ビジョンのない上司にビジョンを抱かせる時に

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ビジョンとは何か?ビジョンで何ができるか?ビジョンの作成方法について。

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ビジョンのない上司にビジョンを抱かせる時に

  1. 1. ビジョンのない上司に ビジョンを抱かせる時に ちかふじ りゅう 2009年 Copyright © 2009 Ryu Chikafuji. All Rights Reserved. 絵巻物 ∼其の壱∼ 1 http://www.frombayarea.com version 0.9
  2. 2. ∼はじめに∼ 「私の上司には、ビジョンがない」、「うちの組織に は、ビジョンがない」、「日本には、ビジョンを示せる 政治家がいない」など、最近は”ビジョン”の欠如を嘆く声 が頻繁に聞こえる。ところで、そもそも、”ビジョン”とは 何だろうか?辞書にあるような意味合いの文章を作れ ば、この手の嘆きに応えられるのだろうか?そうは思え ない。これらの文脈で、そして、多くの文脈で使われてい る”いわゆるビジョン”には、組織に関係する人々の行動に 影響を与えることを期待しているはずだ。 言葉の”定義”にこだわることに意味はない。大事なことは、 どのように”機能”させるかにある。 広○苑: ビジョンとは、組織としてのあるべき未来像が... 2 ∼はじめに∼
  3. 3. 交通安全の”スローガン”と違い、”いわゆるビジョン”には 単純な”行動”だけでなく、不確定な未来に対する”思 考”や”決断”に影響することを期待しているはずだ。言い 方を変えると、我々は”いわゆるビジョン”にそれが機能す ることを求めている。ならば、辞書の定義ではなく、ど のように”機能”させるかをベースに考えるべきである。 本書では、世界の優良企業の例を挙げつつ、上記の観点 から機能する”いわゆるビジョン”の策定方法について筆者 の意見を述べる。 スローガン 確定的に行動を求める いわゆるビジョン 不確定な未来に対する思考と行動を求める 3 ∼はじめに∼
  4. 4. なお、後述するように”いわゆるビジョン”は、組織やケー スによっては、”MISSION”であったり、”CREDO(信条)”で あったり、あるいは、”PRINCIPLE(原則)”、”VALUE”、さら には、これらがミックスされた場合もある。 本来、これらの概念は異なる意味・効果を持っており、 学問的には別々に説明されるべきであろう。しかし、本 文では煩雑さを避けるために敢えて一緒くたにする。そ こで、本文では特に断らない限り、これら概念を総称し て”ビジョン”、あるいは、 ”VISION”と記載する。 4 “VISION” “MISSION” “CREDO” “PRINCIPLE” “VALUE” ... 本文中では、区別せず、 ビジョン OR “VISION” ∼はじめに∼
  5. 5. 5 1章 VISIONLESS経営 ... 現状 2章 VISIONにどんな機能を期待するのか? ... “VISION”の機能 組織内部には、自律性・創造性・生産性を高める 組織外部からは、機会を呼び寄せる 3章 分類と事例 ... “VISION”策定の目的を4つに分類: (1) 新領域を開拓 (2) 既存領域の深堀、再定義 (3) 価値観の継承 (4) 官僚主義、旧態依然とした体質の払拭 上記、各々の事例紹介 4章 VISIONの策定について ... 4つの分類に対し: (1) → 策定方法について (2) → 策定方法について (3) → 策定への留意事項について (4) → 策定及び浸透について 5章 まとめ ... 私が言いたかったこととは 補足資料: 事例集 ... 有力企業の”VISION” ∼ 目次 ∼ 1章 VISIONLESS経営 2章 VISIONにどんな機能を期待するのか? 3章 分類と事例 4章 VISIONの策定について 5章 まとめ 付録: 有力企業の”VISION”
  6. 6. 1章 VISIONLESS経営 ∼現状の認識∼ 6
  7. 7. 組織にVISIONがないと... 我社は、一致団結して、5年後に○○分野で 売上1千億円を達成する!そのために、一 致団結して頑張るんだ! 従業員一丸となって、経常利益を伸ばして、 法令遵守して、環境にやさしくて、強い特許 を出願して、それでもって、えっと、そうだ 世界の優良企業の仲間入りを果たすんだ。こ れが、我社のビジョンだ! △△に関しては、ライバルのX社にシェ アで負けているが、皆で頑張って逆転す るんだ!やり方は何でも良いぞ! 7 1章 VISIONLESS経営
  8. 8. どこに向かって進めば良いのか、誰も自信を 持って行動できない。 8 1章 VISIONLESS経営
  9. 9. 画期的な提案があっても、承認する方だって 自信を持って承認できない... 9 1章 VISIONLESS経営
  10. 10. ”とりあえず”、みんなが否定しにくい、差し障りの ないアイデアを、恐れ恐れ進めてみる。が、 10 1章 VISIONLESS経営
  11. 11. 行き先が定かでないので、すぐに迷子になってしまう。 あるいは、猪突猛進、目を塞いだまま壁に衝突してしまう。 OR 11 1章 VISIONLESS経営
  12. 12. 担当部門以外の人は、”実は”まじめに耳を傾けてなく、 12 1章 VISIONLESS経営
  13. 13. ”恐る恐る”なので目立たないが、”実は”累積投入金額、 メンバーの精神的消耗・モチベーションの低下、機会損失 など、水に流れる損失は、莫大なものとなっている... 13 1章 VISIONLESS経営
  14. 14. “VISION”って何だろう? 14 1章 VISIONLESS経営
  15. 15. 2章 VISIONにどんな機能を期待するのか? 15
  16. 16. (*) “ABBOTT LABORATORIES”:1888年設立のシカゴを本拠地とする医 療関連企業。スイスのROCHE社と並び、世界の医療技術を100年以 上リードし続けている超優良企業。 ABBOTT LABORATORIES: OUR “PROMISE FOR LIFE” IS A STATEMENTTHAT DESCRIBES – FOR OUR CUSTOMERS, OUR COMMUNITIES, OUR SHAREHOLDERS AND ALL OF OUR STAKEHOLDERS – WHAT WE BELIEVE IN,WHAT WEVALUE,AND WHAT WE STRIVETO DELIVER IN OUR DAY-TO-DAY WORK. FOR ABBOTT EMPLOYEES, OUR PROMISE IS OUR COMPASS – GUIDING US IN OUR ACTIONS AND DECISION MAKING, TO ENSURE WE LIVE UPTOTHE HIGH EXPECTATIONS WE’VE SET FOR OURSELVES IN ORDERTO SERVE OUR STAKEHOLDERS BETTER. OUR PROMISE CHALLENGES US TO CONTINUALLY IMPROVE AND INSPIRES USTO ALWAYS AIM HIGHER. A PROMISE FOR LIFE ∼以下、STATEMENTの本文が続く∼(略) 右頁は“ABBOTT LABORATORIES(*)”の”PROMISE FOR LIFE”と呼ぶステートメントの前文で、何のためにこのス テートメントがあるのかを説明している。 前文にも、本文中にも”VISION”という言葉は一度も登場 しない。しかし、この前文は、まさに、”VISION”に求め る機能を非常に良く表している。 16 次頁に対訳を掲載 http://www.abbott.com/global/url/content/en_US/10.10:10/general_content/ General_Content_00003.htm 2章 VISIONにどんな機能を期待するのか?
  17. 17. A PROMISE FOR LIFE ~ 前文の対訳: “PROMISE FOR LIFE”は、顧客、コミュニティ、株主、そし て、すべてのステークホルダーに対し、我々が何を信 じ、何に価値を認め、また、日々の仕事を通して、何を 実行しようと努めているのかを述べたものです。 一方、ABBOTTの社員にとっては、この”PROMISE”は、自 分たちの行動や意思決定の指針であり、ステークホル ダーのために我々みずからが設定した高度の期待にこた えられることを保証するものです。また、それは、我々 社員に絶えず向上することを求め、常により高い目標を もつよう促します。 17 2章 VISIONにどんな機能を期待するのか?
  18. 18. “VISION”は、組織として社会へどのように貢献するのかを 示し、 ①組織内部に対しては、行動・決断できるレベルの具体的 な方向を示すことで、組織としての生産性を最大化できる よう進化させ、 ②組織外部のステークホルダーには、組織の将来の存在価 値を示し、賛同と期待、そして、協力を得ることを狙う。 方向 賛同 期待 18 2章 VISIONにどんな機能を期待するのか?
  19. 19. つまり、組織内部に対しては、 時代の変化(*)や機会へのアンテナ感度を向上させ、 正しい優先順位付けと取捨選択を自律的に考えさせ、 何をすべきかの議論で立ち往生させるのではなく、  どのように成果を最大化するかに力を注がせる。 (*) 市場ニーズ/顧客層、技術、インフラ、社会制度、等 “VISION” 19 2章 VISIONにどんな機能を期待するのか?
  20. 20. 組織の外部へ対しては、潜在パートナー(*)の共感と関心 を引きつける吸引力として機能する。 (*) 取引先企業や顧客、株主、あるいは、コミュニティやマスメディア、 政府関連、等 “VISION” 20 2章 VISIONにどんな機能を期待するのか?
  21. 21. 組織は長期的にはダーウィンの適者生存の法則に対峙する。 ”VISION”は、前述の機能で組織を変化に敏感な体質に変え る。つまるところ、”VISION”は変化が大きい社会の中で組織 が時代や社会に適応しながら、生存、繁栄できるようにする ことを目的としている。 21 “IT IS NOTTHE STRONGEST OFTHE SPECIESTHAT SURVIVES, NORTHE MOST INTELLIGENTTHAT SURVIVES. IT ISTHE ONETHAT ISTHE MOST ADAPTABLETO CHANGE” - CHARLES DARWIN ”最も強い種族が生き残るのでも、最も賢い種族が生き残 るのでもない。最も変化に敏感な種族が生き残るのだ。” - チャールズ・ダーウィン PICTURE FROM WIKIMEDIA COMMONS 2章 VISIONにどんな機能を期待するのか?
