミナー 「電子書籍時代を生きるための“必須知識”」資料2/2
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第22回 JUCC秋季定例セミナー 「電子書籍時代を生きるための“必須知識”」資料2/2

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第22回 JUCC秋季定例セミナー …

第22回 JUCC秋季定例セミナー
「電子書籍時代を生きるための“必須知識”」
11月19日 ・アメリカ電子書籍市場に学ぶこと/林 智彦
資料のその2です。

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  • 1. 米国電子書籍の 短い歴史 そこから得られる教訓 林 智彦 @日本ユニ著作権セミナー 2013/11/19 1
  • 2. アマゾンの内情がもれてきた 2
  • 3. 研究書も 3
  • 4. 電子書籍黎明期 1968 アラン・ケイ Dynabook 1971 Project Gutenberg 1993 Digital Book フロッピーディスクで本を販売 1995 Amazon正式サービス開始 1998 SoftBook、Rocket eBook(ベゾス、出資を求められるが決裂) 1999 Open eBook Forum(現IDPF) 4
  • 5. 電子書籍夜明け直前 2000 Microsoft Reader 2002 HarperCollinsとRandom House、 書籍の電子化を開始 2003 ベゾス、電子書籍について検討しはじめる 2004 Google、図書館電子化を開始 2006 Sony Reader発売 5
  • 6. Sony Reader PRS-500 当初、独自フォーマット。その ため、タイトル数が限られる 独自書店 USB接続 ボタンが無数にある 1年で「失敗」 IDCによると、2010年の販 売台数は80万台。同年の電子 書籍専用端末の累積販売数は 1200万台 6
  • 7. 始まりはiPod 2003年、Apple/ Apple会談 Amazonが音楽ストア 持ちかける→断られる 7 Photo: by jurvetson on Flickr CC-BY 2.0
  • 8. ベゾスの心中 ・2003年春にオープンしたITMSの大成功で、 CD売上が急減した。このことに驚いたアマゾン は、iPodで再生できないMSのDRMを使った音 楽ストアを始めようとしたが、ローンチ寸前に取 りやめた ・2007年にはDRMフリーの音楽ストアを立ち 上げたが、これを見たアップル側が、すぐさま音 楽出版社とDRMフリーの契約を結んだ(そのた め、顧客流出を食い止められた) ・音楽で起きたことが、本やその他の商品に及べ ば会社の存亡に関わることに気づいたベゾスは、 慌てて電子書籍に本格的に取り組み始めた。 8 Photo: by jurvetson on Flickr CC-BY 2.0
  • 9. 「2004年、アップルによるデジタルミュージックの支配が、アマゾンの 目をさまさせた。書籍、音楽、映画の販売はその年のアマゾンの、年間売 上の74%を占めていた。アップルが示したように、これらのフォーマッ トがデジタルに移行することが不可避なら、アマゾンは自社を守るため に、すぐさま動く必要がある。『われわれはiPodがアマゾンの音楽ビジ ネスに与えたインパクトに震え上がった』。ディレクターのジョン・ドー アは言う。『アップルや他のメーカーから、われわれのコアビジネスを直 撃するデバイスが出ることが怖かったんだ。コアビジネスとは、つまり本 さ』」 「新しいデジタル時代に、書店として生き延びるためには、アップルが音 楽産業を牛耳ったように、電子書籍ビジネスを自社所有する必要があると ベゾスは結論づけた。数年後、スタンフォードビジネススクールでの講演 で、同社のディアゴ・ピアセンティーニはこう話した。『誰か他人にカニ バライズされるくらいなら、自分でカニバライズした方がマシだ』」 9
  • 10. 君の仕事は、アマゾンのビジネス を殺すことだ。紙本を売っている 人間を、全員失職させることが目 的であるかのように、事業を進め てほしい。 アマゾン社内でベゾスの腹心を『ジェフ・ボット』というが、書籍事業を軌道に載 せたスティーブ・ケッセルは、その中で最も忠誠心もあり、やる気もある人物。 2004年のある日、ベゾスはケッセルを新事業の担当に配置換えすると述べ、クリ ステンセンの『イノベーションのジレンマ』(自社の外に、破壊的イノベーション を持った企業を作るべし、と説いた)を念頭に置きながらこう説明した。 10
