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MMORPGで考えるゲームデザイン(2014年改訂版)
 

MMORPGで考えるゲームデザイン(2014年改訂版)

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(株)Aimingの社内勉強会のスピーチで使用したスライドです。公開に当たって画像を削除しております。ご了承ください。 ...

(株)Aimingの社内勉強会のスピーチで使用したスライドです。公開に当たって画像を削除しております。ご了承ください。

・目次
1 MMORPGの成立
 Ultima Online、Ever QuestからWoWまで、MMORPGの成立とゲームシステムの変遷
2 行動のデザイン
 プレイヤーの動線で考える→システムとコンテンツの配置
 時間軸で考える→ゲームの成長曲線
  成長スピードの緩急/プレイタイムからの逆算
3 今日的なMMORPGの形(←2014年版追加)
 今日のスマホのゲームでMMORPGのデザインがどのように生かされているか

・概要
ネイティブアプリのリッチ化や、「剣と魔法のログレス」などのヒットにより、MMORPGや常時接続型のオンラインゲームが再び今日的なテーマとして脚光を浴びています。

そこで、オンラインのゲームデザインのエッセンスが詰まったMMORPGというジャンルを分解し、そのゲームメカニクスを、プレイヤーの動線を軸に再構築していく手法(=Aiming的な発想)を考えてみようと思います。

まずはMMORPG(多人数同時参加型オンラインRPG)成立の歴史をひも解き、ゲームの代表的なメカニクスを振り返り、次に「プレイヤーの行動をデザインする」という切り口で、ゲームシステムがどのように機能するのかを考えます。最後に、現在のスマートフォン向けゲームで、MMORPG的な発想がどのように適用されているかを考えます。

※本スピーチは、2012年2月に社内勉強会で行った「MMORPGで考えるゲームデザイン」の2014年改訂版です。

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    MMORPGで考えるゲームデザイン(2014年改訂版) MMORPGで考えるゲームデザイン(2014年改訂版) Presentation Transcript