  22. 22. 3章 分類と事例 22
  23. 23. 人がビジョンを求める”背景”には、目的に応じ、幾つかの パターンがある。ここでは、右のように分類した。 (A) 将来への舵取り (B) 組織文化の継承 or 払拭 23 3章 分類と事例
  24. 24. まず、一つ目の目的は「将来への舵取り」。 「我々の組織は、これから、どこへ向かって進むのか?」 ビジネス教本が細分類を示唆する。つまり、考えるべくは 2つ。新領域(新事業)を開拓するか、既存領域(既存事業) を深堀、あるいは再定義するか。 (A) 将来への舵取り I) 新領域を開拓 II)既存領域の深堀、再定義 24 3章 分類と事例
  25. 25. もう一方の目的は、「組織の文化」に関わるケース。 組織がある程度、成長してくると、創業者は後世まで自分 の価値観を伝えたくなるもの。一方、組織が古くなると官 僚主義的な傾向が蔓延してくる。創業者の価値観はいびつ な解釈に導かれ、閉塞感が漂い、組織のメンバーは自己疲 弊してくる。世の中の変化がいよいよ大きくなると、旧態 依然とした体質の打破が最重要課題になる。 (B) 組織文化 I) 価値観の継承 II)官僚主義、旧態依然とした体質の払拭 25 3章 分類と事例
  26. 26. 本章では、以下、右記の各々に対する”VISION”の事例を 紹介する。 (A) 将来への舵取り I) 新領域を開拓 II)既存領域の深堀、再定義 (B) 組織文化 I) 価値観の継承 II)官僚主義、旧態依然とした体質の払拭 26 3章 分類と事例
  27. 27. (A) 将来への舵取り I) 新領域を開拓 27 事例 1 ADOBE SYSTEMS 3章 分類と事例 ∼将来への舵取り 新領域を開拓
  28. 28. ADOBE SYSTEMS: 2000年代前半、ADOBE社にはロングセラー商品も花形商 品もあり、業績は悪くなかった。しかし、将来を見渡すと マイクロソフト等の潜在競合と熾烈な競争が待ち構えてい た。 2000年に同社CEOに就任したCHIZEN氏は、将来のた めに大きな戦略転換が必要と考えた。 それまでの同社は、「良い製品を作れば売れる」という典 型的なパッケージ・ソフト販売のビジネスだった。 ドル箱商品も複数あり、業績は悪くなかった。 潜在的な競合は強者ばかり ・・・ 28 3章 分類と事例 ∼将来への舵取り 新領域を開拓
  29. 29. ADOBE社の商品には、プリンタ業界で標準になっていた ”POST SCRIPT”とオンライン出版業界で標準になっていた ”PDF READER”という製品があった。どちらも、収益への 貢献は大きくなかった。しかし、どちらもプラットフォー ム(*)と呼ばれるに相応しいくらい普及していた。 CHIZEN氏はここに注目した。つまり、ADOBEはプラット フォームを提供する会社であると。そして、右頁下に記載 した内容の ”VISION”を掲げ、自らが出演、説明するビデ オで社内外に語り始める。 (*) プラットフォーム: 広く共通に使える基盤となる製品や技術のことを呼 ぶ。例えば、WINDOWSなどのOSは、アプリを使うユーザにとっても、ま た、アプリ開発者にとってもプラットフォーム。IEやFIRE FOX、SAFARI等の WEB BROWSERもWEBにコンテンツを掲載している人やWEBアプリ開発者 にとってはプラットフォーム。EXCELを使ってアプリを開発している人に とっては、EXCELもプラットフォーム。 プリンタ制御ソフト プロ向け編集ソフト プロ向け画像編集ソフト オンライン出版 2000年頃まで:なんとなく? 『出版関連のソフトウェア・ビジネス』を展開 CHIZEN’S VISION インターネットを介して人々がより簡単に、直感的に、 効果的にアイデアや情報を伝達できるプラットフォーム提供 (本誌、「付録」を参照) 29 3章 分類と事例 ∼将来への舵取り 新領域を開拓
  30. 30. ”プラットフォーム提供”に関しては、過去2度、マイクロ ソフトとの覇権争いに勝った実績から、社内においては、 ”我々が取り組むべきこと”との認識を、外部からは、 ”ADOBEならできる”という期待を得られたであろう。 注目すべきは、当時、”何となく出版関連のソフト”を開発 していた企業が、通信アプリのプラットフォームへ進出し ようとしたことである。当時、同社にはビジョン実現に必 要な、動画や音声ストリーミング技術も、組込みソフト ウェアのノウハウもなかったであろう。 なんとなく『出版関連のソフトウェア・ビジネス』 CHIZEN’SVISION インターネットを介して人々がより簡単に、直感的に、 効果的にアイデアや情報を伝達できるプラットフォーム提供 ギャップ 30 3章 分類と事例 ∼将来への舵取り 新領域を開拓
  31. 31. CHIZEN氏のビジョンは、社員へは自分たちにどんな技術が 必要なのかを考えさせ、技術買収、企業買収などの大胆な行 動を決断させる。一方、ベンチャー企業やベンチャー・キャ ピタルに対しても夢の共有と実現へ向けた協力を集めること に繋がる。 (*) 日本の大企業、あるいは他力本願の企業は、ベンチャー・キャピタルを パートナーにすれば、つまり、投資ファンドに出資すれば、大きな新事業ネタ に繋がると考えるケースが多い。私もこの手の取り組みに関与していた。無駄 だと思う。順番が逆である。大企業側が先にビジョンを掲げ、ビジョン達成に 必要なミッシング・ピースを探す手段としてベンチャー・キャピタルを利用す るなら機能するだろうが、そうでなければ、3年後にはお決まりの「まったく 期待はずれだった」というフレーズを使うことになる。 31 “VISION” “VISION” 組織内のアンテナ感度向上 潜在パートナー吸引力 3章 分類と事例 ∼将来への舵取り 新領域を開拓
  32. 32. 右は、CHIZEN氏がCEO在籍中に実行した買収案件の一部で ある。特にFLASH PLAYERのMACROMEDIA社買収は、 ADOBE、MACROMEDIA両社にとって高い相乗効果をもたら し、名買収として評価が高い。また、ADOBE社は、GRANITE VENTURESというベンチャー・キャピタルを投資パートナー とし、同社の投資ファンドへ累計300億円くらいつぎ込んで いた。CHIZEN氏が明快なビジョンを提示していたので、 GRANITE社はCHIZEN氏と夢を共有し、同ビジョン達成に貢 献する投資ポートフォリオを容易に構築できたであろう(*)。 Glassbook Inc eBook関連のソフトウェア. Fotiva, Inc フォトアルバム、フォトシェアリング Accelio Corporation Webビジネスソリューション Syntrillium Software (事業部門買収) デジタルオーディオツール. Yellow Dragon Software XMLメッセージング、メタデータ管理ソフト. Q-LinkTechnologies Inc Javaベースのワークフロー管理. OKYZ S.A. CAD等の3D技術. Macromedia Flashプレイヤー技術 Iteration:Two RIA(Rich Internet Application)のコンサルティング会社. Mobile Innovation 携帯機器向けのユーザインタフェース設計・開発. Navisware(事業部門買収) DRM(デジタル著作権管理)部門を買収. Trade andTechnologies France CADデータ互換確保技術. InterAKT Macromediaの拡張ツール. Serious Magic Inc ビジュアル・コミュニケーションツール. Antepo Inc., オフィス向けのメッセージングシステム ........ 32 3章 分類と事例 ∼将来への舵取り 新領域を開拓 (*) Adobeが資金投入したGraniteのファンド、”AdobeVentures”シリーズは 100%Adobeが出資しているため、GraniteのWebサイトには情報は掲載されて ない。しかし、過去何度か、Adobe社のAnnual Report (Form-10K)に投資先ベン チャーの情報が記載されているので、興味のある方はそちらを参照。また、 抜粋であれば、下記のサイトでも確認できる。 http://www.adobe.com/aboutadobe/adobeventures/
  33. 33. CHIZEN氏が引退を発表した2007年末には、ADOBEはRIA (RICH INTERNET APPLICATION)と呼ばれる次世代WEBプ ラットフォームのリーダーとなった。出版業界向けのパッ ケージソフトのビジネスからWEBプラットフォーム・ビジ ネスへ転換を遂げた。”VISION”が達成された。 YOUTUBEも各新聞社/テレビ局のWEBサイトも、今ご覧に なっているSLIDESHAREもADOBE製品を使っている。 FLASH プラットフォーム製品 ドル箱製品群: プラットフォーム上で表示・再生 する編集ソフト 33 3章 分類と事例 ∼将来への舵取り 新領域を開拓
  34. 34. (A)将来への舵取り II)既存領域の深堀、再定義 34 事例 2 (1) RIZ-CARLTON (2) 緊急治療室 (3) 米国有力大学 3章 分類と事例 ∼将来への舵取り 既存領域の深堀、再定義
  35. 35. (1) THE RITZ-CARLTONの事例: 右は世界で最も有名なビジョン(CREDO, MISSION, MOTTO) の一つであり、読者の大半は大学の講義や社員研修等で 聞いたことがあるだろう。今更ながらも、素晴らしいビ ジョンである。特に、"WE ARE LADIES AND GENTLEMEN SERVING LADIES AND GENTLEMEN."。このモットーは、社 員に行動だけでなく思考も求めている。顧客や株主、取 引先には、期待や共感、協力を得るためのメッセージに なっている。 リッツカールトンでは、このビジョンを徹底するために 人事評価制度等が工夫されているそうだが、詳しくは、 同ホテルの経営手法が記載された本を参照のこと。 THE CREDO THE RITZ-CARLTON HOTEL IS A PLACE WHERETHE GENUINE CARE AND COMFORT OF OUR GUESTS IS OUR HIGHEST MISSION. WE PLEDGETO PROVIDETHE FINEST PERSONAL SERVICE AND FACILITIES FOR OUR GUESTS WHO WILL ALWAYS ENJOY A WARM, RELAXED,YET REFINED AMBIENCE. THE RITZ-CARLTON EXPERIENCE ENLIVENSTHE SENSES, INSTILLS WELL-BEING,AND FULFILLS EVENTHE UNEXPRESSED WISHES AND NEEDS OF OUR GUESTS. MOTTO ATTHE RITZ-CARLTON HOTEL COMPANY, L.L.C., "WE ARE LADIES AND GENTLEMEN SERVING LADIES AND GENTLEMEN."THIS MOTTO EXEMPLIFIESTHE ANTICIPATORY SERVICE PROVIDED BY ALL STAFF MEMBERS. 35 http://corporate.ritzcarlton.com/en/About/GoldStandards.htm 次頁に対訳を掲載 3章 分類と事例 ∼将来への舵取り 既存領域の深堀、再定義
  36. 36. 信条: リッツ・カ−ルトンホテルはお客様に心からのおもて なしをさせていただき、ゆっくりとくつろいでいただ くことを一番の使命と考えています。 私たちは、最高のパ−ソナル・サ−ビスと施設設備を ご提供し、お客様に、つねに温かく、くつろいだ気分 と洗練された雰囲気を楽しんでいただくことをお誓い します。 リッツ・カ−ルトンでのご宿泊がお客様の感性を活性 化させ、お客様にやすらぎを与え、また、お客様が言 葉で表されなかったご希望やニ−ズにもお応えさせて いただきます。 モットー: リッツ・カ−ルトン ホテル会社のモット−は「紳士 淑女のお客様に、私たちも紳士淑女の態度でおもてな しする」ということです。 このモット−のもとに、スタッフ全員がお客様のご期 待に添うサ−ビスに心がけます。 36 3章 分類と事例 ∼将来への舵取り 既存領域の深堀、再定義
  37. 37. (2) ある緊急治療室の事例: 右は、ピーター・ドラッカーの著作からの引用である。 この例でも、ミッションが緊急治療室のメンバーに行動 だけでなく思考を求め、一方、患者からは期待と共感を 得られるものになっている。 ∼ 何年か前、病院の緊急治療室のミッションの検討 に手を貸した。答えは簡単、しかもわかりきったもの だった。それは、「患者を安心させること」だった。 だが、そのためには患者の容態を早く正しく把握する ことが必要だった。この病院の緊急治療室の場合、驚 いたことに、10人に8人は特に問題もなく、一晩眠 れば治るという程度のものだった。・・・中略 ・・・ こうして私たちは、このあきれるほどわかりきった ミッションに り着いた。しかしこのミッションは、 緊急治療室に運び込まれる者は必ず1分以内に診察さ れるべきことを意味した。それがミッションから導き だされる目標だった。あとは行動するだけだっ た。・・・中略・・・必ず行うべきことは全員を直ち に診ることだった。なぜならそれが患者を安心させる 唯一の方法だからである。 ∼ ∼『非営利組織の経営』ピーター・F・ドラッカー著/上田惇生訳、ダ イヤモンド社∼より 37 3章 分類と事例 ∼将来への舵取り 既存領域の深堀、再定義