  • 11. 世界最大のデザインファーム 11
  • 12. 世界最大のデザインファーム キーボードをつけるかどうか、 無線を無料にするかどうかで対 立。「ブラックベリーっぽくし てくれ」「これが俺のシナリオ だ。空港へ行くとき、読む本が ほしくなったら、車の中ですぐ 本がダウンロード出来る」「し かしそれはできない」「できる かどうかは俺が決める。お前は デザイすればいいんだ」 デザイナー二人が電子端末で徹 底的に読書を繰り返し、何百年 もの間、当たり前だと思われて いた読書の物理学を研究。 その結果、「いい本は意識から 消えてなくなる」というコンセ プトを発見。 12
  • 13. トラブルの連続 E-inkの製品不良、IntelがKindleの CPUを提供するはずだったXScaleを 売却、内部のチップ、無線モジュール の提供元であるクアルコムとブロード コムの特許戦争により一時部品の輸入 が差し止められる危険が生じるなど、 次から次へとトラブル勃発 13
  • 14. 電子書籍をどう増やしたか ・2004年当時、電子書籍は2万タイトルしかなかったが、ベゾスはSony等の失敗の 経験から、「NYTのベストセラーリスト90%を含む10万タイトル」を目標にした。 ・アマゾンは紙の書籍で築いた地位を利用して出版社を脅迫。さらに「なか見!検索」 用のファイルを電子書籍に転用できるTopazという技術を利用してタイトルを増やし た。 ・アマゾンの(紙書籍の正味などを含めた)出版社交渉作戦は「ガゼル・プロジェク ト」と呼ばれた。チータ(アマゾン)が弱い出版社(ガゼル)を追い回す、という意 味。 ・出版社はSony等で売れなかったため、電子書籍に後ろ向き。特に電子化の権利がは っきりしない1990年代後半以前のタイトルの電子化を嫌がった。著者やエージェント と交渉すること自体が、契約条件の見直しにつながるから。 ・アマゾンは次から次へと「電子化リスト」を出版社に送りつけた ・電子化に消極的な出版社については、アマゾンがエージェントや著者と直接交渉し た。 14
  • 15. 結果 2010年のシリーズ販売合計80 2010年のシリーズ合計614万 万台(推計) 台(推計) 当初タイトルは1万。 当初9万点。2年以内に30万点 15
  • 16. なぜ成否が別れたか 実行の中心課題 コイノベーション 実行の中心課題 アドプションチェーン 16
  • 17. なぜ成否が別れたか ∼プラットフォームの構築 電子インク スクリーン その他の 補完品 ソニー 小売業者 リーダー 接続性: USBケーブル 経由で ソニー DRM 著者 出版社 ユーザー ソニー・ コネクト・ ドットコム 出所:「ワイドレンズ」P86 17 PCから リーダーへ転送
  • 18. なぜ成否が別れたか ∼プラットフォームの構築 接続: ワイヤレス ネットワーク アマゾンDRMと その他の 補完品 著者 アマゾンの キンドル アマゾンの ウェブストア 出版社 出所:「ワイドレンズ」P88 18 エンドユーザー
  • 19. プラットフォームの経済学 両面市場の経済学 Source:http://en.wikipedia.org/wiki/Two-sided_market 19
  • 20. プラットフォームの経済学 Source:http://en.wikipedia.org/wiki/Two-sided_market 20
  • 21. プラットフォームの経済学 Source:http://en.wikipedia.org/wiki/Two-sided_market 21
  • 22. プラットフォームの経済学 Source:http://en.wikipedia.org/wiki/Two-sided_market 22
  • 23. 電子書籍価格談合裁判 米大手出版5社(アシェット、ハーパ ーコリンズ、マクミラン、ペンギン、サ イモンシュスター)が電子書籍の価格 決定権と価格引き上げを狙い、Apple と共謀した、として米司法省と各州政 府が訴えたもの。※RHは歩調を合わせ なかったため、難を免れた。 23
  • 24. 24
  • 25. 25
  • 26. 26
