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2016.12.16 重症患者のストレス潰瘍の予防のためのppiの有効性と安全性:rctの系統的レビューとメタ解析
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2016.12.16 重症患者のストレス潰瘍の予防のためのppiの有効性と安全性:rctの系統的レビューとメタ解析
1.
2.
背景 • ストレス潰瘍は、典型的には胃、食道、または十二指腸に発生 し、ときには消化管出血を引き起こす • 以前の研究では、明らかな消化管出血は重症患者の5〜25%、 臨床的に重要な消化管出血の発生率は1〜4%と報告された •
最近の大規模観察研究では、ICUでの死亡率や滞在期間の延 長に関連する、臨床的に重要な消化管出血の発生率は2.6%と 報告された
3.
背景 • 最近、29件のRCTのメタ解析で、PPIまたはヒスタミン2受容体拮 抗薬(H2RA)での予防は、プラセボまたは予防なしよりも、消化 管出血のリスクが低いことが示された • しかし、2種類の薬剤の相対的な有効性は依然として不明
4.
背景 • PPIはH2RAよりも胃のpHを上昇させ、胃粘膜傷害のリスクを最 小限に抑えることができる • PPIとH2RAを比較した4つのメタ解析のうち、3つはPPIがH2RAよ り優れており、1つはそうでないことを示した •
The Surviving Sepsis Campaignガイドラインでは、リスク因子(人 工呼吸器使用や凝固障害)を有する重症患者のストレス潰瘍 予防を推奨している • 最近の観察研究では、PPIがICUで最も一般的に使用される予 防薬であることが示されている
5.
背景 • しかし、PPIとH2RAの副作用も懸念されている • 最近の大規模後ろ向き観察研究では、重症患者におけるPPIは、 H2RAよりも肺炎やC.difficile感染のリスクが高いことが示唆され た •
しかしこれらは、研究デザインによって制限される
6.
背景 • 最近いくつかのRCTが発表され、バイアスのリスクと精度の両方 に影響を与える可能性がある • 重症患者のストレス潰瘍予防における、PPIとH2RAの有効性と 安全性を比較するため、体系的なレビューとメタ解析を行った •
GRADE (Grading of Recommendations Assessment,Development and Evaluation)を使用した
7.
研究の選択 • 1)研究デザインがRCT • 2)ICUの成人重病患者 •
3)介入群:用量、頻度、期間にかかわらず、PPI(経口または静 注)を投与された • 4)対照群:用量、頻度、期間にかかわらず、H2RA(経口または 静注)を投与された • 5)outcome:臨床的に重要な消化管出血、明らかな上部消化管 出血、肺炎、死亡率、ICU滞在期間、C.difficile感染
8.
方法 • 2012年3月~2015年11月までのMEDLINE、EMBASE、Cochrane Library、ACPJC、International Clinical
Trial Registry Platform (ICTRP)を検索 • Cochrane Collaborationツールを使用してバイアスのリスクを独 自に検討した
9.
方法 • 研究ごとに、シーケンスの生成や隠蔽、outcomeの不完全な データや選択的報告、その他のバイアスについて、バイアスリ スクが低、不明、高と判断した • バイアスの全体的なリスクは、全領域でリスクが低い場合は低、 少なくとも1つの領域で不明かつリスクの高い領域がない場合 は不明、
少なくとも1つの領域で高い場合は高と分類された
10.
方法 • Cochrane Collaborationが提案した方法を用いてNNTを算出 •
臨床的に重要な出血に対しては3%の、明らかな消化管出血に 対しては5%の推定対照群(ACR)の事象率を使用 • 特定の因子が治療効果に影響を及ぼすかを調べるために、バ イアスのリスクの高低、PPI投与経路、PPI投与量でサブグルー プ分析を行った
11.
結果
12.
結果 • 14件(n=1679)で臨床的に重要な消化管出血が報告された • PPIはH2RAと比較して、臨床的に重要な消化管出血リスクの低 下させていた(RR
0.39; 95%CI 0.21, 0.71; P=0.002; I2= 0%;中程 度の信頼) • NNTは55(95%CI 42, 115)
13.
結果
14.
結果 • 17件(n=1897)で明らかな消化管出血が報告された • PPIはH2RAと比較して、明らかな消化管出血のリスクを低下させ ていた(RR
0.48; 95%CI 0.34, 0.66; P<0.0001; I2 = 3%、中程度の 信頼) • NNTは37(95%CI 29, 59)
15.
結果
16.
結果 • 13件(n=1571)で肺炎のリスクが報告された • 肺炎のリスクは群間で有意差はなかった(RR
1.12; 95%CI 0.86, 1.46; P = 0.39; I2 = 2%、信頼性が低い)
17.