  38. 38. (3) 米国有力大学の事例: 右は、米国有力大学の”基本”ミッションである。”基本”と書 いた理由は、特に文面にされている訳ではないが、関係者 は当たり前に認識している、という意味である。 以前の仕事で、私は数百名を超える教授、研究者、産学連 携担当者と話をする機会があった。その時の感触から、右 の2つは当たり前のように認識されていた。日本の大学関 係者も、これを読めば、「そんなの分かりきっている」と 答えるかもしれない。 大学(院)のミッション ・社会の将来に役立つ人材の輩出 ・社会の将来に役立つ知識の創造 38 3章 分類と事例 ∼将来への舵取り 既存領域の深堀、再定義
  39. 39. 米国の有力大学では、このミッション達成のために何を重視 しているか?”社会の将来”のためには、当たり前だが社会を 知るのが、まず、第一に必要だ。どこかの大学のように国か らのお金が少なくなったから、仕方なく産学連携を考えるの とは、意識レベルが全然違う。 技術の標準化委員会に多くの大学関係者が参加している。企 業の戦略会議にアドバイザとして多数参加している。今後、 どんな人材が必要かを企業側と真剣に議論している。工学部 だけではない。法学部にせよ、経済学部にせよ、芸術系にせ よ、社会との絆を太くすることが最重要事項の一つとして取 り組まれている。 私のいるシリコンバレーでは、大学は社会の中心的な組織と 認識されている。 ミッション ”社会の将来に役立つ∼” 39 必要な行動、思考 社会との絆を太くする 3章 分類と事例 ∼将来への舵取り 既存領域の深堀、再定義
  40. 40. 40 事例 3 (1) MEDTRONIC (2) JOHNSON & JOHNSON (B) 組織文化の継承 or 払拭 (I) 価値観の継承 3章 分類と事例 ∼組織文化 価値観の継承
  41. 41. 41 (1) MEDTRONIC: 医療従事者や循環器疾患を煩っている方以外は、あまり馴染 みのない社名かもしれないが、MEDTRONICは医療デバイス業 界では、世界の超一流企業として君臨している会社である。 1949年、米国の片田舎、ミネソタ州ミネアポリスで医療機器 の修理工として誕生した同社は、その後、心臓ペースメー カーの開発を契機に医療デバイスの世界のリーディング・カ ンパニーへと成長を続る。 その過程で、創業者、アール・バッケンが彼の同社に対する 思いを継承する目的で残したのが、次に記載するミッション である。まずは、同ミッションの前文を右に記載する。 EARLY IN MEDTRONIC'S HISTORY, CO-FOUNDER EARL BAKKEN WAS OVERCOME BYTHE EMOTIONAL RESPONSE PATIENTS HADTO HIS PRODUCTS.THEY WERE OVERJOYEDTO REGAIN MOBILITY, FEEL BETTER, AND SOMETIMES EVENTO BE ALIVE AS A RESULT OF MEDTRONIC'S WORK. EARL WANTEDTHAT HUMAN BENEFITTO BETHE COMPANY'S MAIN PURPOSE, SO HE ANDTHE BOARD OF DIRECTORS PRODUCED A FORMAL STATEMENT OFTHE COMPANY'S OBJECTIVES. NEARLY A HALF-CENTURY LATER,THAT MISSION CONTINUESTO SERVE AS AN ETHICAL FRAMEWORK AND AN INSPIRATIONAL GOAL FOR EMPLOYEES AROUNDTHE WORLD. IT GUIDES OUR DAY-TO-DAY WORK AND REMINDS USTHAT OUR EFFORTS ARE CHANGINGTHE FACE OF CHRONIC DISEASE FOR MILLIONS OF PEOPLE. 次頁に対訳を掲載 http://www.medtronic.com/about-medtronic/our-mission/index.htm 3章 分類と事例 ∼組織文化 価値観の継承
  42. 42. 42 メドトロニック社が創立されて間もない頃、共同創立者 のア−ル・バッケンは彼の製品に対する患者たちの喜び の反応に圧倒されるほどでした。それまで動くことがで きなかった患者が動けるようになったり、病状が快方に 向かったり、また、時には、メドトロニック社のおかげ で命を救ってくれたといって大喜びだったのです。 ア−ル・ベッケンは人々のために尽くすということを会 社の主要な目的にしたいと考え、自分を含む取締役会で わが社の目的を表明する公式のステ−トメントを作成し たのでした。およそ半世紀たったいまでも、そのミッ ションはわが社の世界中の従業員にとっての包括的倫理 規範として、精神的な目標として、役立っているので す。それはわれわれの日々の業務の指針であり、われわ れの努力が何百万人もの人々にとって、慢性病の様相を 大きく変えていっているのだ、ということを思い起こさ せてくれるのです。 3章 分類と事例 ∼組織文化 価値観の継承
  43. 43. 43 右が、1960年に創業者ア−ル・バッケンにより起案され、取 締役会で公式に採用されたミッションである。 医療デバイスに少しでも関係する学会では、必ずと言ってい い程、同社の社員を見かける。同社がベンチャー企業に投資 している金額は、一流のベンチャーキャピタル並みであり、 運用実績に至っては、超一流と言って良いだろう。同社が本 拠地を置くミネアポリスは、人口40万人弱の地方都市にも関 わらず、医療デバイス関連では、質・量共にシリコンバレー と並び世界最高峰の産業クラスターを形成している。 MISSION: TO CONTRIBUTETO HUMAN WELFARE BY APPLICATION OF BIOMEDICAL ENGINEERING INTHE RESEARCH, DESIGN, MANUFACTURE,AND SALE OF INSTRUMENTS OR APPLIANCESTHAT ALLEVIATE PAIN, RESTORE HEALTH,AND EXTEND LIFE. TO DIRECT OUR GROWTH INTHE AREAS OF BIOMEDICAL ENGINEERING WHERE WE DISPLAY MAXIMUM STRENGTH AND ABILITY;TO GATHER PEOPLE AND FACILITIESTHATTENDTO AUGMENTTHESE AREAS; TO CONTINUOUSLY BUILD ONTHESE AREASTHROUGH EDUCATION AND KNOWLEDGE ASSIMILATION;TO AVOID PARTICIPATION IN AREAS WHERE WE CANNOT MAKE UNIQUE AND WORTHY CONTRIBUTIONS. TO STRIVE WITHOUT RESERVE FORTHE GREATEST POSSIBLE RELIABILITY AND QUALITY IN OUR PRODUCTS;TO BETHE UNSURPASSED STANDARD OF COMPARISON ANDTO BE RECOGNIZED AS A COMPANY OF DEDICATION, HONESTY, INTEGRITY,AND SERVICE. TO MAKE A FAIR PROFIT ON CURRENT OPERATIONSTO MEET OUR OBLIGATIONS, SUSTAIN OUR GROWTH,AND REACH OUR GOALS. TO RECOGNIZETHE PERSONAL WORTH OF EMPLOYEES BY PROVIDING AN EMPLOYMENT FRAMEWORKTHAT ALLOWS PERSONAL SATISFACTION IN WORK ACCOMPLISHED, SECURITY,ADVANCEMENT OPPORTUNITY,AND MEANSTO SHARE INTHE COMPANY'S SUCCESS. TO MAINTAIN GOOD CITIZENSHIP AS A COMPANY. 次頁に対訳を掲載 3章 分類と事例 ∼組織文化 価値観の継承 http://www.medtronic.com/about-medtronic/our-mission/index.htm
  44. 44. 44 使命: 医用生体工学の応用により、患者の苦痛を緩和し、健 康状態を回復させ、患者の生命を延ばすための器機や 装置の研究、設計、製造、製品販売を通じて、人類の 福祉に貢献すること。 わが社がその力を最大限発揮している医用生体工学の 分野でのさらなる発展を目指すこと;これらの分野を いっそう発展させるための人材を集め、また、施設を 充実させること;教育と知識を同化させ、引き続きこ れら医用生体工学の分野の応用を基礎にすえていくこ と;また、わが社が独自の価値ある貢献ができない分 野への参入は避けること。 わが社の製品の可能な限り最大の信頼獲得と最高の品 質追求のための努力を惜しまないこと;比較の上では 他社の追随を許さず、奉仕、正直、誠実、そしてサ− ビス精神に満ちた企業として認知されること。 当期営業での適正な利益をあげ、企業としての責任を 果たし、成長を維持し、目標を達成すること。 従業員の個人としての価値を認めること。そのため に、従業員に、仕事の達成感や安心感、昇進の機会、 会社の成功を分かち合う方法を含む雇用形態を提供す ること。 企業として、よき市民であり続けること。 3章 分類と事例 ∼組織文化 価値観の継承
  45. 45. 45 (2) JOHNSON & JOHNSON: 右は創業家出身で、1963年まで同社会長を務めたRobert Wood Johnsonが策定したCREDO(信条)である。現在までに36の言 語に翻訳、世界中のグループカンパニーに配られている。 策定されたのは1943年というから戦時中だが、CSR (CORPORATE SOCIAL RESPONSIBILITY)がやかましく言われる 今日ですら、CSRのステートメントとして、そのまま使えそう な内容になっている(とWEBでも自慢している)。 創業120年を超えてなお成長を続ける世界の超優良企業。今回 の金融危機でも株価がほとんど下がっていないが、この先見 性に優れたCREDOがその一因だろうか。 OUR CREDO: WE BELIEVE OUR FIRST RESPONSIBILITY ISTOTHE DOCTORS, NURSES AND PATIENTS,TO MOTHERS AND FATHERS AND ALL OTHERS WHO USE OUR PRODUCTS AND SERVICES. IN MEETINGTHEIR NEEDS EVERYTHING WE DO MUST BE OF HIGH QUALITY. WE MUST CONSTANTLY STRIVETO REDUCE OUR COSTS IN ORDERTO MAINTAIN REASONABLE PRICES. CUSTOMERS’ ORDERS MUST BE SERVICED PROMPTLY AND ACCURATELY. OUR SUPPLIERS AND DISTRIBUTORS MUST HAVE AN OPPORTUNITYTO MAKE A FAIR PROFIT. WE ARE RESPONSIBLETO OUR EMPLOYEES,THE MEN AND WOMEN WHO WORK WITH USTHROUGHOUTTHE WORLD. EVERYONE MUST BE CONSIDERED AS AN INDIVIDUAL. WE MUST RESPECTTHEIR DIGNITY AND RECOGNIZE THEIR MERIT. THEY MUST HAVE A SENSE OF SECURITY INTHEIR JOBS. COMPENSATION MUST BE FAIR AND ADEQUATE,AND WORKING CONDITIONS CLEAN, ORDERLY AND SAFE. WE MUST BE MINDFUL OF WAYSTO HELP OUR EMPLOYEES FULFILLTHEIR FAMILY RESPONSIBILITIES. EMPLOYEES MUST FEEL FREETO MAKE SUGGESTIONS AND COMPLAINTS. THERE MUST BE EQUAL OPPORTUNITY FOR EMPLOYMENT, ... 続きは、こちらを参照 http://www.jnj.com/wps/wcm/connect/ 30e290804ae70eb4bc4afc0f0a50cff8/our-credo.pdf?MOD=AJPERES 次頁に対訳を掲載 3章 分類と事例 ∼組織文化 価値観の継承