  • 27. % / 15# 10# 30# 15# 59# 40# 9# 22# OECD#(2012),#“E2books:#Developments#and#Policy#ConsideraFons”,#OECD#Digital#Economy#Papers,#No.#208,#OECD# Publishing.#doi:#10.1787/5k912zxg5svh2en Kindle#Review:#Book#Cost#Analysis#–#Cost#of#Physical#Book#Publishing hXp://ireaderreview.com/2009/05/03/book2cost2 analysis2cost2of2physical2book2publishing/ ,#retrieved#on#March#5,#2013.# (2009)#, hXp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1253320 68~71%,# 65~68%, 8~10%, 22~24% # 27
  • 28. 電子書籍価格談合裁判 ホールセールからエージェンシーに 価格MFN(最恵国待遇) →その結果、被告出版社の電子書籍の 平均価格が10%以上上昇 9.99ドル→12.99ドルや14.99ドル 28
  • 29. 何が問題となったのか? ・エージェンシー契約自体は合法 ・同一市場内の複数の事業者が共謀し て類似の契約をAppleと結んだことが 問題(独禁法違反) ・MFNも実質的に競争を制限すると問 題視 29
  • 30. 同意判決の中身 ・アップルとの現契約の終了 ・MFNの終了 ・2年間値引き制限不可 ・5年間MFN含む契約を結べない →Agency Liteと呼ばれる契約へ 30
  • 31. Agency Lite ・大手出版社がAmazonなどと再契約 ・価格は指値、割引可 ・ただし逆ざやは禁止(年間支払額を 上回る値引きは不可) ・ハーパーコリンズは「ダイナミック プライシングや実験を最重要視する」 と声明 http://www.bookweb.org/news/publishers-work-e-book31 agreements-under-doj-settlement
  • 32. 結論として ・司法は「競争環境の回復」を再優先 ・そのため、実質的にはAmazonにも 譲歩を迫る内容に ・未だにあるべきモデルが見えていない 市場に人為的にモデルを押し付けるこ とを回避 ・市場への信頼が根底に 32
  • 33. 法的是非はさておき、電子書籍にはどう した価格決定のあり方がふさわしいか? ・ネットコンテンツでは、消費者のアテンションを得ることが難しい ・価格は、その数少ないコミュニケーション手段の一つ ・そのため、頻繁にセール等を行って、消費者の認知を高めることが必要 ・ホールセールであれば、Amazonのプライスマッチに任せればよいが、出版 社にそれができるか、やるべきか? ・紙本の編集部の理解を得られるか? ・そもそもカニバリズムがない(別の財)なのであれば、どうつけても総利益 には影響なし ・日本の事業者のように、価格改訂のたびに書誌をアップロードするような仕 組みだと、出版社の手間がかかる ・海外展開を考えるとますます大変 ・米国のエージェンシー契約では、消費税は出版社が払っているようだ(売主 であるため) 33
  • 34. ここまで米国の歴史でしたが 同じ頃、日本では何がおきて いたのでしょうか 34
  • 35. 日本の電子書籍の歴史 年 できごと 1986 日本電子出版協会(JEPA)設立 1990 ソニー、データディスクマンを発売 1993 ボイジャージャパン、エキスパンドブック・ツールキットを発売 1993 NEC、デジタルブックプレイヤーを発売 1995 フジオンラインシステム(→パピレス)設立 1995 CD-ROM版「新潮文庫の100冊」 1998 電子書籍コンソーシアム設立 2000 イーブックイニシアティブジャパン(EBJ)設立 2000 電子文庫出版社会設立。「電子文庫パブリ」オープン 2000 ミュージック・シーオー・ジェーピー(現MTI)が「パブリ」運営を受託 2004 ソニー、リブリエ発売 2004 松下、シグマブック発売 2005 デジタルコミック協議会設立 2005 ビットウェイ設立 2005 モバイルブック・ジェーピー(MBJ)がミュージック・ドット・ジェーピーから分割独立 2006 松下、ワーズギア発売 2006 米ソニー、Readerを北米で発売 第一次電子書籍元年 第二次電子書籍元年 35
