東日本大震災時の石油不足問題の実態と石油ロジスティクス戦略
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東日本大震災時の石油不足問題の実態と石油ロジスティクス戦略

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東日本大震災において,東北地方では深刻なガソリン不足問題が発生しました.本研究は,その「本質的な原因」を明らかにし「今後の震災対策」を...

東日本大震災において,東北地方では深刻なガソリン不足問題が発生しました.本研究は,その「本質的な原因」を明らかにし「今後の震災対策」を提案するものです.以下が主な主張です.
・ガソリン不足の原因は「一部の消費者の買い溜め」などではなく,供給サイドにあった.
・2011年3月17日の海江田大臣の「1日に2万kLの石油製品を西日本から転送」発言は,その10分1しか実現しなかった.
・ガソリン不足問題の本質は「ガソリンを購入できない人」が日々増えて行くことにある.そのため,「1日あたりの供給量(フロー)」だけでは,その本質が見えず,根本的な解決も不可能.
・日本海側港湾(青森,秋田,酒田)では,3/15 (震災から4日後)からガソリン移入が再開されている
・上記3港湾では 3/22 (震災から11日後)に,約 8, 600 kL のガソリンを受け入れている
・もし,上記の 8,600kL のガソリンを,3/15 の移入再開時から1〜2週間つづけて受け入れていればガソリン不足は大幅に軽減できた.
・このガソリン不足軽減による経済効果は数千億円と推計できる.

※ 一部,数値が違っていたのを修正しました.

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東日本大震災時の石油不足問題の実態と石油ロジスティクス戦略 東日本大震災時の石油不足問題の実態と石油ロジスティクス戦略 Presentation Transcript

  • 震災時のガソリン不足問題の実態: 需給ギャップの空間分布推計と政策提言 震災時のガソリン不足問題の実態: 需給ギャップの空間分布推計と政策提言 東日本大震災ロジスティクス調査報告会 「東日本大震災後の交通と輸送の実態」 2014 年 3 月 27 日 土木計画学研究委員会 ワンデイセミナー No.70 「東日本大震災後の交通と輸送:仙台からの報告」 2014 年 3 月 28 日 赤松 隆 1 ・長江 剛志 2 ・山口 裕通 2 ・大澤 実 1 (1 東北大学大学院 情報科学研究科, 2 東北大学大学院 工学研究科)
  • 研究の背景 (1)研究の背景 (1) 3.11 震災後,深刻な石油不足が発生 広範囲:東北〜関東地方 長期間:東北地方では 約 1 ヶ月間 東北地域の交通・物流への多大な影響 太平洋沿岸 (津波被災地): 救援活動や緊急支援物資供給に対する大きな障害 内陸部 (e.g. 仙台都市圏): 通勤が困難に (多くの社会経済活動が長期停止/停滞) 物流機能の低下 (製造業サプライチェーン問題の一因) ⇒ 多大な (数千億円規模の) 経済的損失 が発生 2 / 43
  • 研究の背景 (2)研究の背景 (2) 石油燃料不足発生の “直接的原因” 仙台製油所および関東の製油所の被災 問題の “本質的原因” は? どのような対策 (e.g., 石油輸送) が実施されたのか? その結果,石油不足状況は,どのように進展したのか? なぜ,石油不足状況が 1 ヶ月間も続いたのか? 上記疑問に答える情報は公開/共有されていない 政府・石油連盟による発表は,断片的な情報のみ ⇒ 多くの人が,原因を “消費者の買い溜め行動” と誤解 ⇒ 今後のための適切な震災対策が立案されない! 3 / 43
  • 研究の目的研究の目的 震災後の東北地域で生じた石油不足問題に対する 定量的な俯瞰図および今後の対策への示唆を提供 1. 東北地域全体での基礎的な実態分析 震災後に実施された石油輸送数量・パターン 石油不足状況の時間的推移 石油不足の長期化メカニズム 2. 定量的モデルに基づく時空間分析と政策提言 市町村別の需給ギャップの推移を推計 本来可能であった対策とその評価 4 / 43
  • 分析対象と予備知識 石油輸送の実態把握に利用可能なデータ 分析対象と予備知識 石油輸送の実態把握に利用可能なデータ 石油製品の供給フロー 製油所 油槽所 GS 等 小売店 東北地域 消費者 タンクローリーによる輸送 船舶・鉄道による大量輸送 “石油製品 輸送 OD データ” (日毎集計・油槽所/製油所別) 国土交通省・各地方整備局 港湾管理者,全国製油所 “石油製品 販売実績データ” (月毎集計・県別) 経済産業省 収集データ 分析対象 油種:ガソリン,軽油,灯油の 3 油種 地域:福島県を除く,東北 5 県 5 / 43