  46. 46. 46 我が信条: 我々の第一の責任は、我々の製品およびサービスを使用し てくれる医師、看護師、患者、そして母親、父親をはじめ とする、すべての顧客に対するものであると確信する。 顧客一人一人のニーズに応えるにあたり、我々の行なうす べての活動は質的に高い水準のものでなければならない。 適正な価格を維持するため、我々は常に製品原価を引き下 げる努力をしなければならない。顧客からの注文には、迅 速、かつ正確に応えなければならない。我々の取引先に は、適正な利益をあげる機会を提供しなければならない。 我々の第二の責任は全社員 ——世界中で共に働く男性も 女性も—— に対するものである。社員一人一人は個人と して尊重され、その尊厳と価値が認められなければならな い。社員は安心して仕事に従事できなければならない。待 遇は公正かつ適切でなければならず、働く環境は清潔で、 整理整頓され、かつ安全でなければならない。 社員が家族に対する責任を十分果たすことができるよう、 配慮しなければならない。 社員の提案、苦情が自由にできる環境でなければならな い。 能力ある人々には、雇用、 能力開発および昇進の機会が 平等に与えられなければならない。... 続きは、こちらを参照 http://www.jnj.co.jp/group/community/credo/index.html 3章 分類と事例 ∼組織文化 価値観の継承
  47. 47. 47 事例 4 (1) GE (2) IBM (3) 日産 (4) GM (B) 組織文化 II) 官僚主義、旧態依然とした体質の払拭 3章 分類と事例 ∼組織文化 官僚主義、旧態依然とした体質の払拭
  48. 48. 大きな組織に所属したことがあれば容易に想像できると思う が、存亡の瀬戸際に立たされない限り、組織文化を変えるこ とは非常に難しい。存亡の危機に してすら難しいだろう。 90年代、GE(*)、IBM、日産、GMが経営危機に陥った。 (*) GEは、危機の予兆があるだけで業績は悪くなかったが。 48 “これは重大な危険である。それでは自分たちが行っ ていることが何であり、なぜであるかが分からな い。意味のなくなった時代遅れの規則を経営政策と 名付け、聖なる牛のように扱うことにもなる。” ー 『企業とは何か』ピーター F. ドラッカー 3章 分類と事例 ∼組織文化 官僚主義、旧態依然とした体質の払拭
  49. 49. GEは危機の予兆の段階で、IBMは危機に陥った段階で、CEO の断固とした決意の下、徹底的な組織文化の改革を遂行し た。数年後、そして今も、GEとIBMは世界の超優良企業に返 り咲いている。 日産は危機に行き詰まり、独自再建を諦めた。その後、ル ノー傘下に入り、親会社から送られた新CEOの氏の下、組 織文化の改革を断行。数年後、ルノーグループの一員として ブランドと共に蘇った。 一方、GMは組織文化には手を付けず、リストラと新規事業 への投資で乗り切ろうとした。そして、昨年から今年にか けて、その醜悪な企業文化が白日の下に晒される結果と なった。 49 GE 経営危機に陥る前に改革断行。世界の超優良企業 の地位を維持。 IBM 経営危機に陥った後、社外から新CEOを招き、改 革を断行。世界の超優良企業に返り咲く。 日産 独自再建を諦めルノー傘下に入る。ルノーから送 られてきた新CEOの下、改革を断行。最も利益率 の高い自動車メーカーに蘇る。 GM 組織文化には手を付けず、リストラと新事業への 投資で乗り切ろうとした。一時好転しかけたが、 再び長期的に衰退、連邦破産法11条適応へ。 経営危機に対する各社の対応とその後の経過 3章 分類と事例 ∼組織文化 官僚主義、旧態依然とした体質の払拭
  50. 50. (1) GE: 右は、GEのジャック・ウェルチ氏が掲げた”VISION”である。 発表されたのは内輪の会議ではなく、CEO就任後、初の ウォールストリートへの経営説明会だった。それまで、終身 雇用が暗黙の了解だった同社では、これを聞いた社内の ショックは、凄まじかったであろう。 ウェルチ氏は、最初の2年間で71の事業と製品群を売却、一方 で買収、合併、出資案件は計118にものぼった(*)。 (*) 『ジャック・ウェルチ わが経営』ジャック・ウェルチ他、宮本喜一訳 日 経ビジネス文庫 50 「世界でもっとも競争力のある企業になる。そのため にすべての市場でナンバー1かナンバー2になる。そ の可能性のない事業はテコ入れするか、売却するか、 閉鎖する」 (1981∼1995年までのGEのミッション) ー『ウィニング 勝利の経営』- JACK WELCH著 / 斎藤聖美訳、 日本経済新聞社 (*) ウェルチ氏はIBMのガースナー氏と異なり、GE生え抜きの社員、つまり大 学院を出てからGE一筋の人物。しかも、MBAではなく、工学博士の技術者。 3章 分類と事例 ∼組織文化 官僚主義、旧態依然とした体質の払拭
  51. 51. この発表と、その後、有名になった”選別(*)”方式で、ウェル チ氏は数年以上、マスコミからしばしば吊るし上げられ、ま た、社内でも戦々恐々の時期が続いた。毎日、社員から山の ような抗議の手紙が届いた。中性子爆弾(建物は残して人だけ 殺す)のあだ名が付くなど、マスコミの格好の 食になった。 しかし、ウェルチ氏は怯むことなく信念を通し、GEを最強の 企業文化へと変身させた。 (*) 人事査定でトップ20%、ミドル70%、ボトム10%に分類、トップには手厚い報 酬を与え、一方、ボトムは自動的に解雇される仕組み。ウェルチ氏自身は、経 営幹部だけを対象としたが、その後、下部組織でも採用。 ある日、突然、解雇を言い渡される方式より、この方式の方が次への準備期間 が長いので、社員にとって実は安心できる方式である。選別を経験したことの ある知人は、悪くない印象を一様に持っている。今日では、シリコンバレーで も大手優良企業を中心に選別的な方法を採用している企業も増えた。 51 私の経験からいえば、効果的なミッション・ステート メントは、基本的には次の問いかけに回答を与えるも のである。 「私たちはこのビジネスでどうやって勝とうとしてい るのか」 「古きよき時代に私たちは何をうまくやってきたか」 に答えるものではない。 「どの事業部門や役員もカッカとしないですむよう に、我々の事業を表現するにはどうすればよいのか」 でもない。 ー『ウィニング 勝利の経営』- JACK WELCH著 / 斎藤聖美訳、 日本経済新聞社 3章 分類と事例 ∼組織文化 官僚主義、旧態依然とした体質の払拭
  52. 52. (2) IBM: 転換を迫られた企業の舵取りを物語った著作としては、 ル イス・ガースナー氏(IBM 前CEO)の『巨像も踊る(*)』がMBA コースなどで推薦書になるなど著名である。 90年代初め、IBMは現在の米国自動車ビッグ3のように深刻 な経営危機に陥り、12万人以上の解雇者を出し、アナリス ト等からは「存在価値のない会社」、「数年で潰れる」と 酷評を受けていた。ご存知のように、 IBMはガースナー氏 の指揮下、当時のハードウェア中心のビジネスモデルか ら、その後、サービス中心の超優良企業へと華麗なる変身 を遂げる。 (*) 原作は、”WHO SAYS ELEPHANTS CAN’T DANCE?”、山岡洋一・高遠裕子 両氏の邦訳で日本経済新聞社から出版されている。 MISSION: “WE STRIVETO LEAD INTHE INVENTION, DEVELOPMENT AND MANUFACTURE OFTHE INDUSTRY'S MOST ADVANCED INFORMATIONTECHNOLOGIES, INCLUDING COMPUTER SYSTEMS, SOFTWARE, STORAGE SYSTEMS AND MICROELECTRONICS.WETRANSLATETHESE ADVANCEDTECHNOLOGIES INTOVALUE FOR OUR CUSTOMERSTHROUGH OUR PROFESSIONAL SOLUTIONS, SERVICES AND CONSULTING BUSINESSES WORLDWIDE.” 52 次頁に対訳を掲載 3章 分類と事例 ∼組織文化 官僚主義、旧態依然とした体質の払拭 (*) 上記の”VISION”は、ガースナー氏の時代のものであるが、同氏の著 書には登場しない。
  53. 53. ミッション: 我々は、コンピュータ・システム、ソフトウェア、スト レージ・システム、及びマイクロ・エレクトロニクスを 含む領域で、 産業界で最も進んだ情報技術の発明、開 発、製造で世界をリードし続ける。 そして、ワールドワイドに広がるプロフェッショナル・ ソリューション、サービスおよびコンサルティング・ビ ジネスを通して、これらの技術をお客様にとって価値 の高い製品へと結びつけていく。 53 3章 分類と事例 ∼組織文化 官僚主義、旧態依然とした体質の払拭
  54. 54. 一方、同時進行で創業者が築き、その後、時代に適合しな くなった企業文化を改革するという難事業も達成する。そ して、この難事業達成に向けガースナー氏が導入した ”い わゆるビジョン”が右に挙げる ”PRINCIPLES”になる。 (*) ガースナー氏がCEO就任時のIBMの企業文化に関する記載は、閉塞感が 蔓延する現在の日本の大手企業、役所、学校等の組織文化に驚くほど重な るところが多い。今の組織文化に問題意識のある方は、一読されることを 勧める。 PRINCIPLES: THE MARKETPLACE ISTHE DRIVING FORCE BEHIND EVERYTHING WE DO. AT OUR CORE,WE ARE ATECHNOLOGY COMPANY WITH AN OVERRIDING COMMITMENTTO QUALITY. OUR PRIMARY MEASURES OF SUCCESS ARE CUSTOMER SATISFACTION AND SHAREHOLDERVALUE. WE OPERATE AS AN ENTREPRENEURIAL ORGANIZATION WITH MINIMUM BURENCRACY AND A NEVER-ENDING FOCUS ON PRODUCTIVITY. WE NEVER LOSE SIGHT OF OUR STRATEGICVISION. WETHINK AND ACT WITH A SENSE OF URGENCY. OUTSTANDING, DEDICATED PEOPLE MAKE IT ALL HAPPEN, PARTICULARLY WHENTHEY WORKTOGETHER AS ATEAM. WE ARE SENSITIVETOTHE NEEDS OF ALL EMPLOYEES ANDTHE COMMUNITIES IN WHICH WE OPERATE. 54 次頁に対訳を掲載 3章 分類と事例 ∼組織文化 官僚主義、旧態依然とした体質の払拭
  55. 55. 原則 市場こそが、すべての行動の背景にある原動力である 当社はその核心部分で、品質を何よりも重視するテク ノロジー企業である 成功度を測る基本的な指標は、顧客満足度と株主価値 である 起業家的な組織として運営し、官僚主義を最小限に抑 え、つねに生産性に焦点を合わせる 戦略的なビジョンを見失ってはならない 緊急性の感覚をもって考え行動する 優秀で熱心な人材がチームとして協力し合う場合にす べてが実現する 当社はすべての社員の必要とするものと、事業を展開 するすべての地域社会に敏感である (*) 『巨像も踊る』山岡洋一氏、遠藤裕子氏の翻訳。同著書中では、各々 の補足説明があり、そちらも是非、参照頂きたい。 55 3章 分類と事例 ∼組織文化 官僚主義、旧態依然とした体質の払拭
  56. 56. 『巨像も踊る』は、企業文化の改革にウェイトを置いた著 作になっているが(実際、前述の”MISSION”は本書には記載 されていない)、同氏の活動は、IBMの企業文化を時代・社 会に柔軟に適合できる体質改善活動であったのだろう。 56 手続き、ルール、プロセス 作られた当初は機能するが、... 歳月とともに当初の形態と意図から 外れ、形骸化、手段の目的化へ 閉塞的、官僚主義の組織へ 手続き、ルール、プロセスを破壊、一掃 原則によるリーダーシップへ 3章 分類と事例 ∼組織文化 官僚主義、旧態依然とした体質の払拭