  • 36. 日本の電子書籍の歴史 年 できごと 2007 米アマゾン、初代Kindleを発売 2009 米アマゾン、Kindle2国際版を日本を含む世界100カ国へも発売開始 2009 米書店チェーンのバーンズアンドノーブルが電子書籍サービス「NOOK」を開始 2010 日本電子出版社協会(電書協)設立 2010 「デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会」(通称、三省デジ懇)開催 2010 ブックリスタ設立(ソニー、KDDI、凸版印刷、朝日新聞社) 2010 電子出版制作・流通協議会(電流協)設立 2010 トゥ・ディファクト設立(ドコモ、大日本印刷) 2010 TSUTAYA GALAPAGOS設立(CCC、シャープ) 2010 ソニー、Readerを日本で発売 2010 シャープ、GALAPAGOSを発売 2011 ビットウェイ、インテルキャピタルなどがBookLive設立 2011 シャープ、GALAPAGOS端末事業から事実上撤退 2012 楽天、カナダの電子書籍企業、コボを買収 2012 出版デジタル機構設立 2012 コボ、電子書籍サービスを日本で開始、Kobo touchを発売 2012 米アマゾン、日本で電子書籍サービスを開始。Kindle Paperwhite/Kindle Fireシリーズ発売 2013 米アマゾン、Kindle新シリーズを日本で発売、「Kindle連載」を開始 三省(デジ)懇 「デジタル・ネットワーク社会 における出版物の利活用の 推進に関する懇談会」 第三次電子書籍元年 36
  • 37. 三省懇談会報告書(2010年6 月)で提示された「7つの課題」 1. 国内ファイルフォーマット(中間(交換)フォーマット)の共通化に向けた環 境整備(報告書で掲げられた「電子出版日本語フォーマット統一規格会議(仮 称)」の設置・運営を含む。) 2. 書誌情報(MARC等)フォーマットの確立に向けた環境整備(報告書で掲げ られた「電子出版書誌データフォーマット標準化会議(仮称)」の設置・運営 を含む。) 3. メタデータの相互運用性の確保に向けた環境整備 4. 記事、目次等の単位で細分化されたコンテンツ配信等の実現に向けた環境整備 5. 電子出版のアクセシビリティの確保 6. 書店を通じた電子出版と紙の出版物のシナジー効果の発揮 7. その他電子出版の制作・流通の促進に向けた環境整備 37
  • 38. 三省懇談会報告書を受けた 国策プロジェクト(新ICT利活用サービス創出支援事業) プロジェクト名 電子書籍交換フォーマット標準化プロジェクト 代表機関 一般社団法人日本電子書籍出版社協会 EPUB日本語拡張仕様策定 イースト株式会社 次世代書誌情報の共通化に向けた環境整備 社団法人日本書籍出版協会 メタデータ情報基盤構築事業 筑波大学 総費用8億円 次世代電子出版コンテンツID推進プロジェクト アクセシビリティを考慮した電子出版サービス の実現 社団法人日本雑誌協会 一般社団法人 電子出版制作・流通協議会 書店店頭とネットワークでの電子出版の販売を 実現するハイブリッド型電子出版流通の基盤技 電子出版の流通促進のための情報共有クラウド 術の標準化及び実証 の構築と書店店頭での同システムの活用施策プ ロジェクト 株式会社インフォシティ 研究・教育機関における電子ブック利用拡大の ための環境整備 大学共同利用機関法人 情報・システム研究機 構 図書館デジタルコンテンツ流通促進プロジェク ト 日本ユニシス株式会社 財団法人出版文化産業振興財団(JPIC) 38 共同提案組織 学校法人東京電機大学 大日本印刷株式会社 凸版印刷株式会社 慶昌堂印刷株式会社 豊国印刷株式会社 株式会社ボイジャー シャープ株式会社 シャープビジネスコンピュータソフトウェア株 一般社団法人 日本電子出版協会(JEPA) 式会社 アンテナハウス株式会社 一般社団法人日本出版インフラセンター NTTコミュニケーションズ株式会社 株式会社数理計画 インフォコム株式会社 株式会社インフォコム西日本 株式会社ナレッジ・シナジー 合資会社ゼノン ロジカルウェブ株式会社 株式会社ジオ・ブレーン 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 株式会社電通  京セラ丸善システムインテグレーション株式会 株式会社日立コンサルティング 社 日本書店商業組合連合会 ハイブリッドeBookコンソーシアム 日本書店商業組合連合会 社団法人日本出版取次協会 社団法人日本雑誌協会 社団法人日本書籍出版協会 株式会社博報堂 プライマル株式会社 東京大学 千葉大学 京都大学 九州大学 一般社団法人 日本電子出版協会(JEPA) ビジネス支援図書館推進協議会 株式会社ミクプランニング
  • 39. 三省懇談会報告書を受けた 国策プロジェクト(新ICT利活用サー ビス創出支援事業) 「EPUB日本語拡張仕様」以外は、そ の後この事業の成果が活用されている 形跡はなし 「成果」もよく見ると、すでにあった 成果物を事業の成果であるように見せ たものが多い(国家プロジェクトでよ くある話) 39