  • 分析対象と予備知識 日本の製油所とその処理能力 分析対象と予備知識 日本の製油所とその処理能力 5 つの製油所エリア 北海道エリア 2 ヶ所 (7.4%) 東北エリア 1 ヶ所 (3.3%) 関東エリア 8 ヶ所 (39.9%) 東海エリア 3 ヶ所 (11.4%) 西日本エリア 11 ヶ所 (38.0%) 関東と西日本エリアに集中 東北エリアは仙台製油所 1 箇所のみ 6 / 43
  • 分析対象と予備知識 震災後の 日本の製油所 の被害状況 分析対象と予備知識 震災後の 日本の製油所 の被害状況 稼働停止した製油所 東北地方は,長期間 原油精製能力を失った 東北:1 ヶ所中 1 ヶ所稼働停止 関東:8 ヶ所中 2 ヶ所稼働停止 (震災直後に 5 ヶ所停止, 10 日以内に 3 ヶ所再開) 日本全体での供給能力 稼働停止した製油所の供給能力シェア: 約 10% 震災前の日本全体の製油所稼働率: 約 80% ⇒ 震災後も,十分な供給余力が存在した 7 / 43
  • 分析対象と予備知識 震災後の 日本の製油所 の被害状況 分析対象と予備知識 震災後の 日本の製油所 の被害状況 稼働停止した製油所 東北地方は,長期間 原油精製能力を失った 東北:1 ヶ所中 1 ヶ所稼働停止 関東:8 ヶ所中 2 ヶ所稼働停止 (震災直後に 5 ヶ所停止, 10 日以内に 3 ヶ所再開) 日本全体での供給能力 ⇒ 製油所の被災 (稼働停止) は,東北地域での 石油不足問題の本質的な原因ではなかった 7 / 43
  • 分析対象と予備知識 震災後の 東北の製油所 の被害状況 分析対象と予備知識 震災後の 東北の製油所 の被害状況 小名浜 (3.29) () 内は入荷再開日 仙台・塩釜 (3.21) 盛岡 (3.18) 八戸 (3.25) 青森 (3.15) 秋田 (3.14) 酒田 (3.14) 新潟 (3.11) 3.11〜3.13: 全油槽所 (新潟を除く) で入荷不可. 3.14〜3.21: 太平洋側の油槽所は入荷不可. 日本海側のみ入荷可能 3.22〜: 太平洋側の油槽所も徐々に復旧. 8 / 43
  • 東北地域 (3.11 後) の需要・供給実績東北地域 (3.11 後) の需要・供給実績 3.11 後に東北地域で生じた石油製品不足の本質的な原因は? どのような対策 (e.g., 石油輸送) が実施されたのか? 石油製品不足の本質的な原因は圧倒的な供給不足 ⇒ “消費者の買い溜め行動説” は全くの誤り 発災後 1 ヶ月間の東北地域への石油製品輸送量は,前月 に比べ約 2/3 に減少 発災後 2 週間に東北地域に輸送されたガソリンは平常時 需要のわずか 1/3 に過ぎなかった 9 / 43
  • 東北地域 (3.11 後) の需要・供給実績 石油製品の販売実績データ 東北地域 (3.11 後) の需要・供給実績 石油製品の販売実績データ 東北各県での石油製品の販売量 (3/11〜3/31) 宮城 (福島) 岩手 山形 青森 秋田 0 50 100 150 200 47% 49% 61% 73% 80% 82% 103kL 2010 年 3 月 2011 年 3 月 全県で販売量が大きく減少 (東北 6 県で前年の 62%) 特に,宮城県・福島県では前年の半分以下 10 / 43
  • 東北地域 (3.11 後) の需要・供給実績 石油製品の販売実績データ 東北地域 (3.11 後) の需要・供給実績 石油製品の販売実績データ 東北各県での石油製品の販売量 (3/11〜3/31) 宮城 (福島) 岩手 山形 青森 秋田 0 50 100 150 200 47% 49% 61% 73% 80% 82% 103kL 2010 年 3 月 2011 年 3 月 ⇒ 東北地域での石油不足の主要因を “消費者の 買い溜め行動” に帰することは,明らかな誤り!! 10 / 43
  • 東北地域 (3.11 後) の需要・供給実績 全国の製油所からの出荷実績データ 東北地域 (3.11 後) の需要・供給実績 全国の製油所からの出荷実績データ 各エリア製油所から東北地域への石油製品輸送量 (発災前後 1 ヶ月間の比較) 北海道 関東 東海 西日本 その他 合計 発災前 235 367 21 42 33 698 発災後 303 137 31 56 4 530 増減量 68 -230 10 14 -29 -168 (単位:103 kL) 東北地域全体への輸送量は発災前の約 2/3 に減少 関東からは約 1/3 に減少,北海道からは大きく増加 11 / 43
  • 東北地域 (3.11 後) の需要・供給実績 全国の製油所からの出荷実績データ 東北地域 (3.11 後) の需要・供給実績 全国の製油所からの出荷実績データ 各エリア製油所から東北地域への石油製品輸送量 (発災前後 1 ヶ月間の比較) 北海道 関東 東海 西日本 その他 合計 発災前 235 367 21 42 33 698 発災後 303 137 31 56 4 530 増減量 68 -230 10 14 -29 -168 (単位:103 kL) 経産省発表 (2011.3.17):「西日本から 2 万 kL / 日を転送」 しかし,実際の西日本からの輸送量は,宣言の 1/10!! 11 / 43
