新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる - ビットコインとその周辺の話題を例に

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2014年4月20日に開催された ALSA (国際法学生団体) の事前分科会「貨幣の信用と価値」の外部講師として招いていただき、喋ったときのスライドです。

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新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる - ビットコインとその周辺の話題を例に

  1. 1. 新しい貨幣を前提に 新しい社会秩序をつくる ビットコインとその周辺の話題を例に 慶應義塾大学 SFC 研究所 上席所員 (訪問) 斉藤 賢爾 ks91@sfc.wide.ad.jp 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.1/65
  2. 2. 「既存の現実と闘うことではけっして物事を変えられ ない。何かを変えるためには既存のモデルを時代遅れ にする新しいモデルを打ち立てよ」 — バックミンスター・フラー “You never change things by fighting the existing reality. To change something, build a new model that makes the existing model obsolete” — Buckminster Fuller 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.2/65
  3. 3. ところでお前は誰だっけ? さい 斉 とう 藤 けん 賢 じ 爾 博士 (政策・メディア) 慶應義塾大学 SFC 研究所 上席所員 (訪問) 一般社団法人アカデミーキャンプ 代表理事 http://twitter.com/ks91020 http://www.facebook.com/ks91media インターネットと社会に関する研究・教育に従事 主な研究テーマ : 「人間のデジタル通貨」の開発 と実用化 福島のこどもたちのための「アカデミーキャンプ」を 実施しています 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.3/65
  4. 4. ところでお前は誰だっけ? さい 斉 とう 藤 けん 賢 じ 爾 博士 (政策・メディア) 慶應義塾大学 SFC 研究所 上席所員 (訪問) 一般社団法人アカデミーキャンプ 代表理事 http://twitter.com/ks91020 http://www.facebook.com/ks91media インターネットと社会に関する研究・教育に従事 主な研究テーマ : 「人間のデジタル通貨」の開発 と実用化 福島のこどもたちのための「アカデミーキャンプ」を 実施しています → つながってるね! 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.3/65
  5. 5. 主な著書 (1) 「不思議の国の NEO — 未来を変えたお金の話」 ジャンル: “SF お金ファンタジー” お金を根本から変える デジタル通貨技術の存在 それにより生まれる ドラマ 英語版はフリーで公開 http://grsj.jp/neo.pdf (CC-BY-SA 3.0) 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.4/65
  6. 6. 主な著書 (2) 「これでわかったビットコイン [生きのこる通貨の条件] 」 ジャンル: “ステマ” ビットコインについての 本であるようでいて . . . それと 180 度違う概念を さりげなく打ち出す 読めるタイプのトロイの木馬 2014 年 4 月 25 日 発売! 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.5/65
  7. 7. 僕は博士 (政策・メディア) だけど 何か質問ある? ⇒ 政策・メディアって何だよ 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.6/65
  8. 8. Q1. メディアとは 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.7/65
  9. 9. Q1. メディアとは 1. 何かを伝える媒体である 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.7/65
  10. 10. Q1. メディアとは 1. 何かを伝える媒体である 2. 人間の拡張である 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.7/65
  11. 11. Q1. メディアとは 1. 何かを伝える媒体である 2. 人間の拡張である 3. 人と人の間にあるものすべてである 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.7/65
  12. 12. Q1. メディアとは 1. 何かを伝える媒体である 2. 人間の拡張である 3. 人と人の間にあるものすべてである ⇒ 正解というものがあるならすべて正解 1 は辞書的定義、2 はマクルーハン、3 は八谷和彦氏によ る定義 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.7/65
  13. 13. メディアとインダストリアルツール 産業道具 (industrial tool) (フラー) 作るのにふたり以上を要する道具 現代的な道具はすべてそう 自然言語は最初のインダストリアルツール だから「政策・メディア」 インダストリアルツールは「メディア」 「ガバナンス」と切り離せない 複数人が秩序をつくることなしに作れないし 使えない 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.8/65
  14. 14. テトラッド (tetrad) メディアについての、4 つでひと組の問いかけ それは何を強化し、強調するのか? それは何を廃れさせ、何に取って代わるのか? それはかつて廃れてしまった何を回復するのか? それは極限まで押し進められたとき何を生みだし、 何に転じるのか? – マクルーハン「メディアの法則」 あらゆるメディアについて質問できる問い そのメディアが人と社会にもたらす副作用は何か 気づいていないことを気づかせるための道具 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.9/65