  • 40. 2年以上更新のない「電子書籍交換 フォーマット標準化会議」のサイト 40
  • 41. 「電子書籍交換フォーマット標準化 会議」の「今後のロードマップ」 41
  • 42. 「電子書籍交換フォーマット」について 当時実務者の間でささやかれていたこと XMDF、ドットブックいずれについても、ソースファイルはHTML/XMLの変種であり、変換の 難易度は高くない(実際、その後ボイジャー社が変換ツールをリリースした)。また、HTML/ XMLであるから、ビデオのβ規格などと違って、近い将来読めなくなることもない。 それをわざわざ第三のフォーマット(交換フォーマット)に変換し、そこから再変換する必要があ るのか。 エラーが起これば、かえって手作業等の処理コストがかかる。実際、実証実験においても、元のレ イアウト等の再現率は79.6%だった。 またEPUBもXHTML(HTML5)であり、XMDF、ドットブックのソースファイルからの変換 は比較的容易(共通規格としての交換フォーマットは要らない) ソースファイルがHTML/XML等のオープンフォーマットで保管されているということは、それ自 体が交換フォーマットとみなせる。そこから別の交換フォーマットにエラーのリスクを冒して変換 する理由がない 市場で実用に供されているフォーマットは絶えず検証され、問題が修正されるが、ユーザーの目に 触れないフォーマットはエラーや要改善点があっても迅速に更新されないおそれがある 変換プログラムで使うための内部的交換フォーマットは必要だが、それこそベンダーの腕の見せ所 42
  • 43. 行政刷新会議「事業仕分け」でのコメント •環境未来都市構想のためであれば予備費でいいのではないか。中身が曖昧 なままの要求は、電子出版のように必要性が不明なものにあえて使われる危 険性がある。 •2020 年までに 6500 億の市場を創出するとしているが、全く具体性が ない。「環境未来都市構想」とは格好良いネーミングだが、具体的な内容が 見えず、当然効果も不明。名前に億単位の予算を請求しているとしか理解で きない。そして 名前 には1円の予算をつけることもできない。 •この手の白紙委任型予算が総務省に他にもないか、財務省は徹底的に調査 すべき。電子書籍システムについても国が金を入れる必要はない。本契約は 取りやめとすべき。 •まったく不要である。このような新規事業に今後国費が投入されることの ないように新規事業立ち上げについてのガイドラインが必要なのではないか (特別法を立法しなければ、このような新規事業を立ち上げられないように すべし)。 43
  • 44. プロジェクトから事業へ 出版社約40億円、官製ファンドから150億円 国費10億円 100万点の電子化 6万点の電子化 約7割のシェアを占めると言われたビ ットウェイを吸収 44
  • 45. 経産省コンテンツ 緊急デジタル化事業 1. 黎明期にある電子書籍市場を活性化する 2. 東北関連情報の発信 3. 被災地域における知へのアクセスの向上 4. 被災地域における新規事業の創出や雇用 を促進し、被災地域の持続的な復興・振 興ならびに我が国全体の経済回復を図る 45
  • 46. 官製事業の成果(緊デジ) 印刷所や制作会社に一定のノウハウ 東北の事業者や本はごく一部。「ダシに使 われた」との思いが 電子書籍を電子化(?)した本が大量に 電子化した本の版元すら公開されず、公費 が適正に使用されたかどうかの検証ができ ない。モラルハザード 46
  • 47. 官製事業の成果(デジ機構) デジタル機構のビットウェイ合併で7 割のシェアを握る「国営」電子取次が 民業圧迫との批判 これでイノベーションが生まれるか、 新規参入が増えるか、がカギ 47
  • 48. 「緊デジ」の教訓 「何を、どのタイミングで(電子化して)市場に投入す るか」の判断はまさに出版社のコア機能 それを手放すプロジェクトにはそもそも矛盾がなかった か? またアメリカの例を見れば、闇雲にバックリストの点数 を増やすことの合理性を検証すべき(米国の大手出版社 はそんなことはやっていない) 必然性のないプロジェクトはサステイナブルでない →デジタル機構で同じことを繰り返さないように 48
  • 49. ビッグ6(5)出版社の 電子書籍タイトル数 English Titles Random House 7358 HarperCollins 9600 Penguin 7169 Hachette 2181 Macmillan 7144 Simon & Schuster 7521 合計 40973 ※amazon.comのadvanced searchでkindle本を検索(2013/11/23)。各出版社配下のインプリントの本 も、概ね親会社名で販売されていることを確認している。PE/RHだけで120ものインプリントがあ るので、全体のタイトル数は、この数倍ある可能性もないではない。 49
