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サービスを使うユーザーを
モデリングしてみた
-偏差値55の同人漫画家編-
こんにちは
私は
サービスの中の人
サービスを語ることは
ドメインを知ること
こうして俺は
ドメインに詳しい人に
憧れるよう
になった
それでですね
今度 (※ 当時 )
漫画にかかわる
仕事するらしい
漫画しかも同人だ
同人
しからば
同人に詳しくならねば
ならぬ
ということで
同人始めました
コミケ
サークル参加で
サークル参加is何
コミケの構造
売る側
↓↑
買う側
これの売る側
1年間やって
完売もしたし
お店で委託販売も
だいたいわかった
同人業界
だいたいわかった
ユーザーモデル化
できるくらいには
ユーザーモデルは
ユーザー像を抽象化して
ユーザーの動きや欲求を
把握しやすくしたもの
今回語るのは
同人作家の
ユーザーモデル
同人作家とは同人漫画を作る側の人
全部語る時間が
ないから1つだけ
同人作家の中で
偏差値55の
ユーザーモデル
その前に
お約束
今回語るのは
私の経験 + 私の聞いた体験 + 公開情報の考察
業務上知り得た秘密については語りません
同人用語は使いません(即売会、頒布、ほか)
!注意!
ここから主観
かなり入ります
同人作家の中で
偏差値55の
ユーザーモデル
偏差値55の同人作家
商業レベルの一歩手前
偏差値60ならマイナー誌連載やジャンプの賞経験者クラスがゴロゴロ
中堅兼業作家 本業会社員 京都在住
28ページ 500円 漫画本が主力
年商150万円 製作 7冊 / 年 年産3,600冊
商業の仕事依頼はそれなりにくる
依頼は半分以上は断る ソシャゲ? lol
(モデルは実在人物3人)
偏差値55の同人作家
モチベーションは
ただ1つ
「本を数多く売りたい」
なぜ本を売りたい?
他者による金銭を対価とした評価
「金を払ってでも貴方の作品が読みたい」
感想も聞ける。差入ももらえる。
最高の承認欲求充足
お金が手に入る(直球)
つまり
悪循環
なぜ多く売りたい?
数多く売れると
多くの人に自分の作品が読んでもらえる
多くの人から感想をもらう事が見込める
執筆活動を制約する2つの変数である
時間と資金のうち片方から解放
お金が手に入る(直球)
つまり販売量の増加
はいいことだらけ
執筆活動は販売数の
増加を志向する
「本が多く売れると嬉しい」
ってどういうこと?
承認欲求の充足
「貴方の作品は金銭を支払って
買うに値する価値がある」
そう考える人が増えたってこと
本が多く売れると
こういう気持ちになる
僕は、好きなものを
描いていていいんだね
pixivのお気に入り、評価点や閲覧数
twitterのRTやfavが伸びる事より
自分の本を売る事で得られる快感は
はるかに大きい
もっと売りたい
もっとほめられたい
初期の頃の絵を描くだけで
満足していた時期
や
pixivに絵を上げ始めてお気に入り数が
伸びて歓喜した時期
とは
完全にマインドセットが変質している
ユーザーフェーズが移行したと
見るべきと思われる
同人イベントで本を売り始めた段階と
印刷費などのコストをペイでき始めた段階
同人ショップで委託販売でき始めた段階で
マインドセットの大きな変質が見られた
同人イベントで作品を売る事が関連
では本を多く売る
ために何をする?
形態:
漫画が最強。イラスト集とか数が出ない
カンヌさんとか短髪天子で一山当てるまで島中だったでしょ?