  57. 57. (3) 日産: 92~99年の8年で7度の赤字、有利子負債額2兆1千億円、 2000年3月期には6800億円を超える最終赤字が予想されて いた。今となっては、昨今のGMの破綻と比べると見劣り する数字(?)かもしれないが、当時は絶望的な状態と見なさ れていた。 右は、2005年、再建成功後にCNNが行ったカルロス・ゴー ン氏へのインタビューからの抜粋である。 57 となった3つの要因 (再生へ向けた)シンプルな”VISION” - 我々はどこに向かっているのか - 目的地はどこか 戦略 - どうやってそこに り着くのか - どんなアクション・プランか コミットメント -上記が経営のどのレベルにも浸透され、また、誰 もが自分にどんな貢献が期待されているかを知っ ていることを確かなものとする。その上で、経営 トップからの強いコミットメントを感じなければ ならない。 - “CARLOS GHOSN: NISSAN’STURNAROUND ARTIST”, BENJAMIN, CNN http://edition.cnn.com/2005/BUSINESS/04/20/boardroom.ghosn/ 3章 分類と事例 ∼組織文化 官僚主義、旧態依然とした体質の払拭
  58. 58. ゴーン氏著作の”SHIFT - INSIDE NISSAN’S HISTORICAL REVIVAL”から、再建時のビジョンを表している部分を右に記 載する。 58 “I KNOW AND I MEASURE HOW MUCH EFFORT, HOW MUCH SACRIFICE,AND HOW MUCH PAIN WE WILL HAVETO ENDURE FORTHE SUCCESS OFTHE NISSAN REVIVAL PLAN. BUT BELIEVE ME,WE DON'T HAVE A CHOICE,AND IT WILL BE WORTH IT. WE ALL SHARED A DREAM: A DREAM OF A RECONSTRUCTED AND REVIVED COMPANY, A DREAM OF A THOUGHTFUL AND BOLD NISSAN ON TRACK TO PERFORM PROFITABLE GROWTH IN A BALANCED ALLIANCE WITH RENAULT TO CREATE A MAJOR GLOBAL PLAYER IN THE WORLD CAR INDUSTRY. THIS DREAM BECOMES TODAY A VISION WITH THE NISSAN REVIVAL PLAN. THIS VISION WILL BECOME A REALITY AS LONG AS EVERY SINGLE NISSAN EMPLOYEE WILL SHARE IT WITH US.” - "SHIFT - INSIDE NISSAN'S HISTORIC REVIVAL", CARLOS GHOSN, ET AL. 次頁に対訳を掲載 3章 分類と事例 ∼組織文化 官僚主義、旧態依然とした体質の払拭
  59. 59. 59 私には「日産再建計画」の成功のために、われわれ が、どれだけの努力をし、どれだけの犠牲を払い、ど れだけの痛みに耐えねばならないかわかっている。し かし、私を信じて欲しい。われわれには選択の余地は ないし、また、そうする価値があるのだ、ということ を。われわれ社員一同は一つの夢を共有するのだ。会 社が再建され、復活した姿を見せる日の夢、ルノ−と のバランスのとれた提携により、収益をあげ、成長へ の軌道に乗った細心にして大胆な日産の夢、そして、 日産が、世界の自動車産業界の主役になる日の夢を。 この夢が「日産再建計画」のビジョンになる。この夢 は日産の従業員の一人残らず全員がともに分かち合っ てこそ現実になるのだ。 - "SHIFT - INSIDE NISSAN'S HISTORIC REVIVAL", CARLOS GHOSN, ET AL. 3章 分類と事例 ∼組織文化 官僚主義、旧態依然とした体質の払拭
  60. 60. 戦略、アクション・プランは良く知られた”NISSAN REVIVAL PLAN”である。大胆なコスト計画が柱となった衝 撃のアクション・プランであった。 このプランの前半で、経営危機に陥った要因分析とし て、それまでの企業文化を右のように取り上げている。 60 http://www.nissan-global.com/JP/DOCUMENT/PDF/FINANCIAL/REVIVAL/ DETAIL/1999/fs_re_detail1999h.pdf 過去の業績不振の原因 利益追求の不徹底 顧客志向性の不足 機能、地域、職位横断型業務の不足 危機意識の欠如 共有ビジョンや共通の長期計画の欠如 3章 分類と事例 ∼組織文化 官僚主義、旧態依然とした体質の払拭
  61. 61. さらに、右の目標を掲げ、経営トップのコミットメント として、もし、右の項目の1つでも期日までに達成でき なければ、ゴーン氏を含む経営陣全員が退任することを 記者会見の場で表明した。 61 http://www.nissan-global.com/JP/DOCUMENT/PDF/FINANCIAL/REVIVAL/ DETAIL/1999/fs_re_detail1999h.pdf 2000年度に連結当期利益の黒字化を達成 2002年度に連結売上高営業利益率4.5%以上を達成 2002年度末までに自動車事業の連結実質有利子負債 を7000億円以下に削減 3章 分類と事例 ∼組織文化 官僚主義、旧態依然とした体質の払拭
  62. 62. その後は周知のように、日産は当初の計画を1年前倒しで 達成する。また、2003年までに2兆1千億円の借金を完済。 2004年の時点で、自動車メーカーで世界で最も営業利益率 の高いメーカーになった。 62 3章 分類と事例 ∼組織文化 官僚主義、旧態依然とした体質の払拭
  63. 63. (4) GM: GMは前述の3社と異なり、組織文化には手を付けなかっ た。いや、付けられなかった。何故、組織文化の改革に着 手できなかったのか?過去の偉大な経営者、アルフレッド P. スローン(*1)と彼が残した一冊の本の影響が大きいだろ う。4章の「価値観の継承」で述べることが当てはまる が、1963年に出版された同氏の著作の存在が大きすぎたの だ。これについては、立命館大学の坂本和一教授の論文に 詳しく記載されている(*2)。 63 (*2) http://www.ritsumei.ac.jp/~kazuichi/profile/2008.1.pdf (*1) MITの経営大学院、”Sloan School of Management”の 設立者 3章 分類と事例 ∼組織文化 官僚主義、旧態依然とした体質の払拭 日本語版は『GMとともに』のタイトルでダイヤモンド社から出版されてい る。現在も経営書のバイブルと称賛されている。 http://www.amazon.com/Years-General-Motors-Alfred-Sloan/dp/0385042353/ ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1254532694&sr=8-1
  64. 64. 64 3章のまとめ 3章 分類と事例
  65. 65. 3章では、右の4つのケースに対し、それぞれ事例を紹介 した。各々のケースで登場するステートメントは、教科書 の言葉では、ビジョンだったり、ミッションだったり、原 則だったりと様々だ。一方で、全ての事例に共通して言え るのは2章で述べた機能である。つまり、どの ”VISION” も、組織内のメンバーへ変化への感度を高め、自律的に考 え、行動することを支える基準になり、組織外のステーク ホルダーへは、賛同と理解、そして協力を呼びかける内容 になっている。 次章では、”VISION”の策定について述べる。 65 (A) 将来への舵取り I) 新領域を開拓 II) 既存領域の深堀、再定義 (B) 組織文化 I) 価値観の継承 II) 官僚主義、旧態依然とした体質の払拭 3章 分類と事例
  66. 66. 4章 VISIONの策定について 66
  67. 67. ”VISION”策定を目的に”VISION”を策定してはならない。 当たり前のことだが、現実には、多くの組織で計画書の 体裁を整えるために”VISION”を作成していないだろうか? 3章を記載した理由は、ここにある。 機能する”VISION”は、策定段階で明確な目的がある。 経営企画部が作成した事業計画書ひな形の項目を埋める ためではない。 67 まず、“VISION”策定の目的を明確に。 “VISION”策定という手段を目的化しないように。 4章 VISIONの策定について
  68. 68. 組織が置かれる状況は様々であり、”VISION”を策定する目的 も多様であろう。しかし、多くの場合、目的は3章で取り上 げた右の4項目に分類できると思う。 そこで、以降では、この分類毎に策定に関して述べる。 68 (A) 将来への舵取り I) 新領域を開拓 II) 既存領域の深堀、再定義 (B) 組織文化 I) 価値観の継承 II) 官僚主義、旧態依然とした体質の払拭 4章 VISIONの策定について
  69. 69. 69 (A) 将来への舵取り I) 新領域を開拓 VISIONの策定方法について 4章 VISIONの策定について∼将来への舵取り(新領域を開拓)
  70. 70. 前述のADOBEの例が示すように、組織がどこに向かうのか、 そのためにどんなことに敏感にならなければならないのか、 どんなアイデアが歓迎されるのか、組織内外に理解してもら う必要がある。そして、理解してもらうためには根拠が不可 欠だ。新しい領域に踏み込み、そこで成功できることを組織 内外に伝えられるストーリーが必要になる。 新領域開拓を目的とする”VISION”には、右の要件を満たす必 要がある。 70 組織内部に対して: 『我々だからこそ、やるべき領域である』 と自覚できること 組織外部に対して: 『彼らなら、実現できるかもしれない』と 期待を持たせられること 4章 VISIONの策定について∼将来への舵取り(新領域を開拓)
  71. 71. ADOBEは通信アプリの会社ではなかった。しかし、プラット フォーム競争では巨人MICROSOFTにすら連勝していた。通信 アプリという切り口では、社内外で賛同を得ることは難し かっただろう。しかし、プラットフォームとなれば、社内は 「それは我々が」と奮起し、社外は「ADOBEなら」と期待を 抱けただろう。 71 自分たちの強み 自分たちが誇れる実績(世の中への貢献) 4章 VISIONの策定について∼将来への舵取り(新領域を開拓)
  72. 72. 新領域開拓を目的とするなら、組織内には奮起を、外部に は期待を起こさせるシナリオが必要だ。そのためには、 まず、右の項目の少なくとも一方、すなわち、良い意味で の自分達らしさを、真 に、客観的に考える。 72 自分たちの強み 自分たちが誇れる実績(世の中への貢献) 4章 VISIONの策定について∼将来への舵取り(新領域を開拓)
  73. 73. 強みはあるのか?誇れる実績はあるのか?「そんなもん、 あるなら苦労しない」とふて腐るリーダーもいるだろう。 反対に、客観的には、全然、強みでないことを強みと自己暗 示に懸命になるリーダーもいるだろう。 しかし、ここは、手を抜いたり、諦めることはできない。 新領域に手を付けられる組織は、普通は多少なりとも誇れる 過去があるはずである。見方を変え、見る対象を変えれば、 探し求めたピースは見つかるはずである。 73 自分たちの強み 自分たちが誇れる実績(世の中への貢献) 4章 VISIONの策定について∼将来への舵取り(新領域を開拓)
  74. 74. 組織の内外を認めさせられるピースが見つかったら、次はい よいよ、ビジョンのシナリオ策定に取り組む。 「俺には、そんなセンスはない」と萎縮してしまうかもしれ ない。もし、全く新しいアイデアを打ち立てるのであれば、 相応のクリエイティビティを要求されるだろう。だが、そん なことは稀である。我々が考えつくアイデアと似たアイデア は、ほぼ確実に、既に誰かが考えている。 ADOBEのRIA、IBMのサービス事業、APPLEのIPOD/IPHONE、 いずれも、全く新しいシナリオではなかった。 74 VISON - 強み・実績を絡めたシナリオ作り 4章 VISIONの策定について∼将来への舵取り(新領域を開拓)
  75. 75. 他社やベンチャー企業等の構想を日頃から気にかける。対象 範囲を広め、異分野や海外市場も貪欲に情報を取りに行く。 この過程を通し、事業性に魅力があり、尚かつ、自分たちの 強み・実績が活かせるシナリオを探し、模倣し、強み・実績 を組込み、自分たちの組織へフィットさせる。 ビジョンのシナリオ策定は、結局のところ、いかに多くの構 想案を日頃、耳にしているかに掛かっている。 75 坂本龍一 「作曲の95%は過去の遺産を糧にしており、作曲家自身 の発明はせいぜい1∼2%、最大でも5%くらいのもの」 ジョン・レノン 「僕らの曲をオリジナルだなんていわないでくれ。あ りゃ全部パクリだよ」 4章 VISIONの策定について∼将来への舵取り(新領域を開拓)
  76. 76. ビジョンのシナリオは、”オリジナル”か”パクリ”かの違いに 意味はない。右の機能を果たせるか否かである。 オリジナリティに拘る必要はない。それより、強み・実績 を説き、組織内外の人々を喚起することが重要である。 シリコンバレーの起業家たちは、毎度、ディスカッション するたびにシナリオが修正されている。彼らは、色々な人 とディスカッションすることでシナリオが磨かれていくと 信じている。大企業の社員ですら、煮詰まっていない段階 の”VISION”を外部の人間と議論する。 本書の議論を踏まえて、色々な人と議論してみるのは最良 の方法であろう。 76 “VISION” “VISION” 組織外部に対しては、...(2章 P.20) 組織内部に対しては、...(2章 P.19) 4章 VISIONの策定について∼将来への舵取り(新領域を開拓)
