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日本でのCLIL の進展 [Japan CLIL Development] 2013 volume 1
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本冊子は、日本でのCLIL の発展を期して、2012 年12月に上智大学で行わ …

本冊子は、日本でのCLIL の発展を期して、2012 年12月に上智大学で行わ
れたCLIL 懇談会に出席した人を中心に、CLIL の実践をまとめたものである。
この懇談会をもとに、『英語教育6月号』(2013)(大修館書店)に特集を組んだ。
しかし、紙面の都合もあり、CLIL の実態を詳細に記述することはできなかった。
ここにはそこには書かれていない内容を盛り込んである。
日本でCLIL が少しずつ注目されるにつれて、「CLIL とは何か?」という声が
さらに聞かれるようになってきている。そのような質問は発祥の地であるヨー
ロッパでもいまだにあり、CLIL に対して懐疑的な見方もある。理論的な枠組み
は多少明確ではないが、事実CLIL はヨーロッパではすっかり定着したと言って
よいだろう。実態は様々であるが、CLIL の一つ魅力はその点にある。日本では、
これまで同様の指導法、指導形態は取られてきた。バイリンガル教育、イマー
ジョン教育、内容重視の指導などがそうである。ヨーロッパでCLIL を展開して
いる指導者によれば、そのような指導もCLIL の一部となる。では、「CLIL とは
何か?」とさらに尋ねられるのである。
本冊子は、そのような状況に対して事例を示すことで回答したいと意図した。
理論をこねくり回しても実践のない教育は意味がない。また、実践だけであっ
っても柱のない教育はやはり不十分である。現時点でのCLIL 教育(CLIL
pedagogy)を理解してもらい、また、課題を示すことで、今後の日本における
CLIL の発展を期待したい。CLIL は、ヨーロッパでも起きているように言語学
習と科目学習に新しい視点を与え、学習を活性化する要素があり、これまでの
コミュニケーションを意識した言語学習の観点を大きく変える可能性がある。
また、科目の学習に対しても言語や思考とどう関連させるかという観点を示し
ている。教室という「学び」というコミュニティに対する考え方も変えつつあ
る。その意味から、CLIL は内容と言語を統合する指導法(methodology)の可能
性を追求している。本冊子はその一つの重要な資料となると考える。
なお、ここに示した各学校現場の事例は2012 年度実施の内容となっているの
で、所属も当時のままにしてあることをことわっておく。

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  • 1. 日本での CLIL の進展 — 2013 (第1版) 監修 松本茂 池田真 笹島茂 著者 松本茂 笹島茂 山崎勝 鈴木誠 佐藤ひな子 三上正弘 永末温子 関田信生 山野有紀 (長沼君主) 池田真
  • 2. 1 はじめに 本冊子は、日本での CLIL の発展を期して、2012 年12月に上智大学で行わ れた CLIL 懇談会に出席した人を中心に、CLIL の実践をまとめたものである。 この懇談会をもとに、『英語教育6月号』(2013)(大修館書店)に特集を組んだ。 しかし、紙面の都合もあり、CLIL の実態を詳細に記述することはできなかった。 ここにはそこには書かれていない内容を盛り込んである。 日本で CLIL が少しずつ注目されるにつれて、「CLIL とは何か?」という声が さらに聞かれるようになってきている。そのような質問は発祥の地であるヨー ロッパでもいまだにあり、CLIL に対して懐疑的な見方もある。理論的な枠組み は多少明確ではないが、事実 CLIL はヨーロッパではすっかり定着したと言って よいだろう。実態は様々であるが、CLIL の一つ魅力はその点にある。日本では、 これまで同様の指導法、指導形態は取られてきた。バイリンガル教育、イマー ジョン教育、内容重視の指導などがそうである。ヨーロッパで CLIL を展開して いる指導者によれば、そのような指導も CLIL の一部となる。では、「CLIL とは 何か?」とさらに尋ねられるのである。 本冊子は、そのような状況に対して事例を示すことで回答したいと意図した。 理論をこねくり回しても実践のない教育は意味がない。また、実践だけであっ っても柱のない教育はやはり不十分である。現時点での CLIL 教育(CLIL pedagogy)を理解してもらい、また、課題を示すことで、今後の日本における CLIL の発展を期待したい。CLIL は、ヨーロッパでも起きているように言語学 習と科目学習に新しい視点を与え、学習を活性化する要素があり、これまでの コミュニケーションを意識した言語学習の観点を大きく変える可能性がある。 また、科目の学習に対しても言語や思考とどう関連させるかという観点を示し ている。教室という「学び」というコミュニティに対する考え方も変えつつあ る。その意味から、CLIL は内容と言語を統合する指導法(methodology)の可能 性を追求している。本冊子はその一つの重要な資料となると考える。 なお、ここに示した各学校現場の事例は 2012 年度実施の内容となっているの で、所属も当時のままにしてあることをことわっておく。 2014 年5月 著者一同
  • 3. 2 目 次 はじめに 1 1 日本における CLIL の現状と課題 松本茂 2 CLIL の実践と授業研究 笹島茂 3 授業実践にもとづく CLIL 3.1 和光国際高校外国語科での CLIL 実践の可能性 山崎勝 3.2 川越女子高校での教科間連携と CLIL 鈴木誠 佐藤ひな子 3.3 CLIL による SSH 科学英語指導 −CLIL 指導実践報告 2010 年∼2013 年− 三上正弘 3.4 SH 実践における教科型と Post-SELHi 実践における CLIL 開発 −CLIL 的授業と Can-Do 評価の結合 永末温子 3.5 CBL 型から CLIL 型の英語授業へ 関田信生 3.6 小学校外国語活動と CLIL 山野有紀 4 長沼君主 (準備中) 5 CLIL について考える懇談会 池田真
  • 4. 3 1. 日本におけるCLILの現状と課題 松本茂(立教大学) 1 1.1 言語と内容の融合へ 2006 年に始まった文部科学省の言語力育成協力者会議が 2007 年に「言語力 の育成方策」 2 を打ち出し、その考えに則って作成された「学習指導要領」に基 づいた授業が現在、全国の小中高校で行われている。その学習指導要領の大き な特徴の一つは、すべての科目において言語力やコミュニケーション力を育成 するという方針を掲げていることである。 「言葉は学力向上に欠かせないもの」と捉え、言語力を重視することで、表 現力や思考力の重要性を現場に浸透させるというねらいがある。例えば、『学習 指導要領解説 保健体育編 体育編』3 では、「体育では、体を動かすことが、情 緒面や知的な発達を促し、集団的活動や身体表現などを通じてコミュニケーシ ョン能力を育成することや、筋道を立てて練習や作戦を考え、改善の方法など を互いに話し合う活動などを通じて論理的思考力を育むことにも資するもので ある」と「コミュニケーション能力」に関して記述されている。つまり、母語 での活動とはいえ、日本の初等中等教育ではすでに CLIL との親和性高い発想で の教育改革が動き出しているということである。 1.2 英語を英語で学ぶ 現行版の『高等学校学習指導要領』 4 の「外国語」においては、「授業は英語で 行うことを基本とする」とされ、2013 年度より 1 年次から段階的に実施され ている。さらに、2013 年 12 月 13 日に下村大臣が発表した「グローバル化に 1 連絡先:smatsumoto@rikkyo.ac.jp 2 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/036/shiryo /07081717/004.htm(アクセス日: 2014 年 4 月 30 日) 3 http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/ afieldfile/2011/01/19/1282000_7.pdf#search='学習指導要領+保健体育編'(アクセス日: 2014 年 4 月 30 日) 4 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/kou/ kou.pdf#search='高等学校学習指導要領'
  • 5. 4 対応した英語教育改革実施計画」 5 では、中学校においても「授業は英語で行う ことを基本とする」とされている。 高校だけでなく、中学においても「英語を英語で学ぶ授業」へ変えていく方向 性が示され、指導体制の整備も同時に提案されている。「指導する授業」ではな く、「学ぶ授業」と私が書いたのは、想定している主語が「生徒たち」だからで ある。「授業は英語で行うことを基本とする」ということは使用言語を英語に変 えることにとどまらず、「生徒が英語を使う授業」を推進することを意味してい る。言い換えれば、生徒たちが主体的に学ぶ授業の設計が求められている。こ れまでに多く見られた教師主体の授業を英語で展開することを求めているわけ ではない。つまり、teaching から learning への発想の転換であり、この考え は CLIL の 2 つ目の L (Learning)との親和性が高い。教師の役割のうち、生徒 の学びをリードし、サポートすることが重視されるということだ。 1.3 英語学習の高度化 前述の「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」 6 では、高校の英語 に対しては「広い話題について抽象的な内容を理解できる、英語話者とある程 度流暢にやりとりができる能力を養うこと」「授業を英語で行うとともに、言語 活動を高度化(発表、討論、交渉等)すること」を要求している。「広い話題」 「抽象的な内容」について理解できたうえで、「発表、討論、交渉」を行うとな れば、当然のことながら、英語と内容の統合(融合)が求められる。 そして、2014 年度よりスーパーグローバルハイスクール(SGH)事業 7 が始 まり、56 校が指定された。「グローバル社会課題」について「プロジェクト型 学習」をすることになっている。指定された学校の多くは、海外へのフィール ドトリップや海外の高校生・大学生との学術的な交流を計画しており、この事 業における授業研究でも英語と内容の統合(融合)が試されるはずである。 また、SGH 事業よりも先に始まっているスーパーサイエンスハイスクール (SSH)事業 8 においては、英語との融合が重要視されるようになり、海外の高 校生との研究発表会や海外の大学教員へのプレゼンや論文提出といった課題を 5 http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/25/12/__icsFiles/afieldfile/2013/12/17/ 1342458_01_1.pdf#search='グローバル化に対応した英語教育'(アクセス日: 2014 年 4 月 30 日) 6 http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/25/12/1342458.htm(アクセス日: 2014 年 4 月 30 日) 7 http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/sgh/index.htm(アクセス日: 2014 年 4 月 30 日) 8 http://ssh.jst.go.jp(アクセス日: 2014 年 4 月 30 日)
  • 6. 5 設定している学校も増えて来た。そこで使用される言語は英語であり、内容と 英語の統合が試みられている。 1.4 内容基盤型指導法(Content-based Instruction) 大学の英語教育カリキュラムにおいて、かなり前から内容基盤型指導法 (Content-based Instruction: CBI)に則った指導がなされてきた。例えば、 小生も勤務していた神田外語大学外国語学部では、創設当初から、担当教員が 選択した内容について英語で学ぶ CBI の授業を展開してきた。英語力の向上が 主たる目的の科目であり、科目名も「英語総合講座 III」となっている 9 。 CBI によって英語力を向上させるために、その授業を履修する前までに一定レ ベルの英語力に達していること、内容を理解し発言するための十分なサポート (英語面を含む)があること、取り扱われる内容に学生が興味を持っているこ と、などが重要である。最後の点について言えば、神田外語大学の場合、授業 で取り上げる内容を事前に発表し、学生は興味ある内容の講座を選択できるよ うになっている。 1.5 CBI と CLIL の違い CBI の究極の目的は言語習得であり、CBI が「指導法」と位置づけられてい るため、外国語教育関係者の研究上の関心は CBI の言語習得に及ぼす影響に置 かれることが多い。 そのいっぽうで、CLIL は、言語と内容が不可分のように、言語の学習と内容 の学習は不可分であるという考えのもとに立脚した「カリキュラム体系」であ る。言語の学習のほうにより重点を置いた科目から始め、徐々に内容の重みが 増した科目があり、最終的には内容の学習のほうにより重点が置かれた科目を 履修する、といった一連の流れが用意されていることが理想である。 立教大学経営学部国際経営学科のカリキュラム(図1)はまさしくそういった カリキュラム体系になっている。入学した学生は、1 年次には全学共通カリキュ ラムの英語の授業を1年間週 3 コマ(英語ディスカッション、英語プレゼンテ ーション、英語ライティング 1 コマずつ)履修しつつ、夏には 3 週間海外で学 9 http://www.kandagaigo.ac.jp/kuis/subject/department/english/(アクセス日: 2014 年 4 月 30 日)
  • 7. 6 ぶ Overseas EAP(ビジネスプロジェクトを英語で体験するとともに、そのた めに必要な英語を学ぶ)を体験し、秋学期には国際経営学科の EAP 1 を週 1 コ マ履修する。2 年次の春学期には週 3 コマ英語の授業(ビジネスの内容につい ての Content-based Instruction)を履修し、秋学期には経営学を専門とする 教員が、100%英語で指導する専門科目である International Business(週 2 コマ)と英語教育を専門とする教員が指導する ESP(International Business のテキストを使用し、週 2 コマ)を履修する。3 年次以降は、100%英語で展 開される経営学の授業を受ける。 図1 立教大学経営学部国際経営学科のカリキュラム Oversea EAP(1年次)や Business Project(3・4 年次)をはじめ、いく つかの授業では連携企業から課題を提示してもらい、学生が主体的に調査・研 究し、企業側に対してビジネス提案を英語で行う活動を展開している(科目よ っては交換留学生との恊働学習もある)。このように、CLIL の 4C(内容、言語、 思考、協学) 10 のうち、内容と言語だけでなく、思考や協学も重視している。こ のようなカリキュラムで学ぶことで、4 年次 12 月時点までの 4 年弱の間に TOEIC のスコアは入学時と比較して平均で 200 点ほど向上しており、英語力も 伸びている。 10 4C については渡辺良典・池田真・和泉伸一(2011)『CLIL(内容援護統合型学習)上智大学外国語教 育の新たなる挑戦 第1巻原理と方法』(上智大学出版)の 4〜9 ページを参照。
  • 8. 7 1.6 CLIL 成功への課題 日本のように、英語が第二言語ではなく外国語であって、日常生活であまり使 われていない状況で成功させるには、CLIL を「内容の理解と当該言語の力の伸 長も同時に目指すカリキュラム体系」として捉えて展開すべきである。そうし ないと、内容の学習も言語の学習もどちらも中途半端という結果に陥る可能性 が大きい。CLIL は基本的には一教員の思いつきで行うべきものではなく、しっ かりとした体系的基盤が必要であり、関係する教員が共通の理解を持ち、ゴー ルを共有したうえで取り組むべきものであろう。 立教大学全学共通カリキュラムにおいては、以前から「総合教育科目」に交換 留学生と英語力の高い一般学生を履修者として想定し、英語で行う一般教育科 目群がある。これらを CLIL 科目と呼んでいいのかとなると微妙である。日本語 では授業内容を理解できない学生がもともとのターゲットであり、英語で授業 を行う理由は内容の理解である。さらに、日本人学生がよりよく理解できるよ うに配慮した言語面でのサポートがない教育体系である。その1科目を日本人 学生が履修し、結果として英語力も向上したといった場合でも、CLIL と呼ぶの は避けたい。このような線引きをすることが、CLIL と CBI の違いを明確化し、 今後の研究の課題を明確化し、教育施策などにも良い影響を与えると考える。 上智大学では 2014 年度入学生から一般教育の英語科目の必修単位数を減ら したうえで、「春学期の Academic Communication 1 では、講義ノートの取 り方、ディスカッションやプレゼンテーションの技法、小論文の書き方、効果 的な情報収集の方法など、アカデミックな英語運用力を高めます。秋学期の Academic Communication 2 では、そのスキルを基に CLIL(クリル=内容言 語統合型学習)を実践し、さまざまな学術分野の内容について学びながら、語 学力を向上させ、批判的思考力を鍛え、協働力を磨き、国際的視野を広げます」 11 とのことだ。前年度までの学生と比べ、英語力にどのような違いが生じるのか、 内容面の理解はどのように評価するのかなど、2014 年度の学習成果の検証が待 たれる 12 。 立教大学経営学部国際経営学科の場合、内容面の比重が重くなる 2 年次後期 において、TOEIC の点数の伸びが一時的に鈍化する。これは内容面の理解に時 11 http://www.sophia-cler.jp(アクセス日: 2014 年 4 月 30 日) 12 上智大学における CLIL プロジェクトについては、笹島茂(編著)(2011)『CLIL 新しい発想の授業 – 理科や歴史を外国語で教える–』(三修社)113〜128 ページを参照。
  • 9. 8 間がかかり、英語の学習という側面が弱くなるので、当然の結果だと受け止め ている。その後、経営学を英語で学ぶことに慣れるにつれ、TOEIC の点数が再 度上向きになる。いずれにしても、内容と言語の両方ともにバランスよく習得 できるようになるためには、カリキュラムの体系化が不可欠である。 また、教員の力量レベルも高くないと、CLIL は成功しない。経営学部での CLIL であればビジネス関係のことにある程度精通していないと EAP や ESP の授業 で使う教材を開発できないし、効果的な指導もできない。SSH の高校で理科と 英語の統合化を図り、理科に関する内容の CLIL 関連科目を英語で教えるとなる と、その担当者が英語教員であれば少なくとも高校生が学ぶ化学、生物、物理 の基礎知識に精通していなければならない。 さらに、専門科目を担当する教員に CLIL に対しての理解が欠けていると、こ れまた問題が発生する。「私は英語教員ではない」という変なプライドを持って いたり、外国語である英語で学生・生徒が専門分野を学ぶことの大変さを理解 していなかったりすると、英語力が比較的低く過重な負担がかかっている学生 を排除したがる傾向がある。このような問題を解消するためにも、CLIL をテー マにした FD ワークショップ等が必要であり、そのためのノウハウの蓄積も重要 な課題だ。
  • 10. 9 2. CLIL の実践と授業研究 笹島茂(埼玉医科大学) 2.1 はじめに 2012 年 12 月上智大学にて「CLIL についての懇談会」を実施して以来、2013 年に入り CLIL の関心がより現実を帯びてきたように感じる。実際、私自身 CLIL にかかわることが多くなった。 私の研究の主領域は英語教育であり、主に英語教師の研究である。私はこれ を「言語教師認知(language teacher cognition)」(Borg, 2003)とし、大学英 語教育学会(JACET)で研究会を主宰し、その活動も活発になっており、上智 大学では「言語教師認知論」という授業も実施している。授業は、言語を教え ることや学ぶことに関する私たちが抱いているビリーフ(信念)や思い込みを 批判的に考えることを基盤として、様々な話題に及ぶ。その授業の中でも CLIL のことは話題によく取り上げられる。それだけ関心が高いということの現れで あろう。 CLIL は研究としても興味深い領域が多々ある。特に、教室活動の談話分析 (discourse analysis)は最も活発である。また、SLA の知見をもとにした言語 習得の問題でも新たな視点を投げかけている。これまでの言語習得や言語学習 研究があまり関心を持たなかった学習内容に焦点を当て、複雑な学びのメカニ ズムを言語的なアプローチからだけではなく、学ぶ内容や思考と併せて考える ようになってきた。そこが CLIL の一つの醍醐味でもある。ぜひ多くの方が CLIL に関心を持っていただき、これらの領域の研究が進むことを望む。 しかし、私の CLIL に対する主たる興味は、実践にある。ヨーロッパで外国語 教員研修などの調査をしているときに CLIL に出会った。CLIL に関する研究よ りも CLIL の実際の授業に関心を持った。発端は、2005 年に調査で英国を訪れ た頃からである。当時、ロンドンにあった CILT (the National Centre for Languages)を訪れ、話を伺い、資料を調べている際に、CLIL について知った。 どちらかと言えば、当初、LSP (Languages for Specific Purposes)と考えて いた。職業や分野に関連した言語教育と考え、ヨーロッパ市民や学生の移動を
  • 11. 10 促進する意味で、政策の一環として実施されていると考えた。その後、フィン ランド、イタリア、スペイン、ドイツ、オーストリア、オランダなどで英語教 師と教員研修の調査を、学校に実際に訪れ、教師と話し、授業を見ることを通 して実施する中で、CLIL の授業を見た。 しかし、実際に見てみると、やはり英語で科目を教えているという枠組みで あり、「何が CLIL なのか?」という素朴な疑問がわいた。私の CLIL の研究は こうして始まったのである。その点を踏まえて、本稿を CLIL の実践と授業研究 という観点から考えてみたい。 2.2 CLIL の実践 Marsh (2002)が John Trim の次の言葉を引用している。 Function and form, action and knowledge are mutually dependent. Action without knowledge is blind, vacuous. Knowledge without action is sterile. Finding the correct balance is the key to successful learning and teaching. CLIL は英語の Content and Language Integrated Learning の略である。私 はこれを「科目内容とことばを統合した学習」と訳した。現在の訳語は「内容 言 語 統 合 型 学 習 」 が 定 着 し た よ う で あ る が 、 フ ラ ン ス 語 で は EMILE (Enseignement d une Matière par l Intégration d une Langue Etrangère) とされている。それぞれの言語では微妙にニュアンスが異なるかもしれないが、 Trim が述べるとおり、「機能と形態、行動と知識は互いに依存する」ものであ る。科目内容と言語がどのように統合されるかにはおそらく相当の議論があり、 研究が必要である。しかし、実践は学問のようにすっきりとはいかない。複雑 である。私は、CLIL の魅力はその複雑さにあると考えているので、なおさら興 味を持つのである。 そうは言っても、CLIL の指導法にも原理があり、方法論がある。現在紹介さ れている CLIL の指導法は、ヨーロッパの CLIL 推進者の知見から生まれつつあ るものであり、言語学習的に言えば、CLT (Communicative Language Teaching)に端を発し、ヴィゴツキーの社会構成主義の考えを取り入れて、認知
  • 12. 11 学習理論や協同学習理論を参照しながら、バイリンガルやイマーション環境を 補完するようなかたちで教育環境において実施されるようになった。CLIL が推 進される背景には、もちろん EU の政策がある。CEFR が構築した言語の学習、 教授、評価の参照枠組に、科目内容の学習、さらには思考という教育アプロー チに統合したのである。 CLIL を実践するには、ヨーロッパの実践をただ追随するのではなく、また、 ある指導法や指導技術をまねて授業を展開するだけでは、おそらくうまくいか ないだろう。教育理念や実践そのものを考え直す必要性がある。言い方を換え れば、言語教師が言語理論や言語教育理論だけで言語学習を考えるだけでは限 界が見えてきたのである。「言語は道具である」とすれば反発が起こり、「言語 に対する意識が重要だ。母語の日本語でまずきちんと考えられる力を身につけ るべき」とすれば、いままでと変わらない状況が続く。逆に、「英語は必要だ」 として小学校からネイティブスピーカーに教わり、ゲームや歌などの活動で、 コミュニケーション重視で英語学習を続ければ、はたして英語が効果的に使え る人材になりえるだろうか。もう少し広く異なる観点で言語を考えてみる必要 がある。その意味から、教育そのものを CLIL という指導法をきっかけに考え直 す必要がある。つまり、CLIL 実践を考えることが大切なのである。 2.3 授業研究 CLIL 指導や教材に関するリソースはここ数年で相当に充実してきている。 CLIL に関する研究も広がり、AILA や IATEFL などの学会、毎年ヨーロッパで 開催されている CLIL 学会などで、研究や実践に関する CLIL の研究者、教師、 教師教育者などの交流の場が設定され、また、ECML (European Centre for Modern Languages)を中心に CLIL に関するプロジェクトが進行し、成果を出 している。 CLIL は、ある定型の指導方法や手順(method)ではなく、原理に基づいた様々 な指導方法や手順を総合した指導法あるいは指導方法論(methodology)である。 別の言い方をすれば、学びを広く捉えた教育(pedagogy)とも言える。そのため に実態が明確に理解しにくく、英語という言語を外国語として教える教師にと っては、外国語指導という枠組みから容易に離れられないので、誤解が生じる ことがある。また、科目を教える教師にとっても、教科内容を教える上での言
  • 13. 12 語使用と別の言語とのバランスが理解しがたく、CLIL が混沌とした状況を作り 出すのではないかと懸念することが往々にしてある。 そのような状況では、やはり実際に学習者がどのように学んでいるのかを見 ることが重要となる。そのために日本の初等中等教育を中心に伝統的に実施さ れてきた授業研究が有効であろうと考えている。本稿では、その授業研究の手 法を CLIL の教員研修に導入し、CLIL の日本でのあり方について考察したい。 2.4 授業研究と Lesson Study 日本で実施されてきた授業研究は明治の頃に遡る。当初は、師範学校を中心と した縦社会で模範授業というかたちで提供された。戦後師範学校は廃止された が模範授業という形式は残り、多くの教師は模範授業を見て、それをまねると いうシステムが定着した。日本の教員養成システムの脆弱さを補う意味でこの 授業研究というシステムは小学校や中学校では機能してきたが、高等学校では 必ずしも効果をあげてきたわけではない。問題は、この授業研究が地域の教師 の中で行事となり、形骸化することが多くなったことにある。要するに、教師 は、明日の授業に使えそうなアイディアや教材などの表面的なことを求める傾 向になり、授業そのものを改善するという省察(reflection)(Schön, 1983) などはあまり行われるなくなったのである。 しかし、日本の中で形骸化した授業研究は、北米を中心に理科や数学教育で 注目され、Lesson Study として広がりを見せた。Lewis (2002: 1)は次のよう に説明している。 Lesson study provides an ongoing method to improve instruction based on careful observation of students and their work. 授業を注意深く見ることで、特に学習者が何を考え行動しているのかを観察す ることによって、教える内容や教え方を議論し、どのような学びが効果的であ るのかを共に考えるという実践的な面を取り入れたのである。これは日本にお いても特に初等教育における授業研究の伝統であった。その良い面を抽出して 授業観察に生かしたのである。仮説検証などの手法に基づく実証的な観点から 授業分析(classroom research)を図ろうとする試みに対して、質的で探索的な