だからpixivである程度まともに人が描けるようになった人は
 同人イベントデビューを目指して漫画の練習を始める
ジャンル:
強いジャンルには人があつまる。
強いジャンルにいた方が販売数は出しやすい。
また強いジャンルは委託販売の書店審査の難易度が低い。
男性向けなら東方と艦これが鉄板。
同人イベント:
販売数を出すことを考えるのであれば
イベントのカテゴリと規模は最重要
カテゴリは同人誌の原作ジャンルを限定するオンリーと
 限定しないオールジャンルがある。
男性向けで強ジャンルにいる限り、コミケットとコミ1以外の
 オールジャンルに出る意味が薄い。
地域にこだわらず、全国で1,000SP以上の艦これor東方の
 オンリー同人イベントを探し、出て行く形になる。
 ※ 実質 東京or大阪(or福岡) しか選択肢がない
旅費滞在費が4万くらいだが、大型イベントは売れ行きが
 良いので旅費滞在費分は売上と利益で十分ペイする。
スケジュール:
前述の通り製作ペースは200ページ/年
28ページ/冊だと7冊分
初刊行の同人誌を新刊と呼ぶ。
新刊を販売数が伸びるイベントで
 刊行できるようスケジュールする
2015年の刊行スケジュールの例
月 イベント名 ジャンル 冊数 地域
5 コミック1 艦これ 1冊 東京
5 例大祭 東方 1冊 東京
8 夏コミケ 艦これ 2冊 東京
10 秋例大祭 東方 1冊 東京
11 紅楼夢 東方 1冊 大阪
12 冬コミケ 艦これ 1冊 東京
注目すべきは
関西在住なのにほぼ東京遠征
もう1つ重要なのが
認知戦略
認知戦略is何
自分を知らない人に自分の作品を
認知してもらうための戦略
販売数を増やしたい
そのためには作品を買ってくれる
新規客を増やす必要がある
そのためには自分の作品を
新規客に認知させる必要がある
自分の作品の存在を認知して
もらえないと買ってもらえない
どうやって?
クローラー
(好みのジャンルを好みの本を求めて
フラフラ見て回る層のこと)
にたいして訴求する
クローラーは
新着リストやタグから流入する
方法3つ
同人ショップに委託
pixivに絵をあげる
twitterに絵をあげる
twitterかなり有力
特に
#深夜のお絵描き60分一本勝負
ハッシュタグ
自体にフォロワー
がかなりいる
刺さると500RT
いったりする
コストパフォーマンス
twitterはかなり高い
2時間で描いた絵もRTかなりくる
当たると50フォローくらい増える
「60分一本勝負」は
pixivランキング入りと比べて
狙うのに必要なコストが1/10
当たった時のリターンは
twitterの方が大きい
近年の60分落書きブームは
「低コスト高パフォーマンス」
という背景もあるのでは?
とにかく宣伝大事
クローラーはアルファなセグメント
なので、うまく刺さると二次拡散
の効果も期待できる
疑問
商業誌で
デビューに
興味ないの?
できるよ
したよ
結果
1年連載に従事
150ページの単行本
が出た
原稿料 + 印税 = 120万円
単行本刷数1万部未満
配本半分以下?
実売何部だろうね……
要求作業量が多く補うために
アシを投入したために
実収入は同人誌と比べて悪い
マイナー商業誌
大変+儲からない
売れるのは
たとえばセンゴク
初動4万部
メジャー週刊誌
の看板連載
雑誌も単行本も
コンビニ配本
コンビニ配本のメジャー誌の
編集部に持込
プロに師事してレベル上げ
そこからデビューして……
っていうのが王道?
荒川弘が衛藤ヒロユキのアシしていたころの
ガンガンもメジャー誌だったし
週刊誌は兼業で回すことはできない
月刊誌でもきっついのは要求作業量
低拘束量で年産100ページくらいで
なんとかなる掲載媒体の需要
新規媒体だと配本に期待できないけど
そもそもマイナー誌の配本自体が……
メジャー誌で連載デビューするためには
持込 > 受賞 > 研鑽 > アシとしてLvアップ > 読切 > 連載
が王道。同人やpixivは回り道になる
マイナー誌はこのLvアップの部分の育成への投資が超薄い。即戦力重視
今連載狙えるのは一般かエロのマイナー誌
エロのメジャー誌は偏差値65の領域
兼業同人のまま続けるのが人生設計的に現実的
商業誌連載 is Dead
コンビニ配本されない雑誌や単行本は売れない。
立ち読みできないよう縛られているから
人の目に触れない。認知されない。
認知されないからそれ以上伸びる目がない。
そもそも街の書店がオワコンなのでは。
デビューするなら
コンビニ配本の
メジャー雑誌では
メジャー連載の
作家の下でアシ
しつつ同人誌描く
道もあったかも
成年漫画誌 is Dead
上に同じ。
コンビニでも縛られていてほぼ露出がない。
書店扱いも成人向けは縮小の一途。
とにかくネームが通らない。
「駆逐艦をハイエースしてダンケダンケ」が商業誌では通らない。
なんで催眠術が一時期流行ったと思う? 例外は二次元ドリームかな・・・
だからとんがったものがかけずに同じようなネームになり
だからエロい体や構図、演出を描ける能力が求められている。
最後に自己紹介
あんただれ
レベル:
しょくぎょう:
しょうごう:
29
プログラマ
はいぱーれがしー
こーどくりえいた
@shin_semiya
ともうします
なにか質問が
あればこの後に
今日は最後まで
おつきあいいただき
ありがとうございます。
Thanks a lot !

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