第3回「国連機関への就職ガイダンス」議事録

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【IDDP2008-09 第3回勉強会】 議事録

「国際機関就職ガイダンス」
日時: 2009年1月23日 /サセックス大学
    2009年1月24日 /ロンドン大学SOAS
講師: 外務省在ジュネーブ国際機関日本政府代表部一等書記官 井手 亮氏

共催: 外務省、英国開発学勉強会(IDDP)
http://iddp.dreamblog.jp/

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第3回「国連機関への就職ガイダンス」議事録

  1. 1. IDDP 第 3 回勉強会議事録 2009 年 1 月 23 日(金) 15:00~17:00 於 サセックス大学 2009 年 1 月 24 日(土) 14:00~16:30 於 ロンドン大学 SOAS (作成:羽田、高附) 講師: 講師:井手 亮氏 (外務省在ジュネーブ国際機関日本政府代表部 一等書記官) 外務省在ジュネーブ ジュネーブ国 機関日本政府代表部 一等書記官) テーマ: テーマ: 国際機関就職ガイダンス 機関就職 就職ガイダンス (配付資料) 1. パワーポイントスライド(国連機関への就職・ガイダンス資料) 2. 参考資料(国際公務員になるには) パンフレット 2 種類(国連機関就職を目指す方々へ/アソシエート・エキスパート(AE) 3. 等派遣制度について) 【ガイダンスの項目】 ガイダンスの項目】 ・総論:人事管理の単位、職員の種類、人事の原則 ・国連機関別、レベル別の外部候補者の採用制度 ・採用方法及び特徴:国連競争試験、JPO や採用ミッションについて ・採用に向けての取り組み:人事選考の基準、語学能力の向上、コンピテンシーの理解や応 募書類の作成方法 【ガイダンス全体】 ガイダンス全体】 全体 国連システムの システムの人事管理 1. 国連システムの人事管理 ・ 人事管理の単位 国連事務局:国連事務局内部局や地域経済委員会等、および PKO ミッション(た だし、PKO ミッションの人事は独立)。 基金・計画・専門機関: 機関毎に独立した人事管理が行われているが、 「国連共通 制度」により、給与・年金等の処遇に差がでないようになっている。なお、年金は、 国連機関で共通しており、異なる組織で働いても通算されるようになっている。 ・国連機関に勤務する職員の種類 →専門職・一般職、職種・雇用形態による区分
  2. 2. 機関・職種・雇用形態によって採用手続きや公募方法に違いがある。 ・国連機関の職員数 国連システム全体の職員数(2007 年末時点) :専門職 25,562 人、一般職 49,720 人(う ち、日本人専門職員 676 人)。日本は望ましい職員数を大幅に下回っている。 2. 国連機関の人事(採用・異動・昇進)の原則 国連機関の人事(採用・異動・昇進) ・国連機関の人事サイクルは、 「空席発生→公募→書類選考→面接→採用決定」である。 ・人事の特徴は以下の 3 つ。 1. ポスト毎に人事を行う。 2. 即戦力採用。コンピテンシーに基づく採用。 ・日本人の弱いところ:応募書類の作成や面接時の自己能力アピールで謙虚になってし まうこと。 ・電話面接:事前に電話面接の想定問答を作成する、コンピテンシーを理解する等のテ クニックを身に着けておくことが肝要となる。 3. 空席広告に応募して合格しないと異動も昇進もない。 ・日本の組織と違い、定期的な異動・昇進は無く、昇進できなければ将来的に昇給もス トップする。 ・以上の人事のルールを知った上で就職活動や採用後のキャリアを考えていかなければなら ない。国連機関では、日々の仕事をこなすことと同時に、次のポストに向けた準備を自ら行 わなければならない。 3. 国連機関別、レベル別の主な外部候補者の採用制度 国連機関別、レベル別 外部候補者の採用制度 ・国連機関の職員の採用は、レベルを問わず空席公募による採用が原則である。しかし、職 員の雇用安定のため、内部公募を優先するのが実情。内部に適任者がいない場合に、初めて 外部からの応募者が選考の対象となる。 ・外部の者のエントリーポイントとしては、「国連競争試験」「JPO」「YPP」「採用ミッ 、 、 、 ション」「PKO ミッション」等への登録(ロスター制度)や、個別空席への公募がある。 、 【国連競争試験】 ・日本国籍を有し、かつ 32 歳以下の人に受験資格がある。 ・この試験は、「望ましい職員数に達しない国」等に限定的に実施される試験。よって、日 本などの限られた国の人間のみが受けられる試験である。ただし、競争率は高い。例えば、 過去 5 年の日本人応募者は 1,400 人、そのうち筆記試験の受験者は 650 人、合格者は 16 人 である。 ・日本の公務員試験と違い、募集される職種が毎年違うことが一因。日本人の多くが専攻し ている開発学や経済学といった分野が毎年募集されるとは限らないことに注意したい。