  • 14. 13 アプローチを取る Lesson Study が注目集めた。この Lesson Study が日本に 逆輸入され、授業の「学び」を授業研究の中で重視する動きが再認識されるよ うになってきている。 2.5 CLIL と Lesson Study Lesson Study は、いくつかの国と地域で広がりを見せている。その背景には、 日本では教員養成や研修で一般的に行われてきた研究授業(research lesson) がほとんど行われていないという実態がある。また、授業観察に関しても観察 の視点が必ずしも日本の教育環境で行われてきたものとは言えない。例えば、 日本では、教師の指導手順を見るのと同様に、生徒の学習活動を見る。また、 教師の指導のねらいが授業展開の中でどのように達成されているかに焦点を当 てることがある。マイクロティーチングがある指導内容や活動に焦点を当て、 その効果性に注目するのに対して、日本の研究授業に関しては、授業全体を多 面的に捉えて、教師自身の省察や観察した人自身の授業の省察にも及び、また、 生徒の学びをも対象にして授業や学習を振り返る。 CLIL は現在開発途上の言語学習と科目内容学習を統合した学習であり、教え ることにおいても学ぶことにおいても、より複雑な要素を含んでいる。そのた めに、多くの教師は多少懐疑的になり、今ひとつすっきりしないのである。こ れまでの教師自身の教えるあるいは学ぶ経験からすれば、例えば、英語と理科 をいっしょに学ぶということは二重の負荷であると考えるのは当然であろう。 しかし、実際にそれが可能な事例がいくつもある。「日本語と英語は言語的に遠 いので、ヨーロッパのようにはいかない」「早い段階で英語を学ぶのは日本語の 言語発達を阻害し、思考力が発達しない」というような意見も聞く。果たして 本当にそうであろうか。教師が勝手にそう思い込んでいるだけではないだろう か。これらのことに関してはどちらの側に立っても実は明確な証拠はないので ある。 CLIL に関しても、ヨーロッパでもすべてうまく行っているわけではなく、成 功例も失敗例もある。その要因は様々であり、複雑である。Coyle(2008)が主 張するように CLIL は文脈によって変化し、状況によって多様な展開があり得る。 同様のカリキュラム、指導手順、教材などを利用することで、同じような画一 的な授業が成立するとは考えないほうがよい。その多様さに対応する大切な点
  • 15. 14 は事例の積み重ねであり、多様な知識と技能の共有であろう。その意味で Lesson Study を実施することが有効であると考えている。 Lesson Study の目的は、授業を計画し、実施し、反省するという授業実践 プロセスを、学習者の学びに焦点を当て授業を観察し、いくつかの異なる視点 から学ぶことや教えることを協同で省察し、個々の教師の教えることに対する 哲学、思い込み、思考プロセス、意思決定などの内的要因と、学習者が学ぶ目 的、目標、動機、学習者の特性や背景、学習者を取り巻く文化、教室環境など の外的要因を、総合的に考察し、授業をより効果的に実践し、学習者の学びの 質をより高めることにあると考える。CLIL の教員研修には、まさにその点が求 められているので、次に具体的にどのように CLIL 教員研修に Lesson Study を取り入れるかを検討したい。 2.6 CLIL 実践的教員研修への提案 笹島(2012)は、実践的外国語(英語)教員(PLT: Practical Language Teacher) 研修カリキュラムとして、PLT を、「学習者の求める外国語ニーズを基盤として、 学習者のために明確な目標を設定して、学習計画を作成し、学習の場面、活動、 教材などを選択し、学習の機会を与え、支援し、診断し、評価できる教員であ る」と定義して、次の4つの要件を提言している。 1. CEFR(Common European Framework of Reference for Languages) (ヨーロッパ言語共通参照枠)における CRL (Common Reference Levels)(共通参照レベル)の5技能と6レベル、あるいは、それから派生 して作成されている RLD (Reference Level Descriptor)(参照レベルデ ィスクリプター)を理解していること 2. CEFR を教育に具体的に取り入れる方法としての ELP(ヨーロッパ言語ポ ートフォリオ)の考え方を理解し、学習者の自律 (learner autonomy)を 奨励すること 3. CLIL (Content and Language Integrated Learning)(科目内容とことば を統合した学習)の理念を理解し、状況に応じて対応できること 4. LSP の理念を理解し、状況に応じて分野に特化した言語教育を提供できる こと
  • 16. 15 教員研修の観点からは、各科目の教師が CLIL を取り入れることも考慮すること は当然であるが、言語を専門とする教師がまず CLIL を理解することが大切であ る。理由は、CLIL の成り立ちがそうであるからだ。そこで、実践的外国語教師 にとって CLIL を一つの要件とした。笹島(2012)は、これらの4つの要件に基 づいて、10 のスタンダードを示し、具体的な教員研修カリキュラムを提言して いる。 その提言では、CLIL はスタンダード6(学習段階、科目内容、分野、仕事な どのディスコースコミュニティの理解)で言及されている。つまり、英語教師 であれば、英語教師の知識と経験の中で自然にある枠組ができてしまい、自分 のディスコースコミュニティの中で思考してしまう危険性が高い。その危険性 を回避するためには、実際にそれぞれの分野がどのようになっているかを知る ことである。しかし、それは労力の要ることであり、そう簡単にできることで はない。そこで、教師としては互いに授業を見ることが最も簡便であり、効果 的であり、また、連携を図るということが重要である。 互いに授業を見るという行為は簡単であるが、意外に実施されていないとい う実態がある。理由は、やはり目標が明確ではないからであろう。どのような 目的で授業を観察し、何をポイントにどう見るかということを、明確に設定し ておく必要がある。実施の方法としては様々にあるが、CLIL の教員研修という 点を目的に一つの案を提示する。 Lesson Study 案 ̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶ 目標:英語と世界史を学ぶための効果的な CLIL 授業の開発と実践 研究授業 1:イギリスの産業革命(高校:世界史の授業) 研究授業 2:Why did the industrial revolution happen in Britain?(高校: 英語の授業) 留意点:互いの授業は「産業革命」という題材を扱うことを決めておき、それ ぞれが指導案を考え、授業をする。授業は、授業者以外にも参観し てもらい、ビデオも撮る。 授業観察:授業観察の観点を決めておく。例)英語と世界史を統合する課題、 世界史を英語で教える事のメリットとデメリット、英語で世界史を
  • 17. 16 することのメリットとデメリット、学習者の学びへの配慮、英語と 日本語の提示、教室活動(知識内容と言語)など 授業研究:授業者は授業を振り返り、観察者は気づいた点を質問し、コメント する。指導助言者などの役割は決めず、自由な意見交換を促し、学 習者の学びに焦点を当て、科目内容としての題材と活動、その内容 に必要な英語の語彙や文法、そこで必要な学習スキルを、思考、環 境、コミュニケーションという観点から考察する。 省察と改善:上記の授業研究をもとに、次の内容について改善点を整理し、CLIL 授業の工夫を図る l 英語の題材の選択と言語的サポート l 題材の提示方法の工夫 l 英語による教師の説明と学習者の理解 l 学習活動(タスクの設定と目標) l 学習活動の成果の発表と評価 l 活動の省察と自律学習 教材例 (http://library.thinkquest.org/26026/History/results_of_the_industrial_revo.html) ̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶
  • 18. 17 2.7 CLIL 授業研究の課題 ここで紹介した CLIL 授業研究はごく一例である。授業研究の方法論を画一化 する必要もないので、様々な工夫があってしかるべきであろう。大切なことは、 学習者が科目内容と英語を効果的に学ぶことである。そのためには、これまで の英語教育の知識や経験だけにとらわれていては CLIL の良さを引き出せない。 また、ヨーロッパの CLIL を踏襲するだけではなく、日本という教育環境を考慮 する必要がある。そのためには、カリキュラムや教材開発を進める必要があり、 教員養成と研修が急務である。CLIL の理論的枠組の構築は当然必要であるが、 より実践的で社会文化に根ざしたアプローチが重要であろう。 実践は少しずつ進んでいる。課題は、多くが指摘するとおり、CLIL の多様性 という特徴にある。英語で科目内容を扱っていれば、なんでも CLIL と言えると いう危惧である。私は、それでも学習者が満足していればそれでよいと思って いる。乱暴であるが、CLIL であるか CLIL でないかはあまり問題とは思わない。 大切なことは実践である。教師がどのような意識を持って、外国語(英語)を 使って教えているのか、あるいは、学習者がどのような考えをもって授業に臨 んでいるのか、という点に注目する。CLIL は、目的ではなく、あくまで手段で ある。CLIL のポイントは、内容とことばの学習の統合である。「学び」自体は 総合的な活動であり、学習者の中でどのようにそれが相乗的に起こるのかは明 確に理解されている訳ではない。 CLIL というアプローチの中で、学習者の「学び」がどのような場合にどのよ うなことが起きるのかを探求するには、実践の中で授業研究という日本的な質 的アプローチが適切だと考える。2012 年 12 月に実施した「CLIL に関する懇 談会」の一つの目的はそこにあった。CLIL と銘打ってカリキュラムを実施する かしないかは教師の側の選択である。学習指導要領に準拠する必要のある小学 校、中学校、高等学校で、CLIL カリキュラムを実施することは、おそらく現時 点では困難である。大学では可能であるが、大学でも英語力を求め続けられる 現状では、英検、TOEIC、TOEFL などのテストを目的とした指導は主流になら ざるを得ないし、英語で授業をする、あるいは、ネイティブスピーカーによる 授業などという短絡的な発想しか生まれない。 Lesson Study は、CLIL に限らず、それらを巻き込んだ教員養成(研修)プ
  • 19. 18 ログラムを提供できると考える。笹島・Pisker・石田・坂本・山野(2012)は、 Collaborative Lesson Study Network (http://lessonstudybihjapan. blogspot.jp)というプロジェクトを、ボスニア・ヘルツェゴビナの教員と協同で 実施している。目的は、日本とボスニア・ヘルツェゴビナの教師がインターネ ットなどを介して授業研究をすることである。異なる環境の教師が英語を媒介 として交流することにより何か新しい学びの発見があるのではないかと意図し てのことである。具体的な試みとして、ウェブを通じて授業のビデオを公開し、 Lesson Study を実施している。公開されている授業は、Sanela Halac 氏と山 野有紀氏によるもので、どちらも Sanela Halac 氏のサラエボの小学校で行われ た。当日は、この二つの授業参観後に参観者により授業研究の会を持った。同 様の目的で、インターネットを通して授業観察し授業研究を実施しようと計画 している。 インターネットなどを利用したオンラインによる Lesson Study には課題も 多いが、様々な科目内容を扱っても、英語という言語を媒介とすれば、かなり 多くの人が参加できる。言語が異なるとやはり内容が分かりづらい。また英語 という科目に限ってしまうと、交流の幅も狭まる。その点で、CLIL は教育内容 や方法においてこれまでとは異なる視点を与える可能性がある。 2.8 おわりに 私は、CLIL の魅力は実践にあると考えている。しかし、実践だけでは発展し ないので、それを支える理論が必要である。現時点では、CLIL は理論的な基盤 が確固としている指導法とは言いがたい。批判もあるし、バイリンガル教育、 イマーション、内容重視の指導法(CBI)などとの棲み分けは明確にはできていな い。その理論化の柱は4つの C (Content, Communication, Cognition, Culture/Community)であるが、これも依然として曖昧であるとの批判は否め ない。しかし、状況(context)に応じてこれら4つの C という原理に基づいて学 びが統合されるという柔軟なコンセプトは、実践を積み重ねることで発展する と考えている。ヨーロッパで注目され成果をあげている CLIL は、私個人として の教師経験から魅力と可能性を感じる。模倣するだけではおそらくうまくいか ないとも感じる。そのためには、CLIL の実践を研究者と教師が互いに共有し、 Lesson Study という場を通じて、外国語(英語)を効果的に学びながら、か
  • 20. 19 つ、様々な科目内容の知識や思考を身につけるという統合的な学習アプローチ を、言語学習という枠組みだけではなく、多様な分野の学習を取り入れること で、いままでの伝統とは違う教育を展開させる必要性があるだろう。それは、 おそらく今日文部科学省が推進しようとするグローバル人材の育成につながる だろう。 引用文献 Borg, S. (2003). Teacher cognition in language teaching: A review of research on what language teachers think, know, believe, and do. Language Teaching, 36 (2). pp. 81-109. Marsh, D. (2002). CLIL/EMILE ‒ The European Dimension: Actions, Trends and Foresight Potential. Bruxelles: The European Union. Schön, D. (1983). The reflective practitioner. New York: Basic Books. Lewis, D. (2002). Lesson Study: A Handbook for Teacher-Led Improvement of Instruction. Philadelphia: Research for Better Schools. 笹島茂. (2012). はじめに. JACET 言語教師認知研究会研究集録 2012. Language Teacher Cognition Research Bulletin 2012. i ‒ ix. (2013 年 7 月 21 日 ) https://www.box.com/shared/static/sjdt44nma9l67 x5rljxz.pdf. 笹島茂, Lydia Pisker, 石田真子, 坂本篤志, 山野有紀. (2012). Lesson Study in INSET between BiH and Japan ‒ The Japan Foundation Project of Human Resources Development for Implementing International Exchange 2012. (2013 年 7 月 21 日) https://www.box.com/shared/static/ 4wdwlr8k9mvaq8w5qqjx.pdf.
  • 21. 20 3. 授業実践にもとづく CLIL CLIL の授業実践の事例はまだ多くはない。ここに掲載した内容は、ヨーロッ パ的な CLIL 実践からすると、厳密に言えば、CLIL とは言えないかもしれない。 しかし、CLIL は多様であることが特徴である。CLIL とは言わなくても、CLIL 的であるかもしれない。CLIL であるかどうかはそれほど重要ではなく、学習者 がその学習をどう考えるかが重要であろう。 その意味から、ここでの CLIL 実践は今後の日本における CLIL の方向性を示 すものと期待される。この実践をステップとして、CLIL の輪が広がることを期 待する。
  • 22. 21 3.1 和光国際高校外国語科での CLIL 実践の可能性 山崎 勝(埼玉県立和光国際高等学校) 3.1.1 はじめに 筆者は、勤務校の外国語科2年生の「異文化理解」の授業において、global issues を扱った CLIL の授業を 2011 年度より開始し、今年度で3年目を迎え た。本稿では、これまでの経験に基づき、日本の高校の英語の授業における CLIL 実践の可能性について論ずる。 3.1.2 「4つの C」を念頭に置いた授業づくり 「4つの C」とは、Content(内容)・Communication(言語)・Cognition (思考)・Community(協学)の4つを指し、CLIL を実践する上で使われるフ レームワークである。このフレームワークを念頭に、どのように授業を設計し ていくことが可能かを以下に検討していく。 (1) Content(内容) Content とは、題材内容のことなので、一番、中心となる教材は、「コミュニ ケーション英語Ⅰ」など、当該科目で採用している教科書の本文であろう。た だし、授業の目的は、「教科書を教える」ことではなく、「教科書で教える」こ となので、CLIL の授業での教材は教科書に限定されるものではない。教師は、 授業の素材の選定にあたっては創造的でありたいものである。教師用指導書に 載っている背景知識的な情報も活用できるであろう。教科書に関連した補助教 材をインターネットや書籍、英字新聞などに求めることもできるだろう。さら に、教材になりうるのは文字テキストばかりではない。写真などの画像や、 YouTube などの映像、グラフ・図表・地図なども利用できる。様々なタイプの 教材により豊かなインプットを与えることが、やがては豊かなアウトプットに つながっていくのである。CLIL の授業が生徒の意欲的な学びにつながっていく のは、Content の魅力に負うところが大きい。
  • 23. 22 (2) Communication(言語) Communication とは言語面の指導を指すので、CLIL の授業において英語の 指導をどうするかという領域である。CLIL では、中核となる考え方として「4 つの C」のようなフレームワークは示されているが、具体的な指導法や授業の 手順については、特定の教授法が推奨されているわけではない。その意味では CLIL はたいへん柔軟で自由である。しかし、柔軟で自由であるがゆえに、CLIL 初心者にとっては、どのように始めたらよいのかがわかりにくいというのも事 実である。授業者としては自分自身の指導法や授業手順を持たなければ授業を 設計できないのだが、CLIL が教授法を明示していないということは、従来から ある様々な教授法と融合が可能だということである。 筆者の場合には、筆者が長年実践してきた Oral Method との融合を試みた。 CLIL は Content and Language Integrated Learning(内容言語統合型学習) であるから、ここでの主眼は、授業の素材として用意した豊富な Content と英 語をどう統合させるかということである。これには、Oral Method の授業でよ く行われる Oral Introduction や Story Retelling の指導が有効である。Oral Introduction は、題材の概要について教師と生徒が口頭で interactive なやり 取りをするもので、dialogic な teacher talk である。interaction を重視して いるので、CLIL が提唱する dialogic という方向性と一致する。言語材料の導入 に重点を置いている場合は、Focus on form の実践である。つまり、CLIL で 推奨されているこれらの考え方は、日本の土壌で育った従来の指導法の中でも 長年、実践されてきており、目新しいものではない。 (3) Cognition(思考) 従来の英語の授業で不十分だったのは、この領域ではないかと思う。「内容」 と「言語」の統合までは、広く行われており、具体的な指導法も確立されてい たが、授業のゴールが、Story Retelling や Summary Writing であることが多 かったように思う。Cognition(思考)としては、自分の意見を一言か二言、加 えて述べる程度の実践が多かったのではないだろうか。その意味で、CLIL がそ のフレームワークの中に Cognition(思考)を明示したことは、日本の英語教 育に対しても明確なメッセージとして伝わることと思う。つまり、「内容」「言 語」に加えて、「思考」も統合しなさい、ということである。
  • 24. 23 (4) Community(協学) 従来の英語の授業ではこの領域も不十分であったと思う。従来、普及してい た教授法の多くは教師主導の一斉指導が中心であったので、生徒同士の活動に ついては、研究の余地が多いと思う。従来からペアワークやグループワークは 実践されていたが、必ずしも成功例ばかりではない。例えば、「内容」と「言語」 が統合されていない状態で、生徒同士の活動を行っても、英語で活動が成立す るのは困難である。また、「思考」という発想を伴わない生徒同士の活動は、一 見、活発に見えても実態は、機械的なドリルやゲームの域を出ないものであっ たかもしれない。その意味で、CLIL がそのフレームワークの中に Community (協学)を明記した意味は大きいと思う。他の3つの C と統合した内容で生徒 同士の活動を行うことを推奨する、というメッセージである。つまり、学習し た「内容」について、「思考」を伴った「話し合い」を「英語」で行いなさい、 ということである。昨今、注目を集めている「協調学習」なども、英語の授業 においては、CLIL の Community(協学)の活動の一つの形態として実践が可 能であろうと筆者は考えている。 (5) 「4つの C」の統合に向けて 他の3つの C と統合された内容で、Community(協学)の領域が英語でで きるようになることが、英語の授業で行う CLIL のゴールであろうと筆者は考え ている。そこに至るための scaffolding(足場)として筆者が現在取り組んでい る方策は次の3つである。 ① 双方向プレゼンテーション(interaction) 質疑を交えた発表を行い、発表者と聴衆の間で何往復かのやり取りを行う。 準備のない、その場での interaction の経験を積ませる。 ② 30秒スピーチ(fluency) 既習の題材について30秒間、話し続ける。interaction を継続するために は、英語が口からたくさん出てくるよう fluency を訓練する。 ③ 言い換え表現(paraphrasing) interaction を継続するためには、自分が運用可能な表現に言い換えて発言 を続けることが必要である。英英辞典の使用を推奨し、ハンドアウトでも 平易な英語で語義を与え、説明の際に活用させる。
  • 25. 24 3.1.3 CLIL のバリエーション 高校の英語の授業に CLIL を導入する場合、強形 CLIL(Strong CLIL)と弱形 CLIL(Weak CLIL)の2つのバリエーションが考えられる。 (1) 強形 CLIL(Strong CLIL) CLIL では、教科内容の学習と言語の学習の割合を1:1にするのがよいとさ れている。「教科内容」と「言語」を対等に扱う CLIL を強形の CLIL と呼ぶ。 外国語科等の専門科目である「異文化理解」や「時事英語」、その他、学校独自 の設定科目であれば、強形の CLIL が適していると思う。筆者の場合も「異文化 理解」という科目で、内容としては global issues を扱ってきたが、教材の配列 は、個々の global issues が並んでいるので、「言語」の学習と共に、「内容」の 学習が対等な目的となっている。「教科内容を英語で学ぶ」ことが目的となるの で、「教科内容」は「言語材料」を学ぶための単なる手段ではない。高校2年生 以上で、すでに1年次に「総合英語科目」を履修しており、生徒の英語力が平 均して英検2級程度以上であれば、「内容」と「言語」の学習を同時並行させる ことは可能であり、生徒の学習をより促進させるために有効な方法である。 (2) 弱形 CLIL(Weak CLIL) 一方、「英語Ⅰ」や「コミュニケーション英語Ⅰ」で CLIL を導入する場合は どうであろうか。これらの科目の目的は英語の基礎に生徒を習熟させることで ある。教科書の題材にも内容が豊かで魅力的なものが多数取り上げられている。 global issues の授業で扱うような「環境問題」や「人権問題」は、検定教科書 にも登場する。しかし、検定教科書を使った授業の性格は若干異なるものにな る。global issues の授業であれば、global warming を学ぶこと自体が目的の 一部である。しかし「コミュニケーション英語Ⅰ」で global warming が取り 上げられている場合は、事情が異なる。多くの場合、「地球温暖化」を学ぶため にその教科書が採用されたわけではない。題材が環境問題である必然性はなく、 教 師の関心事は、教材の英語の語彙や難易度であり、目的の重点は、新語をたく さん覚えることであったり、長文が読めるようになることだったりする。つま
  • 26. 25 り、内容と言語の割合は1:1ではなく、重点は言語の方にあり、題材は言語 を学ぶための手段である。このような、言語に重点がある科目に CLIL 的な要素 を加味する授業を弱形の CLIL と呼ぶ。「コミュニケーション英語Ⅰ」のような 科目で CLIL を導入する場合は、弱形の CLIL が現実的である。 3.1.4 CLIL 的な授業のすすめ 日本の高校の英語の授業の現状では、強形の CLIL を導入できるのは、少数の 科目に限られるので、多くの授業で実践の可能性があるのは弱形の CLIL である。 現在の授業に CLIL 的な要素を加味して、CLIL 的な授業に変えていくことは可 能であろう。具体的には、冒頭で述べた「4つの C」を念頭に置いて、その統 合を意識して授業の構成を見直してみることができる。年間指導計画を立てる 際に、「題材」シラバス、「言語材料」シラバスに加えて、Cognition と Community についても、どのレッスンでどんなことを行うのかを計画しておくことはでき るだろう。時間の制約もあるので、レッスンによって扱う内容の軽重をつける 必要もあろう。以下に具体的に見ていく。 (1) Content(内容) 教科書の本文に加えて、何らかの興味深い素材をもう1つくらい足してみる。 インターネットから入手した関連した文章でもよいし、画像や図表、YouTube の動画でもよい。 (2) Communication(言語) 学習した題材内容について、生徒の英語の使用が増えることを目指す。授業 の成果として生徒の口から、日本語ではなくて英語が出てくるように活動を組 み立てる。 (3) Cognition(思考) 教科書のタスクや教師用指導書も参考に、題材に応じた思考を要するタスク を用意する。 (4) Community(協学) どのような形態の協同学習を経て、どんな発表を行わせるのかを、題材に応 じて計画する。 「4つの C」が有機的に結びついて授業が構成されていくようになれば、「英
  • 27. 26 語」の授業としても、大きく質的に向上することになるだろう。CLIL 的な授業 にはそのような可能性があると筆者は信じている。
  • 28. 27 3.2 川越女子高校での教科間連携と CLIL 鈴木誠(埼玉県立南陵高等学校) 佐藤ひな子(埼玉県立川越女子高等学校) 3.2.1 川越女子高校の SSH と教科間連携 本校(筆者(鈴木)前任校)のスーパーサイエンススクール(SSH)事業は 導入から8年になる。その柱の1つが教科間連携である。下図は本校の SSH 事 業の取り組みをイメージしたものである。 研究開発の概念図
