視覚認知システムにおける知覚と推論

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  • 視覚認知システムにおける知覚と推論

    1. 1. 視覚認知システムにおける 知覚と推論 Perception and Inference in Visual Cognition System 齋藤 俊太†,青木 義満††慶應義塾大学 大学院 理工学研究科
    2. 2. 「知覚」と「推論」知覚(Perception)とは動物が外界からの刺激を感じ取り,意味付けすること.視覚,聴覚,嗅 「熱い」「重い」覚,味覚,体性感 「固い」などという覚,平衡感覚など 自覚的な体験としての感覚情報 再構成する処理
    3. 3. 「知覚」と「推論」知覚(Perception)とは動物が外界からの刺激を感じ取り,意味付けすること.視覚,聴覚,嗅 「熱い」「重い」覚,味覚,体性感 「固い」などという覚,平衡感覚など 自覚的な体験としての感覚情報 再構成する処理 自覚的な身体経験のこと
    4. 4. 「知覚」と「推論」推論(Inference)とは既知の事柄を元にして未知の事柄について知ろうとすること 新しく知覚されたも 知覚したものと, のに対してどのよう それが結果的に導 に思考・判断・信念 いた思考・判断・ の形成を行えばよい 信念の記憶 かを導く
    5. 5. 「知覚」と「推論」推論(Inference)とは既知の事柄を元にして未知の事柄について知ろうとすること 新しく知覚されたも 知覚したものと, のに対してどのよう それが結果的に導 に思考・判断・信念 いた思考・判断・ の形成を行えばよい 信念の記憶 かを導く 可能性の中から最適な反応を選び出すこと
    6. 6. 視覚認知システムにおける知覚と推論より「人間らしい」思考・判断・信念を導くためには,推論の様式のみに着目するのではなく,推論がそもそも元にしているもの(=知覚)について,人らしいそれを考える必要がある 知覚されたもの 推論
    7. 7. 視覚認知システムにおける知覚と推論より「人間らしい」思考・判断・信念を導くためには,推論の様式のみに着目するのではなく,推論がそもそも元にしているもの(=知覚)について,人らしいそれを考える必要がある推論を計算論的に捉えようとするなら,それは何に対する計算として成り立っていなければならないのか→「知覚されたもの」に対して 知覚されたもの 推論
    8. 8. 従来の「知覚」モデル デカルト心身二元論的な認知モデルに基づく 表象認識 知覚 光刺激の強度の束
    9. 9. 従来の「知覚」モデル デカルト心身二元論的な認知モデルに基づく 問題点 世界は表象としてしか捉えら れないということになるが, 表象 なぜ個別の意識に内包された 表象の世界に,客観的な物理認識 法則が存在するのかが説明で きない 知覚 光刺激の強度の束
    10. 10. 直接知覚論我々は表象を見ているのではなく,対象を見ている.
    11. 11. 直接知覚論 我々は表象を見ているのではなく,対象を見ている.対象の意味は,意識の中にあるのではなく対象に備わっている.
    12. 12. 直接知覚論 我々は表象を見ているのではなく,対象を見ている.対象の意味は,意識の中にあるのではなく対象に備わっている. 意識は表象を内包し,身体と分断された実体ではない
    13. 13. 直接知覚論 我々は表象を見ているのではなく,対象を見ている.対象の意味は,意識の中にあるのではなく対象に備わっている. 意識は表象を内包し,身体と分断された実体ではない 対象の意味を「知覚」し,それに対して「どのような行 動を起こすか」を選択する「余地」が意識である
    14. 14. ベルクソンのいう「意識」アメーバは身体に触れてきたものしか知覚できない
    15. 15. ベルクソンのいう「意識」アメーバは身体に触れてきたものしか知覚できない 知覚の範囲=身体の範囲
    16. 16. ベルクソンのいう「意識」アメーバは身体に触れてきたものしか知覚できない 知覚の範囲=身体の範囲 知覚されたものに対してどういう行動を起こす か,は反射的にならざるをえない
    17. 17. ベルクソンのいう「意識」 アメーバは身体に触れてきたものしか知覚できない 知覚の範囲=身体の範囲 知覚されたものに対してどういう行動を起こす か,は反射的にならざるをえない人は視覚・聴覚などによって身体の占める範囲よりも遠 いところを知覚することができる