  • 50. ビッグ5の電子書籍は なぜこんなに少ないのか? 要するに電子書籍 の大部分は伝統的 出版社が刊行した 本ではないからと 考えるのが妥当 1.8& 1.6& 1.6& 1.4& 1.2& 1.2& 1& 0.8& 0.785& 0.6& 0.4& 0.3&& 0.3&& 0.3&& 0.2& 0& 2010& 2011& 50 2012&
  • 51. ところが、日本では 「電子書籍の普及には米国のように100万 点が必要」という考え方が、いつの間にか 常識のようになっている。 ↑ ここでいう「100万点」は伝統的出版社の 刊行物を意味する。 51
  • 52. 国策電子化の成果の 一端を覗いてみましょう 52
  • 53. 官製事業の成果(緊デジ) http://www.slideshare.net/tomohikohayashi/ss-24315506 53
  • 54. 日米比較 (米国)とにかく民間のリスクで、失 敗を繰り返す (日本)とにかく協議会、コンソーシ アム、アライアンス、会社設立、法改 正、国費投入、記者会見、リリース、 シンポジウム、パワポ資料の山 54
  • 55. 協議会・懇談会の問題点 責任の所在がはっきりしない バズワードに踊らされる 斬新なアイデアなどは出ない。最大公約数的な方針、「悪くもないがよく もない」アイデアが幅を効かせる。意味のない数値目標 予算消化が目的化する 実務家でなく経営者が出席するため、議論はうわすべり、議事はショー化 する 本当に大事なことはトレードシークレットなので誰もいわない 一度もあたったことのない市場予測が根拠。「米国では」と引かれるデー タも怪しい。 儲かるのはパワポを作るコンサルタント、助言する弁護士等 55
  • 56. 日米の法制度観 (米国)競争を促進し、ビジネスを下支 えするもの。不都合があれば変えればい い。企業には愚行権もある (日本)ビジネスの前提となるもの。法 律が未整備だと何もできないかのよう。 また未実現のリスクに対しても政府が責 任を負うかのような家父長主義的視点 56
  • 57. 電子出版権vs総合出版権 海賊版の被害はどれだけあるのか、実証は? その被害に法律改正に伴うコスト追加分は見合うもの なのか(費用便益分析は先進国の立法では常識だが日 本では印象論だけ) 新規参入者への障壁を上げることにならないか 米国含め諸外国で、法律の未整備が電子書籍普及の障 害となっているという証明は?(これまで見てきたよ うに、米国では新規の法的手当なしに発展した) 57
  • 58. 【参考】電子書籍にはコードがない Aというストアに出した本とBというストアに 出した本を同じものだと判定(同定)する方法 がない 現在は手作業で管理 「版」の管理も決定打がない(作り直しが多い ので、これも管理コストを上げる) 58
  • 59. 【参考】電子書籍の書誌は大変 ストアによって書誌の形式がバラバラ しかも、変わることもある 書誌だけですべての情報が網羅されているわけ ではない(セール期限など) 電子書籍の制作よりも、ファイルや書誌の管理 が大変(取引費用) 59
  • 60. 結論 電子書籍のカギを握るのは「イノベーション」。法制度でも量でも ない イノベーションを推進する、または阻害しない政策や制度設計こそ が必要 中でも、取引費用逓減が重要。 電子書籍のID、書誌(表紙、著者 紹介なども含む)、メタデータ、API、検索サービスの標準化を通 じて、電子化にかかる取引費用を下げる。 海賊版退治やDRMが産業新興に資する、という証拠はない(音楽 産業ではこの仮説は放棄された)→電子書籍でも数年後にはDRM フリーになると考えられる。 海賊版よりはるかに使いやすいサービスでしか海賊版には対抗でき ない(これは音楽産業では常識) 60