  • 29. 28 本校 SSH に教科間連携におけるねらいは、教科の枠を超えて、関連性に気づ かせ、一見異なる分野や科目観をつなげ、結果として、生徒自身が統合的に学 ぼうとする力を育成することにある。そのため、理科科目に限らず全教科にわ たって包括的に連携を展開しようとしている。実践例は実に多様で、2012 年だ けでのべ 130 の連携授業が行われた。 2012 年の教科間連携のリスト(一部抜粋) 教 科 科 目 学 年 時期 連 携 相 手 テーマ 内容 実施者 芸 術 書 道 1 9 ∼ 12 月 音 楽 書道授業時 の音楽によ る 集 中 向 上。 授業時に音楽のクラシックから現代の音 楽まで、金井先生に集中できそうな音楽 を選んでいただき、授業中に流す。その 都度アンケートを実施し、生徒に回答さ せる。 略 家 庭 家 庭 基 礎 1 7 ∼ 9月 情 報 栄養と食品 1 日の食事を栄養計算ソフトを使って分 析し、望ましい食生活について考える。 略 保 健 体 育 保 健 1 4 ∼ 5 月 生 物 精神の健康 (心身の相 関とストレ ス) 欲求不満やストレスが生じたときに分泌 されるホルモンや、それを解消しようと 心がける時に分泌させる脳内ホルモンに ついて詳しく学ぶ。 略 公 民 公 民 1 数 学 金融のしく み 金融に関する説明には数学での知識が不 可欠である。中心となる数列は2年次に 学習する内容だが、1年生にもわかるい ような資料を数学科で作成し、理解の補 助とするする。 略 理 科 地 学 2 5 . 6月 英 語 火星のテラ フォーミン グ、探査に ついて 2年Rの授業に出向いて、Rの授業中に 火星に関するプレゼンテーションを行う 略 理 科 SS 生 科 位 置 1 9 月 英 語 ジェーン・ グドール博 士のチンパ ンジー研究 担当教員集団で打ち合わせをし、チンパ ンジー研究者としてのジェーン・グドー ルもしくは彼女が進めた類人猿研究に関 し、SS生命科学Ⅰの授業内に関連授業 を行う。 略
  • 30. 29 3.2.2 教科間連携における CLIL の可能性 教科間連携(上表)のうち、外国語の授業と他教科とを組み合わせた授業で あれば、CLIL の理念と通ずるものがあるのではないだろうかという思いから、 英語と他教科を組み合わせた授業(CLIL 型授業)を模索してみた。まずは、実 際に行った CLIL 型授業の紹介である。(以下の例を参照) 教科間連携授業(CLIL 型授業)例(「CLIL 新しい授業の発想」(三修社)第 4 章より抜粋) *日時:平成21年6月2日(火) 第1時限(8:45∼9:35) *指導クラス:普通科1学年3組 *対象生徒:女子41名 *トピック:細胞(Surface area and volume)・拡散(Diffusion) 多細胞生物の細胞の大きさと機能について、アメーバと像の細胞の表面積と 体積とを比較しながら理解する。さらに diffusion(拡散)の機能についても 知る。 補助教材として「Senior Biology and 1 Student Workbook 2008」 (BIOZONE 出版)より p.123-124 の Surface area and volume を生徒の実 情に合わせ、一部かえて活用しました。 (参考資料)生徒は4月より「生物Ⅰ」の教科書を学びはじめています。本教 材は、生物の基本単位である細胞が、生物個体の大きさにかかわらず、数μm ∼数十μm と小さいのはなぜかについて、細胞の代謝を支える細胞内外の物質 輸送と関連づけて説明しています。相似形の立方体で比較すると、大きくなれ ばなるほど単位体積あたりの表面積が小さくなり、栄養分等の輸送が困難にな っていくことが、どの生物の細胞もある程度の小サイズである理由としてあげ られます。彼女たちは4月に細胞について学び、観察実験を通じて動植物の細 胞を観察しています。生物が細胞という共通のユニットから成ることは理解し ており、また「細胞膜の構造」と「細胞膜をまたいだ物質の輸送」は学習済み でした。しかし、光合成や呼吸といった細胞レベルでの代謝は「生物Ⅱ」に含 まれるため、「生物が生きるためのエネルギーや物質を生産、または分解する ために細胞の中、または細胞膜をまたいで物質が移動する必要があること」を
  • 31. 30 理解させる必要がありました。 *言語材料 glucose / goldibody / ribosome / nucleus / size cell / red blood cell / surface area / volume / multi cellar organism (creature) / diffusion / 2 times 2 times 2 makes 8 cubic centimeters *学習形態 講義、ペアワーク、ワークシート書き込み *指導手順 1時間(50分)の授業展開は次の通りです。 1) Greeting & Attendance check あいさつ、出席確認 2) Introduction 導入 3) Presentation of today s main topic 本授業のテーマの提示 4) Pair work ペアワーク 5) Explanation & discussion 講義とディスカッション 6) Wrap up まとめ 1) 本題に入る前に、2人の教員による英語でのあいさつ、そして本授業の目的 の説明から始まりました。まず、佐藤が Hello, everyone. と語りかけ、続 けて生物を英語で学ぶ意義について説明しました。次に鈴木が、Hello. I was not good at science at school, but today I will start over biology with you. と話しかけました。生徒は2人の教員の英語でのあいさつに目を輝か せて耳をかたむけていました。 Are you ready? のかけ声に Yes! と手を挙 げて反応しました。 2) 次に、オーラル・イントロダクションとして、扱うトピックについて2人の ダイアーグを生徒達に聞かせました。ここでは、2人の教員による Small Talk を聞かせ、授業で扱う題材を導入しました。既習の「細胞のしくみ」に ついて佐藤が Do you remember what you learned last time? What did you learn? What was the topic? と問いかけると、全員から Cell と答え が返ってきた。鈴木は、 What is cell in Japanese? と聞くと、すかさず
  • 32. 31 「細胞」と答えが返ってきました。さらに佐藤が We looked at the cell structure- how ribosome, goldibody, and nucleus work inside the body of an animal. How does goldibody work in the cell? How does mitchondorion work in the cell? と問いかけていきました。佐藤が生徒の 様子をうかがっていると、数名が「酸素、グルコース?」と前回習ったこと を日本語で答えました。その発言を拾って佐藤は、次のように説明を加えま した。 Yes. A mitchondorion can make energy to live by using oxygen and glucose. So, mitchondorion is waiting for oxygen and glucose. なお、本授業の前に佐藤より細胞の組織の英語表現についてハンドアウトを あらかじめ配り、言い方を学習していた生徒は glucose や oxygen といった 用語にも反応していました。 3) ここから、本授業で扱うテーマ(細胞の大きさ)の提示になります。鈴木 が O.K. You have learned what the function of cell is. Now today s topic is the size of cell. と本題について切り出しました。そこで Visual Aids である象とアメーバの図を示して、I believe you already know about the size of some kinds of cells. Let me give you an example. How large is red blood cell? と聞いていきます。これは既習済みなので全体で 5 ナノ meters と答えが返ってきました。他にいくつかの細胞の大きさについて、 How large is a mouth cell? How large is an amoeba?と問いかけながら 生徒の答えを引き出していきました。例えば、象の細胞の大きさを聞くとき は次のように展開しました。 4) 佐藤: O.K. what about this? How large is a cell in an elephant? 鈴木: I ll give you five choices. Guess which is correct. Choices are: A. 5 ㎛ B. 50 ㎛ C. 500 ㎛ D. 5 mm E. 5 cm 佐藤:The answer is B. Remember that cell size is very small. Multi cellar organism including us human beings have as small cells as single cellar organisms such as amoeba. 次に佐藤は、キューブ形の細胞モデル(1辺2cm の立方体とそれが8個合わさ
  • 33. 32 った立方体)を貼りました。2人の small talk が続きます。 佐藤:(2つのキューブ状の細胞をみせて)Now look at this. 鈴木: They look like cubes. 佐藤: Yes, they are. This cube shows a model of cell. 鈴木: O.K. I understand this is just an example of cells of different sizes. This area shows surface area or 表面積 and this whole thing is volume or 堆積. Is that right, Hinako sensei? 佐藤: That s right. Why don t we say the words? 鈴木: O.K. Now, class, repeat after me. Surface area . (生徒が繰り返す) Volume . (生徒が繰り返す) 佐藤: Good. Once again, let s look at the surface area and volume. 5) 次の展開は生徒のペアワークです。細胞の大きさとその意味・役割について 理解させるために下のワークシートの計算式を埋めさせます。ここで計算式 の言い表し方(2 times 2 times 2 makes eight.など)を練習します。表の 記入が終わったら、ペアで答え合わせをさせ、さらに計算式も英語で言い合 うように指示します。その後、鈴木が全体での答え合わせを一斉にさせます。 佐藤は計算式から何が読み取れるかを生徒たちに問いかけます。この場面は 日本語でききます。数名の生徒が「キューブが大きいほど表面積は小さくな る」と答えたところで、生物教員が英語でその発言を英語で言い換えます。 展開の一部を紹介します。 佐藤:How big is each cube? 鈴木: Let s calculate how big each one is. First, let s look at the surface area of this cube. 2cm times 2 cm times 6cm makes 24 ㎠. Repeat Cube size Surface area volume Surface area to volume ration 2cm cube 2 2 6=24 ㎠ 2 2 2=8 ㎤ 24 to 8 = 3:1 3cm cube 4cm cube 5cm cube
  • 34. 33 after me. (生徒が繰り返す) For the volume of this cube, 2 times 2 times 2 makes 8 ㎤. Repeat. (生徒が繰り返す)…. 佐藤: The volume of both one large cube and eight small cubes is exactly the same. But what about the surface area? Now, let s try to complete the table in your worksheet and compare it with your friends. 6) 次の場面は生物教員による講義が主な流れとなります。再び、像の図とアメ ーバの図を比べながら、多細胞生物は、アメーバのもつ細胞と同じ小さな細 胞を有しており、細胞同士が表面積を介して栄養分を運搬しあっているとい った内容を説明します。ここで初めて diffusion(拡散)という本時のキーワー ドになる専門用語を提示します。さらに全体に diffusion はなぜ細胞にとっ て効果的なのか問いかけます。ここも英語では答えるのが難しいので、日本 語でききます。英語で説明した個所は次の通りです。 佐藤:You have learned from the chart that when the cell is smaller, the surface area is bigger compared to the bigger cells. And if the cell is smaller and the surface is smaller, diffusion will be effective. 7) 最後の場面は、2人の教員の Small Talk で終わります。英語教員が本授業 で学んだことを繰りかえし、生物教員がそれに応え、人体の細胞も 「diffusion(拡散)」によって栄養分が効率よく運搬されるなどうまく機能し ていることを付け加えて終わります。 鈴木:Hinako sensei, I have learned that the size of cell of multi cellar organisms have small in size no matter how large the bodies are. 佐藤: Yes. That s the mystery of cells. Inside our body as well, many kinds of cells function well so that diffusion will work efficiently. 以上が本校で初めて行った CLIL 型の教科間連携授業である。その後、生物科 の佐藤と英語科の他の教員と同様の授業を行った。また、英語科の鈴木は、別
  • 35. 34 のクラスで他の生物科の教員と「遺伝」について同様の授業を行った。どの授 業も既習事項の復習と発展学習を 50 分かけて行ったわけだが、日本語で行えば 15 分∼20 分で済むものであった。しかし、外国語で進めることの負荷を考え れば当然であろう。このあたりは、CLIL 型授業を考える上での課題であるが、 最後に「他教科からみた CLIL」にまとめた。 3.2.3 次の教科間連携授業に向けて―実践可能な CLIL 型授業展開例 本校の教科間連携の授業では、CLIL 型授業というのは上記で紹介したものだ けである。英語と他教科を組み合わせた授業展開はいくつかあったが、説明や 指示はすべて日本語で行われる形式であった。ほとんどの進め方がゲストティ ーチャーとして連携教科の教師を英語の授業に招き、レッスンで扱った内容に ついて専門的な話を日本語でしてもらうというものであった。例えば英語のレ ッスンで Mars の話を扱った際、地学の教師が火星の特徴についてスライドを 用意し説明してくれた授業があった。 また、英国の Seed bank を扱ったレッスンでは生物科の佐藤が、学校周辺で みられる生物多様性と自然淘汰について画像を示しながら、生徒を起立させ、 簡単なアクティビティを交えてワークショップを行った。この授業展開では一 部、英語科鈴木と簡単な英語でやりとりを進めて行った場面もある。しかし、 打ち合わせの時間が足りず、最初の small talk だけで終わってしまった。振り 返ってみると、この授業には、CLIL 型授業展開ができる可能性を含んでおり、 実践できなかったことが悔やまれた。資料 のようなパワーポイントで作成し た画像には、個人やペアで考える問いを盛りこんだり、立ったり座ったりと生 徒の身体的なリアクションを求めたり、教員の一方的な説明に終らないように 工夫をした。内容に焦点を当てつつ、英語でのやりとりもスムーズにできるよ うに思う。 そこで、この「生物多様性」をテーマにした CLIL 型授業を今後の実践を念頭 において以下の通り、考えてみた。 *目的:英語の授業で扱った Seed Bank についてのトピックをベースに生物多 様性について考える機会を提供する。 *連携教科:生物科
  • 36. 35 *授業形式:ティームティーチング *使用教材:パワーポイントソフトで作成したスライド(資料) *指導手順: B= Biology teacher E=English teacher (1)Introduction 導入 川越女子高校周辺でみられる生物多様性を考えさせる。<スライド5> B: Now, class. There are many different species in and around this school. Take a moment in a pair to talk about what you see and have seen. E: Has anybody seen this?(スライドの鳥や動物を指しながら)Ms. Sato, what is this bird called? Have you seen it? B: Yes. I have seen all of these birds, animals, reptiles… This is mukudori or starling. This is hiyodori or bulbul. This is crow nesting on fir trees. Some are very rare species that happened to get into this school. I have even seen Japanese rat snakes. I hear from other biology teachers a raccoon dog took to the basement of the lecture hall. (2)Presentation of today s main topic 本授業のテーマの提示 <①スライド6> アメリカの海岸で行った生態系の実験を紹介。捕食者のヒトデとヒトデに食べ られる貝の関係を考えさせ、ヒトデを生態系から取り除いたらどうなるのかを 問う。 B: O.K. Next slide. This is a very interesting experiment conducted on the seashore in the U.S.A. You see many different seashells like hizaragai, kasagai, makigai, and fujitsubo and their predator, starfish. Starfish is their greatest predator that eats most seashells on the rocks. What would happen if we cleared all the starfish on the rocks? E: I guess there would be a peaceful environment for seashells without the predators. Class, what do you think? Discuss in pair. B: Do you think the seashells are all safe and their population would
  • 37. 36 increase? Raise your hands if you think so. E: Most of you feel the same way as I do. B: The truth is these two kinds hizaragai and kasagai all disappeared. Why is that? After starfish were cleared, fujitsubo and kamenote propagated. The balance of biodiversity that involves starfish collapsed, and resulted in the number of species decreasing. Fujitsubo and kamenote settle down on the rocks without moving like other seashells. On the other hand, Hizaragai and Kasagai, which move from place to place couldn t find their places to settle. This led to their disappearance. Like this example the balance of species is complicated and hard to imagine what would survive and what would disappear when one species increases or decreases. <②スライド7> E: This slide shows how the interaction works between species including us humans. B: Yes. I want you to think about what would happen if you cleared cockroaches from the earth? E: Who don t like cockroaches? (手を挙げさせる) B: As you may imagine, the balance of biodiversity will collapse like the example I showed above. <③スライド8> B: Next, let s think about evolution. Let s stand up. Imagine you are all my daughters. That s too many, though. There are many different people who have unique characters. You have grown up and had a comfortable life so far. But, all of a sudden the environment has shifted to the one where only green peas grow on earth. Among those of you who cannot eat green peas, you won t survive. Sit down. E: Wow. The number has shrunk. It s such a big decrease. B: After a while dinosaurs like T-Rex have appeared. They are all flesh eaters. You have to run and escape. Now, who has little confidence in
  • 38. 37 running fast? Raise your hands. Sit down. E: Oh, it s a shame. Only five of you have survived. B: Now what do you think if these five girls who have survived give birth to children under this environment? There may be a group of humans who can run fast. They may be new different types. (3)Wrap up まとめ E: I have learned a lot today. I hope you did, too. Now I want you to write about what you learned today. On your notebook, write down what the biodiversity on earth will be like in 100 years. How and to what extent do you think it will be changed? 3.2.4 他教科から見た CLIL 著者のひとり、佐藤は高校理科・生物の教員である。英語科鈴木とともに CLIL 型授業を行った経験から、英語科以外の教員として考えた課題を挙げたい。 課題1 この授業は英語なのか?教科なのか? 英語という科目は、英語を用いる技術を習得する学問であるから、何かしら の英語以外の内容を英語という言語で扱っている。つまり普段から題材を用い て英語力を鍛えていることになる。CLIL で扱う他科目の内容は、既習の場合も、 今後学ぼうとしている内容、の場合もあり得る。 もし、CLIL で「今、日本語で学習中の教科」を英語で学ぶ場合には、これが 教科の学力達成を目指した授業なのか、英語力の向上を目指した授業なのか、 というジレンマが生じる。実際、我々が CLIL で「今まさに学ばせたい生物の内 容」を CLIL 授業に盛り込んだ際には、英語科として学ばせたいことと、教科と して伝えたいもの、理解してほしいもの、が当然異なるため、双方の学びの目 的をどのようなバランスでどの程度盛り込むか、をよく議論する必要が生じて くる。限られた時間の中で、2 人の人間が異なる目的を果たそうとするため、時 間がかかることが予想される)。理科に関連した CLIL 授業を理科の授業内で行 うのか、それとも英語の授業の中で行うか、など選択肢が複数ある分、扱いに かえって悩んでしまう。
  • 39. 38 また科目の理解、のためには英語で、学ぶ必要はなく、むしろ英語で学ぶこ とで学習が滞る生徒も多くなる。日本語で学ぶ方が理解しやすい生徒は多いの は間違いないため、英語以外の教科にとっては「なぜ、英語で教科を学ぶのか」 について、これまでにはない「英語で他教科を学ぶことの価値が必要となって くる。 これらを統合すると、「専門科目を英語で教えるための時間」が別に設置され ている、もしくは、「専門科目を英語で教えることの生徒にとっての価値」が教 員集団の中に確立していること、が CLIL 授業の前提として必要とされる。 課題2 Team teaching で実施する意義はあるか? Team teaching 式の授業は生徒に大変好意的に受け取られており、教科間連 携の目的に照らし有効な手段であるため、本校でもしばしば実施されてきてい る。しかし、授業1コマ(本校では 65 分である)分の TT の事前の打ち合わせ には時間がかかる。さらに双方異なる視点を持つ英語と他教科の教員同士で打 ち合わせをするとなると、さらに時間がかかることが予想される。 そのため、専門教科の復習(たとえば中学校の内容を高校の英語の時間に CLIL で実施するなど)を、英語の教員のみで実施する、または専門科目の教員が授 業の一部(たとえば 65 分授業のうちの 10 分∼15 分間)に訪れ英語で CLIL 授業に加わる、などの方が現実的であろう。 課題3 他教科の教員の英語力は重要か? もし、他教科の教員が単独で CLIL を実施する場合には当然かなりの英語力が 必要だが現在の教員養成システムでは現実的ではない。(日本教育界での CLIL の価値が定まり、英語力のある他教科教員の養成に力を入れるようになれば、 採用試験もおのずと CLIL に適した形に変わるだろう) TT で CLIL を実施する場合も、65 分では他教科の教員にとっては長いし、実 際にこうした TT を日常的に実施することは不可能に近いことから、1授業の一 部(15 分間程度)を、専門科目の教員が訪問し、授業を展開することを考えて みる。15 分間であれば、これまで学んだ英語を用いて、さほど言語の正確性に はこだわらなければ、英語教員(メインのインストラクター)と授業を展開す ることは技術的には難しいことであるとは思えない。 むしろ課題は、教員の心理的なハードルである。日本人特有の羞恥心や控え