    18. 18. ベルクソンのいう「意識」 アメーバは身体に触れてきたものしか知覚できない 知覚の範囲=身体の範囲 知覚されたものに対してどういう行動を起こす か,は反射的にならざるをえない人は視覚・聴覚などによって身体の占める範囲よりも遠 いところを知覚することができる 知覚されたものとの干渉が起こるまでに時間がある
    19. 19. ベルクソンのいう「意識」 アメーバは身体に触れてきたものしか知覚できない 知覚の範囲=身体の範囲 知覚されたものに対してどういう行動を起こす か,は反射的にならざるをえない人は視覚・聴覚などによって身体の占める範囲よりも遠 いところを知覚することができる 知覚されたものとの干渉が起こるまでに時間がある 知覚されたものに対してどのような行動を起こ すか,について迷うことができる
    20. 20. ベルクソンのいう「意識」 アメーバは身体に触れてきたものしか知覚できない 知覚の範囲=身体の範囲 知覚されたものに対してどういう行動を起こす か,は反射的にならざるをえない人は視覚・聴覚などによって身体の占める範囲よりも遠 いところを知覚することができる 知覚されたものとの干渉が起こるまでに時間がある 知覚されたものに対してどのような行動を起こ すか,について迷うことができる =意識のように見えるものの正体
    21. 21. ベルクソンのいう「意識」 アメーバは身体に触れてきたものしか知覚できない 知覚の範囲=身体の範囲 知覚されたものに対してどういう行動を起こす か,は反射的にならざるをえない 人は視覚・聴覚などによって身体の占める範囲よりも遠 いところを知覚することができる 知覚されたものとの干渉が起こるまでに時間がある 知覚されたものに対してどのような行動を起こ すか,について迷うことができる =意識のように見えるものの正体そして反応が自動的であればあるほど,意識は消えていく=無意識的反射
    22. 22. 知覚を捉え直す人の知覚は,環境から抽出された情報を元に選択の迷いを生じる意識へと入力されるものである.そしてまた,行為の可能性が環境における意味を規定する人が思考・判断・信念に用いる「知覚されたもの」とは,人の「行為」との関係性において捉え直されるべきなのではないかJ.J.ギブソン『生態学的視覚論』:アフォーダンスアルヴァ・ノエ『知覚のなかの行為』:エナクティヴ・アプローチ
    23. 23. 「システム」は人らしくなければいけないのか?
    24. 24. 視覚認知システムの現在2012年6月26日「Glass」や自動走行車を開発したGoogle X ラボが大規模なニューラルネットワークによる教師なし学習を行った結果を発表 1万6千個のCPU 10億個のコネク ションを持つNN 1千万枚の画 像 猫や人間の顔などを自動判別可能
    25. 25. 人工知能の現在 機械学習における風潮のひとつ学習データを増やせば,高い識別 精度を実現できるかもしれないしかし実は限定された条件下でしか特 定のアルゴリズムは有効に働かない ノーフリーランチ定理
    26. 26. ノーフリーランチ定理 対象とする問題に独立に学習アルゴリ ズムの優劣を決定することはできない Googleの例における限定的な部分YouTubeから選択された画像を学習し,ただ区別した(それはすごいことだが)そもそも人間は「区別するだけ」のことはしない
    27. 27. 実世界での有効性 また別の例:自動運転車「車道におけるルールは既知・かつ不変」を活用・ルールが変わってしまったら? 原発の内部調査中に,これまでの行動原則を無視してでも優先 すべき出来事が目の前で起こったら?・未知の状況に陥ったら? センサーが壊れたら? センサーが壊れたことを知らせるシステムが壊れたら? 冷静かつ,より人間的に, 適応的な判断が行えるシステムは実現可能だろうか?
    28. 28. 「適応的」の例幼児の語彙獲得過程における即時マッピング幼児は,指示対象が明示されたラベルでなくとも,正しい意味を推論することができるウサギ • 白くてふわふわしたもの? • とがったものが2つあるもの? • 4つの足があるもの? 色々な意味の候補があるにも関 わらず正確な意味を捉えられる のはなぜか? →クワインの
    29. 29. 着目点の整理 不安定・非定常的な環境=実世界 での「柔軟な動作」を目指した,人らしい適応 性を持つ視覚認知システムの実現可能性を探る 「知覚」再考の必要 「推論」再考 そもそも人は当然,「人の「適応的」を目指す上で 知覚」を元にして推論を行の重要なヒント:人が行 う.人の知覚は画像配列よ う「非論理的」な推論 りもそもそも高次なものに よって構成されている
    30. 30. 行為との関係において知覚を捉えなおすとは?