結果 • 11件(n=1487)で死亡率が報告された • 死亡率は群間で有意差はなかった(RR
1.05; 95%CI 0.87, 1.27; P = 0.61; I2 = 0%、中程度の信頼)
18.
結果 • 7件(n=744)でICUの滞在期間が報告された • ICU滞在期間は群間で有意差はなかった(MD
-0.38日; 95%CI - 1.49,0.74; P = 0.51; I2 = 30%、信頼性が低い)
19.
結果 • C.difficile感染について報告したRCTはなかった
20.
サブグループ解析 • バイアスのリスク、PPI投与経路、PPI投与頻度それぞれで有意 差はなかった
21.
結果 • abstractとして発表された試験を除いた、臨床的に重要な消化 管出血の感度解析の結果は、一次解析と非常によく似ていた (RR 0.42;
95%CI 0.21,0.82; P = 0.01; I2 = 0%)
22.
結果 • 臨床的に重要な消化管出血のfunnel plotの目視評価は、出版 バイアスの存在を示さなかった •
Egger's testもこの結論を支持した(-0.69; 95%CI -2.44,0.84; P = 0.28)
23.
結果 • 明らかな消化管出血に対してのEgger‘s testは有意だった(-0.87; 95%CI
-1.67、-0.07; P = 0.03) • 死亡率と肺炎に対する出版バイアスは見つからなかった
24.
考察 • この体系的レビューは、PPIがH2RAより優れており、臨床的に重 要で明らかな消化管出血のリスクを低減するというevidenceを 示した • 相対的治療効果は大きく(臨床的に重要な消化管出血では相 対リスクが61%減少)、NNTは55であり、これは1000人につき出 血事象が16回少なくなることを意味する
25.
考察 • ICUでのPPI使用に関連する第一の懸念は、感染、特に肺炎と C.difficile感染のリスクである • 無酸症または長期の酸抑制療法を受けている患者は、胃粘膜 生検で細菌増殖が増加する •
これが重病患者の感染のリスク増加につながるかどうかはま だ不明である
26.
考察 • 今回のメタ解析は、PPIの肺炎のリスク増加を示していない • ICUでの死亡率および滞在期間は有意差がなかった •
C.difficileに対する酸抑制療法の影響は、報告がないため不明
27.
考察 • ある系統的レビューでは、非ICU患者のC.difficile感染と酸抑制 療法との関連を評価していた(OR 1.94;
95%CI 1.37,2.75) • H2RA(OR 1.47; 95%CI 1.06,2.05)よりPPI(OR 2.05; 95%CI 1.47,2.85)の方が関連性が高かったが、有意差なし(P = 0.17) • 3万人以上の大規模後ろ向きコホート研究では、PPIがH2RAより C.difficile感染リスクがわずかに高いと示した (3.4%対2.7%; P = 0.02) • これらの結果は観察デザインやバイアスリスクによって制限さ れるため、確認または反論するためにランダム化試験が必要で ある
28.
考察 • 今回のメタ解析は、結果の汎用性を高めるため適格基準を広く した • 重症患者を幅広く含むにもかかわらず、これらの結果に試験間 で有意な異質性はなかった •
今回、PPIが肺炎または死亡のリスクを増加させず、ストレス潰 瘍の出血を予防するのに有効であることを示した • しかし、いくつかの要因でこれらの結果は慎重な解釈が必要だ としている
29.
考察 • 経腸栄養などの他の因子は、予防的PPIおよびH2RAの有効性 を変える可能性がある • あるRCTでは、重症の熱傷患者で、経腸栄養が胃の血流を増加 させることを示した •
ストレス潰瘍からの出血に対する経腸栄養の効果のみを調べ たRCTは無く、経腸栄養がPPIの効果に影響するかは依然として 不明
30.
考察 • 今回は他のメタ解析よりも多くの試験が含まれており、結果の 精度が向上している • また不足したデータを著者から得て、サブグループ解析を行い 結果の堅牢性を評価した •
GRADEを用いて治療効果の推定値に対する信頼性を評価した ところ、消化管出血と死亡率のevidenceの確実性は中程度だっ たが、肺炎およびICU滞在期間は低だった • Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta- analyses(PRISMA)も遵守した
31.
結論 • 今回のメタ解析では、 PPIは肺炎や死亡率、ICU滞在期間のリス クを増加させることなく、
H2Aよりも重症患者の臨床的に重要か つ明らかな消化管出血のリスクを低下させることを示した • C.difficile感染のリスクに対するこれらの薬剤の影響は、ICUの 環境におけるRCTではまだ調べられていない
Editor's Notes
重症患者におけるストレス潰瘍の予防のためのPPIの有効性と安全性
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