  • 40. 39 目な性格から、こうした授業を「余計なこと」「英語の教員の前で誤った文法を 用いるわけにはいかない」躊躇する教員は多いであろう。そのため、実際には さほど英語を学ぶ必要性があるとは思うが、他教科教員が英語を用いて生徒に 接する前には、自身の自信を増すための、英語の学習や、専用の講習、研修が 必要であるかもしれない。 資料 スライド1 スライド2
  • 41. 40 スライド3 スライド4 スライド5
  • 42. 41 スライド6 スライド7 スライド8
  • 43. 42 3.3 CLIL による SSH 科学英語指導−CLIL 指導実践報告 2010 年∼2013 年− 三上正弘(千葉県立長生高等学校) 2010 年に「海外で、科学分野で、活躍できる人材の育成」(海外で、個人や グループで、それぞれが行った科学研究を英語で発表し、報告書を書くことが できる高校生)をめざして、SSH指定校の認可を受け、2009年よりAll English による英語指導をはじめていたが、「科学英語」の指導にも挑戦することになっ た。しかし、県立高校として、「旧学習指導要領で定められた英語の科目」に更 に「科学英語」(2時間程度)という学校設定科目を加えるのは無理であり、ま た、どのように「科学英語」を指導するための教材や指導法と指導内容を検討 しなければならなかった。この2つの問題に対応するために「CLIL による科学 英語指導」に挑戦することになった。 3.3.1 学校設定科目「SSC I・II・III」 まず、SSHコース(普通科・理数科の希望者)にSSH「科学英語」を指 導するために、第1学年「OCI」(2単位)と第2・3学年「ライテイング」(2 単位)を学校設定科目「SSC I・II・III」に変更した。 「SSC I・II・III」では、下記のように「OCI」と「ライテイング」をSSHコ ース以外の生徒と同じように学習しながら、CLIL による「科学英語」を学習さ せることにした。2年次は「海外でできる科学研究発表」と「科学研究レポー トの作成」の指導もあるので1単位(1時間)増加することにした。 学年 科目 指 導 内 容 単位(時間) 1年 SSCI CLIL 科学英語 プレゼンテーション実技指導 OCI 2単位 2年 SSCII CLIL 科学英語 科学研究プレゼンテーション実技指導 レポート作成指導 ライテイング 3単位 3年 SSCIII CLIL 科学英語 理系大学入試問題 ライテイング 2単位 実際に学校設定科目「SSCI・II・III」の中で、CLIL による「科学英語」の指導
  • 44. 43 は12時間、プレゼンテーション実技指導は6時間、レポート作成指導は4時 間であった。しかしこれらの指導にあたっては、授業外の個人指導や個人指導 時間も指導上重要であった。 (1)「CLIL科学英語」指導 CLIL による科学英語の指導では、生物・化学・物理・地学など理科と数学の 既習内容を外国のテキストを使って英語で再学習させることにした。2012 年度、それぞれの学年で実施した「科学英語」指導内容は以下の通りである。 2012 年度 CLIL 科学英語指導 重要項目 (1)CLIL Math English 指導 第 1 学年 2次方程式 数学思考 2時間 第 2 学年 図形 数学英語 2時間 (2)Math English Text 検討および決定 Content and support series Mathematics (Oxford University Press) (3)Science English 指導 第1学年 Chemistry 3.01 Elements, Compounds, and Mixtures 3.02 Solids, Liquids, and Gases General General 1.01 Doing an investigation 1.02 Investigating further 第2学年 Physics 4.13 Balanced and unbalanced force 4.17 Energy 4.18 Energy on the move 4.19 More energy on the move 4.20 Supplying the energy 4.21 How the world gets its energy 第3学年 国 立 ・ 私 立 理系大学 入試問題 視覚と聴覚(信州大学 2007)バイオミメテイクス(釧路公立大 2008)体内の脂肪燃焼(鹿児島大 2008)ネッカーキューブと知覚 (専修大 2010) 潮力発電(金沢工業大 2011) フラバノール (成蹊大 2011)相関関係と因果関係 (電気通信大 2011)睡眠 の役割(三重大 2011)等
  • 45. 44 (2)「英語による科学研究 Presentation」指導 Speech、Explanation Debate などの Communication 指導のほかに、個 人・グループ Presentation などの実技指導を行った。 (3)「英語科学研究レポート」指導 個人・グループで行った科学研究を、国際科学レポートの形式を学び、英語 で書かせた。
  • 46. 45 (4)国際科学研究交流 2011 年、Video Conference System (Internet)を利用しての海外交流校(オ ーストラリア Armidale High)と英語で個人・グループで行った科学研究を発 表したり、2011 年から毎年、アジアの現地の高校(台湾 LithanHigh、マレーシ ア APU Smart School)との科学研究発表交流をしたり、大学(台湾 Tankang 大 学、マレーシア APU 大学)で大学で講義を受けたり、大学教授の前で科学研究 発表を行い、指導してもらった。
  • 47. 46 などの4つであるが、「CLIL 英語指導」がSSH英語指導の基礎となった。科 学や数学の英語にできるだけ触れて、使いながら、身に付けることがこの英語 指導の中心でもある。 3.3.2 SSHコースにおけるCLIL科学英語指導 学校設定科目「SSCI・II・III」の指導の中の「科学英語」の授業は、生徒が中 学や高校時に既習した理科と数学の学習項目を確認しながら、外国の科学や数 学のテキストを使って、英語指導することにした「英語で科学や数学を復習す る」英語学習である。つまり、CLIL(科目内容と言語活動を統合させた学習形 態)指導を導入したのである。 (1)テキスト選定 「科学英語」のテキストを選択する時に、理科、数学、英語の合同の話し合 いで、下記のテキストに決定した。「科学英語」の指導に当たっては、英語科の 教員が理科や数学の教員と話し合って、授業の内容も決定した。 理科 A Concise Course Science to GCSE (Oxford University Press) 数学 Content and Language Support Series Mathematics (Oxford University Press) CLIL 英語指導にあたっては、英語科と他教科との関係づくりが大切だと思う、 科目の指導内容の確認だけでなく、どのように CLIL の授業を展開するか気楽に 話し合う関係づくりがあれば、よりよい CLIL 英語授業になるだろう。 SSH 指定を受ける準備をしている高校や SSH1年目の高校の SSH 関係者ら が、本校の CLIL による「科学英語」指導実践を聞いて驚く理由に、「科学英語 は英語科の仕事ではない。」「科学英語は科学の先生が教えるのが当然だ。」とい う英語科の先生方や「科学英語も英語、英語は英語科の先生が教えるべきだ。」 という理科の先生方がいるということがある。CLIL による指導は教科を越えて、 英語で英語以外の科目を指導するので、教科の枠を越えて、教科間の協力体制
  • 48. 47 も、もっとも大切な要素の一つではないだろうか。 (2) CLIL 科学英語指導 a. 科学英語 指導案 SSCI Chemistry 3.02 Solids, Liquids, and Gases Solids, Liquids, and Gases について、教師による説明と外国の TEXT の読解による 科学英語と化学を指導した例 Lesson Plan (Super Science Communication I) Teacher Mr.MIKAMI Masahiro Students 1- H (20) Date Sat 10. 27, 2012 Text Science to GCSE 3.05: Atoms and isotopes (OUP) Theme The structure of atoms Protons, Neutrons, Electrons and Isotopes (Chemistry) Learning Objectives The students will be able to: 1) understand the structure of atoms and describe it. 2) explain about mass number, relative atomic mass, and isotopes. 3) answer the questions on isotopes, including Ar, radioactive isotopes, and carbon dating. # FOCUS MAIN ACTIVITIES LANGUAGE HOMEWORK ◎ 1 ・Introducing science vocabulary ・Understanding the structure of atoms and isotopes ・Explaining key points on the topic 1) To describe the structure of an atom. 2) To explain the Features of parts of an atom and the atomic number of the element. 3) To explain the difference between Carbon-12 & Carbon-14. Vocabulary Basic words related to atoms and Isotopes Nucleus, Orbitals, Proton, Neutron Electron, Ar, Charge Expressions Be concentrated in To review the structure of atoms and isotopes. To research “carbon dating” on the Internet.
  • 49. 48 ・Answering some questions on the theme 4) To answer the questions on atoms and isotopes. Group Work be made up of = consist of be defined as TODAY’S TEACHING PLAN (1/1) PROCEDURE MAIN ACTIVITIES LANGUAGE HOMEWORK 1 READING & EXPLAINING ‘The Structures of atoms and their atomic number’(15 min) 1) To read the text and understand the structures of atoms 2) To describe the structure of a carbon atom and its mass number 3) To complete the picture of an carbon atom Group Work Vocabulary Basic words related to atoms and Isotopes Nucleus, Orbitals, Proton, Neutron Electron, Ar, Charge To check the new science words and Expressions in the text. To review the structure of an atom and isotopes. 2 READING & EXPLAINING ‘Isotopes and Ar’ (20mins) 1) To read the text and get the main points of isotopes and the difference among them 2) To explain the points of isotopes and Ar with notes 3) To answer questions on isotopes of Carbon, Chlorine, and Hydrogen Group Work Expressions be concentrated in be made up of = consist of 3 ANSWERING QUESTIONS (10 min) 1) To answer the questions with Expressions be defined as To research “carbon
  • 50. 49 regard to the structure of an atom and Isotopes 2) To discuss and check the answers of the questions Group Work dating” on the Internet. Evaluation 1) The students will be able to describe the structure of an atom. 2) The students will be able to explain the atomic number of the element and the difference of isotopes of Chlorine and Hydrogen. 3) The students will be able to answer the questions on atoms and isotopes. b. 科学英語 SSCI Chemistry 3.02 Solids, Liquids, and Gases Worksheet 化学の Solids, Liquids, and Gases についての教師による説明と TEXT の読解 による化学英語を指導したときに作成した Worksheet Super Science Communication I Science English Lesson 2 3.02:Solid, liquids, and gases 1. Listen to the explanations of the followings and take a note (1) Particle theory particle
  • 51. 50 of matter (2) Solid particle (3) Liquid particle (4) Gas particle 2. Explain the above with notes in English. 3. Read the text and take a note to explain the followings. (1) Diffusion (2) Temperature (3) Changing State 4. Answer the following questions in English (1) Q What is the equation of “Density”? A Density = (2) Q In what are the followings measured? A Mass = Volume = Density = (3) Q What is the density of the following? a. air b. water c. steel mass = 15,600kg volume =2m3 (4) Q If a block of steel has a mass of 18,600kg and a volume of 3m3, its density is c. 数学英語 指導案 SSCI Math Quadratic Equations 中学や高校で既習した2次方程式の復習と数学英語を指導した例 Lesson Plan (Super Science Communication I) Teacher Mr.MIKAMI Masahiro Students 1-H (20) Date Wed 10. 17, 2012
  • 52. 51 Text Content and Language Support Series “Mathematics”(OUP) Theme Quadratic Equations (Math) Learning Objectives The students will be able to: 1) understand the terms of Quadratic equations. 2) solve the questions of Quadratic equations. 3) explain the process of solving Quadratic equations. isotopes, and carbon dating. # FOCUS MAIN ACTIVITIES LANGUAGE HOMEWORK ◎ 1 ・Introducing Math vocabulary ・Understanding Quadratic equation ・Explaining the main points of Quadratic equation ・Answering some Questions on Quadratic equation 1)To understand the terms of Quadratic equation in English 2)To explain about transforming equations and isolating variables in English 3)To be able to solve some given quadratic equations and present solutions in English Vocabulary Basic words related to quadratic equation Polynomial, Degree, Parabola, Root, Linear/Quadratic/Cubic Variable, Coefficient, Implies, Transform, Isolate, Factoring, Solutions To solve questions involving quadratic equations TODAY’S TEACHING PLAN (1/1) PROCEDURE MAIN ACTIVITIES LANGUAGE HOMEWORK 1 Introduction (15min) 1) To learn the quadratic formula in English using Mathematics vocabulary. 2) To understand Vocabulary Basic words related to the quadratic equation Polynomial, To review the new math terms about quadratic equations.
  • 53. 52 questions posed about quadratic questions in English. 3) To show how to read and solve problems. Pair Work quadratic, variable, coefficient, degree (linear/cubic), parabola 2 Solving & Explaining (20min) 1) To read the text on the board and explain each part as a class. 2) To explain the main points thoroughly while taking notes. 3) To discuss problem -solving with others in the class. Group Work implies, transform standard form, factoring, root To check for understanding about the explanations presented. 3 Solving Questions (10min) 1) To solve answers to written and spoken questions. 2) To check the answers. Group Work isolate, solutions To practice solving quadratic equations by oral and written means in English Evaluation 1) The students will be able to understand solving quadratic equations in English. 2) The students will be able to solve quadratic equations using different methods of solution. 3) The students will be able to discuss the process of solving quadratic equations in English.
  • 54. 53 d. 数学英語 SSCI Math Quadratic Equations Worksheet 2次方程式の復習と数学英語を指導した時に使用した Worksheet Super Science Communication I Math English Chapter 1 Quadratic Equation 1. Quadratic Equation ax2 + bx + c = 0 cf. Quadratic Expression ax2 + bx + c Quadratic Formula X = 2. Questions Answer the following questions in English. (1) Q Which is a quadratic equation? A.(X+1)(X+2) = 6 B.X2+X+2 =X3 C.X2-1 = X2-4X A (2) Q How many real solutions are there for X2-2X-24 = 0? A (3) Q Solve 5X2-10 = 0 A (4) Q Solve X2+4X = 5 A “completing the square” (5) Q Find a quadratic equation whose solutions are 2 and -3. (6) Q Solve X2-3X-12 = 0, using any appropriate method. In general, try “Factoring” first. Then use the quadratic formula if factoring is not possible. A e. 科学英語 SSCII Physics 4.13 Balanced and unbalanced forces 物理分野の Balanced and Unbalanced Force と terminal velocity につい て、教師による説明と外国の TEXT の読解、更にその内容についての、SSH
  • 55. 54 個人科学研究、プレゼンテーション発表を含む科学英語と物理を指導した例 文部省「新学習指導要領に対応した外国語活動および外国語科の授業実践事例 映像資料3」 (2012 年)Disk 2に、この指導事例(1時間=45分)が収録されている。 これは、SSH校として、英語指導で目指している CLIL による「科学英語」授 業と「英語での科学研究プレゼンテーション」がどのようなものか、理解して もらえると思う。 3.3.3 All English 授業と CLIL 英語指導導入後の生徒の変化と英語の成 績 All English 授業の導入とか、CLIL のような授業展開や、「科学英語」「数学英 語」などの授業を展開すると、英語が苦手な生徒の授業参加や進学校では、大 学入試のための英語模擬試験の成績や英検や TOEFL、TOEIC などの英語能力は どのようになるか問題視される。 CLIL「科学英語」や「数学英語」を行ったあと、アンケートを実施したとこ ろ、「もっと(英語で)数学の授業をやって欲しい」とか、SSH コースの多くの 生徒が「科学英語の授業を楽しみにしている」ことが30%以上いることに驚 かされた。生徒の感想によると「いままでの英語の教科書の面白くない内容で なく、身近で、知りたいと思っていた内容なので楽しい」ということを挙げて いる。CLIL 英語指導は、英語が苦手でも、学習内容に興味を持っている生徒た ちの積極的な授業参加につながっているようである。化学元素記号 N は英語で はナトリウムではなく、Sodium であり、数学の1次、2次、3次方程式は Linear, Quadratic, Cubic Expression/Equation であることに触れて、理数系の英語 に触れて、英語を言語として、再確認すると同時に英語学習に対しての興味を 持つ生徒も増えたという結果がでている。 もちろん、英語が苦手な生徒は All English で授業や CLIL 英語指導で、内容 を理解することに苦労するので、面接を通して、個々の生徒の問題点を確認し、 個人指導や学習方法の指導を個別指導や補習で対応することにしている。 このような All English 授業や SSH コースの CLIL「科学英語」「数学英語」
  • 56. 55 指導は、普通科の英語の授業にも反映されている。このような指導が導入され てからの4年間の大学入試のための英語模擬試験の学校全体(普通科・理数科・ SSH コース)の成績は、それ以前の成績を上回っている。また、SSH コースの GTEC による英語能力試験の結果でも、驚くべき成果があがっていて、年々過 去の成績を上回っている。 3.3.4 これからの(2013 年度以降)の CLIL 英語指導の展開 2012 年 12 月に CLIL Japan が発足したことを受けて、長生高校では4月 に教科や年齢の枠にとらわれず、CLIL による英語指導や教科指導を英語で行う ことに興味がある先生方で CLIL 指導研究会を校内に設立した。メンバーは4月 の段階では英語科、数学科、理科であるが、他の教科の先生方にも興味をもっ てもらえるようにするつもりである。2013 年度は「理科と数学の先生による CLIL 指導」を目標にしている。授業公開を含めた研修、英語教師による CLIL 授業、英語教師と理科や数学の先生による Team-teaching による CLIL 授業、 理科教師による CLIL 授業など、本校の生徒を考慮して、CLIL 授業にあった教 材、指導法の研究や研修をしながら、学校独自の CLIL 指導を確立したいと考え ている。
  • 57. 56 3.4 SSH 実践における教科型と Post-SELHi 実践における CLIL 開発−CLIL 的授業と Can-Do 評価の結合 永末温子(福岡県立福岡高等学校) 香住丘高等学校(筆者前任校)では、2003 年度 SELHi 研究指定以来 Can-Do 研究を継続し、さらに 2011 年度より SSH(Super Science High School)研究 指定を受け、数理・英語の科目間協同研究プロジェクトの研究の一環として CLIL 研究に取り組んでいるところである。この 11 年間の研究は、長沼君主氏(東海 大学)と共同で行われている。 3.4.1 SSH 研究の基盤としての SELHi・Post SELHi 研究(2003 年∼ 2010 年) SELHi∼Post SELHi 研究対象クラスである英語学科においては、4技能統合 型授業を行ってきた。その授業内容を反映させて、英語を使って生徒が「何を できるようになっているか」(Can-Do)を具体的な能力記述(Statements)(以 下 CDS と略称)を示した「香住丘 CAN-DO グレード」を開発した。実際の3 年間の教室内活動を網羅した教師参照用フレームワークを開発した。このフレ ームワークには、客観的な外部試験スコアと対応させただけでなく、ヨーロッ パ 言 語 共 通 参 照 枠 (Common European Framework of Reference for Languages, 以下 CEFR)の CDS 分析を行い、実際の教室内活動と整合性の高 いと思われる能力記述を抽出して、CEFR との対応関係も併記した。さらに生 徒の自己評価のための「香住丘 Can-Do チェックリスト」を開発した。このチ ェックリストにより、生徒は今後の学習指標が明確になり、自己の能力発達段 階を認識する内省のための有効な手段となった。教師は、チェックリストの分 析を行い、生徒の到達度をチェックして自信の低い Can-Do 項目について、そ の能力を補完するための学習方法を改善することが方策を講じることができる ようになった。 さらに「香住丘 Can-Do チェックリスト」を用いた生徒の自己評価の数値