    31. 31. 生態光学 J.J.Gibson:生態学的視覚論(1986)空軍パイロットの高い奥行き知覚能力は,両眼視差によるものではなく,面に対する肌理の勾配を運動視差により捉えることによるものである→知覚者は自らが動くことでこの包囲光配列の中から不変項を抽出する 包囲光配列 光が環境中で無数の面に 反射して散乱し,環境に 充満したもの.環境に よって構造化されてい る.
    32. 32. アフォーダンス J.J.Gibson:生態学的視覚論(1986) 行為にとって必要な情報は環境の中に実在しており,知覚とは これを抽出することである,という考え方 アフォーダンス=環境が動物に与える(afford)「価値」生態学的測定法(eco metrics)個体ごとに異なる「価値」を見出す・手や膝をつかずに足だけ ・肩を回さずにすり抜けら ・手を使わずに座れる椅子で登れると知覚する高さ れると知覚する 間の幅 の高さ ↓ ↓ ↓身長にかかわらず知覚者 知覚者の肩幅の1.3倍以 知覚者の脚の長さの の股下の0.88倍 下 0.9倍 同じ対象に複数の価値が実在しているが,そのどれを抽出するかと いう選択が個体によって異なる
    33. 33. エナクティヴ・アプローチ Alva Noë:知覚のなかの行為(2006)感覚運動知識どのように動くと,どのようなものが感覚刺激に与えられることになるか,ということに関する暗黙的な理解「ある物体を見る」とは: • 物体へ近づけば物体の視野を占める領域は大きくなる • 背を向ければ物体は視野の外へ移動する • 眼を閉じれば視野全体が消滅する •… →知覚は運動と感覚との間の依存関係への理解のことである
    34. 34. エナクティヴ・アプローチへの批判 脳神経科学の分野からの批判 Goodale M. A., et al.:Separate visual pathways for perception and action視覚性運動失調 損傷 背側視覚路視空間性情報を手の動きの指標とすることができない.注視している対象をつかもうとしても,そこに手を持っていくことができない. 1次視覚野視覚性形態失認ものを見てもそれが何であるかわからない. 腹側視覚路 損傷
    35. 35. エナクティヴ・アプローチへの批判 脳神経科学の分野からの批判 Goodale M. A., et al.:Separate visual pathways for perception and action視覚性運動失調 損傷 背側視覚路視空間性情報を手の動きの指標とすることができない.注視している対象をつかもうとしても,そこに手を持っていくことができない. 1次視覚野視覚性形態失認ものを見てもそれが何であるかわからない. 腹側視覚路 視覚情報はV1から2 つの経路へ分かれる 損傷
    36. 36. エナクティヴ・アプローチへの批判 脳神経科学の分野からの批判Goodale M. A., et al.:Separate visual pathways for perception and action 脳の視覚システムは 背側視覚路 腹側視覚路
    37. 37. エナクティヴ・アプローチへの批判 脳神経科学の分野からの批判Goodale M. A., et al.:Separate visual pathways for perception and action 脳の視覚システムは 背側視覚路 「行為のための視覚」 腹側視覚路
    38. 38. エナクティヴ・アプローチへの批判 脳神経科学の分野からの批判Goodale M. A., et al.:Separate visual pathways for perception and action 脳の視覚システムは 背側視覚路 「行為のための視覚」 と 腹側視覚路
    39. 39. エナクティヴ・アプローチへの批判 脳神経科学の分野からの批判Goodale M. A., et al.:Separate visual pathways for perception and action 脳の視覚システムは 背側視覚路 「行為のための視覚」 と 「知覚のための視覚」 腹側視覚路
    40. 40. エナクティヴ・アプローチへの批判 脳神経科学の分野からの批判Goodale M. A., et al.:Separate visual pathways for perception and action 脳の視覚システムは 背側視覚路 「行為のための視覚」 と 「知覚のための視覚」 に分離されている 腹側視覚路
    41. 41. エナクティヴ・アプローチへの批判 脳神経科学の分野からの批判Goodale M. A., et al.:Separate visual pathways for perception and action 脳の視覚システムは 背側視覚路 「行為のための視覚」 と 「知覚のための視覚」 に分離されている 腹側視覚路 二重視覚システム仮説