    • MMORPGで考える ゲームデザイン (2014年改訂版) 水島 克 2014.6.4 Aiming Inc. ※画像は削除してあります。ご了承ください。
    • まえおき 2012年2月に行った社内勉強会でのスピーチ の2014年改訂版 「企画の仕事」というテーマで、分かりやす い題材としてMMORPGを取り上げた
    • Aimingでの企画の仕事 ゲームの持つ漠然とした「面白い」の要素 →分解して再現可能に PDCAサイクルがどうの言っても、着想がすでに 焼き直しのゲームばっか作ってたら次の時代に行けない 既存の要素の組み合わせによって、 時代に合った新しい価値を作れる
    • なぜMMORPGか? 偉大な先人達がデザインしたジャンルだから 歴史的に、プレイヤー自身がルールを 規定してきたから 「プレイヤーの行動をデザインする」 という普遍的なエッセンスに溢れている ソーシャル/F2P時代の今日的なテーマ
    • 本日の内容 MMORPGのゲームシステムの歴史を 振り返ってみよう 人の行動をデザインするという切り口で、 システムを再構築する方法を考えよう スマホゲームの中に現代的なMMORPGの形 を探してみよう
    • Massively Multiplayer Online Role-Playing Game
    • MMORPGとは… ドラクエのフィールドで数千人、数万人が 「せーの」で遊び始める、みたいなゲーム もう少し言うと、
    • サーバ/クライアント型の構成 すべてがリアルタイムに進行する世界 プレイ時間や内容に対して課金している 戦闘や生産を通じてキャラを成長させる
    • 自由度が高く、ランダムアクセスな マップ構成、クエスト構成 エンディングが無く、ずっと拡張していく そして一番の特徴は、
    • 他人と関わることが デザインに 織り込まれたゲーム
    • ゲームシステム の歴史 Chapter 1
    • 1997 “Ultima Online” 初めて商業的に成功した 現在のMMORPGの原型 『Ultima』シリーズの世界感に 構築されたワールドシミュレータ ゲーム内の社会の一員になり、冒険、戦闘、生産、 建築、経済活動などを行う シームレスマップ スキルシステム ステ振り生産 ゲーム内経済 ハウジング勢力 PK ギルド アバター
    • 1999 “Ever Quest” FPS的な視点を取り入れた 3Dの没入型MMORPG ファンタジー世界で他のプレイヤーと協力し、 クエストなどを通じて冒険することで成長していく 「戦闘」「成長」を中心に据えたゲームデザイン パーティプレイ クラウドコントロール レイド タンク・ヒール・ディール 3Dの没入型世界
    • 敵がプレイヤー個々に対して持つ内部値 「ヘイト」を操作しながら敵の行動を予測 タンク(壁役)ヒール(回復)ディール(攻撃) が役割に応じて行動するパーティプレイ タンク ヒール ダメージディール ♥ クラウドコントロールによる戦闘
    • 三者が等価に他プレイヤーの生死を握る緊張感 敵味方のクラスの組み合わせで役割が微妙に 変わるバリエーションの豊かさ 三者の関係性がスケーラブル→大人数のレイド その後のMMORPGの基本メカニックとなる ヘイトとクラウドコントロールによる戦闘
    • 1996 “Diablo” 2000 “Diablo2” MO式のHack and Slashゲームの開祖 ローグ式のランダム生成ダンジョンに潜り 成長とアイテム収集を繰り返す遊び 特に2ではアイテムのランダムドロップと スキルツリーによるキャラクタービルドで クエストが無くても永久に遊べるゲームを完成 プリフィックス 成長サイクルスキルツリー自動生成マップ
    • 強敵登場→敵を倒す→アイテム入手→  →レベルアップ→さらに強い敵に挑む→… 上記の基本ルーチンに、ドロップ/マップ/ 敵のランダム性を追加し、単調さを回避 マルチプレイによるソーシャル性との 相乗効果で強力なリテンションに ※ちなみにAimingの会議では「(アイテムの)プリフィックス」「スキルツリー」という 単語が頻発しますが、ほとんどこのゲームのものを指します MMORPGのプレイサイクル
    • 1998 “Lineage” 2001 “ Dark Age of Camelot” 攻城戦 勢力戦(RvR)
    • 2004 “World of Warcraft” これまでのゲーム性をミックスした MMORPGジャンルの集大成 史上最大規模のタイトルで、最盛期1200万プレイヤー 完全にクエスト駆動なボリューム感のある構成 2勢力間の戦争がベースの、スポーツライクなPvP 濃厚なプレイ体験のためのMOとMMOのハイブリッド クエスト駆動 スポーツ的PvP MO/MMOのハイブリッド
    • MMORPGのゲームシステムは、 『Ultima Online』と『Ever Quest』から 15年もパラダイムの変化が無い システムだけ見ると理解しやすいジャンル システムだけでゲームを理解したという 勘違いに陥りやすい
    • MMORPGを差別化するのはシステムでなく 「プレイヤーの行動の流れ」 細部のシステムより、プレイヤーの行動を 大きく構造的に捉える必要がある →プレイヤーの行動を軸に システムやコンテンツを配置する発想
    • プレイヤーの 行動をデザイン Chapter 2
    • Massively Multiplayer Online Role-Playing Game
    • ドラクエのフィールドで数千人、数万人が 「せーの」で遊び始めると、何が起こる?