  • 58. 57 分析に基づいて、自信の程度の低かった Can-Do 項目を対象として、評価基準 を明確にした「学習―評価 Can-Do タスク」を開発した。Can-Do 項目に基づ いたタスクには、生徒の自己評価によるチェックリストで申告された能力が、 現実に達成可能かを判断するための「評価タスク」と、Can-Do 項目で記述さ れている能力を伸ばすための「学習タスク」の 2 つの側面がある。チェックリ ストの分析を行い、自信の程度の低かった Can-Do 項目を対象として、評価基 準を明確にした評価タスクを開発し、それらを学習タスクとして継続的に実施 し、ポートフォリオ的に学習記録を取っている。「学習−評価 Can-Do タスク」 における「学習−評価タスク」は単なる活動ではなく、CDS により遂行すべき 目標が明示されている点に特徴があり、自己評価にあたっての客観的到達基準 が設けられ、評価と学習が一体化されたタスクになっている。各タスクにおけ る評価にあたっては、段階的到達指標に基づく Can-Do 尺度が併せて開発した。 一般的な到達段階よりさらにひとつ高い段階や、逆に何らかの補助があれば到 達できるひとつ低い段階を含めた 4 つの段階のそれぞれに応じた客観的で具体 的な数値評価基準を定め、足場作り(Scaffolding)により部分的能力を肯定し て「できるようになりつつある能力」を Can-Do 評価するものである。生徒は、 自分の能力の伸びを客観視し「出来る感」を実感して自己効力を高めることに なった。開発された様々な技能融合型の「学習−評価 Can-Do タスク」を組み 入れることにより、授業をモジュール化し、従来からの 4 技能統合型技能統合 指導を補完することができるようになり、生徒の技能有能間のばらつきがなく なり、より総合的に 4 技能のバランスのとれた生徒の育成が可能になった。こ の研究成果を基盤に、SSH 研究を進めているところである。(永末,2012)(全 ての Can-Do リストは、香住丘高等学校のホームページよりダウンロード可能 である(http://kasumigaoka.fku.ed.jp/) 3.4.2 SSH 研究における CLIL 的授業の実践 3.4.2.1 SSH 研究におけるカリキュラム開発と CLIL 的授業の実践 SSH 研究においては、理数系科目において科学的探求力を育成すると共に英 語科の学習内容と統合する数・理・英科目間共同プロジェクト体制をとってい る。英語においては、学校独自の「SS 科学英語」「SS 科学英語プレゼンテーシ
  • 59. 58 ョン」「SS 科学英語リーディング」「SS 科学英語ライティング」の 4 科目を設 定している。(図1)特にカリキュラム開発において、1 年・2年次おいて継続 履修を行う科目である「SS 科学英語」では INPUT を中心に、「SS 科学英語プ レゼンテーション」では OUTPUT を中心とし、それぞれで学習素材を共有し ながら科目間統合を図り、4技能統合型指導を行っている。(図2) 図1 SSH研究での「伝え合う⼒力力」の育成(2011-2015) 3年年次 2年年次 1年年次 SS科学英語 リーディング SS科学英語 SS科学英語 ライティングrイ SS科学英語 プレセ ゙ンテーション SSH 4技能統合型シラバス・チェックリストの開発 INPUT OUTPUT 総合学⼒力力の完成をめざす指導 表現能⼒力力の到達期における指導 エッセイライティング・科学論論⽂文・アブ ストラクトライティング・の指導の確⽴立立 科学論論⽂文リーディングの指導法の確 ⽴立立 4技能の基礎学⼒力力の定着をめざ す指導 ⼊入⾨門期における表現能⼒力力育成の指導 パブリックスピーチ・プレゼンテーショ ン・パラグラフライティングの⼊入⾨門期の 指導の確⽴立立 表現能⼒力力の発展をめざす指導 プレゼンテーション・パラグラフライティ ングの効果的な指導の確⽴立立 科 学 的 探 究 ⼒力力 の 育 成 数・理理・英 科⽬目間協同プロジェクト 内容統合
  • 60. 59 SSH 研究における指導実践の取り組みの特徴は、CLIL 的アプローチを取り入 れた内容言語統合型授業と Can-Do 評価の有機的な結合である。まず 4 技能統 合型指導を、「英語」で行うことが前提となる。SSH クラスでの教科内容は (Content)は、主に科学分野を取り上げ、教材やトピックを精選している。検定 教科書は、科学分野のレッスンを取捨選択して使用し、イギリスの理科の教科 書である Science Works や、CLIL 教材として開発されている Oxford Read & Discover シリーズをテキストとてして使用している。また、インプット量を保 障するため、SSH 研究以前より SELHi クラスで実施してきた多読活動を生かし た技能統合指導も実施している。(図3)
  • 61. 60 CEFR に準拠した Footprint Reading Library の A1 B1 の教材を生徒が自 分の英語力に応じて、興味・関心のある科学分野のテキストを、授業外活動で 自主的に読み、理系分野に関する興味・関心を高め、授業でのプレゼンテーシ ョンやエッセイライティングの素材として、プロダクション活動に利用してい る。「英語での」授業においては、ティーチャートークを工夫し、内容理解を促 進する発問を心がけている。科学分野の内容理解のための語彙の定義や使用表 現を、平易な英語で説明し、理解を促している。(Communication)特に実践 研究で重視しているのが、思考力(Cognition)を段階的に高めていき、学習の まとめとして個別やグループによるリサーチに基づき英語でのグループプレゼ ンテーションを行い、発表内容に対して効果的に質疑応答ができるように Critical thinking を養うことである。(Community)授業での学習内容の理解 やディスカッション(応用)のような(LOTS(低次の思考力))を中心とした 活動の後で、高次の思考力(HOTS)を要求する問題解決型プロジェクトをグル ープで行わせる。LOTS と HOTS を組み合わせ、Content と指導方法有機的に 結合させ、効果的な授業を展開することを意図している。 3.4.2.2 SSH 研究における「学習・評価 CAN-DO タスク」の開発
  • 62. 61 CLIL の指導方法において重視されるのが、学習の手助けとなる足場作り (Scaffolding)であるが、「学習・評価 Can-Do タスク」の開発を継続するこ とで、言語理解を促している。SELHi 研究以来開発・実施してきたタスクを効 果的に学習シラバスに組み入れているだけでなく、口頭発表を苦手とする理系 生徒のためにスピーキングタスクを新たに開発して、プロダクション能力を高 めている。 【センテンス・レペティション・タスク】 ある程度の長さと複雑さの一文の英語を聞いて、繰り返し言うことができ る。 ① 区切りながらゆっくりと読み直した英文でも、完全には繰り返すこと ができない。 ② 区切りながらゆっくりとであれば、ほぼ完全に繰り返すことができる。 ③ ゆっくりと言い直されれば、ほぼ完全に繰り返すことができる。 ④ 自然な速度で話された英文を 1 回聞いて、ほぼ完全に繰り返すことが できる。 【ストーリー・リテリング・タスク】 ひと続きの絵を見ながら話を英語で聞いて、口頭でストーリー再生する ことができる。 ① 2回聞いても、それぞれの絵の部分的な記述をするのも難しい。 ② 2 回聞けば絵の部分的な記述はできるが、絵をつなげてストーリーを 再生することはできない。 ③ 1 回聞いただけでは、絵の部分的な記述のみで、絵をつなげてストー リーを再生することはできないが、2 回聞けばストーリーをほぼ正確 に再生することができる。 ④ 1 回聞いただけで、ほぼ正確にストーリーを再生することができる。
  • 63. 62 さらに、学習者の自己評価のための「香住丘 Can-Do チェックリスト」を SSH クラス用に改訂し、言語能力だけでなく、内容理解(Cognition)に関しても評価 させ、言語能力と内容理解の両面において「できるようになりつつあること」 を Can-Do 評価させ、自己効力を高めるようにしている。(図4) 図4 香住丘 Can-Do チェックリスト(SSH クラス用) 3.4.2.3 Can-Do 調査・言語学習動機づけ調査結果 香住丘高校では、「香住丘 Can-Do チェックリスト」での能力分析と共に、外 部指標として「清泉アカデミック Can-Do 尺度」(長沼&宮嶋 2006)を利用し た調査を Post-SELHi 時より継続的に実施してきた。長沼君主氏(現東海大学) が開発した、英語の 4 技 能においてサブスキルをそれぞれ 4 項目ずつ網羅した もので、汎用性の高い到達度診断尺度である。7 月および 12 月に診断調査を実 施した。2011 年および 2012 年の経年の調査結果から、スピーキング活動に
  • 64. 63 おいては、映像資料を使いながら、プレゼンテーションができることに対して、 また、ライティングにおいては、英語で一貫したまとまりのある文章を書くこ とができることに自信が高まっていることがわかった。これは、英語プレゼン テーションの授業の効果であると考察できる。また。科学分野の内容を英語で 授業が行われることから、授業中の教師の話す英語を聞いて理解できることや、 教科書の内容を英語で説明できることへの自己効力の高まりが見られる。(図 5 8)この調査は、Pre-SSH の期間より継続的に調査を行ってきたが、理系の 生徒への自己効力の高まりは、英語科に比較するとあまり見られなかったが(図 5 8 右下グラフ参照)、SSH 研究指定後のカリキュラム開発に伴う指導改善の 効果であると考えられる。 A1)高校の教科書レベルの短いテキストを読んで、その内容を英語で説明できる A2) 映像資料を使いながら、よく知っている話題に関するプレゼンテーションができる A3) 授業で練習した表現を使って、日常的な話題に関してペアで会話ができる A4) よく知っている話題に関して、数人のグループで会話(ディスカッション)ができる A5) 日常的な場面を描いた4コマの絵を見て、その内容を英語で説明できる SPEAKING  CDS 図5 Can-Do経年年調査結果 2011-2012年年 1.00   1.50   2.00   2.50   3.00   3.50   4.00   A1 A2 A3 A4 A5 数理 英語 20111年年7⽉月(1年年次) 1.00   1.50   2.00   2.50   3.00   3.50   4.00   A1 A2 A3 A4 A5 数理 英語 2012年年7⽉月(2年年次) 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 A 1 A 2 A 3 A 4 A 5 2006年年度度横断調査(普通) 1年夏 1年冬 2年夏 2年冬
  • 65. 64 LISTENING  CDS B1) 日常的な話題や関心のあるテーマのニュースや、映画などを理解できる B2) 日常的な話題に関する英語を聞いて、理解することができる B3) あまり専門的でない内容に関する、比較的ゆっくりとした説明を理解できる B4) 授業中に教師が話す英語を聞いて理解できる B5) 日常的な生活上での英語を聞いて、必要な情報が理解できる 1.00   1.50   2.00   2.50   3.00   3.50   4.00   B1 B2 B3 B4 B5 数理 英語 20111年年7⽉月(1年年次) 図6 Can-Do経年年調査結果 2011-2012年年 2012年年7⽉月(2年年次) 1.00   1.50   2.00   2.50   3.00   3.50   4.00   B1 B2 B3 B4 B5 数理 英語 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 B1 B2 B3 B4 B5 2006年年度度横断調査(普通) 1年夏 1年冬 2年夏 2年冬 READING  CDS C 1) 日常的に接する英語で書かれたテキストを読んで、必要な情報が理解できる C 2) 高校の教科書レベルの短いテキストを、ある程度の速さで読むことができる C 3) ある程度の長さの構成のはっきりとした英文を読んで、理解できる C 4) 辞書を引かずに英語の物語やエッセイを読むことができる C 5) 高校の教科書レベルの短いテキストを音読することができる 1.00   1.50   2.00   2.50   3.00   3.50   4.00   C1 C2 C3 C4 C5 数理 英語 20111年年7⽉月(1年年次) 2012年年7⽉月(2年年次) 1.00   1.50   2.00   2.50   3.00   3.50   4.00   C1 C2 C3 C4 C5 数理 英語 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 C 1 C 2 C 3 C 4 C 5 2006年年度度横断調査(普通) 1年夏 1年冬 2年夏 2年冬 図7 Can-Do経年年調査結果 2011-2012年年
  • 66. 65 WRITING  CDS D1) 英語で書いた原稿を見て、自分で文法的な誤りを直すことができる D2) 高校の教科書レベルの英語を聞いて、メモを取った上で要約することができる D3) 英語で一貫したまとまりのある文章を書くことができる D4) 英語で出来事や状況を説明する文章をことができる D5) 知人や友人、先生からの英語のメールを読んで、返事を書くことができる 1.00   1.50   2.00   2.50   3.00   3.50   4.00   D1 D2 D3 D4 D5 数理 英語 図8 Can-Do経年年調査結果 2011-2012年年 1.00   1.50   2.00   2.50   3.00   3.50   4.00   D1 D2 D3 D4 D5 数理 英語 20111年年7⽉月(1年年次) 2012年年7⽉月(2年年次) 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 D1 D2 D3 D4 D5 2006年年度度横断調査(普通) 1年夏 1年冬 2年夏 2年冬 また長沼君主氏開発の「言語学習動機づけ診断尺度」を利用して生徒の学習 意欲に関する調査を SELHi 研究時より 11 年間にわたり 7 月と 12 月の年 2 回 継続調査を実施している。2011 度からの SSH 研究対象クラス2年数理コミュ
  • 67. 66 ニケーションコースの生徒の言語学習動機づけの経年調査結果では、英語の学 習が自分の生活において有意義であるという英語へより大きな「学習価値」を 見いだしており、また英語学習への意欲も向上している。この結果は、英語に おける学校設定科目の授業において科学系の内容の学習素材を利用して興味・ 関心を喚起し、生徒たちが英語以外の学習に実際英語が役に立つことを認識し、 また英語によるプレゼンテーションなどを通じて、英語を使って積極的にコミ ュニケーションを図ろうとする態度を育成してきたことを反映していると考え られる。 3.4.3 新学習指導要領下の CLIL 的授業の実践 3 年次の SSH 研究では、科学論文講読や科学プロジェクトの英文レポートラ イティング等をカリキュラムに入れ、理系英語教育のシラバスの完成をめざす とともに、SSH クラスでは、内容学習としての CLIL(Hard CLIL)と言語学習 (Soft CLIL)を組み合わせ、後者は検定教科書を利用して実施している。さら に、 新学習指導要領の下、これまでの研究成果を生かしながら、SSH クラスだ けでなく、普通科全体での Soft CLIL 的なアプローチを取り入れた内容言語統 合型の授業を行い、包括的なモジュール構築をめざしている。そのために、新 学習指導要領の教科書の学習内容に関する①本文の各パートの Q&A に基づい た活動、②本文全体の内容の Comprehension に基づいた活動、③本文と関連 したテーマによる Communication 活動の CDS を開発し、レッスンの目的に 応じて柔軟に組み替えられるように、様々なバリエーションを設けた。「英語を 英語」での授業展開で、内容理解を促進する発問によるやり取りを中心としな がら、前提、命題、展開といった理解の深さの段階を設け、やり取りの発話シ ナリオを作成した。また、本文がコミュニケーション活動へとどのように展開 していくかの活動設計を行った。(長沼・永末,2013) 【教科書 Can-Do 尺度例】 ①本文の各パートの Q&A に基づいた活動 A1. 教科書本文を読んで、本文の流れを踏まえて重要な内容を理解すること ができる。 ① 前提となる事実や出来事に基づいた質問に答えることが難しい。
  • 68. 67 ② 前提となる質問には答えられるが、中心の命題となる質問には答えること が難しい。 ③ 命題となる質問には答えられるが、背後の理由や詳細情報を答えることが 難しい。 ④ 命題となる質問に加えて、背後の理由や詳細情報への展開を答えることが できる。 ②本文全体の内容の Comprehension に基づいた活動 B2a. 教科書本文を通して読んで、全体の流れを踏まえて理解することがで きる。 ① 図示された情報をもとにしても、テキストの情報構造を理解するのが難し い。 ② 図示された情報をもとに、テキストの部分的な流れと関係を理解できる。 ③ 図示された情報をもとに、テキストの全体的な流れと関係を理解できる。 ④ 図示された情報をもとに、テキストの流れと関係を理解し、口頭で説明で きる。 ③本文と関連したテーマによる Communication 活動 C1c. 聞いたスピーチの内容をもとにして、自分でもスピーチを行うことが できる。 ① 聞いた内容をもとにして、スピーチを行うことが難しい。 ② 聞いた内容に基づいたスピーチはできるが、補足資料の内容まで含めるの は難しい。 ③ 聞いた内容に補足資料の内容も加えて、より具体的なスピーチをすること ができる。 ④ 聞いた内容と補足資料の内容を踏まえ、解決策までスピーチをすることが できる。 今後、レッスン内容と深くからめながら内容言語統合型学習(CLIL)の展開を 行うと同時に、これまでに 開発したモジュールを選択しながら、科目間での技 能統合を図り、学習到達指標を明確化した 4 技能統合型シラバスと Can-Do リ ストの開発を進めたい。また図10に示すように、新学習指導要領の下、CLIL
  • 69. 68 的授業と Can-Do 評価の有機的結合により、効果的な授業実践を積み重ねてい きたいと思う。 SELHi・Post  SELHi  研究 ⾹香住丘Can-­‐Doグレード(教師参照⽤用) Can-­‐Do  学習-評価タスク 図10 新学習指導要領領下でのCLIL的授業とCan-­‐Do研究の結合 新学習指導要領領下 包括的⾔言語フレームワーク(普通・数理理・英語) Can-­‐Doチェックリスト(⽣生徒⾃自⼰己評価⽤用) 学習到達⽬目標としてのCan-­‐Doリスト 観点別+Can-­‐Do評価シラバス 数値による評定を質的に再定義し、Can-­‐Doを反映した質的な評価 観点別評価 = 量量的評価 英語を英語での授業実践 CLIL的授業の実践研究 内容学習としてのCLIL(Hard  CLIL) ⾔言語学習(Soft  CLIL):検定教科書を利利⽤用 Can-­‐Doチェックリスト(⽣生徒⾃自⼰己評価⽤用): 実際に到達できる現実的な能⼒力力指標 参考文献 永末温子 (2012). 「「評価できる授業」を目指すために∼10 年間の実践と今後 の展望」『英語教育』,10 月増刊 (pp.53-55) 長沼君主・永末温子(2013). 『Teacher s Manual LANDMARK English Communication Ⅰ⑦Can-Do リスト解説書―Can-Do 尺度に基づいた学習と 評価のアプローチおよび授業展開例』啓林館 渡辺良典,池田真,和泉伸一(2011)「CLILL 内仰言語統合学習 上智大学外 国語教育の新たなる挑戦 第 1 巻 原理と方法」上智大学出版
  • 70. 69 3.5 CBL 型から CLIL 型の英語授業へ 関田信生(東海大学付属高輪台高等学校) はじめに 筆者は,これまで CBL(Content Based Learning)型の英語授業をデザイ ンしてきた(関田,2003,2004,2010)。しかし,2012 年 4 月 1 日に東海 大学付属高輪台高等学校に着任し,高校 1 年生の英語 I の授業を担当したことを 機に,CLIL(Content and Language Integrated Learning)型の授業にシフ トする取り組みを始めた。ここでは,2012 年 12 月 22 日(土)に,上智大学 で開催された「CLIL について考える懇談会」で筆者が口頭発表した内容に基づ いて実践報告する。 3.5.1 CBL 型授業から CLIL 型授業へのシフト CBL 型の授業では,内容を使って言語を学ぶことが基本である。一方,CLIL 型の授業では,英語と内容を使って両者を学ぶのであり,言語学習と内容学習 を有機的かつ体系的に統合するもの である(渡部,池田,和泉,2011)。 筆者が実践してきた CBL 型の授業 は,高等学校用検定教科書を使用し た英語 I,II の授業である。教科書を 通して,生徒はまず言語知識(語彙, スキル)や,そのレッスン・トピッ クに関する基礎知識を身に着ける。 そして,あらかじめ設定されたレッスン・ゴールを,教科書を通して身に着け た知識とスキルを活用して達成する。いわゆる task-based 型の授業である(図 1)。この授業デザインは,筆者が東海大学教育開発研究所に勤務した時期に学 んだ CBL を基本に,CLIL へのシフトを模索しているものである。 CBL 型の授業から CLIL 型の授業へシフトする手立てとして,CLIL を特徴づ ける 4 つの C(Content, Communication, Cognition, Community)の中の, 図 1. CBL 型の授業の流れ
  • 71. 70 Content に着目し,「教科科目」を学ぶために必要な背景知識を補うための extra-reading を授業で活用することにした。また,Communication に着目し, language of learning(レッスン・トピックに直接関係する重要語句)を強化 する活動を取り入れることにした。これまでの筆者の CBL 型の授業では,内容 を重視する一方で,語彙に関しては付随的(incidental)に学ぶことを基本とし, 授業中,単語整理をしたり,単語テストをしたりすることはほとんどなかった。 文法に関しては,発展的活動(extended activity)終了後に,教科書に設定さ れた文法項目(target grammar)を教科書の文脈で紹介し,説明するようにし ていたが,ドリル等で時間を割くことはほとんどなかった。内容を重視した活 動をするために,語彙や文法に時間をとることがほとんどできなかったのが実 情である。一方,community としてのグループ・ワーク,ペア・ワークはすで に取り入れてきており,Cognition については,十分とは言えないまでも,学 んだことを覚える活動(LOTS: Lower Order Thinking Skills)よりも,自分の 意見を明らかにしたり,英文の意味を自分なりに解釈して話したりする活動 (HOTS: Higher Order Thinking Skills)が多くなるよう留意して実践してき ている。 3.5.2 授業 3.5.2.1 対象クラス 対象となったのは高校 1 年 5 組の英語 I の授業である。女子 21 名,男子 24 名,計 45 名のクラスである。筆者が勤務する高校は,東海大学の付属高校で約 80%の生徒が内部進学する。そのため,受験進学校のような学習に対する緊張 感をあまりもっていない。大学入学のために,どうしても英語の成績を上げな ければならないとか,この文法事項の正しく使えるようにならなければならな いといった緊迫感があまりない。英語を苦手と感じている生徒も少なくない。 対象クラスの英語 I の授業は週に 4 回ある。そのほかにオーラルコミュニケ ーション I(OCI)の授業が週に 2 回あり,OCI の授業では,生徒は 2 つのグル ープ(男女混合,22 名と 23 名のグループ)に分かれて,外国人教員ともう一 人の日本人教員によるチーム・ティーチングで授業を受けている。 筆者が担当する英語 I の授業では,クラスルーム・イングリッシュやレッスン
  • 72. 71 内容に関するインタラクションのために,約 40%∼50%の発話を英語で行って いる。 3.5.2.2 授業内容 使用しているのは検定教科書 Prominence English I(東京書籍)である。本 論で紹介するレッスンは Lesson 1∼Lesson 6(Lesson 4 と Lesson 5 は除 く)である(表 1)。 表 1. 対象レッスン Lesson Title Goal 1 High School Life around the World Writing Japanese high school life 2 You Can Change the World! Understanding Severn’s messages and making her speech 5 The Future Is In Your Hand... Or Is It? Creating their own birth month fortune-telling 3 Meister Kanda Writing about their own future dream Lesson 3とLesson 6の導入順が逆になっているのは,教育実習生にLesson 3 を担当してもらうために時期をずらしたためである。 各レッスンは,図 1 でも示したように,レッスン全体の概要を把握するため の Lesson introduction から始めた。この教科書では,各レッスンが 4 つのパ ートから構成されており,各パートの内容理解のために,PowerPoint による説 明や,vocabulary sheet,worksheet を使用した。 3.5.2.3 Lesson 1 を例とする具体的な授業の流れ Lesson 1 では,生徒は 4 つの国(タイ・シリア・ボリビア・タンザニア)の 高校生活について学んだ。生徒のレッスン・ゴールは,この 4 つの英文を参考 に,日本の高校生活を紹介する英文を作成することであった。教科書で紹介さ れているスケジュール・履修科目・学校生活を送る上での問題点などを,ワー クシート(付録 1)を用いて整理すると同時に,紹介すべき項目や必要な語彙や 表現を,教科書を通して学んだ。語彙に関しては,英文を書くときに必要な productive words と,読む際に理解できればよい receptive words に分けて
  • 73. 72 整理する vocabulary sheet を使用した(付録 2)。教科書での学びを終えた後, 生徒たちは,発展的活動(an extended activity)として,自身が通う高校で の生活を紹介する英文を作成した(付録 3)。生徒が書いた英文は,OCI を担当 する外国人教員に読んでもらい,OCI の授業で口頭でのコメントと一緒に返却 してもらった。そうすることで,より本物の活動であると生徒が感じられるよ うにした。 3.5.2.4 Lesson 2 を例とする具体的な授業の流れ Lesson 2 では,1992 年 6 月 11 日にリオデジャネイロで開催された環境と 開発に関する国際会議(地球環境サミット)において,12 歳の少女 Severn Suzuki が各国の代表を前に語ったスピーチを読むことを通して,地球の環境問 題について考えた。レッスン・ゴールは,彼女のメッセージを理解したうえで, 彼女のスピーチをすることと,自分が担当した部分を,自分の言葉で日本語に することであった。 key words の整理の仕方として,Lesson 1 と同様,productive/receptive を明確にしながら,できるだけ,単語ではなくフレーズで意味を整理するよう にした。単語を整理することで,生徒が自然に教科書本文の内容を理解できる ようにするためである(付録 4)。また,Lesson Introduction として, PowerPoint を利用し,公害問題に関するミニ・レクチャーを行い,Severn Suzuki のメッセージをよりよく理解できるよう支援した(付録 5)。 内容理解はワークシートを用いて, 彼女のスピーチに込められているメ ッセージを明確にした。さらに,彼 女のメッセージの中で述べられてい るオゾンホールの問題について,イ ンターネットで紹介されている英文 を extra reading(付録 6)として 読む活動を行い,生徒の理解が深ま るようにした。そして発展的活動と して,ビデオカメラの前で,生徒た ちはひとりずつ彼女のメッセージをスピーチした。撮影した VTR には,各生徒 図 2. 生徒訳の字幕付きのスピーチの様子