    42. 42. エナクティヴ・アプローチへの批判 脳神経科学の分野からの批判Goodale M. A., et al.:Separate visual pathways for perception and action 「知覚と行為は分離不可能」とした エナクティヴ・アプローチは否定されるように思われる
    43. 43. エナクティヴ・アプローチへの批判 脳神経科学の分野からの批判Goodale M. A., et al.:Separate visual pathways for perception and action 二重視覚システム仮説 「知覚と行為は分離不可能」とした エナクティヴ・アプローチは否定されるように思われる
    44. 44. 二重視覚システム仮説との統合しかし,近年この二つの脳の部位は三次元形態の認識に際 して同時に活性するということが明らかになっている Verhoef BE, et al.:Synchronization between the end stages of the dorsal and the ventral visual stream(2011) dorsal ventral
    45. 45. 二重視覚システム仮説との統合しかし,近年この二つの脳の部位は三次元形態の認識に際 して同時に活性するということが明らかになっている Verhoef BE, et al.:Synchronization between the end stages of the dorsal and the ventral visual stream(2011)また,二つの視覚路は相互連絡していることも分かっている dorsal ventral
    46. 46. 二重視覚システム仮説との統合しかし,近年この二つの脳の部位は三次元形態の認識に際 して同時に活性するということが明らかになっている Verhoef BE, et al.:Synchronization between the end stages of the dorsal and the ventral visual stream(2011)また,二つの視覚路は相互連絡していることも分かっている dorsal 視覚的運動失調・形態失認の例はどち らかだけでは正しい知覚はできないと いうことを示唆する 二つの経路の同時活性は両方の部位が ventral 働くことで人の知覚が成り立っている ということを示唆する
    47. 47. 二重視覚システム仮説との統合視覚的運動失調・形態失認 二つの経路の同時活性は両方の例はどちらかだけでは正 の部位が働くことで人の知覚しい知覚はできないという が成り立っているということことを示唆する を示唆する
    48. 48. 二重視覚システム仮説との統合視覚的運動失調・形態失認 二つの経路の同時活性は両方の例はどちらかだけでは正 の部位が働くことで人の知覚しい知覚はできないという が成り立っているということことを示唆する を示唆する 「こう動いたらどう見えるか」についての知識, すなわち感覚運動知識によって知覚を説明する エナクティヴ・アプローチは棄却されない
    49. 49. 行為との関係性においてみる知覚従来• 画像が人の視知覚に相当するとした• 数値の配列である画像に対する情報処理が人の思考・判 断・信念に利用される概念的知識の導出に相当するとしたしかし 人の知覚は,何らかの行為を導くためのものである 行為する身体との関係は,「知覚」に含まれるのではないか 「身体」をより深く考慮した上で 「知覚されるもの」をデザインできないか
    50. 50. ここまでのまとめ「知覚されたもの」をどう捉え直すこ とができるかについて述べた
    51. 51. ここまでのまとめ「知覚されたもの」をどう捉え直すこ とができるかについて述べた「知覚されたもの」を元にして適応的な,「人らしい推論」を行うシステムへ 繋げたい
    52. 52. 人の推論にみられる特徴即時マッピングのような強力な推論の背景には,人間特有の認知的バイアスが存在する* * Yamazaki, Y.:Logical and illogical behavior in animals,Japanese Psychological Research,46, 195/206(2004)
    53. 53. 人の推論にみられる特徴即時マッピングのような強力な推論の背景には,人間特有の認知的バイアスが存在する* * Yamazaki, Y.:Logical and illogical behavior in animals,Japanese Psychological Research,46, 195/206(2004) 認知バイアスが人の適応的な推論の となっているのではないか
    54. 54. 認知バイアスの働き 幼児の即時マッピングだけでなく,成人にも認知バイアスの働きはみられる