  • 61. 出典 P4 Photo of SoftBook by jurvetson at Flickr(http://www.flickr.com/photos/ 44124348109@N01/2608962510/in/photolist-4YxBEf) under CC BY 2.0 License Photo of Rocket eBook (http://www.est.co.jp/ks/dish/rocket/rocket.htm) P6 Photo of PRS-500 by Hidae under Creative Commons Attribution-Share Alike 3.0 Unported license P7/P8 iPod photo by Rjcflyer@aol.com under CC-BY-2.5. P7/P8 Bezos photo by by jurvetson on Flickr CC-BY 2.0 P7∼P14の記述はBrad Stone, "The Everything Store: Jeff Bazos and the Age of Amazon"による。 P15 Kindle 1 photo by Jon 'ShakataGaNai' Davis under CC BY-SA 3.0. P15 Sony Readerの2010年までの出荷台数はIDC Press Release (http://www.idc.com/about/ viewpressrelease.jsp? containerId=prUS22737611&sectionId=null&elementId=null&pageType=SYNOPSIS)による。当初タ イトル数はDaily Techによる(http://www.dailytech.com/Sony+Reader+PRS500+Release+Revealed +For+Real/article4340.htm)。 Kindleシリーズの出荷台数は、上述のIDC Press Releaseによる。タイトル数は、The Everything Storeによる。 P24 米司法省資料、欧州連合資料、各種報道から筆者作成 P25/P26 OECD, "E-books: Development and Policy Considerations" P27 (米国)OECD, Ibid. (日本) 公正取引委員会「書籍・雑誌の流通・取引刊行の現状」数値は米国と合わせるため調整した。 P31 David Glogan, "Publishers work on e-book agreements under DOJ settlement", Bookselling this week, Sep 13, 2012. (http://www.bookweb.org/news/publishers-work-e-book-agreementsunder-doj-settlement) 61
  • 62. 出典 P37 総務省「「デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会」報 告の公表」(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/ 02ryutsu02_02000034.html) P38 総務省「電子出版環境整備事業(新ICT利活用サービス創出支援事業)」(http:// www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/ictriyou/shinict.html) P40/41 電子書籍交換フォーマット標準化会議(http://ebformat.jp/) P42 電子書籍交換フォーマット標準化会議「電子書籍交換フォーマット標準化プロジェクト 【調 査報告書】」(http://ebformat.jp/dl/koukan_format_houkoku_2011_05.pdf) P43 事業仕分け第3弾「行政事業レビュー」(http://www.soumu.go.jp/ menu_seisaku/ictseisaku/ictriyou/yubikitasu.html、http:// www.soumu.go.jp/main_content/000103231.pdf) P45 コンテンツ緊急電子化事業特設サイト(http://www.kindigi.jp/)より。 P50 BISG, "Consumer Attitudes Toward E-Book Reading" (http:// www.bisg.org/publications/product.php?p=19)とBowker, "New Books Titles and Editions , 2002-2012" (http://www.bowker.com/assets/downloads/ products/isbn_output_2002_2012.pdf)より P50 コンテンツ緊急電子化事業特設サイトより著者調査・作成 62

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