  15. 15. 「自動車」というメディアのテトラッド 人間の移動 プライバシー 渋滞 交通事故 強化 反転 回復 衰退 移動する自由 個人的な空間 馬と馬車と関連産業 都市の居住空間 メディアによって「人」と「社会」が変わる 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.10/65
  16. 16. 「おカネ」というメディアのテトラッド 交換・消費 貯蓄・投資 貧しい人々や自然や 未来からの搾取 破産 強化 反転 回復 衰退 プライバシー 人間関係からの自由 物々交換 贈与経済 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.11/65
  17. 17. 今日のテーマは「おカネ」という メディア 自然言語と並ぶ、最も根本的なインダストリアルツール 答えを出さずに、むしろ聞いていきます 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.12/65
  18. 18. 根本から「おカネ」を問い直す 議論するには対象をよく知らなければならない そのための 3 つのお話 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.13/65
  19. 19. 第1話「芸術家の挑戦」 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.14/65
  20. 20. 千円札の絵 Q2. この絵を印刷したら、千円札として使えますか? 使えないとしたら、なぜ? 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.15/65
  21. 21. マネーアーティストの挑戦 J.S.G. Boggs (1955∼) お札の絵を描いてそれを実際に使う どうやるか 1. 描いた絵で品物やサービスの料金を支払い、と きにはお釣りを受け取る 2. 彼の絵の収集家に電話する 3. 収集家は彼の絵がどこにあるか探し、何百倍も の値をつけて買う 1999 年までにこの方法で $250,000 分を支払う 何度も逮捕されている 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.16/65
  22. 22. Q3. 警察に逮捕された ということは 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.17/65
  23. 23. Q3. 警察に逮捕された ということは 1. 悪い人なのである 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.17/65
  24. 24. Q3. 警察に逮捕された ということは 1. 悪い人なのである 2. 法律に違反したのである 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.17/65
  25. 25. Q3. 警察に逮捕された ということは 1. 悪い人なのである 2. 法律に違反したのである 3. 何かの疑いをかけられたのである 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.17/65
  26. 26. Q3. 警察に逮捕された ということは 1. 悪い人なのである 2. 法律に違反したのである 3. 何かの疑いをかけられたのである ⇒ Boggs 氏はいつも無罪なのである 自分が描いた絵を売っているだけだから 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.17/65
  27. 27. おカネの絵がおカネになる(?)とき おカネの絵がおカネとして支払いに使われる 描かれた額面 (以下) の値段で買い取られないと多分流通しない 支払いの役に立っているとしたら、この絵はおカネ? 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.18/65
  28. 28. 第2話「消滅するおカネ」 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.19/65
  29. 29. 「おカネ」の正体 A ホテルのフロントに勤める Adam を θ が訪れ、24 時 間預かってほしいと 100 ド ル紙幣を置いていった 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.20/65
  30. 30. 「おカネ」の正体 AA BZ Adam は Bob に 100 ドル の借金があった Adam は Zoe に 100 ドル 貸していた Adam は考えた . . . 「これで返しちゃえば?」 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.20/65
  31. 31. 「おカネ」の正体 A B C D Z Adam は Bob に 100 ドル 返し、 Bob は Carole に 100 ド ル返し、 ... めぐりめぐって Zoe は Adam に 100 ドル 返した 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.20/65
  32. 32. 「おカネ」の正体 A B D Z 24 時間後、Adam のもと にふたたび θ が現れた Adam は θ に 100 ドル紙 幣を渡した 一件落着に見えたが . . . 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.20/65
  33. 33. 「おカネ」の正体 A B D Z θ は「あなたがこのお札を 使わなくてよかった!」と 言って紙幣に火をつけて燃 やした 「ニセ札だったんですよ、そ れを確かめに行ってたんで す」と付け加えて . . . 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.20/65
  34. 34. この例から分かること 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.21/65