  • 東北地域 (3.11 後) の需要・供給実績 東北の油槽所への入荷実績データ 東北地域 (3.11 後) の需要・供給実績 東北の油槽所への入荷実績データ 東北地域の油槽所へのガソリン入荷量 (週毎) の推移 3/12〜 3/19〜 3/26〜 4/2〜 4/9〜 0 20 40 60 68 80 平常時の週間 ガソリン需要 103kL 酒田 秋田 青森 八戸 仙台塩釜 日本海側 太平洋側 発災後 2 週間の東北地域への輸送量は平常時需要の約 1/3 この 2 週間は,ほぼ日本海側港湾のみ稼働 12 / 43
  • 東北地域 (3.11 後) の需要・供給実績 東北の油槽所への入荷実績データ 東北地域 (3.11 後) の需要・供給実績 東北の油槽所への入荷実績データ 東北地域の油槽所へのガソリン入荷量 (週毎) の推移 3/12〜 3/19〜 3/26〜 4/2〜 4/9〜 0 20 40 60 68 80 平常時の週間 ガソリン需要 103kL 酒田 秋田 青森 八戸 仙台塩釜 日本海側 太平洋側 ⇒ 東北地域全体への供給は,太平洋側港湾の再開 (震災後 3 週目以降) まで全く不十分であった 12 / 43
  • 東北地域全体での需給ギャップ分析東北地域全体での需給ギャップ分析 なぜ,石油不足状況が 1 ヶ月間も続いたのか? 2 週間の供給不足により累積需要が累積供給を上回り続 け,待機需要が大きく積みあがった この待機需要の解消には発災後 1 ヶ月を要した その間に 1 週間分 (平常時換算) の需要 (経済活動) が消失 した 13 / 43
  • 東北地域全体での需給ギャップ分析 東北地域への石油製品移入量 (flow) 東北地域全体での需給ギャップ分析 東北地域への石油製品移入量 (flow) 41%53% 65% 85% 97%98%98% 107% 109% 113% 112% 108%111% 125% 97% 91% 79% 75% 47% 99% 108% 97% 92% 87% 92% 81% 88% 87% 82%82% 78% 94% 106% 38% 51% 47% 62% 66% 70% 74% 97% 82%84% 107% 97%100% 93% 92% 103% 97% 105% 84% 108% 103% 89% 105% 95% 115% 107% 85% 103% 103% 104% 101% 85% 86% 39% 43% 39%41% 57% 60% 63% 69% 69% 88% 103% 86% 107%111% 92% 109% 112% 101% 45% 92% 80% 91% 76% 92% 117% 48% 43%47% 51% 52% 57% 36% 63% 39% 49% 51% 64% 76%78%80% 91% 88% 97% 108% 98%107% 112% 94% 100% 94% 91% 56% 99% 98% 93% 90% 91% 105% 78% 74% 79% 78% 78% 77% 74% 88% 20% 40% 60% 80% 100% 120% 140% 3/18(金) 3/19(土) 3/20(日) 3/21(月) 3/22(火) 3/23(水) 3/24(木) 3/25(金) 3/26(土) 3/27(日) 3/28(月) 3/29(火) 3/30(水) 3/31(木) 4/1(金) 4/2(土) 4/3(日) 4/4(月) 4/5(火) 4/6(水) 4/7(木) 4/8(金) 4/9(土) 4/10(日) 4/11(月) 4/12(火) 4/13(水) 4/14(木) 4/15(金) 4/16(土) 4/17(日) 4/18(月) 4/19(火) 4/20(水) 4/21(木) 4/22(金) 4/23(土) 4/24(日) 4/25(月) 青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県の元売り系列SSへの出荷量 (単位:%) 東北地方への石油製品の出荷量(昨年比) 軽油 ガソリン 灯油 (祝日) 平常時水準 100% 80% 60% 40% 3/18 3/25 4/01 4/08 4/15 4/22 内閣府・被災者 生活支援チーム HP より 14 / 43