  3. 3. 【JPO】 ・35 歳以下で日本国籍を有する人に向けた、日本政府からの国連機関派遣制度。多くの先 進国も同様の制度を有している。 ・近年、応募者が少なくなってきているため、倍率は低くなっている。 ・2008 年度の試験合格者は約 40 名。米国の次に英国での修士・博士取得者が多い。英国留 学経験者の中では、サセックス・SOAS・LSE 出身者が多い。 ・JPO から正規職員になるためには、日常の業務を問題なくこなすだけでは不十分。自ら の市場価値を高めつつ、積極的に空席公募に応募する必要。 ・各機関からは、日本人 JPO は即戦力として働きぶりを高く評価されている。 ・過去約 1,200 人を派遣し現在も国連職員として働いているのは 300 名程度 (政府職員を JPO として派遣していた時期もあるため、それらの者を除いた実質的な 残留率はもっと高い。現在では、JPO 任期満了直後の残留率は 6 割程度。) 【YPP】 ・各機関が人件費を負担して幹部候補生を育成するプログラム。機関によっては 35 歳以上 の者に門戸を開いているケースもある。 ・世界中から応募が殺到するため、高倍率である。 ・英語に加えてフランス語(もしくは他の国連公用語)が求められるため日本人には壁が高 い。 【採用ミッション】 ・一部の日本人採用に積極的な機関が実施する。国連機関への適性をみることが目的であり、 これだけで採用となるわけではない。しかし、この採用ミッションで「適性あり」と判断さ れた場合には、当該機関の内部職員向けの空席広告へのアクセスが可能となったり、実際に 応募した後の選考過程において内部職員の応募と同様の扱いとなるなどの便宜が図られる。 ・ミドル~シニアレベルの人材も募集対象となるため、JPO 等への応募資格が無い者にも チャンスがある。 ・2009 年には国連事務局の採用ミッションが 2 月末~3 月に来日・面接予定。応募締め切 り 2 月 6 日。 4. 採用に向けての取り組み 採用に けての取 【人事選考の基準】 ・日本の企業と国連機関の人事選考の違いを十分に理解しなければならない。国連機関は、 日本企業のようにポテンシャルによる採用ではなく、必要なポストへの適性があるか、即戦 力となりうるのかが採用基準である。日本のように、採用後のキャリア形成(幹部候補とな りうるか等)については考慮されない。 ・近年、国連機関はコンピテンシーを評価基準とする選考を徹底している。そのため、この コンピテンシーを十分に研究したうえで、自身の職務経験や能力を効果的にアピールするこ
  4. 4. とが不可欠。コンピテンシーについては、国連事務局が「United Nations Competency for the future」という説明資料を作成している。この資料は、次の UNDP の JPO 向けキャリア支 援ウェブサイトにも掲載されている。 http://www.jposc.org/career_management/content/career_advice/competencies-en.html ・即戦力採用のため、当該ポストに直結した学歴・職務経験重視。 【語学能力の向上】 国連機関では複数の常用語を重視する傾向にある。英語に加え、フランス語の習得が有利に 働くだろう。 【コンピテンシーの理解及び向上】 先に述べたコンピテンシーについての研究は非常に重要。理解に留まらず、相手が納得でき るよう伝えるコミュニケーション力も磨く必要がある。このコミュニケーションは日本人が 苦手とするものであるので、十分な準備をすること。 【応募書類】 ・国連機関への応募書類は、「私はこのポストに最も適した人材である」と評価者にアピー ルするための書類である。日本の履歴書のように客観的な事実のみを羅列した応募書類は評 価されない。書類の作成のヒントは、先に述べた UNDP の JPO 向けキャリア支援ウェブサ イトを参考していただきたい。 ・応募書類が人の目に触れないで終わる場合がある(システムによって応募書類の内容をキ ーワードとして拾い、募集内容とのマッチ度によって選考対象を絞り込む機関もある。キー ワード検索に負けない応募書類作りが必要)。 ・国連公用語の運用能力を尋ねる質問が応募書類には必ず存在するが、最低限、英語につい ては全ての項目を最高評価にチェックすること。 【質疑応答】 質疑応答】 【質問 1】JPO の採用の際に男女比率に関して方針はあるのか。 【回答】JPO の選考にあたっては、選考段階で男女比についての調整は入らず、実力本位 で合格を出す。 実際の数字を挙げると、応募数は 1994 年までは男女ほぼ同数であったが、 年以降、 95 応募者・合格者ともに女性が増えている。 最終合格者 65 名中女性 52 名(2001 年)というケースからも見られるよう、男女比 は年によって異なる。2007 年は、応募者 315 名(うち女性 227 名)、最終合格者 43