  35. 35. この例から分かること ニセ札は役に立つ 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.21/65
  36. 36. この例から分かること ニセ札は役に立つ そもそも、すべてのおカネはニセモノかも知れない 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.21/65
  37. 37. この例から分かること ニセ札は役に立つ そもそも、すべてのおカネはニセモノかも知れない 日本銀行券も同じ仕組みで作られている お札が日本銀行に戻ってくると溶かされてリサイ クルされる 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.21/65
  38. 38. 日本銀行券の発行と回収 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.22/65
  39. 39. 第3話「おカネはどこにあるか」 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.23/65
  40. 40. Q4. おカネにさわったことが 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.24/65
  41. 41. Q4. おカネにさわったことが 1. ある 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.24/65
  42. 42. Q4. おカネにさわったことが 1. ある 2. あると思っていたが、よく考えたら無い 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.24/65
  43. 43. Q4. おカネにさわったことが 1. ある 2. あると思っていたが、よく考えたら無い 3. 何を問われているかが分からない 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.24/65
  44. 44. Q5. 自動販売機は 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.25/65
  45. 45. Q5. 自動販売機は 1. おカネを入れると品物が出てくる機械である 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.25/65
  46. 46. Q5. 自動販売機は 1. おカネを入れると品物が出てくる機械である 2. おカネの物理量を判定して動作する機械である 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.25/65
  47. 47. Q5. 自動販売機は 1. おカネを入れると品物が出てくる機械である 2. おカネの物理量を判定して動作する機械である 3. 何がおカネであるかを定義する機械である 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.25/65
  48. 48. 自動販売機とコインの正当性 自動販売機は、何がおカネであるかを決める私たちの「心」の機能 を実装している 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.26/65
  49. 49. 「おカネ」は共同幻想である そこに「無い」ものが「ある」ように感じられるなら 幻想 人間のいない世界では「おカネ」は機能しない 自動販売機は人間を模したロボット その幻想を社会の構成員が共有している 私たちの五百円玉は、パリではどう扱われる? 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.27/65
  50. 50. なぜ、おカネでモノは買えるのか おカネでモノが買えるのは、おカネでモノが買えると人々が 信じているから (その信念が法律で支えられることもある) 目の前の相手ではなく、連帯の証としてのおカネを信じる 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.28/65
  51. 51. おカネは信用・信頼の代用品 「. . . 貨幣さえあれば、信頼関係など不要であるとい う考えは誤り . . .」 「. . . 貨幣がなければ、信頼関係なんかあったって、駄 目だという考えは、もっと間違っています。貨幣はそ もそも信頼関係の代替物に過ぎないので、信頼関係が あったら、貨幣がなくともなんとかなります。このこ とを銘記しておいてください」 — 安冨歩「生きる技法」p.91 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.29/65
  52. 52. おカネは信用・信頼の代用品 「. . . 貨幣さえあれば、信頼関係など不要であるとい う考えは誤り . . .」 「. . . 貨幣がなければ、信頼関係なんかあったって、駄 目だという考えは、もっと間違っています。貨幣はそ もそも信頼関係の代替物に過ぎないので、信頼関係が あったら、貨幣がなくともなんとかなります。このこ とを銘記しておいてください」 — 安冨歩「生きる技法」p.91 「ぜにのないやつぁ / 俺んとこへこい / 俺もないけど 心配すんな / みろよ青い空 白い雲 / そのうちなんとか なるだろう」 — 青島幸男 作詞「黙って俺について来い」 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.29/65
  53. 53. P2P デジタル通貨 ビットコイン 人間不在のデジタル巨石貨幣 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.30/65
  54. 54. 「デジタル通貨」とは? デジタルコミュニケーション技術によって創られた オルタナティブな通貨 そもそも通貨はデジタル (数字で表現されるもの) ですが、一番マシな用語 「仮想通貨」← 通貨はすべて仮想 暗に「リアルマネー (実貨幣)」という概念を強化する 「電子通貨」← 電子マネーと混同しやすい 「通貨」は流通している貨幣のことだとすると 「貨幣」とは何か ↑ デジタル通貨は、そうした疑問を喚起する 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.31/65