  • 東北地域全体での需給ギャップ分析 東北地域への石油製品移入量 (flow) 東北地域全体での需給ギャップ分析 東北地域への石油製品移入量 (flow) 41%53% 65% 85% 97%98%98% 107% 109% 113% 112% 108%111% 125% 97% 91% 79% 75% 47% 99% 108% 97% 92% 87% 92% 81% 88% 87% 82%82% 78% 94% 106% 38% 51% 47% 62% 66% 70% 74% 97% 82%84% 107% 97%100% 93% 92% 103% 97% 105% 84% 108% 103% 89% 105% 95% 115% 107% 85% 103% 103% 104% 101% 85% 86% 39% 43% 39%41% 57% 60% 63% 69% 69% 88% 103% 86% 107%111% 92% 109% 112% 101% 45% 92% 80% 91% 76% 92% 117% 48% 43%47% 51% 52% 57% 36% 63% 39% 49% 51% 64% 76%78%80% 91% 88% 97% 108% 98%107% 112% 94% 100% 94% 91% 56% 99% 98% 93% 90% 91% 105% 78% 74% 79% 78% 78% 77% 74% 88% 20% 40% 60% 80% 100% 120% 140% 3/18(金) 3/19(土) 3/20(日) 3/21(月) 3/22(火) 3/23(水) 3/24(木) 3/25(金) 3/26(土) 3/27(日) 3/28(月) 3/29(火) 3/30(水) 3/31(木) 4/1(金) 4/2(土) 4/3(日) 4/4(月) 4/5(火) 4/6(水) 4/7(木) 4/8(金) 4/9(土) 4/10(日) 4/11(月) 4/12(火) 4/13(水) 4/14(木) 4/15(金) 4/16(土) 4/17(日) 4/18(月) 4/19(火) 4/20(水) 4/21(木) 4/22(金) 4/23(土) 4/24(日) 4/25(月) 青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県の元売り系列SSへの出荷量 (単位:%) 東北地方への石油製品の出荷量(昨年比) 軽油 ガソリン 灯油 (祝日) 平常時水準 100% 80% 60% 40% 3/18 3/25 4/01 4/08 4/15 4/22 内閣府・被災者 生活支援チーム HP より ガソリン供給量は 3 月 24 日に 98%レベルまで回復 ⇒ ガソリン不足は震災後 2 週間で解消した??? 14 / 43
  • 東北地域全体での需給ギャップ分析 累積潜在需要と累積供給量 (stock) 東北地域全体での需給ギャップ分析 累積潜在需要と累積供給量 (stock) ガソリンの需要と供給の累積図による表現 3/11 18 25 4/1 3 0 50 100 150 200 250 累積潜在需要量 (=前年同期の需要実績) 累積量(103kL) 累積供給量 (=震災後の輸送実績) 累積潜在需要に対して累積供給は不足し続ける ⇒ 消費者は潜在需要の一部をあきらめた (“消失需要” が発生) 15 / 43
  • 東北地域全体での需給ギャップ分析 実現需要と 消失需要量 東北地域全体での需給ギャップ分析 実現需要と 消失需要量 ガソリン不足解消日を 4 月 3 日と仮定すると… 3/11 18 25 4/1 3 0 50 100 150 200 250 潜在需要 実現需要 供給 消失需要 (7 日分) 累積量(103kL) 累積需要 =累積供給 消失需要量は潜在需要 (平常時換算) 7 日分 ⇒ 東北全体で,約 1 週間の社会・経済活動に 相当する経済的価値が失われた 16 / 43
  • 東北地域全体での需給ギャップ分析 待機需要 と石油不足解消の遅れ 東北地域全体での需給ギャップ分析 待機需要 と石油不足解消の遅れ 待機需要と待ち時間 3/11 18 0 50 100 需要 > 供給 待機需要 待ち時間累積量(103kL) 発災後 2 週間の供給不足は,膨大な需要の待ち行列 (待機需要) を引き起こした ⇒ この待機需要の解消に発災後約 4 週間を要した: これが,石油不足問題長期化の理由 17 / 43
  • 東北地域全体での基本分析のまとめ東北地域全体での基本分析のまとめ 東北地域での石油不足問題長期化の基本的原因は, 被災状況に応じた石油輸送数量/パターンの調整に 失敗し,圧倒的な供給不足が続いたことにある: “消費者の買い溜め行動説” は全くの誤り 発災後 2 週間に東北地域に輸送されたガソリンは 平常時需要量のわずか 1/3 に過ぎなかった 日本海側港湾から太平洋側への転送量も不十分だった 2 週間の供給不足により累積需要が累積供給を上回り続け, 待機需要が大きく積みあがった この待機需要の解消には発災後 1 ヶ月を要し,その間に 1 週間分 (平常時換算) の需要 (経済活動) が消失した 18 / 43
