GPU/CUDAプログラミングによる3D映像のリアルタイム処理GTC Japan 2012アブストラクト
- 1. GPU/CUDA プログラミングによる3 D 映像のリアルタイム処理
Real-time Stereoscopic 3D Video Processing by GPU/CUDA Programming
趙 延軍, 天野 諭, 長谷川 清, 松永 力, 和田 雅徳
Yanjun Zhao, Satoshi Amano, Kiyoshi Hasegawa, Chikara Matsunaga and Masanori Wada
株式会社 朋栄 佐倉研究開発センター
FOR-A Co., Ltd. Sakura R&D Center
E-mail: matsunaga@for-a.co.jp
図1 3 D リグ(左)と3 D リグにより撮影した3 D 映像における補正処理(右).
Key Words: Stereoscopic 3D, Color Correction, Optical Axis Matching, Parallax Calculation & Adjustment
1 はじめに そこで,3 D 映像の左右の映像間における色・明るさのず
れ,光軸ずれ(縦ずれ)を映像から自動的に計算して,左右
人間は左右の目に映る像の見え方の違いである両眼視差に
の映像の補正処理を行う [2].左右映像における視差量を映像
より奥行きや立体感を感じている.これを利用した3 D 映像
から計算して視差調整する.主な機能は以下の通りである.
が映画をはじめとして,近年大きな盛り上がりを見せている.
3 D 映像における左右の映像を幾何学的・光学的に一致さ • 色補正機能
せることは,実写とコンピュータグラフィ ックス(CG)の合 • 光軸補正(縦ずれ補正)機能
成における実カメラと仮想カメラの間の幾何学的・光学的な • 視差計算 & 視差調整機能
一致と同様に必須である.見やすく,かつ安全な3 D 映像を • 3 D モニタリング機能(サイドバイサイドの左右の拡大
制作するためにも欠かせない [1].そのための3 D 映像の撮 /アナグリフ/左右差分/左右ミックス各選択出力)
影における左右2台のカメラの調整には多くの時間が掛かる.
すべての処理を GPU を使用して,完全にソフトウェアによる
調整後も撮影途中にずれてしまう場合もある.
リアルタイム処理を実現した.主な諸元は以下の通りである.
本発表では,そのような3 D 映像における左右の映像を幾
何学的・光学的に一致させるために映像から自動的に補正パ • 入出力ビデオフォーマット
ラメータを推定して [2],その補正処理をグラフィックスプロ サイドバイサイド変換された3 D 映像
セッシングユニット(GPU)を使用して,完全にソフトウェ (HD 1920 × 1080 ピクセル,インタレース方式 59.94i)
アによるリアルタイム処理の実現を試みたので報告する. • ビデオ入出力ボード
Blackmagic Design 社 DeckLink Duo
2 3 D 映像における補正処理の GPU/CUDA 実装 (PCI Express 接続,HD-SDI 入出力対応)
• グラフィ ックスボード
3 D 映像を撮影する際には,2台のカメラを載せるための
NVIDIA 社 Quadro FX-5800(GPU コア数 240)
3 D リグ(図 1 左)が用いられる.3 D リグのハーフミラー
• 言語
により,1台のカメラは反射映像を撮影し,もう1台のカメ
Microsoft 社 Visual C++ & NVIDIA 社 CUDA3.2
ラは透過映像を撮影することになる(図 1 右) .したがって,
反射映像を鏡像反転するとともに,明るさ・色合いが変化し 参考文献
[1] 3Dコンソーシアム(3DC)安全ガイドライン部会,人に優
た透過映像を補正しなければならない.さらには,3 D 映像
しい3D普及のための3DC安全ガイドライン,2010 年 4 月
として垂直方向のずれが立体視の際に問題となるので,左右 20 日改訂.
映像の光軸が一致するように画角を調整しなければならない.
[2] 松永 力, 趙 延軍, 和田 雅徳, 3 D 映像のための自動色補正,第
適切な立体感を得るためには,左右映像の見え方の違い(視 17 回画像センシングシンポジウム (SSII2011) 講演論文集, 横
差量)を管理することが3 D 映像制作には重要となる [1]. 浜 (パシフィコ横浜).