    55. 55. 認知バイアスの働き 幼児の即時マッピングだけでなく, 成人にも認知バイアスの働きはみられる対称性バイアスp→qからq→pを導いてしまう傾向(逆も真と考える)
    56. 56. 認知バイアスの働き 幼児の即時マッピングだけでなく, 成人にも認知バイアスの働きはみられる対称性バイアスp→qからq→pを導いてしまう傾向(逆も真と考える) 「部屋を片付けたら,遊びに連れて行ってあげる」
    57. 57. 認知バイアスの働き 幼児の即時マッピングだけでなく, 成人にも認知バイアスの働きはみられる 対称性バイアス p→qからq→pを導いてしまう傾向(逆も真と考える) 「部屋を片付けたら,遊びに連れて行ってあげる」「部屋を片付けたら,その時だけ遊びに連れて行ってあげる」*篠原修二,田口亮,桂田浩一,新田恒雄:因果性 に基づく信念形成モデルと N 本腕バンディット 問題への適用,人工知能学会論文誌, 22,58/68(2007)
    58. 58. 認知バイアスの働き 相互排他性バイアス 「p→q」から「¬p→¬q」を導いてしまう傾向 「部屋を片付けたら,遊びに連れて行ってあげる」*篠原修二,田口亮,桂田浩一,新田恒雄:因果性 に基づく信念形成モデルと N 本腕バンディット 問題への適用,人工知能学会論文誌, 22,58/68(2007)
    59. 59. 認知バイアスの働き 相互排他性バイアス 「p→q」から「¬p→¬q」を導いてしまう傾向 「部屋を片付けたら,遊びに連れて行ってあげる」 「部屋を片付けないなら,遊びに連れて行ってあげない」*篠原修二,田口亮,桂田浩一,新田恒雄:因果性 に基づく信念形成モデルと N 本腕バンディット 問題への適用,人工知能学会論文誌, 22,58/68(2007)
    60. 60. 認知バイアスの働き 相互排他性バイアス 「p→q」から「¬p→¬q」を導いてしまう傾向*篠原修二,田口亮,桂田浩一,新田恒雄:因果性 に基づく信念形成モデルと N 本腕バンディット 問題への適用,人工知能学会論文誌, 22,58/68(2007)
    61. 61. 認知バイアスの働き 相互排他性バイアス 「p→q」から「¬p→¬q」を導いてしまう傾向 リンゴ*篠原修二,田口亮,桂田浩一,新田恒雄:因果性 に基づく信念形成モデルと N 本腕バンディット 問題への適用,人工知能学会論文誌, 22,58/68(2007)
    62. 62. 認知バイアスの働き 相互排他性バイアス 「p→q」から「¬p→¬q」を導いてしまう傾向 New リンゴ ミカン*篠原修二,田口亮,桂田浩一,新田恒雄:因果性 に基づく信念形成モデルと N 本腕バンディット 問題への適用,人工知能学会論文誌, 22,58/68(2007)
    63. 63. 認知バイアスの働き 相互排他性バイアス 「p→q」から「¬p→¬q」を導いてしまう傾向 New リンゴ ミカン*篠原修二,田口亮,桂田浩一,新田恒雄:因果性 に基づく信念形成モデルと N 本腕バンディット 問題への適用,人工知能学会論文誌, 22,58/68(2007)
    64. 64. 認知バイアスの働き 相互排他性バイアス 「p→q」から「¬p→¬q」を導いてしまう傾向 New リンゴ ミカン*篠原修二,田口亮,桂田浩一,新田恒雄:因果性 に基づく信念形成モデルと N 本腕バンディット 問題への適用,人工知能学会論文誌, 22,58/68(2007)
    65. 65. 認知バイアスの働き 相互排他性バイアス 「p→q」から「¬p→¬q」を導いてしまう傾向 New リンゴ ミカン*篠原修二,田口亮,桂田浩一,新田恒雄:因果性 に基づく信念形成モデルと N 本腕バンディット 問題への適用,人工知能学会論文誌, 22,58/68(2007)
    66. 66. 認知バイアスの働き 対称性バイアス 「p→q」 「q→p」 対偶 相互排他性バイアス 「p→q」 「¬p→¬q」 これらの推論は論理的には正しくないしかし,人はこのような非論理的な推論を日常的に行っている
    67. 67. 認知バイアスの働き 対称性バイアス 「p→q」 「q→p」 対偶 相互排他性バイアス 「p→q」 「¬p→¬q」 これらの推論は論理的には正しくないしかし,人はこのような非論理的な推論を日常的に行っている →そして効率的な学習,適応的な判断に生かしている
    68. 68. 認知バイアスを用いた推論モデルこの「非論理的な推論」を確率過程としてモデル化し,行為選択において「適応的なふるまい」を見せるようなエージェントは作成できないか緩い対称性モデル(Shinohara, S. et al 2007*)対称性と相互排他性を緩やかに含む信念度計算方法の提案 あり なし a+ b b+d d q ¬q LS(q|p) = a+ b b+d d +b+ a a+c c 場A a b p a 場B 通常の条件付き確率:P (q|p) = ¬p c d a+b*篠原修二,田口亮,桂田浩一,新田恒雄:因果性 に基づく信念形成モデルと N 本腕バンディット 問題への適用,人工知能学会論文誌, 22,58/68(2007)