  55. 55. ビットコインとは何か 「必要なのは、信用ではなく暗号学的証明に もとづいた電子的支払いシステムである」 Satoshi Nakamoto, “Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System”, 2008 最初のボタンをかけ違えている その信念にもとづいて開発された P2P デジタル通貨 http://bitcoin.org/ http://www.bitcoin.co.jp 設計の随所にインフレーションへの敵意が見られる 単位は BTC (ISO 標準に基づき、コードは XBT となるか) 商品として売買されている 2013 年 11 月末、1BTC の価格が 10 万円を超え、騒ぎに 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.32/65
  56. 56. 過去1年間の相場の動き 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.33/65
  57. 57. ビットコインのかたち 安い手数料で手軽にグローバルに送金できる (それはよいことなのか) 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.34/65
  58. 58. すべての取引は追跡できる グローバルで単一な「元帳」にすべての取引を記録 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.35/65
  59. 59. ビットコインシステムの全体像 「任意の二者が、信用される第三者を必要とせずに直に取引する こと」(Nakamoto 論文) は、実は実現されていない 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.36/65
  60. 60. 基礎技術 -(暗号学的)ハッシュ値 元のデータから計算され、元のデータが少しでも 異なると大きく異なる小さな固定長の値 特定のハッシュ値となるデータを逆に計算で 求めることは事実上できない 「ダイジェスト」とも呼ばれる 「暗号学的ハッシュ関数」により計算される SHA-1 (160bit のハッシュ値を生成) SHA-256 (256bit のハッシュ値を生成) 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.37/65
  61. 61. 基礎技術 - デジタル署名 本人が送ったものであり改竄されていないことが証明できる 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.38/65
  62. 62. デジタルコインの実現 デジタル署名の チェイン 連 鎖として表現 (ここまではデジタル通貨で一般的) ダブルスペンディング 二 重 消 費を避ける仕組みは? 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.39/65
  63. 63. ブロックチェインとマイニング 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.40/65
  64. 64. POW (作業証明) による改竄防止 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.41/65
  65. 65. ビットコインと き ん 金 2100 万 BTC 弱以上はつくられない マイニングは 10 分に 1 回の割合に調整される マイニングで得られる BTC は 4 年毎に半分に (2009 年に 50BTC でスタート) 2140 年までに採掘上限に到達 ビットコインの経済圏が拡大するなら . . . → より多様で多くのモノが買えるようになる → 1BTC あたりの価値は必ず上昇する ⇒ デフレーションが組み込まれている 鉱物資源を模している 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.42/65
  66. 66. ビットコインと巨石貨幣 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.43/65
  67. 67. ビットコイン特有の事象 (1) マイニングの競争が激化し、専用ハードウェアの時代へ GPGPU → FPGA → ASIC という変化 (「赤の女王」のように) 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.44/65
  68. 68. ビットコイン特有の事象 (2) 秘密鍵を無くしたら、回復する手立てがない (何億円相当であっても) 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.45/65
  69. 69. ビットコイン特有の事象 (3) 窃盗は容易 (だが追跡も容易) 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.46/65
  70. 70. 問題点は何か 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.47/65
  71. 71. 問題点は何か 秘密鍵の紛失・漏洩に対する保障がない 個人と鍵ペアが切り離されている (匿名性の罠) 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.47/65
  72. 72. 問題点は何か 秘密鍵の紛失・漏洩に対する保障がない 個人と鍵ペアが切り離されている (匿名性の罠) 健全性に対する保証がない POW (作業証明) システムは本当に安全なのか (力は、より強い力に対して無力) (実は民主的でない) 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.47/65
  73. 73. 問題点は何か 秘密鍵の紛失・漏洩に対する保障がない 個人と鍵ペアが切り離されている (匿名性の罠) 健全性に対する保証がない POW (作業証明) システムは本当に安全なのか (力は、より強い力に対して無力) (実は民主的でない) 3 層のギャンブル性 グローバリズムへの加担 (自由と競争の誘惑) 投機の助長 (組み込まれたデフレへの期待) マイニングに潜むギャンブルの構造 (偶然性の魔力) 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.47/65