  77. 77. 77 (A) 将来への舵取り II) 既存領域の深堀、再定義 4章 VISIONの策定について∼将来への舵取り(既存領域の深堀、再定義) VISIONの策定方法について
  78. 78. 既存事業の深堀、あるいは、再定義は、経営の教科書で扱 われる最も一般的な命題であり、方法論はかなり確立され ている。 78 4章 VISIONの策定について∼将来への舵取り(既存領域の深堀、再定義)
  79. 79. 基本は組織の再査定からスタートする。 右は、ピーター・ドラッカーら経営学の大御所が組織の自己 査定に関する方法をまとめた”THE FIVE MOST IMPORTANT QUESTIONS”という著作から引用した5項目である。 右の5つの質問に脊髄反射で答えるのが目的ではない。 これら5つの質問に対する答えを、もう一度、じっくり考え 直して見なさい、というのが同書の趣旨である。 79 1) 我々のミッションは何か? 2) 我々の顧客は誰か? 3) 顧客の価値は何か? 4) 我々の成果は何か? 5) 我々の計画はどうあるべきか? “THE FIVE MOST IMPORTANT QUESTIONS -YOU WILL EVER ASK ABOUTYOUR ORGANIZATION” PETER F. DRUCKER WITH JIM COLLINS, PHILIP KOTLER, ET AL. LEADERTO LEADER INSTITUTE 4章 VISIONの策定について∼将来への舵取り(既存領域の深堀、再定義)
  80. 80. 80 1) 我々の顧客は誰か? 2) 顧客の価値は何か? 3) 我々のミッションは何か? 4) 我々の成果は何か? 5) 我々の計画はどうあるべきか? 既存事業を継続している営利企業の場合(*)、順番を右のよう に変え、1)、2)から考え始めるのが良いだろう。何故なら、 非営利組織の場合、今あるリソース(=強み)を活用するしか 道がないが、営利企業の場合、既存市場へアクセス、つまり 顧客との接点自体が強みにもなる。顧客価値に繋がるものが 何か分かれば、それを買収や提携で入手できる可能性がある からだ。 (*) “THE FIVE MOST IMPORTANT QUESTIONS”は、非営利組織の経営にウェイ トが置かれている。 4章 VISIONの策定について∼将来への舵取り(既存領域の深堀、再定義)
  81. 81. 81 1) 我々の顧客は誰か? 2) 顧客の価値は何か? 「顧客層は不変ではない。あなたが製品を提供してい る顧客グループの潜在顧客数も増減する。顧客は多様 化する。顧客に必要な物、顧客が求める物、顧客の 願望は進化する。」 “THE FIVE MOST IMPORTANT QUESTIONS -YOU WILL EVER ASK ABOUTYOUR ORGANIZATION” PETER F. DRUCKER WITH JIM COLLINS, PHILIP KOTLER, ET AL. LEADERTO LEADER INSTITUTE “顧客”に関してピーター・ドラッカーは著書の中で、「組織 が達成した成果によって満足させられるべき人々」と述べて いる。 あなたが組織のリーダーならば、”顧客は誰か”、”顧客の価値 は何か”、色々な角度から、何度も何度もじっくり考えなけ ればならない。 4章 VISIONの策定について∼将来への舵取り(既存領域の深堀、再定義)
  82. 82. 82 3) 我々のミッションは何か? 顧客の価値を明らかにしたら、次は、その価値をもた らすために組織はどのように行動すべきか、そのための 組織の思考と行動の基準となる考えを定義する。 4章 VISIONの策定について∼将来への舵取り(既存領域の深堀、再定義)
  83. 83. 83 “VISION” “VISION” 組織外部に対しては、...(2章 P.20) 組織内部に対しては、...(2章 P.19) 4章 VISIONの策定について∼将来への舵取り(既存領域の深堀、再定義) このようにして考えたミッションは、2章で述べた右の機 能を有する。これが、「既存領域の深堀、再定義」を目 的とした ”VISION”になる。
  84. 84. 84 (B) 組織文化 I) 価値観の継承 VISION策定の留意事項について 4章 VISIONの策定について∼組織文化(価値観の継承)
  85. 85. ”価値観の継承”とは、3章のMEDTRONICと J & J の例が示すよ うに、事業を軌道に乗せたリーダーがその成功秘訣を”価値 観”として組織に定着させようというケースである。 多くの優良企業で、この手の価値観は文章化しているので見 本には不自由はしないはずだ。MEDTRONIC や J & J も良い例 になると思う。よって、ここでは、策定方法を述べることは 省略する。 85 4章 VISIONの策定について∼組織文化(価値観の継承)
  86. 86. 一方、策定者が偉大なリーダーであればあるほど、後の組織 では、それを変更できなくなるので、策定には十分な留意が 必要になる。つまり、組織が成功すればする程、官僚主義的 な流れの中で曲解して使われるようになる。 86 「基本信条はワトソン(*)の時代に、そしてその後の数 十年に、たしかに原則として機能していた。しかし、 素晴らしい響きをもった原則から、見る影もないもの に様変わりしていた。贔屓目に見ても、退屈なお説教 でしかなかった。」 ー『巨像も踊る』より 4章 VISIONの策定について∼組織文化(価値観の継承) (*) IBMの創業者、THOMAS J. WATSON, SR。息子であり、第2代目 CEO(1952-1971年)のTHOMAS J. WATSON, JRも伝説的経営者。
  87. 87. 右はワトソン氏の基本信条である。文言自体は非の打ちよう もない。同じ文言を真似して額縁に飾っている日本企業も多 いだろう。しかし、これらが、その後、IBM社内では次項のよ うに曲解されるようになる。 87 ワトソン氏のBASIC BELIEFS(基本信条) ・EXCELLENCE IN EVERYTHING WE DO (完全性の追求) ・SUPERIOR CUSTOMER SERVICE (最善の顧客サービス) ・RESPECT FORTHE INDIVIDUAL (個人の尊重) 4章 VISIONの策定について∼組織文化(価値観の継承)
  88. 88. ”基本信条”の文言は、右のように策定者のワトソン氏が考え ていたはずのない意味を持つようになった。組織は成長すれ ば、官僚主義の芽が必ず出てくる。過去の偉大なリーダーの 価値観は、時を経ると悪しき官僚システム化への口実になり やすい。 「価値観の継承」を目的とした”VISION”は、策定時にこのこ とをよく想定しておくべきである。 88 ∼曲解された基本信条∼ ”完全性の追求” →管理組織の影響力拡大を助長、窒息しそうな官僚 主義構造ができあがる。 ”最善の顧客サービス” →ビジネスが順調に伸びている時の成功方式をルー ル化、固持。その後、市場環境が変った後でも顧客 のニーズよりも自分たちのルールを守ることにこだわ り続ける。 ”個人の尊重” →個人の尊重ではなく、社員の飽くなき”権利意識”、 IBMの正社員だからというだけでの”特権意識”が蔓 延。上司の指示に同意できなければ、無視すること もできるようになる。個人の責任が限りなく小さく なる。社員の視野を内へ内へと向かわせる。 4章 VISIONの策定について∼組織文化(価値観の継承)
  89. 89. 89 “VISION”策定時の留意点 (1) 組織が時代・環境に応じて適応・進化すること を要求 (2) 各文言の趣旨を詳しく説明した補足資料を正式 文書として別途作成すること 右は、以上を踏まえての留意事項である。一つ目は、策定す る”VISION”の項目の最初か最後に、あなたの組織が時代・環 境に応じて適応・進化しなければいけない、旨の項目を入れ ておくのが良いだろう。時代や社会環境への適応があって初 めて組織は生き残れる。 二つ目は、”VISION”の各項目に対する詳細説明の資料を別途 作成し、こちらも正式の文書として残しておくべき。もちろ ん、価値観を曲解されないためである。 IBMのガースナー氏は、”PRINCIPLE”の各条文に対し、各々詳 しい説明文を残している。 4章 VISIONの策定について∼組織文化(価値観の継承)
  90. 90. 私が、以前勤めていた会社では、耳を疑うような駐在員規定 が残っていた。例えば、「駐在員は互いに5マイル以上、離 れたところに住居を借りること」とか、「駐在員は、ドイツ 車、及び、日本車に乗ることを禁ずる」など。40年も昔に 策定された規定だが、策定した人物が社長・会長を長年務め るなど、極めて影響力の大きな人物であったため、誰もその 規定に手を入れる者はいなかった。 策定した時代背景を考えると、日本企業が良き市民として米 国社会に受け入れられるためには妥当な規定だったかもしれ ない。しかし、21世紀まで残す規定ではなかった。 現地の責任者が決められる駐在員規定ですらこの状態であ る。ましてや会社全体の価値観に至っては、後の組織での変 更は極めて難しいと考えるべきだ。 90 4章 VISIONの策定について∼組織文化(価値観の継承)
  91. 91. 91 (A) 組織文化 I) 官僚主義、旧態依然とした体質の払拭 VISIONの策定方法について 4章 VISIONの策定について∼組織文化(官僚主義、旧態依然とした体質の払拭)
  92. 92. 3章でも述べたが、組織文化の変革は極めて難しい取り組み である。 GE、IBM、日産の例では、いずれも、①”VISION”を掲げる、② 社内に浸透させる、③経営トップのコミットメントを示す、 の基本3本セットを忠実にこなしている。 92 4章 VISIONの策定について∼組織文化(官僚主義、旧態依然とした体質の払拭) GE 経営危機に陥る前に改革断行。世界の超優良企業 の地位を維持。 IBM 経営危機に陥った後、社外から新CEOを招き、改 革を断行。世界の超優良企業に返り咲く。 日産 独自再建を諦めルノー傘下に入る。ルノーから送 られてきた新CEOの下、改革を断行。再び、世界 の舞台へ蘇る。 GM 組織文化には手を付けず、リストラと新事業への 投資で乗り切ろうとした。連邦破産法11条適応へ 経営危機に対する各社の対応とその後の経過
  93. 93. 掲げた”VISION”は、右のように三者三様である。共通点 は、これらの”VISION”を策定する前に、組織文化の問題点 を非常に深く分析している点である(次項)。 93 4章 VISIONの策定について∼組織文化(官僚主義、旧態依然とした体質の払拭) GE 「すべての市場でナンバー1かナンバー2にな る。その可能性のない事業はテコ入れするか、売 却するか、閉鎖する」 IBM 8つの”PRINCIPLE (原則)” 日産 “NISSAN REVIVAL PLAN”と再建へのビジョン 掲げた”VISION”
  94. 94. 右に、3社が自社の組織文化を分析した結果をまとめた。 前項の各社の”VISION”は、この分析結果に対して策定され ている。 94 4章 VISIONの策定について∼組織文化(官僚主義、旧態依然とした体質の払拭) GE <分析結果から設定した目標> 意識が高いだけでなく、適応力に優れ行動が機敏に • 現実(ありのままに見て、率直に対処) • 品質(能力の限界を突き破るようストレッチ) • 人的要素(積極的に挑戦する雰囲気) IBM <分析結果から導かれた問題点> • 顧客のニーズに無関心で、社内政治に没頭 • 官僚組織が縄張りを守るための存在に • 「ノー」の文化、会社方針を無視 • 経営幹部がリーダーでなく、プロセス統括者 等 日産 <分析結果から導かれた問題点> • 利益追求の不徹底 • 顧客志向性の不足 • 機能、地域、職位横断型業務の不足 • 危機意識の欠如 • 共有ビジョンや共通の長期計画の欠如 組織文化の分析結果
  95. 95. 当然だが、3社とも“VISION”を打ち出した後は、それを徹 底的に組織へ浸透させる取り組みを始める。ガースナー氏 の表現では、”VISION”を「DNAに浸透させる方法を編み 出さなければならない」。 この方法も三者三様である。が、 95 “VISION” “MISSION” “CREDO” “PRINCIPLE” “VALUE” “MOTTO” “BILIEF” ... 4章 VISIONの策定について∼組織文化(官僚主義、旧態依然とした体質の払拭)
  96. 96. 3CEOとも強力な”ショック療法”からスタートしている点は 共通である。 GEの場合は、記者会見で”ナンバー1か、ナンバー2”戦略を 発表、最初の2年間で凄まじい数の案件を実行に移した。 日産の場合は、独自再建を諦めルノー傘下に入ること、さら にルノーから”コストカッター”の異名を持つゴーン氏が送られ てきたこと、そして、NISSAN REVIVAL PLANと3段階で大き なショックがあった。 96 4章 VISIONの策定について∼組織文化(官僚主義、旧態依然とした体質の払拭)