    • 「仲間をたくさん作って、みんなと  活動したい」(20歳 女性 学生) 「だれよりも強くなってみんなを  殺しまくる!」(35歳 男性 ニート) 「いちばん強いモンスターを最初に倒したい」 (40歳、男性、会社員)
    • 「みんなが見たこと無いような素敵な家を  つくりたい」(30歳 女性 主婦) 「新しくはじめた、困っている人を  助けてあげたい」(10歳 男性 小学生) 「カッコいい高級なアーマーをみせびらかし  たい!」(35歳 男性 ニート)
    • 協力と競争 がはじまる
    • 協力:他のプレイヤーを助けたい/助けて欲 しい/仲間と特別な体験を共有したい/固有 の組織に属したい 競争:他のプレイヤーより強くなりたい/特 別なアイテムを持ちたい/尊敬されたい/所 属以外の組織を排除したい →人間本来の社会的欲求が一気に発現
    • MMORPGの成功とは 協力と競争ができるだけ長く続き、 安定した運営が永続的に続くこと プレイヤー同士の直接的/間接的な コミュニケーションがプレイ動機を生む 追加システムやコンテンツよりも 仲間からの一声が大きなリテンション
    • 協力と競争を生む3要素 成長:キャラクターの成長で達成感を得る/ プレイヤーの成長で遊びの幅が深まる 収集:次々と欲しいものが出てきて、それを 入手するために行動させる コミュニティ:成長と収集で得たものを 共有したり、見せびらかしたりする場
    • 企画の初期段階でゲームの構造をつかみ プレイヤーの行動をデザインする手法 1. プレイヤー動線で考える →コミュニティのスケールと  システムの配置図を用いたデザイン 2. 時間軸で考える →ゲームの成長曲線を用いたデザイン
    • SINGLE PLAYER MULTI PLAYER プレイヤー動線で考える
    • 最初は誰でも一人ではじめる シングル→パーティ→レイドと、より大きい コミュニティへと誘導する 様々なゲームシステムやコンテンツを 誘導するように配置
    • SINGLE PLAY PARTY PLAY RAID PLAY ランダムドロップ 成長サイクル シームレスマップスキルシステム ステータス振り 生産 ゲーム内経済 ハウジング 勢力 PK ギルド 攻城戦 勢力戦 クエスト駆動 スポーツ的PvP MOとMMOのハイブリッド クラウドコントロール レイド タンク・ヒール・ディール
    • 同じシステムを作ったとしても、プレイヤー 動線のデザインでゲームの良し悪しが決まる 良いデザイン:プレイヤーも気づかないう ちにプレイスタイルの遷移が自然に起こる 悪いデザイン:プレイスタイルの遷移が起 こるタイミングがゲーム離脱のポイントに
    • 時間軸で考える 成長スピードの緩急 プレイ時間からリソース配置を逆算
    • ↑レベルあたりの プレイ時間 プレイヤーキャラクターのレベル→ 成長スピードの緩急 Lv10 Lv30 Lv40 一般的なMMORPGの成長曲線
    • レベル毎のプレイ時間の指針 高レベルになるほど精度は下がるが、 大まかな目安になる プレイヤーレベル毎のプレイ時間=  レベル毎の戦闘時間+レベル毎の移動時間+その他時間 レベル毎の戦闘時間 ≒ 1回の攻撃間隔x該当レベルの敵を死ぬまで殴る回数x レベルアップに必要な敵の個体数 レベル毎の移動時間 ≒ (クエストの受注先と目的地の距離÷プレイヤーの移動 速度)xクエスト個数
    • ↑レベルあたりの プレイ時間 プレイヤーキャラクターのレベル→ 成長スピードの緩急 1∼10:超サクサク! 11∼30:まだ伸び盛り! 31∼40:ちょっとしんどい… 41∼50:成長だけが人生じゃねーし 一般的なMMORPGの成長曲線
    • 序盤は「収集」と「成長」のサイクルを速く してゲームへ引き込む 中盤以降は成長を鈍化させ、 長期的な目的へシフト 消費型から繰り返し型のコンテンツへ
    • 時間軸で考える 成長スピードの緩急 プレイ時間からリソース配置を逆算
    • ↑レベルあたりの プレイ時間 プレイヤーキャラクターのレベル→ プレイ時間からリソース配置を逆算 Single Play Party Play Raid Play 成長曲線とプレイスタイルの変遷
    • JRPGのプレイ時間:40∼50時間 MMORPGのプレイ時間:500時間∼ 1日3時間プレイで6ヶ月→540時間 予算的に540時間分のクエストは作れない! せいぜい100時間分くらい?
    • ↑レベルあたりの プレイ時間 プレイヤーキャラクターのレベル→ Single Play Quest Party Play PvP, Dungeon Raid Play RvR, Raid Boss消費型コンテンツ エンド コンテンツ プレイ時間からリソース配置を逆算 成長曲線とプレイスタイルの変遷
    • 序盤にリソースを投入しすぎると後半で不足 序盤にリソースが少ないと離脱の原因に →ゲームデザイナのジレンマ 中盤からは、PvPなどの消費型でない コンテンツにシフトできるのが理想
    • 実際のゲームの例
    • ゲーム“W”の成長曲線 レベルキャップまで 直線に近い ↑レベルアップに 必要経な験値 プレイヤーキャラクターのレベル→ 数値がせいぜい4倍程度
    • グラフはほぼ一次曲線(直線) クエストが潤沢にあるため、高レベルになって もレベル毎のプレイ時間が変わらない 中盤からエンドコンテンツにシフトさせている ため、すんなりレベルキャップに到達させる 横綱相撲のバランシング