  • 定量的モデルに基づく時空間分析と政策提言定量的モデルに基づく時空間分析と政策提言 ガソリン不足は市町村ごとにどの程度ちがっていたのか? 震災後,各市町村のガソリン不足は日々どのように変化した のか? • 太平洋側 (岩手・宮城) の消失需要は,日本海側 (青森・秋 田・山形) の約 4 倍. • 日本海側のガソリン不足は震災 10 日後でほぼ解消した. • 宮城県や岩手沿岸部の一部の市町村では,震災 3 週間後 でもガソリン不足が解消されなかった. 19 / 43
  • 推計モデル (1)推計モデル (1) モデルの枠組 推計対象期間:2011 年 3 月 12 日 (t = 1)〜4 月 3 日 (t = 23) の 23 時点 (時点間隔 ∆t = 1日) 輸送起点:東北地方の港湾油槽所 (青森,秋田,酒田,八戸, 仙台塩釜)+鉄道油槽所 (盛岡) 輸送終点:東北地方の 165 市町村 (山形の一部と福島を除く) 20 / 43
  • 推計モデル (2)推計モデル (2) 各市町村のガソリン需要ダイナミクス 各時点末における実現需要 (ストック) の変化を差分方程式で 表現. 時点 t の実現需要 = 時点 t − 1 の実現需要 × 1 − 消失率 前日からの繰り越し + 時点 t の潜在需要フロー − 時点 t の供給フロー ∆t 当日の増分 各時点の潜在需要フローは観測データから入力 各時点の供給フローはガソリン配分モデルにより決定. 消失率パラメータ β は後で推計. 21 / 43
  • 推計モデル (3)推計モデル (3) 各油槽所から各市町村へのガソリン配分 (供給フロー) 発災後しばらくの間 (後で推計) は SS などに残る在庫を供給 源とし,その後は油槽所への移入を供給源とすると仮定. ある時点に各油槽所に移入したガソリンは,その時点内に各 市町村に輸送されると仮定. 輸送業者は「需給ギャップの市町村間の格差を埋めつつ費用 を最小化」を目的とする,と仮定 →凸計画問題として定式化,MATLAB のソルバーで求解 需給ギャップの平滑さの輸送費用に対する重みを平滑度パラ メータ θ で表し,後で推計. 22 / 43
  • 推計に用いたデータ推計に用いたデータ 利用可能なデータ データ名 期間 データ単位 (a) ガソリン販売量 2010 年 3 月〜4 月 月次,県ごと (b) ガソリン販売量 2011 年 3 月〜4 月 月次,県ごと (c) 油槽所への ガソリン移入量 2011 年 3 月 12 日 〜4 月 14 日 日次,油槽所ごと (d) 市町村の人口 2010 年 市町村ごと モデル入力 各市町村の潜在需要フロー:(a), (d) 各油槽所への移入フロー:(c) 油槽所から市町村への輸送費用:最短経路の所要時間 在庫を供給源とする期間:(b),(c) 23 / 43
  • パラメータ推計パラメータ推計 「4 月 3 日に東北地方全体で需要不足が解消する」と仮定 4 月 3 日で東北全体での累積供給量と累積実現需要量 (=潜在 需要と消失需要の差) が一致するように消失率 β を決定. 消失率 β を与件として,2011 年 3 月の県別販売実績に最も よく当て嵌るように平滑度 θ を決定. 県 (k) 販売実績 (Zk) kL 推定販売量 (Sk) kL 相対誤差 ( k) 青森 80,666 80,676 0.01% 岩手 47,994 49,145 2.40% 宮城 62,877 63,215 0.54% 秋田 64,758 69,701 7.63% 山形 39,074 32,636 -16.48% 乖離率 ( ) 4.36% 相対誤差: k := Sk−Zk Zk , 乖離率: := k|Sk−Zk| k Zk 24 / 43
  • 正常化までに消失した需要の空間分布正常化までに消失した需要の空間分布 酒田 秋田 青森 八戸 盛岡 仙台塩釜 消失需要量 (kL) 0 ∼ 200 200+ ∼ 400 400+ ∼ 600 600+ ∼ 800 800+ ∼ 1, 000 1, 000+ 図: 消失需要の分布 4 月 3 日までに消失したガソリン需要 を市町村ごとに計算 東北全体で 53.8×103 kL (5.4 日 分) のガソリン需要が消失 岩手・宮城の消失需要 (43.5×103 kL) が全体の 81% を占める. 25 / 43
  • 需給ギャップの時空間分布需給ギャップの時空間分布 需給ギャップの定義 各時点における各市町村のガソリン需給ギャップを 供給率 で 表す: 供給率 := 累積供給量 累積実現需要量 = 累積供給量 累積潜在需要量 − 消失需要量 需給ギャップの時空間分布 3 月 12 日から 4 月 3 日までの日々の供給率を,全ての市町村につ いて推計.最初の 3 週間の代表的な時点の状況を次スライド以降 に表示 26 / 43
  • 需給ギャップの空間分布 (第 1 週)需給ギャップの空間分布 (第 1 週) 酒田 (3.14) 秋田 (3.14) 青森 (3.15) 八戸 (3.25) 盛岡 (3.18) 仙台塩釜 (3.21) 0% 0+ ∼ 40% 40+ ∼ 60% 60+ ∼ 80% 80+ ∼ 99% 99+ ∼ 100% () 内は移入再開日 図: 3 月 15 日 (t = 4) 図: 3 月 18 日 (t = 7) 27 / 43