    69. 69. 緩い対称性モデル 対称性 p(q|p) = p(p|q) 相互排他性 p(q|p) = p(¬q|¬p) 両者が全く成り立たないモデル 完全に成り立つモデル a a+d P (q|p) = S(q|p) = a+b a+d+b+c a+ b b+d d LS(q|p) = a+ b b+d d +b+ a a+c c 緩い対称性モデルでは両者が緩やかに成り立つ
    70. 70. 緩い対称性モデル a+ b b+d d LS(q|p) = a+ b b+d d +b+ a a+c c対称性バイアス LSHp»qLの度合い 0.8 0.6 0.4 0.2 LSHq»pL 0.2 0.4 0.6 0.8 LS(q|p)が大きくなると LS(q|p) =LS(p|q)となる傾向
    71. 71. 緩い対称性モデル a+ b b+d d LS(q|p) = a+ b b+d d +b+ a a+c c相互排他性バイアスの度合い LSHÿq»ÿpL 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 LSHq»pL 0.2 0.4 0.6 0.8 緩やかにLS(q|p)=LS(¬q|¬p)の傾向が見える
    72. 72. 緩い対称性モデルの応用 2本腕バンディット問題• それぞれの腕を引いて当たる確率は予め決まっており変化しない• ただしそれぞれの腕が当たる確率は未知• トライできる合計数が決まっているとき,できるだけ多くの報酬を得たい
    73. 73. 緩い対称性モデルの応用 2本腕バンディット問題• それぞれの腕を引いて当たる確率は予め決まっており変化しない• ただしそれぞれの腕が当たる確率は未知• トライできる合計数が決まっているとき,できるだけ多くの報酬を得たいどちらの腕の方が「当たる確率が高そうか」をできるだけ少ない回数で探索し,その知識を利用して当たる確率が高い方の腕をたくさん引けばよい
    74. 74. 緩い対称性モデルの応用 2本腕バンディット問題• それぞれの腕を引いて当たる確率は予め決まっており変化しない• ただしそれぞれの腕が当たる確率は未知• トライできる合計数が決まっているとき,できるだけ多くの報酬を得たいどちらの腕の方が「当たる確率が高そうか」をできるだけ少ない回数で探索し,その知識を利用して当たる確率が高い方の腕をたくさん引けばよい しかし腕を引ける合計数には限りがある→探索と知識利用のジレンマ
    75. 75. 緩い対称性モデルの応用2本腕バンディット問題 他のモデルより正解率が 大きく上回っている ↑正解率の時間発展*篠原修二,田口亮,桂田浩一,新田恒雄:因果性 に基づく信念形成モデルと N 本腕バン ディット 問題への適用,人工知能学会論文誌,22,58/68(2007)
    76. 76. 緩い対称性モデルの可能性行為の中で知覚されたものを元に,「行為の選択」を行う際(ベルクソン的意識),「人特有の傾向」を考慮した確率モデルを導入することは,コンピュータの情報処理に「人の意識」らしい観点で見た蓋然性を導入するということである. 緩い対称性モデルをより多様な事例へ適用 一般化 知覚されるもの
    77. 77. まとめエナクティヴ・アプローチからの示唆人の知覚は光刺激の配列を入力とするよりは,より行為との関係性において考えられるべき性質を備えている➡ではどのような形式が「知覚されたもの」としてふさわしいのか?➡そしてそれを計算論的に取り扱える形式で表現するにはどうしたら よいか.「感覚運動知識の暗黙の理解」の計算論的表現.緩い対称性モデルからの示唆非論理的であっても問題解決に対して有用な推論のモデルが計算論的に実現可能である➡より多様な入力形式にも適用できるモデルへ拡張したい➡「正解とは何か」が不定な環境へ適用できるモデルへ拡張したい
    78. 78. 今後の課題直接知覚論の実装ベルクソンの純粋知覚と,縮約のフローをシミュレーションギブソンの包囲光配列からの不変項抽出とは感覚運動知識による知覚とは適応的推論アルゴリズムの実装多くの計算論的な推論の手法や学習のアルゴリズムは「正解そのもの」もしくは「報酬の計算方法」を既知としていた正解や報酬系が変化していくような問題設定下で,アルゴリズムそのものを適応的に選択していくようなシステムは可能か
    79. 79. Ashbyの超安定性理論ホメオスタシス→あるものを一定に保つこと Environment 2nd Feedback 1st Feedback System
    80. 80. 行為,知覚,推論行為 知覚 推論
    81. 81. 行為,知覚,推論enactive approachedsensing sensorimotor flow 行為 知覚 推論

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