    • ゲーム“L”の成長曲線 数値がハイパーインフレ!! ↑レベルアップに 必要経な験値 プレイヤーキャラクターのレベル→ ほとんど 垂直!!
    • グラフは二次曲線 クエストの量はそれほど多くない エンドコンテンツに参加する前後から 成長が極端に遅くなる作り プレイヤーの忠誠度が高く相当マゾいバランス コミュニティ内での階級が重要なゲーム要素で レベルが横並びになるのを避けるデザイン
    • ゲームのコンセプトや開発規模にあわせた形で 「協力」と「競争」へとプレイヤーを導く形が デザインされている
    • 「競争」と「協力」を発生させるために システムを有効に配置 ゲームを構造的に捉えるために、 プレイヤー動線と成長曲線で考えるとよい 「収集」「成長」→「コミュニティ」という プレイスタイルのシフトが重要
    • これでばっちり……?
    • 重厚で巨大なゲーム→ ライトなゲーム デスクトップ→ ポータブルデバイス 常時接続→非同期接続 長時間プレイ→ 短時間 x 回数プレイ 濃密なコミュニティ→ライトな関係性 押し寄せる軽量化の波!
    • 現代的な MMORPGの形 Chapter 3
    • そのまえに…
    • 2年4ヶ月前の同スピーチ3章で話した 「MMORPGの展望」の的中度を 10点満点で自己採点!(自省の念も込めて…)  1. 逆転するマルチプラットフォーム  2. マルチタッチインターフェースに最適化  3. ケータイソーシャルのMMORPG化  4. コミュニティのライト化
    • 参考:当時と今のトップセールス(App Annieより) ←22001122//22//11 22001144//55//2200→
    • 逆転する マルチプラットフォーム 大作MMORPGのオマケとしてのスマホ →スマホのMMORPGがブラウザに移植 「外出先でソロ、帰宅してレイド」など、 プレイスタイルをデザインに落とし込む “Order of Chaos” “Star Legends” 2012年2月時点の展望①
    • 採点① スマートフォンからそれ以外のプラットフォ ームへ展開するタイトルは少ない 『ワンダーフリック』など意欲的なタイトル はあるが、まだ大きな成果は出ていない 2点
    • マルチタッチ インターフェースに最適化 バーチャルパッド→タッチスクリーン最適化 シンプルなゲームで「成長と収集」を表現 “Dungeon Raid” “Heroes vs Monsters” 2012年2月時点の展望②
    • 採点② 脱バーチャルパッド、タッチインターフェー スへの最適化、縦持ちゲーム増加の傾向 『Dungeon Raid』に可能性は感じていたが パズドラの形までは予想できなかった… 5点
    • ケータイ ソーシャルのMMORPG化 非同期とリアルタイムのハイブリッド型 ケータイソーシャルの登場   →MMORPG化がさらに進む “ドラゴンリーグ” “大連携オーディンバトル” 2012年2月時点の展望③
    • 採点③ リアルタイムバトル系のドラゴンリーグ・ク ローンは大量に出たが、本家以外は沈静化 パズドラのヒットによる、非同期型のゲーム の隆盛は予想外 3点
    • コミュニティ のライト化 ソフィスティケートされたコミュニティ動線 →偶然性と多発性を重視した動線 “ドラゴンコレクション” “Rift” 2012年2月時点の展望④
    • 採点④ 『FF14』のコンテンツファインダーや 『Diablo3』のマッチングなど、大作のコミ ュニティ政策は時代に合わせてライトに進化 偶然・多発マッチングは熱いテーマ 7点
    • 意外と当たってなかったw
    • 現代的な MMORPGの形 Chapter 3
    • 時代と共に大規模なハイスペックMMORPGの タイトル数は減少 →プレイヤーの趣向やプレイスタイルが細分化 →コンソール/デスクトップからモバイルへ ただし、MMORPGのエッセンス自体は近年の スマホのヒットタイトルに多く見られる
    • 進捗の可視化で競争を促進 『パズル&ドラゴンズ』 友達のキャラを借りる仕様はMMO RPGのパーティやロビーの変化形 『キャンディークラッシュサーガ』 SNSを使いコミュニティを外部化。友 達のフィードがリテンションを生む パーティプレイアバター
    • ハウジング/生産 『クラッシュ・オブ・クラン』 Ultima Online的なハウジングと ストラテジーを高度に融合 『ヘイ・デイ』 ハウジング/生産に特化したソーシャ ルゲームの発展系。経済の要素も ハウジング ゲーム内経済生産
    • リアルタイム協力/対人戦 『ドラゴンポーカー』 短時間のマッチングでMMORPGの同 接風パーティプレイをライトに表現 『QuizUp』 マッチング∼試合終了までが超短時間 に完結する1vs1のクイズ対人戦 スポーツ的PvPパーティプレイ
    • フルスケールのMMORPG 『剣と魔法のログレス いにしえの女神』 フルスケールのMMORPGのシステム やUIを大胆に簡略化し、スマートフォ ンに最適化できた初めての例。今後の スマホMMORPGのひな形 パーティプレイ ランダムドロップ 成長サイクル クエスト駆動 MOとMMOのハイブリッド
    • まとめ
    • MMORPGのゲームシステムの歴史(1章) や成立を理解することは大事 単に理解するだけでなく、プレイヤーの行動 をデザイン(2章)する視点で再構築しよう 現代的なMMORPGの形(3章)は、近年の スマホタイトルにもけっこうある
    • こうした発想の中に未来のゲームのヒントがある (=Aimingっぽい考え方)