  5. 5. 名(うち女性 29 名)。 ただし、(JPO を経て)各機関へ応募する際は、女性であることは有利。(国連では どの機関でもジェンダー・バランスの達成を目指しており、女性が継続して働きしや すい職場である。) 【質問 2】JPO 応募時に、目指す機関を明確に特定した方がよいのか、あるいは選考プロセ スの中で軌道修正することができるのか。 【回答】応募書類には、学歴・職歴に加え、海外在住経験の有無・希望職種・希望機関名・ 希望地域を書く欄があるので、そこに希望機関(複数でも可)を書く。希望職種、機関等に に相応しい職務経験があり、書類が論理的に一貫性を持って書かれているかが重要。また、 希望機関については、合格後に最終的な意向調査を行っている。 【質問 3】JPO の合格者は、具体的にはどういうキャリアを持つ人が多いのか。 【回答】人それぞれなので、確実な道はない。外務省の専門調査員や JICA や NGO 出身者 も多い。開発分野では、ODA 案件を扱っている開発コンサルタントでの経験者も多い。実 際に派遣される先は途上国が多いため、途上国での社会人経験は有利。国連フォーラムのウ ェブサイトや配布したパンフレットに、経験者のキャリアパスが記載されているので参考に してもらいたい。 【質問 4】傾向として、募集が多い専門分野や応募が多い機関はあるのか。 【回答】JPO の派遣状況は、UNDP が約 20 名と多く、UNICEF や WFP への派遣者がこれ に次ぐ。正規職員のポストについても、開発や人道が国連の大きな柱になっているので、応 募・募集共に多い。ただ、その中で職種は細かく分かれているので具体的にどの職種の募集 が多いのかは一概には言えない。特定分野の深い専門家になってしまうと、他への応用が全 く利かなくなってしまうというリスクもある。プロジェクトのマネジメント等は応用が利く。 ポストを増やす決議など、国連の内部政治にも左右される。 【質問 5】学部から一旦就職を考えているが、将来国連での就職に向けたステップアップと して、望ましい職業・職種はあるか。 【回答】これを経験したら国連に就職できるというものはない。具体的な経験としては、 NGO や JICA、開発コンサルタントが近いが、それ以外の職業からの道が閉ざされるわけで はない。例えば、国連も一つの組織(役所)なので、どの職場にもある人事・経理等のポス トはある。国際的なことにつながる仕事の方がいいのかもしれないが、あまりこだわらずに まずは社会人としての経験を積むといい。自分のやりたいことと一貫性のある職業であると よい。
  6. 6. 【質問 6】国籍別職員数に関する資料を、国連が作成しているが、この資料に関して国連自 身はどこまで受け止め、人事に反映しようとしているのか。 【回答】採用に当たっては、 「世界最高の人材」 「幅広い地域からの人材」という基準があり、 望ましい職員数に達していない国からの採用の必要性はわかるが、人材が見つからないとい ういい訳をよく耳にする。 外務省は各機関に対し日本人職員増強について申し入れしてきているので、特にマネジメン ト層が問題意識を持っている機関は多いが、個別の採用選考に関しては Decentralise されて いる部分が多く、選考に直接関わっている各ポストの上部のマネージャーにまで問題意識が 浸透していないのが実情。 これはうがった見方だが、日本人が少なければ各国に配分が回ってくるため、日本人職員が 望ましい職員数を大幅に下回っている状況は、他国にとっては望ましい状況とも言える。 【質問 7】国際協力を目指している人は多いと思うが、JPO への応募が減っているのは、何 か理由があるのか。 【回答】明らかな原因はわからないが、JPO の応募にあたっては、英語での受験の場合 TOEFL か国連英検特 A 級の資格が必要になる。TOEFL が iBT(Internet-Based Testing)に 変更したため点数の伸び悩みから断念している人が多いのではないかと考えられている。 実際に合格している人の点数は公表していないが、語学面での足きりは行っていない。英語 力の向上は必須だが、書類応募する前にあきらめる必要はない。 【質問 8】JPO の応募資格について 35 歳以下となっているが、35 歳以上を対象にした同様 の制度はあるのか。 【回答】現在は 35 歳以上を対象とした JPO のような派遣制度はない。以下の可能性が考え られる。 ・YPP の LEAD プログラムは、P3 での応募になるが応募資格が開かれている。 ・UNICEF には、NETI(New and Emerging Talent Initiative)というプログラムがある。 ・採用ミッションで合格すると、内部公募広告へのアクセス権を持つことができる(採用ミ ッションは、ミッド・キャリアの人材も対象としている)。 【質問 9】国連機関へ応募する際に、地域を限定したいことを伝えることは、採用において 不利となるのか。 【回答】JPO では、原則として途上国のフィールドに派遣することになっている。アジア 等の特定の地域を希望することは問題ないが、あまりに勤務希望地域を限定することはお勧 めできない(その地域に人材ニーズが無ければ、将来的な正規職員としての採用はおろか、 JPO としての派遣自体が実現しない)。勤務希望地については、面接審査で必ず聞かれる点 なので、自分なりに整理した上で、面接官にアピールするのがいいのではないかと思う。