  • 需給ギャップの空間分布 (第 1 週)需給ギャップの空間分布 (第 1 週) 酒田 (3.14) 秋田 (3.14) 青森 (3.15) 八戸 (3.25) 盛岡 (3.18) 仙台塩釜 (3.21) 0% 0+ ∼ 40% 40+ ∼ 60% 60+ ∼ 80% 80+ ∼ 99% 99+ ∼ 100% () 内は移入再開日 図: 3 月 15 日 (t = 4) 図: 3 月 18 日 (t = 7) 日本海側の多くの市町村は供給率が 6 割以上にまで回復; 太平洋側にはガソリンが殆ど供給されない. 27 / 43
  • 需給ギャップの空間分布 (第 2 週)需給ギャップの空間分布 (第 2 週) 酒田 (3.14) 秋田 (3.14) 青森 (3.15) 八戸 (3.25) 盛岡 (3.18) 仙台塩釜 (3.21) 0% 0+ ∼ 40% 40+ ∼ 60% 60+ ∼ 80% 80+ ∼ 99% 99+ ∼ 100% () 内は移入再開日 図: 3 月 22 日 (t = 11) 図: 3 月 25 日 (t = 14) 28 / 43
  • 需給ギャップの空間分布 (第 2 週)需給ギャップの空間分布 (第 2 週) 酒田 (3.14) 秋田 (3.14) 青森 (3.15) 八戸 (3.25) 盛岡 (3.18) 仙台塩釜 (3.21) 0% 0+ ∼ 40% 40+ ∼ 60% 60+ ∼ 80% 80+ ∼ 99% 99+ ∼ 100% () 内は移入再開日 図: 3 月 22 日 (t = 11) 図: 3 月 25 日 (t = 14) 日本海側の殆どの市町村で供給率が 8 割以上に回復; 太平洋側沿岸部では深刻なガソリン不足が続く. 28 / 43
  • 需給ギャップの空間分布 (第 3 週)需給ギャップの空間分布 (第 3 週) 酒田 (3.14) 秋田 (3.14) 青森 (3.15) 八戸 (3.25) 盛岡 (3.18) 仙台塩釜 (3.21) 0% 0+ ∼ 40% 40+ ∼ 60% 60+ ∼ 80% 80+ ∼ 99% 99+ ∼ 100% () 内は移入再開日 図: 3 月 29 日 (t = 18) 図: 4 月 1 日 (t = 21) 29 / 43
  • 需給ギャップの空間分布 (第 3 週)需給ギャップの空間分布 (第 3 週) 酒田 (3.14) 秋田 (3.14) 青森 (3.15) 八戸 (3.25) 盛岡 (3.18) 仙台塩釜 (3.21) 0% 0+ ∼ 40% 40+ ∼ 60% 60+ ∼ 80% 80+ ∼ 99% 99+ ∼ 100% () 内は移入再開日 図: 3 月 29 日 (t = 18) 図: 4 月 1 日 (t = 21) 日本海側のガソリン需給はほぼ正常化; 太平洋側沿岸部には供給率が 4 割以下の市町村が残る. 29 / 43
  • “実態把握の先” へ“実態把握の先” へ ガソリン不足の対策として,どのようなガソリン輸送戦略が 可能だったのだろうか? そうしたガソリン輸送戦略が実現した場合,ガソリン不足は どの程度軽減できたのか? ガソリン不足軽減による経済効果と,ガソリン輸送に必要な 費用は,それぞれ,どの程度のオーダーになるのだろうか? • 震災 4 日後に実現した日本海側 3 港湾への移入量を 1〜2 週間継続させる戦略を提案. • 東北全体での消失需要を 1/2 から 1/3 にまで軽減. 特に,太平洋側のガソリン不足が大幅に改善. • ガソリン転送に必要な費用は 3 億円程度だが,経済効果 は 2000 億円以上. 30 / 43
  • 日本海側 3 港湾への移入量日本海側 3 港湾への移入量 地震や津波による直接の被害を受けなかった日本海側 3 港湾 (青森,秋田,酒田) では,3 月 15 日 (t = 4) には ガソリン移入を再開: 秋田,酒田は 3 月 14 日 (t = 3),青森は 3 月 15 日 (t = 4) 移入再開の 1 週間後 (3 月 22 日, t = 11) に 3 港湾全体で 8,653 kL (前月平均の約 2.6 倍) のガソリンを受入 3/12 3/15 3/19 3/22 3/27 4/3 1, 000 6, 000 8, 653 3, 398 (2 月平均) 3港湾への移入量(kL) 31 / 43