  97. 97. IBMは、GEや日産に比べると多少ソフトであった。 まず、官僚主義が生み出したルールやプロセスをほぼ一掃さ せる。GEや日産ほどではなくとも、恐らく、これだけでも、 会社全体がショックを受け、大混乱に陥ったであろう。続け て、前述の”PRINCIPLE”を打ち出し、それを右のような ”ショックの連続”の取り組みで浸透させていった。 97 既存ルール・規定・手続きを一掃、プロセスを破壊 ↓ “PRINCIPLE”を策定、新IBMの優先事項を明確化 ↓ 上級幹部会(全世界)にて、いかに現状の組織文化が競争 力を低下させているかを示し、徹底的な改革を宣言 ↓ 旧IBMと大きく異なるリーダーの条件を文書化して示す。 さらに、これをもとに幹部の研修プログラムを開始。 ↓ 象徴的な取り組みとして、企業戦略を議論する”上級指導 者グループ”を組織。 メンバーは肩書きや地位に関係なく、リーダーとしての 資質で選任(旧IBMでは、あり得なかった)。 ↓ (業績の回復もあり、改革が停滞) ↓ ”PRINCIPLE”に、より連動した業績評価方法を導入 ↓ ・ ・ ・ 4章 VISIONの策定について∼組織文化(官僚主義、旧態依然とした体質の払拭) ”VISION (PRINCIPLE)”浸透へ、IBMの取り組み
  98. 98. もちろん、ショックを与えるだけでなく、経営トップのコ ミットメントを示し、”VISION”を浸透させる取り組みを トップ自ら相次いで投入する。 右は、各経営トップが取った”VISION”を浸透させるための コミットメントと取り組みをまとめたものである。 98 4章 VISIONの策定について∼組織文化(官僚主義、旧態依然とした体質の払拭) GE •マスコミに何を言われようが揺るがない •最初の2年間で71の売却案件、118の買収・合併・ 出資案件を実行 •GEグループ内でウェルチ氏自身が隔週で”タウン ミーティング”を開催、改革の必要性を訴える IBM •上級幹部会(全世界)にて徹底的な改革を宣言 •旧IBMと大きく異なる”リーダーの条件”を明文化 •”上級指導者グループ”を新規組成、肩書き・地位 に関係なくリーダーの資質だけで招集 等、“PRINCIPLE”を浸透させる施策を次々実行 日産 •再建計画に掲げる3つの目標が1つでも期限内に 達成できなければ、経営陣が総退陣すると表明 •クロス・ファンクショナル・チームを改革の象徴 的体制とし、実質、CEO直属とする 等 経営トップのコミットメントと ”VISION”を浸透させる取り組み
  99. 99. 組織のメンバーのDNAへ浸透させる方法は、組織の性格や置 かれている状況によって調整する必要はあるが、リーダー自 らが先頭に立って改革を推進する必要性はどの組織でも変ら ないだろう。 99 “このままでは自分が役に立たなくなるとわかれば、たい ていの人は奮起する。そして、ほとんどの人は将来につ いての説得力あるビジョンがあれば、やる気になる” ールイス・ガースナー、『巨像も踊る』より 4章 VISIONの策定について∼組織文化(官僚主義、旧態依然とした体質の払拭)
  100. 100. 以上、3社の”VISION”の策定から浸透までをまとめた。 各々のステップの詳細は各社各様ではあるが、いずれも 右の流れのステップを踏んでいる。 組織文化の分析では大きな声では言い難い、組織を弱く する問題が幾つも浮かび上がるだろう。94頁の例の他に も、例えば、「出る杭を打つからYESマンだらけ」、 「誰もリスクを取らない」、「自部門の利益しか追求し ない、 全社的利益は二の次」、「リーダー不在で管理者 ばかり」、「”とは言っても”と上位方針を簡単に歪め る」、「”やむない理由で撤退”ばかりのやったフリ症候 群」等である。 100 4章 VISIONの策定について∼組織文化(官僚主義、旧態依然とした体質の払拭) 組織文化を分析 ↓ “VISION”を策定 ↓ ショック療法 ↓ “VISION”に基づく指導(評価)、管理の表明 ↓ トップのコミットメントを表明 ↓ “VISION”を浸透へ (“VISION”に基づく改革の実行) ↓ (絶えまぬ改革へ) ・ ・ ・ ”VISION”の策定から浸透までの流れ
  101. 101. ”VISION”策定の目的は、分析で明らかになった組織文化 の問題払拭である。組織を弱め む悪しき文化を払拭 し、新しい文化を組織の”DNA”に浸透させることだ。 “VISION”策定後の作業は額縁に入れて壁に貼り出すこと ではない。”VISION”を浸透させるアイデア(例えば右に示 す基準や条件・取り組みへの浸透)を次から次へと生み 出し、実行に移すことである。 101 4章 VISIONの策定について∼組織文化(官僚主義、旧態依然とした体質の払拭) “VISION”浸透のアクション(例) 象徴的な出来事(*1) 判断、決断の新基準 個人や組織の新成果評価基準 昇進の新条件 経営幹部の新条件 採用の新基準 幹部研修の新しい目的・目標 新しいプロジェクトスタイルの導入(*2) 新人事制度 ・・・ 等 (*1) 大抜 人事、大規模組織異動、降格人事、部門売却、等 (*2) 例えば、日産の”クロス・ファンクショナル・チーム”、IBMの”上級 指導者グループ”など
  102. 102. 102 “VISION” “VISION” 組織外部に対しては、...(2章 P.20) 組織内部に対しては、...(2章 P.19) したがって、”VISION”を書く際には、前項右の例に挙げた ような項目へ具体的なアイデアに繋がるように意識する。 組織を む悪しき文化を払拭し、組織を強くする新しい 取り組みに正統性を与える内容になるよう意識する。 このような意識で作成された”VISION”は、組織内部に対し ては、変革へ敏感になり、変るために何をすべきか、優先 順位、取捨選択を自律的に考えられるようになる。 組織の外部に対しても、WIN-WINの関係を強化するチャ ンスとして賛同と期待を得られるであろう(*)。 4章 VISIONの策定について∼組織文化(官僚主義、旧態依然とした体質の払拭) (*) 例えば、日産はリバイバル・プランで1145社あったサプライヤー を600社へ減らすと発表した。力のあるサプライヤーにとっては、顧 客である日産が再生し、尚かつ、納品が大幅に増えるチャンスであるか ら、賛同と期待を得られたであろう。
  103. 103. ”VISION”策定の要点を右図にまとめる。 まず、”VISION”で掲げた内容が組織を み、弱める文化を 否定、払拭できるか確認する。その後、”VISION”がアク ションに繋がるか、アクションを起こそうとする人物に 正統性を与えるか確認する。これには、幾つか、具体的 なアクションの例を考えてみるべきである。 以上が、”VISION”策定方法である。 103 4章 VISIONの策定について∼組織文化(官僚主義、旧態依然とした体質の払拭) 組織文化の分析結果 “VISION” “VISION”浸透のアクション 組織を み弱める悪しき文化 を否定、払拭するか? アクションに結びつくか? アクションに正統性を与えるか? ”VISION”策定の要点
  104. 104. 104 ここでは、「官僚主義、旧態依然とした体質の払拭」のケー スとして経営危機に陥った企業の例を取り上げた。しかし、 もう少し、身近で緊急性は少ないが、重要な「組織の体質改 善」の取り組みは他にもある。その代表例が、最近、欧・ 米・アジアの企業が非常に重要視している ”DIVERSITY AND INCLUSION”である(「付録」のHARLEY-DAVIDSON参照)。 日本では、DIVERSITYは、まだ女性を積極に活用しようとい う程度の段階だが、欧米では、年齢、出身国や文化、人種、 宗教等の多様性を経営トップが音頭を取って積極的に取り入 れている。倫理の問題ではない。多様なアイデア、価値観、 機会を取り入れ、新たなイノベーションと市場を創出しよう という狙いである。つまり企業の競争戦略上の課題として取 り組んでいる。少なくとも環境問題よりも優先順位の高い課 題として取り組んでいる。 ”DIVERSITY AND INCLUSION”は、非常に重要な課題である。 頁数を割いて論ずる必要があると思う。よって、本書では取 り上げず、別途、この課題だけにフォーカスした著作をしよ うと考えている。 4章 VISIONの策定について∼組織文化(官僚主義、旧態依然とした体質の払拭)
  105. 105. 5章 まとめ 105
  106. 106. 106 本書では、機能と目的を軸にビジョンについて論じた。 実際の機能を示すために、事例を幾つも取り上げた。 シリコンバレーでの活動を通し、これまで何百人という起 業家、大学等の研究者、大手企業の研究者と議論する機会 があった。ビジョンの議論に参加する機会もよくあった。 彼らは、ビジョンが機能するものだと理解している。 一方、同時期に所属していた日本企業では、ビジョンは、 計画書の体裁を整えるためのものだった。 ・・・陳腐なフレーズが並ぶだけで、社員はどうすれ ばいいかわからず、斜に構えて冷ややかな態度に出る だけ、という結果になる。「XYZ社は品質とサービス を大切にします」とか「○×社は、顧客第一をめざし ます」とかいうミッション・ステートメントを見たこ とのない人はいないだろう。品質やサービスを大切に しない会社や、顧客を第一に考えない会社がどこにあ る!りっぱな意図を持って、何時間も何時間も感情的 な議論を戦わせたというのに、出てきたものは、そこ らの市販のリストから抜き出してきたような「誠実・ 品質・卓越・サービス・敬意」なんてバリューが並ん でしまったというのはよくある話だ。冗談じゃない。 まともな会社なら当然そんなことは信奉しているに決 まっている。そもそも、誠実であることはゲームに参 加するための入場券みたいなものだ。骨の髄まで、誠 実さや道徳観念が染み込んでいないのなら、入場を拒 否されるべきだ。 ・・・ 「第1章 ミッションとバリュー  こんなに大事なことなのに、たわ言ばかり」より ー『ウィニング 勝利の経営』- JACK WELCH著 / 斎藤聖美訳、 日本経済新聞社
  107. 107. 「ミッションで主張していることが適切かどうかを調 べるには、それに対する異論がありうるかどうかを考 えてみればよい。異論がないなら、そのミッションの 主張は取り除くべきである。例えば、『金額に見合う 最高の価値をお届けする』という目的に対して異論を 挟む会社があるなどと誰が考えるだろうか。異論がな ければ、それは言うに値しないのである」 『創造する経営』- ラッセル・エイコフ 佐久間 陽一郎 ; 「顔の見えない企業に戦略は作れない」より HTTP://BUSINESS.NIKKEIBP.CO.JP/ARTICLE/PBA/20080625/163653/?P=2 107 ウォートンスクールのエイコフ教授は、右のような方法を 提唱している。経営の基本方針でも同じであろう。 次頁は、日本を代表する4社の経営説明会の資料である。
  108. 108. 108
  109. 109. 109 前項のステートメントが適切かどうかは、エイコフ教授 の方法で判断できるだろう。なるほど、もっともな方法 だと思う。 しかし、そもそも、何故、適切でない”VISION”(ステート メント)が作成されてしまうのか、その行動原理を考え るべきである。
  110. 110. 110 “VISION”策定を目的に”VISION”を策定してしまう、 つまり、プレゼンテーション資料や事業計画書の 体裁を整えるために、書類の空欄を埋めるために ”VISION”を策定するからエイコフ教授のテストが 必要になってしまう。このようにして策定された ものは、”VISION”ではない。
  111. 111. 111 私が本書を執筆した理由、本書を通して言いたかった ことは、次のことである。
  112. 112. 112 本物の“VISION”は機能する。 組織の内外に機能する影響力がある。 だから、まず、どんな機能を”VISION”に 持たせるのか、その目的を明確にする。 “VISION”の策定は、ここから始まる。
  113. 113. 113 VISION WITHOUT ACTION IS A DREAM. ACTION WITHOUTVISION IS SIMPLY PASSINGTHETIME. ACTION WITHVISION IS MAKING A POSITIVE DIFFERENCE. - JOEL BARKER 本物のビジョンの下、意欲も能力も高い人たちが活躍でき る場が増えること。本書はそれを願って執筆した。 2009年10月1日
  114. 114. 114 付録: 有力企業の”VISION”
  115. 115. 115 ABBOTT LABORATORIES ADOBE SYSTEMS MOËT HENNESSY - LOUIS VUITTON HONDA APPLE HARLEY-DAVIDSON ROCHE 特に引用元の記載がない邦訳文は著者サイトで日本語訳した ものです。あくまで、参考までに翻訳した文章であり、正確 な意図の把握はオリジナルの言語を参照してください。