  • 74. 73 が訳した日本語を字幕として表示するようにした(図 2)。 3.5.3 最後に 3.5.3.1 授業アンケート結果 教科書による授業がすべて終わった時点で,生徒にアンケートをとった。表1 のレッスンに表 2 に示す 2 つのレッスンを加えて各質問を設定した。 表 2. その後実施した 2 つのレッスン Lesson Title Goal 7 Lefties Have Rights! Clarifying the reason why some people are left-handed 8 Japan’s Goodwill Ambassadors to the world Clarifying what manga is and why manga became popular with people Lesson 7 では,教科書を通して,社会における左利きの人々の存在や歴史につ いて学び,extra-reading として,左利きが生まれる原因についてインターネッ ト記事を読んだ。Lesson 8 では,教科書を通して,日本のマンガの特性や海外 でも人々に愛されるようになった理由について学んだ。Lesson 8 を英語 I の授 業で扱っていた同じ時期に,Oral Communication I では日本の文化について 紹介する活動をしており,Lesson 8 で学んだマンガに関する知識を,日本の文 化を紹介する 1 つの具体例として取り上げることで,英語 I と Oral Communication I の授業との融合を図った。 アンケートの結果(付録 7)から,生徒にとって最も興味深く感じられたのは, 世界の様々な占いについて学んだ Lesson 6 The Future Is In Your Hand... Or Is It?であった。また,授業中の活動として最も有意義だと感じた活動の 3 番目 にも,Lesson 6 の発展的活動として行ったインターネットの情報から自分たち の誕生月に関する占いを作る活動が挙げられていた。最後に外国人の先生方か ら,生徒が作成した占いについてコメントをいただいたことで,活動に本物ら しさ(安藤輝次編著,2002;久保田賢一,2000)を生徒が感じたからではな いかと思われる。さらに,2 番目に興味深かった内容は,オーストリア料理のマ イスターになる夢を実現した神田真吾氏について学んだ Lesson 3 Meister
  • 75. 74 Kanda であった。その発展的活動として行った,生徒各自が自分の将来の夢や 憧れの人物について英語で書く活動が,もっとも有意義な授業活動の 1 番目に あげられていた。Lesson 3 の発展的活動に関しては,同時期に,生徒に対して 進路希望調査が実施されており,各生徒が LHR の時間に将来の職業や夢につい て日本語で書いており,英語 I の授業では,その日本語で書いた内容を英語で書 くようにしたことから,活動に臨場感が生まれたのではないかと考えられる。 アンケートでは,生徒が感じる自分自身の英語力や,英語 I の授業を受けてど のような力が伸びると感じられるかということについても尋ねてみた。中学時 に得意であると感じた力では,英語を「聞く力」がもっとも多く,次に「読む 力」であった。一方,苦手と感じた力は「書く力」で,次に「読む力」「話す力」 が続いていた。高校に入り,英語 I の授業を受けたことで伸びたと思われる力に ついては,「読む力」が多かった。これは,中学で使用する英語教科書に比べ, 高校の検定教科書に掲載される英文の量が多くなっていることに加え,授業で は,教科書以外の,インターネットに掲載された英文を読む活動を取り入れて いたことによると考えられる。 授業で楽しかったと感じられた活動に関しては,レッスン・トピックに関連 する動画をみることが一番であったが,その次にグループ活動があがっており, 生徒が他者と関わりながら学ぶことを好む傾向にあることがわかった。 3.5.3.2 今後の課題 具体的な紹介は省略したが,Lesson 3 Meister Kanda では Lesson Introduction として pre-reading 教材を使用した。Lesson 6 The Future Is In Your Hand... Or Is It?では,発展的活動をするための資料としてインターネッ ト上の英文資料を活用した。このように,Content を深めるために,教科書以 外の authentic な教材を作成して使用するが,1 つのレッスンにかける時間数 に限りがあるため,どの程度 authentic な教材を活用するかが問題となる。ま た,発展的活動という形で導入するコミュニケーション活動と英語そのものを 学ぶ言語学習活動とのバランスをどのように図っていくことが,生徒の学びに 効果があるのかという点でも疑問が残る。実際,学校行事等で授業時間数が少 なくなったり,定期試験までに済ませておかなければならない学習項目が多か ったりすることから,各レッスンに発展的活動を設定することは難しい。さら
  • 76. 75 に,レッスン・トピックによっては,明確なレッスン・ゴールを設定するのが 難しく,教科書の内容を理解するだけで終わってしまう場合もあった。生徒に とって意味のある活動を設定し,authentic な教材に触れながら,内容と言語の 両方を学習できる授業デザインを続けることは,容易なことではない。また, 生徒が楽しいと感じるグループ活動については,どうしても私語が多くなった り,活動が人任せになるなど,実践の難しさも感じられた。生徒が「互恵的な 学び(reciprocal learning)」を体験できるよう,「学びの共同体」(佐藤学,2006) をつくる工夫をする必要を痛感している。 参考文献 安藤輝次編著(2002)「評価規準と評価基準表を使った授業実践の方法」黎明 書房 愛知 久保田賢一(2000)「構成主義パラダイムと学習環境デザイン」関西大学出版 部 大阪 佐藤 学(2006)「学校の挑戦∼学びの共同体を創る∼」小学館 東京 関田信生(2003)「英語授業におけるインタラクションの変化−アクション・ リサーチによる分析から」『東海大学紀要』第 11 号 関田信生(2004)「プロジェクト学習と生徒のオートノミー」『東海大学紀要』 第 12 号 関田信生(2010)「社会実践を目指した発展的活動−活用力の可視化−」『東海 大学紀要』第 18 号 渡辺良典,池田真,和泉伸一(2011)「CLILL 内仰言語統合学習 上智大学外 国語教育の新たなる挑戦 第 1 巻 原理と方法」上智大学出版 東京
  • 77. 76 資料 1. Lesson 1 ワークシート
  • 78. 77 2. Lesson 1 vocabulary sheet
  • 79. 78 3. Lesson 1 生徒の作品例
  • 80. 79 4. Lesson 2 vocabulary sheet
  • 81. 80 5. Lesson 2 Lesson Introduction- PowerPoint slides
  • 82. 81 6. Lesson 2 extra reading (Source: http://kids.nationalgeographic.com/stories/spacescience/ozone/)
  • 83. 82
  • 84. 83 7. アンケート結果
  • 85. 84 3.6 小学校外国語活動と CLIL 山野有紀(宇都宮大学) 3.6.1 小学校外国語活動における課題 2011 年度より小学校新学習指導要領が全面実施され、「外国語活動」が必 修化された。文部科学省 (2010) は学習指導要領において、この新しい教育の 目標を「外国語を通じて,言語や文化について体験的に理解を深め,積極的に コミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り,外国語の音声や基本的 な表現に慣れ親しませながら,コミュニケーション能力の素地を養う。」(p. 1) と提示した。 実際、外国語活動は 2011 年の正式導入(施行)以前より、多くの都道府県 や市単位での試験的実践が始まっており、その中で授業実施における課題が指 摘されるようになった。2011 年 4 月全面施行後に日本英語検定協会(2012) が行った調査によると「指導内容・方法」(p. 30) が大きな課題のひとつである との結果が出た。これは何を意味するのか。外国語活動での使用教材について、 前述した英検協会の調査は、文部科学省が外国語活動のための補助教材として 全国の小学校に配布した「英語ノート」の使用頻度が 90%を越えるものである 高いことも示している。その上で、外国活動に携わる指導者が、指導内容を課 題に挙げられていることを鑑みると、現行のものだけでは十分でないと認識し ていると予測される。 さらに、外国語活動における授業内容や活動における留意点のひとつとして、 バトラー (2005) は高学年児童の認知発達レベルと言語レベルのギャップを指 摘している。外国語活動の授業の中では、児童に「楽しい」言語活動を体験さ せるために、ゲームを取り入れる場合が多い。しかし、小学校高学年の楽しさ は、低学年の楽しさとは異なり、「「理解する」「できる」といった知的・意識的 な達成感と結びついて」きており、「単に勝ち負けを競うようなゲームでは、高 学年の興味を持続させることが難しくなってくる。」(バトラー、2005、p.151)。 では、どのようにしたら、高学年児童の知的発達レベルと言語レベルのギャッ プを考慮した体験的活動を含んだ指導内容で、外国語教育の授業実践ができる のであろうか。
  • 86. 85 実は、外国語活動の指導にあたってきた筆者自身、上記の課題に直面してき た。それに加え、指導案作成等の話し合いにおいて、担任の先生方のほぼ全教 科に対する知識や協同学習の実践に対する経験を伺い、これらを活かした指導 内容と方法を模索していた。そこで、内容(Content)・言語(Communication)・ 思考(Cognition)・協学/文化・国際理解(Communication/Culture)を 4 つ の原理として統合した外国語教授法 CLIL(Coyle, 2007; Coyle, Hood & Marsh, 2010; 池田, 2011; 笹島、2011)にめぐりあい、外国語活動における CLIL の実践(Yamano, 2012, 2013a, 2013b, 2013c)を試みた。 3.6.2 小学校外国語活動における CLIL の実践 そこで本稿では、筆者が 2010 年度より埼玉県の公立小学校で、「英語ノー ト」「Hi, Friends!」などの共通教材を使用しながら CLIL を実践してきた中から、 いくつかを紹介させていただき、外国語活動における CLIL の活用について考え てみる。 外国語活動における CLIL の実践授業としては、以下の 3 つのパターンが考 えられる。それは、➀補助教材(Hi, Friends!など)を使う授業の中で部分的に 取り入れる場合、➁補助教材を使う授業の中で部分的に取り入れる+授業の全 部を CLIL で行う場合、③授業の全部を CLIL で行う場合、である。下記にそれ ぞれの実践例について報告する。 ➀授業の一部に取り入れる場合 始まりの挨拶と CLIL(理科的内容) 「How is the weather today?」は始まりの挨拶としてよく使われる表現だが、 外を見れば天気は尋ねなくても分かる。そこで、その質問に「What is the temperature today?」と当日の温度を尋ねる質問を加えてみる。毎回の授業前 に、1人でも、2人1組でも、班ごとでもよいので、そのクラスの協同学習に ふさわしい形態を選び、温度を調べてきてもらい、発表してもらう。それをグ ラフや表などにして残していくと、晴れや曇りの天候と温度の関係に注目をす ることができ、体感温度のちがいについても学ぶことができるようになる。例
  • 87. 86 えば、同じ「It thirteen degrees.」であったとしても、「It s sunny.」と「It s windy.」の日では体に感じる温度が異なる。「え∼、先週と温度同じ?」「今日 は寒いよね。」そこで先生が「Why? How is the weather today?」と尋ねると 「It s windy!」となり、単なる儀礼になりがちな英語の始まりの挨拶が、こども たちにとって意味あるものとなってくる。 このように CLIL の授業の中では一部に取り入れる場合でも、「なぜ?」と問 いかけ、考える機会を与えるようにしている。 ➁授業の一部に取り入れる+授業の全部を CLIL で行った実践例 Hi, Friends! 2 Lesson3 I can swim! と 体育との統合授業:全 2 時間 ここでは、Hi, Friends! を活用しながら行った CLIL の授業について紹介する。 一時限目 1.一時限目の授業では、まずこどもたちの好きなスポーツについてたずねる ことから始める。(これは Hi, Friends! 1 の Lesson4 で、慣れ親しんだ好き なものをたずねる表現を授業の中で繰り返し使うこと、つまり CLIL における Language through learning の繰り返しによる定着を目的とした言語の活 用を目的としている。) 2.次に Hi, Friends! 2 の Lesson3 での、自分のできることをたずねたり話 したりする表現に慣れ親しませるために、実際のスポーツ選手の写真を見せな がら、さまざまなスポーツ名やそれができるという表現を導入していく。 その際には、写真を見せる前に、 Who am I? I am Japanese. I can swim very fast. I have two gold medals of the Olympic Games. I will swim in the London Olympic Game this summer. などとクイズ形式で班ごとに分かれ て、人物が誰かを児童同士で協力して考えさせる活動を行った。 この授業を行ったのは、ちょうどロンドンオリンピックが開催される寸前の 2012 年の一学期だったこともあり、福原愛選手や、北島康介選手などの写真を 使いながら、オリンピックの話も織り交ぜて行った。その際には、筆者が勤務 している小学校がある市内のスイミングスクールから実際にオリンピックに出 場する選手がいることなども児童から話題に上がった。そこで水泳を習ってい
  • 88. 87 る児童が、 I can swim. という表現を大変嬉しそうに使っていたのが印象的で あった。 3.その後、児童に、次の授業では英語でスポーツ競技、ソフトバレーを行っ てみようという提案をした。ここでソフトバレーを選んだのは、体育の授業で 行っていることと、市内のスポーツ大会の競技種目であるため、高学年全児童 が行うことができるスポーツであるという理由からである。 4.こどもたちは英語で体育の授業を行うと聞いて、驚くと同時に、興奮して いた。そして、ゲームを行う際に必要な言葉を児童からあげてもらい、英語で の表現を導入した。 サーブを打つ際 Here we go! コートにボールが入っている際 It s in! コートにボールが入っていない際 It s out! 励ましの言葉 You can do it! Do your best! Don t worry! などである。 5.最後に So next lesson, we can play soft volleyball in English! と全 員で英語で語り、1 時限目の授業は終了となった。 二時限目 2 時限目の授業は下記の手順で行った。 1.前時で慣れ親しんだ英語でのかけ声について復習。 2.実際に英語でソフトバレーボールの試合を始める。その際は、体育の授業 での男女混合チームを活用して行う。 3.各チームがすべてあたるようにトーナメントを組む。 4.試合開始! Let s start! 5.最後に先生からのコメント。頑張ったクラス全員をたたえて体育の授業を 終了する。 この授業の中では以下 3 点が観察された。 第一点目は、授業の中では、普段は恥ずかしくて男子から女子、女子から男 子には声かけがあまりできなかったという子どもたちが、「英語だと声かけがし やすかった!」「大きな声でみんなを応援できた!」「英語で体育ができてとて も楽しかった!」という感想を出してくれたことである。
  • 89. 88 また第二点目は、普段の外国語活動では積極的に参加することがなかった児 童が、得意な体育の中で、非常に前向きに大きな声で英語を使う態度を見せて くれたことであった。特に、励ましの言葉として使われていた You can do it. という表現を、サーブを打つ際に、この児童が自発的に主語を代えて、I can do it! と使いだしたことには、担任教諭が一番驚いていた。 第三点目は、アメリカ合衆国出身の ALT のスポーツにおける文化の違いに対 するコメントである。最後の授業のコメントで、ALT が「よろしくお願いしま す。」といってお辞儀をしてはじめていたこどもたちの姿に、「これは日本式な 始め方で、海外では試合前にこのようなことはしない。だいたい「よろしくお 願いします。」という言葉は英語にはない。けれどスポーツでもつねに相手に敬 意を払うという日本のスピリットに、僕は感動した!」と、ジェスチャーを入 れながら下記のように話した。 We don t have Yoroshiku onegai-shimasu in English. We only shake hands when we start the game. Today, I was very impressed by you and Japanese spirit. You are wonderful! 日本と海外の文化のちがいがスポーツにも現れていること、その日本の文化 をアメリカの先生が素晴らしいと褒めてくれたことを聞いたこどもたちは、驚 くと同時に大変嬉しそうであった。その後の授業の振り返りでも、英語でスポ ーツができた楽しさと同時に、ALT の言ったアメリカと日本のスポーツにおけ る文化の違いに対する気づきを「知れてよかった。」と述べる児童の記述が多く あった。このようにして、最初の授業を Hi, Friends! を活用しながら授業の一 部に CLIL を取り入れて行い、次の授業では慣れ親しんだ表現を体験的に使用す ることを目標に、体育で CLIL を行った授業が終了した。 ③授業の全てを CLIL で行った実践例 最後にほぼ毎学期に 1 度の割合で、それまで習った(もしくは習う)英語表 現に豊かな文脈の中でふれさせることを目的に、授業の全てを CLIL で行ってい る。その授業実践の1例 (Yamano, 2012, 2013a, 2013b) について、以下に ご紹介する。 「動物」をテーマに:対象 5 年生:全 3 時間(図工と理科と社会との統合授業)
  • 90. 89 1時間目(図工との統合授業) この授業では特に、学習の言語 Language of learning (Communication) に体験的に慣れ親しむことと、その言語を児童の持つ知識を使って考えながら 活用すること(Cognition)の促進を目的とした(参考資料1)。 1. まず、What animal do you like? What color do you like? と尋ねなが ら動物と色の単語を英語で導入する。 2. その後、児童の好きな動物を紙粘土でそれぞれ創作してもらう。紙粘土を 配布する際、教師は What color do you want? と尋ね、児童は欲しい 色を英語で伝えなければならないようにした。そこで、粘土の色は 5 原色 (白・黒・黄・青・赤)に限定し、5 原色以外の色(緑など)が欲しい場 合は、児童の既存の色に対する知識と習った単語を応用する必要がある思 考活動の機会を与えた。 3. 児童が創作活動を行っている間、 What are you making? など教員が 英語で話しかけ、児童が英語を話す機会を作った。その際には、 What s this? と問いかけた教員が逆に、「先生、当ててみて。」との児童からの問 いかけられる場面もあった。これにより、 Is it a pig? No. などと児 童と教員の間で、活発な interaction が行われた。 特に外国語活動を含めて通常授業の参加に対しても消極的であった児童が、 この授業で初めて積極的な態度を見せた。自由筆記において自ら作成した動 物名(「タートー」)を記し、振り返りでも達成感を感じていることが分かっ た(資料2参照)。 2 時間目(理科と図工の統合授業) この授業では、特に理科的な内容との統合と協同学習に焦点を当てて、授業を 行った。 1. まず ocean, forest, savanna などの生息地の単語を導入し、1 時間目に 作った動物を What animals live in the ocean?と尋ねながら、生息地ご とに分類する。 2. その後それぞれ自分の作った動物のいるグループごとに分かれて、その生 息地を協同製作する。必要な紙粘土や色画用紙を得るには、1 時間目と同 様の思考活動が必要なようにして、クラス全員で動物の住む生息地を完成 させた。
  • 91. 90 3 時間目(社会科との統合授業) 実はこどもたちが作成した動物の多くはパンダや象など、多くが絶滅危惧種 であった。それを考慮し、3 時間目には学習言語に慣れ親しみながら、世界が直 面している環境問題を取り入れ、世界の一員としてともに考えていく大切さに 気づくこと、すなわち協同の学びを世界まで広げて、CLIL の 4 原理の一つであ る国際理解を授業のねらいとした。 1. 教師は絶滅の危機に瀕している野生動物についてスキットを行った。具体 的には、教師は There are no trees. I m very hungry. といって、死んで いくスマトラ象の話しをし、その上で WWF の資料にある、シャベルカー の上でゴミのように扱われる象の実際の写真を見せた。それを見て涙する 児童もいた。 2. そこで教員は Are you happy? と問いかけた。その際には、クラス全員 が首を振り、 Are you sad? の問いにはみな深くうなずいた。 3. 最後に児童から絶滅危惧動物を救うために自分達のできることを考える活 動を行い、授業は終了となった。授業後の振り返りでは、「今日の授業で世 界の動物についての問題を知れてよかった」「もっと英語を勉強して世界の 人と動物を守りたい」との感想が多くあった。また覚えていることを何で もよいので書いてもらう自由筆記の欄には授業にでてきた単語が多く記述 された。これらの結果は、「ゲームをやった」などの活動に対する自由記述 が多い通常授業の振り返りと比べ、非常に対照的な結果となった。 上記のような形で、CLIL を外国語活動に導入し、全教科を取り入れて、さまざ まな実践を行ってきた。次章では、その実践をもとに、外国語活動における CLIL の活用について、さらに考える。 3.6.3 外国語活動と CLIL・可能性と今後の課題 2 年間の CLIL の授業実践により、外国語活動は、決して fun だけである必要 はなく、本物の内容を取り入れることにより例え sad であっても、児童にとっ て interesting なものになるということが明らかになった。CLIL を取り入れる ことにより、そのような外国語活動における内容の充実の実現が可能となり、
  • 92. 91 児童の外国語を通した学習が深まるのではないか、と考えるようになった。 CLIL の授業では、内容も教材もオーセンティックなものを使用することで、 児童の興味が喚起される。また国際・文化理解により、英語を学び世界の人と つながっていけるということに気がつく児童がいる。さらに CLIL では、外国語 に慣れ親しみながら、年齢にあった思考活動ができる。このように、外国語活 動に CLIL を取り入れることにより、外国語を、他教科の学びと思考活動や協同 学習、さらに世界市民としての自覚とともに経験が統合され、豊かなコミュニ ケーション能力の素地を養うことを促すひとつの手立てとなる可能性があるよ うに考えられる。これらのことより、学習指導要領にある目標と照らし合わせ、 CLIL の 4 つの C に期待される役割について下記のようにまとめた。 まず、Communication(言語)は、外国語活動の目標である「外国語を通し てのコミュニケーション能力の素地を養う」(文部科学省, 2010, p.1)のために 必要不可欠なものである。また、その目標実現のために示されている「言語の 体験的理解」、「積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成」「外国 語の音声や基本的表現に慣れ親しませる」のためにも不可分なものである。特 に CLIL では言語を 3 つに分けて考えており(Coyle, 2007; Coyle et al., 2010; 池田, 2011) それらは上記目標を実現するための教室内の言語使用に対する具 体的な示唆となる。次に Content(内容)は児童の知的好奇心を喚起しながら 「外国語の音声や基本的表現に慣れ親しませる」ための充実したインプットの ために必要なものである。それらの興味ある内容で言語に触れることで、「言語 の体験的理解」「積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成」も促 進されるのではないだろうか。事実、資料2で紹介した児童は CLIL の授業内容 に大変な興味を示して、積極的な授業参加の契機となったことは前述した通り である。さらに児童の Cognition(思考)に留意した活動を考えることは、小 学校高学年児童の知的レベルと言語のギャップを埋める授業実践を可能とする 手立てとなると考えられる。最後に Community(協学)と Culture(文化・国 際理解)は言語の体験的学習と文化理解の促進のために重要であると思われる。 上記のことから、CLIL の 4 つの C は外国語活動の目標実現のために活用できる のではないかと考えるようになった。 しかしながら、実践を行った上での難しさもあった。それは以下の通りであ る。
  • 93. 92 ① CLIL を取り入れた指導案・教材作成の難しさ ・生徒の年齢や興味にあった内容と言語をどのように結びつけるか。 ・教科内容を扱うことにより、学習者のレベルより高い語彙がでてくる場合、 いかに理解可能なインプットを与えるか。 (例:Authentic materials の使用など) ・ 学習した内容と言語をいかした意味あるアウトプット(活動)の機会を、思 考活動と協学を取り入れて、どのように行うか。 ② 授業内における偶発的な言語やコミュニケーションに対する教員の前向き な姿勢 特に、CLIL の授業に対する担任教員の前向きな姿勢は、児童の外国語活動 における学習姿勢に密接につながっている可能性が高いことが、実践事例にて 示されている (Yamano, 2012, 2013a)。しかしながら、小学校外国語活動に おける CLIL の実践事例はまだ少なく(二五, 2013; Yamano, 2012, 2013a, 2013b)、その可能性については、未知数な部分も多い。それを探究すべく、実 践の場を全国の公立小学校に広げ、外国語活動を担当していらっしゃる先生方 にご協力をいただき、研究を行っており、結果を報告させていただく予定であ る(山野, 2013c)。 今後の課題は、さらなる実践の探究、それに伴う指導案や教材の作成であ る。CLIL Japan などを通し、たくさんの先生方と意見を交換させていただき ながら、外国語活動の充実のために、その方策のひとつとして CLIL の活用につ いて考えていきたい。 参考文献 バトラー後藤裕子 (2005).『日本の小学校英語を考えるーアジアの視点からの 検証と提言』三省堂. Coyle, D. (2007). Content and language integrated learning: Towards a connected research agenda for CLIL pedagogies. The International Journal of Bilingual Education and Bilingualism, 10, 543-562. Coyle, D., Hood, P., & Marsh, D. (2010). CLIL: Content and language integrated learning. Cambridge: Cambridge University Press.