  • ガソリン輸送戦略の提案ガソリン輸送戦略の提案 戦略 S 3 月 22 日の日本海側 3 港湾へのガソリン移入量 (8,653 kL) を,移入再開した 3 月 15 日から 1 週間後の 3 月 22 日まで続ける 戦略 L 3 月 22 日の日本海側 3 港湾へのガソリン移入量 (8,653 kL) を,移入再開した 3 月 15 日から 2 週間後の 3 月 29 日まで続ける 戦略の実現可能性: 日本海側 3 港湾の受入能力は充分にあった 3 月 22 日以外にも 8000kL 前後のガソリンの移入が実現: 3/20 (8,380kL), 3/26 (7,623kL), 3/28 (8,422kL), 3/29 (7,767kL), 4/3(9,860 kL), 4/5 (14,221kL!!) 他地域のガソリン生産能力も充分にあった 8,653kL = 震災の直接の影響を受けていない製油所の 日次生産「余力」のわずか 3 割程度 32 / 43
  • ガソリン輸送戦略による消失需要の軽減効果ガソリン輸送戦略による消失需要の軽減効果 酒田 秋田 青森 八戸 盛岡 仙台塩釜 図: 基準ケース 図: 戦略 S 図: 戦略 L 消失需要 基準ケース 戦略 S 戦略 L 東北全体 53.9 27.0 15.6 岩手・宮城 43.5 21.0 12.0 単位:(103 kL) 33 / 43
  • ガソリン輸送戦略による消失需要の軽減効果ガソリン輸送戦略による消失需要の軽減効果 酒田 秋田 青森 八戸 盛岡 仙台塩釜 図: 基準ケース 図: 戦略 S 図: 戦略 L戦略 S (8 日間) では 1/2,戦略 L (15 日間) では 1/3 にまで 消失需要を軽減.岩手・宮城の多くの市町村で顕著な改善. 消失需要 基準ケース 戦略 S 戦略 L 東北全体 53.9 27.0 15.6 岩手・宮城 43.5 21.0 12.0 単位:(103 kL) 33 / 43
  • ガソリン輸送戦略による 需給ギャップ分布の変化 (第 1 週) ガソリン輸送戦略による 需給ギャップ分布の変化 (第 1 週) 酒田 秋田 青森 八戸 盛岡 仙台塩釜 図: 基準ケース 図: 戦略 S (〜3/22) 図: 戦略 L(〜3/29) 3/15 (t = 4) 3/18 (t = 7) 0% 0+ ∼ 40% 40+ ∼ 60% 60+ ∼ 80% 80+ ∼ 99% 99+ ∼ 100% 34 / 43
  • ガソリン輸送戦略による 需給ギャップ分布の変化 (第 1 週) ガソリン輸送戦略による 需給ギャップ分布の変化 (第 1 週) 酒田 秋田 青森 八戸 盛岡 仙台塩釜 図: 基準ケース 図: 戦略 S (〜3/22) 図: 戦略 L(〜3/29) 3/15 (t = 4) 3/18 (t = 7) 0% 0+ ∼ 40% 40+ ∼ 60% 60+ ∼ 80% 80+ ∼ 99% 99+ ∼ 100% 第 1 週末には太平洋沿岸部を除き 8 割以上の供給率を達成 (この時点では戦略 S と L には差異なし) 34 / 43
  • ガソリン輸送戦略による 需給ギャップ分布の変化 (第 2 週) ガソリン輸送戦略による 需給ギャップ分布の変化 (第 2 週) 酒田 秋田 青森 八戸 盛岡 仙台塩釜 図: 基準ケース 図: 戦略 S(〜3/22) 図: 戦略 L (〜3/29) 3/22 (t = 11) 3/25 (t = 14) 0% 0+ ∼ 40% 40+ ∼ 60% 60+ ∼ 80% 80+ ∼ 99% 99+ ∼ 100% 35 / 43
  • ガソリン輸送戦略による 需給ギャップ分布の変化 (第 2 週) ガソリン輸送戦略による 需給ギャップ分布の変化 (第 2 週) 酒田 秋田 青森 八戸 盛岡 仙台塩釜 図: 基準ケース 図: 戦略 S(〜3/22) 図: 戦略 L (〜3/29) 3/22 (t = 11) 3/25 (t = 14) 0% 0+ ∼ 40% 40+ ∼ 60% 60+ ∼ 80% 80+ ∼ 99% 99+ ∼ 100% 3/22 には日本海側・内陸部で需給が正常化; 戦略 S は運用終了とともに供給率が低下するも 需要不足の緩和効果が継続. 35 / 43
  • ガソリン輸送戦略による 需給ギャップ分布の変化 (第 3 週) ガソリン輸送戦略による 需給ギャップ分布の変化 (第 3 週) 酒田 秋田 青森 八戸 盛岡 仙台塩釜 図: 基準ケース 図: 戦略 S (〜3/22) 図: 戦略 L (〜3/29) 3/29 (t = 18) 4/1 (t = 21) 0% 0+ ∼ 40% 40+ ∼ 60% 60+ ∼ 80% 80+ ∼ 99% 99+ ∼ 100% 36 / 43
  • ガソリン輸送戦略による 需給ギャップ分布の変化 (第 3 週) ガソリン輸送戦略による 需給ギャップ分布の変化 (第 3 週) 酒田 秋田 青森 八戸 盛岡 仙台塩釜 図: 基準ケース 図: 戦略 S (〜3/22) 図: 戦略 L (〜3/29) 3/29 (t = 18) 4/1 (t = 21) 0% 0+ ∼ 40% 40+ ∼ 60% 60+ ∼ 80% 80+ ∼ 99% 99+ ∼ 100% 戦略 L では 3/29 に需給が正常化 (基準ケースより 5 日早い); 戦略 S では岩手県沿岸部の一部に需給ギャップが残る. 36 / 43