  7. 7. 【質問 10】国連事務局等の雇用形態は、「permanent」(恒久契約)なのか。 【回答】国連事務局については、競争試験に合格し採用されれば仮採用期間を経て 「permanent」を獲得することができる。 ・その他の機関については、状況はさまざま。たとえば、UNDP はポスト毎の採用を重視し ているため、JPO で UNDP に派遣された方は、その後 UNDP から他の組織に移られている ケースが多い。これに対し、UNICEF、WFP、UNHCR では、JPO を主要人材供給源として おり、多くの元 JPO が継続して勤務している。 ・専門機関の中には、何年か任期制の雇用形態で働くことによって、勤務成績が良好であれ ば、「permanent」(各機関によって名称は異なる)に移行できる場合もある。 ・機関によって人事制度は異なるが、国際人事委員会がモデルとして示した 3 類型 ( continuing, fixed-term, temporary ) に 簡 素 化 し よ う と す る 取 組 が 行 わ れ て い る 。 「continuing」(継続契約)は、これまでの「permanent」に近い。 【質問 11】P3 に昇格した以降は、その後のポストを狙うことは容易なのか。 【回答】そもそも P2 や P3 のポストで組織の中で生き残っていくのが難しい理由は、それ らのポストが組織の中で相対的に少ないということが挙げられる(ピラミッド型の人員構成 にはなっていない)。一方で、P4 のポストはそれらに比べてポスト数が多いので、P2 から P3 に比べて P3 から P4 へのステップアップはポストの数という面では有利ではある。だか らといって、その組織に所属しない者が、いきなり P4 のポストを空席公募で狙うことは相 当難しい。これを実現させるためには、例えば採用ミッションで合格したうえで、P4 に挑 戦することが考えられる。 【質問 12】PKO ミッションで日本人が少ない理由は何なのか。 【回答】雇用形態が理由であると考えられる。つまり、原則 6 か月という短期であり、その 延長は確約できないという雇用形態に原因がある。また、他の国連機関におけるベネフィッ トが PKO ミッションには期待できないということも理由として考えられる。 ・以上のような不安定な雇用形態等の理由により、PKO ミッションの平均的な空席率は 2 割程度と高いものがある。国連事務局では本年7月より新たな契約形態を導入することとし ており、今後は PKO ミッションの人事をめぐる環境も変わっていくものと思われる。 【質問 13】国際事務局の競争試験について、職務経験は必要なのか。また語学能力を証明 する資料は必要か。 【回答】競争試験の資格は、32 歳以下で、かつ希望する分野の学士以上の資格をもつもの である。したがって、職務経験がなくとも応募すること自体は可能だが、修士号や関連分野 での職務経験があった方が望ましい。書類選考の倍率が高いので、職務経験がない場合には、 試験に進むのは極めて困難。 ・競争試験において、語学能力を証明する資料を添付する必要はない。これは、空席公募に ついても同様である。JPO については、TOEFL のスコアか国連英検特 A 級の証明を添付す
  8. 8. る必要がある。いずれにせよ、応募書類を作成する際は、最低限、英語については全ての項 目を最高評価とすること。そうしないと、書類選考すらパスできない。 【質問 14】UNEP に派遣された JPO はいるのか。 【回答】いる。2007 年にナイロビ本部に 1 人。UNEP 管轄の機関であるバーゼル条約事務 局に派遣された方もいる。 【質問 15】JPO の面接にあたって重視されるポイントは何か。 【回答】 ・これまでの職務経験を踏まえ、自分がどの分野で国連に貢献できるかについて、説得力あ る説明をすることが重要。 ・JPO の応募書類作成および面接の際には、職種・地域について国連機関で十分なニーズ があるのかについて、事前に情報収集して臨んでもらいたい。また、応募書類に記入した希 望職種・地域について、面接官を納得させる説明ができるように準備すること。 ・参考になる資料として、UNDP の JPO 向けキャリア支援ウェブサイトを見ていただきた い。 http://www.jposc.org/career_management/content/career_advice/competencies-en.html) (以上)

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