  116. 116. 116 http://www.abbott.us/us/url/content/en_US/10.10:10/ general_content/General_Content_00002.htm
  117. 117. 科学を医療へ わが社は健康な生活を追求する人々のために役立とうとす ることにその存在理由があります。このことはアボット社 の一世紀以上に及ぶ歴史の中で引き継がれてきましたが、 科学技術の導入は、その恩恵が絶えず健康に役立てられる ようにと、熱心に、しかも慎重に、試みられてきました。 わが社の製品は、新生児から高齢者まで、人生のあらゆる 段階にかかわり、医療や薬を使っての治療、栄養に関する ことから診断技術に至るまでをカバ−しています。 医療はわが社の中心的な業務であり、それを行うことは求 める人々へのわが社の責務でもあります。 TURNING SCIENCE INTO CARING WE ARE HERE FORTHE PEOPLE WE SERVE INTHEIR PURSUIT OF HEALTHY LIVES.THIS HAS BEENTHE WAY OF ABBOTT FOR MORETHAN A CENTURY – PASSIONATELY AND THOUGHTFULLYTRANSLATING SCIENCE INTO LASTING CONTRIBUTIONSTO HEALTH. OUR PRODUCTS ENCIRCLE LIFE, FROM NEWBORNSTO AGING ADULTS, FROM NUTRITION AND DIAGNOSTICSTHROUGH MEDICAL CARE AND PHARMACEUTICALTHERAPY. CARING IS CENTRALTOTHE WORK WE DO AND DEFINES OUR RESPONSIBILITYTOTHOSE WE SERVE: 117 Abbott
  118. 118. 我々は健康にとって、また、健康管理(ヘルスケア)を実 践する上で、有意義な改善の可能性のある最先端の科学や 技術を発展させます。 我々は社内における多様性、わが社の製品、技術、マ− ケット、そして人間の多様性を重視します。多様な考えが 結びあって、共通の目標に立ち向かったとき、新しい考え が生まれ、絶えず変化する健康に関するニ−ズに対応でき るよりよい方法が見つかるのだと信じています。 我々は他に例のないような実践にスポットを当てます。そ れは世界各地に散らばっているアボット社の社員の目立っ た特徴でもあります。そのことはわれわれの任務が人々の 生活に強い影響を及ぼすという点で、社員自身や社員相互 に強く求められていることなのです。 我々は高度な品質基準、人間関係の卓越性、正直で、公平 で、誠実な行動で人々の信頼をかちとるよう努力します。 我々は、われわれのビジネスのために、また、われわれの サ−ビスを受ける人々のために成功を続けます。そのため に、1世紀以上前のわが社の創立時の基本理念に従いま す。わが社は革新的な医療と、われわれの実践のすべてに おいて、有意義な違いをもたらしたいという願望を持って います。 WE ADVANCE LEADING-EDGE SCIENCE AND TECHNOLOGIESTHAT HOLDTHE POTENTIAL FOR SIGNIFICANT IMPROVEMENTSTO HEALTH ANDTOTHE PRACTICE OF HEALTH CARE. WE VALUE OUR DIVERSITY –THAT OF OUR PRODUCTS,TECHNOLOGIES, MARKETS AND PEOPLE – AND BELIEVETHAT DIVERSE PERSPECTIVES COMBINED WITH SHARED GOALS INSPIRE NEW IDEAS AND BETTER WAYS OF ADDRESSING CHANGING HEALTH NEEDS. WE FOCUS ON EXCEPTIONAL PERFORMANCE – A HALLMARK OF ABBOTT PEOPLE WORLDWIDE – DEMANDING OF OURSELVES AND EACH OTHER BECAUSE OUR WORK IMPACTS PEOPLE'S LIVES. WE STRIVE TO EARN THE TRUST OF THOSE WE SERVE BY COMMITTINGTOTHE HIGHEST STANDARDS OF QUALITY, EXCELLENCE IN PERSONAL RELATIONSHIPS,AND BEHAVIOR CHARACTERIZED BY HONESTY, FAIRNESS AND INTEGRITY. WE SUSTAIN SUCCESS – FOR OUR BUSINESS AND THE PEOPLE WE SERVE – BY STAYINGTRUETO KEYTENETS UPON WHICH OUR COMPANY WAS FOUNDED OVER A CENTURY AGO: INNOVATIVE CARE AND A DESIRETO MAKE A MEANINGFUL DIFFERENCE IN ALLTHAT WE DO. 118 Abbott
  119. 119. わが社の約束はわれわれの仕事が人々の健康と命のために あるのだ、ということに尽きるのです。 THE PROMISE OF OUR COMPANY IS INTHE PROMISETHAT OUR WORK HOLDS FOR HEALTH AND LIFE. 119 Abbott
  120. 120. ADOBE SYSTEMS 120 Abbott http://www.adobe.com/aboutadobe/
  121. 121. 121 Adobe ADOBE IS PLEASEDTO SHARE ITSVISION FOR REVOLUTIONIZING HOWTHE WORLD ENGAGES WITH IDEA AND INFORMATION. RIGHT NOW,ANYONE WHO CREATES,VIEWS,AND INTERACTS WITH INFORMATION CLEARLY FEELSTHE IMPACT OF ADOBE SOFTWARE AND OURTECHNOLOGIES. INTHE LAST FEWYEARS,THE WORLD HAS CHANGED SIGNIFICANTLY,AND COMMUNICATION BANDWIDTH HAS EXPLODED. 700 MILLION PEOPLE CAN NOW ACCESSTHE WEB WORLDWIDE. EVERY HOUR, 1.3 BILLION E-MAILS ARE SENT.ALMOST 1.5 BILLION PEOPLE WORLDWIDE HAVE A MOBILE PHONE. WE ARE CONTINUALLY BOMBARDED WITH MULTIPLE MESSAGES FROM MULTIPLE MEDIA,ALL COMPETING FOR OUR ATTENTION. SO, IT’S NOT ENOUGHTO SIMPLY INFORM.WE MUST NOW HELP OUR CUSTOMERS TRANSFORMTHEIR COMMUNICATIONS INTO ENGAGING, INTERACTIVE EXPERIENCES. アドビは、世界の人々のアイデアと情報との関わりに革新を もたらすための我々のビジョンを皆さんと是非、共有させて 頂きたいと思います。 現在、情報に関して、創造したり、見たり、他の人と相互に 情報交流をし合ったりしている人なら誰でもアドビのソフト ウェアや技術のインパクトをクリアに実感できると思いま す。 この数年、世界は著しく変化しています。そして、通信帯域 は爆発的に拡大しています。今や7億人もの人が世界中の ウェッブサイトにアクセスすることができます。1時間あた り約13億ものEメ−ルが送られ、また、世界中でおよそ1 5億人が携帯電話を持っています。 私たちは、たくさんのメディアから無数のメッセ−ジの洪水 に絶えず見舞われ、また、それらすべてのメッセ−ジは私た ちの注意を引こうと競い合っています。ですから、たんに伝 える、というだけでは不十分です。アドビは、現在、お客様 にコミュニケ−ションというものを、たんに伝えるだけでな く、人を引きつける魅力ある、相互に反応し合う形へと変え てゆくための助けをしなければなりません。
  122. 122. 122 Adobe WHAT DOES IT MEAN? ADOBE HAS ALWAYS PUSHEDTHE BOUNDARIES OFTHE DIGITAL UNIVERSETO HELP PEOPLE AND ORGANIZATIONS COMMUNICATE BETTER. NOW WE’RE FOCUSING OUR INNOVATION AND CREATIVE ENERGYTOTAKE ANOTHER BIG STEP FORWARD. OUR CUSTOMERS NEED HIGH-IMPACT, RELIABLE,AND DYNAMIC DIGITAL COMMUNICATION,AND ADOBE IS WELL POSITIONEDTO MAKE A REALITY. GIVENTHE RANGE OF SOLUTIONS WE’RE ENABLING,WE ARE INCREDIBLY EXCITED ABOUT WHERE WE’RE BEADED. ADOBE ISTRULY REVOLUTIONIZING HOWTHE WORLD ENGAGES WITH IDEAS AND INFORMATION – ANYTIME, ANYWHERE,ANDTHROUGH ANY MEDIUM. ADOBE PROVIDES SOLUTIONSTO ADDRESSTHE NEEDS OF OUR CUSTOMERS IN FINANCIAL SERVICES, GOVERNMENT, MANUFACTURING, EDUCATION, PUBLISHING AND MEDIA, TELECOMMUNICATIONS, LIFE SCIENCES,AND OTHER MAJOR INDUSTRIES. そのことは何を意味するのでしょうか。 アドビは、これまで、つねにデジタルの世界の壁を押し広 げ、人々や各組織、機関がよりよくコミュニケ−ト する手 助けをしてきました。今、アドビは、我々の技術革新力と創 造力を集中てし、さらに大きな前進に結びつけようとしてい ます。 我々の顧客は、インパクトの強い、信頼のおける、ダイナ ミックなコミュニケ−ションを求めています。そして、アド ビ社はそれを実現するに相応しいポジションにいます。 アドビが可能にしようとしているソリューションを並べ、そ の向かうべく方向を見ると、我々自身、信じられないほどの 興奮を覚えます。 アドビは、世界の人々のアイディアや情報との関わり方にお いて、いつでも、どこでも、どんなメディアを通しても、真 に革命的なことをやっています。 アドビはフィナンシャル・サ−ビス、政府機関、製造業、教 育、出版やメディア、電信、生命科学、その他、主要な産業 において顧客のニ−ズにこたえるためのソリュ−ションを提 供しています。
  123. 123. 123 Adobe ATTHE HEART OF EVERY INTERACTION IN EVERY BUSINESS ARETHREE KEY ELEMENTS: PEOPLE, INFORMATION, AND PROCESSES. ADOBE’SVISION IS CLEARLY FOCUSED ONTHE PEOPLE ANDTHEIR EXPERIENCE. OUR SOLUTIONS ENABLETHE CREATION AND DELIVERY OF EXPERIENCESTHAT SECURELY EXTENDTHE REACH OF INFORMATION. EXPERIENCESTHAT AUTOMATE PROCESSES FOR GREATER EFFICIENCY EXPERIENCESTHAT ARE INTUITIVE, RICH,AND COMPELLING. EXPERIENCESTHAT ARETRULY ENGAGING すべてのビジネスにおいて、あらゆるインタラクションの 中心には3つのキ−になる要件があります。 人、情報、そして、プロセスの3つです。 アドビのビジョンは明らかに人と人の体験に焦点を合わ せています。 我々のソリューションは、創造的な活動や配信で安心して 情報伝達範囲を広げられる経験にすることができます。 より高い効率性へ向けてのプロセス自動化の顧客経験 直感的で、豊かで、感動的とすら言える顧客経験 真に魅力ある顧客経験
  124. 124. 124 MOËT HENNESSY - LOUIS VUITTON http://www.lvmh.com/

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