  • 94. 93 池田真 (2011).「第 1 章 CLIL の基本原理」渡部良典・池田真・和泉伸一(共 著)『CLIL(内容言語統合型学習) 上智大学外国語教育の新たなる挑戦 第 一巻 原理と方法』(pp. 1-13) 上智大学出版. 文部科学省 (2010)『小学校外国語活動 指導要領』 文部科学省 文部科学省 (2010)『Hi, friends! 1』 東京書籍 文部科学省 (2010)『Hi, friends! 2』 東京書籍 二五義博 (2013). 「算数の計算を活用した教科横断型の英語指導―小学校高学 年児童を対象とした英語の数の学習を事例として―」『JES Journal 13 号』 pp. 84-99 日本英語検定協会・英語教育研究センター (2012).「小学校の外国語活動に関 する現状調査(小学校対象)調査結果報告」 Retrieved from http://www.eiken.or.jp/news/kyoukai/120518r01.html 笹島茂 (2011) 『CLIL−新しい発想の授業―』三修社 Yamano, Y. (2012). Content and language integrated learning (CLIL) in a Japanese elementary school: A comparative study of a CLIL program in early EFL education (Master s thesis). Sophia University, Tokyo. Yamano, Y. (2013a). Exploring the use of content and language integrated learning (CLIL) in foreing language activiteds. JES Journal, 13. 20-25. Yamano, Y. (forthcoming, 2013b). Utilizing the CLIL approach in a Japanese primary school: A comparative study of CLIL and EFL lessons. The Asian EFL Journal. 15 (4), 70-92. 山野有紀 (2013c)「小学校外国語活動における CLIL の実践と可能性」『STEP BULLETIN. Vol. 25』
  • 95. 94 参考資料1. すべてを CLIL で行う授業指導案の一例 Activity & aim Teachers (Ts) Pupils (Ps) community & time Warming up (Familiarize the pupils with the expression about their feelings) Greeting in English “Good morning, everyone! How are you today?” Greet each other and answer the teachers’ questions. Class (3 min) Introduction to the vocabulary about colors & animals. (Provide the pupils with the input while using visual aids) 1.Show the pupils color picture cards 2. Ask them the names and catch the pupils answer. 3. Provide the pupils with feedback depending on their responses. 1.Listen to the English teachers 2. Try to answer the questions as much as possible. Class (8 min) Task 1: Distribute the colored clay (provide the pupils with the opportunity for output by using the target vocabulary) Ask the pupils their required colors and distribute the colored clay. Answer the teachers question to obtain the colored clay in order to make a favorite animal. Pair (T-P) (8 min) Task 2: “Let’s make your favorite animal!” (Familiarize the pupils with the vocabulary and provide them with an enjoyable experience) Have as much interaction as possible with the pupils by asking them questions, such as “What color is this?” “What animal are you making?” or “What’s this?” Make a favorite animal in the lunch group while having interaction with teachers and their peers. Also ask teachers if they need a help or have a question. Solo Pair Group (26 min)
  • 96. 95 参考資料2.CLIL 授業に関する児童の質問紙回答結果
  • 97. 96 4 CEFR と CLIL(仮) 長沼君主(東海大学) (準備中)
  • 98. 97 5 CLIL について考える懇談会 池田真(上智大学) * 敬称略 * 所属は開催時 開催場所:上智大学 日時:12/22/2012 13:00―17:15 事例発表者(発表順):山崎勝(埼玉和光国際高校)、佐藤ひな子、鈴木誠(埼 玉県立川越女子高校)、三上正弘(千葉県立長生高校)、永末温子(福岡県立香 住丘高校)、長沼君主(東京外国語大学)、関田信生(東海大学付属高輪台高校)、 山野有紀(埼玉県立蓮田市立黒浜西小学校) 問題提起:松本茂(立教大学) 司会進行:池田真(上智大学)、笹島茂(埼玉医科大学) 来賓:神代浩、弓岡美菜(文科省) はじめに:CLIL の簡単な説明と懇談会の進行(池田) CLIL(内容言語統合学習)とは高品質な学習のことであり、日本の学校教育 というコンテクストでは、従来から行われてきた教科科目の学習と英語学習の 良いとこ取りをし、クオリティの高い学習を生み出す可能性があります。その クオリティを出すためのフレームワークとして 4 つの C があります。Content はテーマやトピックを表し、Communication は言語の知識や技能を表してい ます。この二つの要素に、Cognition と Community という二つの要素を加え た学習を CLIL と考えると分かりやすいでしょう。Cognition にはクリティカ ル・シンキングといった考えがパッケージングされています。また、Community の中で、学習者が一人で学習するのではなく、タスクをペアやグループワーク で行うことを通して、他の学習者と教えあい学び合うということです。CLIL を 通してこのような学習をすることで、社会に出てから多文化の人たちと共同し て働く力を身につけることになるのです。さらに、CLIL は、21 世紀のスキル として、グローバルな人材を育てる学習方法として役に立つのではないかと考 えられます。しかし、ヨーロッパ発信の CLIL を、そのまま日本に取り入れても
  • 99. 98 上手くいかないのは今まで実践例から明らかです。そこで、どうやって日本で CLIL を実践していくか、どうあるべきか、本日の懇談会での実践例やここにお 集りの大勢の方々とディスカッションを通じて考えていきたいと思います。 趣旨説明(笹島) 今回の CLIL についての懇談会の趣旨をここで述べておきます。CLIL につい てはまだ議論があり、定義はむずかしい面があります。そこで本懇談会の趣旨 としては、CLIL 的な学習も含めて、CLIL について率直にお互いに意見交換す る場としたいと考えています。CLIL に関心を持っている人が多くいるというこ とがこれまでの活動で分かってきました。この懇談会をきっかけとして、様々 な意見を集め、話し合いの中から、ある方向性を見いだし、その内容をもとに 冊子などの形にまとめたいと計画しています。TKT CLIL という本にあるように、 CLIL の定義は様々で色々な意見がありますが、CLIL は CEFR を基盤とした科 目と言語を統合した学習です。埼玉医科大学でも CLIL を導入し、教員研修の一 環として教科書も作成しました。CLIL は現在徐々に広がりつつありますが、同 時にそれは混乱を招きかねません。ただ、ある考えにまとめてしまうのもよい ことではありません。そこで、このような懇談会を通じて良い方向に持ってい ければと考えています。 先日、WALS という授業研究(Lesson Study)の学会に参加した際に、CLIL と 共通する多くのヒントになることがたくさんありました。一番大事なのは、 議論を起こすということだと思います。授業研究のコンセプトは日本で生まれ、 世界に広がっています。同様に、CLIL も日本の文脈に合うように変えていくこ とが大切です。本日はよろしくお願いします。 事例発表 埼玉県立和光国際高校の実践(山崎勝) 外国語科の二年生(留学生、帰国生が若干名在籍)を対象に行った実践例を 紹介します。CLIL は、上智大学との高大連携で始まり、高校 2 年生の異文化理 解の授業で行われています。
  • 100. 99 目標としては、内容(Global Issues)と言語の比率を1対1にし、良質なデ ィスコースを産出し、特に口頭での意見表明ができるようにすることです。週 に 2 回、50 分と 90 分(ALT と TT)を実施し、40 名のクラスを分割して2名 の教員で授業を行なっています。 ニーズ分析の結果、生徒は、Global Issues を英語で理解し、英語で語りたい ということがありました。そこで、ライティングとスピーキングの技能に焦点 を当て、語彙の増強とディスコースの産出を課題としました。そこで、強形の CLIL を想定して、4つの C を統合し、タスクベースの共同学習の機会を多くし ました。教科書は、『You, Me and the world』(金星堂)を使い、トピックを 利用し、補助としてオーセンティックな教材を用意し、時々の旬のものを扱い ました。教材は、池田(2011)に基づき、素材を集め、タスクを組み、ワーク シートを作り、Input Process Output の流れを基本としました。評価に関して は、定期試験において言語・内容・思考を問う問題を課し、授業で生徒が書い たライティングなども対象とし、ポートフォリオ評価も取り入れ、授業中にど ういう学びがあるのかに注目しました。コース評価は、授業記録や評価資料を 利用し、さらに、生徒の効果検証としてプレポストライティングの質と量を検 討しました。 実際の授業例を紹介します。4C に関しては次のように考えました。 Content Global Issues を扱う。 Communication 概要を口頭で導入し、生とは黙読する。その後、自分の言 葉で Retelling を行い、サマリーを書けるようにする。LOTS (Lower Order Thinking Skills)を意識して活動する。 Cognition 学ぶ内容と関わりのある、思考を伴うタスクを行う。 Community グループワークを中心に、統合的なタスクを行う。 手順 リサーチ → ディスカッション → ライティング → 発表 三通りの意見を読み、それについてグループディスカッシ ョンを行い、プレゼンテーションを行う。 授業の成果は次のようにまとめられます。
  • 101. 100 さいごに、今後の課題について話しておきます。課題は、英語でディスカッ ション、つまり意味のやり取りを行う意識がまだ低いので、プレゼンテーショ ン自体がインターアクティブなものになるようにする必要があり、scaffolding (足場かけ)をうまく考えて、エッセイやディスカッションにつなげられるよ うにすることです。ありがとうございました。 質問:授業の終わりの発表は、グループの3人が分担して行ったのか? 山崎:そうです。グループで発表内容を作り、それを分担して発表しました。 質問:グループディスカッションを行う際は、英語ができる子が引っ張って行 くのか、それとも対等なのか? 山崎:留学生(カナダ人)がいるグループは彼女が引っ張っているが、その他 は均一なグループなのでそのようなことはない。 質問:生徒の英語力ついての効果検証は何かあるか? 山崎:現在データは検証中です。 池田:プレポストエッセイテストを用いて、英語力(構成、語彙等)を図って います。良質なディスコースを作るのが目的です。 埼玉県立川越女子高校の実践(佐藤ひな子、鈴木誠) 佐藤:私たちの高校は SSH を実施して7年目になり、教科間連携を行なってい ます。その一環として、英語と理科の連携を行っています。今回報告する事例 は 2009 年に生物の授業の中でティームティーチング(TT)で行った内容です。 細胞のサイズがなぜ小さいのかを扱いました。日本語で細胞について勉強をし、 英語で生物の用語を勉強した後に授業を行いました。日本語で行うとすれば、 内容を基盤とした言語指導は従来からあるが、それに思考と協学を加え HOTS (Higher Order Thinking Skills)を意識した活動を加えることにより、 英語教育の質が向上した。生徒は、コンテンツが豊かなので、やりがいを感 じ、プレゼンテーションがあるので、アウトプットを意識した学びをしてい る。また、生徒は、プレゼンテーションを多数行うため、しっかりとした構 成で話せるようになり、それとともに、生徒のライティングの質も変わって きた。
  • 102. 101 15 分程度の内容になるかもしれませんが、それを英語で 50 分かけて行いまし た。教材は、NZ の生物のワークシートを参考にしました。 鈴木:英語科内では教科間連携にあまり積極的ではありません。そこで理科の 授業の中でをこの授業を行いました。そのために、Small talk やペアワークな どで理科の内容を英語で行うので、50 分程度時間が必要になります。 授業事例 授業のはじめに、教師が英語でスモールトークをしながらターゲットとなる 生物の用語を確認し、さらに、立方体の表面積と体積の割合、細胞の核など の本時の目標となる内容について英語で導入した。その過程で、掛け算の言 い方などをペアワークで確認しながら、細胞の部位の絵を書きながら説明し、 生物の内容に焦点を当て活動した。 佐藤:授業後のアンケートでは、英語も生物も好きな生徒にとっては興味が引 き出された傾向があったが、その逆の生徒たちにとってはハードルが上がって しまった。しかし、教師の立場からすると、授業を英語で行ったことで自分に 対する刺激になり、新鮮で勉強にもなったと思います。同様に、生徒も必死に 英語で何かを伝えなくては行けない立場になれば、モチベーションに繋がるの ではないかと感じました。 鈴木:どのように難しい言い回しや専門用語をパラフレーズをして生徒に伝え るのかを悩みました。英語の教師は難しい英語使ったり、言い方が速かったり するかもしれません。同じ内容のことを 3 回言い換えたりしても、英語が得意 でない生徒にとっては別のこと 3 回言っているように聞こえてしまうかもしれ ません。それでも、できるだけ簡単なフレーズを使って、しつこいぐらい繰り 返して、生徒が分かるまで言うようにするとよいのではないかと思います。ア ンケートの結果からは、生徒がおおむね好意的に見ていることがわかりました。 この授業で教師がそのような一つのロールモデルを示す役割は果たしたと考え ます。最終的には、生徒が英語で言いたいことをもがきながらでも伝えようと する機会をもうけ、英語が使えないというモヤモヤを解消するためには、継続 的なこのような取り組みが必要だと思います。 佐藤:自分自身、英語の授業を受けてきて、自分でも英語を勉強してきたのに、 なぜ英語がうまく喋れないのかと考えることがありました。生物の勉強をする
  • 103. 102 上では英語は必要です。それならば生物を英語で勉強する機会を生徒にあたえ ることが大切だと気がつきました。それを生徒に伝えていようと自分でも努力 しようと考えています。 笹島:私は佐藤先生と鈴木先生のこの CLIL 的な授業を実際に生で見ました。と てもよい授業でした。先生の教え方がどうこういうことではなく、多くの生徒 が、生物の内容に関心を持っていたということです。そのときの感想としては、 多くの生徒が佐藤先生の話す内容に関心を寄せていました。佐藤先生が話す英 語に興味をもち、かつ生物の内容・意味を伝えようとしている姿に共感し、そ の内容を必死で聞こうとしていたのです。鈴木先生は英語の先生であり、生徒 は鈴木先生の話す英語のリズムやスピードに慣れているのでほぼ理解できてい ました。面白いことに、佐藤先生が話すシンプルな英語が生徒と日頃の鈴木先 生の発する英語とが相まって自然な CLIL 型授業空間をつくりだしていました。 質問:ここで扱った生物の内容は、この授業まで扱ったことのないことか? 佐藤:はい、そうです。ただ細胞についてはある程度勉強をしており、サイズ についても多少の知識はあります。 質問:それでは、一度扱った内容を英語で復習するという授業を行ったらどう か? 佐藤:それではつまらないのではないでしょうか?内容を理解したという満足 度は高いかもしれないですが、面白みに欠けるかもしれません。それに、授業 進度の関係でむずかしいでしょう。 質問:同じ内容を日本語で授業すれば 15 分で済むものが、英語だと 50 分かか ると言いましたが、学生のペースにあわせて行うということなのか? 笹島:この授業の場合、英語教員である鈴木先生は、佐藤先生のような生物の 教師が英語で話すというモデルになれません。またそのようになる必要もない でしょう。その意味で、佐藤先生のような科目の教師が英語を使うという姿勢 は良いのではないかと思います。つまり、生徒にとっては、英語を英語の学習 として使うのではなく、英語を内容のある場面で必要に応じて使うということ が大切だと佐藤先生は示してくれたと考えます。 池田:ここでの事例はヨーロッパの CLIL に近いかもしれません。ヨーロッパで は、科目の先生が目標言語で教え、言語の先生はサポートを行うという授業形 態があります。さらに、先生同士の掛け合いのようなものを、教師―生徒、生 徒ー生徒でも行なっています。それが CLIL の一つの理想形なのではないでしょ
  • 104. 103 うか。 千葉県立長生高校の実践(三上正弘) 地域の中心校として SSH を実施して 3 年目になります。英語と理科の連携を しています。ゴールは、国際的に科学分野で活躍できる英語力を養うことに設 定しています。英語の目標は、海外で科学研究を発表し、研究内容を読み書き し、講義を受けることができるレベルを目指しています。そのような目標のも とに、英語と理科の指導をリンクさせるべく努力しています。 例をあげましょう。高2の生徒が台湾の学会で発表し、レポートを英語で書 きました。全国数学選手権の決勝では英語で説明を行いました。海外科学発表 大会では、各国から生徒が大勢参加しているのに生徒たちは驚いていました。 SSH では3年前から英語を英語で教えています。そのため研修を多く行って きました。科学英語を行うため、教科書を選定し、プレゼンテーションやディ ベートの練習も行いました。英語の授業数は普通科と同じです。普通科が OC を行う時間に SSH では科学英語を、ライティングの時間にも科学英語や英語論 文を書く指導を行い、またプレゼンテーションを行なっています。1年次にプ レゼンテーションの形をマスターさせ、2年次には科学発表を、普通科では社 会学系の発表も行います。教科書は、Science to GCSE を生徒に貸与し使用し ています。海外研修としては、研究発表をする目的で、台湾やマレーシアに生 徒を派遣し、生徒は多くの刺激を受けて帰ってきます。マレーシアは、多民族 多言語国家であり、英語は重要な言語となっています。そのようにアジアの中 で英語が使われている地域を生徒に見せたかったという意味もあります。その 他の取り組みとしては、ビデオコンファレンスを実施し、オーストラリアの学 校と文化紹介などを行いました。英語でコミュニケーションをすることが重要 だということを実感させることができたと思います。 授業では、科学英語を扱っています。中学や高校で既修した内容を英語で学 習します。新しいことを英語で学習すると生徒にはやはり負担となるからです。 基本的な科学の内容を英語で学習することで、生徒が「あれっ」と思い、認識 を新たにすることを期待しています。レポートの書き方はアカデミックエッセ イの方式を基本的に踏襲し、指導しています。プレゼンテーション指導は3年
  • 105. 104 目になり、レポート指導は2年目になります。今年は数学を扱っている。 授業実践例 理科教師とのティームティーチング。温暖化の問題を扱う。理科教師は講義 などの説明を担当し、英語教師がタスクなどの活動を入れるようにした。グ ループで話し合いをし、レポートを書くタスクである。理科教師と英語教師 の知識や授業での実践をコラボさせることに工夫した。数学を英語で学習す ることに取り組んで2年になり、生徒の海外派遣も行った。新学習指導要領 の対応は、ある程度先取りした面もあるので、今までとそう変わらない方針 で進める。ALT にも数学の授業をやってもらった。生徒に活動をさせ、まと めて発表をさせる。これまでの活動から、教師があまり話さないのが大切だ と考えている。その他に、理科の内容をグループで教科書を確認して解答を していくという活動を、英語の授業でも実施した。 今後の課題としては、投げ込み型の授業の工夫、教科書の選定、ALT と日本 人教師のギャップの話し合い、理科・数学教師との TT の可能性、試験や評価の 工夫、教員研修、教材研究などが考えられる。授業公開や研修会を通じて全教 員が対応できるようにしたい。 質問:生徒が海外に行く場合の予算はどうなっているのか? 三上:基本は生徒負担となりますが、、SSH の予算から少し補助しています。 質問:SSH のクラスだけでの特別授業なのか? 三上:基本的には SSH だけの授業ですが、普通科でも時々同様の内容を投げ込 みでやっています。 質問:ディベートやプレゼンテーションと進学実績をどのように両立している のか? 三上:受験英語も普段の英語も同じだと考えています。両方の力を伸ばさない といけません。それが英語教員としての義務でしょう。どちらかに逃げてはい けないのです。本校ではオールイングリッシュにして過去最高のリスニング力 伸びが成績に表れました。SSH の3年間で、過去の模擬テストの成績よりも良 い結果を出しました。アプローチとしては間違っていないと確信しています。 ただ、英語が得意ではない生徒のケアが必要です。勉強の仕方や英語のコンプ
  • 106. 105 レックスに対応をする必要があります。それをいい加減にすると、能力の高い 生徒にも影響を与えます。能力が高いにも関わらず、生徒の中には中学校でい じめられっ子だった子もいます。空気が読めず、中学校の先生から無視されて いたりした子もいます。本校では、好きなことを自由にやれるように工夫して います。発展して東大などに行き勉強できるようになった生徒もいます。すべ ての生徒が学習できる環境を提供することが大切です。そもそも、英語の先生 は入試問題を全部見ているのか疑問です。私は毎年赤本を全部見るようにして います。 質問:教科間連携をすることで、両方の先生に足かせがはめられるのではない か?コンテツ部分での苦労はないのか? 三上:理科の学習でも中学校ぐらいの内容は分かります。テキストを決めて、 基本的なことは理科の先生に聞いて、答え確認してから授業をします。英語の 授業だから間違ってもあまり気にしません。生徒には、教えている私は英語の 教師だから、疑問に思ったら、ちゃんと自分で確かめるように言います。 質問:他の教師の成績面での不安をどうやって変えたのか? 三上:中心になる教師や、担当してい教師集団がきちんと成績を出せばそれに 従います。同じような考えを持った同僚が偶然いたのがラッキーだったかもし れません。また、異動の際に公募制なので、校長に意欲のある人材を引っ張っ てもらいました。どちらが良いかは生徒が決めます。生徒の信頼を得れば、や り方はキープできます。 池田:三上先生の話を聞いて、マインドセットを変えるのが一番の課題だと思 いました。ただ、一度 CLIL のような教え方を始めると元の教え方に戻れないと いうことがあります。教え方の力量も上がるし、授業をやることが楽しくなる からです。生徒とインターアクティブに行うことが可能になるからです。 福岡県立香住丘高校の実践(永末温子、長沼君主) 永末:本校は、SELHi ベースの SSH 実践校です。SELHi 時代には、スピーキ ング・ライティング能力に係る指導方法及び評価方法の研究開発を行いました。 昨年から SSH の指定を受けて、「探求する力」、「伝え合う力」の育成法と能力 評価法を研究課題としての研究実践を行なっています。SELHi ベースの SSH は 珍しく、研究主任が継続して実施しているのは香住丘高校だけです。SSH と言