  • ガソリン輸送戦略による経済効果:定義ガソリン輸送戦略による経済効果:定義 観測可能な情報と,推計されたガソリン需給状況のみを用いて, ガソリン不足軽減による経済効果を推計. マクロ的視点:ガソリン不足による生産機会損失.東北地方 の総生産額 (GDP) およびガソリン消費量から計算. 経済損失 (円) = GDP(円/年) × 消失需要量 (kL) ガソリン消費量 (kL/年) ガソリンが全ての経済活動を支えると仮定…上限値 ミクロ的視点:各家計の “ガソリン待ち時間” 損失.時間価値 および 1 回あたりの平均購入量から計算. 経済損失 (円) = 時間価値 (円/人・日)× 累積待機需要量 (kL・日) 1 回あたり購入量 (kL/人) 待ち時間以外の経済損失を無視…下限値 37 / 43
  • ガソリン輸送戦略による経済効果:推計結果ガソリン輸送戦略による経済効果:推計結果 基準ケース 戦略 S 戦略 L マクロ経済損失 (上限値) 360 180 104 ミクロ経済損失 (下限値) 290 145 86 (上限+下限)/2 325 162.5 95 単位:10 億円 上限値と下限値の比は 1.2 程度 …経済損失のオーダーとしては充分な精度 輸送戦略によって経済損失を 1/2 ∼ 1/3 に軽減できる 戦略 S (3/15 移入量をその後 1 週間継続) の経済効果: 1400〜1800 億円程度 戦略 L (3/15 移入量をその後 2 週間継続) の経済効果: 2000〜2500 億円程度 38 / 43
  • ガソリン輸送戦略に必要な費用ガソリン輸送戦略に必要な費用 日本海側港湾へ移入されたガソリンを東北地方の各市町村に 配分するのに必要な費用…総輸送時間 (時間・kL) に適当な単 価1を乗じて推計 戦略 S で 2 億円,戦略 L で 3.2 億円程度 推計誤差を考慮しても,経済効果 (1500〜2500 億円) に対し て桁違いに小さい費用で済む 1 平均的な 18kL のタンクローリーを 1 日 (8 時間) 借り上げる費用を 20 万円 と試算 39 / 43
  • まとめまとめ ガソリン需給ギャップの時空間分布を推計 太平洋側の消失需要は,日本海側の約 4 倍. 日本海側のガソリン不足は震災 10 日後でほぼ解消した. 宮城県や岩手沿岸部の一部の市町村では,震災 3 週間後でも ガソリン不足が解消されなかった. ガソリン輸送戦略を提案し,その効果を推計 震災 4 日後に実現した日本海側 3 港湾への移入量を 1〜2 週 間継続させる戦略を提案. 東北全体での消失需要を 1/2 から 1/3 にまで軽減できる. 太平洋側のガソリン不足が大幅に改善. 費用は 3 億円程度だが,経済効果は 2000 億円以上. 40 / 43
  • 東日本大震災からの教訓 (1)東日本大震災からの教訓 (1) ユーティリティとしてのガソリン ガソリンは (電気・水道・ガスと同じく) 経済活動を支える ユーティリティ. そうした財の流通が長期にわたって停滞・停止することは, 甚大な経済損失を引き起こす その速やかな解消のための事前・事後の具体的方策が必要 …災害時にも社会経済活動を継続するための計画 (SACP: socio-economic activity continuation plan)2 の重要事項 2 BCP(/business continuation plan/, 事業継続計画) の社会経済活動版 41 / 43
  • 東日本大震災からの教訓 (2)東日本大震災からの教訓 (2) ガソリン不足を軽減するための輸送戦略 1 大規模災害が発生した場合,広域的なガソリン不足が生じる か否かを速やかに判断 2 ガソリン不足が予測される場合,可能な限り速やかに,利用 可能な港湾油槽所に対して,一定期間 (e.g. 1〜2 週間) 連続し て,受入能力いっぱいのガソリンを転送 政府の役割 広域的な状態の把握および大域的な戦略の立案・指示 詳細な運用は民間企業に委ねる (c.f. 物流 Net システム by 全国物流ネットワーク協会) 戦略実施に必要となる追加的費用の負担 ( 社会経済活動を維持するための費用) 42 / 43
  • 東日本大震災からの教訓 (3)東日本大震災からの教訓 (3) 迅速・的確な “事後対応” のための平常時からの “備え” 迅速な事後対応のためにはトップダウン型意思決定が望まし い…適切な指揮系統の確立が必要 “大筋で間違えない” 戦略 (e.g. 櫛の歯作戦) の立案 …systematic なシナリオ分析・ケーススタディが必要 ガソリン輸送を石油会社に指示する経産省と輸送インフラの 状況把握・復旧を担う国交省など,省庁間の連携が必要 …具体的なシナリオを想定した訓練が必要 生産・輸送の詳細な運用に民間企業のインセンティブを活用 …資金調達および支払いスキームが必要 43 / 43