  74. 74. 問題点は何か 秘密鍵の紛失・漏洩に対する保障がない 個人と鍵ペアが切り離されている (匿名性の罠) 健全性に対する保証がない POW (作業証明) システムは本当に安全なのか (力は、より強い力に対して無力) (実は民主的でない) 3 層のギャンブル性 グローバリズムへの加担 (自由と競争の誘惑) 投機の助長 (組み込まれたデフレへの期待) マイニングに潜むギャンブルの構造 (偶然性の魔力) ⇒ 人間不在のデジタル巨石貨幣 詳しくはテクニカルレポート、または「これわか」を http://member.wide.ad.jp/tr/wide-tr-ideon-bitcoin2013-00.pdf 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.47/65
  75. 75. 「おカネ」は「問題」だ 地球規模の問題のすべての根源に、現在の「おカネ」の 問題なデザインがある 資源・エネルギー、経済、環境、. . . 多くの問題がいわゆる「経済問題」にすり替えられ てしまう 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.48/65
  76. 76. 3E トリレンマの誤謬 トリレンマ (trilemma) って何だ? 三つ巴のジレンマ (dilemma; lemma = 補助定理) エネルギー・資源 (Energy) エネルギー消費を減らすと経済が停滞する 経済 (Economy) 経済を成長させると環境が破壊される 環境 (Environment) 環境を守ろうとすると生活に必要なエネルギーを消費できない 誤謬はどこに? 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.49/65
  77. 77. 3E トリレンマの誤謬 トリレンマ (trilemma) って何だ? 三つ巴のジレンマ (dilemma; lemma = 補助定理) エネルギー・資源 (Energy) エネルギー消費を減らすと経済が停滞する 経済 (Economy) 経済を成長させると環境が破壊される 環境 (Environment) 環境を守ろうとすると生活に必要なエネルギーを消費できない 誤謬はどこに? ⇒ エネルギー・資源・環境 vs. 経済のジレンマでしかない 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.49/65
  78. 78. Q6. 「おカネ」の問題なデザイン とは 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.50/65
  79. 79. Q6. 「おカネ」の問題なデザイン とは 1. 額面上いつまでも同じ価値であること 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.50/65
  80. 80. Q6. 「おカネ」の問題なデザイン とは 1. 額面上いつまでも同じ価値であること 2. 希少であること 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.50/65
  81. 81. Q6. 「おカネ」の問題なデザイン とは 1. 額面上いつまでも同じ価値であること 2. 希少であること 3. 利子がつくこと 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.50/65
  82. 82. Q6. 「おカネ」の問題なデザイン とは 1. 額面上いつまでも同じ価値であること 2. 希少であること 3. 利子がつくこと ⇒ これらすべてが問題である 1 により他の商品に対して絶対的な優位性を持つ 2 が 3 に繋がり、必ず経済の敗者が生まれる 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.50/65
  83. 83. 資産家への「富」の集中 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.51/65
  84. 84. 本来の「富」とは何か 富というのは . . . 私たちがある数の人間のために具体 的に準備できた未来の日数のことだ 富とは未来に向かってエネルギーの再生がうまくいく ようにする私たちの能力で . . . なにかを始め、干渉さ れずに行動していく自由度を高めていく . . . 能力でも あり . . . サイバネティクス的に . . . エネルギー . . . と . . . ノウハウというふたつの主要部分に分類できる – B. フラー「宇宙船地球号操縦マニュアル」 私たちの「富」とは 1. 物質・エネルギー 2. 知識 それらを広く行き渡らせる仕組みと会計の方法は? それこそが貨幣のデザインに突きつけられた課題 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.52/65
  85. 85. Twitter で見かけた意見 (大意) 原子力が問題だから無くすってアホか だったら貧困が問題ならおカネを無くすのか 失業が問題だったら仕事を無くすのか そんなんで問題が解決するわけねぇだろ w 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.53/65
  86. 86. Q7. その意見について 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.54/65
  87. 87. Q7. その意見について 1. 仰る通りで、無くしたら問題が解決するなんて思う のはガキ 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.54/65
  88. 88. Q7. その意見について 1. 仰る通りで、無くしたら問題が解決するなんて思う のはガキ 2. 原子力の例と合わせるなら、無くすのは「貧困」や 「失業」では? 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.54/65
  89. 89. Q7. その意見について 1. 仰る通りで、無くしたら問題が解決するなんて思う のはガキ 2. 原子力の例と合わせるなら、無くすのは「貧困」や 「失業」では? 3. おカネや仕事を無くす . . . それってとってもいい 考え! 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.54/65