  • 107. 106 っても、理科主導ではなく英語主導で行なっています。 『国際共通語としての英語力向上のための5つの提言』に対応するため、「探 求する力」、「伝え合う力」の育成の二本柱を立てました。独自のカリキュラム 開発を SSH ではしてよいので、1,2年次にはプレゼンテーション力の向上、 3年次には、リーディングとライティング力の向上を目標として指導していま す。「伝え合う力」を育成するため、インプット・アウトプットを意識して、1, 2年次に科学英語を題材として扱い、それに関連したプレゼンテーション活動 を指導しています。その後、3年次ではリーディングとライティングという活 動で、1、2年次で養成した英語の基本的な表現力を土台に、3年次は高度なラ イティングやリーディングを指導し、や科学論文なども読めるように工夫して います。4技能統合型のシラバスを実践し、その評価方法の開発も進めていま す。教科間連携と銘打っていますが、効果的な連携や共同というところまでい かないのが問題点の一つです。 インプットとしての科学英語、アウトプットとして科学英語プレゼンテーシ ョンのカリキュラム開発を目指しています。目的は、科学的な内容を身につけ、 表現活動としてプレゼンテーションができることです。その際にグループ活動 が必ず入るので協同作業が求められます。また、従来の英語科目では、多読活 動や統合活動としてサマリーライティング、show and tell、ブックレビューを 行なっていたので、それに沿う形で、多読を行いプレゼンテーションにつなげ ています。スピーキング活動をどのように学習タスク化するかということが現 在の課題です。これらのまとめとして、ケンブリッジを訪れ、科学の講義を受 ける研修を予定しています。 効果検証 生徒の自己評価に Can Do を用いています。それによると、スピーキングに関 しては、教科書レベルの内容説明やプレゼンテーションに関するスキルに自信 を深めてきていることが分かります。リスニング能力に関しては、教師が話す 英語の理解に対する自信を深め、リーディングも短いテキストからある程度の 長さを読んで理解ができるようになり、自信を深めてきていることが見て取れ ます。プレゼンテーションでは、ライティングが重要になるので、英語でまと まりのある文章を書き、出来事を説明する文章が書けるようになり、それをも とに話すことができるという自信をつけているようです。さらに、動機付けに
  • 108. 107 関しても、多くの生徒が学習価値や学習意欲を高めているようです。 課題 CLIL 的なアプローチを進める上で、包括的なモジュールを作らなくてはいけな いと考えています。また、内容面の充実を図るとともに、検定教科書を利用し た指導の開発を模索しています。今後の課題としては、現在進めているリーデ ィングやライティングのカリキュラム開発、教科間連携、そして、科学技術英 語指導をどのように進展させるかということです。 長沼:香住丘高校の支援をしています東京外国語大学の長沼です。新学習指導 要領に合わせて、CLIL 的に内容に焦点を当てて指導しながら言語能力を伸ばし ていくアプローチを、教科書ベースで、ソフト CLIL というかたちで授業改善を 進めているところです。現在その下地を作っている段階です。Can Do に基づ いた評価、つまり英語でできることを確認しながら、自己効力を高める実践研 究を行なっています。CLIL の評価には Can Do による評価と近いものがあると 実感しています。 ヨーロッパの言語教育には、Can Do の背景に CEFR があります。言い換え れば、CEFR を実現するために CLIL があるとも言えるでしょう。共に歩いてい ると言えます。さらにもう一つの柱としては、ELP (European Language Portfolio)として推進されているポートフォリオ評価があります。自分で自分の 学習を自律的にコントロールしていく考えが、CEFR の理念を支えています。 この3つが実践されていくと、高品質の授業が展開されるのではないでしょう か。 Can Do の目的は、自己効力を与えることで、自律学習促進することです。 また、教師にとっての同僚性や教師の自律を高める評価でもあります。そこで、 教科書に即した Can Do リストをどのように設定するのかが課題となります。 CLIL における評価では、Presentation、Processing、Production における scaffolding(足場作り)や Dynamic testing などの考えが利用されるように なりつつあります。プロセスを評価することが大事になってきているからです。 外国語能力は、背景知識や母語における認知スキルとは不可分です。内容に 関する発問や要約、作問を通した評価の工夫が必要になります。LOTS (Lower Order Thinking Skills)から HOTS (Higher Order Thinking Skills)に進む部分
  • 109. 108 を、インターアクションを絡めながら学習を展開していくような授業スタイル が求められています。私たちが編集した教科書はそのような流れを考えて構成 してあります。 「協学」における「内容」の学び、対話に基づいた「思考」、社会的「言語」 としての学びから、モデルを借りて自分の言語として活用することによりその 「コミュニティ」に参加することができるようになります。そのプロセスを評 価していく必要があるのではないでしょうか。Can Do でも、Scaffolding を取 り入れ、プロセスの段階でも基準を設けて評価をし、自己効力を上げる実践を 行なっています。 また、教科書の中で Can Do で扱う場合、Q&A を用いてインターアクション をどのように深めていくのか、サマリーチャートを用いて要約活動をどこまで 自分の頭で考えて行うか、そして、本文とリンクしたコミュニケーション活動 をどのように展開するのかというタスク開発を行なっています。 質問:日本語でのプレゼンテーションは行うのか? 永末:どこの SSH も探究活動はあり、理科などの授業でプレゼンテーションを やっています。それに加えて、英語の授業の中での英語によるプレゼンテーシ ョン能力をどのように高めるかという二本柱で行なっています。しかし、理科 の授業で作成したプレゼンテーション原稿を英語にするという形ではありませ ん。 東海大学付属高輪台高校(関田信生) 私の実践は、学校というよりも、一人の英語教員としての取り組みの紹介で す。今まで、CBL (Content-based Learning)型の授業を行なってきました。 検定教科書を使い教科書を学んだ後に、発展的活動としてできることを目標と して設定し、教科書はそのためのリソースとして使うというように展開しまし た。 CBL は、内容を利用して英語を学ぶという考えに基づいていますが、CLIL は、 英語と内容を統合して両方学ぶという考えです。CBL は、教科科目や言語知識 ということに焦点を当てている訳ではありません。この点を考慮して、CBL を CLIL にしていきたいと考えて実践しています。
  • 110. 109 2012 年の4月から高校1年生 45 名を対象としてこの取り組みを行ってきま した。検定教科書を使用し、5レッスン実施しましたが、1レッスンは定期考 査へ向けての時間数の都合で発展的活動までは行えませんでした。付属高校な ので、大学受験はそれほど関係ないですが、そのためか、残念ながら、多くの 生徒はあまり英語学習の必要性を感じていません。そこで、生徒のモチベーシ ョンを高めながら、CLIL 型の授業を展開しました。 授業は次のように実施しました。各レッスンの各パートをリソースとして、 語彙等を学び発展学習につなげられるようにしました。例えば、本文の概略を 理解し、基本情報をつなぎ合わせてサマリーを書き、さらに、お互いの書いた ものを読み合い相談しあうことでコミュニティを形成していくというように展 開しました。CBL から CLIL に展開するために、言語学習として語彙練習を工 夫して取り入れました。まずは個々の単語を学習し、徐々にフレーズ単位に発 展させ、これを復習することで、本文の内容も確認できるようにしました。CBL と較べると CLIL ではより言語にもフォーカスを当てる必要があると考えてい ます。気をつけているのは、日本語で説明する場合はまず日本語できちんと説 明して、それから英語で言うことにより、少しでも英語が頭に残るように工夫 しています。レッスンによっては、LHR などで行った進路希望調査と関連させ て、英語を用いて活動を行ったこともあります。 CBL から CLIL に発展するために、教科科目内容としてのレッスンの背景知 識の学習を英語の授業の中でどの程度できるかただいま模索しているところで す。CLIL の実践の中で、言語知識や技能をどう具体的に強化していくのかを取 り組んでいます。 課題としては、タスク型の活動と言語教育としての語彙学習などのバランス です。どのように組み合わせていけば生徒にとって興味深くなり、より英語が 身につくようになるのかといったことです。文法指導はできるだけ Focus on Form に近い形で授業を実践していこうと考えていますが、教科科目内容の学習 ということで、背景知識を具体的にどの程度授業に取り入れるのかがやはり課 題です。オーセンティックな教材では、語彙などが難しいので、易しく書き換 える必要がどうしてもでてきます。しかし、検定教科書では内容が限られてし まうので、追加の教材は欠かせません。易しく書き換えた教材と、オーセンテ ィックな教材のバランスをどのように取るのか配慮しながら、日々実践してい ます。
  • 111. 110 池田:関田先生までの実践はいわば強形の CLIL (Hard CLIL)と言えますが、関 田先生の実践は部分的に検定教科書を使用した弱形の CLIL (Soft CLIL) と言え るでしょう。授業のメインの活動に入る前にスキーマを活性化するために、背 景知識を提供したり、授業内容の発展学習を行ったりする際に CLIL 的な内容 を取り入れることは大切です。CLIL は必ずしもヨーロッパ型である必要はない ので、検定教科書を使ってどのように CLIL を行うのかもポイントとなるでしょ う。 質問:語彙指導で、単語からフレーズへと発展させたというだが、その後の活動 はどのようにしたのか? 関田:生徒は単語だけの方が分かりやすいと思っているようですが、テストをし てみると、フレーズで単語を学習した方が効率が良いことが分かります。さら に、フレーズで学習することで、単語練習をしながら本文のレビューにもなり ます。ただあまりフレーズが長くなりすぎるないように気をつけています。 質問:文法と語彙指導の境は曖昧だと思うが、チャンクベースでうまくいくの か? 関田:語彙と文法指導の中間の活動として、キーセンテンスの整序問題などを 取り入れ、工夫しています。 質問:リンキングワードなどを使って、ディスコースの流れを作るような意識は しているのか? 関田:実際そこまでの段階にはなかなか進めないのが現状です。 池田:Lexical approach に基づく考えと思いますが、チャンクを言語材料とし て、文法や語彙だけの指導ではいけない。生徒に分析させるようにするとよい でしょう。ヨーロッパの CLIL の授業では、文法だけを取り出して学習すること はないと思います。 質問:生徒の反応は以前と比べてどうか? 関田:中高一貫校なので、中学校から高校へと進んでくる生徒は、基本的に従 来の文法訳読式に慣れているので、戸惑いがあるようです。私が新しく赴任し て来たときには、8∼9割程度英語を使って授業をしようとしたら、授業にな らなくなりました。それから必要に応じて日本語を使い、併せて英語も使うよ うにしました。生徒が従来型を望みます。文法の説明を細かくしたり、訳した
  • 112. 111 りする活動をしなくても、英文内容のすべてが分からなくてもよいと説得しな がら、現在日々指導を行なっています。 質問:徐々に好評を得ているのか? 関田:授業の趣旨説明をしっかり行なっています。英語教育や日本の現状につ いてなどを生徒に話すことで、今新しいことにチャレンジしているんだという 意識づけを示しています。 池田:文法訳読式に慣れた生徒に、高校の英語授業で新しい試みをやるのは大 変だと思います。生徒に趣旨説明をするのは素晴らしい。ただ、よく勘違いし ていることは、生徒が従来の教え方を希望しているからとか、生徒が訳を必要 としているから、いままでと同じように教えるということです。これは、もと もと生徒が必要だと思っているのではなく、日本の教育がそうさせてきたので はないでしょうか。本当の英語学習はそうではなくて、こういうものだという ことが浸透すれば、キレイに流れていくと思います。この懇談会はそういう目 的でもあります。大学で CLIL の授業を行なっていたとき、生徒から「英語って コミュニケーションに使うものなんですね」と言われたことがあります。「今ま ではそのように使わなかったし、習わなかったので考えなかったこともなかっ た」とその学生は言っていました。関田先生が、特に私立で行なっていること が素晴らしいと思います。ある進学校の採用試験の模擬授業で、生徒に当てず、 すべて講義で行うという学習指導要領なんか一関係ない課題が出されていたこ とがありました。経営などの問題かもしれませんが問題です。 埼玉県蓮田市立黒浜西小学校(山野有紀) 小学校の外国語活動での CLIL 実践例を報告します。拠点校でもない、普通の 小学校での実践です。2007 年度の試行期間より年間 35 時間取り入れて実施し ています。英語ノート、「Hi Friends」を使用しています。学習支援が必要な生 徒が14%ほどいる学校です。学習支援が必要な子どもたちは、ゲーム形式の 活動では興奮してしまったり、内向的な子にとっては他の人と話すのが苦痛だ ったりすることがあります。そういった状況の中で、当初、ゲームやインタビ ューがコミュニケーション活動なのか、あるいは、そういう活動がコミュニケ ーション能力の素地を育てるのかという疑問もありました。 英検の調査によると、小学校外国語活動の一番の課題としては、指導内容と
  • 113. 112 方法があげられています。そこで、小学校教育の実践を生かし、児童の興味に 沿った内容の思考活動を取り入れたいと考えました。他教科では、関連する内 容の文言が文科省の指導要領の中にも記載されています。 授業例は次のとおりです。英語による挨拶と理科の内容の学習です。通常の 「How is the weather today?」はよく使われる表現ですが、外を見れば尋ね なくても分かります。ここで、小学校3年生の理科で習う温度変化などのこと を尋ねるようにします。そこから、晴れや曇りと温度の関係に注目をして体感 温度を学ぶこともできるようになります。また、海外との比較を通じて世界の 地理なども勉強できます。また別の授業では、ピラミッドという語を通じて地 理と同時に数学の三角錐の話もするようにしています。「なぜ?」と問いかけ、 考える機会を与えるようにします。応援の表現や励ましを教え、体育の授業に 取り入れます。日本語と社会をつなげ、将来何になりたいのか、夢について話 すなどの活動をします。教科書の中のキャラクターの中から、世界には同世代 に様々な子供がいることを気づかせます。様々な境遇の子供がいることを教え、 国語の平和についての活動や、社会の UNICEF についての活動につなげます。 外国語活動で単語などを導入してから、他教科につなげていくようにしていま す。 オーセンティックな教材を使用することで、生徒の体験的理解が深まると感 じています。CLIL の授業の後は、「言葉が良く分かる」「英語が出てくる」とい う反応があります。文化理解や国際理解により、英語を用いて世界の人とつな がっていけるということに気がつき、積極的にコミュニケーションを図る態度 の素地にもなっています。アンケートからは、CLIL では英語を使うことに意欲 を感じていることが分かりました。さらに、CLIL では、外国語に慣れ親しみな がら、年齢にあった思考活動ができます。生徒の言葉として、「深く考えた」「英 語で考えた」といったものがありました。外国語と他教科の学びや思考、世界 市民としての協同学習を経験することにより、豊かにコミュニケーション能力 の素地を養うことができるのではないでしょうか。 今後の課題は、CLIL を取り入れた指導案や教材の作成です。いかに生徒の年 齢や興味に合った内容とし、それを言語とどう結びつけたらよいのか、教科科 目内容を扱う際に出てくる学習者にとって高いレベルの難しい語彙が出てきた 際に、どのようにその語彙を扱ったらよいのか、などなど課題は山積みです。 意味ある思考活動と協学の機会をどのように取り入れるかを考えています。
  • 114. 113 質問:CLIL 授業の研究についての質問ですが、データ収集をどのようにしてい るのか? 山野:分析は、授業などの録音録画などを行い、授業観察分析をしています。 また、生徒に対して質問用紙で質問し、そして、担任とのインタビューも実施 しています。 質問:担任との協力や学校との連携はどう行なっているのか? 山野:実際、先生によってはあまり好意的でありません。ゲーム等を行い児童 がハイテンションになったあとが大変たいへんだからということです。その点 を考慮して、CLIL を提案する際に、担任の先生の得意な分野を聞いてそれを取 り入れていくようにしています。 質問:キーセンテンスなどは練習が必要だが、チャンツなどの練習はどのよう に授業活動に取り入れ、評価を行なっているのか。 山野:チャンツ等を行なっています。また、写真などのオーセンティック教材 を見せながら、声を出してもらったりしています。外国語活動は基本的に評価 しません。 日本での CLIL のあり方についての懇談問題提起(松本茂) 実践報告の論点整理を整理しながら、課題や問題を提起しましょう。 教科科目内容と英語を両方学ぶことはやはり苦手な生徒にとっては負担とな る可能性があります。そのことを考慮すると、たとえば、生物を英語で学習す る体験の意味をどう理解してもらうかというところから始める必要があるでし ょう。説得するのか、それとも、自己達成感を与えるのかなど方法は様々です。 CLIL 先にありきでは、授業は上手くいかないのではないかということを懸念し ます。また、教科科目の内容の学習と英語学習のそれぞれのレベル設定によっ て負担が変わるでしょう。レベル設定をどうするかが CLIL 成功の一つのカギと なります。また、高校で CLIL 授業が成立するためには、たとえば、大学で英語 で学ぶような科目を多く設ければ、高校でも英語で科目を教える意味も出てく るだろうと考えます。また、高校側も日本の大学だけでなく海外の大学への進 路指導も行なうことも視野に入れるようにすると、状況は変わってくるでしょ う。 思考活動を重視した英語指導は大切だと考えます。背景知識の理解と認知ス
  • 115. 114 キルは不可分で、本来は内容を重視したほうが効果的と考えられますが、証明 しきれていません。小学校の先生のように、英語指導に対するマインドセット がされていない方が、ひょっとすると、上手くいくのではないかと考えます。 いずれにしても、どのように生徒の発達段階にあったタスクを CLIL 授業で設定 するのかが課題となるでしょう。英語をただおぼえるより思考することを重視 することで、結果として英語もおぼえているという点が、CLIL のプラス面だと、 発表を聞いて思いました。 同僚とチームを組めずに、一人でこっそり CLIL をするというのもありでしょ う。ただ、それが一回の授業なのか、それとも計画的にカリキュラム体系に基 づいて行なっているのかは大きな違いです。一人の実践ではその先生がいなく なったら終わってしまうということになりかねません。学校や英語科の教師集 団でのコンセンサスが必要です。 英語の授業でさえ英語で教えていないのに、他科目で英語で教えることがな ぜできるのでしょうか。たとえば、英語授業の中で、生徒主体の活動を豊富に 入れていた基盤があるところに、他教科の内容を入れることに意味があるので しょうか。突然そのような状況に CLIL を入れてもおそらくうまく行かないでし ょう。成功するためには、きっかけが必要だと考えます。それが、SELHI であ れ、SSH であれ、あるいは、大学教員の支援であれ、どのようなきっかけでも よいが、学校全体がその方向に向かうには、人間関係が大事です。学校の教師 集団が仲良くしていく必要があるでしょう。コミュニケーション重視の授業を 行うのに、教員がコミュニケーションをうまく取れないのはおかしいと思いま す。そして、それを引っ張っていくリーダーやそれをサポートするフォロワー の両方がうまく機能する必要があります。どのようにしてそのような組織とす るかは、ある程度戦略的な人事配置が必要になるでしょう。外部サポートも必 要となるかもしれません。CLIL を推進するにはそのような体制づくりがカギと なります。 コミュニケーションという関係性に変化をもたらす可能性を CLIL は持って いると考えます。先生と生徒の関係が変わるかもしれません。英語の先生が理 科を教えるために苦労している様子をみて、教師が完璧な存在ではないという ことに気づくのです。また、他教科の内容を英語で学ぶことにより、今まで英 語に興味を持っていなかった生徒の潜在的な能力を引き出し、新たな動機づけ になる可能性があります。CLIL だけですべて解決できるわけではありませんが、
  • 116. 115 トライする価値や可能性があるのではないでしょうか。 質問:成功事例が多いが、失敗事例はないのか? 笹島:私の大学で CLIL の教材が必要だということになり、教科書を作成しま した。理由は教材の準備が大変だと言うことでした。そこで作成してそれを使 い出したのですが、そうしたら、CLIL の授業に対する意欲が、教師も学生もや や下火になりました。原因は様々に考えられますが、一番の要因は教科書を作 成したことにより、教科書の内容を教えようとしたことです。それとともに教 師の側に慣れが出て、楽をしようとしたと考えられます。教師も学生も面白い と思って CLIL に取り組んでいたが、教科書内容に合わせ、内容をある程度統一 したために面白みを欠いたのでしょう。教師の意欲低下が学生にも伝わり、授 業後の生徒のアンケートでは、7 段階中いつも平均で 5 以上あった授業評価が、 直近の結果では 5 を下回ってしまいました。やはり教師の意欲が大事なのでは ないかと思いました。 池田:教師と生徒、生徒と生徒のインターアクションが大事だと思います。ヨ ーロッパでは、日本の生徒と較べると、発言すること求められます。日本では 必ずしもそうではない。クラスルームマネージメントをしっかりする必要があ るでしょう。ただ、ヨーロッパの CLIL でも生徒同士は母語になるのは自然です。 それは良いと思います。少しずつ、どうやって英語を増やしていくのかが、あ るいは、増えていくのかが一番の課題です。 和泉:上智大学の和泉です。CLIL が失敗するか成功するかの大きなカギは、ト ピックをどう選定し、発展させ、生徒をどこまで到達させたいのか、というビ ジョンが大切です。今まで日本語でやっていた授業を、ただ英語にしても、CLIL にはならないでしょう。言葉を英語にするだけではなく、教え方のアプローチ も併せて考え直さなくてはいけません。CLIL の4C を行うためには、それらを つないでくれるタスクが必要だと感じています。 長沼:教材を整理することが大切だと思います。教材が多すぎてうまくできな いこともあるのではないでしょうか。教員が自分の興味にもとづいて行う分に はよいが、時間がかかります。しかし、作ってしまうとつまらないということ もあるでしょう。このジレンマをどうするのかが重要です。検定教科書の編纂 に関わってきました。その際も、どこにメリハリをつけるのかを意識してきま した。各先生方の専門性を活かしていきたいとその際に考えました。それぞれ
  • 117. 116 の興味を活かしていくのが面白いし、それによって授業のメリハリがつきます。 池田:小学校では CLIL を日本語の授業でも活かせるのではという話を聞いたこ とがあります。CLIL は教育そのものとも言えるかもしれません。 神代:文科省の神代です。英語教育の現状のモヤモヤのかなりの部分がすっき りして、目指すべき場所が少し見えたような気がします。CLIL のようなアプロ ーチを、英語だけでなく他の教科にも意識してもらうのが大事ではないでしょ うか。それが、日本の教育をドラスティックに変えてくれるのではないかと期 待します。そのためには、4C のそれぞれの理念をどう高めていくかが、CLIL 全体のレベルアップにつながるのではないかと考えます。さらに言えば、ヨー ロッパからただ取り入れるだけでなく、日本が CLIL をリードするぐらいのもの になっていけばいいと思います。本日はたいへんよい懇談会に参加させていた だきありがとうございます。今後の発展を期待します。 CLIL Japan の立ち上げについて 池田:上智と英検が母体となり CLIL の普及をしています。専門家の講演やワー クショップ、大学院での講座などを企画する予定です。解説書を出し、また、 実践と検証として、実験的な CLIL 科目を行い、2014 年度から上智のすべての 学生に CLIL 授業を行うことになっています。その他に、研究発表として日本の CLIL をヨーロッパで発表します。関連で、International CLIL Journal の次回 特集として日本の例を。示す予定です。 そこで、本日この懇談会をきっかけとして、CLILJapan として研究会を立ち あげたいと考えます。情報発信をウェブサイトで行い、研修や講演会、研究発 表、論文等を通して、CLIL の日本での発展を進めます。本日、賛同の方はぜひ ご入会ください。 本日はありがとうございます。これにて散開します。
  • 118. 117 日本での CLIL の進展 ̶ 2013(第1版) ©CLIL JAPAN 監修 松本茂 池田真 笹島茂 著者 松本茂 笹島茂 山崎勝 鈴木誠 佐藤ひな子 三上正弘 永末温子 関田信生 山野有紀 長沼君主 池田真 発行 2014 年5月10日
  • 119. 118 日本での CLIL の進展 — 2013(第1版)

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