  90. 90. 「未来の経済は、ちょっと違っているのです。24 世紀 には、お金は存在しないのですよ。. . . 富の獲得は、 もはや私たちの生活の駆動力ではありません。私たち は、自分と社会をよりよくするために働いているの です」 — ジャン=リュック・ピカード “The economics of the future are somewhat different. You see, money doesn’t exist in the 24th century. . . . The acquisition of wealth is no longer the driving force in our lives. We work to better ourselves and the rest of humanity.” — Capt. Jean-Luc Picard 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.55/65
  91. 91. 「おカネ」や「仕事」のない社会 は珍しくありません 私たちは、みんなそこからやってきました 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.56/65
  92. 92. 「おカネ」や「仕事」のない社会 は珍しくありません 私たちは、みんなそこからやってきました それは「家族」です 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.56/65
  93. 93. 経済と信用の氷山モデル ものごとはすべて水面下で成し遂げられる 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.57/65
  94. 94. 人間のデジタル通貨 人間不在のデジタル通貨 人間のデジタル通貨 グローバルなデータ構造 (元帳) を持つ グローバルなデータ構造 (元帳) を持たない 鍵ペアを個人に帰属させない 鍵ペアを個人/法人に帰属させる (頻繁な再生成を奨励しない) POW システムを採用する POW システムを採用しない 貨幣の発行量を制限する 貨幣の発行量を制限しない 貨幣は同語反復的 貨幣が根拠 ∗ を持つようにする (ex. 同語反復しない債務証書) ∗ かつ、その根拠が時を経るにつれ減額するようにする。 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.58/65
  95. 95. 実は. . . 「人間のデジタル通貨」は、つくってあります http://www.media-art-online.org/iwat/ SFC で博士号を取得するに至った研究 普及のための技術開発とプロモーションが課題 その点でビットコインに関わる人々を尊敬します おそらくデータストレージを本位とするデジタル通貨 は可能 上記の仕組みを用い 2008 年に提案・実装 クラウド化が進んだ今風のものを作れるのでは 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.59/65
  96. 96. もうひとつ、無くすものが あります 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.60/65
  97. 97. 世界の救い方 「世界が救われるとすれば、それは古いヴィジョンと 新しいプログラムによってではない。世界が救われる とすれば、それは新しいヴィジョンと、プログラムの 不在によってである」 — ダニエル・クイン, 「B の物語」 “If the world is saved, it will not be saved by people with the old vision and new programs. If the world is saved, it will be saved by people with a new vision and no programs.” — Daniel Quinn, “The Story of B” 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.61/65
  98. 98. プログラムの不在 新しいヴィジョンは、それそのものが広まる力を持っ ていて、プログラム (=計画) を必要としない 新しいヴィジョンと「プログラムの不在」により世界 が変わった例 産業革命 (必ずしもよい方向とは言えない) インターネット (よい方向かを決めるのは私たち) 「北風と太陽」 改めてビットコインを見るとき「北風と太陽」の 両面を観測できる ビットコインは「ワンネス (oneness)」を強要する 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.62/65
  99. 99. ビットコイン = ラテ欄 UI 仮説 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.63/65
  100. 100. 私が体験していること 福島のこどもたちのための「アカデミーキャンプ」 http://academy-camp.org 「遊び」と「学び」のエクストリームな体験 どれくらいエクストリームかのご参考 http://youtu.be/JTccTl2qLCo (2012 年夏のキャンプの様子) 予算で比較すると「のんびり型」のキャンプと変わら ない ほとんどソーシャルな力で実現 宿泊費、食費、交通費が問題 ← これらさえ何とかしたい なぜか大人たちが熱中して関わってくれる 「学ぶ」「遊ぶ」「働く」「休む」を同時に楽しむ 学生スタッフもいつでも大募集中! 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.64/65
  101. 101. まとめ おカネはいろいろ問題 ビットコインも輪をかけていろいろ問題 (レベルたけ ∼!) ⇒ 従来の貨幣の概念を 360 度変える 新しいモデルでも新しいヴィジョンでもない 参照すべきなのは、従来の貨幣の概念を 180 度変える 方向 信用の海に飛び込め! そのための新しいメディア、新しい暮らし方 それらと切り離せないガバナンスとは? ↑ 若いみなさんへの宿題 新しい貨幣を前提に新しい社会秩序をつくる – ビットコインとその周辺の話題を例に – p.65/65

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